特許文献1および2の換気ユニットは、外気を室内に送り込むといった自然換気を行うだけのものであり、空調設備とは別に構成されている。このため特許文献1および2の換気ユニットでは、季節などに応じて、自然換気のみを行うモード、外気を空調設備によって暖めあるいは冷やしてから室内に送り込むモード、または室内の空気を空調設備を介して室内に循環させるモードを任意に切り替えて使用することができないといった問題点があった。
加えて特許文献2の換気ユニットでは、遮蔽部材を開いて換気通路を開放している状態では強風が室内に流れ込んでしまい、これによって室内の書類などが吹き飛んだりするなどのおそれがある。これに対して特許文献1の換気ユニットでは、強風の際に風量調整弁が閉じて強風が室内に流れ込むことを防ぐことができるが、その強風の際に風量調整弁が風洞の内壁などに勢いよく当たって、その際の衝撃音が室内に伝わって室内にいる者に不快感を与えてしまうなどのおそれがある。本発明は、かかる不都合を解決することを目的として提供されたものである。
本発明は、かかる不都合を解決するために、自然な空気流による換気と空調設備とをドッキングさせる工夫を行うことによって効率のよい室内空調も可能である循環構造の換気ユニットを提供するものである。そのうえで強風が室内に吹き込むことを防止する部材が通気口の内面などに当たって衝撃音を発生することを防止できる換気ユニットを提供するものである。
すなわち本発明は、図1に示すように、建物の内部と外部とを連通させるための外気取入れ口2が建物の外部に臨ませて設けられている。建物内には、エアフローチャンバー6が設けられていて、エアフローチャンバー6には、外気取入れ口2に繋がる外気連通ダクト3と、建物内の室内に繋がる内気取入れダクト4と、空調設備に繋がる空調設備連通ダクト5とが接続されている。これらのダクト3・4・5のエアフローチャンバー6側の開口はエアフローチャンバー6内において横方向に並んでいるとともに近接して配置されている。エアフローチャンバー6内には、各ダクト3・4・5の開口のうちのいずれか一つを塞ぐ可動パネル蓋9が配置されていて、可動パネル蓋9は各ダクト3・4・5の開口の配置方向に沿って移動可能になっている。内気取入れダクト4は、そのエアフローチャンバー6側の開口手前で室内リターンダクト12を分岐させていて、室内リターンダクト12が室内に繋がっている。この分岐部には、可動パネル蓋9と連動する分岐ダンパー13が設けられている。分岐ダンパー13は、室内リターンダクト12を塞ぐ第1姿勢と、内気取入れダクト4を分岐部手前で塞ぐ第2姿勢とに切り替わるように構成されている。可動パネル蓋9が外気連通ダクト3の開口を塞ぐ位置(Aゾーン)にあるときには(図5の状態)、分岐ダンパー13が第1姿勢になり、可動パネル蓋9が空調設備連通ダクト5の開口を塞ぐ位置(Cゾーン)にあるときには(図7の状態)、分岐ダンパー13が第2姿勢になる。
詳しくは、エアフローチャンバー6内には、各ダクトの開口の外側においてその開口の配置方向に沿ってガイドレール7が設けられている。可動パネル蓋9には、ガイドレール7上を転動するローラー8が設けられていて、可動パネル蓋9はガイドレール7に沿って移動するようになっている。ガイドレール7は、可動パネル蓋9が外気連通ダクト3の開口を塞ぐ位置(Aゾーン)に達したときに、当該可動パネル蓋9が外気連通ダクト3の開口側に押し付けられるように可動パネル蓋9をガイドするようになっている。
より詳しくは、外気連通ダクト3のエアフローチャンバー6側の開口周縁には密閉部材11が設けられている。そして、可動パネル蓋9が外気連通ダクト3の開口を塞ぐ位置(Aゾーン)に達したときには可動パネル蓋9が密閉部材11に押し付けられるようになっている。
また、外気連通ダクト3の中間部には、図18に示すように、外気連通ダクト3を開閉するフラップ46が揺動自在に設けられている。フラップ46は、揺動することで、所定風速以上の風が外気連通ダクト3内に流れ込んだときに外気連通ダクト3を塞ぐようになっているとともに、所定風速未満の風のときには外気連通ダクト3を開放するようになっている。ここでの揺動には、フラップ46が平行移動する場合なども含まれる。
フラップ46には、揺動を制動するダンパー51が接続されている。具体的には、フラップ46には揺動軸47が設けられており、ダンパー51は揺動軸47に接続されたロータリーダンパーである。また、外気連通ダクト3においてフラップ46が当接する部分には、止水部材49が設けられている。詳しくは、外気連通ダクト3の中間部には、当該外気連通ダクト3を括れ形成することで括れ部48が設けられていて、その括れ部48にフラップ46が当接することで外気連通ダクト3が塞がれるようになっており、かかる括れ部48においてフラップ46が当接する周縁部に止水部材49が設けられている。
また、フラップ46には、外気連通ダクト3が全開になる所定の全開位置側へ付勢する付勢手段53が接続されている。付勢手段53としては、コイルバネや渦巻きバネなどが該当する。
加えて、前記全開位置よりも外気取入れ口2側へフラップ46が揺動することを規制する規制手段が設けられている。規制手段は、フラップ46に設けた規制部56と、外気連通ダクト3側に設けたストッパー57とからなり、規制部56がストッパー57に当接することでフラップ46の揺動を規制するようになっている。かかる規制部56またはストッパー57の少なくとも一方が緩衝材で形成されている。
可動パネル蓋9を移動させる手段としては、ラック・ピニオンによるもの、ボルト・ナットのようにネジ係合によるもの、ピストンによるもの、あるいはリンク装置によるものなど種々考えられ、そのいずれであってもよく、その場所に適するものを選択すればよい。また可動パネル蓋9を密閉部材11に押し付ける手段としては、前記のガイドレール7の形状を変更することにより押圧可能にしてもよい。例えば、ガイドレール7の形状をすべて平行にし、外気連通ダクト3のエアフローチャンバー6側の開口と可動パネル蓋底面とを工夫して入口部の密閉部材11を押圧してもよく、その他の方法を用いてもよい。
本発明の換気ユニットは、図5に示すように可動パネル蓋9が外気連通ダクト3の開口を塞ぐ位置(Aゾーン)にあるときには、分岐ダンパー13が第1姿勢になっていて、室内の空気(以下、内気という)が内気取入れダクト4とエアフローチャンバー6と空調設備連通ダクト5とを介して室内に循環する。また、図6に示すように可動パネル蓋9が内気取入れダクト4の開口を塞ぐ位置(Bゾーン)にあるときには、建物外部の空気(以下、外気という)が外気取入れ口2と外気連通ダクト3とエアフローチャンバー6と空調設備連通ダクト5とを介して室内に送り込まれる。また、図7に示すように可動パネル蓋9が空調設備連通ダクト5の開口を塞ぐ位置(Cゾーン)にあるときには、分岐ダンパー13が第2姿勢になっていて、外気が外気取入れ口2と外気連通ダクト3とエアフローチャンバー6と室内リターンダクト12とを介して室内に自然換気によって送り込まれる。このように、本発明の換気ユニットは、外気を自然換気によって室内に導入するか、外気を空調設備を経由して室内に導入するか、内気を空調設備を経由して室内に循環させるかという多種多彩の換気パターンを一つの換気ユニットで得ることができる効果がある。
可動パネル蓋9が外気連通ダクト3の開口を塞ぐ位置(Aゾーン)に達したときに、当該可動パネル蓋9が外気連通ダクト3の開口に押し付けられると、外気連通ダクト3内に吹き込んだ強風などによって可動パネル蓋9に風圧がかかっても可動パネル蓋9がガタガタ音を立てることなどもなく、また風雨がエアフローチャンバー6を介して室内に吹き込まれることなども防止できる。
外気連通ダクト3の開口周縁に密閉部材11を設けると、可動パネル蓋9がガタガタ音を立てることや、風雨がエアフローチャンバー6を介して吹き込まれることなどをより確実に防止できる。
所定風速以上の風が外気連通ダクト3内に流れ込んだときに外気連通ダクト3を塞ぐフラップ46を設けると、台風の接近などに応じて外気連通ダクト3の開口を可動パネル蓋9で塞ぐ操作を行っているが、まだ可動パネル蓋9が外気連通ダクト3の開口に達していないときや、故障などによって可動パネル蓋9が外気連通ダクト3の開口を塞ぐことができないときに、所定風速以上の強風が外気取入れ口2を介して外気連通ダクト3内に吹き込んでも、フラップ46が外気連通ダクト3を塞ぐことで前記強風がエアフローチャンバー6および室内リターンダクト12などを介して室内に吹き込むことが防止される。これにより、前記強風が室内に流れ込んで室内の書類などが吹き飛ばされることや、屋外の塵埃が前記強風と共に室内に入り込むことを確実に防止できる。
フラップ46にダンパー51が接続されていると、前記強風が外気連通ダクト3内に吹き込んだときに、フラップ46が外気連通ダクト3の内面など勢いよく当たって衝撃音を発生させてしまうことを抑制できる。これにより、その衝撃音が室内に伝わって室内にいる者に不快感を与えることなどを防止できる。そのダンパー51がロータリーダンパーであると、かかるダンパー51をコンパクトに構成できる。
外気連通ダクト3においてフラップ46が当接する部分に、止水部材49が設けられていると、これによってもフラップ46が外気連通ダクト3に勢いよく当たって衝撃音を発生することが抑制される。加えて止水部材49によって風雨がエアフローチャンバー14および室内リターンダクト12などを介して室内に吹き込むことが防止される。外気連通ダクト3の括れ部48においてフラップ46が当接する周縁部に止水部材49が設けられている場合には、外気連通ダクト3にフラップ46が当接する部分を別途設けなくても済みながら、フラップ46が括れ部48に勢いよく当たって衝撃音を発生することが抑制され、また止水部材49によって風雨が室内に吹き込むことが防止される。
フラップ46に付勢手段53を接続していると、風が所定風速未満に収まったときにフラップ46を全開位置に確実に復帰させることができる。
全開位置よりも外気取入れ口2側へフラップ46が揺動することを規制する規制手段の規制部56またはストッパー57の少なくとも一方が緩衝材で形成されていると、規制手段によってフラップ46の外気取入れ口2側への過度の揺動を防ぐことができるうえ、規制部56とストッパー57との衝突によって衝撃音を発生することが確実に抑制される。
本発明に係る換気ユニットの実施例について説明する。以下の説明において、可動パネル蓋9がエアフローチャンバー6の外気入口(外気連通ダクト3のエアフローチャンバー6側の開口)を塞いだ状態で停止する位置をAゾーン、可動パネル蓋9がエアフローチャンバー6の内気入口(内気取入れダクト4のエアフローチャンバー6側の開口)を塞いだ状態で停止する位置をBゾーン、可動パネル蓋9がエアフローチャンバー6の空調設備連通ダクト出口(空調設備連通ダクト5のエアフローチャンバー6側の開口)を塞いだ状態で停止する位置をCゾーンと定義する。なお、白抜きの矢印は空気の流れを示している。
まず、実施例1の構成を図に基づいて説明すると、図1に示すように、建物の内部と外部とを連通させるための外気取入れ口2が建物の外部に臨ませて設けられており、この建物に換気ユニット1が設けられている。この換気ユニット1では、外気取入れ口2を設けたダクト内に外気連通ダクト3が組み込まれており、外気取入れ口2に外気連通ダクト3が繋がっている。
外気連通ダクト3は、建物内に設けられた横長のエアフローチャンバー6に接続されており、更にエアフローチャンバー6には、建物内の室内に繋がる内気取入れダクト4と、室内の冷暖房のための空調設備(図示せず)に繋がる空調設備連通ダクト5とが接続されている。外気連通ダクト3のエアフローチャンバー6側の開口(Aゾーン)と、内気取入れダクト4のエアフローチャンバー6側の開口(Bゾーン)と、空調設備連通ダクト5のエアフローチャンバー6側の開口(Cゾーン)とは、エアフローチャンバー6内において同一平面上に平行状態で順に並べて設けられている。
エアフローチャンバー6内には、図2および図3に示すように、可動パネル蓋9が配置されており、またエアフローチャンバー6の入口部(前記各ダクトの開口)側の長手方向(前記各開口の配置方向、すなわち図1の左右方向)と直角する方向(図1の裏表方向)の両端側であって、各ダクトの開口の外側においてガイドレール7が、前記各ダクトの開口の配置方向に沿って平行して設けられている。
そして、可動パネル蓋9の両端側に設けられたローラー8がガイドレール7上を転動することで、可動パネル蓋9がガイドレール7に沿って移動する。つまり、可動パネル蓋9が、外気連通ダクト3のエアフローチャンバー6側の開口(Aゾーン)と、内気取入れダクト4のエアフローチャンバー6側の開口(Bゾーン)と、空調設備連通ダクト5のエアフローチャンバー6側の開口(Cゾーン)との配置方向に沿って移動し、これらの各開口のうちのいずれか一つを塞ぐようになっている。可動パネル蓋9は、移動装置10(図8参照)によって移動するようになっている。
また、外気連通ダクト3のエアフローチャンバー6側の開口においては、可動パネル蓋9と接する周縁部に、密閉部材としてのエアタイトゴム11(図1)が設けられている。各ガイドレール7は、可動パネル蓋9が外気連通ダクト3のエアフローチャンバー6側の開口を塞ぐ位置(Aゾーン)に達したときに、当該可動パネル蓋9がエアタイトゴム11を介して外気連通ダクト3のエアフローチャンバー6側の開口側に押し付けられるように可動パネル蓋9をガイドする。これによって、風雨がアフローチャンバー6を介して室内内に吹き込まれることが防止される。なお、内気取入れダクト4のエアフローチャンバー6側の開口周縁および空調設備連通ダクト5のエアフローチャンバー6側の開口周縁にも密閉部材としてのエアタイトゴムを設けてもよい。
内気取入れダクト4は、エアフローチャンバー6側の開口手前(図2では下側)で室内リターンダクト12が分岐しており、その分岐部にはダクト切り替え用の分岐ダンパー13が設けられている。室内リターンダクト12は前記室内に繋がっている。分岐ダンパー13は、回動自在の連動レバー15を介して可動パネル蓋9に繋がっており、可動パネル蓋9と連動するようになっている。連動レバー15は、エアフローチャンバー6のガイドレール7と同方向に配置されたエアフローチャンバーフレーム14の両側面に設けられている。
更に詳しく説明すると、図3および図4に示すように、連動レバー15は、エアフローチャンバーフレーム14・14に設けられた樹脂製の軸受38に対し、軸16によって回動自在に軸着されている。連動レバー15の上側には突き出し軸17が設けられており、この突き出し軸17は、エアフローチャンバーフレーム14・14に設けられた移動溝穴18を介してエアフローチャンバー6内に入り込むようになっている。突き出し軸17は、可動パネル蓋9の両側面に設けられてその側面の前後を囲むように設けられた突出し軸ガイド19を通過している。
連動レバー15の下側には長穴が設けられており、分岐ダンパー13から突き出された突き出し軸20がエアフローチャンバーフレーム14・14に設けられた移動溝穴を介して連動レバー15の前記長穴を貫通するようになっている。分岐ダンパー13は、その最下部の両側に回動軸22・22が設けられており、その回動軸22・22がエアフローチャンバー6の両側面側に設けられた軸受けブラケット21・21に回動自在に取り付けられている。また、前記移動溝穴から中の空気が直接外に漏れないように、図16に示すように、樹脂製の軸受38の横部分において上下にそれぞれ漏れる空気を遮断する部材39を設けてある。その遮断用部材39は4個のネジ穴を使ってカバー40に取り付けられる。
次に実施例1の移動装置10の構成について説明する。図8および図9において移動装置10は、エアフローチャンバー6の天面フレームに取り付けられた2個のネジ軸取り付けブラケット23・23に取り付けられる。具体的には、ネジ軸取り付けブラケット23・23のそれぞれに設けられた軸受24・24に、ネジ軸25が貫通した状態で取り付け固定され、このネジ軸25の端部にモータ26がカップリングを介して取り付けされている。詳しくは、水平な板材28に取り付けされた2つ割りのナット体27が、ネジ軸25を両側から挟み込むようにして一体化されており、この板材28の裏側の前後には、筒状体29・29が下向きに設けられている。
可動パネル蓋9の上面には2本の突出した棒状体30・30が設けられ、各棒状体30が各筒状体29の中に差し込まれて収納されている。この筒状体29と棒状体30とは、可動パネル蓋9がAゾーンに到達した際にガイドレール7の傾斜に応じてエアタイトゴム11を押圧するためのものであり、可動パネル蓋9が上下動してもその上下動距離を吸収可能にして、両者が決して外れることなく可動パネル蓋9を所定位置まで移動させることができるようになっている。
次に実施例1のそれぞれのパートの動作を図に基づいて説明する。今、説明のために当初、可動パネル蓋9はAゾーンに停止しているものとし、このとき各パートは図5に示す位置に停止している。すなわち外気からの空気の流れは遮断され、分岐ダンパー13は室内リターンダクト12を塞ぐ(遮断する)第1姿勢になっており、これによって室内の空気(内気)が内気取入れダクト4およびエアフローチャンバー6を介して空調設備連通ダクト5へと流れ、空調設備(図示せず)に入って冷房(または暖房)されて室内へ循環するといった循環サイクルを形成する。
今、Aゾーンにあった可動パネル蓋9がBゾーン続いてCゾーンへ移動して行くときには、図2においてローラー8や突出し軸ガイド19はガイドレール上7を左から右へと進み、分岐ダンパー13は右から左へと進み、図3において連動レバー15の上側は左から右に、下側は右から左へと移動(揺動)する。
連続動作として説明すると、可動パネル蓋9は、その前輪8が2段レールの上レールに、後輪8が2段レールの下レールに乗っており、また各レールの終点側が傾斜しているために、Aゾーンに達するときには可動パネル蓋9は前記傾斜に沿って下がり、Aゾーンのエアタイトゴム11を押圧した状態でAゾーンに停止する。なお、図においては傾斜後の平行部にて停止させたように記述したが実際には押圧状況により密閉の終点部が傾斜の途中にあるように構成させても構わない。
換気ユニット1に設けられた操作ボタン(図示せず)を押すと、当初、Aゾーンにあった可動パネル蓋9は、移動装置10のネジ軸25が回ることでガイドレール7上を移動する。突出し軸ガイド19もまた移動してゆくが連動レバー15上側に設けられた突き出し軸17は何者にも接触しないために停止したままである。そして突出し軸ガイド19の左側が突き出し軸17に接して初めて連動レバー15は軸16を中心にして次第に回動してゆき、可動パネル蓋9がBゾーンに達して停止すると、連動レバー15は図6の左側の実線で示した姿勢になり、それに連動する分岐ダンパー13は図6の右側の実線で示した位置に達する。なお、図6の右側の2点鎖線で示したほうは可動パネル蓋9がCゾーンからBゾーンに移動してきて停止した場合の停止位置となる。
この場合の風の流れを説明すると、図6に示すように、可動パネル蓋9はBゾーンにあるために、内気はエアフローチャンバー6内には入らない。一方、外気は外気取入れ口2と外気連通ダクト3とエアフローチャンバー6とを介して空調設備連通ダクト5へと流れ出て、空調設備(図示せず)に入って冷房(または暖房)されて室内へ送り込まれる。このとき分岐ダンパー13は途中位置にあり、室内と室内リターンダクト12との温度差や圧力差がなければ室内リターンダクト12と内気取入れダクト4との間での風は生じない。
続いてBゾーンにあった可動パネル蓋9が移動装置10によってCゾーンへと進んでゆくと、連動レバー15の突き出し軸17は突出し軸ガイド19の左側によって右側へと押しやられるために、連動レバー15は軸16を中心にして次第に右回転方向に回動してゆき、分岐ダンパー13は連動レバー15に連動して左回転方向に回動する。そして可動パネル蓋9がCゾーンに達して停止したときには、図7に示すように分岐ダンパー13が内気取入れ口ダクト4を閉鎖する。すなわち、分岐ダンパー13は、内気取入れダクト4を前記分岐部手前で塞ぐ第2姿勢に切り替わる。
この場合の風の流れを説明すると、可動パネル蓋9は、図7に示すように、Cゾーンにあって空調設備出口を塞いでいる。また、分岐ダンパー13によって内気取入れ口ダクト4も塞がれている。これに伴って外気が、外気取入れ口2と外気連通ダクト3とエアフローチャンバー6とを介して直接室内リターンダクト12へと導かれて室内へ送り込まれる。
今はAゾーンからCゾーンへと可動パネル蓋9を移動させていったが、CゾーンからAゾーンへと移動させるには可動パネル蓋9を逆方向に動かせばよい、但し前述したように可動パネル蓋9がBゾーンに停止する場合は、連動レバー15、分岐ダンパー13の停止位置は前述とは垂線に対し線対称の位置で停止することになる。
実施例1はエアフローチャンバー内で連動レバー15の突出し軸ガイド19を可動パネル蓋9の前部と後部の2箇所で当接させたが、実施例2は、図10に示すように突出し軸ガイド19を可動パネル蓋9の側面中央部に設けた構成にしたものである。これによっても可動パネル蓋9がAゾーンに達したときには分岐レバー13が室内リターンダクト12を閉じ、Cゾーンに達したときには分岐レバー13が内気取入れ口ダクト4を閉じることになる。動作の説明については実施例1と同様であるため、説明を省略する。
実施例3の換気ユニット1の構成を図に基づいて説明すると、実施例3は移動装置10のみの構成が異なるだけで、他は実施例1と同じ構成をしている。したがってここでは移動装置10の構成について説明する。この移動装置10では、図11および図12において可動パネル蓋9の当初の停止位置をBゾーンとする。エアフローチャンバー6の天井フレームからL型クランク32を回動自在に取り付けするためのL型クランク取り付け台33・33がそれぞれ設けられている。各L型クランク32は、取り付けブラケットに回動自在に軸着された上、左右が同方向に取り付けされ、L型クランク32の短竿側の軸が操作用メインロッド34に連結されている。これにて操作用メインロッド34の移動によりL型クランク32が回動自在に回動する。
この操作用メインロッド34はエアフローチャンバーフレーム14の外まで延長され、移動装置10の駆動はエアフローの外に設けられた駆動アーム35付のモータ26によって操作が行われる。この操作用メインロッド34は左右方向だけでなく前後方向にも移動するため、エアフローチャンバーフレーム14・14に設けられる操作用メインロッド34の移動溝穴は長穴溝になる。その部分から空気が漏れることになるため、その対策として、図17に示すように操作用メインロッド34が左右方向にスムーズに動くだけの穴を有した移動用樹脂板43が設けられている。また、前後方向に移動可能なようにスライド用ブラケットが移動用樹脂板43の上下に設けられている。
図12においてこの左右のL型クランク32・32の長竿端にはそれぞれの軸下部に回転体36・36が取り付けされ、この回転体36は可動パネル蓋9の表面側に設けられた回転体36の案内ケース37・37の中に収納されるように構成され、案内ケース37の高さは可動パネル蓋9が入口押圧のためガイドレール7の傾斜部から降下しても両回転体36・36は案内ケース37・37内から決して外れないだけの高さを有してなる。ここで用いられる回転体36は1輪の回転体でも、2輪一組の回転体でも構わない。
次に実施例3の移動装置の動作について説明する。図13ないし図15は、可動パネル蓋9が移動装置10の各パーツの動きによりどの位置関係で停止するかを説明するための操作位置関連図であり、エアフローチャンバー6内から各入口方向を眺めた平面図である。まず、最初は図13におけるBゾーンで停止している可動パネル蓋9と移動装置7の各パーツとの位置関係が基本となり、BゾーンからAゾーンへ、BゾーンからCゾーンへと移動させるように設定してあり、可動パネル蓋9のAゾーンでの停止、およびCゾーンでの停止はそれぞれ図14および図15に示したとおりである。
今、このBゾーンの停止位置からAゾーンまで可動パネル蓋9を移動させようとするには、停止位置を記したAゾーン行き用の押ボタンスイッチ(図示せず)を入れると、駆動モータ26により駆動アーム35が左回動して、操作用メインロッド34が左方向に移動し始める。それに伴ってL型クランク32は左回動するため、長竿端の軸下端に設けられた回転体36は、案内ケース37の側壁をAゾーン方向に向かって押す。このため可動パネル蓋9はローラー8・8によってAゾーンに向かって移動してゆき、Aゾーン上位置に達すると近接スイッチ(図示せず)により可動パネル蓋9は停止する。
次にCゾーンへ移動させるには、停止位置を記したCゾーン行き用の押ボタンスイッチ(図示せず)を入れると、駆動モータ26により駆動アーム35が右回動して、操作用メインロッド34が右方向に移動し始める。それに伴ってL型クランク32は右回動するため、回転体36は、案内ケース37の側壁をCゾーン方向に向かって押す。このため可動パネル蓋9はCゾーンに向かって移動してゆき、Cゾーン上位置に達すると近接スイッチ(図示せず)により可動パネル蓋9は停止する。
このように本発明は操作用押しボタン一つで可動パネル蓋9を自在に移動させることができ、図5ないし図7に示したような換気用の空気流を自在に変更することができる。
実施例3の移動装置10は操作用メインロッド34を左右前後方向に移動可能にして可動パネル蓋9を前・後進させたが、操作用メインロッド34を左右のみの移動にして可動パネル蓋9を前・後進させる方法もある。その場合は、一つには操作用メインロッド34の幅広にしてL型クランク32の短竿側の軸との連結部分を幅方向に長溝穴を設けてL型クランク32の短竿側の軸が長溝穴内を移動可能に構成することである。
また一つは操作用メインロッド34とL型クランク32の短竿側の軸との間に更にサブロッドを設け、操作用メインロッド34とサブロッドの一方端とを回動自在に軸連結し、更にサブロッドの他方端とL型クランク32の短竿側の軸との間を同じく回動自在に軸連結すれば可動パネル蓋9を前・後進させることができ、これらのいずれの方法を採用してもよい。
実施例4では、図18ないし図20に示すように、外気連通ダクト3内であってエアフローチャンバー6側の開口周縁近傍となる中間部に、横長パネル形状のフラップ46が揺動自在に設けられている。そして、フラップ46によって外気連通ダクト3が開閉されるようになっている。
詳しくは、フラップ46は、その上端に横向きに設けた揺動軸47が外気連通ダクト3のエアフローチャンバー6側の上部に配置されており、揺動軸47を支点に揺動するようになっている。また、外気連通ダクト3の中間部には、当該外気連通ダクト3を括れ形成することで括れ部48が設けられており、その括れ部48の外気取入れ口2側にゴムなどの緩衝材からなる止水部材49が枠状に設けられている(図18参照)。
そして、例えば可動パネル蓋9がCゾーンに位置する場合に(図19の位置)、所定風速、例えば15m/s以上の強風が外気連通ダクト3に流れ込もうとすると、その強風によってフラップ46がエアフローチャンバー6側に揺動して、止水部材49を介して括れ部48の外気取入れ口2側に当接する。これにより、外気連通ダクト3の括れ部48の内方となる開口50がフラップ46によって塞がれ、強風や雨水が外気連通ダクト3、エアフローチャンバー6および室内リターンダクト12を介して室内に吹き込むことが防止される。また、止水部材49は、フラップ46が括れ部48に衝突する際の衝撃を緩和する。なお、フラップ46が外気連通ダクト3の開口50を塞ぐ所定風速は任意に設定することができ、例えば所定風速を12m/sや17m/sに設定することができる。
