<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1はパチンコ機10の正面図である。
パチンコ機10は、図1に示すように、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。遊技機本体12は、内枠(図示略)と、その内枠の前方に配置される前扉枠14と、内枠の後方に配置される裏パックユニット(図示略)とを備えている。
遊技機本体12のうち内枠が、左右両側部のうち一方を支持側として外枠11に回動可能に支持されている。また、内枠には、前扉枠14が回動可能に支持されており、左右両側部のうち一方を支持側として前方へ回動可能とされている。また、内枠には、裏パックユニットが回動可能に支持されており、左右両側部のうち一方を支持側として後方へ回動可能とされている。
なお、遊技機本体12には、その回動先端部に施錠装置(図示略)が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠14を内枠に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
内枠の前面側全体を覆うようにして設けられた前扉枠14には、後述する遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部21が形成されている。窓部21は、略楕円形状をなし、窓パネル22が嵌め込まれている。窓パネル22は、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成されていてもよい。
窓部21の周囲には、各種ランプ部等の発光手段が設けられている。当該各種ランプ部の一部として表示ランプ部23が窓部21の上方に設けられている。また、表示ランプ部23の左右両側には、遊技状況に応じた効果音などが出力されるスピーカ部24が設けられている。
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部25と下側膨出部26とが上下に並設されている。上側膨出部25内側には上方に開口した上皿25aが設けられており、下側膨出部26内側には同じく上方に開口した下皿26aが設けられている。上皿25aは、裏パックユニットに設けられた払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿26aは、上皿25a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
前扉枠14において下皿26aの右方には、発射ハンドル27が設けられている。発射ハンドル27が操作されることにより、内枠において遊技領域の下方に設けられた遊技球発射機構から遊技領域に向けて遊技球が発射される。この場合、発射ハンドル27の回転操作量を変更することで、遊技領域に向けて発射される遊技球の発射強度、すなわち発射の勢いが変更される。
遊技領域は、内枠に搭載された遊技盤31に形成されている。以下、遊技盤31の構成を図2に基づいて説明する。図2(a)は遊技盤31の正面図であり、図2(b)は遊技盤31に設けられた第1可変入賞装置36を説明するための縦断面図であり、図2(c)は遊技盤31に設けられた第2可変入賞装置37を説明するための縦断面図である。
遊技盤31の表面には、内レール部32と外レール部33とが取り付けられており、これら内レール部32及び外レール部33によって区画されるようにして遊技領域が形成されている。また、これら内レール部32及び外レール部33により遊技領域への遊技球の誘導レール34が構成され、遊技者が発射ハンドル27を回転操作したことにより遊技球発射機構から発射された遊技球は上記誘導レール34によって遊技領域の上部に案内される。
誘導レール34は、その出口部分が遊技領域の一方の側部において遊技領域の上部中央を向くようにして形成されている。そのため、遊技者による発射ハンドル27の回転操作量が大きくなるにしたがって、遊技領域の上部における遊技球の到達位置は、誘導レール34の出口部分が形成された側部の側からその反対側の側部の側へとシフトしていく。なお、誘導レール34の出口部分は、遊技領域の左側の側部に設けられている。
遊技盤31において遊技領域として区画される範囲には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口35,第1可変入賞装置36,第2可変入賞装置37,上作動口(第1始動入球部)38,下作動口(第2始動入球部)39,スルーゲート41、可変表示ユニット42、メイン表示部43及び役物用表示部44等がそれぞれ設けられている。
一般入賞口35、第1可変入賞装置36、第2可変入賞装置37、上作動口38及び下作動口39への入球が発生すると、それが遊技盤31の背面側に配設された検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。この場合、上作動口38への入球が発生した場合及び下作動口39への入球が発生した場合には3個の賞球の払い出しが実行され、一般入賞口35への入球が発生した場合には10個の賞球の払い出しが実行され、第1可変入賞装置36への入球が発生した場合及び第2可変入賞装置37への入球が発生した場合には15個の賞球の払い出しが実行される。但し、これら賞球の個数は任意であり、例えば上作動口38に係る賞球個数よりも下作動口39に係る賞球個数が多いといったように、両作動口38,39の賞球個数が相違していてもよい。また、例えば第1可変入賞装置36に係る賞球個数よりも第2可変入賞装置37に係る賞球個数が多い、又は第2可変入賞装置37に係る賞球個数よりも第1可変入賞装置36に係る賞球個数が多いといったように、両可変入賞装置36,37の賞球個数が相違していてもよい。
その他に、遊技盤31の最下部にはアウト口45が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口45を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤31には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘46が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域から排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域から排出されずに当該遊技領域の流下を継続する態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口45への遊技球の入球と明確に区別するために、第1可変入賞装置36、第2可変入賞装置37、上作動口38、下作動口39又はスルーゲート41への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
上作動口38及び下作動口39は、作動口装置としてユニット化されて遊技盤31に設置されている。上作動口38及び下作動口39は共に上向きに開放されている。また、上作動口38が上方となるようにして両作動口38,39は鉛直方向に並んでいる。下作動口39には、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物39aが設けられている。
電動役物39aは遊技盤31の背面側に搭載された電動役物駆動部39bに連結されており、当該電動役物駆動部39bにより駆動されて閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)及び開放状態(サポート状態又はガイド状態)のいずれかに配置される。電動役物39aの閉鎖状態では遊技球が下作動口39に入賞できず、電動役物39aが開放状態となることで下作動口39への入賞が可能となる。
なお、これに限定されず、下作動口39への遊技球の入賞が発生し易い状態と、入賞が不可ではないが上記入賞が発生し易い状態よりも入賞が発生しづらい状態とに、電動役物39aが切り換えられる構成としてもよい。また、電動役物39aを不具備とし、入賞が発生し易い状態とそれよりも入賞が発生しづらい状態との間の切り換えが、下作動口39自身の変位により行われる構成としてもよい。
メイン表示部43及び役物用表示部44は、遊技領域の下部側の外縁に沿って配設された装飾部材47に設けられている。装飾部材47は、遊技盤31の盤面からパチンコ機10前方に延出している。より具体的には、装飾部材47の前面は、遊技領域をパチンコ機10前方から視認可能とするために前扉枠14に設けられた窓パネル22と対向しており、さらに窓パネル22との間の距離は遊技球1個分よりも狭くなっている。これにより、装飾部材47の前面の前方を遊技球が落下していくのが防止されている。
装飾部材47の前面から露出するようにしてメイン表示部43及び役物用表示部44が設けられている。つまり、メイン表示部43及び役物用表示部44は、前扉枠14の窓パネル22を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら両表示部43,44の前方を遊技球が落下していくのが防止されている。
メイン表示部43では、上作動口38又は下作動口39への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口38又は下作動口39への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。つまり、本パチンコ機10では、上作動口38への入賞と下作動口39への入賞とが内部抽選において区別されておらず、上作動口38又は下作動口39への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が共通の表示領域であるメイン表示部43にて明示される。そして、上作動口38又は下作動口39への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、メイン表示部43にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードであり、当該開閉実行モードでは第1可変入賞装置36及び第2可変入賞装置37が所定の態様で開閉され、これら可変入賞装置36,37への入賞に基づき遊技球の払い出しが実行される。
なお、メイン表示部43は、複数のセグメント発光部が所定の態様で配列されてなるセグメント表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT、ドットマトリックス等その他のタイプの表示装置によって構成されていてもよい。また、メイン表示部43にて変動表示される絵柄としては、複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成などが考えられる。
役物用表示部44では、スルーゲート41への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート41への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート41への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用表示部44にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口39に設けられた電動役物39aが所定の態様で開放状態となる。
可変表示ユニット42には、絵柄の一種である図柄を変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)する図柄表示装置51が設けられている。また、可変表示ユニット42には、図柄表示装置51を囲むようにしてセンターフレーム52が配設されている。このセンターフレーム52は、その上部がパチンコ機10前方に延出している。これにより、図柄表示装置51の表示画面Gの前方を遊技球が落下していくのが防止されており、遊技球の落下により表示画面Gの視認性が低下するといった不都合が生じない構成となっている。
図柄表示装置51は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置51は、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった他の表示装置であってもよい。
図柄表示装置51では、上作動口38又は下作動口39への入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。すなわち、メイン表示部43において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置51において変動表示が行われる。
図柄表示装置51では、複数の表示領域として、上段・中段・下段の3つの図柄列が設定されており、各図柄列にはそれぞれキャラクタを模した複数の図柄が配列されている。そして、図柄表示装置51において図柄の変動表示を開始する場合には全図柄列において図柄の変動表示を開始し、遊技結果が大当たり結果となる遊技回では、図柄表示装置51において予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示される。
なお、図柄表示装置51における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、図柄表示装置51にて変動表示される絵柄は上記のような図柄に限定されることはなく、例えば絵柄として数字のみが変動表示される構成としてもよい。
また、いずれかの作動口38,39への入賞に基づいて、メイン表示部43及び図柄表示装置51にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
センターフレーム52の前面側における左下側の領域には、メイン表示部43及び図柄表示装置51に対応した第1保留ランプ部53が設けられている。遊技球が上作動口38又は下作動口39に入賞した個数は最大4個まで保留され、第1保留ランプ部53の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。また、センターフレーム52の前面側における右下側には、役物用表示部44に対応した第2保留ランプ部54が設けられている。遊技球がスルーゲート41を通過した回数は最大4回まで保留され、第2保留ランプ部54の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、各保留ランプ部53〜54が図柄表示装置51の一部で表示される構成等であってもよい。
遊技領域の右下側に設けられた第1可変入賞装置36は、図2(b)に示すように、遊技盤31の背面側へと通じる第1大入賞口36aを備えているとともに、当該第1大入賞口36aを開閉する第1開閉扉36bを備えている。
第1開閉扉36bは第1可変入賞装置36として一体的に設けられた第1可変入賞駆動部36cに連結されており(連結箇所については図示略)、当該第1可変入賞駆動部36cにより駆動されて、閉鎖状態及び開放状態のいずれかに配置される。具体的には、通常は遊技球が入賞できない閉鎖状態になっており、内部抽選において開閉実行モードへの移行に当選した場合に遊技球が入賞可能な開放状態に切り換えられるようになっている。
また、第1可変入賞装置36には、第1大入賞口36aを介して第1可変入賞装置36に入賞した遊技球が必ず通過する位置に第1入賞用通過部36dが形成されており、さらに当該第1入賞用通過部36dの位置に検知部が存在するようにして第1大入賞口検知センサ36eが設けられている。当該第1大入賞口検知センサ36eによって第1可変入賞装置36に入賞した遊技球が個別に検知される。なお、第1大入賞口検知センサ36eとしては、電磁誘導型の近接センサが用いられているが、遊技球の入賞を個別に検知できるのであれば使用するセンサは任意である。
第1可変入賞装置36に対して左下の位置に設けられた第2可変入賞装置37は、図2(c)に示すように、遊技盤31の背面側へと通じる第2大入賞口37aを備えているとともに、当該第2大入賞口37aを開閉する第2開閉扉37bを備えている。
