JP2010255091A - 伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】伸びと伸びフランジ性のバランスを改善した、より成形性に優れた高強度冷延鋼板を提供する。
【解決手段】成分組成が、質量%で、C:0.05〜0.30%、Si:3.0%以下、Mn:0.1〜5.0%、P:0.1%以下、S:0.010%以下、Al:0.001〜0.10%、Nb:0.02〜0.40%を含み、Ti:0.01〜0.20%、V:0.01〜0.20%の1種以上で、[%Nb]/96+[%Ti]/51+[%V]/48)×48=0.01〜0.20%、残部:主として鉄からなり、組織が、面積率で、α=10〜80%、残留γ+M<5%、残部:硬質第2相からなり、α粒径が5μm以下であり、KAM値の頻度分布曲線において、KAM値≦0.4°の比率XKAM≦0.4°と、α面積率Vαとの関係がXKAM≦0.4°/Vα≧0.8を満たすとともに、KAM値=0.6〜0.8の比率XKAM=0.6~0.8°が10〜20%であり、かつ、αと界面を接する硬質第2相中に存在する、0.1μm以上のθ粒子は3個/μm2以下、20nm以上のNb、Ti、V含有析出物は5個/μm2以下である冷延鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車部品等に用いられる加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法に関し、詳細には、伸び(全伸び)と伸びフランジ性のバランスが改善された高強度鋼板およびその製造方法に関する。
例えば自動車の骨格部品などに使用される鋼板には、衝突安全性や車体軽量化による燃費軽減などを目的として高強度が求められるとともに、形状の複雑な骨格部品に加工するために優れた成形加工性も要求される。
このため、引張強度(TS)780MPa級以上の高強度鋼板であって、伸び(全伸び;El)と伸びフランジ性(穴広げ率;λ)のバランスが改善された高強度鋼板の提供が切望されており、例えば、引張強度TSが780MPa以上で、TS×Elが16000MPa・%以上、かつ、TS×El×λが1200000MPa・%・%以上のものが要望されている。
上記のようなニーズを受けて、種々の組織制御の考え方に基づき、伸びと伸びフランジ性のバランスを改善した高強度鋼板が多数提案されているものの、伸びと伸びフランジ性のバランスが上記要望レベルを満足するように両立させたものはまだ少ないのが現状である。
例えば、特許文献1には、Mn、CrおよびMoの少なくとも1種を合計で1.6〜2.5質量%含有し、実質的にマルテンサイトの単相組織からなる高張力冷延鋼板が開示されており、引張強度980MPa級の鋼板において、その穴広げ率(伸びフランジ性)λは100%以上が得られているものの、伸びElは10%に達しておらず、上記要望レベルは満足していない(同文献の表6の本発明例参照)。
また、特許文献2には、フェライトが面積率で65〜85%で残部が焼戻しマルテンサイトの二相組織からなる高張力鋼板が開示されている。
また、特許文献3には、フェライトおよびマルテンサイトの平均結晶粒径がともに2μm以下であり、マルテンサイトの体積率が20%以上60%未満の二相組織からなる高張力鋼板が開示されている。
上記特許文献2および3に開示された高張力鋼板はいずれも、変形能の高いフェライトを多量に混入させることで、10%を超える伸びを確保するものであるが、上記要望レベルを満足するものは少ない(特許文献2の表2の発明例、特許文献3の表2の実施例参照)。そして、これらの高張力鋼板に係る発明は、フェライトと硬質第2相の面積比率、さらにはこれら両相の粒径を制御することを特徴とするものの、フェライト中の歪量、硬質第2相の変形能、さらにはフェライトと硬質第2相の界面に存在する析出物の分布状態の制御を特徴とする本願発明とは明らかに技術思想を異にするものである。
特開2002−161336号公報 特開2004−256872号公報 特開2004−232022号公報
そこで本発明の目的は、伸びと伸びフランジ性のバランスを改善した、より成形性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、
質量%で(以下、化学成分について同じ。)、
C:0.05〜0.30%、
Si:3.0%以下(0%を含む)、
Mn:0.1〜5.0%、
P:0.1%以下(0%を含む)、
S:0.010%以下(0%を含む)、
Al:0.001〜0.10%
を含むとともに、
Nb:0.02〜0.40%、
Ti:0.01〜0.20%、
V:0.01〜0.20%の1種または2種以上を、
[%Nb]/96+[%Ti]/51+[%V]/48)×48が0.01〜0.20%を満足するように含み、
残部が鉄および不可避的不純物からなる成分組成を有し、
軟質第1相であるフェライトを面積率で10〜80%含むとともに、
残留オーステナイト、マルテンサイト、および、残留オーステナイトとマルテンサイトの混合組織を、面積率の合計で5%未満(0%を含む)含み、
残部が硬質第2相である、焼戻しマルテンサイトおよび/または焼戻しベイナイトからなる組織を有し、
前記フェライトの平均粒径が円相当直径で5μm以下であり、
Kernel Average Misorientation値(以下、「KAM値」と略称する。)の頻度分布曲線において、
全頻度に対する、該KAM値が0.4°以下の頻度の比率XKAM≦0.4°(単位:%)と、フェライトの面積率Vα(単位:%)との関係が、XKAM≦0.4°/Vα≧0.8を満たすとともに、
全頻度に対する、前記KAM値が0.6〜0.8°の頻度の比率XKAM=0.6〜0.8°が10〜20%であり、かつ、
前記フェライトと前記硬質第2相の界面に存在する析出物の分布状態が、
円相当直径0.1μm以上のセメンタイト粒子は、前記硬質第2相1μm当たり3個以下で、
円相当直径20nm以上の析出物であって、Nb、TiおよびVの1種または2種以上を含む析出物は、前記硬質第2相1μm当たり5個以下である
ことを特徴とする伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板である。
請求項2に記載の発明は、
成分組成が、更に、
Cr:0.01〜1.0%
