JP5530209B2 - 伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5530209B2
JP5530209B2 JP2010024228A JP2010024228A JP5530209B2 JP 5530209 B2 JP5530209 B2 JP 5530209B2 JP 2010024228 A JP2010024228 A JP 2010024228A JP 2010024228 A JP2010024228 A JP 2010024228A JP 5530209 B2 JP5530209 B2 JP 5530209B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ferrite
less
tempered martensite
particles
interface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010024228A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011162813A (ja
Inventor
俊夫 村上
エライジャ 柿内
英雄 畠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2010024228A priority Critical patent/JP5530209B2/ja
Publication of JP2011162813A publication Critical patent/JP2011162813A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5530209B2 publication Critical patent/JP5530209B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

本発明は、自動車部品等に用いられる加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法に関し、詳細には、伸び(全伸び)と伸びフランジ性のバランスが改善された高強度鋼板およびその製造方法に関する。
例えば自動車の骨格部品などに使用される鋼板には、衝突安全性や車体軽量化による燃費軽減などを目的として高強度が求められるとともに、形状の複雑な骨格部品に加工するために優れた成形加工性も要求される。
このため、引張強度(TS)980MPa級以上の高強度鋼板であって、伸び(全伸び;El)と伸びフランジ性(穴広げ率;λ)のバランスが改善された高強度鋼板の提供が切望されており、例えば、引張強度TSが980MPa以上で、TS×Elが15000MPa・%以上、かつ、TS×El×λが1000000MPa・%・%以上(より好ましくは、引張強度TSが980MPa以上で、TS×Elが17500MPa・%以上、かつ、TS×El×λが1300000MPa・%・%以上)のものが要望されている。
上記のようなニーズを受けて、種々の組織制御の考え方に基づき、伸びと伸びフランジ性のバランスを改善した高強度鋼板が多数提案されているものの、伸びと伸びフランジ性のバランスが上記要望レベルを満足するように両立させたものはまだ少ないのが現状である。
例えば、特許文献1には、Mn、CrおよびMoの少なくとも1種を合計で1.6〜2.5質量%含有し、実質的にマルテンサイトの単相組織からなる高張力冷延鋼板が開示されており、引張強度980MPa級の鋼板において、その穴広げ率(伸びフランジ性)λは100%以上が得られているものの、伸びElは10%に達しておらず、上記要望レベルは満足していない(同文献の表6の本発明例参照)。
また、特許文献2には、フェライトが面積率で65〜85%で残部が焼戻しマルテンサイトの二相組織からなる高張力鋼板が開示されている。
また、特許文献3には、フェライトおよびマルテンサイトの平均結晶粒径がともに2μm以下であり、マルテンサイトの体積率が20%以上60%未満の二相組織からなる高張力鋼板が開示されている。
上記特許文献2および3に開示された高張力鋼板はいずれも、変形能の高いフェライトを多量に混入させることで、10%を超える伸びを確保し、上記要望レベルを満足するものも存在する(特許文献2の表2の発明例、特許文献3の表2および表4の実施例参照)。しかしながら、これらの高張力鋼板に係る発明は、フェライトと硬質第2相の面積比率、さらにはこれら両相の粒径を制御することを特徴とするものの、フェライトの分散形態や硬質第2相である焼戻しマルテンサイトの下部組織であるセメンタイト粒子の分布状態の制御をも行うことを特徴とする本願発明とは明らかに技術思想を異にするものである。
一方、硬質第2相の下部組織制御の考えを採り入れた先行技術としては、例えば、特許文献4には、焼戻しマルテンサイト単相または焼戻しマルテンサイトとフェライトの二相組織からなり、焼戻し条件を制御することにより焼戻しマルテンサイト中のセメンタイトを微細化することで引張強度を維持しつつ伸びフランジ性を改善した高強度冷延鋼板が開示されている。フェライトを導入することで伸びをも改善しうると考えられるが、本鋼板の焼鈍条件はオーステナイト単相温度域からの冷却であることから、オーステナイトから変態して生成したフェライト粒子同士が連結し、発生した亀裂が伝播しやすくなるため、伸びフランジ性が確保できなくなり、伸びと伸びフランジ性のバランスとしての目標特性が得られない。
また、フェライトの分散形態制御の考えを採り入れた先行技術としては、例えば、特許文献5には、フェライトを硬質第二相で取り囲んで孤立分散させることで、亀裂の伝播を抑制し、伸びと伸びフランジ性のバランスを改善した複合組織鋼板が開示されている。しかしながら、硬質第二相の下部組織の制御がなされていないために、十分な伸びと伸びフランジ性のバランスが得られない。