第2開閉扉37bは第2可変入賞装置37として一体的に設けられた第2可変入賞駆動部37cに連結されており(連結箇所については図示略)、当該第2可変入賞駆動部37cにより駆動されて、閉鎖状態及び開放状態のいずれかに配置される。具体的には、通常は遊技球が入賞できない閉鎖状態になっており、内部抽選において開閉実行モードへの移行に当選した場合に遊技球が入賞可能な開放状態に切り換えられるようになっている。
また、第2可変入賞装置37には、第2大入賞口37aを介して第2可変入賞装置37に入賞した遊技球が必ず通過する位置に第2入賞用通過部37dが形成されており、さらに当該第2入賞用通過部37dの位置に検知部が存在するようにして第2大入賞口検知センサ37eが設けられている。当該第2大入賞口検知センサ37eによって第2可変入賞装置37に入賞した遊技球が個別に検知される。なお、第2大入賞口検知センサ37eとしては、磁気検知センサが用いられているが、遊技球の入賞を個別に検知できるのであれば使用するセンサは任意である。
第1可変入賞装置36及び第2可変入賞装置37の遊技領域内における位置について説明する。
可変表示ユニット42は、その上下左右において遊技球の流下領域が確保されるように、遊技領域の中央側に配置されている。つまり、遊技領域には、遊技球の流下領域として、可変表示ユニット42の上方の流下領域31a、可変表示ユニット42の下方の流下領域31b、可変表示ユニット42の左方の流下領域31c及び可変表示ユニット42の右方の流下領域31dが存在する。なお、可変表示ユニット42の一部を構成するセンターフレーム52は、その上部から左右両側に亘る部分を構成する屋根ユニット56がパチンコ機10前方に延出しているため、センターフレーム52の下部に設けられたステージ57に導入される遊技球を除いて、遊技領域を流下する遊技球が可変表示ユニット42を横断又は縦断することはない。
第1可変入賞装置36は、上記のとおり遊技領域の右下側に設けられており、この位置は右方の流下領域31d、又は右方の流下領域31dと下方の流下領域31bとの間に該当する。また、第2可変入賞装置37は、上記のとおり第1可変入賞装置36の左下の位置に設けられており、この位置は下方の流下領域31bにおいて右方の流下領域31d寄りの位置に該当する。
遊技球発射機構から発射され上方の流下領域31aにおいて、横方向の中央よりも誘導レール34の反対側、すなわち右側から流下し始めた遊技球は、第1可変入賞装置36に向けて流下することが可能であるとともに、第2可変入賞装置37に向けて流下することが可能である。その一方、遊技球発射機構から発射され上方の流下領域31aにおいて、横方向の中央よりも誘導レール34側、すなわち左側から流下し始めた遊技球は、ステージ57への流入を介さない限り、基本的に第1可変入賞装置36に向けて流下することが不可であるとともに第2可変入賞装置37に向けて流下することが不可である。
上記のように第1可変入賞装置36及び第2可変入賞装置37が設けられていることにより、右方の流下領域31dを遊技球が流下するように遊技者が発射ハンドル27を操作している場合には、第1可変入賞装置36への入賞を発生させることが可能であるとともに、第2可変入賞装置37への入賞を発生させることも可能である。つまり、第1可変入賞装置36への入賞を狙う場合と第2可変入賞装置37への入賞を狙う場合とで、発射ハンドル27の操作を変更する必要がない。
ここで、従来のパチンコ機では、開閉実行モードとなった場合に開閉される可変入賞装置は、上作動口38及び下作動口39の下方に設けられていた。したがって、誘導レール34により誘導されて上方の流下領域31aに到達した遊技球が可変入賞装置に到達するまでには多数の障害物が存在し、さらに到達するとしても遊技球の発射タイミングに対してある程度の時間を要する。これに対して、第1可変入賞装置36及び第2可変入賞装置37が上記の位置に設けられた構成においては、第1可変入賞装置36又は第2可変入賞装置37に向けて流下する遊技球にとっては少なくとも上作動口38及び下作動口39が障害物とならない。よって、第1可変入賞装置36又は第2可変入賞装置37が開放された場合にはそれへの入賞が発生し易くなり、さらに発射タイミングに対して入賞が発生するまでの時間を従来よりも短くすることができる。
また、図2(a)及び図2(b)に示すように、遊技盤31には第1可変入賞装置36の下方に第1ガイドプレート58が設けられている。第1ガイドプレート58は、その上面が第2可変入賞装置37側に向けて下り傾斜となっている。これにより、第1大入賞口36aが閉鎖されている状況において第1可変入賞装置36の前方を通過した遊技球は、第1ガイドプレート58上に載るとともに当該第1ガイドプレート58上を流下することで、第2可変入賞装置37側に誘導されることとなる。よって、第2可変入賞装置37が第1可変入賞装置36よりも遊技球の流下方向の先側に設けられている構成であっても、第1可変入賞装置36への入賞に比べて第2可変入賞装置37への入賞が発生しづらい状態となることはなく、第1可変入賞装置36及び第2可変入賞装置37のいずれについても入賞を発生し易くすることが可能となる。
ちなみに、遊技盤31には第2可変入賞装置37の下方にも第2ガイドプレート59が設けられている。第2ガイドプレート59は、その上面が下作動口39側に向けて下り傾斜となっている。これにより、開閉実行モードではない状況といったように第2大入賞口37aが閉鎖されている状況において第2可変入賞装置37の前方を通過した遊技球は、第2ガイドプレート59上に載るとともに当該第2ガイドプレート59上を流下することで、下作動口39側に誘導されることとなる。よって、下作動口39の電動役物39aが開放状態となり易い状態となる後述する高頻度サポートモードでは、右方の流下領域31dを流下するように遊技球の発射操作を行うことで、左方の流下領域31cを流下するように遊技球の発射操作を行う構成に比べて、下作動口39への入賞を発生し易くすることが可能となる。
但し、左方の流下領域31cを遊技球が流下した場合と右方の流下領域31dを遊技球が流下した場合とで下作動口39への入賞のし易さに差異を与えないようにする上では、第2ガイドプレート59を不具備としてもよい。また、釘46を含めた流下方向の分散用部材の配置態様などによって右方の流下領域31dを遊技球が流下した場合の方が、左方の流下領域31cを遊技球が流下した場合よりも下作動口39への入賞が発生しづらい構成としてもよい。
<電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図3のブロック図に基づき説明する。
内枠の背面側には、主制御装置60と、音声発光制御装置90と、表示制御装置100とが搭載されている。また、内枠の背面には既に説明したとおり裏パックユニットが設けられており、当該裏パックユニットには、払出装置71を含む払出機構部と、払出制御装置70と、電源及び発射制御装置80とが搭載されている。
主制御装置60は、遊技の主たる制御を司る主制御基板61と、電源を監視する停電監視基板65と、を具備している。なお、主制御装置60において主制御基板61などを収容する基板ボックスに対して、その開放の痕跡を残すための痕跡手段を付与する又はその開放の痕跡を残すための痕跡構造を設けてもよい。当該痕跡手段としては、基板ボックスを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともにその分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)の構成や、引き剥がしに際して粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成が考えられる。また、痕跡構造としては、基板ボックスを構成する複数のケース体間の境界に対して接着剤を塗布する構成が考えられる。
主制御基板61には、MPU62が搭載されている。MPU62には、当該MPU62により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM63と、そのROM63内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRWM64と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。なお、MPU62に対してROM63及びRWM64が1チップ化されていることは必須の構成ではなく、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。
MPU62には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU62の入力側には、主制御装置60に設けられた停電監視基板65及び払出制御装置70が接続されている。この場合に、停電監視基板65には動作電力を供給する機能を有する電源及び発射制御装置80が接続されており、MPU62には停電監視基板65を介して電力が供給される。
また、MPU62の入力側には、各種センサが接続されている。各種センサには、第1可変入賞装置36に設けられた第1大入賞口検知センサ36eと、第2可変入賞装置37に設けられた第2大入賞口検知センサ37eと、その他入賞検知センサ35a,35b,38a,39c,41a,41bとが含まれている。この場合、その他入賞検知センサには、各一般入賞口35に1対1で対応させて設けられた第1入賞口検知センサ35a及び第2入賞口検知センサ35bと、上作動口38に対応させて設けられた上作動口検知センサ38aと、下作動口39に対応させて設けられた下作動口検知センサ39cと、各スルーゲート41に対応させて設けられた第1ゲート検知センサ41a及び第2ゲート検知センサ41bと、が含まれている。MPU62では、これら入賞検知センサ35a,35b,36e,37e,38a,39c,41a,41bの検知結果に基づいて、各入球部への入賞判定(入球判定)を行う。また、MPU62では、上作動口38又は下作動口39への入賞に基づいて各種抽選を実行する。
MPU62の出力側には、停電監視基板65、払出制御装置70及び音声発光制御装置90が接続されている。払出制御装置70には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。
音声発光制御装置90には、変動用コマンド、種別コマンド及びオープニングコマンドなどの各種コマンドが出力される。これら各種コマンドの詳細については、後に説明する。ちなみに、音声発光制御装置90は、信号線の両端にコネクタが設けられたコネクタユニット(接続ユニット)を介して主制御装置60と電気的に接続されている。
また、MPU62の出力側には、第1可変入賞装置36の第1開閉扉36bを開閉動作させる第1可変入賞駆動部36cと、第2可変入賞装置37の第2開閉扉37bを開閉動作させる第2可変入賞駆動部37cと、下作動口39の電動役物39aを開閉動作させる電動役物駆動部39bと、メイン表示部43と、役物用表示部44とが接続されている。主制御基板61には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU62は各種駆動部の駆動制御を実行する。
つまり、開閉実行モードにおいては第1大入賞口36aや第2大入賞口37aが開閉されるように、MPU62にて第1可変入賞駆動部36cや第2可変入賞駆動部37cの駆動制御が実行される。また、電動役物39aの開放状態当選となった場合には、電動役物39aが開閉されるように、MPU62にて電動役物駆動部39bの駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、MPU62においてメイン表示部43の表示制御が実行される。また、電動役物39aを開放状態とするか否かの抽選結果を明示する場合に、MPU62において役物用表示部44の表示制御が実行される。
停電監視基板65は、主制御基板61と電源及び発射制御装置80とを中継し、また電源及び発射制御装置80から出力される直流安定24ボルトの電圧を監視する。払出制御装置70は、主制御装置60から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置71により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
電源及び発射制御装置80は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板61や払出制御装置70等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を供給する。ちなみに、電源及び発射制御装置80にはバックアップ用コンデンサなどの電断時用電源部が設けられており、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合であっても当該電断時用電源部から主制御装置60のRWM64に記憶保持用の電力が供給される。
また、電源及び発射制御装置80は遊技球発射機構81の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構81は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。この場合、遊技球発射機構81は、遊技盤31の誘導レール34に向けて延びる発射レールと、上皿25aに貯留されている遊技球を発射レール上に供給する球送り装置と、発射レール上に供給された遊技球を誘導レール34に向けて発射させる電動アクチュエータであるソレノイドと、を備えており、当該ソレノイドに対して電源及び発射制御装置80から駆動信号が供給されることで遊技球が発射される。
音声発光制御装置90は、主制御装置60から入力した各種コマンドに基づいて、各種ランプ部23,53〜54及びスピーカ部24を駆動制御するとともに、表示制御装置100を制御するものである。表示制御装置100では、音声発光制御装置90から入力したコマンドに基づいて図柄表示装置51の表示制御を実行する。
<MPU62にて各種抽選を行うための電気的構成>
次に、MPU62にて各種抽選を行うための電気的な構成について、図4を用いて説明する。
MPU62は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、メイン表示部43の表示の設定、図柄表示装置51の図柄表示の設定、役物用表示部44の表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図4に示すように、大当たり発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置51が外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、メイン表示部43及び図柄表示装置51における表示継続時間を決定する変動種別カウンタCSと、を用いることとしている。さらに、下作動口39の電動役物39aを電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。なお、上記各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、RWM64の各種カウンタエリア64bに設けられている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新される。大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、上作動口38又は下作動口39への入賞が発生した場合に、RWM64に取得情報記憶手段として設けられた保留格納エリア64aに格納される。
保留格納エリア64aは、保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留用エリアREは、第1保留エリアRE1、第2保留エリアRE2、第3保留エリアRE3及び第4保留エリアRE4を備えており、上作動口38又は下作動口39への入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかの保留エリアRE1〜RE4に格納される。なお、保留情報として、変動種別カウンタCSの数値情報も合わせて格納される構成としてもよい。