を含むものである請求項1に記載の伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板である。
請求項3に記載の発明は、
成分組成が、更に、
Mo:0.02〜1.0%
Cu:0.05〜1.0%、
Ni:0.05〜1.0%の1種または2種以上
を含むものである請求項1または2に記載の伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板である。
請求項4に記載の発明は、
成分組成が、更に、
Ca:0.0005〜0.01%、および/または
Mg:0.0005〜0.01%
を含むものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板である。
請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に示す成分組成を有する鋼材を、下記(1)〜(4)に示す各条件で、熱間圧延した後、冷間圧延し、その後、焼鈍し、さらに焼戻しすることを特徴とする伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板の製造方法である。
(1) 熱間圧延条件
仕上げ圧延の終了温度:Ar点以上
巻き取り温度:450〜700℃
(2) 冷間圧延条件
冷間圧延率:20〜80%
(3) 焼鈍条件
600〜Ac1℃の温度域を、下記式1および式2をともに満足する昇温パターンで昇温し、焼鈍加熱温度:[(8×Ac1+2×Ac3)/10]〜1000℃にて、焼鈍保持時間:3600s以下保持した後、焼鈍加熱温度から直接Ms点以下の温度まで50℃/s以上の冷却速度で急冷するか、または、焼鈍加熱温度から、焼鈍加熱温度未満で600℃以上の温度(「第1冷却終了温度」という。)まで1℃/s以上50℃/s未満の冷却速度(「第1冷却速度」という。)で徐冷した後、Ms点以下の温度(「第2冷却終了温度」という。)まで50℃/s以下の冷却速度(「第2冷却速度」という。)で急冷する。
(4) 焼戻し条件
上記焼鈍冷却後の温度から焼戻し加熱温度:420℃以上670℃未満までの間を5℃/s超の加熱速度で加熱し、[焼戻し加熱温度−10℃]〜焼戻し加熱温度の間の温度領域に存在する時間(「焼戻し保持時間」という。):30s以下とした後、5℃/s超の冷却速度で冷却する。
Figure 2010255091
本発明によれば、主として、軟質第1相であるフェライトと、硬質第2相である、焼戻しマルテンサイトおよび/または焼戻しベイナイトからなる複相組織鋼において、フェライト中の歪量を制御するとともに、変形能の高い硬質第2相を適量導入し、さらにフェライトと硬質第2相の界面に存在する析出物の分布状態を制御することで、伸びを確保しつつ、伸びフランジ性を改善することが可能となり、伸びと伸びフランジ性のバランスが高められた、より成形性に優れた高強度鋼板を提供できるようになった。
KAM値の頻度分布を示すグラフ図である。
本発明者らは、主として、軟質第1相であるフェライトと、硬質第2相である、焼戻しマルテンサイトおよび/または焼戻しベイナイト(以下、「焼戻しマルテンサイト等」ということあり。)からなる複相組織を有する高強度鋼板に着目し、伸びを確保しつつ伸びフランジ性を改善できれば、上記要望レベルを満足しうる高強度鋼板が得られると考え、強度と伸びと伸びフランジ性の間のバランスに及ぼす各種要因の影響を調査するなど鋭意検討を行ってきた。その結果、フェライトの割合のみならず、該フェライト中の歪量を制御するとともに、硬質第2相の変形能を制御し、さらに該フェライトと硬質第2相の界面に析出する析出物を微細化することで、伸びを確保しつつ伸びフランジ性を向上できることを見出し、該知見に基づいて本発明を完成するに至った。
以下、まず本発明鋼板を特徴づける組織について説明する。
〔本発明鋼板の組織〕
上述したとおり、本発明鋼板は、上記特許文献2、3と近似の複相組織をベースとするものであるが、特に、フェライト中の歪量を制御するとともに、硬質第2相の変形能を制御し、さらにフェライトと硬質第2相の界面に析出した析出物の分布状態が制御されている点で、上記特許文献2、3の鋼板とは相違している。
<軟質第1相であるフェライト:面積率で10〜80%>
フェライト−焼戻しマルテンサイト等の複相組織鋼では、変形は主として変形能の高いフェライトが受け持つ。そのため、フェライト−焼戻しマルテンサイト等の複相組織鋼の伸びは主としてフェライトの面積率で決定される。
目標とする伸びを確保するためには、フェライトの面積率は10%以上(好ましくは15%以上、さらに好ましくは25%以上)が必要である。ただし、フェライトが過剰になると強度が確保できなくなるので、フェライトの面積率は80%以下(好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下)とする。
なお、フェライト−焼戻しマルテンサイト等の複相組織鋼においては、強度と伸びのバランスは、フェライトの面積率だけでなく、フェライトの存在形態にも依存する。すなわち、フェライト粒子同士が連結している状態では、変形能の高いフェライト側に応力が集中し、変形をフェライトのみが担うため、強度と伸びの適切なバランスが得られにくい。一方、フェライト粒子が、硬質第2相である、焼戻しマルテンサイト粒子および/またはベイナイト粒子に囲まれていると、この硬質第2相が強制的に変形させられるため、該硬質第2相も変形を担うようになり、強度と伸びのバランスが改善される。
フェライトの存在形態は、例えば、面積40000μm以上の領域において、総長1000μmの線分が、フェライト粒界(フェライト粒子同士の界面)またはフェライト−硬質第2相界面と交差する点の数で評価することができる。上記作用を有効に発揮させるための、フェライトの存在形態の好ましい条件は、(「フェライト−硬質第2相界面との交点数」)/(「フェライト粒界との交点数」+「フェライト−硬質第2相界面の交点数」)が0.5以下である。
<残留オーステナイト、マルテンサイト、および、残留オーステナイトとマルテンサイトの混合組織:面積率の合計で5%未満(0%を含む)、
残部:第2相である、焼戻しマルテンサイトおよび/または焼戻しベイナイトからなる組織>
