以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る警報システムの一例を示す構成図である。
本実施形態に係る警報システム1は、図1に示すように、ガス器具10の使用状況からガス器具10の使用者の異常を判断して警報するものであって、複数のガス器具10と、ガス供給元の調整器20と、配管31,32と、ガスメータ40とを備えている。なお、以下の説明では独居老人を使用者の一例として説明する。
ガス器具10は、家庭において使用される、ガスストーブ、ファンヒータ、給湯器、床暖房及びガステーブルなどの器具である。調整器20は上流からの燃料ガスを所定圧力に調整して第1配管31に流すものである。第1配管31は、調整器20とガスメータ40とを接続するものである。第2配管32はガスメータ40とガス器具10とを接続する配管である。ガスメータ40は、燃料ガスの流量を測定して積算流量を表示するものである。このようなシステム1では、ガスメータ40内に第1配管31及び第2配管32とつながる流路が形成されており、調整器20を通じて流れてきた燃料ガスは第1配管31からガスメータ40、及び第2配管32を通じてガス器具10に到達し、ガス器具10において燃焼されることとなる。
また、ガスメータ40は、ガス器具10の使用者である独居老人の異常を判断して警報動作を実行する。この際、ガスメータ40は、ガス圧力やガス流量から、使用されたガス器具10や使用されたガス器具10の使用時間などの、ガス器具10の使用状況を判断する。そして、このガス器具10の使用状況が予め定められた条件に一致する場合に、独居老人に異常が発生したと判断し、警報動作を実行する。
図2は、図1に示したガスメータ40の詳細を示す構成図である。図2に示すように、ガスメータ40は、圧力センサ41と、流量センサ42と、制御部43とを有している。圧力センサ41は、ガスメータ40の流路内におけるガス圧力に応じた計測値の信号を出力するものであって、ピエゾ抵抗式や静電容量式などのセンサによって構成される。流量センサ42は、ガスメータ40の流路内におけるガス流量に応じた計測値の信号を出力するものであって、超音波センサやフローセンサなどで構成される。
制御部43は、ガス使用状況判断部(ガス器具判断手段)43e、及び警報動作実行部(警報動作実行手段)43fを備え、ガス使用状況判断部43eにより判断されたガス器具10の使用状況が予め定められた条件を満たす場合に、警報動作実行部43fにより警報動作を実行するものである。ここで、制御部43は、使用状況を判断するにあたり、使用が開始されたガス器具10を判断すると共に、使用が終了したガス器具10を判断する。
図3は、ガス器具10の使用過程における流量推移の一例を示す図である。図3に示すように、時刻t1において第1のガス器具10(例えばガステーブル)が使用開始されたとする。このとき、流量値はF1を示す。そして、時刻t2において第2のガス器具10(例えば給湯器)が使用開始されたとすると、流量値はF3(=F1+F2)を示す。
その後、時刻t3において第1のガス器具10の使用が終了したとすると、流量値は第2のガス器具10のみの流量であるF2を示す。次いで、時刻t4において第2のガス器具10についても使用が終了したとすると、流量値は「0」を示す。
本実施形態において制御部43は、時刻t1や時刻t2のように、流量が増加(又は圧力が減少)したときにおけるセンサ41,42からの信号の波形に基づいて、使用が開始したガス器具10を判断する。すなわち、本実施形態に係る制御部43は、時刻t1における波形から第1のガス器具10の使用開始を判断し、時刻t2における波形から第2のガス器具10の使用開始を判断する。
特に、本実施形態に係る制御部43は、時刻t1から微小時間(例えば最大で2秒)経過するまでの波形や、時刻t2から微小時間経過するまでの波形から、使用が開始したガス器具10を特定する。ここで、本件発明者らは、ガス器具10の使用開始時における圧力波形や流量波形が、ガス器具10毎に固有の振動を示すことを見出した。また、本件発明者らは、この振動がガス器具10の使用開始時から微小時間経過するまでの間に発生することを見出した。よって、制御部43は、微小時間における振動波形から、使用が終了したガス器具10を判断することができる。
なお、振動は微小時間中に発生するが、制御部43は微小時間よりも長い時間の圧力波形や流量波形を観測し、その波形内に含まれる振動波形から使用が開始したガス器具10を判断するようにしてもよい。
加えて、制御部43は、時刻t3や時刻t4のように、流量が減少(又は圧力が増加)したときにおけるセンサ41,42からの信号の波形に基づいて、使用が終了したガス器具10を判断する。すなわち、本実施形態に係る制御部43は、時刻t3における波形から第1のガス器具10の使用終了を判断し、時刻t4における波形から第2のガス器具10の使用終了を判断する。
特に、本実施形態に係る制御部43は、時刻t3から微小時間(例えば最大で2秒)経過するまでの波形や、時刻t4から微小時間経過するまでの波形から、使用が終了したガス器具10を特定する。ここで、本件発明者らは、ガス器具10の使用終了時における圧力波形や流量波形が、ガス器具10毎に固有の振動を示すことを見出した。また、本件発明者らは、この振動がガス器具10の使用終了時から微小時間経過するまでの間に発生することを見出した。よって、制御部43は、微小時間における振動波形から、使用が終了したガス器具10を判断することができる。