この場合、第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4には、上作動口38又は下作動口39への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1保留エリアRE1→第2保留エリアRE2→第3保留エリアRE3→第4保留エリアRE4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように4つの保留エリアRE1〜RE4が設けられていることにより、上作動口38又は下作動口39への遊技球の入賞履歴が最大4個まで保留記憶されるようになっている。
なお、保留記憶可能な数は、4個に限定されることはなく任意であり、2個、3個又は5個以上といったように他の複数であってもよく、単数であってもよい。
実行エリアAEは、メイン表示部43の変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
上記各カウンタについて詳細に説明する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、その更新後の数値情報は遊技球が上作動口38又は下作動口39に入賞したタイミングで保留格納エリア64aに格納される。
大当たり当選となる乱数の値は、ROM63における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリア63aに当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。当否テーブルとしては、低確率モード用の当否テーブル(低確率用当否情報群)と、高確率モード用の当否テーブル(高確率用当否情報群)とが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モード(低確率状態)と高確率モード(高確率状態)とが設定されている。
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は2個である。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は20個である。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数は任意である。
大当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が上作動口38又は下作動口39に入賞したタイミングで保留格納エリア64aに格納される。
本パチンコ機10では、複数の大当たり結果が設定されている。これら複数の大当たり結果は、(1)開閉実行モードにおける可変入賞装置36,37の開閉制御の態様、(2)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における抽選モード、(3)開閉実行モード終了後の下作動口39の電動役物39aにおけるサポートモード、という3つの条件に差異を設けることにより、複数の大当たり結果が設定されている。
開閉実行モードにおける可変入賞装置36,37の開閉制御の態様としては、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置36,37への入賞の発生頻度が相対的に高低となるように高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとが設定されている。具体的には、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードのいずれであっても、予め定められた回数のラウンド遊技を上限として実行される。
ここで、ラウンド遊技とは、予め定められた上限継続時間(上限継続期間)が経過すること、及び予め定められた上限個数の遊技球が開放対象となっている大入賞口36a,37aに入賞することのいずれか一方の条件が満たされるまで継続する遊技のことである。また、大当たり結果が契機となった開閉実行モードにおけるラウンド遊技の回数は、その移行の契機となった大当たり結果の種類がいずれであっても固定ラウンド回数で同一となっている。具体的には、いずれの大当たり結果となった場合であっても、ラウンド遊技の上限回数は14ラウンドに設定されている。
また、本パチンコ機10では、可変入賞装置36,37の1回の開放態様が、大入賞口36a,37aが開放されてから閉鎖されるまでの開放継続時間(開放継続期間)を相違させて、複数種類設定されている。詳細には、開放継続時間が長時間である30secに設定された長時間態様(長期間態様)と、開放継続時間が上記長時間よりも短い短時間である0.6secに設定された短時間態様(短期間態様)と、が設定されている。
本パチンコ機10では、発射ハンドル27が遊技者により操作されている状況では、0.6secに1個の遊技球が遊技領域に向けて発射されるように遊技球発射機構81が駆動制御される。また、ラウンド遊技は終了条件の上限個数が9個に設定されている。そうすると、上記開放態様のうち長時間態様では、遊技球の発射周期と1回のラウンド遊技における上限個数との積よりも長い時間の開放継続時間が設定されていることとなる。一方、短時間態様では、遊技球の発射周期と1回のラウンド遊技における上限個数との積よりも短い時間、より詳細には、遊技球の発射周期と同一の時間となる開放継続時間が設定されている。したがって、長時間態様で可変入賞装置36,37の1回の開放が行われた場合には、大入賞口36a,37aに対して、1回のラウンド遊技における上限個数分の入賞が発生することが期待され、短時間態様で可変入賞装置36,37の1回の開放が行われた場合には、大入賞口36a,37aへの入賞が発生しないこと又は入賞が発生するとしても1個程度となることが期待される。
高頻度入賞モードでは、各ラウンド遊技において長時間態様による第1大入賞口36a又は第2大入賞口37aの開放が1回行われる。一方、低頻度入賞モードでは、各ラウンド遊技において短時間態様による第1大入賞口36a又は第2大入賞口37aの開放が1回行われる。
なお、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードにおける大入賞口36a,37aの開閉回数、ラウンド遊技の回数、1回の開放に対する開放継続時間及び1回のラウンド遊技における上限個数は、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置36,37への入賞の発生頻度が高くなるのであれば、上記の値に限定されることはなく任意である。
下作動口39の電動役物39aにおけるサポートモードとしては、遊技領域に対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口39の電動役物39aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)と低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)とが設定されている。
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に電動役物39aが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり電動役物39aの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間として短い時間が選択されるように設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口39への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口39よりも上作動口38への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口38よりも下作動口39への入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口39への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート41への入賞に基づき役物用表示部44にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする(すなわち、役物用表示部44における1回の変動表示時間を短くする)、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM63における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリア63bに振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。そして、かかる振分先として、低確大当たり結果(低確率対応特別遊技結果)と、低入賞高確大当たり結果(明示高確率対応遊技結果又は突然確変状態となる結果)と、最有利大当たり結果(高確率対応特別遊技結果)とが設定されている。
低確大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。
低入賞高確大当たり結果は、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
最有利大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
なお、上記各遊技状態との関係で通常遊技状態とは、開閉実行モードではなく、さらに当否抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態をいう。また、遊技結果として、低入賞高確大当たり結果が設定されていない構成としてもよい。
振分テーブルでは、「0〜29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0〜9」が低確大当たり結果に対応しており、「10〜14」が低入賞高確大当たり結果に対応しており、「15〜29」が最有利大当たり結果に対応している。
なお、高確大当たり結果の一種として、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードがそれまでのモードに維持されることとなる非明示の低入賞高確大当たり結果(非明示高確率対応遊技結果又は潜伏確変状態となる結果)が含まれていてもよい。この場合、大当たり結果のさらなる多様化が図られる。
さらにまた、当否抽選における外れ結果の一種として、低頻度入賞モードの開閉実行モードに移行するとともに、その終了後において当否抽選モード及びサポートモードの移行が発生しない特別外れ結果が含まれていてもよい。上記のような非明示の低入賞高確大当たり結果と当該特別外れ結果との両方が設定されている構成においては、開閉実行モードが低頻度入賞モードに移行すること、及びサポートモードがそれまでのモードに維持されることで共通しているのに対して、当否抽選モードの移行態様が異なっていることにより、例えば通常遊技状態において非明示の低入賞高確大当たり結果又は特別外れ結果の一方が発生した場合に、それが実際にいずれの結果に対応しているのかを遊技者に予測させることが可能となる。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が上作動口38又は下作動口39に入賞したタイミングで保留格納エリア64aに格納される。
ここで、本パチンコ機10には、図柄表示装置51における表示演出の一種としてリーチ表示が設定されている。リーチ表示とは、図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)を行うことが可能な図柄表示装置51を備え、可変入賞装置36,37の開閉実行モードが高頻度入賞モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、図柄表示装置51における図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
リーチ表示には、図柄表示装置51の表示画面に表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画像において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示画面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
リーチ表示は、高頻度入賞モードとなる開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行される。また、開閉実行モードに移行しない遊技回では、ROM63のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルを参照して、所定のタイミングで取得したリーチ乱数カウンタC3がリーチ表示の発生に対応している場合に実行される。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、メイン表示部43における変動表示時間(表示継続期間)と、図柄表示装置51における図柄の変動表示時間(表示継続期間)とをMPU62において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述するメイン処理及びタイマ割込み処理のそれぞれにて更新され、メイン表示部43における変動表示の開始時及び図柄表示装置51による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSの値が取得される。なお、変動表示時間の決定に際しては、ROM63の変動表示時間テーブル記憶エリア(変動表示時間情報記憶手段)に予め記憶されている変動表示時間テーブル(変動表示時間情報群)が参照される。
電動役物開放カウンタC4は、例えば、0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート41に遊技球が入賞したタイミングでRWM64に設けられた電役保留エリア64cに格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって電動役物39aを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。
<MPU62にて実行される各種処理について>
次に、MPU62にて遊技を進行させるために実行される各処理を説明する。かかるMPU62の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に起動されるタイマ割込み処理とがある。
<メイン処理>
先ず、図5のフローチャートを参照しながらメイン処理を説明する。
先ずステップS101では、電源投入ウェイト処理を実行する。当該電源投入ウェイト処理では、例えばメイン処理が起動されてから1secが経過するまで次の処理に進行することなく待機する。続くステップS102ではRWM64のアクセスを許可するとともに、ステップS103にてMPU62の内部機能レジスタの設定を行う。
その後、ステップS104では、電源及び発射制御装置80に設けられたRWM消去スイッチが手動操作されているか否かを判定し、続くステップS105では、RWM64の停電フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。また、ステップS106ではチェックサムを算出するチェックサム算出処理を実行し、続くステップS107ではそのチェックサムが電源遮断時に保存したチェックサムと一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。