強度を確保しつつ脆化を防止するには、フェライトを除く領域を、主としてマルテンサイトおよび/またはベイナイトが焼戻しされた組織(焼戻しマルテンサイトおよび/または焼戻しベイナイトからなる組織)にすることが有効である。その際、残留オーステナイトや焼戻しされていないマルテンサイト(以下、単に「マルテンサイト」の表記は、焼戻しされていないマルテンサイトを意味するものとする。)が存在すると、その周囲に応力が集中し、破壊に至りやすくなるので、残留オーステナイト、マルテンサイトおよびそれらの混合組織をできるだけ少なくすることで伸びフランジ性の劣化を防止できる。
上記作用を有効に発揮させるためには、残留オーステナイト、マルテンサイトおよびそれらの混合組織は、それらの合計の面積率で5%未満(好ましくは0%)とし、残部を、第2相である、焼戻しマルテンサイトおよび/または焼戻しベイナイトからなる組織にする。
<フェライトの平均粒径:円相当直径で3μm以下>
フェライトを微細化させることによりフェライトと硬質第2相の界面など応力が集中しやすいサイトの数を増加させて応力を分散させることで、伸びフランジ性が改善される。
上記作用を有効に発揮させるためには、フェライトの平均粒径は円相当直径で3μm以下、好ましくは2.5μm以下、さらに好ましくは2μm以下とする。なお、フェライトの平均粒径は、小さいほど好ましいが、円相当直径で0.2μm未満の微細組織を得ることは非常に困難であり、実質的な下限は円相当直径で0.2μmである。
<KAM値0.4°以下の比率XKAM≦0.4°と、フェライト面積率Vαとの関係:XKAM≦0.4°/Vα≧0.8、
KAM値0.6〜0.8°の比率XKAM=0.6〜0.8°:10〜20%>
複相組織鋼の強度と伸びのバランスは、一般的にフェライト面積率と硬質第2相の変形能に依存する。一方、フェライト中の歪量は伸びに大きな影響を及ぼし、フェライト面積率が一定の場合、該歪量が大きければ伸びが低下する。
強度と伸びのバランスだけを考慮した場合には、フェライト中に歪が存在することによる伸びの低下は、フェライト面積率を増加させて伸びを改善し、硬質第2相の焼戻しの度合いを低下させて強度を確保することで、強度と伸びのバランスは確保できる。
ところが強度と伸びに加えて伸びフランジ性をも考慮した場合には、上記のようにフェライト中に歪が残存することに伴い伸びと強度のバランスを確保するためにフェライト面積率の増加、硬質第2相の強度上昇という処理を行うと、硬質第2相の変形能が低下するため、フェライトと硬質第2相の界面にひずみが集中し、伸びフランジ性が劣化することがわかった。
この知見より、フェライト中の歪量を極力少なくすれば、同じ、強度と伸びのバランスを確保するのに必要なフェライト面積率を減少させて硬質第2相の変形能を高めることができるため、伸びフランジ性を高められ、その結果、強度と伸びと伸びフランジ性のバランスを改善できることがわかった。
つまり、一定強度を確保しつつ、伸びと伸びフランジ性を確保するには、フェライト中の歪量を小さくすることと、硬質第2相の変形能を高めることが重要なポイントとなる。
フェライト中の歪量と硬質第2相の変形能の評価には、KAM値を用いることが有効である。
KAM値は、対象となる測定点とその周囲の測定点との間における結晶回転量(結晶方位差)の平均値であり、この値が大きいと結晶中に歪が存在することを示す。図1に、本発明鋼について走査型電子顕微鏡で一定領域を走査して求めたKAM値の頻度分布曲線を例示するが、このようにKAM値の頻度分布曲線は2つのピークを示す。KAM値が0.2°付近の第1のピークは、フェライト中の歪によるものであり、KAM値が0.6°付近の第2のピークは硬質第2相の歪によるものである。各相中の歪が大きくなるとそれぞれのピークが高KAM値側に移動する。一方、例えばフェライトの面積率が増加すると第1のピーク高さが上昇する。これらの現象を勘案し、フェライト中の歪量および硬質第2相の変形能を簡便に表す指標として、XKAM≦0.4°/VαおよびXKAM=0.6〜0.8°をそれぞれ導入した。
ここに、XKAM≦0.4°は、全頻度に対する、KAM値が0.4°以下の頻度の比率であり、Vαは、フェライトの面積率であり、XKAM=0.6〜0.8°は、全頻度に対する、KAM値が0.6〜0.8°の頻度の比率である。
KAM≦0.4°、すなわち全頻度に対する、KAM値が0.4°以下の頻度の比率は、上述したことから、フェライト中の歪量およびフェライトの面積率の関数と考えられるので、フェライトの面積率Vαで割ることにより、フェライト中の歪量を表す指標としたものである。フェライト中の歪量が増加すると、第1のピーク位置が高KAM値側に移動し、XKAM≦0.4°/Vαは小さくなる。
フェライト中の歪量をできるだけ少なくするため、XKAM≦0.4°/Vαは0.8以上(好ましくは0.9以上、さらに好ましくは1.1以上)とする。つまり、XKAM≦0.4°が30%以上ならば、歪みの小さいフェライトが20%以上存在することを意味する。
また、XKAM=0.6〜0.8°、すなわち全頻度に対する、前記KAM値が0.6〜0.8の頻度の比率は、変形能の高い硬質第2相の量を示しており、この比率が10%以上であれば強度と伸びと伸びフランジ性のバランスを確保できるだけの、硬質第2相の量と変形能を兼ね備えている。一方、前記比率が20%を超えると硬質第2相の量が多くなりすぎるため、伸びが確保できなくなる。
KAM=0.6〜0.8°の好ましい範囲は12〜18%、さらに好ましい範囲は13〜16%である。
<前記フェライトと界面を接する硬質第2相中に存在する析出物の分布状態が、円相当直径0.1μm以上のセメンタイト粒子:該硬質第2相1μm当たり3個以下>
上記のようにKAM値に関する要件を満足させることでフェライトと硬質第2相の界面での破壊を抑制できた場合、次に破壊の起点になるのは、フェライトと界面を接する硬質第2相中に析出したセメンタイトになる。このセメンタイト粒子が粗大になると変形時の応力集中が過大となり伸びフランジ性が確保できなくなるので、伸びフランジ性を確保するためには、セメンタイト粒子のサイズと存在密度を制御する必要がある。
伸びフランジ性を確保するためには、円相当直径0.1μm以上の粗大なセメンタイト粒子は、硬質第2相1μm当たり3個以下、好ましくは2.5個以下、さらに好ましくは2個以下に制限する。