特開2002−161336号公報 特開2004−256872号公報 特開2004−232022号公報 特許第434225号公報 特開2005−154813号公報
そこで本発明の目的は、伸びと伸びフランジ性のバランスを改善した、より成形性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、
質量%で(以下、化学成分について同じ。)、
C:0.10〜0.25%、
Si:0.90〜2.40%、
Mn:1.50〜2.50%、
Al:0.10〜0.80%、
P:0.050%以下(0%を含む)、
S:0.050%以下(0%を含む)、
N:0.010%以下(0%を含む)、
Ca:0.0100%以下(0%を含む)
を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなり、
かつ、下記式1で定義されるTγ50(℃)が835〜950℃となる成分組成を有し、
フェライトを面積率で25〜75%含み、
残部が焼戻しマルテンサイトからなり、かつ、前記フェライトの存在形態を規定する、下記式2で定義されるフェライト同士連結率が、0.25以下である組織を有し、
前記フェライトの引張強度に対する前記焼戻しマルテンサイトの引張強度の倍率で定義される焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比が4以下であり、
前記焼戻しマルテンサイト中に存在する、円相当直径0.1μm以上のセメンタイト粒子の分散状態が、前記焼戻しマルテンサイト1mm当たり500個以下である、
ことを特徴とする伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板である。
式1:Tγ50=816.5−101.5√[C]+36.9[Si]−20.35[Mn]+200[Al]
ただし、[C]、[Si]、[Mn]および[Al]は、それぞれC、Si、MnおよびAlの含有量(質量%)を意味する。
式2:「フェライト同士連結率」=「フェライト粒子同士の界面との交点数」/(「フェライト粒子同士の界面との交点数」+「フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面との交点数」)
ただし、「フェライト粒子同士の界面との交点数」は、面積40000μm以上の領域において、総長1000μmの線分が、フェライト粒子同士の界面と交差する点の数であり、「フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面との交点数」は、上記総長1000μmの線分が、フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面と交差する点の数である。
請求項2に記載の発明は、
請求項1に示す成分組成を有する鋼材を、下記(1)〜(4)に示す各条件で、熱間圧延した後、冷間圧延し、その後、焼鈍し、さらに焼戻しすることを特徴とする請求項1に記載の伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板の製造方法である。
(1) 熱間圧延条件
巻取温度:500℃以下
(2) 冷間圧延条件
冷間圧延率:20%以上
(3) 焼鈍条件
上記冷間圧延後の温度から800℃までの温度域を1〜15℃/sの加熱速度で加熱し、焼鈍加熱温度:[(50×Tγ50+50×Ac1)/100]〜[(50×Tγ50+50×Ac3)/100]に焼鈍保持時間:3600s以下保持した後、該焼鈍加熱温度から500℃までを20℃/s以上の第1冷却速度で急冷した後、500℃から200℃までを200℃/s以上の第2冷却速度で急冷する。
(4) 焼戻し条件
焼戻し加熱温度Ttemp:300〜550℃にて、焼戻し保持時間ttemp:600s以下で、かつ、下記式2で定義される焼戻しパラメータξが15000〜19000となる時間保持する。
式2:ξ=(Ttemp+273)・〔log(ttemp)+20〕
本発明によれば、フェライトと焼戻しマルテンサイトからなる二相組織鋼において、フェライトを焼戻しマルテンサイトで取り囲んで孤立分散させるとともに、該フェライトと焼戻しマルテンサイトの強度比を制御し、さらに、焼戻しマルテンサイト中に存在するセメンタイト粒子の分布状態を制御することで、伸びを確保しつつ、伸びフランジ性を改善することが可能となり、伸びと伸びフランジ性のバランスが高められた、より成形性に優れた高強度鋼板を提供できるようになった。
組織中におけるフェライトと焼戻しマルテンサイトの分布状態を示す図であり、(a)は比較鋼、(b)は発明鋼である。
本発明者らは、フェライトと焼戻しマルテンサイトからなる二相組織を有する高強度鋼板に着目し、伸びを確保しつつ伸びフランジ性を改善できれば、上記要望レベルを満足しうる高強度鋼板が得られると考え、引張強度(以下、単に「強度」ともいう。)と伸びと伸びフランジ性の間のバランスに及ぼす各種要因の影響を調査するなど鋭意検討を行ってきた。その結果、フェライトの割合のみならず、該フェライトの存在形態をできるだけ焼戻しマルテンサイトで取り囲まれた孤立分散された状態になるように制御するとともに、該フェライトと焼戻しマルテンサイトの強度比を制御し、さらに、焼戻しマルテンサイト中に存在するセメンタイト粒子を微細化することで、伸びを確保しつつ伸びフランジ性を向上できることを見出した。
ところで、上記のような組織を実現するには、二相域加熱にてフェライトが孤立したフェライト−オーステナイトの二相組織にし、これを焼鈍・焼戻しする必要がある。そして、焼戻しマルテンサイト中に粗大化したセメンタイト粒子を存在させないためには、鋼材の溶製時にもともと存在していたセメンタイトを二相域加熱の際に溶解させてしまう必要がある。しかしながら、従来鋼の成分系では二相域加熱の温度領域(Ac1〜Ac3間)においては二相域加熱前に存在していたセメンタイトを完全に溶解することができず、粗大なセメンタイトが焼戻しマルテンサイト中に残存し、これが破壊の起点となるため、局部伸びや伸びフランジ性に悪影響を及ぼしていた。