フラップ46の揺動軸47には、ロータリーダンパー51が接続されており、このロータリーダンパー51によってフラップ46の揺動が制動され、フラップ46が括れ部48に対して急速に衝突することが抑えられる。また、フラップ46の上端部には、ゴムなどの緩衝材からなる規制具58(規制手段)が設けられており、この規制具58がエアフローチャンバー6に設けた当接部59(規制手段)に当接する。このように、ロータリーダンパー51と止水部材49とに加えて規制具58によっても前記衝突の際の衝撃が抑えられる。
また、フラップ46の揺動軸47には、L型取付具52を介してコイルバネ53(付勢手段)の上端が接続されており、このコイルバネ53の下端が取付具54を介してエアフローチャンバー6に固定されている。コイルバネ53は、外気連通ダクト3が全開になる所定の全開位置側(図18の位置)へ付勢するようになっており、フラップ46は、前記15m/s未満の風の場合には、コイルバネ53と自重によって図18の全開位置側へ揺動して、外気連通ダクト3を開放する。
フラップ46の上端部には、図18に示すように規制突起56(規制部)が設けられており、この規制突起56がエアフローチャンバー6に設けたストッパー57に当接することで、フラップ46が前記全開位置よりも外気取入れ口側へ揺動することが規制される。ストッパー57は、ゴムなどの緩衝材からなる。規制突起56およびストッパー57とロータリーダンパー51とによって、フラップ46が全開位置に復帰する際に外気連通ダクト3の内面などに勢いよく当たって衝撃音を発生することが抑制される。また、ストッパー57を緩衝材で構成したことで、規制突起56とストッパー57との衝突によって衝撃音を発生することが抑制される。
なお、フラップ46は、図18に示すように下窄まりの中空構造になっている。前述のフラップ46が外気連通ダクト3の開口50を塞ぐときの所定風速の設定は、例えばロータリーダンパー51の制動力やコイルバネ53の付勢力を調節することで行われる。その他の構成および動作は実施例1ないし3と同様であるので、説明を省略する。図20では、ロータリーダンパー51はフラップ46の一方の側(図20では右側)にしか設けていないが、コイルバネ53が配置されるフラップ46の他方の側(図20では左側)に設けてもよく、フラップ46の両側に設けてもよい。コイルバネ53は、フラップ46の両側に設けてもよい。
このように実施例4では、台風の接近などに応じて外気連通ダクト3の開口を可動パネル蓋9で塞ぐ操作を行っているが、まだ可動パネル蓋9が外気連通ダクト3の開口に達していないときや、故障などによって可動パネル蓋9が外気連通ダクト3の開口を塞ぐことができないときに、前記15m/s以上の風が外気連通ダクト3内に流れ込んでも、フラップ46が外気連通ダクト3を塞いで前記強風が室内に吹き込むことが防止される。その上でロータリーダンパー51、止水部材49、ストッパー57および規制具58を設けたことで、フラップ46が外気連通ダクト3や括れ部48などに勢いよく当たって衝撃音を発生することが抑制される。
なお、実施例4では、ストッパー57を緩衝材で形成したが、規制具58を緩衝材で形成してもよく、規制突起56およびストッパー57を緩衝材で形成してもよい。また、規制具58および当接部59にあっては、それらの少なくとも一方が緩衝材で形成されていればよい。フラップ46の揺動を制動するダンパー51としては、ロータリーダンパーに限られるものではなく、シリンダ形状のものであってもよい。この場合、ダンパー(シリンダ形状)をコイルバネ53に直列または並列に接続して使用することができる。外気連通ダクト3に括れ部48を設けることに代えて、フラップ46が当接する、例えば枠状の部材を外気連通ダクト3とは別に設けてもよい。この場合にも、前記枠状の部材においてフラップ46が当接する部分には止水部材49を配置することになる。