<前記フェライトと界面を接する硬質第2相中に存在する析出物の分布状態が、円相当直径20nm以上の析出物であって、Nb、TiおよびVの1種または2種以上を含む析出物:前記硬質第2相1μm当たり5個以下>
NbC、TiC、VCなどのNbやTiやVを含む析出物は、母相に比べて剛性および臨界せん断応力が非常に高いため、析出物の周囲が変形しても析出物自体は変形しにくいため、20nm以上のサイズになると母相と析出物との界面に大きなひずみが生じ、破壊が発生するようになる。このため、20nm以上のNbやTiやVを含む粗大な析出物が多量に存在すると伸びフランジ性が劣化する。したがって、粗大なNbやTiやV含有析出物の存在密度を制限することで、伸びフランジ性を改善することができる。
上記作用を有効に発揮させるには、円相当直径20nm以上の析出物であって、Nb、TiおよびVの1種または2種以上を含む粗大な析出物は、硬質第2相1μm当たり5個以下、好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下に制限する。
以下、各相の面積率、フェライトの平均粒径、KAM値、析出物のサイズおよびその存在密度、ならびに、フェライトの存在形態の測定方法について説明する。
〔各相の面積率の測定方法〕
まず、各相の面積率については、各供試鋼板を鏡面研磨し、3%ナイタール液で腐食して金属組織を顕出させた後、概略40μm×30μm領域5視野について倍率2000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察し、点算法で1視野につき100点の測定を行ってフェライトの面積を求めた。また、画像解析によってセメンタイトを含む領域を硬質第2相とし、残りの領域を、残留オーステナイト、マルテンサイト、および、残留オーステナイトとマルテンサイトの混合組織とした。そして、各領域の面積比率より各相の面積率を算出した。
〔フェライトの平均粒径の測定方法〕
上記面積率の測定の際に測定した各フェライト粒の面積から円相当直径を算出して求めた。
〔KAM値の測定方法〕
各供試鋼板を鏡面研磨し、さらに電解研磨した後、走査型電子顕微鏡(Philips社製XL30S−FEG)にて、1step 0.2μmで500μm×500μmの領域の電子線後方散乱回折像を測定し、それを解析ソフト(テクセムラボラトリーズ社製OIMシステム)を用いて、各測定点におけるKAM値を求めた。
〔析出物のサイズおよびその存在密度の測定方法〕
析出物のサイズおよびその存在密度については、各供試鋼板の抽出レプリカサンプルを作成し、2.4μm×1.6μmの領域3視野について倍率50000倍の透過型電子顕微鏡(TEM)像を観察した。
そして、画像のコントラストから白い部分をセメンタイト粒子と判別してマーキングし、画像解析ソフトにて、前記マーキングした各セメンタイト粒子の面積Aから円相当直径D(D=2×(A/π)1/2)を算出するとともに、単位面積あたりに存在する所定のサイズのセメンタイト粒子の個数を求めた。なお、複数個のセメンタイト粒子が重なり合う部分は観察対象から除外した。
さらに、20nm以上の析出物について、FE−TEMに付随のEDXまたはEELSを用いて析出物中にNb、Ti、Vが存在していることを確認したものだけをカウントした。
〔フェライトの存在形態の測定方法〕
各供試鋼板を鏡面に研磨し、3%ナイタール液で腐食して金属組織を顕出させた後、80μm×60μm領域10視野中に、それぞれ50μmの線分を20本引き、それらの線分と交わるフェライト粒界の数Nαおよびフェライト−硬質第2相界面の数Nα−TMを測定する。そして、フェライトの存在形態の評価指数として、粒界および界面に占めるフェライト粒界の割合Nα/(Nα+Nα−TM)を求める。Nα/(Nα+Nα−TM)の値が小さいということは、フェライト粒子とフェライト粒子が連続している領域が少ないこと、つまり、フェライト粒子が連続せず、硬質第2相に囲まれていることを示している。
次に、本発明鋼板を構成する成分組成について説明する。以下、化学成分の単位はすべて質量%である。
〔本発明鋼板の成分組成〕
C:0.05〜0.30%
Cは、硬質第2相の面積率および該硬質第2相中に析出するセメンタイト量に影響し、強度、伸びおよび伸びフランジ性に影響する重要な元素である。0.05%未満では強度が確保できなくなる。一方、0.30%超では焼入れ時に歪みが多量に入ることに加え、セメンタイトの量が多くなり転位が回復しにくくなることから、転位が抜けて変形能が高まった硬質第2相であることを示す評価式であるXKAM=0.6〜0.8°≧10%が得られなくなる。この評価式を満たすように、焼戻し条件を高温ないし長時間化するとセメンタイトが粗大化し、強度や伸びフランジ性が確保できなくなる。
C含有量の範囲は、好ましくは0.10〜0.25%、さらに好ましくは0.14〜0.20%である。
Si:3.0%以下(0%を含む)
Siは、焼戻し時におけるセメンタイト粒子の粗大化を抑制する効果を有し、伸びと伸びフランジ性の両立に寄与する有用な元素である。3.0%超ではフェライトが脆くなり、TS×Elが低下する。Si含有量の範囲は、好ましくは0.50〜2.5%、さらに好ましくは1.0〜2.2%である。
Mn:0.1〜5.0%
Mnは、上記Siと同様、焼戻し時におけるセメンタイトの粗大化を抑制する効果を有することに加え、硬質第2相の変形能を高めることで、伸びと伸びフランジ性の両立に寄与する。また、焼入れ性を高めることで、硬質第2相が得られる製造条件の範囲を広げる効果もある。0.1%未満では上記効果が十分に発揮されないため、伸びと伸びフランジ性を両立できず、一方、5.0%超とすると逆変態温度が低くなりすぎ、再結晶ができなくなるため、強度と伸びのバランスが確保できなくなる。Mn含有量の範囲は、好ましくは0.50〜2.5%、さらに好ましくは1.2〜2.2%である。
P:0.1%以下
Pは不純物元素として不可避的に存在し、固溶強化により強度の上昇に寄与するが、 旧オーステナイト粒界に偏析し、粒界を脆化させることで伸びフランジ性を劣化させるので、0.1%以下とする。好ましくは0.05%以下、さらに好ましくは0.03%以下である。
S:0.005%以下
Sも不純物元素として不可避的に存在し、MnS介在物を形成し、穴拡げ時に亀裂の起点となることで伸びフランジ性を低下させるので、0.005%以下とする。より好ましくは0.003%以下である。