そこで、本発明者らは、二相域加熱前に存在するセメンタイトを完全に溶解するためには、フェライト−オーステナイトの割合を適正に保ちつつ、二相域加熱(焼鈍)を従来鋼より高温で行う必要があると考え、さらに検討を進め、以下の結論に到達した。
つまり、Ac1点とAc3点をより高温側に移動させて、適正なフェライト面積率が得られるように焼鈍加熱温度を上昇させることが有効である。Ac1点とAc3点をより高温側に移動させる具体的手段として、鋼板の機械的特性を確保するために添加されているC、Si、Mnなどの調整に加え、強力なフェライト形成元素であるAlを積極的に添加することで、焼鈍加熱温度の適正化が可能になり、粗大なセメンタイトの生成を防止することが可能になることを見出した。
上記鋼板の組織制御に関する知見、ならびに、それを実現するための成分設計および熱処理条件に関する知見に基づいて本発明を完成するに至った。
以下、まず本発明鋼板を特徴づける組織について説明する。
〔本発明鋼板の組織〕
上述したとおり、本発明鋼板は、上記特許文献2〜5と同様の、フェライトと焼戻しマルテンサイトからなる二相組織をベースとするものであるが、特に、フェライトを焼戻しマルテンサイトで取り囲んで孤立分散させるとともに、該フェライトと焼戻しマルテンサイトの強度比を制御し、さらに、焼戻しマルテンサイト中に存在するセメンタイト粒子の分布状態を制御している点で、上記特許文献2〜5の鋼板とは相違している。
<フェライト:面積率で25〜75%、残部:焼戻しマルテンサイト>
フェライトと焼戻しマルテンサイトからなる二相組織鋼では、変形は主として変形能の高いフェライトが受け持つ。そのため、フェライトと焼戻しマルテンサイトからなる二相組織鋼の伸びは主としてフェライトの面積率で決定される。
目標とする伸びを確保するためには、フェライトの面積率は25%以上(好ましくは30%以上、さらに好ましくは35%以上)が必要である。ただし、フェライトが過剰になると強度が確保できなくなるので、フェライトの面積率は75%以下(好ましくは70%以下、さらに好ましくは65%以下)とする。
<前記フェライトの存在形態を規定するフェライト同士連結率が0.25以下>
フェライトと焼戻しマルテンサイトからなる二相組織鋼においては、強度と伸びのバランスは、フェライトの面積率だけでなく、フェライトの存在形態にも依存する。すなわち、フェライト粒子同士が連結している状態では、変形能の高いフェライト側に応力が集中し、変形をフェライトのみが担うため、強度と伸びの適切なバランスが得られにくい。一方、フェライト粒子が焼戻しマルテンサイト粒に囲まれていると、この焼戻しマルテンサイト粒子が強制的に変形させられるため、該焼戻しマルテンサイト粒子も変形を担うようになり、強度と伸びのバランスが改善される。
上記フェライトの存在形態は、下記式(2)で定義される「フェライト同士連結率」で評価することができる。
「フェライト同士連結率」=「フェライト粒子同士の界面との交点数」/(「フェライト粒子同士の界面との交点数」+「フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面との交点数」) ・・・式(2)
ただし、「フェライト粒子同士の界面との交点数」は、面積40000μm以上の領域において、総長1000μmの線分が、フェライト粒子同士の界面と交差する点の数であり、「フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面との交点数」は、上記総長1000μmの線分が、フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面と交差する点の数である。
<前記フェライトの引張強度に対する前記焼戻しマルテンサイトの引張強度の倍率で定義される焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比が4以下>
上記のようにフェライトの存在形態に関する要件を満足させることでフェライト中の亀裂伝播を抑制できた場合、次に破壊の起点になるのは、フェライトと焼戻しマルテンサイトの界面である。焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比が高くなるとフェライトと焼戻しマルテンサイトの界面に歪が集中しやすくなり、早期に破壊が発生し、局所伸びや伸びフランジ性が低下する。
伸びや伸びフランジ性を確保するためには、焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比は、4以下、好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3以下に制限する。
<前記焼戻しマルテンサイト中に存在する、円相当直径0.1μm以上のセメンタイト粒子の分散状態:前記焼戻しマルテンサイト1mm当たり500個以下>
上記のように焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比に関する要件を満足させることでフェライトと焼戻しマルテンサイトの界面における歪の集中を抑制できた場合、次に破壊の起点になるのは、フェライトと界面を接する焼戻しマルテンサイト中に析出したセメンタイトになる。このセメンタイト粒子が粗大になると変形時の応力集中が過大となり伸びフランジ性が確保できなくなるので、伸びフランジ性を確保するためには、セメンタイト粒子のサイズと存在密度を制御する必要がある。
伸びフランジ性を確保するためには、円相当直径0.1μm以上の粗大なセメンタイト粒子は、焼戻しマルテンサイト1mm当たり500個以下、好ましくは400個以下、さらに好ましくは300個以 下に制限する。
以下、各相の面積率、フェライト同士連結率、焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比、セメンタイト粒子のサイズおよびその存在密度、ならびに、フェライトの存在形態の各測定方法について説明する。