本パチンコ機10では、例えば遊技ホールの営業開始時など、電源投入時にRWMデータを初期化する場合にはRWM消去スイッチを押しながら電源が投入される。したがって、RWM消去スイッチが押されていれば、ステップS108の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、チェックサムにより記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS108の処理に移行する。ステップS108では、RWM64の初期化として当該RWM64をクリアする。その後、ステップS109に進む。
一方、RWM消去スイッチが押されていない場合には、停電フラグに「1」がセットされていること、及びチェックサムが正常であることを条件に、ステップS108の処理を実行することなくステップS109に進む。ステップS109では、電源投入設定処理を実行する。電源投入設定処理では、停電フラグの初期化といったRWM64の所定のエリアを初期値に設定するとともに、現状の遊技状態を認識させるために現状の遊技状態に対応したコマンドを音声発光制御装置90に送信する。また、払出制御装置70のRWMの初期化を実行すべきことを示す払出初期化コマンドを払出制御装置70に送信する。さらに、タイマ割込み処理の発生を許可するために割込み許可の設定を行う。
その後、ステップS110〜ステップS113の残余処理に進む。つまり、MPU62はタイマ割込み処理を定期的に実行する構成であるが、1のタイマ割込み処理と次のタイマ割込み処理との間に残余時間が生じることとなる。この残余時間は各タイマ割込み処理の処理完了時間に応じて変動することとなるが、かかる不規則な時間を利用してステップS110〜ステップS113の残余処理を繰り返し実行する。この点、当該ステップS110〜ステップS113の残余処理は非定期的に実行される非定期処理であると言える。
残余処理では、先ずステップS110にて、タイマ割込み処理の発生を禁止するために割込み禁止の設定を行う。続くステップS111では、乱数初期値カウンタCINIの更新を行う乱数初期値更新処理を実行するとともに、ステップS112にて変動種別カウンタの更新を行う変動用カウンタ更新処理を実行する。これらの更新処理では、RWM64の対応するカウンタから現状の数値情報を読み出し、その読み出した数値情報を1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。その後、ステップS113にて、タイマ割込み処理の発生を禁止している状態から許可する状態へ切り換える割込み許可の設定を行う。ステップS113の処理を実行したら、ステップS110に戻り、ステップS110〜ステップS113の処理を繰り返す。
<タイマ割込み処理>
次に、図6のフローチャートを参照しながらタイマ割込み処理を説明する。
ここで、MPU62にてタイマ割込み処理を定期的に実行するためのハード構成について説明する。主制御基板61には所定周期でパルス信号を出力するパルス信号出力手段としてクロック回路が設けられており、さらに当該クロック回路とMPU62との間の信号経路の途中位置に存在するように分周回路が設けられている。
分周回路は、クロック回路からのパルス信号の周期を変更する周波数変更手段として機能し、タイマ割込み処理の起動タイミングをMPU62にて特定するためのパルス信号を出力するように構成されている。つまり、分周回路からMPU62に対して特定周期である4msec周期の間隔でパルス信号が供給されるようになっている。MPU62では、かかるパルス信号の立ち上がり又は立下りといった特定の信号形態の発生を確認する処理を実行し、特定の信号形態の発生を確認したことを少なくとも一の条件としてタイマ割込み処理を起動して実行する。
この場合、タイマ割込み処理の起動が禁止されている状況において上記特定の信号形態の発生を確認した場合には、その割込みが禁止されている状態から割込みが許可された状態となった場合にタイマ割込み処理が起動される。つまり、MPU62における処理の実行状況によっては前回のタイマ割込み処理が開始されてから4.1msec経過後に次のタイマ割込み処理が開始される場合が生じ、このような事象が発生した場合には次のタイマ割込み処理は直前のタイマ割込み処理が開始されてから3.9msec経過後に開始されることとなる。
但し、上記分周回路からのパルス信号の出力はMPU62における処理の経過内容に関係なく4msecといった特定周期で行われるため、基本的にはタイマ割込み処理は特定周期で起動される。さらにまた、MPU62の処理構成は、所定のタイミングにおけるタイマ割込み処理が前回のタイマ割込み処理が起動されてから特定周期を超える期間が経過した後に起動されたとしても、当該所定のタイミングの次のタイミングにおけるタイマ割込み処理にてその特定周期を超えた分が吸収されて、さらに次のタイミングにおけるタイマ割込み処理ではパルス信号の入力を確認したタイミングで起動されるように設定されている。
さて、タイマ割込み処理では、先ずステップS201にて停電情報記憶処理を実行する。停電情報記憶処理では、停電監視基板65から電源遮断の発生に対応した停電信号を受信しているか否かを監視し、停電の発生を特定した場合には停電時処理を実行する。
続くステップS202では抽選用乱数更新処理を実行する。抽選用乱数更新処理では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4から現状の数値情報を順次読み出し、それら読み出した数値情報をそれぞれ1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。
その後、ステップS203ではステップS111と同様に乱数初期値更新処理を実行するとともに、ステップS204にてステップS112と同様に変動用カウンタ更新処理を実行する。続くステップS205では、遊技停止判定処理を実行する。遊技停止判定処理では、遊技の進行を停止すべき状況であるか否かを監視し、遊技の進行を停止すべき状況であれば遊技を進行させるための処理の実行を停止する。
その後、ステップS206では遊技の進行を停止している状態であるか否かを判定し、遊技の進行を停止していない状態であることを条件に、ステップS207以降の処理を実行する。
ステップS207では、ポート出力処理を実行する。ポート出力処理では、前回のタイマ割込み処理において出力情報の設定が行われている場合に、その出力情報に対応した出力を各種駆動部36c,37c,39bに行うための処理を実行する。例えば、第1大入賞口36aを開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には第1可変入賞駆動部36cへの駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。また、第2大入賞口37aを開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には第2可変入賞駆動部37cへの駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。また、下作動口39の電動役物39aを開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には電動役物駆動部39bへの駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。
続くステップS208では、読み込み処理を実行する。読み込み処理では、停電信号及び入賞信号以外の信号の読み込みを実行し、その読み込んだ情報を今後の処理にて利用するために記憶する。
続くステップS209では入賞検知処理を実行する。当該入賞検知処理では、各入賞検知センサ35a〜41bから受信している信号を読み込むとともに、一般入賞口35、第1大入賞口36a、第2大入賞口37a,上作動口38、下作動口39及びスルーゲート41への入賞の有無を特定する処理を実行する。入賞検知処理の詳細については後に説明する。
続くステップS210では、RWM64に設けられている複数種類のタイマカウンタの数値情報をまとめて更新するためのタイマ更新処理を実行する。この場合、記憶されている数値情報が減算されて更新されるタイマカウンタを集約して扱う構成であるが、減算式のタイマカウンタの更新及び加算式のタイマカウンタの更新の両方を集約して行う構成としてもよい。
続くステップS211では、不正用の監視対象として設定されている所定の事象が発生しているか否かを監視する不正検知処理を実行する。当該不正検知処理では、複数種類の事象の発生を監視し、所定の事象が発生していることを確認することで、次回のタイマ割込み処理における上記ステップS205にて遊技停止用の設定を行い、ステップS206にて肯定判定するようになる。
続くステップS212では、遊技球の発射制御を行うための発射制御処理を実行する。発射ハンドル27に対して発射操作が継続されている状況では、既に説明したとおり、所定の発射周期である0.6secに1個の遊技球が発射される。
続くステップS213では、入力状態監視処理として、ステップS208の読み込み処理にて読み込んだ情報に基づいて、各入賞検知センサ35a〜41bの断線確認や、遊技機本体12や前扉枠14の開放確認を行う。
続くステップS214では、遊技回の実行制御及び開閉実行モードの実行制御を行うための特図特電制御処理を実行する。当該特図特電制御処理では、保留格納エリア64aに記憶されている保留情報の数が上限数未満である状況で上作動口38又は下作動口39への入賞が発生した場合に、その時点における大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報を保留情報として、保留格納エリア64aに時系列的に格納していく処理を実行する。
また、特図特電制御処理では、保留情報が記憶されている場合にその保留情報に対して内部抽選を行うとともにその内部抽選結果を遊技回用の演出の実行により報知するための遊技回制御処理を実行する。また、上記内部抽選結果に応じた遊技状態の移行を行うための遊技状態移行処理を実行する。これら遊技回制御処理及び遊技状態移行処理については、後に説明する。
タイマ割込み処理においてステップS214の特図特電制御処理を実行した後は、ステップS215にて普図普電制御処理を実行する。普図普電制御処理では、スルーゲート41への入賞が発生している場合に普図側の保留情報を取得するための処理を実行するとともに、普図側の保留情報が記憶されている場合にその保留情報について開放判定を行い、さらにその開放判定を契機として普図用の演出を行うための処理を実行する。また、開放判定の結果に基づいて、下作動口39の電動役物39aを開閉させる処理を実行する。
続くステップS216では、直前のステップS214及びステップS215の処理結果に基づいて、メイン表示部43に係る保留情報の増減個数を第1保留ランプ部53に反映させるための出力情報の設定を行うとともに、役物用表示部44に係る保留情報の増減個数を第2保留ランプ部54に反映させるための出力情報の設定を行う。
続くステップS217では、遊技回及び開閉実行モードのいずれもが実行されていない状況において図柄表示装置51の表示内容を待機表示用のものとするためのデモ表示用処理を実行するとともに、ステップS218では、払出制御装置70から受信したコマンド及び信号の内容を確認し、その確認結果に対応した処理を行うための払出状態受信処理を実行する。また、ステップS219では、賞球コマンドを出力対象として設定するための払出出力処理を実行する。
続くステップS220では、今回のタイマ割込み処理にて実行された各種処理の処理結果に応じた外部信号の出力の開始及び終了を制御するための外部情報設定処理を実行する。また、ステップS221では、試射試験情報を編集するための処理を実行する。
ステップS206にて肯定判定をした場合、又はステップS207〜ステップS221の処理を実行した後は、ステップS222に進む。ステップS222では、割込み終了宣言の設定を実行する。MPU62では、一度タイマ割込み処理が起動された場合、次のタイマ割込み処理が起動されるための条件の1つとして割込み終了宣言の設定を行うことが定められており、ステップS222では、次のタイマ割込み処理の実行を可能とするために割込み終了宣言の設定を行う。また、ステップS223では、割込み許可の設定を行う。MPU62では、タイマ割込み処理が一旦起動されると、割込み禁止の状態に設定されるため、ステップS223では、次のタイマ割込み処理の実行を可能とするために割込み許可の設定を行う。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
<入賞検知処理>
次に、タイマ割込み処理(図6)のステップS209にて実行される入賞検知処理について説明する。
入賞検知処理では、各入賞検知センサ35a〜41bにおける検知結果を確認する処理を実行するが、当該確認に際してはMPU62の入力ポートが確認される。ここで、入賞検知処理の説明に先立ち、図7を参照しながら、MPU62の入力ポート62aに対して入賞検知センサ35a〜41bの検知結果が入力されるための電気的な構成について説明する。
入力ポート62aは、8種類の信号を同時に扱うことができるように8ビットのパラレルインターフェースとして構成されている。そして、各信号の電圧に応じて「0」又は「1」の情報が格納されるエリアが、各端子に1対1で対応させて設けられている。つまり、当該エリアとして、第0ビットD0〜第7ビットD7を備えている。
また、入力ポート62aには8種類を超える信号が入力されることとなるが、同時に入力される対象を8種類に制限するために、入力ポート62aへの入力対象となる信号群はドライバICによる切換制御を通じて切り換えられる。入賞検知処理では、入力ポート62aへの入力対象となる信号群が各入賞検知センサ35a〜41bに設定される。
かかる設定がなされた状況では、第0ビットD0は第1大入賞口検知センサ36eからの入賞信号に対応した情報が格納され、第1ビットD1は第2大入賞口検知センサ37eからの入賞信号に対応した情報が格納され、第2ビットD2は上作動口検知センサ38aからの入賞信号に対応した情報が格納され、第3ビットD3は下作動口検知センサ39cからの入賞信号に対応した情報が格納され、第4ビットD4は第1入賞口検知センサ35aからの入賞信号に対応した情報が格納され、第5ビットD5は第2入賞口検知センサ35bからの入賞信号に対応した情報が格納され、第6ビットD6は第1ゲート検知センサ41aからの入賞信号に対応した情報が格納され、第7ビットD7は第2ゲート検知センサ41bからの入賞信号に対応した情報が格納される。
この場合に、上記各入賞検知センサ35a〜41bは、遊技球の通過を検知していない場合には入賞信号として非検知中であることを示すHIレベル信号を出力し、遊技球の通過を検知している場合には入賞信号として検知中であることを示すLOWレベル信号を出力する。但し主制御基板61には反転回路が設けられており、入力ポート62aに上記各検知信号が入力される前に信号の状態が反転される。そして、入力ポート62aでは当該反転回路を通じてLOWレベル信号を受信している場合に該当するビットに対して「0」の情報(データ0又は無し情報)を格納し、反転回路を通じてHIレベル信号を受信している場合に該当するビットに対して「1」の情報(データ1又は有り情報)を格納する。
つまり、入賞検知センサ35a〜41bにおいて遊技球の通過が検知されていない状況では該当するビットに対して非検知中を示す情報に対応した「0」の情報が格納され、遊技球の通過が検知されている状況では該当するビットに対して検知中を示す情報に対応した「1」の情報が格納される。
なお、各入賞検知センサ35a〜41bは、遊技球の通過を検知していない間は入賞信号としてLOWレベル信号を出力するとともに遊技球の通過を検知している間は入賞信号としてHIレベル信号を出力する構成としてもよい。この場合、上記反転回路を不具備とすればよい。
さて、入賞検知処理では、図8(a)のフローチャートに示すように、先ずステップS301にて、上記第0〜第7ビットD0〜D7に現状格納されている情報を、MPU62のレジスタにおける第1入賞判定エリアWA1に移行させる処理を実行する。当該第1入賞判定エリアWA1は、図8(b−1)に示すように8ビットから構成されており、上記第0〜第7ビットD0〜D7に格納されている情報の全てを格納することが可能なデータ容量となっている。この場合、第0〜第7ビットD0〜D7における格納元のビットと、第1入賞判定エリアWA1における格納先のビットとは1対1で対応させて予め定められており、例えば第0ビットD0の情報は常に第1入賞判定エリアWA1における所定のビットに格納される。