なお、振動は微小時間中に発生するが、制御部43は微小時間よりも長い時間の圧力波形や流量波形を観測し、その波形内に含まれる振動波形から使用が終了したガス器具10を判断するようにしてもよい。
また、制御部43は、使用が開始したガス器具10と使用が終了したガス器具10を判断すると、そのガス器具10の使用時間を判断する。そして、制御部43は、どのガス器具10がどれだけの時間使用されたかを判断することで、独居老人の異常を判断して警報動作を実行することとなる。
次に、制御部43について詳細に説明する。制御部43は、ガス使用状況判断部43e、及び警報動作実行部43fに加えて、変動判断部43a、生成部43b、類似度推移算出部43c、及び、記憶部43dを備えている。
変動判断部43aは、センサ41,42からの信号に基づいて、ガスの圧力値が立ち上がったこと及び立ち下がったこと、並びに、ガスの流量値が立ち下がったこと及び立ち上ったことの変動を判断するものである。ここで、ガス器具10の使用開始時には、ガス圧力値の立ち下がりやガス流量値の立ち上がりが検出される。また、ガス器具10の使用終了時には、ガス圧力値の立ち上がりやガス流量値の立ち下がりが検出される。すなわち、変動判断部43aは、図3に示すところの時刻t1、時刻t2、時刻t3及び時刻t4のタイミングを検出することとなる。なお、この変動判断部43aは、例えば微分回路を含んで構成され、微分回路により変動を検出してもよいし、マイコンによる演算によって変動を検出してもよい。
生成部43bは、所定の振動波形を生成するものである。この生成部43bによって生成される所定の振動波形は、後の処理において、微小時間中にセンサ41,42で計測された振動波形と比較される。
類似度推移算出部43cは、センサ41,42によって計測された微小時間中の振動波形と、生成部43bによって生成された所定の振動波形との類似度推移を算出するものである。ガス使用状況判断部43eは、類似度推移算出部43cによって算出された類似度推移に基づいて、使用が開始したガス器具10及び使用が終了したガス器具10を判断する。
使用が開始したガス器具10及び使用が終了したガス器具10の判断処理について概略を説明すると、例えば生成された所定の振動波形が給湯器の使用開始と仮定されたときの振動波形であって、実際に給湯器の使用が開始したとする。この場合、実際にセンサ41,42によって計測される振動波形と生成された振動波形とは、類似度が高くなり、類似度推移についても高くなる。このため、ガス使用状況判断部43eは、給湯器の使用が開始したと判断できる。なお、類似度推移とは、類似度を連続的に求めて得られるものである。
また、生成された所定の振動波形が給湯器の使用開始と仮定されたときの振動波形であって、実際にガステーブルの使用が開始したとする。この場合、実際にセンサ41,42によって計測される振動波形と生成された振動波形とは、類似度が高くならず、類似度推移についても高くならない。このため、ガス使用状況判断部43eは、給湯器の使用が開始したと判断しない。この際、類似度推移には、給湯器とガステーブルとの相違が生じる。この相違は、ガス器具10毎に異なる。例えば、給湯器とガステーブルとの相違と、給湯器と小型湯沸器との相違とは異なっており、ガス使用状況判断部43eは、相違の状態からガステーブルの使用が開始したと判断できる。
なお、上記では生成部43bが所定の振動波形として給湯器の使用開始時における振動波形を生成しているが、これに限らず、他のガス器具10の使用開始時における振動波形を生成してもよい。さらに、生成する振動波形は、1つのガス器具10の使用開始時の振動波形に限らず、全ガス器具10の使用開始時における振動波形(複数の振動波形)を生成し、類似度推移算出部43cは、生成された全ガス器具10の振動波形と、センサ41,42によって計測された振動波形との類似度推移を算出して、類似度推移が最も高いガス器具10の使用が開始したと判断してもよい。さらに、生成部43bが所定の振動波形を1つしか生成しない場合には、ガス漏れ発生と仮定されたときの振動波形を生成するようにしてもよい。すなわち、生成部43bは、振動波形を1つしか生成しない場合、基準となる振動波形を生成すればよく、その振動波形は何の振動波形であってもよい。加えて、上記では、ガス器具10の使用が開始した場合を例に説明しているが、終了時も同様にして判断することができる。
次に、使用が開始したガス器具10の判断についてより詳細に説明する。また、以下の実施形態において生成部43bは、基準となる所定の振動波形として、ガス漏れ時における振動波形を生成する場合を例に説明する。さらに、以下の実施形態では、ガス圧力の振動波形に基づいて使用が開始したガス器具10を判断する手法について説明する。