N:0.01%以下
Nも不純物元素として不可避的に存在し、歪時効により伸びと伸びフランジ性を低下させるので、低い方が好ましく、0.01%以下とする。
Al:0.001〜0.10%
Alは脱酸元素として添加され、介在物を微細化する効果を有する。また、Nと結合してAlNを形成し、歪時効の発生に寄与する固溶Nを低減させることで伸びや伸びフランジ性の劣化を防止する。0.001%未満では鋼中に固溶Nが残存するため、歪時効が起こり、伸びと伸びフランジ性を確保できず、一方、0.1%超では加熱時におけるオーステナイトの形成を阻害するため、硬質第2相の面積率を確保できず、伸びフランジ性を確保できなくなる。
Nb:0.02〜0.40%、
Ti:0.01〜0.20%、
V:0.01〜0.20%の1種または2種以上で、かつ、
[%Nb]/96+[%Ti]/51+[%V]/48)×48=0.01〜0.20%
Nb、TiおよびVは、微細なMX型化合物(炭化物、窒化物、炭窒化物の総称)を形成し、この微細なMX型化合物が焼鈍の際の加熱時にオーステナイトの成長をピン止めする粒子として作用することで、フェライト粒の微細化に寄与し、熱間圧延後の組織を微細化することにより、伸びフランジ性を高める。Nb、TiおよびVの各含有量、ならびに、V換算合計含有量が上記各上限値を超えると、粗大なMX型化合物が形成され、伸びフランジ性が劣化するとともに、これらの元素は再結晶を強く抑制する作用を有するため、冷間圧延後、焼鈍の際の加熱時に再結晶が抑制されてXKAM≦0.4°/Vαが0.8未満になり、強度と伸びのバランスが確保できなくなる。一方、Nb、TiおよびVの各含有量、ならびに、V換算合計含有量が上記各下限値を下回ると、上記フェライト粒微細化の効果が十分に得られなくなる。
本発明の鋼は上記成分を基本的に含有し、残部が実質的に鉄及び不純物であるが、その他、本発明の作用を損なわない範囲で、以下の許容成分を添加することができる。
Cr:0.01〜1.0%
Crは、セメンタイトの成長を抑制することで、伸びフランジ性を改善できる有用な元素である。0.01%未満の添加では上記のような作用を有効に発揮しえず、一方、1.0%を超える添加では粗大なCrが形成されるようになり、伸びフランジ性が劣化してしまう。
Mo:0.02〜1.0%
Cu:0.05〜1.0%、
Ni:0.05〜1.0%の1種または2種以上
これらの元素は、固溶強化により成形性を劣化させずに強度を改善するのに有用な元素である。各元素とも0.05%未満の添加では上記のような作用を有効に発揮しえず、一方、各元素とも1.0%を超える添加ではコストが高くなりすぎる。
Ca:0.0005〜0.01%、および/または、Mg:0.0005〜0.01%
これらの元素は、介在物を微細化し、破壊の起点を減少させることで、伸びフランジ性を向上させるのに有用な元素である。各元素とも0.0005%未満の添加では上記のような作用を有効に発揮しえず、一方、各元素とも0.01%を超える添加では逆に介在物が粗大化し、伸びフランジ性が低下する。
次に、本発明鋼板を得るための好ましい製造方法を以下に説明する。
〔本発明鋼板の好ましい製造方法(その1)〕
上記のような冷延鋼板を製造するには、まず、上記成分組成を有する鋼を溶製し、造塊または連続鋳造によりスラブとしてから熱間圧延を行う。
[熱間圧延条件]
熱間圧延条件としては、仕上げ圧延終了温度:900℃以上にて熱間圧延したのち、550℃までの冷却時間:[(仕上げ圧延終了温度−550℃)/20]s以下で冷却を行った後、巻取温度:500℃以下で巻き取る。
熱間圧延中にMX型化合物の析出が起こらないようにしたうえで、その後の焼鈍の際の加熱過程でMX型化合物を微細に析出させることで、破壊の起点となることなく組織を微細化することができ、伸びフランジ性を改善できる。
<仕上げ圧延終了温度:900℃以上>
仕上げ圧延終了温度が900℃未満では、熱間圧延中にMX型化合物が析出し、その後の焼鈍の際の加熱過程で該析出物が成長して粗大化し、伸びフランジ性が劣化する。
<熱間圧延後550℃までの冷却時間:[(仕上げ圧延終了温度−550℃)/20]s以下>
また、仕上げ圧延終了後550℃までの冷却時間が[(仕上げ圧延終了温度−550℃)/20]s超になると、冷却中にフェライト変態が起こり、形成されたフェライト中に析出物が形成され、その後の焼鈍の際の加熱過程で該析出物が粗大化し、伸びフランジ性が劣化する。
<巻取温度:500℃以下>
また、巻取温度が500℃超になると、巻き取り中に析出物が形成ないし粗大化し、伸びフランジ性が劣化する。
熱間圧延終了後は酸洗してから冷間圧延を行うが、冷間圧延率(以下、「冷延率」ともいう。)は30%程度以上とするのがよい。そして、上記冷間圧延後、引き続き、焼鈍、さらには焼戻しを行う。
[焼鈍条件]
焼鈍条件としては、600〜Ac1℃の温度域を(Ac1−600)s以上の滞在時間で昇温し、焼鈍加熱温度:[(8×Ac1+2×Ac3)/10]〜1000℃にて、焼鈍保持時間:3600s以下保持した後、焼鈍加熱温度から直接Ms点以下の温度まで50℃/s以上の冷却速度で急冷するか、または、焼鈍加熱温度から、焼鈍加熱温度未満で600℃以上の温度(第1冷却終了温度)まで1℃/s以上50℃/s未満の冷却速度(第1冷却速度)で徐冷した後、Ms点以下の温度(第2冷却終了温度)まで50℃/s以下の冷却速度(第2冷却速度)で急冷するのがよい。
<600〜Ac1℃の温度域を(Ac1−600)s以上の滞在時間で昇温>
逆変態前に高温域に長時間滞在させることでフェライトの回復・再結晶を促進させ、 フェライト中のひずみを開放させるためである。特に再結晶を遅延させるマイクロアロイ(Nb、TiおよびV)を添加しているため、Ac1点以下の温度域における滞在時間を長時間化する必要がある。
600〜Ac1℃の温度域を[2×(Ac1−600)+200]s以上の滞在時間で昇温することが好ましく、[2×(Ac1−600)+1000]s以上の滞在時間で昇温することがさらに好ましい。
<焼鈍加熱温度:[(8×Ac1+2×Ac3)/10]〜1000℃にて、焼鈍保持時間:3600s以下保持>
焼鈍加熱時に面積率20%以上の領域をオーステナイトに変態させることにより、その後の冷却時に十分な量の硬質第2相を変態生成させるためである。