続くステップS302では、入賞検知用のウェイト処理を実行する。当該ウェイト処理では、予め定められたウェイト時間が経過するまでMPU62において何ら処理を実行することなく待機する。本パチンコ機10では、当該ウェイト時間として10μsecが設定されているが、具体的なウェイト時間は任意である。
ちなみに、既に説明したとおり、一のステップの処理を実行するには少なくとも1.2μsecを要する。したがって、ステップS302の処理が設定されていなくても、ステップS301とステップS303との間には1.2μsecの強制的なウェイト時間が発生することとなる。この点、ステップS302では、処理を実行する上で最低限要する時間だけでなく、それに対して追加のウェイト時間をステップS301の処理とステップS303の処理との間に設定していることとなる。
続くステップS303では、上記第0〜第7ビットD0〜D7に現状格納されている情報を、MPU62のレジスタにおける第2入賞判定エリアWA2に移行させる処理を実行する。ちなみに、入力ポート62aにおける情報の更新はステップS301が完了してからステップS303が開始されるまでの時間よりも短い間隔で行われているため、ステップS303にて第0〜第7ビットD0〜D7から移行される情報は、ステップS301の場合と異なるものとなり得る。
第2入賞判定エリアWA2は、第1入賞判定エリアWA1と同様に、図8(b−2)に示すように8ビットから構成されており、上記第0〜第7ビットD0〜D7に格納されている情報の全てを格納することが可能なデータ容量となっている。この場合、第0〜第7ビットD0〜D7における格納元のビットと、第2入賞判定エリアWA2における格納先のビットとは1対1で対応させて予め定められており、さらに格納元のビットと格納先のビットとの関係は、第1入賞判定エリアWA1の場合と同一となっている。
その後、ステップS304にて、入賞判定処理を実行した後に、本入賞検知処理を終了する。ここで、当該入賞判定処理について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
入賞判定処理では、先ずステップS401にて、RWM64に設けられた入賞判定カウンタに8をセットする。続くステップS402では、第1入賞判定エリアWA1及び第2入賞判定エリアWA2における現状の入賞判定カウンタの数値情報に対応したビットの各情報を把握する。この場合に把握される各情報は、入力ポート62aにおける同一のビットから読み出された情報である。
続くステップS403では、ステップS402にて把握した各情報のAND処理を実行し、そのAND処理結果をレジスタに記憶するとともに、ステップS404にて、第1演算後エリアWA3及び第2演算後エリアWA4のうち、前回のタイマ割込み処理の処理回における入賞検知処理にてAND処理の結果の情報が格納された側とは異なる側の対応するビットに上記AND処理結果を格納する。第1演算後エリアWA3及び第2演算後エリアWA4は、図8(b−3)及び図8(b−4)に示すように8ビットから構成されており、第1入賞判定エリアWA1の各ビットと第2入賞判定エリアWA2の各ビットとのAND処理結果の各情報を全て格納することが可能なデータ容量となっている。この場合、AND処理の対象となった第1入賞判定エリアWA1及び第2入賞判定エリアWA2のビットの順番と、第1演算後エリアWA3及び第2演算後エリアWA4における各ビットの順番とは一義的に定められている。
その後、ステップS405にて、第1演算後エリアWA3及び第2演算後エリアWA4のうち、前回のタイマ割込み処理の処理回における入賞判定処理にてAND処理の結果の情報が格納された側であって、現状の入賞判定カウンタの数値情報に対応したビットの情報を読み出す。そして、ステップS406にて、その読み出した情報を「0」と「1」との間で反転させるための反転処理を実行する。
その後、ステップS407にて、ステップS403におけるAND処理結果の情報と、ステップS406における反転処理結果の情報とのAND処理を実行し、続くステップS408にて、そのAND処理の結果が入賞検知開始情報に対応した「1」であるか否かを判定する。
ステップS408にて、AND処理結果が「1」であると判定した場合には、ステップS409にて、現状の入賞判定カウンタの数値情報が第1大入賞口36aに対応したビットを示す情報であるか否かを判定する。第1大入賞口36aに対応している場合には、ステップS410にて、RWM64に設けられた第1大入賞フラグに「1」をセットし、ステップS411にて、RWM64に設けられた15個賞球カウンタの数値情報を1加算する。
第1大入賞フラグは、第1大入賞口36aへの入賞に対応した処理であって賞球の実行以外の処理を実行すべき状態であることをMPU62にて特定するためのフラグである。また、15個賞球カウンタは、15個の賞球の実行を指示する15個賞球コマンドを出力すべき回数をMPU62にて特定するためのカウンタである。15個賞球カウンタの数値情報が1以上である場合には、その数値情報に対応した数の15個賞球コマンドがタイマ割込み処理(図6)におけるステップS219の払出出力処理にて払出制御装置70に向けて送信される。そして、払出制御装置70では、15個賞球コマンドを1回受信する度に、15個の遊技球が遊技者に向けて払い出されるように(すなわち上皿25a又は下皿26aに向けて払い出されるように)払出装置71を駆動制御する。
ステップS409にて否定判定をした場合には、ステップS412にて、現状の入賞判定カウンタの数値情報が第2大入賞口37aに対応したビットを示す情報であるか否かを判定する。第2大入賞口37aに対応している場合には、ステップS413にて、RWM64に設けられた第2大入賞フラグに「1」をセットし、ステップS414にて、15個賞球カウンタの数値情報を1加算する。第2大入賞フラグは、第2大入賞口37aへの入賞に対応した処理であって賞球の実行以外の処理を実行すべき状態であることをMPU62にて特定するためのフラグである。
ステップS412にて否定判定をした場合には、ステップS415にて、その他の対応処理を実行する。その他の対応処理では、現状の入賞判定カウンタの数値情報が上作動口38又は下作動口39に対応したビットを示す情報であるか否かを判定する。上作動口38又は下作動口39に対応している場合には、RWM64に設けられた作動口フラグに「1」をセットするとともにRWM64に設けられた3個賞球カウンタの数値情報を1加算する。
作動口フラグは、上作動口38又は下作動口39への入賞に対応した処理であって賞球の実行以外の処理を実行すべき状態であることをMPU62にて特定するためのフラグである。具体的には、作動口フラグに「1」がセットされている場合に、保留情報の記憶数が上限数未満であることを条件として、保留情報の取得処理が実行される。また、3個賞球カウンタは、3個の賞球の実行を指示する3個賞球コマンドを出力すべき回数をMPU62にて特定するためのカウンタである。
また、その他の対応処理では、現状の入賞判定カウンタの数値情報がスルーゲート41に対応したビットを示す情報であるか否かを判定する。スルーゲート41に対応している場合には、RWM64に設けられたスルーフラグに「1」をセットする。スルーフラグは、スルーゲート41への入賞に対応した処理を実行すべき状態であることをMPU62にて特定するためのフラグである。
また、その他の対応処理において現状の入賞判定カウンタの数値情報が上作動口38、下作動口39及びスルーゲート41に対応したビットを示す情報ではないと判定した場合には、RWM64に設けられた10個賞球カウンタの数値情報を1加算する。10個賞球カウンタは、10個の賞球の実行を指示する10個賞球コマンドを出力すべき回数をMPU62にて特定するためのカウンタである。
ステップS408にて否定判定をした場合、又はステップS411,ステップS414,ステップS415のいずれかの処理を実行した後は、ステップS416に進む。ステップS416では、入賞判定カウンタを1減算し、その後、ステップS417にて入賞判定カウンタが「0」であるか否かを判定する。
「0」でない場合には、ステップS416にて更新した入賞判定カウンタの数値情報に応じたビットについて、ステップS402〜ステップS415の処理を実行する。かかるステップS402〜ステップS415の処理を、ステップS401にてセットした数値情報分実行した場合には、ステップS417にて肯定判定をすることとなり、肯定判定をすることで、本入賞判定処理を終了する。
<遊技回制御処理>
次に、タイマ割込み処理(図6)におけるステップS214の特図特電制御処理にて実行される遊技回制御処理について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
遊技回制御処理では、先ずステップS501にて、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中である場合には、ステップS502以降の処理、すなわちステップS503〜ステップS505の遊技回開始用処理及びステップS506〜ステップS509の遊技回進行用処理のいずれも実行することなく、本遊技回制御処理を終了する。つまり、開閉実行モード中である場合には、作動口38,39への入賞が発生しているか否かに関係なく、遊技回が開始されることはない。
開閉実行モード中でない場合には、ステップS502にて、メイン表示部43が変動表示中であるか否か、すなわち1遊技回分の遊技の実行中であるか否かを判定する。メイン表示部43が変動表示中でない場合には、ステップS503〜ステップS505の遊技回開始用処理に進む。遊技回開始用処理では、先ずステップS503にて、保留格納エリア64aの保留数記憶エリアNAを参照し、保留記憶されている保留情報の数である始動保留記憶数NAが「0」か否かを判定する。始動保留記憶数NAが「0」である場合とは、保留格納エリア64aに保留情報が記憶されていないことを意味する。したがって、そのまま本遊技回制御処理を終了する。始動保留記憶数NAが「0」でない場合には、ステップS504にてデータ設定処理を実行する。
データ設定処理では先ず始動保留記憶数NAを1減算する。また、保留格納エリア64aにおける保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納されているデータを実行エリアAEに移動する。その後、保留用エリアREの各保留エリアRE1〜RE4に格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。
このデータシフト処理は、第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4に格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であって、第1保留エリアRE1のデータをクリアするとともに、第2保留エリアRE2→第1保留エリアRE1、第3保留エリアRE3→第2保留エリアRE2、第4保留エリアRE4→第3保留エリアRE3といった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
なお、データ設定処理では、保留情報のシフトが行われたことを音声発光制御装置90に認識させて第1保留ランプ部53における表示を保留個数の減少に対応させて変更させるための処理を実行する。
データ設定処理を実行した後は、ステップS505にて変動開始処理を実行する。変動開始処理では、実行エリアAEにシフトされて今回の遊技回の開始対象となった保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定する当否判定処理、及び大当たり当選に対応している場合にはその保留情報がいずれの大当たり結果に対応しているのかを判定する振分判定処理を実行する。また、変動開始処理では、当否判定処理及び振分判定処理だけでなく、その保留情報が大当たり当選に対応していない場合には、その保留情報がリーチ発生に対応しているか否かを判定するリーチ判定処理を実行するとともに、その時点における変動種別カウンタCSの数値情報を利用して遊技回の表示継続時間を選択する処理を実行する。そして、それら各処理の結果に応じた継続時間の情報を含む変動用コマンドと、遊技結果の情報を含む種別コマンドとを、音声発光制御装置90に送信するとともに、メイン表示部43における絵柄の変動表示を開始させる。
音声発光制御装置90では、変動用コマンド及び種別コマンドを受信することで、これらコマンドに対応した遊技回用の演出内容を決定し、その決定結果に応じて表示ランプ部23やスピーカ部24の駆動制御を開始する。また、その決定結果に応じた表示用コマンドを表示制御装置100に送信する。表示制御装置100では、受信した表示用コマンドに対応した遊技回用の画像表示演出を図柄表示装置51にて開始させる。
上記のように変動開始処理が実行されることにより、1遊技回が開始された状態となり、表示ランプ部23、スピーカ部24及び図柄表示装置51にて遊技回用の演出が開始される。ステップS505にて変動開始処理を実行した後は本遊技回制御処理を終了する。
メイン表示部43が変動表示中である場合(ステップS502:YES)には、ステップS506〜ステップS509の遊技回進行用処理を実行する。
遊技回進行用処理では、先ずステップS506にて、今回の遊技回の表示継続時間が経過したか否かを判定する。具体的には、RWM64の表示継続時間カウンタに格納されている表示継続時間情報の値が「0」となったか否かを判定する。当該表示継続時間情報の値は、変動開始処理においてセットされる。また、このセットされた表示継続時間情報の値は、タイマ割込み処理(図6)が起動される度に1減算されるように更新される。
表示継続時間が経過していない場合には、ステップS507にて変動表示用処理を実行する。変動表示用処理では、メイン表示部43における表示態様を変更する。その後、本遊技回制御処理を終了する。
表示継続時間が経過している場合には、ステップS508にて変動終了処理を実行する。変動終了処理では、現状実行されている遊技回を開始させる場合に実行された変動開始処理における当否判定処理の結果及び振分判定処理の結果に対応した絵柄の態様がメイン表示部43にて表示されるように、当該メイン表示部43を表示制御する。
その後、ステップS509にて最終停止コマンドを音声発光制御装置90に送信した後に、本遊技回制御処理を終了する。音声発光制御装置90では、最終停止コマンドを受信することに基づいて、その遊技回における演出を終了させるための処理を実行する。
<遊技状態移行処理>
次に、タイマ割込み処理(図6)におけるステップS214の特図特電制御処理にて実行される遊技状態移行処理について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、ステップS601では、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中ではない場合にはステップS602に進み、1の遊技回のメイン表示部43における絵柄の変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
変動表示が終了したタイミングである場合には、ステップS603にて、今回終了した遊技回の遊技結果が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、今回の遊技結果がいずれかの大当たり結果であるか否かを判定する。開閉実行モードへの移行に対応したものではない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
開閉実行モードへの移行に対応したものである場合には、ステップS604にて、RWM64の各種カウンタエリア64bに設けられたラウンドカウンタRCに「14」をセットする。ラウンドカウンタRCは、1回の開閉実行モードの範囲内で実行するラウンド遊技の回数をMPU62にて特定するためのカウンタである。
