JP5466562B2 - 伸びおよび曲げ性に優れた高強度冷延鋼板 - Google Patents

伸びおよび曲げ性に優れた高強度冷延鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、自動車部品等に用いられる加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法に関し、詳細には、伸び(全伸び)と曲げ性が改善された高強度鋼板に関する。
例えば自動車の骨格部品などに使用される鋼板には、衝突安全性や車体軽量化による燃費軽減などを目的として高強度が求められるとともに、形状の複雑な骨格部品に加工するために優れた成形加工性も要求される。
このため、伸び(全伸び;El)および曲げ性が改善されるとともに、さらに成形性の方向依存性が小さい高強度鋼板の提供が切望されており、例えば、引張強度TSが1000MPa以上(望ましくは1200MPa以上)で、TS×Elが16000MPa・%以上(望ましくは18000MPa・%以上)、かつ、圧延方向の限界曲げ半径Rおよび圧延方向に直角な方向の限界曲げ半径Rがともに1.5mm以下(望ましくは0.5mm以下)で、該両方向の限界曲げ半径の差|R−R|が1.0mm以下のものが要望されている。
上記のようなニーズを受けて、種々の組織制御の考え方に基づき、強度と伸びと曲げ性のバランスを改善した高強度鋼板が提案されているものの、上記要望レベルを全て満足するようなものはまだ少ないのが現状である。
例えば、特許文献1には、鋼板表層にフェライト体積率90%以上で厚さが10〜100μmの軟質層を有し、中心部の組織は焼戻マルテンサイト体積率が30〜80%であり、0.5≦(焼戻マルテンサイト中のSi濃度)/(フェライト中のSi濃度)≦1.5である高強度冷延鋼板が開示されている。
この鋼板は、引張強度TSが1000MPa以上で、TS×Elが16000MPa・%以上、かつ、圧延方向の限界曲げ半径R(同文献の段落[0067]参照)が1.5mm以下を達成しているものの、圧延方向に直角な方向の限界曲げ半径Rcはもとより、圧延方向の限界曲げ半径Rと圧延方向に直角な方向の限界曲げ半径Rとの差|R−R|については何ら言及されておらず、上記要望レベルにおける成形性の方向依存性をも満足するか否かについては不明である(同文献の表3の発明例参照)。
また、特許文献2には、焼戻しマルテンサイトを面積率で50%以上(100%を含む)含み、残部がフェライトからなる組織を有し、前記フェライトの(110)結晶面の最大集積度が1.7以下である冷延鋼板が開示されている。
この鋼板は、フェライトの(110)結晶面の最大集積度を1.7以下とすることで、伸びの異方性を小さくして成形性の方向依存性を小さくするものであるが、フェライトの割合が少ないうえに、フェライトの連結度が高くなり、またフェライトの粒径が大きくなるので、強度と伸びのバランスを示す指標であるTS×Elが上記要望レベルを満たさず(同文献の表3参照)、また、曲げ性も上記要望レベルを満たさない可能性が高い。
特開2005−256044号公報 特開2009−127089号公報
そこで本発明の目的は、強度と伸びのバランスを改善しつつ、より曲げ性に優れた高強度冷延鋼板を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、
質量%で(以下、化学成分について同じ。)、
C:0.10〜0.25%、
Si:0.50〜2.40%、
Mn:1.00〜3.00%、
Al:0.001〜0.10%、
P:0.050%以下(0%を含む)、
S:0.050%以下(0%を含む)、
N:0.010%以下(0%を含む)、
Ca:0.0100%以下(0%を含む)
を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなる成分組成を有し、
フェライトを面積率で25〜75%含み、
残部が焼戻しマルテンサイトからなり、
かつ、前記フェライトの存在形態を規定する、下記式1で定義されるフェライト同士連結率が、0.25以下である組織を有し、
前記フェライトの引張強度に対する前記焼戻しマルテンサイトの引張強度の倍率で定義される焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比が4以下であり、
前記焼戻しマルテンサイトに周囲を取り囲まれたフェライト領域(単一のフェライト粒子からなる領域、または、複数のフェライト粒子同士が連結してなる領域を意味する。)の圧延方向の最大直径をDとし、該フェライト領域の圧延方向に直角な方向の最大直径をDとしたとき、DとDの大きい方が10μm以下で、かつ、D/D比が0.5〜2.0である、
ことを特徴とする伸びおよび曲げ性に優れた高強度冷延鋼板である。