焼鈍加熱温度が[(8×Ac1+2×Ac3)/10]℃未満では、焼鈍加熱時においてオーステナイトへの変態量が不足するため、その後の冷却時にオーステナイトから変態生成する硬質第2相の量が確保できなくなり、一方、1000℃を超える加熱は、既存の焼鈍設備では工業的に困難である。
また、焼鈍保持時間が3600sを超えると、生産性が極端に悪化するので好ましくない。
焼鈍加熱温度の好ましい上限は[(1×Ac1+9×Ac3)/10] ℃である。焼鈍加熱段階でフェライトとオーステナイトの混合組織にすると、フェライトがオーステナイトで囲まれた組織になるため、最終組織はフェライトが硬質第2相で囲まれた好ましい組織になる。
焼鈍加熱保持時間の好ましい下限は60sである。加熱時間を長時間化することでさらにフェライト中の歪を除去することができる。
<Ms点以下の温度まで50℃/s以上の冷却速度で急冷>
冷却中にオーステナイトからフェライトが形成されることを抑制し、硬質第2相を得るためである。
Ms点より高い温度で急冷を終了させたり、冷却速度が50℃/s未満になると、ベイナイトが形成されるようになり、鋼板の強度が確保できなくなる。
<加熱温度未満で600℃以上の温度まで1℃/s以上50℃/s未満の冷却速度で徐冷>
面積率で50%未満のフェライト組織を形成させることにより、伸びフランジ性を確保したまま伸びの改善が図れるためである。
600℃未満の温度または1℃/s未満の冷却速度ではフェライトが過剰に形成され、強度と伸びフランジ性が確保できなくなる。
[焼戻し条件]
焼戻し条件としては、上記焼鈍冷却後の温度から焼戻し加熱温度:420℃以上670℃未満までの間を5℃/s超の加熱速度で加熱し、[焼戻し加熱温度−10℃]〜焼戻し加熱温度の間の温度領域に存在する時間(焼戻し保持時間):20s以下とした後、5℃/s超の冷却速度で冷却すればよい。
フェライトおよび硬質第2相中の歪(転位)の減少速度は温度に強く依存する一方、セメンタイト粒子のサイズは時間に依存する。したがって、歪を開放しながら転位を減少させるためには、焼戻しの温度を高くし、滞在時間を短くすることが有効となる。
上記加熱速度ないし冷却速度が5℃/s以下の場合は、加熱ないし冷却中にセメンタイトの核生成・成長が起り、粗大なセメンタイトが形成されるため、伸びフランジ性が確保できなくなる。
焼戻し加熱温度が420℃未満では、フェライトないし硬質第2相中の歪が大きく、伸びや伸びフランジ性が確保できなくなる。
一方、焼戻し加熱温度が670℃以上、あるいは、焼戻し保持時間が20sを超えると、硬質第2相の強度が不足し、鋼板の強度が確保できなくなる。
焼戻し加熱温度の好ましい範囲は450℃以上650℃未満、さらに好ましい範囲は500℃以上600℃未満であり、焼戻し保持時間の好ましい範囲は10s以下、さらに好ましい範囲は5s以下である。
〔本発明鋼板の好ましい製造方法(その2)〕
上記〔本発明鋼板の好ましい製造方法(その1)〕ではその[焼鈍条件]において、「600〜Ac1℃の温度域を(Ac1−600)s以上の滞在時間で昇温」すると規定したが、600〜Ac1℃の温度域を、下記式1および式2をともに満足する昇温パターンで昇温するのがより好ましい。なお、その他の製造条件は、上記〔本発明鋼板の好ましい製造方法(その1)〕と同様である(ただし、冷間圧延における冷間圧延率は、上記〔本発明鋼板の好ましい製造方法(その1)〕では「30%以上程度とするのがよい」としたが、本例では、後記初期転位密度との関係を表す式4が成立する範囲である、20〜80%の範囲とする。
Figure 2010255091
すなわち、本発明者らは、上記〔本発明鋼板の好ましい製造方法(その1)〕では焼鈍の際に、逆変態前に高温域に長時間滞在させることでフェライトの回復・再結晶を促進させ、フェライト中のひずみを開放させることを目的として、「600〜Ac1℃の温度域を(Ac1−600)s以上の滞在時間で昇温」することとしていた。
しかしながら、本発明者らのその後の検討によれば、焼鈍前の鋼板の組織中には、鋼材溶製後の冷却の際や熱間圧延後の冷却の際に析出したセメンタイトが残留することがあり、この鋼板組織中に残留したセメンタイトが焼鈍時の昇温の際に粗大化し、この粗大化したセメンタイトが焼戻し処理後まで持ち込まれ、熱処理後の鋼板の伸びフランジ性を劣化させる可能性があることがわかった。
このため、より好ましい焼鈍条件としては、単に、フェライトの回復・再結晶を促進させるだけではなく、焼鈍前の鋼板の組織中に残留するセメンタイトの粗大化を防止しつつ、フェライトの回復・再結晶を促進させるような昇温パターンを採用する必要があると考えた。
そこで、このような昇温パターンを精度良く決定するため、フェライトの回復・再結晶の程度を定量的に表す指標として再結晶率Xと、セメンタイトの粗大化の程度を定量的に表す指標としてセメンタイト粒子半径rを採用し、先ず、これらの指標に及ぼす処理温度および処理時間の影響を調査した。
ここで、再結晶率Xは、冷延率を変化させることにより初期転位密度ρを変化させた材料を用いて、再結晶温度、時間の影響を検討した結果、下記式1’で表すことができることを見出した。
式1’:X=1−exp[−exp{Aln(DFe)+Aln(ρ)−A}・t](ここに、A、A、A、n:定数)
そして、鉄の自己拡散率DFeは、
式3:DFe=0.0118exp[−281500/{R(T+273)}](m/s) (ここに、T:温度(℃)、R:ガス定数[=8.314kJ/(K・kg−atom)])の関係が成り立つことが知られている(例えば、日本鉄鋼協会編、鉄鋼便覧 第3版、I 基礎、丸善、1981年、p.349参照)。
また、初期転位密度ρについては、各種鋼材に20〜80%の冷延率で冷延を施した鋼板を用いて初期転位密度ρと冷延率[CR]との相関関係を調査した結果、下記式4で表すことができることがわかった。なお、転位密度の測定は、特開2008−144233に開示した方法を用いた。
式4:ρ=Bln[(−ln{(100−[CR])/100}]+B(B、B:定数)
上記調査結果に基づき、上記式4の定数B、Bの値を決定した結果、冷延率[CR]:20〜80%の範囲において、B=1.54×1015、B=2.51×1014が得られた。
一方、セメンタイト粒子半径rは、rの3乗則で成長することが知られており、下記式2’のように簡便に書き下すことができる(例えば、佐久間健人、日本金属学会会報、第20巻、1981年、p.247参照)。