続くステップS605では、RWM64の各種カウンタエリア64bに設けられたタイマカウンタTCにオープニング用の待機時間(待機期間)として「1000」をセットする。タイマカウンタTCにセットされた数値情報は、タイマ割込み処理(図6)が起動される度に1減算されるように更新される。したがって、オープニング用の待機時間は4secとなっている。但し、当該待機時間は任意である。
ステップS605の処理を実行した後は、ステップS606にて、オープニングコマンドを音声発光制御装置90に送信する。音声発光制御装置90では、オープニングコマンドを受信することで、当該コマンドに対応した開閉実行モード用の演出内容を決定し、その決定結果に応じて表示ランプ部23やスピーカ部24の駆動制御を開始する。また、その決定結果に応じた表示用コマンドを表示制御装置100に送信する。表示制御装置100では、受信した表示用コマンドに対応した開閉実行モード用の画像表示演出を図柄表示装置51にて開始させる。ステップS606の処理を実行した後は、本遊技状態移行処理を終了する。
一方、ステップS601にて、開閉実行モード中であると判定した場合にはステップS607に進む。ステップS607では、大入賞口開閉処理を実行する。当該大入賞口開閉処理について、図12のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS701にて、いずれかの大入賞口36a,37aが開放中であるか否かを判定する。いずれの大入賞口36a,37aも開放中ではない場合には、ステップS702にて、ラウンドカウンタRCの値が「0」か否かを判定するとともに、ステップS703にて、タイマカウンタTCの値が「0」か否かを判定する。
ラウンドカウンタRCの値が「0」である場合又はタイマカウンタTCの値が「0」ではない場合には、そのまま本大入賞口開閉処理を終了する。ラウンドカウンタRCの値が「0」ではなく、且つタイマカウンタTCの値が「0」である場合には、ステップS704にて、大入賞口開放処理を実行する。当該大入賞口開放処理について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS801では、今回実行されている開閉実行モードの移行の契機となった遊技結果が低入賞高確大当たり結果であるかを判定する。ステップS801にて否定判定をした場合、すなわち今回実行されている開閉実行モードの移行の契機となった遊技結果が最有利大当たり結果又は低確大当たり結果である場合には、ステップS802にてタイマカウンタTCに「7500」をセットする。一方、ステップS801にて肯定判定をした場合には、ステップS803にてタイマカウンタTCに「150」をセットする。既に説明したとおりタイマカウンタTCにセットされた数値情報は、タイマ割込み処理(図6)が起動される度に1減算されるように更新されるため、ステップS802ではラウンド遊技の上限継続時間、すなわち大入賞口36a,37aの開放継続時間として30secが設定され、ステップS803ではラウンド遊技の上限継続時間、すなわち大入賞口36a,37aの開放継続時間として0.6secが設定されることになる。
ステップS802又はステップS803の処理を実行した後は、ステップS804にて、RWM64の各種カウンタエリア64bに設けられた入賞カウンタPCに「9」をセットする。入賞カウンタPCは、各ラウンド遊技において上限個数の遊技球が開放対象となっている大入賞口36a,37aに入賞したか否かをMPU62にて特定するためのカウンタである。
続くステップS805では、RWM64に設けられた開放判定用フラグが「0」であるか否かを判定し、「0」である場合には、ステップS806にて第1大入賞口36aの開放実行処理を実行するとともに、ステップS807にて開放判定用フラグに「1」をセットした後に、本大入賞口開放処理を終了する。第1大入賞口36aの開放実行処理では、第1大入賞口36aが開放状態となるように、第1可変入賞駆動部36cへの駆動信号の出力を開始する。
その一方、開放判定用フラグが「1」である場合には、ステップS808にて第2大入賞口37aの開放実行処理を実行するとともに、ステップS809にて開放判定用フラグを「0」クリアした後に、本大入賞口開放処理を終了する。第2大入賞口37aの開放実行処理では、第2大入賞口37aが開放状態となるように、第2可変入賞駆動部37cへの駆動信号の出力を開始する。
以上のように大入賞口開放処理が実行されることにより、第1大入賞口36a及び第2大入賞口37aのうち一方を閉鎖した後において新たに大入賞口の開放を行う場合には、その直前に閉鎖した大入賞口とは異なる側を開放対象とする。さらに言うと、所定のラウンド遊技において開放対象となった大入賞口は、次のラウンド遊技において開放対象とならず他の大入賞口が開放対象となる。より詳細には、開閉実行モードが開始された場合には開放判定用フラグは「0」となっている。したがって、1ラウンド目では、第1大入賞口36aが開放される。また、1ラウンド目において第1大入賞口36aを開放させた場合には、開放判定用フラグに「1」がセットされるため、2ラウンド目では、第2大入賞口37aが開放される。また、2ラウンド目において第2大入賞口37aを開放させた場合には、開放判定用フラグが「0」クリアされるため、3ラウンド目では、第1大入賞口36aが開放される。そして、各ラウンド毎に、開放対象が第1大入賞口36aと第2大入賞口37aとの間で交互に切り換えられていく。
大入賞口開閉処理(図12)の説明に戻り、ステップS704にて大入賞口開放処理を実行した後は、ステップS705にて開放コマンドを音声発光制御装置90に送信した後に、本大入賞口開閉処理を終了する。音声発光制御装置90では、開放コマンドを受信することで、表示ランプ部23やスピーカ部24における開閉実行モード用の演出を大入賞口36a,37aの開放が開始されたことに対応した内容に切り換える。また、音声発光制御装置90から表示制御装置100に開放コマンドに対応した表示用コマンドを送信することで、図柄表示装置51における画像表示演出を大入賞口36a,37aの開放が開始されたことに対応した内容に切り換える。
一方、ステップS701にて、いずれかの大入賞口36a,37aが開放中であると判定した場合には、ステップS706に進む。ステップS706では、タイマカウンタTCが「0」であるか否かを判定することにより、現状のラウンド遊技について上限継続時間が経過したか否か、すなわち現状の大入賞口36a,37aの開放について開放継続時間が経過したか否かを判定する。タイマカウンタTCが「0」である場合には、ステップS707に進む。
ステップS707では、閉鎖実行処理を実行する。閉鎖実行処理では、現状開放対象となっている大入賞口36a,37aに対応した可変入賞駆動部36c,37cへの駆動信号の出力を停止することで、その大入賞口36a,37aを閉鎖させる。続くステップS708では、1減算されるようにラウンドカウンタRCの数値情報を更新する。続くステップS709では、ラウンドカウンタRCが「0」であるか否かを判定する。
ラウンドカウンタRCが「0」ではない場合には、ステップS710にて、閉鎖コマンドを音声発光制御装置90に送信する。音声発光制御装置90では、閉鎖コマンドを受信することで、表示ランプ部23やスピーカ部24における開閉実行モード用の演出を大入賞口36a,37aの閉鎖が開始されたことに対応した内容に切り換える。また、音声発光制御装置90から表示制御装置100に閉鎖コマンドに対応した表示用コマンドを送信することで、図柄表示装置51における画像表示演出を大入賞口36a,37aの閉鎖が開始されたことに対応した内容に切り換える。
続くステップS711では、タイマカウンタTCに「25」をセットした後に、本大入賞口開閉処理を終了する。ステップS711にてセットされた数値情報は、大入賞口36a,37aの一方が開放状態から閉鎖状態となり、それに続けて他方が再度開放状態となるまでの開放待機時間用の数値情報である。そして、既に説明したとおり、タイマカウンタTCにセットされた数値情報は、タイマ割込み処理(図6)が起動される度に1減算されるように更新されるため、開放待機時間は0.1secとなる。
ここで、ステップS711の処理は、それまで開放されていた大入賞口36a,37aが閉鎖される場合に確実に実行されるため、それまで開放されていた大入賞口36a,37aの種類に関係なく開放待機時間は0.1secで一定であるとともに、その後に開放される大入賞口36a,37aの種類に関係なく開放待機時間は0.1secで一定である。さらに言うと、いずれのラウンド間であっても、開放待機時間は0.1secで一定である。
ステップS709にて、ラウンドカウンタRCが「0」であると判定した場合には、ステップS712に進む。ステップS712では、タイマカウンタTCにエンディング用の待機時間(待機期間)として「1000」をセットする。既に説明したとおり、タイマカウンタTCにセットされた数値情報は、タイマ割込み処理(図6)が起動される度に1減算されるように更新されるため、エンディング用の待機時間は4secとなる。
ステップS712の処理を実行した後は、ステップS713にて、エンディングコマンドを音声発光制御装置90に送信した後に、本大入賞口開閉処理を終了する。音声発光制御装置90では、エンディングコマンドを受信することで、当該コマンドに対応したエンディング用の演出を決定し、その決定結果に応じて表示ランプ部23やスピーカ部24の駆動制御を開始する。また、その決定結果に応じた表示用コマンドを表示制御装置100に送信する。表示制御装置100では、受信したエンディングコマンドに対応したエンディング用の画像表示演出を図柄表示装置51にて開始させる。
一方、ステップS706にて、タイマカウンタTCが「0」ではないと判定した場合には、ステップS714に進む。ステップS714では、RWM64の第1大入賞フラグ及び第2大入賞フラグのいずれかに「1」がセットされているか否かを判定する。既に説明したとおり、第1大入賞フラグには第1大入賞口36aへの入賞が第1大入賞口検知センサ36eにより検知されることで「1」がセットされるとともに、第2大入賞口フラグには第2大入賞口37aへの入賞が第2大入賞口検知センサ37eにより検知されることで「1」がセットされる。
ステップS714にて否定判定をした場合には、そのまま本大入賞口開閉処理を終了し、ステップS714にて肯定判定をした場合には、ステップS715にて、現状開放されている大入賞口36a,37aに対応した大入賞フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。ステップS715にて否定判定をした場合にはそのまま本大入賞口開閉処理を終了し、ステップS715にて肯定判定をした場合にはステップS716に進む。
ステップS716では、1減算されるように入賞カウンタPCの数値情報を更新する。続くステップS717では、入賞カウンタPCが「0」であるか否かを判定する。「0」ではない場合にはそのまま本大入賞口開閉処理を終了し、「0」である場合にはステップS718に進む。
ステップS718では、ステップS707と同様に、現状開放対象となっている大入賞口36a,37aを閉鎖させるための閉鎖実行処理を実行する。そして、ステップS719にて1減算されるようにラウンドカウンタRCの数値情報を更新するとともに、ステップS720にてラウンドカウンタRCが「0」であるか否かを判定する。
ラウンドカウンタRCが「0」ではない場合には、既に説明したステップS710及びステップS711の処理を実行した後に、本大入賞口開閉処理を終了する。その一方、ラウンドカウンタRCが「0」である場合には、既に説明したステップS712及びステップS713の処理を実行した後に、本大入賞口開閉処理を終了する。
遊技状態移行処理(図11)の説明に戻り、ステップS607において大入賞口開閉処理を実行した後は、ステップS608にてラウンドカウンタRCが「0」であるか否かを判定するとともに、ステップS609にてタイマカウンタTCが「0」であるか否かを判定する。ステップS608及びステップS609のいずれかにて否定判定をした場合にはそのまま本遊技状態移行処理を終了し、ステップS608及びステップS609の両方にて肯定判定をした場合には、ステップS610にて開閉実行モード終了時の移行処理を実行した後に、本遊技状態移行処理を終了する。
開閉実行モード終了時の移行処理では、開閉実行モード後の遊技状態が、今回実行された開閉実行モードの移行の契機となった遊技結果に対応したものとなるようにするための処理を実行する。各遊技結果に対応した開閉実行モード後の遊技状態は既に説明したとおりである。
<開閉実行モードが進行していく様子>
次に、開閉実行モードが進行していく様子を、図14のタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、ラウンド遊技における上限個数を9個ではなく4個として説明する。
図14(A)は、可変入賞装置が1個のみ設けられた従来のパチンコ機における開閉実行モードの様子を示す。
なお、図14(A)において、(a)は大入賞口の開放状況を示し、(b)は大入賞口への入球の有無を示し、(c)は大入賞口への入賞のMPUにおける把握の有無を示す。
従来のパチンコ機では、先ずt1のタイミングで1ラウンド目の大入賞口の開放が開始され、当該大入賞口への入球が発生する。そして、t1のタイミングで大入賞口に遊技球が入賞したことは、その遊技球が大入賞口検知センサの検知領域を通過するまでに要する時間及び大入賞口検知センサにて遊技球が検知されたことをMPUにて特定するまでに要する時間の和T1(例えば0.5sec)との関係で、t1のタイミングよりも後であるt2のタイミングでMPUにて把握される。
その後、大入賞口に複数の遊技球が入賞し、t3のタイミングにて上限個数である4個目の遊技球が大入賞口に入球する。但し、この入賞がMPUにて特定されるのはt3のタイミングよりも後のタイミングであるt5のタイミングであり、当該t5のタイミングで大入賞口の閉鎖動作が開始されてt5のタイミングよりも若干後のタイミングで大入賞口の閉鎖動作が完了する。この場合に、t3のタイミング〜t5のタイミングよりも若干後のタイミングでは大入賞口の開放が継続されることとなるが、この開放が継続されている状況であるt4のタイミングで、大入賞口への入球が新たに発生している。
上記t4のタイミングで大入賞口に入球した遊技球は、1ラウンド目のラウンド遊技における大入賞口の閉鎖開始タイミングであるt5のタイミングよりも後であって、2ラウンド目のラウンド遊技における大入賞口の開放開始タイミングであるt7のタイミングよりも前である、t6のタイミングにおいてその入賞がMPUにて把握される。つまり、従来のパチンコ機ではラウンド遊技間の開放待機時間としてT2が確保されており、当該T2は、所定のラウンド遊技において大入賞口に入球した遊技球についてその入賞のMPUにおける把握が当該所定のラウンド遊技に対して次のラウンド遊技を開始させるための処理が実行されるタイミングよりも前に行われるように設定されている。これにより、所定のラウンド遊技において上限個数を超えた分の遊技球の入賞に対する賞球を可能としながら、その超えた分の遊技球の入賞が上記所定のラウンド遊技に対して次のラウンド遊技における入賞としてカウントされないようにすることが可能となる。
図14(B)は、本パチンコ機10において高頻度入賞モードとなる開閉実行モードの様子を示す。
なお、図14(B)において、(a)は第1大入賞口36aの開放状況を示し、(b)は第2大入賞口37aの開放状況を示し、(c)は第1大入賞口36aへの入賞のMPUにおける把握の有無を示し、(d)は第2大入賞口37aへの入賞のMPUにおける把握の有無を示し、(e)は15個賞球コマンドの出力の有無を示し、(f)は入賞カウンタPCへの反映の有無を示す。
先ずt11のタイミングで1ラウンド目の第1大入賞口36aの開放が開始され、当該第1大入賞口36aへの入球が発生する。そして、その入賞が発生したことが、t12のタイミングでMPU62にて把握される。なお、第1大入賞口36aへの入球の発生に対して、それがMPU62にて把握されるまでに要する時間は図14(A)の場合におけるT1と同様である。MPU62にて第1大入賞口36aへの入賞の発生が把握されることで、t12のタイミングで、15個賞球コマンドが送信されるとともに、入賞カウンタPCの数値情報が更新される。