式1:「フェライト同士連結率」=「フェライト粒子同士の界面との交点数」/(「フェライト粒子同士の界面との交点数」+「フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面との交点数」)
ただし、「フェライト粒子同士の界面との交点数」は、面積40000μm以上の領域において、総長1000μmの線分が、フェライト粒子同士の界面と交差する点の数であり、「フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面との交点数」は、上記総長1000μmの線分が、フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面と交差する点の数である。
請求項2に記載の発明は、
前記焼戻しマルテンサイト中に存在する、円相当直径0.1μm以上のセメンタイト粒子の分散状態が、前記焼戻しマルテンサイト1mm当たり5個以下である、請求項1に記載の伸びおよび曲げ性に優れた高強度冷延鋼板である。
本発明によれば、フェライトと焼戻しマルテンサイトからなる二相組織鋼において、フェライトを焼戻しマルテンサイトで取り囲んで孤立分散させるとともに、該フェライトと焼戻しマルテンサイトの強度比を制御し、さらに、マルテンサイトに周りを取り囲まれて孤立分散したフェライト領域について、その最大直径、および、その圧延方向の最大直径と圧延方向に直角の方向の最大直径との比率を制御することで、強度と伸びのバランスを
確保しつつ、曲げ性をより改善することが可能となり、強度と伸びのバランスが高められた、より成形性に優れた高強度鋼板を提供できるようになった。
フェライト同士連結率の測定方法を説明するための断面図である。 焼戻しマルテンサイトに周囲を取り囲まれたフェライト領域の圧延方向に直角な方向の最大直径Dの測定方法を説明するための断面図である。
本発明者らは、フェライトと焼戻しマルテンサイトからなる二相組織を有する高強度鋼板に着目し、引張強度と伸びのバランスを確保しつつ曲げ性をさらに改善できれば、上記要望レベルを満足しうる高強度鋼板が得られると考え、引張強度(以下、単に「強度」ともいう。)と伸びと曲げ性の間のバランスに及ぼす各種要因の影響を調査するなど鋭意検討を行ってきた。その結果、フェライトの割合のみならず、該フェライトの存在形態をできるだけ焼戻しマルテンサイトで取り囲まれ孤立分散された状態になるように制御するとともに、該フェライトと焼戻しマルテンサイトの強度比を制御し、さらに、焼戻しマルテンサイトに周りを取り囲まれて孤立分散したフェライト領域について、その最大直径、および、その圧延方向の最大直径と圧延方向に直角の方向の最大直径との比率を制御することで、強度と伸びのバランスを確保しつつ、曲げ性を向上できることを見出した。
ここで、曲げ性を支配する因子について以下に理論的考察を述べる。
すなわち、曲げ性を評価する曲げ試験により発生する破壊は、ある曲げ半径で材料を変形させたとき、その曲げ頂点に導入される歪の最大値が、材料固有の極限変形能を超えることで発生する。そのため、曲げ頂点に導入される歪量を抑制するか、材料固有の極限変形能を高めることが曲げ性改善に有効な手段となる。
そして、曲げ頂点に導入される歪量は2つの因子で支配される。一つ目の因子は加工硬化指数であり、2つ目の因子は歪が集中しやすい組織のサイズ、つまり、二相組織鋼(DP鋼)の場合は軟質組織であるフェライトの集合体(焼戻しマルテンサイトに周りを囲まれた「フェライト領域」)としてのサイズである。
加工硬化指数は、曲げ頂点やフェライトなどの軟質組織に歪が発生したときに、その部位の加工硬化度合いを変化させる。加工硬化指数が高いと、大きな硬化が得られるので、その部位の周囲に歪が付与され、歪が分散化して歪の局在化を防ぐ作用が奏されることで、曲げ性を改善することができる。
一方、軟質組織のサイズが大きいと歪の集中が起きやすくなり、曲げ性を劣化させることになるので、そのサイズを所定値以下に制限することで、曲げ性を確保することができる。
よって、上記2つの因子を制御して材料の極限変形能を高めることで、同じ最大歪が発生したとしても破壊を防止し、曲げ性を改善することができることとなる。
上記知見および理論的考察に基づいてさらに検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
以下、まず本発明鋼板を特徴づける組織について説明する。
〔本発明鋼板の組織〕
上述したとおり、本発明鋼板は、上記特許文献1および2と同様の、フェライトと焼戻しマルテンサイトからなる二相組織をベースとするものであるが、特に、フェライトを焼戻しマルテンサイトで取り囲んで孤立分散させるとともに、該フェライトと焼戻しマルテンサイトの強度比を制御し、さらに、マルテンサイトに周囲を取り囲まれて孤立分散したフェライト領域について、その最大直径、および、その圧延方向の最大直径と圧延方向に直角の方向の最大直径との比率を制御している点で、上記特許文献1および2の鋼板とは相違している。