〔各相の面積率の測定方法〕
まず、各相の面積率については、各供試鋼板を鏡面研磨し、3%ナイタール液で腐食して金属組織を顕出させた後、概略40μm×30μm領域5視野について倍率2000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察し、点算法で1視野につき100点の測定を行い、コントラストの暗い領域(黒色部)をフェライトとし、残りの領域を焼戻しマルテンサイトとして、各領域の面積比率よりフェライトの面積率を算出した。
〔セメンタイト粒子のサイズおよびその存在密度の測定方法〕
セメンタイト粒子のサイズおよびその存在密度については、各供試鋼板の抽出レプリカサンプルを作成し、2.4μm×1.6μmの領域3視野について倍率50000倍の透過型電子顕微鏡(TEM)像を観察し、画像のコントラストから白い部分をセメンタイト粒子と判別してマーキングし、画像解析ソフトにて、前記マーキングした各セメンタイト粒子の面積Aから円相当直径D(D=2×(A/π)1/2)を算出するとともに、単位面積あたりに存在する所定のサイズのセメンタイト粒子の個数を求めた。なお、複数個のセメンタイト粒子が重なり合う部分は観察対象から除外した。
〔フェライトの存在形態の測定方法〕
圧延方向から組織観察できるように各供試鋼板を圧延方向に垂直に切断して試料を切り出し、これを鏡面に研磨し、3%ナイタール液で腐食して金属組織を顕出させた後、走査型電子顕微鏡(SEM)にて2000倍で組織観察を行う。そして、図1に示すように、板面方向(ND)が上下、圧延方向に垂直な方向(TD)が左右になるように撮影し、この組織写真中に5μm間隔でTD方向に平行な線分を総長で1000μm以上になるように引き、これらの線分と、フェライト粒子同士の界面との交点(□(白抜き)で囲んだ点)およびフェライトと焼戻しマルテンサイトの界面との交点(○で囲んだ点)の数をそれぞれ求める。そして、上記式(2)にて「フェライト同士連結率」を算出する。「フェライト同士連結率」の値が小さいということは、フェライト粒子とフェライト粒子が連続している領域が少ないこと、つまり、フェライト粒子が連続せず、焼戻しマルテンサイトに囲まれ、孤立分散していることを示している。
〔焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比の測定方法〕
焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比は、フェライトの引張強度TSに対する焼戻しマルテンサイトの引張強度TSの倍率TS/TSで定義されるが、下記式(3)で算出できる。
TS/TS=〔(100×3.3×Hv−TS×V)/V〕/TS ・・・式(3)
ここに、TS=294+27.7[Si]+83.2[Mn]+7.7(D/1000)−0.5
ただし、Hv:JIS Z 2244の試験方法に従って測定された、鋼板表面のビッカース硬さ(98.07N)、V:フェライトの面積率(%)、V:焼戻しマルテンサイトの面積率(%)、D:JIS G0552に規定された切断法により粒度番号Gを求め、これから1mm当たりの結晶粒数mを算出し、平均結晶粒径dmに換算して求めた、フェライト平均粒径(μm)、[Si]:Si含有量(質量%)、[Mn]:Mn含有量(質量%)である。
(なお、上記式(3)は、藤田利夫ら訳:「鉄鋼材料の設計と理論」(丸善株式会社)、昭和56年9月30日発行に記載の低炭素鋼の引張強度に及ぼす固溶強化および微細化強化の効果に関する数式から、フェライトの固溶強化および微細化強化の項を抽出するとともに、鋼板の引張強度は各組織の引張強度の加算則で決定されるという仮定の下、導出を行ったものである。)
次に、本発明鋼板を構成する成分組成について説明する。以下、化学成分の単位はすべて質量%である。
〔本発明鋼板の成分組成〕
C:0.10〜0.25%
Cは、焼戻しマルテンサイトの面積率および該焼戻しマルテンサイト中に析出するセメンタイト量に影響し、強度、伸びおよび伸びフランジ性に影響する重要な元素である。0.10%未満では強度が確保できなくなる。一方、0.25%超では焼戻しマルテンサイトの強度と焼戻し中におけるセメンタイトの粗大化防止が両立できなくなる。C含有量の範囲は、好ましくは0.12〜0.23%、さらに好ましくは0.14〜0.21%である。
Si:0.90〜2.40%
固溶強化により伸びと伸びフランジ性を低下させずに引張強度を高められる有用な元素である。0.90%未満では固溶強化量が減少し、フェライトの強度が低下する。一方、2.40%超ではフェライトが強化されすぎて延性が低下する。Si含有量の範囲は、好ましくは1.10〜2.20%、さらに好ましくは1.30〜2.10%である。
Mn:1.50〜2.50%
Mnは、固溶強化によって鋼板の引張強度を高くするとともに、鋼板の焼入れ性を向上させ、低温変態相の生成を促進する効果を有し、マルテンサイト面積率を確保するために有用な元素である。1.5%未満では固溶強化量が不足するとともに、焼入れ性が低下し適切な組織分率のフェライト−焼戻しマルテンサイト組織を確保できなくなる。一方、2.50%超とすると逆変態温度(Ac1点およびAc3点)を低下させるとともに、セメンタイトにMnが溶け込み、セメンタイトの溶解を抑制するため、二相域加熱時に粗大セメンタイトが残存し、伸びフランジ性が低下する。Mn含有量の範囲は、好ましくは1.70〜2.30%、さらに好ましくは1.80〜2.10%である。
Al:0.10〜0.80%
Alは強力なフェライト形成元素であり、逆変態温度(Ac1点およびAc3点)を上昇させるのに有用な元素である。0.10%未満では下記式(1)で定義されるTγ50を十分に高めることができず、焼戻し加熱時にセメンタイトの粗大化を十分に抑制できない。一方、0.80%超では脆いFe−Al化合物が形成されるため、伸びが確保できなくなる。Al含有量の範囲は、好ましくは0.15〜0.70%、さらに好ましくは0.20〜0.60%である。
P:0.050%以下(0%を含む)