式2’:r―r =A・exp[−Q/{R(T+273)}]・t(ここに、A、Q:定数)
そして、上記各関係式中の各定数の値を決定するため、以下の試験を実施した。
本発明の成分組成の範囲内にある、C:0.17%、Si:1.35%、Mn:2.0%、Nb:0%、Ti:0.04%、V:0%を含有し、冷延率36%で冷間圧延されたまま(昇鈍・焼戻し処理前)の実機冷延鋼板(板厚1.6mm)と、この冷延率36%の実機冷延鋼板をさらに冷間圧延して冷延率60%とした冷延鋼板の2種類を供試材とした。
そして、上記2種類の冷延鋼板を、「急速加熱+一定温度に所定時間保持+急速冷却」のヒートパターンにて、種々の保持温度と保持時間の組み合わせで熱処理し、熱処理前後の鋼板の硬さをそれぞれ測定し、その硬さの変化と再結晶率とは強い相関関係にあると考えられるので、再結晶率=(熱処理前の硬さ−熱処理後の硬さ)/(熱処理前の硬さ−180Hv)の定義式で再結晶率を算出した。ここに、前記定義式中の180Hvは、最も保持温度が高い状態で、保持時間を順次延長して熱処理を行った際に、これ以上軟化しない最低の硬さであり、十分に焼鈍されて再結晶化が完了し完全に軟化された状態の硬さに相当する。
このようにして算出した再結晶率Xのデータを、保持温度Tおよび保持時間tとの関係としてアブラミ・プロット(Avrami Plot)することにより、上記式1’中の定数A、A、A、nの値を決定した結果、A=0.82、A=1.8、A=34.2、n=0.58が得られた。
また、上記2種類の冷延鋼板について、種々の保持温度Tと保持時間tの組み合わせで行った熱処理前後の鋼板組織中に存在するセメンタイト粒子の平均半径r、rをそれぞれ測定し、(r―r )/tを1/Tに対してアレニウス・プロット(Arhenius Plot)することにより、式2’中の定数A、Qの値を決定した結果、A=0.15、Q=80220が得られた。
そして、上記式1’および式2’は、Tが一定の場合の式であることから、これらの式を昇温過程に適用できるように、時間tの関数としての温度T(t)に変更し、600〜Ac1℃の間の滞在時間で積分する形に変形することで、式1および式2を導出した。
そして、種々の焼鈍条件で熱処理された鋼板について、上記のようにして導出した式1および式2を用いて算出した、再結晶率Xおよびセメンタイト粒子半径rと、実際の熱処理後の鋼板の組織観察で確認された再結晶状態とセメンタイトの粗大化の状態との比較を行ったところ、両者に良好な一致が見られたことから、これらの式1および式2による、再結晶率Xおよびセメンタイト粒子半径rの予測精度は十分に高いことが確認できた。
また、式1および式2を用いて算出した、再結晶率Xおよびセメンタイト粒子半径rと、熱処理(焼鈍+焼戻し)後の鋼板の機械的特性との関係を調査した。その調査結果から、より好ましい焼鈍条件として、熱処理後の鋼板のTS×El×λの値が、上記[背景技術]の項で述べた要望レベル(1200000MPa・%・%以上)をさらに上回る1800000MPa・%・%以上となるXとrの組み合わせを求めた結果、X≧0.8、かつ、r≦0.19が得られた。
つまり、X≧0.8、r≦0.19をともに満足するような、焼鈍時の昇温パターンを採用することで、フェライトの回復・再結晶の促進とセメンタイトの粗大化の防止を両立させることが可能となり、さらに機械的特性のバランスに優れた鋼板が得られるようになった。
下記表1に示す成分の鋼を溶製し、厚さ120mmのインゴットを作成した。
これを熱間圧延で厚さ25mmにした後、再度、熱間圧延で厚さ3.2mmとした。これを酸洗した後、厚さ1.6mmに冷間圧延して供試材とし、表2および表3に示す条件にて熱処理を施した。
ここで、鋼No.1〜37は、焼鈍時における600℃からAc1までの間の昇温パターンとして、600℃からT1(℃)(ただし、600℃<T1<Ac1)までを所定の昇温速度で加熱した後、T1で一定時間保持し、その後T1からAc1までを所定の昇温速度で加熱したものである。
これに対して、鋼No.38は、焼鈍時における600℃からAc1までの間の昇温パターンとして、600℃からT1(℃)(ただし、600℃<T1<Ac1)までを所定の昇温速度で加熱した後、T1℃で温度保持することなく、直ちにT1からAc1までを所定の昇温速度で加熱したものである。
なお、表1中のAc1およびAc3は、事前に実験的に測定したものである。その具体的な測定方法としては、φ8mm×12mmLのサンプルを熱処理シミュレータにて5℃/sで連続加熱して膨張曲線(温度と膨張率との関係)を測定し、該膨張曲線の変曲点の温度をAc1およびAc3とした。
Figure 2010255091
Figure 2010255091
Figure 2010255091
熱処理後の各鋼板について、上記[発明を実施するための形態]の項で説明した測定方法により、各相の面積率、フェライトの平均粒径、KAM値、析出物のサイズおよびその存在数、ならびに、フェライトの存在形態を測定した。
また、上記各鋼板について、引張強度TS、伸びEl、および伸びフランジ性λを測定した。なお、引張強度TSと伸びElは、圧延方向と直角方向に長軸をとってJIS Z 2201に記載の5号試験片を作成し、JIS Z 2241に従って測定を行った。また、伸びフランジ性λは、鉄連規格JFST1001に則り、穴拡げ試験を実施して穴拡げ率の測定を行い、これを伸びフランジ性とした。
測定結果を表4に示す。
同表に示すように、発明例である鋼No.1、2、10、14、16〜18、21,24、25、28、29、32〜38は、いずれも、引張強度TSが780MPa以上で、TS×Elが16000MPa・%以上、かつ、TS×El×λが1200000MPa・%・%以上を充足し、上記[背景技術]の項で述べた要望レベルを満足する、伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板が得られた。
上記発明例のうち、特に鋼No.37、38は、焼鈍時の昇温パターンが、上記〔本発明の好ましい製造条件(その2)〕の推奨条件である、X≧0.8、r≦0.19をともに満足するので、TS×El×λが上記要望レベルをはるかに超える1800000MPa・%・%以上を充足し、さらに機械的特性のバランスに優れた高強度冷延鋼板が得られた。