<フェライト:面積率で25〜75%、残部:焼戻しマルテンサイト>
フェライトと焼戻しマルテンサイトからなる二相組織鋼では、変形は主として変形能の高いフェライトが受け持つ。そのため、フェライトと焼戻しマルテンサイトからなる二相組織鋼の伸びと加工硬化指数は主としてフェライトの面積率で決定される。
伸びおよび加工硬化指数を確保するためには、フェライトの面積率は25%以上(好ましくは30%以上、さらに好ましくは35%以上)が必要である。ただし、フェライトが過剰になると強度を確保するために焼戻しマルテンサイトの強度を高める必要があり、その結果、焼戻しマルテンサイトとフェライトの強度差が過大となり、曲げ性が確保できなくなるので、フェライトの面積率は75%以下(好ましくは70%以下、さらに好ましくは65%以下)とする。
<前記フェライトの存在形態を規定するフェライト同士連結率が0.25以下>
フェライトと焼戻しマルテンサイトからなる二相組織鋼においては、伸びや曲げ性は、フェライトの面積率だけでなく、フェライトの存在形態にも依存する。
すなわち、フェライト粒子同士が連結している状態では、変形能の高いフェライト側に応力が集中して変形をフェライトのみが担うとともに、変形による歪がフェライト側に集中して焼戻しマルテンサイトに歪が入りにくくなるため、加工硬化指数が低下する。その結果、伸びや曲げ性が低下し、強度と伸びおよび曲げ性の適正なバランスが得られなくなる。一方、フェライト粒子が焼戻しマルテンサイト粒に囲まれていると、この焼戻しマルテンサイト粒子が強制的に変形させられ、該焼戻しマルテンサイト粒子も変形を担うとともに、該焼戻しマルテンサイト側にも歪が入りやすくなり加工硬化指数が上昇するので、伸びや曲げ性が向上し、強度と伸びおよび曲げ性のバランスが改善される。
上記フェライトの存在形態は、下記式(1)で定義される「フェライト同士連結率」で評価することができる。
「フェライト同士連結率」=「フェライト粒子同士の界面との交点数」/(「フェライト粒子同士の界面との交点数」+「フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面との交点数」) ・・・式(1)
ただし、「フェライト粒子同士の界面との交点数」は、面積40000μm以上の領域において、総長1000μmの線分が、フェライト粒子同士の界面と交差する点の数であり、「フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面との交点数」は、上記総長1000μmの線分が、フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面と交差する点の数である。
伸びや曲げ性を確保するためには、フェライト同士連結率は、0.25以下、好ましくは0.20以下、さらに好ましくは0.15以下に制限する。
<前記フェライトの引張強度に対する前記焼戻しマルテンサイトの引張強度の倍率で定義される焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比が4以下>
上記のようにフェライトの存在形態に関する要件を満足させることで加工硬化指数を上昇させることができ、曲げ性を改善することができるが、焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比が高くなるとフェライトと焼戻しマルテンサイトの界面に歪が集中しやすくなり、早期に破壊が発生し、曲げ性が低下する。
したがって、曲げ性を確保するためには、焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比は、4以下、好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3以下に制限する。
<前記焼戻しマルテンサイトに周囲を取り囲まれたフェライト領域の圧延方向の最大直径をDとし、該フェライト領域の圧延方向に直角な方向の最大直径をDとしたとき、DとDの大きい方が10μm以下で、かつ、D/D比が0.5〜2.0>
ここに、「フェライト領域」とは、単一のフェライト粒子からなる領域、または、複数のフェライト粒子同士が連結してなる領域を意味するものとする。
フェライト領域が大きすぎると、曲げ成形時にフェライトへの歪の集中が顕著となり、曲げ性が劣化するため、該フェライト領域の最大直径(DとDの大きい方)は、10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下とする。該フェライト領域は、曲げ性向上の観点からは小さいほど好ましいが、現実的なプロセスにおいては該フェライト領域の直径は平均値で0.5μm以上である。