Pは不純物元素として不可避的に存在し、固溶強化により強度の上昇に寄与するが、 旧オーステナイト粒界に偏析し、粒界を脆化させることで伸びフランジ性を劣化させるので、0.050%以下とする。好ましくは0.030%以下、さらに好ましくは0.020%以下である。
S:0.050%以下(0%を含む)
Sも不純物元素として不可避的に存在し、MnS介在物を形成し、穴拡げ時に亀裂の起点となることで伸びフランジ性を低下させるので、0.050%以下とする。好ましくは0.030%以下、さらに好ましくは0.020%以下である。
N:0.010%以下(0%を含む)
Nも不純物元素として不可避的に存在し、歪時効により伸びと伸びフランジ性を低下させるので、低い方が好ましく、0.010%以下とする。
Ca:0.0100%以下(0%を含む)
Caは、介在物であるMnSを微細化し、破壊の起点を減少させることで、伸びフランジ性を向上させるのに有用な元素である。0.0100%を超える添加では介在物が粗大化し、伸びフランジ性が低下する。
下記式(1)で定義されるTγ50(℃):850〜950℃
γ50=816.5−101.5√[C]+36.9[Si]−20.35[Mn]+200[Al] ・・・式(1)
ただし、[C]、[Si]、[Mn]および[Al]は、それぞれC、Si、MnおよびAlの含有量(質量%)を意味する。
ここに、Tγ50は、適正なフェライト−オーステナイト面積率を確保するための二相域加熱温度の指標であり、オーステナイトが面積率で50%となる目安の温度である、Ac1とAc3の中間値(Ac1+Ac3)/2であり、Ac1およびAc3については、レスリー著、「鉄鋼材料科学」、幸田成靖 訳、丸善株式会社、1985年、p.273に記載の回帰式を用いて導出したものである。
本発明の鋼は上記成分を基本的に含有し、残部が実質的に鉄及び不可避的不純物である。
次に、本発明鋼板を得るための好ましい製造方法を以下に説明する。
〔本発明鋼板の好ましい製造方法〕
上記のような冷延鋼板を製造するには、まず、上記成分組成を有する鋼を溶製し、造塊または連続鋳造によりスラブとしてから熱間圧延(以下、「熱延」ともいう。)を行う。
[熱間圧延条件]
熱間圧延条件としては、仕上げ圧延の終了温度をAr点以上に設定し、適宜冷却を行った後、500℃以下で巻き取る。
<巻取温度:500℃以上>
巻取温度が500℃を超えるとパーライトやベイナイトのような粗大なセメンタイトを含む組織が形成され、二相域焼鈍加熱時に粗大セメンタイトが溶解しなくなり、伸びフランジ性が低下する。より好ましい巻取温度は450℃以下である。
[冷間圧延条件]
熱間圧延終了後は酸洗してから冷間圧延(以下、「冷延」ともいう。)を行うが、冷間圧延率(以下、「冷延率」ともいう。)は20%以上とするのがよい。
<冷間圧延率:20%以上>
冷間圧延を十分に施すことにより偏平化した結晶粒を焼鈍加熱時に再結晶させることで等軸状のフェライトを作りこみ、二相域加熱時にフェライト粒界にオーステナイトを形成させることでフェライト粒子を孤立化することが実現できる。冷間圧延率が20%未満では、焼鈍加熱時に再結晶が起こりにくくなり、孤立したフェライトが十分に得られず、伸びおよび伸びフランジ性が低下する。より好ましい冷間圧延率は25%以上である。
そして、上記冷間圧延後、引き続き、焼鈍、さらには焼戻しを行う。
[焼鈍条件]
焼鈍条件としては、上記冷間圧延後の温度から800℃までの温度域を1〜15℃/sの加熱速度で加熱し、焼鈍加熱温度:[(50×Tγ50+50×Ac1)/100]〜[(50×Tγ50+50×Ac3)/100]に焼鈍保持時間:3600s以下保持した後、該焼鈍加熱温度から500℃までを20℃/s以上の第1冷却速度で急冷した後、500℃から200℃までを200℃/s以上の第2冷却速度で急冷するのがよい。
<上記冷間圧延後の温度から800℃までの温度域を1〜15℃/sの加熱速度で加熱>
加熱中にフェライトの再結晶を起こさせる一方で、加熱中におけるセメンタイトの成長を防止し、二相域加熱時にセメンタイトが溶解できる範囲にセメンタイトのサイズを抑制するためである。1℃/s未満ではフェライトが再結晶できず逆変態時にフェライト同士が連結した状態で残存しやすくなり、伸びまたは伸びフランジ性が低下する。一方、15℃/s超になるとセメンタイトが粗大化し、二相域加熱時にセメンタイトが十分に溶解できず、伸びフランジ性が低下する。加熱速度のより好ましい範囲は2〜12℃/s、特に好ましい範囲は3〜10℃/sである。
<焼鈍加熱温度:[(50×Tγ50+50×Ac1)/100]〜[(50×Tγ50+50×Ac3)/100]に焼鈍保持時間:3600s以下保持>
焼鈍加熱時においてフェライトからオーステナイトへ変態させることにより適正なフェライト−オーステナイト面積率を確保するためである。焼鈍加熱温度が(50×Tγ50+50×Ac1)/100]未満では、焼鈍加熱時においてオーステナイトへの変態量が不足するため、その後の冷却時にオーステナイトから変態生成するマルテンサイトの量が確保できなくなり、一方、[(50×Tγ50+50×Ac3)/100]を超える加熱は、焼鈍加熱時においてオーステナイトへの変態量が過剰になりフェライトが不足する。
また、焼鈍保持時間が3600sを超えると、生産性が極端に悪化するので好ましくない。
焼鈍加熱温度のより好ましい範囲は[(60×Tγ50+40×Ac1)/100]〜[(60×Tγ50+40×Ac3)/100]、特に好ましい範囲は[(70×Tγ50+30×Ac1)/100]〜[(70×Tγ50+30×Ac3)/100]である。焼鈍加熱段階でフェライトとオーステナイトの混合組織にすると、フェライトがオーステナイトで囲まれた組織になるため、最終組織はフェライトが焼戻しマルテンサイトで囲まれた好ましい組織になる。
焼鈍加熱保持時間の好ましい下限は60sである。
<該焼鈍加熱温度から500℃までを20℃/s以上の第1冷却速度で急冷した後、500℃から200℃までを200℃/s以上の第2冷却速度で急冷>