図4は、図2に示した生成部43bにより生成されるガス漏れ振動波形の概略を示す図である。図4に示すように、生成部43bは、圧力が時間の経過と共に低下しながら振動するガス漏れ振動波形を生成する。このガス漏れ振動波形は、減衰振動の周波数、ゲイン、及び減衰比を含む2次遅れのステップ応答の式に基づいて生成された波形である。ここで、本件発明者らは、ガス漏れ発生直後の微小時間において圧力や流量の計測値に振動が発生することについても見出した。このため、生成部43bは、2次遅れのステップ応答の式に基づいてガス漏れ振動波形を生成する。
再度、図2を参照する。類似度推移算出部43cは、センサ41,42からの信号の振動波形と、生成部43bに生成されたガス漏れ振動波形との類似度推移を算出する。なお、類似度推移とは、本実施形態において連続的な正規相互相関(NCC:Normalized Cross Correlation)をいう。より具体的には、以下の式(1)により類似度R
NCCが求められる。類似度推移算出部43cは、この式(1)による類似度R
NCCの算出を連続的に行うことにより、類似度推移(以下、連続NCCという)を求める。
図5は、ガス器具使用開始時における圧力変化を示すグラフであって、(a)はガステーブル使用開始時における圧力変化を示し、(b)は小型湯沸器使用開始時における圧力変化を示し、(c)は給湯器使用開始時における圧力変化を示している。
図5(a)に示すように、ガステーブルの使用開始時には圧力が2.9kPa程度で滑らかに振動する圧力波形が得られる。また、図5(b)に示すように、小型湯沸器の使用終了時には圧力が2.93kPaを基準にして0.1kPa強振動する圧力波形が得られる。さらに、図5(c)に示すように、給湯器の使用終了時には圧力が2.93kPaを基準にして小型湯沸器よりもやや粗い振動を示す圧力波形が得られる。
図6は、図2に示した類似度推移算出部43cにより算出される連続NCCを示すグラフであって、(a)はガステーブル使用開始時における連続NCCを示し、(b)は小型湯沸器使用開始時における連続NCCを示し、(c)は給湯器使用開始時における連続NCCを示している。
ガステーブルの使用が開始した場合、図5(a)の振動波形が得られ、類似度推移算出部43cにより算出される連続NCCは図6(a)に示すようになる。すなわち、連続NCCは、初期的に「1.0」程度を示し、その後「0.2」を下回り、約0.04秒において「0.95」まで復帰する。そして、連続NCCは、約0.1秒において「0.5」程度となり、その後「0.65」付近までゆっくりと上昇する。
また、小型湯沸器の使用が開始した場合、図5(b)の振動波形が得られ、類似度推移算出部43cにより算出される連続NCCは図6(b)に示すようになる。すなわち、連続NCCは、初期的に「1.0」程度を示し、その後「0.2」を下回り、約0.04秒において「0.9」まで復帰する。そして、連続NCCは、再度「0.4」程度まで低下し、その後、「0.7」付近までゆっくりと上昇する。
また、給湯器の使用が開始した場合、図5(c)の振動波形が得られ、類似度推移算出部43cにより算出される連続NCCは図6(c)に示すようになる。すなわち、連続NCCは、初期的に「0.8」弱を示し、その後「0.2」を下回り、約0.02秒において「0.7」まで復帰する。そして、連続NCCは、「0.6」程度まで低下し、次いで「0.7」程度まで復帰する。その後、連続NCCは再び「0.5」程度まで低下した後に、約0.1秒において「0.6」弱となる。以後、連続NCCは「0.65」付近までゆっくりと上昇していく。
このようにガス器具10の使用開始時においても、連続NCCはガス器具10毎に異なり、ガス使用状況判断部43eは、このような連続NCCのパターンから使用が開始したガス器具10を判断する。具体的には図2に示す記憶部43dに、各ガス器具10の連続NCCのパターンを記憶させておく。すなわち、記憶部43dは、ガステーブルについて図6(a)に示したような連続NCCのパターンを記憶し、小型湯沸器について図6(b)に示したような連続NCCのパターンを記憶し、給湯器について図6(c)に示したような連続NCCのパターンを記憶している。そして、ガス使用状況判断部43eは、記憶部43dにより記憶された連続NCCデータのうち、算出された連続NCCと最も近い連続NCCデータが示すガス器具10の使用が開始したと判断する。
次に、使用が終了したガス器具10の判断についてより詳細に説明する。図7は、ガス器具使用終了時における圧力変化を示すグラフであって、(a)はガステーブル使用終了時における圧力変化を示し、(b)は小型湯沸器使用終了時における圧力変化を示し、(c)は給湯器使用終了時における圧力変化を示している。
図7(a)に示すように、ガステーブルの使用終了時には圧力が2.85kPa程度で滑らかに振動する圧力波形が得られる。また、図7(b)に示すように、小型湯沸器の使用終了時には圧力が2.85kPaを基準にして±0.1kPa程度振動する圧力波形が得られる。さらに、図7(c)に示すように、給湯器の使用終了時には圧力が2.88kPaを基準にしてガステーブルよりもやや粗い振動を示す圧力波形が得られる。
図8は、図2に示した類似度推移算出部43cにより算出される連続NCCを示すグラフであって、(a)はガステーブル使用終了時における連続NCCを示し、(b)は小型湯沸器使用終了時における連続NCCを示し、(c)は給湯器使用終了時における連続NCCを示している。