また、曲げ性の方向依存性をできるだけ小さくするため、D/D比は、0.5〜2.0、好ましくは0.7〜1.8、さらに好ましくは0.9〜1.6とする。
本発明鋼板の組織は、以上の要件を必須要件とするが、さらに以下の推奨要件を満足することが望ましい。
<前記焼戻しマルテンサイト中に存在する、円相当直径0.1μm以上のセメンタイト粒子の分散状態:前記焼戻しマルテンサイト1mm当たり5個以下>
上記のように焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比に関する要件を満足させることでフェライトと焼戻しマルテンサイトの界面における歪の集中を抑制できるが、次に破壊の起点になる可能性を有するのは、フェライトと界面を接する焼戻しマルテンサイト中に析出したセメンタイトである。このセメンタイト粒子が粗大になると変形時の応力集中が増加し、該焼戻しマルテンサイト中に亀裂が発生しやすくなるので、曲げ性が低下する。曲げ性を確保するためには、該セメンタイト粒子のサイズと存在密度を制御することが望ましい。
曲げ性を確保するためには、円相当直径0.1μm以上の粗大なセメンタイト粒子は、焼戻しマルテンサイト1mm当たり5個以下、さらには4個以下、特には3個以下に制限するのが推奨される。
以下、各相の面積率、フェライト同士連結率、焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比、フェライト領域の最大直径、ならびに、セメンタイト粒子のサイズおよびその存在密度の各測定方法について説明する。
〔各相の面積率の測定方法〕
まず、各相の面積率については、各供試鋼板を鏡面研磨し、3%ナイタール液で腐食して金属組織を顕出させた後、概略40μm×30μm領域5視野について倍率2000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察し、点算法で1視野につき100点の測定を行い、コントラストの暗い領域(黒色部)をフェライトとし、残りの領域を焼戻しマルテンサイトとして、各領域の面積比率よりフェライトの面積率を算出した。
〔フェライト同士連結率の測定方法〕
圧延方向から組織観察できるように各供試鋼板を圧延方向に垂直に切断して試料を切り出し、これを鏡面に研磨し、3%ナイタール液で腐食して金属組織を顕出させた後、走査型電子顕微鏡(SEM)にて2000倍で組織観察を行う。そして、図1に例示するように、板厚方向(ND)が上下、圧延方向に直角な方向(TD;後記「C方向」に同じ。)が左右になるように撮影し、この組織写真中に5μm間隔でTD方向に平行な線分を総長で1000μm以上になるように引き、これらの線分と、フェライト粒子同士の界面との交点(□(白抜き)で囲んだ点)およびフェライトと焼戻しマルテンサイトの界面との交点(○で囲んだ点)の数をそれぞれ求める。そして、上記式(1)にて「フェライト同士連結率」を算出する。「フェライト同士連結率」の値が小さいということは、フェライト粒子とフェライト粒子が連続している領域が少ないこと、つまり、フェライト粒子が連続せず、焼戻しマルテンサイトに囲まれ、孤立分散していることを示している。同図において(a)はフェライト同士連結率が0.25を超える例であり、(b)はフェライト同士連結率が0.25以下の例である。
〔焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比の測定方法〕
焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比は、フェライトの引張強度TSに対する焼戻しマルテンサイトの引張強度TSの倍率TS/TSで定義されるが、下記式(2)で算出できる。
TS/TS=〔(100×3.3×Hv−TS×V)/V〕/TS ・・・式(2)
ここに、TS=294+27.7[Si]+83.2[Mn]+7.7(D/1000)−0.5
ただし、Hv:JIS Z 2244の試験方法に従って測定された、鋼板表面のビッカース硬さ(98.07N)、V:フェライトの面積率(%)、V:焼戻しマルテンサイトの面積率(%)、D:JIS G0552に規定された切断法により粒度番号Gを求め、これから1mm当たりの結晶粒数mを算出し、平均結晶粒径dmに換算して求めた、フェライト平均粒径(μm)、[Si]:Si含有量(質量%)、[Mn]:Mn含有量(質量%)である。
(なお、上記式(2)は、藤田利夫ら訳:「鉄鋼材料の設計と理論」(丸善株式会社)、昭和56年9月30日発行に記載の低炭素鋼の引張強度に及ぼす固溶強化および微細化強化の効果に関する数式から、フェライトの固溶強化および微細化強化の項を抽出するとともに、鋼板の引張強度は各組織の引張強度の加算則で決定されるという仮定の下、導出を行ったものである。)
〔フェライト領域の最大直径の測定方法〕