これに対して、比較例である鋼No.3〜9、11〜13、19、20、22、23、26、27、30、31は、TS、TS×ElおよびTS×El×λの少なくともいずれかが劣っている。
例えば、鋼No.3〜7、9、11〜13は、焼鈍条件または焼戻し条件が推奨範囲を外れていることにより、本発明の組織を規定する要件のうち少なくとも一つを満たさず、TS×El、TS×El×λの少なくともいずれかが劣っている。
また、鋼No.20は、C含有量が低すぎることにより、TS、TS×λ、TS×El×λが劣っている。
一方、鋼No.23は、C含有量が高すぎることにより、粗大化したセメンタイト粒子が多くなりすぎるため、TS×λ、TS×El×λが劣っている。
また、鋼No.27は、Mn含有量が低すぎることにより、TSが劣っている。
また、鋼No.30は、Mn含有量が高すぎることにより、逆変態温度が低くなりすぎ、再結晶ができなくなるため、強度と伸びのバランスが確保できなくなり、TS×λ、TS×El×λが劣っている。
また、鋼No.19は、V換算合計含有量が高すぎることにより、伸びフランジ性が劣化するとともに、強度と伸びのバランスが確保できなくなり、TS×El×λが劣っている。
また、鋼No.31は、V換算合計含有量が低すぎることにより、フェライト粒が粗大化するため、TS×λ、TS×El×λが劣っている。
Figure 2010255091

Claims (5)

  1. 質量%で(以下、化学成分について同じ。)、
    C:0.05〜0.30%、
    Si:3.0%以下(0%を含む)、
    Mn:0.1〜5.0%、
    P:0.1%以下(0%を含む)、
    S:0.010%以下(0%を含む)、
    Al:0.001〜0.10%
    を含むとともに、
    Nb:0.02〜0.40%、
    Ti:0.01〜0.20%、
    V:0.01〜0.20%の1種または2種以上を、
    [%Nb]/96+[%Ti]/51+[%V]/48)×48が0.01〜0.20%を満足するように含み、
    残部が鉄および不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    軟質第1相であるフェライトを面積率で10〜80%含むとともに、
    残留オーステナイト、マルテンサイト、および、残留オーステナイトとマルテンサイトの混合組織を、面積率の合計で5%未満(0%を含む)含み、
    残部が硬質第2相である、焼戻しマルテンサイトおよび/または焼戻しベイナイトからなる組織を有し、
    前記フェライトの平均粒径が円相当直径で5μm以下であり、
    Kernel Average Misorientation値(以下、「KAM値」と略称する。)の頻度分布曲線において、
    全頻度に対する、該KAM値が0.4°以下の頻度の比率XKAM≦0.4°(単位:%)と、フェライトの面積率Vα(単位:%)との関係が、XKAM≦0.4°/Vα≧0.8を満たすとともに、
    全頻度に対する、前記KAM値が0.6〜0.8°の頻度の比率XKAM=0.6〜0.8°が10〜20%であり、かつ、
    前記フェライトと前記硬質第2相の界面に存在する析出物の分布状態が、
    円相当直径0.1μm以上のセメンタイト粒子は、前記硬質第2相1μm当たり3個以下で、
    円相当直径20nm以上の析出物であって、Nb、TiおよびVの1種または2種以上を含む析出物は、前記硬質第2相1μm当たり5個以下である
    ことを特徴とする伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板。
  2. 成分組成が、更に、
    Cr:0.01〜1.0%
    を含むものである請求項1に記載の伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板。
  3. 成分組成が、更に、
    Mo:0.02〜1.0%
    Cu:0.05〜1.0%、
    Ni:0.05〜1.0%の1種または2種以上
    を含むものである請求項1または2に記載の伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板。
  4. 成分組成が、更に、
    Ca:0.0005〜0.01%、および/または
    Mg:0.0005〜0.01%
    を含むものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に示す成分組成を有する鋼材を、下記(1)〜(4)に示す各条件で、熱間圧延した後、冷間圧延し、その後、焼鈍し、さらに焼戻しすることを特徴とする伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
    (1) 熱間圧延条件
    仕上げ圧延終了温度:900℃以上
    550℃までの冷却時間:[(仕上げ圧延終了温度−550℃)/20]s以下
    巻取温度:500℃以下
    (2) 冷間圧延条件
    冷間圧延率:20〜80%
    (3) 焼鈍条件
    600〜Ac1℃の温度域を、下記式1および式2をともに満足する昇温パターンで昇温し、焼鈍加熱温度:[(8×Ac1+2×Ac3)/10]〜1000℃にて、焼鈍保持時間:3600s以下保持した後、焼鈍加熱温度から直接Ms点以下の温度まで50℃/s以上の冷却速度で急冷するか、または、焼鈍加熱温度から、焼鈍加熱温度未満で600℃以上の温度(「第1冷却終了温度」という。)まで1℃/s以上50℃/s未満の冷却速度(「第1冷却速度」という。)で徐冷した後、Ms点以下の温度(「第2冷却終了温度」という。)まで50℃/s以下の冷却速度(「第2冷却速度」という。)で急冷する。
    (4) 焼戻し条件
    上記焼鈍冷却後の温度から焼戻し加熱温度:420℃以上670℃未満までの間を5℃/s超の加熱速度で加熱し、[焼戻し加熱温度−10℃]〜焼戻し加熱温度の間の温度領域に存在する時間(「焼戻し保持時間」という。):20s以下とした後、5℃/s超の冷却速度で冷却する。
    Figure 2010255091
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