ガステーブルの使用が終了した場合、図7(a)の振動波形が得られ、類似度推移算出部43cにより算出される連続NCCは図8(a)に示すようになる。すなわち、連続NCCは、初期的に「0.9」程度を示し、その後「0.2」を下回り、約0.03秒において「0.8」まで復帰する。そして、連続NCCは、約0.1秒において「0.6」弱となり、その後「0.6」付近を維持する。
また、小型湯沸器の使用が終了した場合、図7(b)の振動波形が得られ、類似度推移算出部43cにより算出される連続NCCは図8(b)に示すようになる。すなわち、連続NCCは、初期的に「0.9」程度を示し、その後「0.4」を下回り、約0.01秒において「0.8」まで復帰する。そして、連続NCCは、「0.3」程度まで低下し、次いで「0.6」強まで復帰する。次に、連続NCCは小さな振動を繰り返しながら約0.1秒において「0.6」程度となる。以後、連続NCCは「0.7」付近までゆっくりと上昇する。
また、給湯器の使用が終了した場合、図7(c)の振動波形が得られ、類似度推移算出部43cにより算出される連続NCCは図8(c)に示すようになる。すなわち、連続NCCは、初期的に「0.9」弱を示し、その後「0.2」を下回り、約0.02秒において「0.6」まで復帰する。そして、連続NCCは、再度「0.45」程度まで低下し、次いで「0.6」程度まで復帰する。その後、連続NCCは再び「0.45」程度まで低下した後に、約0.1秒において「0.6」程度となる。以後、連続NCCは「0.7」付近までゆっくりと上昇いていく。
このように連続NCCはガス器具10毎に異なり、ガス使用状況判断部43eは、このような連続NCCのパターンから使用が終了したガス器具10を判断する。具体的には図2に示す記憶部43dに、各ガス器具10の連続NCCのパターンを記憶させておく。すなわち、記憶部43dは、ガステーブルについて図6(a)に示したような連続NCCのパターンを記憶し、小型湯沸器について図6(b)に示したような連続NCCのパターンを記憶し、給湯器について図6(c)に示したような連続NCCのパターンを記憶している。そして、ガス使用状況判断部43eは、記憶部43dにより記憶された連続NCCデータのうち、算出された連続NCCと最も近い連続NCCデータが示すガス器具10の使用が終了したと判断する。
さらに、本実施形態に係るガスメータ40では、ガス漏れについても判断する。この場合、使用が開始されたガス器具10の判断時に同時的にガス漏れが判断される。すなわち、変動判断部43aは、センサ41,42からの信号に基づいて、ガスの圧力値が立ち下がったこと、及び、ガスの流量値が立ち上がったことの少なくとも一方の使用開始時の変動を判断する。また、生成部43bは、ガス漏れが発生したと仮定したときのガス漏れ振動波形を生成し、類似度推移算出部43cは、ガス漏れ振動波形と、センサ41,42によって計測された微小時間中の振動波形との類似度推移を式(1)に従って算出する。
図9は、ガス漏れ時に、図2に示した類似度推移算出部43cにより算出される連続NCCを示すグラフである。なお、図9において実線と破線は、各家庭における配管状態の相違、ガス漏れ箇所の相違、及び、ガス漏れ流量の相違などの条件が異なる場合の連続NCCを示している。
図9に示すように、ガス漏れ時において連続NCCは、初期的に「1.0」を示し、その後「0.8」弱に低下する。しかし、時刻0.025秒以降について連続NCCは「0.9」以上の値を示す。従って、ガス漏れ判断部43b2は、このような連続NCCのパターンからガス漏れを判断する。具体的には図2に示す記憶部43dに、ガス漏れ時の連続NCCのパターンを記憶させておく。すなわち、記憶部43dは、図9に示したような連続NCCのパターンを記憶している。そして、ガス使用状況判断部43eは、記憶部43dにより記憶された連続NCCのパターンと、算出された連続NCCとを比較し、両者が近い場合にガス漏れと判断する。
なお、ガス漏れ時において連続NCCは、NCCが全体に亘ってほぼ「0.9」以上を示す。このため、ガス使用状況判断部43eは、類似度推移算出部43cにより算出された類似度推移の代表値が閾値(例えば「0.9」)以上である場合に、ガス漏れが発生していると判断してもよい。ここで、代表値とは、類似度全体又は類似度全体のうち特定期間の平均値であってもよいし、圧力や流量の変化が発生してから、ある特定の時刻における類似度であってもよいし、他の値であってもよい。
次に、生成部43bによって生成される所定の振動波形の生成手法について説明する。生成部43bは、以下のようにしてガス漏れ振動波形を生成する。まず、生成部43bは以下の式(2)を記憶している。
ここで、y(t)は圧力の変化量を示し、Kはゲインを示し、ωdは減衰振動の周波数を示し、ζは減衰比を示している。特に、ゲインK、減衰振動の周波数ωd、及び減衰比ζは、圧力センサ41によって実際に計測された波形から求められるものである。次に、これらの算出方法について図10を参照して説明する。図10は、圧力波形の一例を示す図である。
生成部43bは、以下の式(3)から、減衰振動の周波数ω
dを算出する。