冷却中にオーステナイトから、フェライトが形成される温度域(500℃以上)とベイナイトが形成される温度域(500℃未満)を急冷することで、フェライト−マルテンサイト組織を得るためである。
第1冷却速度を20℃/s未満とすると、フェライト粒子が成長し、フェライト粒子同士がぶつかり合い、フェライト同士連結率が上昇するため伸びおよび伸びフランジ性が低下する。 第1冷却速度は、より好ましくは25℃/s以上、とくに好ましくは30℃/sである。
第2冷却速度を200℃/s未満とすると、ベイナイトが形成されやすくなり、特に上部ベイナイトではセメンタイトが粗大に形成され、伸びフランジ性を劣化させる。
[焼戻し条件]
焼戻し条件としては、焼戻し加熱温度Ttemp:300〜550℃にて、焼戻し保持時間ttemp:600s以下で、かつ、下記式2で定義される焼戻しパラメータξが15000〜19000となる時間保持すればよい。
ξ=(Ttemp+273)・〔log(ttemp)+20〕 ・・・式(2)
焼戻しマルテンサイトの強度を適切に制御するとともに、焼戻しマルテンサイト中に形成されるセメンタイトを微細化するためである。焼戻し加熱温度Ttempが低すぎると、マルテンサイトの延性が十分に得られない。一方、焼戻し加熱温度Ttempが高すぎると、セメンタイトが粗大化しすぎて、伸びフランジ性が低下する。
また、焼戻し保持時間ttempが長すぎると、セメンタイトが粗大化しすぎて、伸びフランジ性が低下する。
また、焼戻しパラメータξが小さすぎると、マルテンサイトの強度が高くなりすぎて、伸びフランジ性が低下する。一方、焼戻しパラメータξが大きすぎると、マルテンサイトの強度が低下しすぎて、強度が確保できなくなる。
下記表1に示す成分の鋼を溶製し、厚さ120mmのインゴットを作成した。
これを表2に示す製造条件にて、熱間圧延で厚さ25mmにした後、再度、熱間圧延で厚さ3.2mmとし、これを酸洗した後、厚さ1.6mm(鋼No.20のみ厚さ2.88mm)に冷間圧延して供試材とし、熱処理(焼鈍、焼戻し)を施した。
熱処理後の各鋼板について、上記[発明を実施するための形態]の項で説明した測定方法により、各相の面積率、フェライト同士連結率、焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比、セメンタイト粒子のサイズおよびその存在密度、ならびに、フェライトの存在形態を測定した。
また、上記各鋼板について、引張強度TS、伸びEl、および伸びフランジ性λを測定した。なお、引張強度TSと伸びElは、圧延方向と直角方向に長軸をとってJIS Z 2201に記載の5号試験片を作成し、JIS Z 2241に従って測定を行った。また、伸びフランジ性λは、鉄連規格JFST1001に則り、穴拡げ試験を実施して穴拡げ率の測定を行い、これを伸びフランジ性とした。
測定結果を表3および表4に示す。
これらの表に示すように、発明鋼である鋼No.2〜4、7、8、11、15、17、18、27、31は、いずれも、本発明の成分規定および組織規定の要件をすべて満たすとともに、引張強度TSが980MPa以上で、TS×Elが15000MPa・%以上、かつ、TS×El×λが1000000MPa・%・%以上を充足し、上記[背景技術]の項で述べた要望レベルを満足する、伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板が得られた。
これに対して、比較鋼である鋼No.1、5、6、9、10、12〜14、16、19〜26、28〜30は、TSとTS×ElとTS×El×λの少なくともいずれかが劣っている。
例えば、鋼No.19〜26、28〜30は、製造条件のいずれかが推奨範囲を外れていることにより、本発明の組織を規定する要件のうち少なくとも一つを満たさず、TS、TS×El、TS×El×λの少なくともいずれかが劣っている。
また、鋼No.1、5、6、9、10、12〜14、16は、本発明の成分を規定する要件を満たさず、TS、TS×El、TS×El×λの少なくともいずれかが劣っている。
例えば、鋼No.1は、C含有量が低すぎることにより、フェライトの面積率が過大になりすぎるため、TS、TS×Elが劣っている。
一方、鋼No.5は、C含有量が高すぎることにより、TSは優れているものの、TS×El、TS×El×λが劣っている。
また、鋼No.6、9は、Si含有量が規定範囲を外れることにより、TSは優れているものの、TS×El、TS×El×λが劣っている。
また、鋼No.10は、Mn含有量が低すぎることにより、固溶強化量が不足するとともに、焼入れ性が低下し適切な組織分率のフェライト−焼戻しマルテンサイト組織を確保できなくなり、TS×El、TS×El×λは優れているものの、TSが劣っている。
一方、鋼No.12は、Mn含有量が高すぎることにより、逆変態温度(Ac1点およびAc3点)が低下して粗大セメンタイトが残存し、TS、TS×Elは優れているもののTS×El×λが劣っている。
また、鋼No.13は、Al含有量が低すぎることにより、逆変態温度(Ac1点およびAc3点)が低下して粗大セメンタイトが残存し、TS、TS×Elは優れているもののTS×El×λが劣っている。
一方、鋼No.16は、Tγ50が低すぎることにより、脆いFe−Al化合物が形成され、TS、TS×El、TS×El×λともに劣っている。
また、鋼No.14は、Tγ50が低すぎることにより、粗大セメンタイトが残存し、TS、TS×Elは優れているもののTS×El×λが劣っている。
ちなみに、比較鋼(鋼No.20)と発明鋼(鋼No.2)における、フェライトの存在形態を図1に例示する。図1はSEM観察の結果であり、黒色部がフェライト粒子、白色部が焼戻しマルテンサイト粒子である。この図から明らかなように、比較鋼では、フェライト粒子同士が連結している割合が大きいのに対し、発明鋼では、フェライト粒子はほとんどが焼戻しマルテンサイト粒子で取り囲まれ孤立分散しているのが認められる。

Claims (2)

  1. 質量%で(以下、化学成分について同じ。)、
    C:0.10〜0.25%、