その後、第1大入賞口36aに複数の遊技球が入賞し、t13のタイミングにて上限個数である4個目の遊技球の入賞が発生したことがMPU62にて把握される。この場合に、15個賞球コマンドが送信されること及び入賞カウンタPCの数値情報が更新されることは、t12のタイミングの場合と同様である。
上限個数である4個目の遊技球の入賞が発生したことがMPU62にてt13のタイミングで把握されることで、当該t13のタイミングで、第1大入賞口36aの閉鎖動作が開始されて、t13のタイミングよりも若干後のタイミングで第1大入賞口36aの閉鎖動作が完了する。そして、t13のタイミングに対して、ラウンド遊技間の開放待機時間であるT3が経過したタイミングであるt14のタイミングで第2大入賞口37aの開放動作が開始され、t14のタイミングよりも若干後のタイミングで第2大入賞口37aの開放動作が完了する。
ここで、t13のタイミングでMPU62により入賞が把握された遊技球の第1大入賞口36aへの入球発生タイミングよりも後であって、第1大入賞口36aの閉鎖動作が完了するまでに、当該第1大入賞口36aへの遊技球の入球が発生している。そして、この遊技球は、2ラウンド目のラウンド遊技として第2大入賞口37aの開放を開始させるt14のタイミングよりも後のタイミング、より詳細には2ラウンド目のラウンド遊技として第2大入賞口37aの開放動作が完了したタイミングよりも後のタイミングである、t15のタイミングでMPU62においてその入賞が把握される。この場合、15個賞球コマンドは送信されるものの、入賞カウンタPCの数値情報の更新は行われない。
t14のタイミングよりも若干後のタイミングで第2大入賞口37aの開放動作が完了することで、当該第2大入賞口37aへの入球が発生する。そして、その入賞が発生したことが、t16のタイミングでMPU62にて把握される。なお、第2大入賞口37aへの入球の発生に対して、それがMPU62にて把握されるまでに要する時間は図14(A)の場合におけるT1と同様である。MPU62にて第2大入賞口37aへの入賞の発生が把握されることで、t16のタイミングで、15個賞球コマンドが送信されるとともに、入賞カウンタPCの数値情報が更新される。
その後、第2大入賞口37aに複数の遊技球が入賞し、t17のタイミングにて上限個数である4個目の遊技球の入賞が発生したことがMPU62にて把握される。この場合に、15個賞球コマンドが送信されること及び入賞カウンタPCの数値情報が更新されることは、t16のタイミングの場合と同様である。
上限個数である4個目の遊技球の入賞が発生したことがMPU62にてt17のタイミングで把握されることで、当該t17のタイミングで、第2大入賞口37aの閉鎖動作が開始されて、t17のタイミングよりも若干後のタイミングで第2大入賞口37aの閉鎖動作が完了する。そして、t17のタイミングに対して、ラウンド遊技間の開放待機時間であるT3が経過したタイミングであるt18のタイミングで第1大入賞口36aの開放動作が開始され、t18のタイミングよりも若干後のタイミングで第1大入賞口36aの開放動作が完了する。
ここで、t17のタイミングでMPU62により入賞が把握された遊技球の第2大入賞口37aへの入賞発生タイミングよりも後であって、第2大入賞口37aの閉鎖動作が完了するまでに、当該第2大入賞口37aへの遊技球の入球が発生している。そして、この遊技球は、3ラウンド目のラウンド遊技として第1大入賞口36aの開放を開始させるt18のタイミングよりも後のタイミング、より詳細には3ラウンド目のラウンド遊技として第1大入賞口36aの開放動作が完了したタイミングよりも後のタイミングである、t19のタイミングでMPU62においてその入賞が把握される。この場合、15個賞球コマンドは送信されるものの、入賞カウンタPCの数値情報の更新は行われない。
その後は、第1大入賞口36aが開放対象となった3ラウンド目が消化されることとなるとともに、4ラウンド目においては第2大入賞口37aが開放対象となる。そして、ラウンド遊技が新たに開始される度に開放対象の大入賞口36a,37aが切り換えられ、第1大入賞口36aと第2大入賞口37aとの間で開放対象が交互に切り換えられる。
図14(C)は、本パチンコ機10において低頻度入賞モードとなる開閉実行モードの様子を示す。
なお、図14(C)において、(a)は第1大入賞口36aの開放状況を示し、(b)は第2大入賞口37aの開放状況を示し、(c)は大入賞口36a,37aへの入球の有無を示し、(d)は大入賞口36a,37aへの入賞のMPU62における把握の有無を示す。
先ずt21のタイミングで1ラウンド目の第1大入賞口36aの短時間態様による開放が開始される。そして、1ラウンド目の第1大入賞口36aの閉鎖が完了する直前のタイミングであるt22のタイミングで、当該第1大入賞口36aへの入球が発生する。
その後、t23のタイミングで2ラウンド目の第2大入賞口37aの短時間態様による開放が開始される。この場合に、t22のタイミングにおいて第1大入賞口36aに入球した遊技球は、2ラウンド目のラウンド遊技が終了するt25のタイミングよりも前のタイミングであるt24のタイミングでMPU62においてその入賞が把握される。
以上のとおり、第1大入賞口36a及び第2大入賞口37aのうち一方が所定のラウンド遊技において開放対象となった場合には、その次のラウンド遊技において他方が開放対象となる。そして、第1大入賞口36aと第2大入賞口37aとでそれぞれ個別に大入賞口検知センサ36e,37eが設けられているとともに、開放対象となっている大入賞口36a,37aに対応していない側の大入賞口検知センサ36e,37eにて遊技球が検知されたとしても入賞カウンタPCの数値情報の更新は行われない。これにより、ラウンド遊技間の開放待機時間T3を、第1大入賞口36aに入球した遊技球が第1大入賞口検知センサ36eの検知領域を通過するまでに要する時間及び第1大入賞口検知センサ36eにて遊技球が検知されたことをMPU62にて特定するまでに要する時間の和T1よりも短い時間に設定したとしても、所定のラウンド遊技において発生した大入賞口36a,37aへの遊技球の入球の影響が次のラウンド遊技に及んでしまうことはない。よって、ラウンド遊技間の開放待機時間を従来のパチンコ機に比べて好適に短縮することが可能となり、高頻度入賞モードによる開閉実行モードに要する時間の短縮化が図られる。
また、かかる構成において、第1大入賞口36aと第2大入賞口37aとでそれぞれ個別に大入賞口検知センサ36e,37eを設け、対応する大入賞口36a,37aが開放対象となっているか否かに関係なく、大入賞口検知センサ36e,37eにて遊技球が検知されたことに基づいて15個賞球コマンドが送信される。これにより、従来のパチンコ機と同様に、所定のラウンド遊技において上限個数を超えた分の遊技球の入賞に対する賞球を可能としながら、その超えた分の遊技球の入賞が上記所定のラウンド遊技に対して次のラウンド遊技における入賞としてカウントされないようにすることが可能となる。
また、開放待機時間T3は、開放対象となっている大入賞口36a,37aの閉鎖動作を開始してから当該閉鎖動作が完了するまでに要する時間よりも長い時間として設定されている。これにより、上記のように開放待機時間T3の短縮化を図った構成であっても、第1大入賞口36aの閉鎖動作が完了していない状況で第2大入賞口37aの開放動作が開始されることはなく、第2大入賞口37aの閉鎖動作が完了していない状況で第1大入賞口36aの開放動作が開始されることはない。よって、各ラウンド遊技を明確に区別することが可能となる。
また、低頻度入賞モードであっても高頻度入賞モードの場合と同様に、ラウンド遊技毎に開放対象の大入賞口36a,37aが交互に切り換えられるとともに、開放待機時間も同一の時間が設定される。これにより、低頻度入賞モードと高頻度入賞モードとの間で処理の共通化を図ることが可能となり、プログラム容量の削減が図られる。この場合に、所定のラウンド遊技において開放対象となっている大入賞口36a,37aに遊技球が入球した場合において、その開放対象となっている大入賞口36a,37aが再度開放対象となるまでに、すなわち所定のラウンド遊技に対して次々回のラウンド遊技が開始されるまでに、その入球の発生がMPU62にて把握されるように、低頻度入賞モードにおける大入賞口36a,37aの開放継続時間及び開放待機時間が設定されている。これにより、低頻度入賞モードにおいても、所定のラウンド遊技における大入賞口36a,37aへの入球の発生が他のラウンド遊技における上限個数のカウントに影響を及ぼしてしまわないようにすることができる。
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、ラウンド遊技間の開放待機時間を短縮化するための構成が上記第1の実施の形態と異なっている。
本実施の形態では、上記第1の実施の形態と異なり、遊技領域には開閉実行モードにおいて開閉される可変入賞装置が1個のみ設けられている。図15(a)〜(c)はその1個のみ設けられた可変入賞装置111の構成を説明するための説明図である。
可変入賞装置111は、大入賞口112を開閉するための開閉扉113を備えており、当該開閉扉113が閉鎖位置に配置されている場合には、図15(a)に示すように、大入賞口112が閉鎖状態となる。また、開閉扉113が開放位置に配置されている場合には、図15(b),(c)に示すように、大入賞口112が開放状態となる。
可変入賞装置111の内部は、前後方向に所定の奥行きを有しており、図15(b),(c)に示すように、奥壁部114には左右方向に離間させて一対の開口部115,116が形成されており、さらに奥壁部114と大入賞口112との間には駆動モータ117により駆動される誘導部材118が設けられている。なお、駆動モータ117は主制御装置60により駆動制御される。誘導部材118は、一対の開口部115,116のうち一方に向けて上面が下り傾斜した状態と、他方に向けて上面が下り傾斜した状態とに切り換え配置可能に設けられている。そして、誘導部材118は、各状態において、大入賞口112に入球した遊技球をその下り傾斜先である開口部115,116へ入球させ、反対側の開口部115,116への入球を不可とする。
各開口部115,116は遊技盤の裏面側に設けられた各排出通路に個別に通じており、一方の開口部115に対応した排出通路の途中位置には検知センサ119aが設けられているとともに、他方の開口部116に対応した排出通路の途中位置にも検知センサ119bが設けられている。これら検知センサ119a,119bの検知結果は、主制御装置60に出力される。
主制御装置60では、開閉実行モードに移行した場合、ラウンド遊技毎に開閉扉113を開閉動作させて大入賞口112を開閉させるとともに、駆動モータ117を駆動制御することで、誘導部材118の動作位置を切り換える。
具体的には、所定のラウンド遊技において誘導部材118が一方の開口部115に向けて遊技球を誘導するように配置されている状況で、当該所定のラウンド遊技の終了条件が成立した場合、先ず開閉扉113の閉鎖動作を開始させてその閉鎖動作が完了し、さらに開閉扉113の閉鎖動作が完了するまでに可変入賞装置111に入賞した遊技球が開口部115を通過するまでに要する最長時間が経過した後に、誘導部材118の位置を他方の開口部116に向けた位置に切り換える。その後、誘導部材118の切り換えが完了した以降のタイミングで次のラウンド遊技を開始させるべく開閉扉113を開放動作させる。この場合、各ラウンド遊技間の開放待機時間は、開閉扉113の閉鎖動作を完了させるのに必要な時間と、可変入賞装置111に遊技球が入賞してからそれがそのラウンド遊技に対応する開口部115,116を通過するまでに必要な時間と、誘導部材118の位置の切り換えを完了するのに必要な時間との和以上であって、当該和の時間に対して開口部115,116を通過した遊技球が対応する検知センサ119a,119bにて検知されてそれが主制御装置60にて把握されるまでに要する時間を足した時間未満となるように設定されている。
ちなみに、検知センサ119a,119bにて遊技球が検知された場合には誘導部材118の位置が対応する位置であるか否かに関係なく15個賞球コマンドが出力される(すなわち所定の特典が付与される)とともに、誘導部材118の位置に対応していない側の検知センサ119a,119bにて遊技球が検知されたとしてもその検知結果は入賞カウンタPCの数値情報に反映されない点は、上記第1の実施の形態における第1大入賞口36a及び第2大入賞口37aの取り扱いと同様である。
上記構成によれば、所定のラウンド遊技において発生した大入賞口112への遊技球の入球の影響が次のラウンド遊技に及んでしまわないようにしながら、所定のラウンド遊技における上限個数を超えた分の遊技球の入球に対する賞球の実施を担保しつつ、ラウンド遊技間の開放待機時間を従来のパチンコ機に比べて短縮することが可能となる。
但し、本実施の形態では、開放待機時間として、開閉扉113の閉鎖動作が完了するまでに可変入賞装置111に入賞した遊技球がそのラウンド遊技に対応する開口部115,116を通過するまでに要する最長時間、及び誘導部材118の位置の切り換えを完了するのに必要な時間を確保する必要があり、この点において、開放待機時間の短縮化を図る上では上記第1の実施の形態における構成が好ましい。
<他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。
ちなみに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組み合わせて適用してもよい。また、以下の別形態の構成を、上記第1及び第2の実施の形態のうち例示した実施の形態とは異なる実施の形態に対して適用してもよい。
(1)図16(a)には、第1可変入賞装置36の代わりにガイド付き入賞装置121が設けられた構成を示す。ガイド付き入賞装置121は、第1大入賞口を開閉するための開閉扉122にガイドプレート123が一体化されているとともに、開閉扉122は第1大入賞口の開放に際して前方ではなく後方に向けて起立した状態となる。本構成であっても、上記第1の実施の形態と同様に、開閉扉122の閉鎖中にはガイドプレート123により第2可変入賞装置37に向けて遊技球を誘導することが可能となる。また、開閉扉122は閉鎖位置から後方に向けて起立可能であるが、前方に向けた起立は不可となっているため、ガイドプレート123上に遊技球が勢いよく乗ったとしても、その勢いに乗じて大入賞口が開放されてしまうこともない。ちなみに、開閉扉122の回動軸は縦方向の中央側に設定されており、開閉扉122が開放位置に配置された場合には、回動軸よりも下方の領域が大入賞口よりもパチンコ機10前方に突出する。そして、この突出した領域により、遊技領域を流下する遊技球が、第1可変入賞装置36の大入賞口に向けて誘導される。
(2)図16(b)には、第1可変入賞装置36及び第2可変入賞装置37が右方の流下領域31dではなく、上方の流下領域31aに設けられている。この場合であっても、従来のパチンコ機に比べて、第1可変入賞装置36及び第2可変入賞装置37よりも上流側に遊技球の流下の障害となる部材が少ないため、遊技球が発射されてから第1可変入賞装置36に入賞するまでに要する時間及び第2可変入賞装置37に入賞するまでに要する時間の短縮化が図られる。但し、本構成においては、第1可変入賞装置36への入賞を狙う場合と、第2可変入賞装置37への入賞を狙う場合とで、発射ハンドル27の操作量の調整を通じて遊技球の発射強度を調整する必要がある。
なお、第1可変入賞装置36及び第2可変入賞装置37の位置は、上記第1の実施の形態における位置や図16(b)の位置に限定されることはなく、第1可変入賞装置36が左方の流下領域31cに設けられており、第2可変入賞装置37が右方の流下領域31dに設けられている構成としてもよく、両可変入賞装置36,37が下方の流下領域31bに設けられている構成としてもよい。
(3)上記第1の実施の形態において、1回のラウンド遊技で大入賞口36a,37aが複数回開放される構成としてもよい。この場合において、開放待機時間の短縮化を好適に実現する上では、所定のラウンド遊技が終了する場合に開放対象となっていた大入賞口36a,37aと次のラウンド遊技が開始される場合に開放対象となる大入賞口36a,37aとを異ならせればよく、同一のラウンド遊技においては同一の大入賞口36a,37aが連続して開閉される構成としてもよい。また、これとは逆に、同一のラウンド遊技で大入賞口36a,37aが複数回開放されるとしても、第1大入賞口36aと第2大入賞口37aとが交互に開放される構成としてもよい。
(4)上記第1の実施の形態において、大入賞口が2個ではなく、3個以上設けられている構成としてもよい。例えば大入賞口が3個設けられた構成においては、それら大入賞口が順次、ラウンド遊技における開放対象として選択されるとともに、その所定の順序が開閉実行モード中に繰り返される構成としてもよい。
また、大入賞口が3個以上設けられた構成においては、1のラウンド遊技において複数の大入賞口が同時に開放対象とされる構成としてもよい。但し、当該構成においては、当該1のラウンド遊技に対して次のラウンド遊技においては、それら同時に開放対象となった複数の大入賞口とは異なる大入賞口を開放対象とする必要がある。
(5)上記各実施の形態において、開放待機時間は0.1secに限定されることはなく、例えば0.1secよりも長いが遊技球の発射周期である0.6secよりも短い時間として設定されている構成としてもよい。
また、開放待機時間が設定されていない構成としてもよい。この場合であっても、所定のラウンド遊技において開放対象となっていた大入賞口を閉鎖するのに要する時間と、次のラウンド遊技において開放対象となる大入賞口を開放するのに要する時間とが同一若しくは略同一となるようにする、又は後者の方が長時間とすることで、前者の大入賞口が完全に開放されている状態と、後者の大入賞口が完全に開放されている状態とが重複しないようにすることが可能となる。
(6)低頻度入賞モードでは、ラウンド遊技間の開放待機時間が高頻度入賞モードに比べて長くなる構成としてもよい。また、低頻度入賞モードでは、第1大入賞口36a及び第2大入賞口37aの交互開放を行わずに、一方の大入賞口のみを開放する構成としてもよい。
(7)第1可変入賞装置36と第2可変入賞装置37とで大入賞口36a,37aを開閉する機構の態様が異なる構成としてもよい。例えば、一方を上記第1の実施の形態のように一枚扉式とし、他方を下作動口39のような一対の可動物式としてもよい。
(8)開閉実行モードとして、所定の連続するラウンド遊技においては第1可変入賞装置36及び第2可変入賞装置37のうち同一のものを開放対象とし、他の連続するラウンド遊技においては開放対象を第1可変入賞装置36と第2可変入賞装置37との間で交互に切り換える構成としてもよい。例えば、開閉実行モードが開始された場合には、最初のラウンド遊技から途中のラウンド遊技までは同一の可変入賞装置を開放対象とし、その後の連続するラウンド遊技では開放対象を第1可変入賞装置36と第2可変入賞装置37との間で交互に切り換える構成としてもよい。
(9)上作動口38への入賞に係る保留情報と下作動口39への入賞に係る保留情報とが区別して記憶されるとともに、下作動口39への入賞に係る保留情報が優先して消化される構成を適用してもよく、これとは逆に上作動口38への入賞に係る保留情報が優先して消化される構成を適用してもよい。
また、上記構成において、複数の作動口が上下に並設されているのではなく、上作動口38に対応した第1作動口と、下作動口39に対応した第2作動口とが左右に並設された構成としてもよく、これら両作動口が斜めに並設された構成としてもよい。さらにまた、発射ハンドル27の操作態様に応じて、第1作動口への入賞のみ又は第2作動口への入賞のみを狙えるように、両作動口を離間して配置する構成としてもよい。
また、上記構成において、メイン表示部43に、上作動口38への入賞に基づき取得された保留情報の当否判定の結果を表示する第1表示領域と、下作動口39への入賞に基づき取得された保留情報の当否判定の結果を表示する第2表示領域とを設けてもよい。この場合、上作動口38への入賞に基づき取得された保留情報が当否判定の対象となることに先立って又は当否判定の対象となったことに基づいて、第1表示領域において絵柄の変動表示が開始されるとともに当該当否判定に対応した停止結果を表示し係る1遊技回の変動表示が終了される。また、下作動口39への入賞に基づき取得された保留情報が当否判定の対象となることに先立って又は当否判定の対象となったことに基づいて、第2表示領域において絵柄の変動表示が開始されるとともに当該当否判定に対応した停止結果を表示し係る1遊技回の変動表示が終了される。
(10)上作動口38への入賞に係る保留情報が当否判定の対象となった場合と、下作動口39への入賞に係る保留情報が当否判定の対象となった場合とで、遊技者が得られる利益が異なる構成としてもよい。また、作動口を複数設ける構成においては、作動口の数は2個に限定されることはなく、3個以上であってもよい。また、作動口が1個のみ設けられた構成としてもよい。
(11)遊技回用の演出が実行される装置は、図柄表示装置51に限定されることはなく、可動式に設けられた装飾部材が動作することで遊技回用の演出が実行される構成としてもよく、所定の発光部を点灯させることで遊技回用の演出が実行される構成としてもよく、上記各態様の全部又は一部の組み合わせによって遊技回用の演出が実行される構成としてもよい。
(12)上記各実施の形態では、主制御装置60において当否判定が行われたことに基づいてメイン表示部43における一の遊技回が開始される構成としたが、これに限定されることはなく、主制御装置60において当否判定が行われる条件が成立した場合に実際に当否判定が行われるタイミングよりも前のタイミングで上記遊技回が開始され、その後に当否判定が行われたことに基づいてその遊技回におけるその後の表示態様、表示継続時間及び停止結果が決定される構成としてもよい。この場合、主制御装置60では遊技回の開始タイミングとなった場合に、先ず変動用コマンドを送信し、その後に当否判定、表示継続時間の決定及び種別判定を行った場合に、時間コマンド及び種別コマンドを送信する構成としてもよく、これら時間コマンド及び種別コマンドの送信タイミングもずれている構成としてもよい。
(13)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記各実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
特徴1.遊技者による発射操作に基づいて、遊技領域に向けて遊技球を発射する発射手段(遊技球発射機構81)と、
前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球し易い第1状態とそれよりも入球しにくい第2状態とに切り換わり可能な可変入球手段(第1の実施の形態では第1可変入賞装置36及び第2可変入賞装置37、第2の実施の形態では可変入賞装置111)と、
当該可変入球手段を前記第1状態とした後に前記第2状態に切り換える可変入球制御を実行する可変入球制御手段(MPU62における大入賞口開閉処理を実行する機能)と、
前記可変入球手段に遊技球が入球したことに基づいて、遊技者に特典を付与する特典付与手段(MPU62における入賞検知処理を実行する機能、払出制御装置70及び払出装置71)と、
予め定められた条件が成立したことに基づいて、遊技状態を移行させるか否かの判定を行う移行判定手段(MPU62における変動開始処理を実行する機能)と、
当該移行判定手段の判定結果が遊技状態を移行させることに対応した判定結果となったことに基づいて、前記可変入球制御が実行されるとともに前記可変入球手段への遊技球の入球個数が上限個数となった場合に終了されるように制御されるラウンド遊技を複数有して構成された特別遊技状態(開閉実行モード)に設定する特定制御設定手段(MPU62における遊技状態移行処理を実行する機能)と、
を備えている遊技機において、
前記可変入球手段は、前記第1状態である場合に遊技球が入球可能な入球部(第1の実施の形態では第1大入賞口36a及び第2大入賞口37a、第2の実施の形態では開口部115,116)を複数備えるとともに、当該入球部に入球した遊技球を検知する検知手段(第1の実施の形態では第1大入賞口検知センサ36e及び第2大入賞口検知センサ37e、第2の実施の形態では検知センサ119a,119b)を各入球部に対応させて複数備えており、
さらに、前記可変入球制御手段は、前記ラウンド遊技において入球を可能とする入球部を前記複数の入球部の中から選択し、さらに前記特別遊技状態における連続する2回のラウンド遊技において先側のラウンド遊技を終了する場合に入球が可能であった入球部を、後側のラウンド遊技を開始する場合に入球可能対象として選択することなく他の入球部を選択する選択手段(MPU62における大入賞口開放処理を実行する機能)を備え、
前記ラウンド遊技において入球可能対象として選択されている入球部に遊技球が入球したことが当該入球部に対応した前記検知手段にて検知された場合に、その検知された遊技球数を、前記上限個数となったことを確認するために用いられる個数情報に反映させる一方、前記入球可能対象として選択されていない入球部に遊技球が入球したことが前記各検知手段の検知結果に基づき特定されたとしても当該入球の発生を前記個数情報に反映させない個数情報計測手段(MPU62におけるステップS714〜ステップS716の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、連続する2回のラウンド遊技において先側のラウンド遊技を終了する場合に入球が可能であった入球部は、後側のラウンド遊技を開始する場合に入球可能対象として選択されないことがあり、この場合、ラウンド遊技において入球可能対象として選択されていない入球部への入球が発生したことが特定されたとしても上限個数のカウントに反映されない。これにより、先側のラウンド遊技において上限個数を超えた分の入球が発生した場合においてその超えた分の入球の影響が後側のラウンド遊技における上限個数のカウントに影響を及ぼしてしまわないようにしながら、ラウンド遊技間の時間の短縮化を図ることが可能となる。
また、各入球部に対応させて検知手段が設けられているため、入球部への入球が特定された場合においてそれが現状入球可能対象となっている入球部に係るものであるか否かを検知手段の種類に応じて判断することが可能となる。つまり、入球部への入球を特定した場合においてそれを上限個数のカウントとして利用するか否かの判断を簡易的に行うことが可能となる。
以上より、ラウンド遊技間の時間の短縮化を好適に実現することが可能となる。
なお、「選択手段」は、「連続する2回のラウンド遊技において先側のラウンド遊技を終了する場合に入球が可能であった入球部を、後側のラウンド遊技を開始する場合に入球可能対象として選択することなく他の入球部を選択する」ことを、1回の特別遊技状態に含まれる全てのラウンド遊技に対して行う構成に限定されることはなく、1回の特別遊技状態に含まれるラウンド遊技のうち一部のラウンド遊技に対してのみ行い、それ以外のラウンド遊技では連続するラウンド遊技間で同一の可変入球手段が開放対象とされる構成としてもよい。
特徴2.前記特典付与手段は、前記検知手段にて遊技球が検知されたことを特定したタイミングにおいて、その検知手段に対応した入球部が前記入球可能対象として選択されていなかったとしても、前記特典を付与するものであることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
特徴2によれば、上記特徴1の構成を備えラウンド遊技において入球可能対象として選択されていない入球部への入球が発生したことが特定されたとしても上限個数のカウントに反映されないようにした構成であっても、所定のラウンド遊技において上限個数を超えた分の遊技球の入球が発生した場合にはその超えた分に対する特典の付与は担保される。
特徴3.前記可変入球手段は、前記入球部を前記第1状態と前記第2状態とに切り換える開閉手段(第1開閉扉36b及び第2開閉扉37b)を各入球部に対応させて備えており、
前記開閉手段及び前記入球部の各組み合わせはそれぞれ前記遊技領域において異なる位置に配置されていることを特徴とする特徴1又は2に記載の遊技機。
特徴3によれば、入球可能対象とする入球部を切り換える際には制御対象とする開閉手段を変更するだけでよいため、処理負荷の軽減が図られる。
特徴4.前記選択手段は、前記第1状態とする前記切換手段を予め定められた所定の順序に従って選択するとともに、その所定の順序による選択を同一の前記特別遊技状態中において繰り返すものであることを特徴とする特徴3に記載の遊技機。
特徴4によれば、特別遊技状態中において入球可能対象とする入球部の切り換えは所定の順序に従って行うだけでよいため、処理負荷の軽減が図られる。
特徴5.連続する前記ラウンド遊技間の開始待機時間が設定されていない、又は当該開始待機時間は、前記先側のラウンド遊技が終了する場合に入球可能対象であった入球部に入球したことの前記特典付与手段における把握が前記後側のラウンド遊技が開始された後に生じ得るように設定されていることを特徴とする特徴1乃至4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴5によれば、ラウンド遊技間の時間の短縮化が図られる。そして、上記特徴1等の構成を備えているため、当該短縮化を好適に実現することが可能となる。
特徴6.連続する前記ラウンド遊技間の開始待機時間は、
前記先側のラウンド遊技が終了する場合に入球可能対象であった入球部に入球したことの前記特典付与手段における把握が前記後側のラウンド遊技が開始された後に生じ得るように設定されているとともに、
前記先側のラウンド遊技が終了する場合に入球可能対象であった入球部への入球が可能な状態と、前記後側のラウンド遊技が開始される場合に入球可能対象となった入球部への入球が可能な状態とが重複して発生しないように設定されていることを特徴とする特徴1乃至5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴6によれば、ラウンド遊技間の時間の短縮化が図られる。そして、上記特徴1等の構成を備えているため、当該短縮化を好適に実現することが可能となる。さらにまた、先側のラウンド遊技が終了する場合に入球可能対象であった入球部への入球が可能な状態と、後側のラウンド遊技が開始される場合に入球可能対象となった入球部への入球が可能な状態とが重複して発生しないため、各ラウンド遊技を明確に区別して遊技者に認識させることは担保される。
特徴7.前記遊技領域には、前記移行判定手段の判定結果を報知するための演出が行われる表示装置(図柄表示装置51)が設けられているとともに、当該表示装置よりも下方の位置には前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な始動入球部(上作動口38及び下作動口39)を備え、
前記移行判定手段は、前記始動入球部に遊技球が入球したことに基づいて、前記予め定められた条件が成立したとして、遊技状態を移行させるか否かの判定を行い、
前記各入球部は前記始動入球部の高さ位置以上の位置に配置されていることを特徴とする特徴1乃至6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴7によれば、可変入球手段として複数の入球部が設けられた構成において、各入球部は始動入球部の高さ位置以上の位置に配置されているため、遊技球が発射されてから各入球部に遊技球が入球するまでの時間の短縮化が図られる。
特徴8.前記複数の入球部に含まれる第1入球部及び第2入球部は、発射操作態様を変更しなくても両方の入球を狙うことが可能な位置に設けられているとともに、第1入球部が第2入球部に対して遊技球の流下方向の上流側に配置されており、
前記第1入球部付近に到達したものの当該第1入球部に入球しなかった遊技球を前記第2入球部側に誘導する誘導手段(第1ガイドプレート58)を備えていることを特徴とする特徴1乃至7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴8によれば、可変入球手段として第1入球部及び第2入球部が設けられた構成において、遊技者は発射操作態様を変更しなくても第1入球部及び第2入球部の両方の入球を狙うことが可能であるとともに、下流側に配置されている第2入球部への入球が発生しづらくなることもない。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。