圧延方向(L方向)と、圧延方向に直角な方向(C方向)のそれぞれから組織観察できるように、各供試鋼板を圧延方向に垂直に切断して切り出した試料と、圧延方向に平行に切断して切り出した試料をそれぞれ作成し、これらを鏡面に研磨し、3%ナイタール液で腐食して金属組織を顕出させた後、走査型電子顕微鏡(SEM)にて0.5mm以上の範囲の組織観察を行う。そして、図2に例示するように、L方向からの観察で、圧延方向に直角な方向にフェライト領域が伸びている状況を観察し、該フェライト領域の最大長さを測定し、これをフェライト領域の圧延方向に直角な方向の最大直径Dとする。また、図による例示は省略したが、上記と同様にして、C方向からの観察で、圧延方向に沿ってフェライト領域が伸びている状況を観察し、該フェライト領域の最大長さを測定し、これをフェライト領域の圧延方向の最大直径Dとする。
〔セメンタイト粒子のサイズおよびその存在密度の測定方法〕
セメンタイト粒子のサイズおよびその存在密度については、各供試鋼板の抽出レプリカサンプルを作成し、2.4μm×1.6μmの領域3視野について倍率50000倍の透過型電子顕微鏡(TEM)像を観察し、画像のコントラストから白い部分をセメンタイト粒子と判別してマーキングし、画像解析ソフトにて、前記マーキングした各セメンタイト粒子の面積Aから円相当直径D(D=2×(A/π)1/2)を算出するとともに、単位面積あたりに存在する所定のサイズのセメンタイト粒子の個数を求めた。なお、複数個のセメンタイト粒子が重なり合う部分は観察対象から除外した。
次に、本発明鋼板を構成する成分組成について説明する。以下、化学成分の単位はすべて質量%である。
〔本発明鋼板の成分組成〕
C:0.10〜0.25%
Cは、焼戻しマルテンサイトの面積率および硬さに影響し、強度、伸びおよび曲げ性に影響する重要な元素である。0.10%未満では焼戻しマルテンサイトの面積率および硬さを確保できず、強度が不足する。一方、0.25%超では焼戻しマルテンサイトの強度が高くなりすぎ、曲げ性が確保できなくなる。C含有量の範囲は、好ましくは0.12〜0.23%、さらに好ましくは0.14〜0.21%である。
Si:0.90〜2.40%
固溶強化により伸びと伸びフランジ性を低下させずに引張強度を高められる有用な元素である。0.90%未満では固溶強化量が減少し、フェライトの強度が低下する。一方、2.40%超ではフェライトが強化されすぎて延性が低下する。Si含有量の範囲は、好ましくは1.10〜2.20%、さらに好ましくは1.30〜2.10%である。
Mn:1.50〜3.00%
Mnは、固溶強化によって鋼板の引張強度を高くするとともに、鋼板の焼入れ性を向上させ、低温変態相の生成を促進する効果を有し、マルテンサイト面積率を確保するために有用な元素である。1.5%未満では固溶強化量が不足するとともに、焼入れ性が低下し適切な組織分率のフェライト−焼戻しマルテンサイト組織を確保できなくなる。一方、3.00%超とするとAc1点を低下させ、再結晶を抑制するようになるため、フェライトが圧延方向に伸長し、フェライト領域の圧延方向の最大直径が大きくなりすぎたり、該圧延方向の最大直径と、圧延方向に直角な方向の最大直径の比が大きくなりすぎたりする。Mn含有量の範囲は、好ましくは1.70〜2.70%、さらに好ましくは1.80〜2.40%である。
Al:0.001〜0.10%
Alは脱酸材として用いられるものであるが、0.001%未満では鋼の清浄作用が十分に得られず、一方、0.10%を超えると鋼の清浄度を悪化させる。Al含有量の範囲は、好ましくは0.005〜0.080%、さらに好ましくは0.015〜0.060%である。
P:0.050%以下(0%を含む)
Pは不純物元素として不可避的に存在し、固溶強化により強度の上昇に寄与するが、 旧オーステナイト粒界に偏析し、粒界を脆化させることで伸びフランジ性を劣化させるので、0.050%以下とする。好ましくは0.030%以下、さらに好ましくは0.020%以下である。
S:0.050%以下(0%を含む)
Sも不純物元素として不可避的に存在し、MnS介在物を形成し、穴拡げ時に亀裂の起
点となることで伸びフランジ性を低下させるので、0.050%以下とする。好ましくは0.030%以下、さらに好ましくは0.020%以下である。
N:0.010%以下(0%を含む)
Nも不純物元素として不可避的に存在し、歪時効により伸びと伸びフランジ性を低下させるので、低い方が好ましく、0.010%以下とする。
Ca:0.0100%以下(0%を含む)
Caは、介在物であるMnSを微細化し、破壊の起点を減少させることで、伸びフランジ性を向上させるのに有用な元素である。0.0100%を超える添加では介在物が粗大化し、伸びフランジ性が低下する。
本発明の鋼は上記成分を基本的に含有し、残部が実質的に鉄及び不可避的不純物である。
次に、本発明鋼板を得るための好ましい製造方法を以下に説明する。