    Si:0.90〜2.40%、
    Mn:1.50〜2.50%、
    Al:0.10〜0.80%、
    P:0.050%以下(0%を含む)、
    S:0.050%以下(0%を含む)、
    N:0.010%以下(0%を含む)、
    Ca:0.0100%以下(0%を含む)
    を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなり、
    かつ、下記式1で定義されるTγ50(℃)が835〜950℃となる成分組成を有し、
    フェライトを面積率で25〜75%含み、
    残部が焼戻しマルテンサイトからなり、
    かつ、前記フェライトの存在形態を規定する、下記式2で定義されるフェライト同士連結率が、0.25以下である組織を有し、
    前記フェライトの引張強度に対する前記焼戻しマルテンサイトの引張強度の倍率で定義される焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比が4以下であり、
    前記焼戻しマルテンサイト中に存在する、円相当直径0.1μm以上のセメンタイト粒子の分散状態が、前記焼戻しマルテンサイト1mm当たり500個以下である、
    ことを特徴とする伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板。
    式1:Tγ50=816.5−101.5√[C]+36.9[Si]−20.35[Mn]+200[Al]
    ただし、[C]、[Si]、[Mn]および[Al]は、それぞれC、Si、MnおよびAlの含有量(質量%)を意味する。
    式2:「フェライト同士連結率」=「フェライト粒子同士の界面との交点数」/(「フェライト粒子同士の界面との交点数」+「フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面との交点数」)
    ただし、「フェライト粒子同士の界面との交点数」は、面積40000μm以上の領域において、総長1000μmの線分が、フェライト粒子同士の界面と交差する点の数であり、「フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面との交点数」は、上記総長1000μmの線分が、フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面と交差する点の数である。
  2. 請求項1に示す成分組成を有する鋼材を、下記(1)〜(4)に示す各条件で、熱間圧延した後、冷間圧延し、その後、焼鈍し、さらに焼戻しすることを特徴とする請求項1に記載の伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
    (1) 熱間圧延条件
    巻取温度:500℃以下
    (2) 冷間圧延条件
    冷間圧延率:20%以上
    (3) 焼鈍条件
    上記冷間圧延後の温度から800℃までの温度域を1〜15℃/sの加熱速度で加熱し、焼鈍加熱温度:[(50×Tγ50+50×Ac1)/100]〜[(50×Tγ50+50×Ac3)/100]に焼鈍保持時間:3600s以下保持した後、該焼鈍加熱温度から500℃までを20℃/s以上の第1冷却速度で急冷した後、500℃から200℃までを200℃/s以上の第2冷却速度で急冷する。
    (4) 焼戻し条件
    焼戻し加熱温度Ttemp:300〜550℃にて、焼戻し保持時間ttemp:600s以下で、かつ、下記式2で定義される焼戻しパラメータξが15000〜19000となる時間保持する。
    式2:ξ=(Ttemp+273)・〔log(ttemp)+20〕
JP2010024228A 2010-02-05 2010-02-05 伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5530209B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010024228A JP5530209B2 (ja) 2010-02-05 2010-02-05 伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010024228A JP5530209B2 (ja) 2010-02-05 2010-02-05 伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011162813A JP2011162813A (ja) 2011-08-25
JP5530209B2 true JP5530209B2 (ja) 2014-06-25

Family

ID=44593856

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010024228A Expired - Fee Related JP5530209B2 (ja) 2010-02-05 2010-02-05 伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5530209B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013082171A1 (en) * 2011-11-28 2013-06-06 Arcelormittallnvestigacion Y Desarrollo S.L. High silicon bearing dual phase steels with improved ductility
JP5860343B2 (ja) * 2012-05-29 2016-02-16 株式会社神戸製鋼所 強度および延性のばらつきの小さい高強度冷延鋼板およびその製造方法