ここで、Tpは行き過ぎ時間であり、図10で示すように、圧力変化発生時から最初の極値V1(極小値V1)までの時間をいう。生成部43bは、圧力センサ41の信号から最初の極値V1が確認されると、行き過ぎ時間Tpを求め、式(3)から減衰振動の周波数ωdを算出する。
なお、減衰振動の周波数ωdは、式(3)から求める場合に限らず、圧力変化発生時から2つ目の極値M(極大点M)や、3つ目の極値V2(極小点V2)に基づいて算出してもよい。
次に、生成部43bは、以下の式(4)から、ゲインKを算出する。
このような式であるため、生成部43bは、圧力センサ41の信号から極値V1,M,V2が確認されると、式(4)からゲインKを算出する。
なお、図10から明らかなように、ゲインKは圧力変化発生前の圧力値と圧力変化発生後の圧力値との差分によっても求めることができる。従って、生成部43bは、圧力変化が発生して圧力値が略一定値となったとき(図10では時刻0.4秒)に、差分からゲインKを求めてもよい。さらに、類似度推移算出部43cは、圧力変化発生時から4つ目以降の極値を加味してゲインKを算出してもよい。
次いで、生成部43bは、以下の式(5)から、減衰比ζを算出する。
ここで、δは対数減衰率であり、mは周期数である。式(5)の場合、周期数mは「0.5」となる。
このような式であるため、生成部43bは、圧力センサ41の信号から極値V1,Mが確認されると、式(5)から減衰比ζを算出する。
以上のように、生成部43bは、ゲインK、減衰振動の周波数ωd、及び減衰比ζを算出し、式(2)より振動波形の式を求める。そして、類似度推移算出部43cは、求めた式と、圧力センサ41の信号に基づく圧力波形とから、式(1)に従って連続NCCを求めることとなる。
ここで、生成部43bは、減衰振動の周波数ωd、及び減衰比ζを以下のようにして算出するようにしてもよい。すなわち、図10に示す振動波形は、ガス漏れ時の流量に依存する傾向にある。このため、生成部43bは、流量値のみを変数に含む式を予め記憶し、この式に流量センサ42によって計測された流量値を代入して、減衰振動の周波数ωd、及び減衰比ζを求めるようにしてもよい。
具体的に生成部43bは、以下の式(6)から減衰振動の周波数ω
d、及び減衰比ζを求める。
ここで、Lは流量値であり、a1,a2,b1,b2は定数である。このように、式(6)から求めることで演算量を減らして、算出処理の簡素化を図るようにしてもよい。なお、流量と圧力には一定の相関がある。このため、式(6)に代えて圧力値のみを変数に含む式を記憶し、この式から減衰振動の周波数ωd、及び減衰比ζを求めるようにしてもよい。
さらに、この場合、生成部43bは、ゲインKについて式(4)から算出することなく、圧力変化発生前の圧力値と圧力変化発生後の圧力値との差分によっても求めることが望ましい。これにより、一層演算量を減らすことができるからである。
再度、図2を参照する。警報動作実行部43fは、ガス使用状況判断部43eにより判断されたガス器具10の使用状況が予め定められた条件を満たす場合に警報動作を実行するものである。ここで、警報動作とは、センター及び親族の携帯電話等の少なくとも一方への通知が該当する。また、警報動作は、これらに限られず、単に家庭内で警報音を発することや戸外ブザーにより、周囲の家庭に独居老人の異常を知らせるものであってもよい。
なお、上記の予め定められた条件とは記憶部43bに記憶されている。具体的に予め定められた条件とは、1)例えば給湯器を1〜2分使用するが、10分以上使用しない、2)毎朝ガスストーブが使用されていたが、急に使用されなくなった、などである。1)の場合、手は洗っているが、風呂に入っていないと推定できるため、独居老人が風邪等の可能性があるといえる。よって、警報動作実行部43fは警報動作を実行する。2)の場合、独居老人が朝起き上がれない程に体調不良であると推定できる。よって、警報動作実行部43fは警報動作を実行する。なお、予め定められた条件は、上記2つの限られず、種々設定可能である。また、ガスメータ40は、時計(リアルタイムクロック)機能を備える等、2)の朝を判断するための構成を備えることが望ましい。
次に、本実施形態に係る警報システム1の動作を説明する。図11は、本実施形態に係る警報システム1の動作を示すメインフローチャートであって、特に制御部43の動作を示している。
図11に示すように、まず、変動判断部43aはセンサ41,42からの信号に基づいて、使用開始時又は使用終了時の変動があったか否かを判断する(S1)。変動がなかったと判断した場合(S1:NO)、ガス使用状況判断部43cは、流量センサ42からの信号に基づいて、流量がない状態が所定時間以上継続したか否かを判断する(S2)。
流量がない状態が所定時間以上継続していないと判断した場合(S2:NO)、処理はステップS1に移行する。一方、流量がない状態が所定時間以上継続したと判断した場合(S2:YES)、警報動作実行部43fは本格警報の動作を実行する(S3)。その後、図11に示した処理は終了する。ここで、本格警報とは、長時間ガスが使用されておらず、独居老人に重度の異変があったと判断できる場合に発せられる警報である。なお、ステップS2における所定時間とは、特許文献1と同様に、例えば3日や7日や18時間など適宜設定される時間である。
ところで、変動があったと判断した場合(S1:YES)、変動判断部43aは、ステップS1における変動が使用終了時の変動であるか否かを判断する(S4)。使用終了時の変動でないと判断した場合(S4:NO)、ガス漏れ/開始ガス器具判断処理が実行され(S5)、ガス漏れ及び使用が開始したガス器具10が判断される。その後、図11に示す処理は終了する。
また、使用終了時の変動であると判断した場合(S4:YES)、終了ガス器具判断処理が実行され(S6)、使用が終了したガス器具10が判断される。その後、警報動作実行部43fは、予備警報処理を実行し(S7)、図11に示す処理は終了する。
図12は、図11に示したガス漏れ/開始ガス器具判断処理(S5)の詳細を示すフローチャートである。図12に示すように、まず、制御部43は、サンプリング時間を通常のサンプリング時間よりも短縮し、短縮されたサンプリング時間で圧力を計測する(S11)。その後、制御部43は、微小時間経過したか否かを判断する(S12)。微小時間経過していないと判断した場合(S12:NO)、処理はステップS11に移行する。なお、ステップS11では、圧力のサンプリング時間を短縮しているが、圧力のサンプリング時間に代えて、流量のサンプリング時間を短縮するようにしてもよい。
微小時間経過したと判断した場合(S12:YES)、生成部43bは、微小時間中に得られた振動波形から、減衰振動の周波数ωd、ゲインK、及び減衰比ζを決定する(S13)。このとき、生成部43bは、減衰振動の周波数ωd、ゲインK、及び減衰比ζを式(3)〜式(5)に基づいて算出してもよいし、式(6)から求めてもよい。
次に、生成部43bは、ステップS13により決定された減衰振動の周波数ωd、ゲインK、及び減衰比ζから、2次遅れのステップ応答の式に基づいてガス漏れ振動波形を生成する(S14)。このとき、生成部43bは、ステップS13により決定された減衰振動の周波数ωd、ゲインK、及び減衰比ζを式(2)に代入することにより、ガス漏れ振動波形を生成する。
そして、ガス使用状況判断部43eは、ステップS14により決定されたガス漏れ振動波形と、ステップS11において計測された計測値からなる振動波形とに基づいて、式(1)から連続NCCを算出する(S15)。
その後、ガス使用状況判断部43eは、連続NCCの代表値を決定し、代表値が閾値以上であるか否かを判断する(S16)。代表値が閾値以上であると判断した場合(S16:YES)、ガス使用状況判断部43eは、ガス漏れが発生していると判断する(S17)。その後、図12に示す処理は終了する。
一方、代表値が閾値以上でないと判断した場合(S16:NO)、ガス使用状況判断部43eは、記憶部43dからガス器具毎の類似度推移データを読み出す(S18)。そして、ガス使用状況判断部43eは、ステップS18にて読み出したガス器具毎の連続NCCデータのうち、ステップS15において算出した連続NCCと最も近いものを特定し、使用が開始したガス器具10を判断する(S19)。その後、図12に示す処理は終了する。なお、図12に示す処理では、使用が開始したガス器具10を判断するのに先立って、ガス漏れを判断することにより、迅速性を必要とするガス漏れの判断を優先し、安全性の向上を図っている。
図13は、図11に示した終了ガス器具判断処理(S6)の詳細を示すフローチャートである。まず、図13に示すステップS21〜S25では、図12に示したステップS11〜S15と同様の処理が実行される。
その後、ガス使用状況判断部43eは、ステップS26,S27において、図12に示したステップS18,S19と同様の処理を実行して、使用が終了したガス器具10を判断し、図13に示す処理は終了する。
図14は、図11に示した予備警報処理(S7)の詳細を示すフローチャートである。まず、ガス使用状況判断部43eは、ガス器具10の使用状況を判断する(S31)。このとき、ガス使用状況判断部43eは、図12のステップS19にて使用が開始されたガス器具10の情報を得ると共に、図13のステップS27にて使用が開始されたガス器具10の情報を得る。そして、ガス使用状況判断部43eは、各ガス器具10の使用時間を判断したり、タイマー等と連動してどの時間帯にどのガス器具10が使用されているかを判断したりして、ガス器具10の使用状況を判断する。
次に、警報動作実行部43fは、予め定められた条件を記憶部43dから読み出す(S32)。そして、警報動作実行部43fは、ステップS31にて判断されたガス器具10の使用状況がステップS32にて読み出された条件と一致するか否かを判断する(S33)。
一致したと判断した場合(S33:YES)、警報動作実行部43fは、予備警報の動作を実行し(S34)、図14に示す処理は終了する。ここで、予備警報とは、ガスの使用がある条件を満たすことにより、独居老人に軽度の異変があったと判断できる場合に発せられる警報である。具体的には上記1)及び2)などの場合であり、風邪の可能性や朝起き上がれない程の体調不良などの場合に発せられる。
このようにして、本実施形態に係る警報システム1によれば、使用されたガス器具10を判断し、そのガス器具10の使用状況が予め定められた条件を満たす場合に警報動作を実行するため、例えば給湯器を1〜2分使用するが、10分以上連続して長時間使用しないといった条件を満たす場合、独居老人はその日は手を洗ったが、風呂に入ってないと推定でき、風邪等の可能性があると判断できる。そして、センターや親族等への警報動作を実行することができる。また、毎朝ガスストーブを使用していたが、急に使用されなくなったという条件を満たす場合、独居老人は朝起き上がれない程に体が不調であると推定できる。そして、センターや親族等への警報動作を実行することができる。このように、使用されたガス器具10を判断し、且つ、そのガス器具10の使用状況から警報動作を実行することで、より詳細に独居老人の異常を判断できることとなり、より適切なタイミングで警報を行うことができる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るガスメータ40は、第1実施形態のものと同様であるが、構成及び処理内容が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点を説明する。
図15は、第2実施形態に係るガスメータ40の詳細を示す構成図である。図15に示すように、第2実施形態に係るガスメータ40は、生成部43b及び類似度推移算出部43cに代えて、解析部43gを備えている。
解析部43gは、センサ41,42から得られた信号に基づく振動波形を解析して、周波数と振幅との相関を示すスペクトルデータを算出するものである。具体的に本実施形態に係る解析部43gは、振動波形をフーリエ変換することにより、スペクトルデータを算出する。なお、解析部43gはフーリエ変換によりスペクトルデータを算出する場合に限らず、他の方法によってスペクトルデータを算出するようにしてもよい。
また、解析部43gを備えるため、記憶部43dの記憶内容、及び、ガス使用状況判断部43eの判断手法が第1実施形態と異なっている。
図16は、図15に示した解析部43gにより算出されるスペクトルデータを示すグラフであって、(a)はガステーブル使用開始時におけるスペクトルデータを示し、(b)は小型湯沸器使用開始時におけるスペクトルデータを示し、(c)は給湯器使用開始時におけるスペクトルデータを示している。
図16(a)に示すように、ガステーブルの使用が開始した場合、得られる圧力波形には30Hz以下の周波数成分が多く、特に10〜20Hz付近において比較的大きな振幅を示す傾向がある。また、図16(b)に示すように、小型湯沸器の使用が開始した場合、圧力波形は150Hzまでの圧力成分を含んでおり、特に30Hz程度では非常に大きな振幅を示す傾向がある。さらに、図16(c)に示すように、給湯器の使用が開始した場合、圧力波形は200Hzまでの圧力成分を含んでおり、特に20Hz程度では非常に大きな振幅を示す傾向がある。
図17は、図15に示した解析部43gにより算出されるスペクトルデータを示すグラフであって、(a)はガステーブル使用終了時におけるスペクトルデータを示し、(b)は小型湯沸器使用終了時におけるスペクトルデータを示し、(c)は給湯器使用終了時におけるスペクトルデータを示している。
図17(a)に示すように、ガステーブルの使用が終了した場合、得られる圧力波形には30Hz以下の周波数成分が多く、特に10〜20Hz付近において比較的大きな振幅を示す傾向がある。また、図17(b)に示すように、小型湯沸器の使用が終了した場合、圧力波形は200Hz付近までの圧力成分を含んでおり、特に90Hz程度で大きな振幅を示す傾向がある。さらに、図17(c)に示すように、給湯器の使用が終了した場合、30Hz程度でやや大きな振幅を示す程度であり、その他の周波数成分を殆ど含まない傾向がある、なお、50Hz付近において存在するピークは、商用電源によるノイズであると考えられる。
図18は、ガス漏れが発生したときの圧力波形をフーリエ変換して得られるスペクトルデータを示すグラフである。図18に示すように、ガス漏れが発生した場合、得られる圧力波形には20Hz以上の周波数成分が殆ど含まれていない。なお、60Hz付近において存在するピークは、商用電源によるノイズであると考えられる。
再度、図15を参照する。記憶部43dは、図16〜図18に示したようなスペクトルデータを記憶している。そして、ガス使用状況判断部43eは、このスペクトルデータに基づいて、ガス漏れ、使用が開始したガス器具10、及び使用が終了したガス器具10を判断する。
すなわち、解析部43gは、変動判断部43aによりガス器具10の使用開始時の変動が確認されると、変動後の微小時間において得られた信号に基づく圧力波形をフーリエ変換してスペクトルデータを算出する。その後、ガス使用状況判断部43eは、記憶部43dから図18に示したようなガス漏れ時のスペクトルデータを読み出し、このスペクトルデータと解析部43gにより算出されたスペクトルデータとの類似度を算出し、類似度が特定値以上であればガス漏れが発生したと判断する。ここで、類似度とは、上記したNCCであってもよいし、他の手法により算出された類似度であってもよい。また、ガス漏れではない場合には、ガス使用状況判断部43eが図16に示したような各ガス器具10のスペクトルデータを読み出し、類似度を算出して、最も類似度が高いガス器具10について使用が開始したと判断する。
同様に、解析部43gは、変動判断部43aによりガス器具10の使用終了時の変動が確認されると、変動後の微小時間において得られた信号に基づく圧力波形をフーリエ変換してスペクトルデータを算出する。ガス使用状況判断部43eは、解析部43gにより算出されたスペクトルデータと、記憶部43dにより記憶されたスペクトルデータとを比較し、類似度が最も高いガス器具10について使用が終了したと判断する。
次に、フローチャートを参照して、第2実施形態に係る警報システム1の動作を説明する。なお、第2実施形態においてメインフローは第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、図14に示した予備警報処理(S7)についても第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図19は、図11に示したガス漏れ/開始ガス器具判断処理(S5)の詳細を示すフローチャートである。まず、図19に示すステップS41,S42では、図12に示したステップS11,S12と同様の処理が実行される。
次に、解析部43gは、微少時間中に得られた振動波形をフーリエ変換し、スペクトルデータを算出する(S43)。その後、ガス使用状況判断部43eは、ガス漏れのスペクトルデータを読み出し(S44)、読み出したガス漏れのスペクトルデータと、ステップS43にて算出したスペクトルデータとの類似度を算出する(S45)。
次に、ガス使用状況判断部43eは、ステップS45にて算出した類似度が特定値以上であるか否かを判断する(S46)。ステップS45にて算出した類似度が特定値以上であると判断した場合(S46:YES)、ガス使用状況判断部43eはガス漏れが発生したと判断する(S47)。そして、図19に示す処理は終了する。
ところで、ステップS45にて算出した類似度が特定値以上でないと判断した場合(S46:NO)、ガス使用状況判断部43eは、ガス器具10毎のスペクトルデータを読み出し(S48)、読み出したガス器具10毎のスペクトルデータと、ステップS48にて算出したスペクトルデータとの類似度を算出する(S49)。
その後、ガス使用状況判断部43eは、類似度が最大となったスペクトルデータが示す種類のガス器具10の使用が終了したと判断する(S50)。そして、図19に示す処理は終了する。
図20は、図11に示した終了ガス器具判断処理(S6)の詳細を示すフローチャートである。まず、図20に示すステップS51〜S53では、図19に示したステップS41〜S43と同様の処理が実行される。
その後、図20に示すステップS54〜S56では、図19に示したステップS48〜S50と同様の処理が実行される。その後、図20に示した処理は終了する。
このようにして、第2実施形態に係る警報システム1では、第1実施形態と同様に、より詳細に独居老人の異常を判断できることとなり、より適切なタイミングで警報を行うことができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、本実施形態ではガスメータ40の制御部43によってガス器具10の使用状況を判断しているが、これに限らず、ガスメータ40とは別の判断装置などによってガス器具10の使用状況を判断してもよい。
また、本実施形態に係る警報システム1では、類似度推移やスペクトルデータにより使用されたガス器具10を判断しているが、これに限らず、例えば、図5や図7に示すような微小時間における波形を直接記憶しておき、波形同士の類似度などから、使用が開始したガス器具10、使用が終了したガス器具10、及び、ガス漏れを判断するようにしてもよい。さらには、波形の特定点など波形の直接の特徴から使用が開始したガス器具10、使用が終了したガス器具10、及び、ガス漏れを判断するようにしてもよい。
また、本実施形態に係る警報システム1では、ガス器具10の使用状況から独居老人の異常を判断しているが、これに限らず、ガス、電気及び水道の少なくとも1つを利用する家庭器具の使用状況から家庭器具の使用者の異常を判断して警報するようにしてもよい。この場合、ガス使用状況判断部43eに代えて、使用された家庭器具を判断する家庭器具判断部を備えることとなる。また、警報動作実行部43fは、家庭器具判断部により判断された家庭器具の使用状況が予め定められた条件を満たす場合に、警報動作を実行することとなる。
なお、この場合において家庭器具判断部は、例えば水量と水の使用時間からトイレの使用を判断することができる。そして、トイレの使用があまりにも頻繁である場合には、独居老人は腹部の異常があると推定できる。これにより、警報動作実行部43fは、センターや親族等への警報動作を実行することとなる。同様に、家庭器具判断部は、電気の使用量からエアコンの使用を判断することができる。そして、エアコンが昼夜問わず連続的に使用されている場合には、独居老人はスイッチ操作をできない程に体が不調であると推定できる。これにより、警報動作実行部43fは、センターや親族等への警報動作を実行することができる。このように、使用された家庭器具を判断し、且つ、その家庭器具の使用状況から警報動作を実行することで、より詳細に独居老人の異常を判断できることとなり、より適切なタイミングで警報を行うことができる。