〔本発明鋼板の好ましい製造方法〕
上記のような冷延鋼板を製造するには、まず、上記成分組成を有する鋼を溶製し、造塊または連続鋳造によりスラブとしてから熱間圧延(以下、「熱延」ともいう。)を行う。
[熱間圧延条件]
熱間圧延条件としては、仕上げ圧延の終了温度をAr点以上に設定し、適宜冷却を行った後、200℃以下で巻き取る。
<巻取温度:200℃以下>
全面的にマルテンサイト化することで、鋼中の初期転位密度を高め、後記焼鈍の際の均熱時における再結晶を促進させるためである。
[冷延前焼戻し条件]
上記熱間圧延後、後段の冷間圧延(以下、「冷延」ともいう。)前に焼戻しを行う。この冷延前焼戻し条件としては、冷延前焼戻し加熱温度:200〜500℃で冷延前焼戻し保持時間:1000s以下とする。
<冷延前焼戻し加熱温度:200〜500℃で冷延前焼戻し保持時間:1000s以下>
マルテンサイトから適度に転位を除去し、強度を低下させることで、後段の冷間圧延を可能としつつ、該マルテンサイト中に予めセメンタイトを分散させて、冷間圧延後の焼鈍の際の加熱時に再結晶して生成したフェライト粒の成長をピンニング作用で抑制し、組織を微細化するためである。
[冷間圧延条件]
冷延前焼戻し終了後は酸洗してから冷間圧延を行うが、冷間圧延率(以下、「冷延率」ともいう。)は20〜50%とするのがよい。
<冷間圧延率:20〜50%>
冷間圧延を適度に施すことにより偏平化した結晶粒を後段の焼鈍加熱時に再結晶させることで等軸状のフェライトを作りこみ、二相域加熱時にフェライト粒界にオーステナイトを形成させることで微細なフェライト粒を焼戻しマルテンサイトで取り囲んで孤立化させるためである。
冷間圧延率が20%未満では、焼鈍加熱時に再結晶が起こりにくくなり、孤立したフェ
ライトが十分に得られず、伸びおよび曲げ性が低下する。一方、冷間圧延率が50%を超えると、組織が圧延方向に伸びやすくなるため、フェライト領域が偏平化して成形性の異方性が生じる。より好ましい冷間圧延率の下限は25%である。
そして、上記冷間圧延後、引き続き、焼鈍、さらには焼戻しを行う。
[焼鈍条件]
焼鈍条件としては、上記冷間圧延後の温度から800℃までの温度域を15℃/s以下の加熱速度で加熱し、焼鈍加熱温度:[(50×Tγ50+50×Ac1)/100]〜[(50×Tγ50+50×Ac3)/100]に焼鈍保持時間:3600s以下保持した後、該焼鈍加熱温度から500℃までを20℃/s以上の第1冷却速度で急冷した後、500℃から200℃までを200℃/s以上の第2冷却速度で急冷するのがよい。
ここでTγ50は、下記式(3)で定義される。
γ50=816.5−101.5√[C]+36.9[Si]−20.35[Mn]+200[Al] ・・・式(3)
ただし、[C]、[Si]、[Mn]および[Al]は、それぞれC、Si、MnおよびAlの含有量(質量%)を意味する。
γ50は、適正なフェライト−オーステナイト面積率を確保するための二相域加熱温度の指標であり、オーステナイトが面積率で50%となる目安の温度である、Ac1とAc3の中間値(Ac1+Ac3)/2であり、Ac1およびAc3については、レスリー著、「鉄鋼材料科学」、幸田成靖 訳、丸善株式会社、1985年、p.273に記載の回帰式を用いて導出したものである。
<上記冷間圧延後の温度から800℃までの温度域を15℃/s以下の加熱速度で加熱>
加熱中にフェライトの再結晶を起こさせるためである。加熱速度が15℃/sを超えると、フェライトが再結晶できず逆変態時にフェライト同士が連結した状態で残存しやすくなり、フェライト同士連結率が0.25を超え、伸びまたは曲げ性が不足する。
加熱速度の好ましい下限は2℃/s以上である。加熱中におけるセメンタイトの成長を防止し、二相域加熱時にセメンタイトが溶解できる範囲にセメンタイトのサイズを抑制することで、さらに曲げ性を向上できる。加熱速度のより好ましい範囲は3〜12℃/s、特に好ましい範囲は4〜8℃/sである。
<焼鈍加熱温度:[(50×Tγ50+50×Ac1)/100]〜[(50×Tγ50+50×Ac3)/100]に焼鈍保持時間:3600s以下保持>
焼鈍加熱時においてフェライトからオーステナイトへ変態させることにより適正なフェライト−オーステナイト面積率を確保するためである。焼鈍加熱温度が(50×Tγ50+50×Ac1)/100]未満では、焼鈍加熱時においてオーステナイトへの変態量が不足するため、その後の冷却時にオーステナイトから変態生成するマルテンサイトの量が確保できなくなり、一方、[(50×Tγ50+50×Ac3)/100]を超える加熱は、焼鈍加熱時においてオーステナイトへの変態量が過剰になりフェライトが不足する。
また、焼鈍保持時間が3600sを超えると、生産性が極端に悪化するので好ましくない。
焼鈍加熱温度のより好ましい範囲は[(60×Tγ50+40×Ac1)/100]〜[(60×Tγ50+40×Ac3)/100]、特に好ましい範囲は[(70×Tγ50+30×Ac1)/100]〜[(70×Tγ50+30×Ac3)/100]である。焼鈍加熱段階でフェライトとオーステナイトの混合組織にすると、フェライトがオーステナイトで囲まれた組織になるため、最終組織はフェライトが焼戻しマルテンサイトで囲まれた好ましい組織になる。
焼鈍加熱保持時間のより好ましい下限は60sである。
<該焼鈍加熱温度から500℃までを20℃/s以上の第1冷却速度で急冷した後、500℃から200℃までを200℃/s以上の第2冷却速度で急冷>
冷却中にオーステナイトから、フェライトが形成される温度域(500℃以上)とベイナイトが形成される温度域(500℃未満)を急冷することで、フェライト−マルテンサイト組織を得るためである。
第1冷却速度を20℃/s未満とすると、フェライト粒子が成長し、フェライト粒子同士がぶつかり合い、フェライト同士連結率が上昇するため伸びおよび曲げ性が低下する。
第1冷却速度は、より好ましくは25℃/s以上、とくに好ましくは30℃/sである。
第2冷却速度を200℃/s未満とすると、ベイナイトが形成されやすくなり、特に上部ベイナイトではセメンタイトが粗大に形成され、伸びフランジ性を劣化させる。
また、冷却終了温度の下限を200℃としたのは、ベイナイトの形成を抑制するためである。ベイナイトが形成されると、特に上部ベイナイトではMA(martensite austenite
constituent)などの硬質組織を伴うため、極限変形能が低下し、曲げ性が劣化する。
[焼戻し条件]
焼戻し条件としては、焼戻し加熱温度Ttemp:300〜550℃にて、焼戻し保持時間ttemp:600s以下で、かつ、下記式(4)で定義される焼戻しパラメータξが12000〜16000となる時間保持すればよい。
ξ=(Ttemp+273)・〔log(ttemp/3600)+20〕 ・・・式(4)
焼戻しマルテンサイトの強度を適切に制御するとともに、焼戻しマルテンサイト中に形成されるセメンタイトを微細化し、さらに曲げ性を改善するためである。焼戻し加熱温度Ttempが低すぎると、マルテンサイトの延性が十分に得られない。一方、焼戻し加熱温度Ttempが高すぎると、マルテンサイトの強度が低下する。
また、焼戻し保持時間ttempが長すぎると、セメンタイトが粗大化しすぎて、伸びフランジ性が低下する。
また、焼戻しパラメータξが小さすぎると、マルテンサイトの強度が高くなりすぎて、伸びフランジ性が低下する。一方、焼戻しパラメータξが大きすぎると、マルテンサイトの強度が低下しすぎて、強度が確保できなくなる。
下記表1に示す成分の鋼を溶製し、厚さ120mmのインゴットを作成した。
これを表2に示す製造条件にて、熱間圧延で厚さ2.0mmとした後、冷間圧延前焼戻しを施し、これを酸洗した後に、厚さ1.0mmに冷間圧延して供試材とし、さらに熱処理(焼鈍、焼戻し)を施した。
Figure 0005466562
Figure 0005466562
熱処理後の各鋼板について、上記[発明を実施するための形態]の項で説明した測定方法により、各相の面積率、フェライト同士連結率、焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比、フェライト領域の最大直径、ならびに、セメンタイト粒子のサイズおよびその存在密度を測定した。
また、上記各鋼板について、引張強度TS、伸びEl、ならびに、圧延方向の限界曲げ半径Rおよび圧延方向に直角な方向の限界曲げ半径Rを測定した。なお、引張強度TSと伸びElは、圧延方向に平行方向および圧延方向と直角方向にそれぞれ長軸をとってJIS Z 2201に記載の5号試験片を作成し、JIS Z 2241に従って測定を行い、圧延方向に平行方向および圧延方向と直角方向の両測定値を算術平均して求めた。また、圧延方向の限界曲げ半径Rおよび圧延方向に直角な方向の限界曲げ半径Rは、上記と同様に、圧延方向に平行方向および圧延方向と直角方向にそれぞれ長軸をとって幅30mm×長さ35mmの試験片を作成し、JIS Z 2248に準拠した曲げ試験を行い、その時の曲げ半径を0〜5mmまで種々変化させ、材料が破断せずに曲げ加工ができる最小の曲げ半径を求め、これを限界曲げ半径とした。
測定結果を表3に示す。
これらの表に示すように、発明鋼(評価が◎または○のもの)である鋼No.2〜4、7、8、11、12、16、22は、いずれも、本発明の成分規定および組織規定の必須要件をすべて満たすとともに、引張強度TSが1000MPa以上で、TS×Elが16
000MPa・%以上、かつ、圧延方向の限界曲げ半径Rおよび圧延方向に直角な方向の限界曲げ半径Rがともに1.5mm以下で、該両方向の限界曲げ半径の差|R−R|が1.0mm以下を充足し、上記[背景技術]の項で述べた要望レベルを満足する、伸びと曲げ性を兼備する高強度冷延鋼板が得られた。
なお、上記発明鋼のうち、鋼No.16および21(評価が◎のもの)は、組織規定の推奨要件である、「焼戻しマルテンサイト中に存在する、円相当直径0.1μm以上のセメンタイト粒子の分散状態が、前記焼戻しマルテンサイト1mm当たり5個以下」をも満たし、上記[背景技術]の項で述べた、より高度の要望レベルを満足するものである。
これに対して、比較鋼(評価が×のもの)である鋼No.1、5、6、9、10、13〜15、17〜20、22、23は、TS、TS×El、曲げ性の少なくともいずれかが劣っている。
例えば、鋼No.14、17〜19は、製造条件のいずれかが推奨範囲を外れていることにより、本発明の組織を規定する必須要件のうち少なくとも一つを満たさず、TS、TS×El、曲げ性の少なくともいずれかが劣っている。なお、鋼No.15は、冷延前焼戻しを施すことなく、酸洗後、冷間圧延を行ったものであるが、該冷間圧延時に割れが発生したため、その後の熱処理(焼鈍、焼戻し)を行わず、また、組織および機械的特性の測定も省略したものである。
また、鋼No.1、5、6、9、10、13は、本発明の成分を規定する要件を満たさず、TS、TS×El、曲げ性の少なくともいずれかが劣っている。
例えば、鋼No.1は、C含有量が低すぎることにより、TS、TS×Elが劣っている。
一方、鋼No.5は、C含有量が高すぎることにより、TS、TS×Elは優れているものの、曲げ性が劣っている。
また、鋼No.6は、Si含有量が低すぎることにより、TS、TS×Elは優れているものの、曲げ性が劣っている。
一方、鋼No.9は、Si含有量が高すぎることにより、TSは優れているものの、TS×El、曲げ性が劣っている。
また、鋼No.10は、Mn含有量が低すぎることにより、固溶強化量が不足するとともに、焼入れ性が低下し適切な組織分率のフェライト−焼戻しマルテンサイト組織を確保できなくなり、TS×El、曲げ性は優れているものの、TSが劣っている。
一方、鋼No.13は、Mn含有量が高すぎることにより、Ac1点が低下して再結晶が抑制され、フェライト領域が圧延方向に伸長し、TS、TS×Elは優れているものの、曲げ性の異方性が大きくなっている。
Figure 0005466562

Claims (2)

  1. 質量%で(以下、化学成分について同じ。)、
    C:0.10〜0.25%、
    Si:0.50〜2.40%、
    Mn:1.00〜3.00%、
    Al:0.001〜0.10%、
    P:0.050%以下(0%を含む)、
    S:0.050%以下(0%を含む)、
    N:0.010%以下(0%を含む)、
    Ca:0.0100%以下(0%を含む)
    を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    フェライトを面積率で25〜75%含み、
    残部が焼戻しマルテンサイトからなり、
    かつ、前記フェライトの存在形態を規定する、下記式1で定義されるフェライト同士連結率が、0.25以下である組織を有し、
    前記フェライトの引張強度に対する前記焼戻しマルテンサイトの引張強度の倍率で定義される焼戻しマルテンサイト/フェライト強度比が4以下であり、
    前記焼戻しマルテンサイトに周囲を取り囲まれたフェライト領域(単一のフェライト粒子からなる領域、または、複数のフェライト粒子同士が連結してなる領域を意味する。)の圧延方向の最大直径をDとし、該フェライト領域の圧延方向に直角な方向の最大直径をDとしたとき、DとDの大きい方が10μm以下で、かつ、D/D比が0.5〜2.0である、
    ことを特徴とする伸びおよび曲げ性に優れた高強度冷延鋼板。
    式1:「フェライト同士連結率」=「フェライト粒子同士の界面との交点数」/(「フェライト粒子同士の界面との交点数」+「フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面との交点数」)
    ただし、「フェライト粒子同士の界面との交点数」は、面積40000μm以上の領域において、総長1000μmの線分が、フェライト粒子同士の界面と交差する点の数であり、「フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面との交点数」は、上記総長1000μmの線分が、フェライト粒子と焼戻しマルテンサイト粒子の界面と交差する点の数である。
  2. 前記焼戻しマルテンサイト中に存在する、円相当直径0.1μm以上のセメンタイト粒子の分散状態が、前記焼戻しマルテンサイト1mm当たり5個以下である、請求項1に記載の伸びおよび曲げ性に優れた高強度冷延鋼板。
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