JP5829977B2 (ja) * 2012-06-05 2015-12-09 株式会社神戸製鋼所 降伏強度と成形性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法
WO2018188766A1 (de) * 2017-04-11 2018-10-18 Thyssenkrupp Steel Europe Ag Kaltgewalztes, haubengeglühtes stahlflachprodukt und verfahren zu dessen herstellung

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005213640A (ja) * 2004-02-02 2005-08-11 Kobe Steel Ltd 伸び及び伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板とその製法
JP4640130B2 (ja) * 2005-11-21 2011-03-02 Jfeスチール株式会社 機械特性ばらつきの小さい高強度冷延鋼板およびその製造方法
JP5189959B2 (ja) * 2007-11-22 2013-04-24 株式会社神戸製鋼所 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板
JP4324228B1 (ja) * 2008-04-03 2009-09-02 株式会社神戸製鋼所 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板
JP4324227B1 (ja) * 2008-03-10 2009-09-02 株式会社神戸製鋼所 降伏応力と伸びと伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011162813A (ja) 2011-08-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4324225B1 (ja) 伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板
JP5829977B2 (ja) 降伏強度と成形性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法
JP5457840B2 (ja) 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板
JP5363922B2 (ja) 伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板
JP6223905B2 (ja) 降伏強度と加工性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板
JP2012062558A (ja) 曲げ加工性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法
KR101740843B1 (ko) 고강도 강판 및 그 제조 방법
JP6252291B2 (ja) 鋼板及びその製造方法
JP2015124411A (ja) 熱延鋼板の製造方法
JP2010285636A (ja) 伸び、伸びフランジ性および溶接性を兼備した高強度冷延鋼板
JP2020020033A (ja) 鋼材およびその製造方法
WO2018030400A1 (ja) 鋼板
JP4324226B1 (ja) 降伏応力と伸びと伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板
JP2006002186A (ja) 延性と穴広げ加工性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法
JP2020059881A (ja) 鋼材およびその製造方法
JP5302840B2 (ja) 伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板
JP5466562B2 (ja) 伸びおよび曲げ性に優れた高強度冷延鋼板
JP5530209B2 (ja) 伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法
JP5483562B2 (ja) 伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板
JP5189959B2 (ja) 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板
WO2020080339A1 (ja) 薄鋼板およびその製造方法
JP2008297592A (ja) 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度鋼板およびその製造方法
JP2020012172A (ja) 鋼材およびその製造方法
JP5446900B2 (ja) 高い焼付硬化性と優れた伸びフランジ性を有する高張力熱延鋼板およびその製造方法
JP6042265B2 (ja) 降伏強度と成形性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110526

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140107

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140415

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140418

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5530209

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees