JP5529839B2 - ステンレス部材、その製造方法、固体高分子型燃料電池に用いるセパレータおよびその製造方法 - Google Patents

ステンレス部材、その製造方法、固体高分子型燃料電池に用いるセパレータおよびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、ステンレス部材、その製造方法、固体高分子型燃料電池に用いるセパレータおよびその製造方法に関するものである。
近年、自動車用および家庭用等の小型の発電に適した燃料電池として、固体高分子型燃料電池が注目されている。
固体高分子型燃料電池は、数十〜数百個の単位電池を直列に接続して所要電力を得る。そして、単位電池は、固体高分子電解質膜と、アノード側ガス拡散電極と、カソード側ガス拡散電極と、アノード側セパレータと、カソード側セパレータとを備える。アノード側ガス拡散電極およびカソード側ガス拡散電極は、固体高分子電解質膜の両側に配置される。アノード側セパレータは、アノード側ガス拡散電極に接して配置され、カソード側セパレータは、カソード側ガス拡散電極に接して配置される。
このような、アノード側セパレータおよびカソード側セパレータは、隣り合う単位電池間を電気的に接続する集電体としての役目だけでなく、単位電池の外壁構造部材としても機能し、さらに、水素および空気をアノード側ガス拡散電極またはカソード側ガス拡散電極へ供給する通路としても機能する。
したがって、アノード側セパレータおよびカソード側セパレータには、機械強度、導電性、および固体高分子型燃料電池の置かれる腐食環境に対する耐食性が要求される。
現在、耐食性を考慮してカーボン製のセパレータが用いられることが多いが、機械的強度が劣るという欠点がある。
そこで、機械的強度および耐食性を備えたステンレス製のセパレータが用いられている。しかし、ステンレス鋼を酸で処理すると、ステンレス鋼の表面に不動態被膜が形成されるため、導電性が悪くなる。
従来、ステンレス鋼の不動態被膜中にフッ素を含有させることによって、ステンレス鋼の電気抵抗を低下させることが行なわれている(特許文献1)。
特開2010−13684号公報
しかし、不動態被膜中にフッ素を含有させる方法では、ステンレス鋼の電気抵抗が固体高分子型燃料電池用のセパレータに適した電気抵抗まで低下しないという問題がある。
そこで、この発明の目的は、耐食性に優れ、かつ、接触抵抗が低いステンレス部材を提供することである。
また、この発明の別の目的は、耐食性に優れ、かつ、接触抵抗が低いステンレス部材の製造方法を提供することである。
更に、この発明の別の目的は、耐食性を向上可能であり、かつ、接触抵抗を低下可能な高分子型燃料電池用のセパレータを提供することである。
更に、この発明の別の目的は、耐食性を向上可能であり、かつ、接触抵抗を低下可能な高分子型燃料電池用のセパレータの製造方法を提供することである。
この発明の実施の形態によれば、ステンレス部材は、オーステナイト系のステンレス鋼と、不動態被膜とを備える。不動態被膜は、ステンレス鋼の表面に形成され、Cr酸化物の組成比が52.04%以上である。
また、この発明の実施の形態によれば、ステンレス部材の製造方法は、オーステナイト系のステンレス鋼を第1の酸によって処理する第1の工程と、第1の酸によって処理されたステンレス鋼を第2の酸によって処理する第2の工程とを備え、第1の酸は、フッ酸、フッ硝酸、フッ酸と有機酸との混酸、およびフッ硝酸と有機酸との混酸のいずれかからなり、第2の酸は、硝酸、クロム酸、重クロム酸ソーダおよび過マンガン酸カリのいずれかからなる。
更に、この発明の実施の形態によれば、セパレータは、固体高分子型燃料電池に用いられるセパレータであって、請求項1または請求項2に記載のステンレス部材を備える。
更に、この発明の実施の形態によれば、セパレータの製造方法は、固体高分子型燃料電池に用いられるセパレータの製造方法であって、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の製造方法によってステンレス部材を製造する第1の工程と、第1の工程によって製造されたステンレス部材の一主面に溝を形成する第2の工程とを備える。
この発明の実施の形態によるステンレス部材においては、ステンレス鋼の表面に形成された不動態被膜におけるCr酸化物の組成比が52.04%以上である。また、Cr酸化物の組成比が52.04%以上である不動態被膜を表面に備えたステンレス鋼は、Cr酸化物の組成比が50%未満である不動態被膜を表面に備えたステンレス鋼の不動態維持電流よりも小さい不動態維持電流を有する。
従って、不動態維持電流が小さいことに起因して耐食性を向上でき、Cr酸化物の組成比が52.04%以上であることに起因して接触抵抗を10(mΩcm)よりも低下できる。
また、この発明の実施の形態によるステンレス部材の製造方法においては、オーステナイト系のステンレス鋼に対して、第1の酸による処理および第2の酸による処理が順次行なわれる。その結果、第1の酸による処理によってステンレス鋼の表面の不動態被膜が除去されると同時にステンレス鋼中のFeが溶出し、その後の第2の酸による処理によってCrが酸化され、Cr酸化物の組成比が52.04%以上である不動態被膜を表面に備えたステンレス鋼が得られる。
従って、セパレータの耐食性を向上でき、接触抵抗を低下できる。
更に、この発明の実施の形態によるセパレータは、上述したステンレス部材を備える。
従って、耐食性を向上でき、かつ、接触抵抗を低下できる。
更に、この発明の実施の形態によるセパレータの製造方法は、上述したステンレス部材の製造方法によって、オーステナイト系のステンレス鋼を第1および第2の酸によって順次処理し、その後、その処理したステンレス鋼の表面に溝を形成する。
従って、耐食性が高く、かつ、接触抵抗が低いセパレータを製造できる。
この発明の実施の形態によるセパレータを備えた固体高分子型燃料電池の断面概略図である。 図1に示すセパレータの概略断面図である。 実施の形態1によるステンレス部材の断面図である。 図3に示すステンレス部材の製造方法を示す工程図である。 図4に示すフッ硝酸処理および硝酸処理の概念図である。 A材の酸による処理前後における組成比を示す図である。 酸の強度によるステンレス鋼の組成比の違いを示す図である。 B材の酸による処理前後における組成比を示す図である。 A材の処理前におけるXPSのプロファイルを示す図である。 A材の処理直後におけるXPSのプロファイルを示す図である。 B材の処理前におけるXPSのプロファイルを示す図である。 B材の処理直後におけるXPSのプロファイルを示す図である。 A材およびB材の酸処理前におけるアノード分極曲線の測定結果を示す図である。 A材およびB材の酸処理後におけるアノード分極曲線の測定結果を示す図である。 A材の酸処理前後におけるアノード分極曲線の測定結果を示す図である。 B材の酸処理前後におけるアノード分極曲線の測定結果を示す図である。 A材の酸処理前後における透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)の写真を示す図である。 B材のTEM写真を示す図である。 酸処理後、所定の時間が経過したA材およびB材のTEM写真を示す図である。 実施の形態2によるステンレス部材の断面図である。 図20に示すステンレス部材の製造方法を示す工程図である。 ステンレス鋼をフッ硝酸およびフッ酸で処理した場合の接触抵抗の比較を示す図である。 A材のフッ硝酸処理およびフッ酸処理による組成比の変化を示す図である。 B材のフッ硝酸処理およびフッ酸処理による組成比の変化を示す図である。 各種のステンレス鋼についてフッ酸処理および硝酸処理を行なったときの接触抵抗と経過日数との関係を示す図である。 フッ酸の濃度を変えたときのアノード分極曲線の測定結果を示す図である。 SUS316L BA材について硝酸濃度を変えたときのアノード分極曲線の測定結果を示す図である。 SUS316L 2B材について硝酸濃度を変えたときのアノード分極曲線の測定結果を示す図である。 接触抵抗とCr酸化物の比率との関係を示す図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態によるセパレータを備えた固体高分子型燃料電池の断面概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態によるセパレータを備えた固体高分子型燃料電池10は、固体高分子電解質膜1と、ガス拡散電極2,3と、セパレータ4,5と、ガスシール6,7とを備える。
ガス拡散電極2は、その一主面に触媒21を担持し、触媒21が固体高分子電解質膜1の一方面に接するように固体高分子電解質膜1の一方側に配置される。また、ガス拡散電極3は、その一主面に触媒31を担持し、触媒31が固体高分子電解質膜1の他方面に接するように固体高分子電解質膜1の他方側に配置される。
セパレータ4は、ガス拡散電極2の一主面(触媒21が担持された一主面と反対側の一主面)に接するように配置される。セパレータ5は、ガス拡散電極3の一主面(触媒31が担持された一主面と反対側の一主面)に接するように配置される。
ガスシール6は、固体高分子電解質膜1の外周部とセパレータ4の外周部との間に設けられ、気密性を保持してセパレータ4の外周部を固体高分子電解質膜1の外周部に連結する。ガスシール7は、固体高分子電解質膜1の外周部とセパレータ5の外周部との間に設けられ、気密性を保持してセパレータ5の外周部を固体高分子電解質膜1の外周部に連結する。
固体高分子電解質膜1は、たとえば、フッ素系のイオン交換膜からなる。ガス拡散電極2,3の各々は、ガス透過性および導電性を有する多孔体からなる。触媒21,31の各々は、白金(Pt)または白金合金(Pt−Ru)からなる。セパレータ4,5の各々は、後に詳述するように、オーステナイト系のステンレス鋼と、ステンレス鋼の表面に形成された不動態被膜とからなる。
ガスシール6,7の各々は、フッ素樹脂、バイトンゴム、およびシリコンゴムのいずれかからなる。そして、フッ素樹脂は、より具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等である。
固体高分子電解質膜1は、触媒21によって分離された電子eと水素イオンHとのうち、水素イオンHのみを触媒31側へ通過させる。ガス拡散電極2は、セパレータ4から供給された水素ガスを触媒21へ拡散させる。触媒21は、ガス拡散電極2に供給された水素ガスを電子eと水素イオンHとに分離する。
ガス拡散電極3は、セパレータ5から供給された空気(または酸素)を触媒31へ拡散させる。触媒31は、固体高分子電解質膜1から供給された水素イオンHと、ガス拡散電極3から供給された電子eと空気(または酸素)とを反応させ、水を生成する。
セパレータ4は、ガス拡散電極2に接する一主面に凹凸構造からなるガス供給溝4Aを有する。そして、ガス供給溝4Aは、水素ガスの供給口および排出口に繋がっている。したがって、セパレータ4は、ガス供給溝4Aを介して水素ガスをガス拡散電極2に供給する。
セパレータ5は、ガス拡散電極3に接する一主面に凹凸構造からなるガス供給溝5Aを有する。そして、ガス供給溝5Aは、空気(または酸素)の供給口および排出口に繋がっている。したがって、セパレータ5は、ガス供給溝5Aを介して空気(または酸素)をガス拡散電極3に供給する。
図2は、図1に示すセパレータ4の概略断面図である。図2を参照して、セパレータ4は、ステンレス鋼41と、不動態被膜42とを含む。ステンレス鋼41は、ガス拡散電極2に接する一主面に凹凸面411を有する。凹凸面411は、その幅Wおよび深さDが0.2mm〜1mmの範囲である。
不動態被膜42は、凹凸面411に沿って形成される。その結果、ガス供給溝4Aがセパレータ4の表面のうち、ガス拡散電極2に接する一主面に形成される。そして、不動態被膜42の膜厚は、3〜5nmである。また、不動態被膜42においては、Cr酸化物の組成比が50%よりも多い。その結果、セパレータ4の接触抵抗は、10(mΩcm)よりも低い。
なお、図1に示すセパレータ5も、図2に示すセパレータ4と同じ構成からなる。
[実施の形態1]
図3は、実施の形態1によるステンレス部材の断面図である。図3を参照して、実施の形態1によるステンレス部材30は、ステンレス鋼301と、不動態被膜302とを含む。
ステンレス鋼301は、JIS(Japan Industry Standard)規格で決められたSUS316L BA材からなる。不動態被膜302は、52.04(%)以上のCr酸化物を含む。その結果、不動態被膜302は、10(mΩcm)よりも低い接触抵抗を有する。また、不動態被膜302は、3〜5nmの膜厚を有する。そして、不動態被膜302は、ステンレス鋼301の表面に配置される。
図4は、図3に示すステンレス部材30の製造方法を示す工程図である。図4を参照して、SUS316L BA材からなるステンレス鋼板を所定の大きさに加工し、ステンレス鋼20を作製する(図4の工程(a)参照)。
そして、ステンレス鋼20をフッ硝酸に浸漬することによってステンレス鋼20をフッ硝酸処理する。この場合、フッ硝酸は、1%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した構成からなる。このフッ硝酸処理によって、ステンレス鋼23が得られる(図4の工程(b)参照)。
その後、ステンレス鋼23を硝酸に浸漬することによってステンレス鋼23を硝酸処理する。この場合、硝酸の濃度は、20%である。この硝酸処理によって、ステンレス部材30が得られる(図4の工程(c)参照)。ステンレス部材30は、その表面に不動態被膜302を有する。
図5は、図4に示すフッ硝酸処理および硝酸処理の概念図である。図5を参照して、ステンレス鋼20は、酸による処理前においては、主成分であるニッケル(Ni)、クロム(Cr)および鉄(Fe)が規則正しく配列されている(図5の(a)参照)。この場合、Crの含有量は、Feの含有量よりも少ない。
そして、ステンレス鋼20をフッ硝酸によって処理すると、ステンレス鋼20中のFeが溶出し、ステンレス鋼23が得られる(図5の(b)参照)。この場合、フッ酸は、ステンレス鋼20の表面に形成された不動態被膜の欠陥を介してステンレス鋼20中に浸透し、Feを溶出すると同時に不動態被膜を除去する。そして、ステンレス鋼23においては、Crの含有量は、Feの含有量よりも多い。
その後、ステンレス鋼23を硝酸によって処理すると、ステンレス鋼301の表面に不動態被膜302が形成されたステンレス部材30が得られる(図5の(c)参照)。不動態被膜302は、欠陥の少ない非晶質からなり、耐食性に優れる。そして、不動態被膜302は、後述するように、10(mΩcm)よりも低い接触抵抗(=高い導電率)を有する。
図6は、A材の酸による処理前後における組成比を示す図である。なお、この発明の実施の形態においては、SUS316L BA材のうち、フッ硝酸および硝酸による処理によって、接触抵抗が10(mΩcm)よりも小さくなったステンレス鋼を「A材」と言い、フッ硝酸および硝酸による処理を行なっても、接触抵抗が10(mΩcm)以上であるステンレス鋼を「B材」と言う。また、1%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した酸中に55℃で5分間浸漬し、その後、20%の硝酸中に55℃で5分間浸漬する処理を「標準処理」と言う。
図6において、縦軸は、組成比を表し、組成比は、X線光電子分光(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)によって測定された。
図6を参照して、A材は、酸による処理前においては、CrがFeよりも少なく、Cr酸化物がFe酸化物よりも少ない。
そして、標準処理を行なった直後のA材においては、Cr酸化物が処理前よりも増加し、Fe酸化物が処理前よりも少なくなり、Feが処理前よりも増加し、Crが処理前よりも少なくなる。その結果、Cr酸化物の組成比が50%よりも多くなる。
また、標準処理を行なった後、720時間(1ヶ月)が経過すると、Feの酸化が進行し、Fe酸化物が処理直後に比べ増加する。これに伴って、Feが減少する。一方、CrおよびCr酸化物は、処理直後に比べ、殆ど変化しない。
このように、A材に対して標準処理を行なうと、Cr酸化物がFe酸化物よりも少ない状態からCr酸化物の組成比が50%よりも多い状態へ移行し、この状態が維持される。これは、図5において説明したように、ステンレス鋼をフッ硝酸によって処理すると、ステンレス鋼中のFeが溶出してCrの割合が増加し、その後、Crが硝酸によって酸化されるからである。
図7は、酸の強度によるステンレス鋼の組成比の違いを示す図である。なお、0.1%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した酸中に55℃で1分間浸漬し、その後、20%の硝酸中に55℃で5分間浸漬する処理を「弱い処理」と言う。また、5%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した酸中に55℃で60分間浸漬し、その後、20%の硝酸中に55℃で5分間浸漬する処理を「強い処理」と言う。
図7において、縦軸は、組成比を表し、組成比は、XPSによって測定された。
図7を参照して、A材に対して弱い処理および標準処理を行なった場合、Cr酸化物は、それぞれ、30.07%から52.57%および52.04%へと増加する。即ち、A材に対して弱い処理および標準処理を行なった場合、Cr酸化物の組成比は、50%よりも少ない状態から50%よりも多い状態へ変化する。
一方、A材に対して強い処理を行なった場合、Cr酸化物は、30.07%から43.46%へと増加する。
従って、A材に対して強い処理を行なうと、Cr酸化物の増加割合が減少する。
また、Crは、弱い処理を行なった方が標準処理を行なうよりも多くなる。
図8は、B材の酸による処理前後における組成比を示す図である。図8において、縦軸は、組成比を表し、組成比は、XPSによって測定された。
図8を参照して、B材は、処理前においては、Cr酸化物がFe酸化物よりも多い。そして、B材は、酸による標準処理を行なった直後においては、Fe酸化物が処理前よりも少なくなり、FeおよびCrが処理前よりも多くなり、Cr酸化物が処理前よりも少なくなる。
また、標準処理を行なった後、720時間(1ヶ月)が経過すると、Feの酸化が進行し、Fe酸化物が処理直後に比べ増加する。これに伴って、Feが減少する。一方、CrおよびCr酸化物は、処理直後に比べ、若干、増加する。
このように、B材に対して標準処理を行なうと、Cr酸化物がFe酸化物よりも多い状態が維持され、Cr酸化物が減少する。
図9は、A材の処理前におけるXPSのプロファイルを示す図である。図9においては、縦軸は、組成比を表し、横軸は、深さを表す。また、曲線k1は、Feの深さ方向のプロファイルを示し、曲線k2は、Fe酸化物の深さ方向のプロファイルを示し、曲線k3は、Crの深さ方向のプロファイルを示し、曲線k4は、Cr酸化物の深さ方向のプロファイルを示す。
図9を参照して、Fe、Fe酸化物、CrおよびCr酸化物は、表面(深さ=0nm)において、図6の処理前における組成比を有する(曲線k1〜k4参照)。
そして、FeおよびCrの組成比は、深さが深くなるに従って増加し、約3nm以上の深さにおいて微増する(曲線k1,k3参照)。また、Fe酸化物およびCr酸化物の組成比は、深さが深くなるに従って減少し、約3nm以上の深さにおいて微減する(曲線k2,k4参照)。従って、不動態被膜の厚みは、約3nmである。
図10は、A材の処理直後におけるXPSのプロファイルを示す図である。図10においては、縦軸は、組成比を表し、横軸は、深さを表す。また、曲線k5は、Feの深さ方向のプロファイルを示し、曲線k6は、Fe酸化物の深さ方向のプロファイルを示し、曲線k7は、Crの深さ方向のプロファイルを示し、曲線k8は、Cr酸化物の深さ方向のプロファイルを示す。
図10を参照して、Fe、Fe酸化物、CrおよびCr酸化物は、表面(深さ=0nm)において、図6の処理直後における組成比を有する(曲線k5〜k8参照)。
そして、Feの組成比は、深さが深くなるに従って増加し、5nm以上の深さにおいて約80%で飽和する(曲線k5参照)。Crの組成比は、深さが深くなるに従って増加し、約1.5nm以上の深さにおいて約20%で飽和する(曲線k7参照)。
Fe酸化物の組成比は、深さが深くなるに従って減少し、5nmの深さにおいて“0”になる(曲線k6参照)。Cr酸化物の組成比は、約3nmの深さまでは、深さが深くなるに従って減少し、約3nm以上の深さにおいて、ほぼ飽和する(曲線k8参照)。従って、不動態被膜の厚みは、約3nmである。
図11は、B材の処理前におけるXPSのプロファイルを示す図である。図11においては、縦軸は、組成比を表し、横軸は、深さを表す。また、曲線k9は、Feの深さ方向のプロファイルを示し、曲線k10は、Fe酸化物の深さ方向のプロファイルを示し、曲線k11は、Crの深さ方向のプロファイルを示し、曲線k12は、Cr酸化物の深さ方向のプロファイルを示す。
図11を参照して、Fe、Fe酸化物、CrおよびCr酸化物は、表面(深さ=0nm)において、図8の処理前における組成比を有する(曲線k9〜k12参照)。
そして、Feの組成比は、深さが深くなるに従って増加する(曲線k9参照)。Crの組成比は、約3nmの深さまでは、深さが深くなるに従って増加し、3nm以上の深さにおいてほぼ飽和する(曲線k11参照)。
Fe酸化物およびCr酸化物は、深さが深くなるに従って減少し、約6nmの深さで“0”になる(曲線k10,k12参照)。従って、不動態被膜の厚みは、約6nmである。
図12は、B材の処理直後におけるXPSのプロファイルを示す図である。図12においては、縦軸は、組成比を表し、横軸は、深さを表す。また、曲線k13は、Feの深さ方向のプロファイルを示し、曲線k14は、Fe酸化物の深さ方向のプロファイルを示し、曲線k15は、Crの深さ方向のプロファイルを示し、曲線k16は、Cr酸化物の深さ方向のプロファイルを示す。
図12を参照して、Fe、Fe酸化物、CrおよびCr酸化物は、表面(深さ=0nm)において、図8の処理直後における組成比を有する(曲線k13〜k16参照)。
そして、Feの組成比は、深さが深くなるに従って増加し、5nm以上の深さにおいて約80%で飽和する(曲線k13参照)。Crの組成比は、深さが深くなるに従って増加し、約2nm以上の深さにおいて約20%で飽和する(曲線k15参照)。
Fe酸化物の組成比は、深さが深くなるに従って減少し、約2.5nmの深さにおいて“0”になる(曲線k14参照)。Cr酸化物の組成比は、約3nmの深さまでは、深さが深くなるに従って減少し、約3nm以上の深さにおいて、ほぼ飽和する(曲線k16参照)。従って、不動態被膜の厚みは、約3nmである。
このように、A材における不動態被膜の厚みは、酸による処理の前後において、殆ど変化せず、約3nmである。一方、B材における不動態被膜の厚みは、酸による処理によって、約6nmから約3nmに薄くなる。
A材およびB材について、表面におけるCr/Fe比、接触抵抗および不動態被膜の膜厚を表1に示す。
A材の表面におけるCr/Fe比は、酸処理前において0.57であり、酸処理後、2日目で1.31であり、酸処理後、213日目で1.35である。また、A材の接触抵抗は、酸処理前において、350(mΩcm)であり、酸処理後、1日目で3.51(mΩcm)であり、酸処理後、212日目で5.7(mΩcm)である。更に、A材の不動態被膜の膜厚は、酸処理前で3〜5nmであり、酸処理後、6日目で3〜5nmであり、酸処理後、227日目で3nmである。
一方、B材の表面におけるCr/Fe比は、酸処理前において1.03であり、酸処理後、2日目で0.92であり、酸処理後、128日目で0.98である。また、B材の接触抵抗は、酸処理前において、230(mΩcm)であり、酸処理後、1日目で44.7(mΩcm)であり、酸処理後、127日目で167.4(mΩcm)である。更に、B材の不動態被膜の膜厚は、酸処理前で3〜5nmであり、酸処理後、10日目で3〜5nmであり、酸処理後、142日目で3nmである。
このように、A材は、表面におけるCr/Fe比が酸処理によって0.57から1.31へ大きくなり、酸処理から213日経過しても、殆ど変化しない。従って、A材は、酸処理によってCrがFeよりも多くなり、酸処理後においては、CrがFeよりも多い状態が安定して維持される。
また、A材の接触抵抗は、酸処理によって350(mΩcm)から3.51(mΩcm)へと約2桁低下し、酸処理後、212日経過しても、5.7(mΩcm)の低い状態を維持している。
一方、B材は、表面におけるCr/Fe比が酸処理によって1.03から0.92へ小さくなり、酸処理から128日経過しても、殆ど変化しない。従って、B材は、酸処理によってCrがFeよりも少なくなり、酸処理後においては、CrがFeよりも少ない状態が維持される。
また、B材の接触抵抗は、酸処理を行なっても10(mΩcm)よりも低くならず、酸処理後、127日経過すると、167.4(mΩcm)へと高くなる。
なお、A材およびB材の不動態被膜の膜厚は、酸処理の前後において、3〜5nmである。
従って、A材は、酸処理によって接触抵抗が10(mΩcm)よりも低下し、10(mΩcm)よりも低い接触抵抗を安定して有する。これは、酸処理によって表面におけるCrがFeよりも多くなり、表面におけるCrがFeよりも多い状態が安定して維持されるためと考えられる。
図13は、A材およびB材の酸処理前におけるアノード分極曲線の測定結果を示す図である。図13において、縦軸は、電流密度を表し、横軸は、参照電極に対する電位を表す。また、曲線k17は、A材のアノード分極曲線を示し、曲線k18は、B材のアノード分極曲線を示す。
なお、図13に示すアノード分極曲線は、Ag/AgClからなる参照電極、白金からなる対極およびオーステナイト系のステンレス鋼(=A材またはB材)を1Nの硫酸水溶液からなる電解質溶液に浸漬したときの自然電位を掃引開始電位とし、室温において、20mV/sの掃引速度で測定された。
図13を参照して、0.9V付近までの比較的平坦な領域は、不動態域と呼ばれる。そして、この不動態域で観測される電流は、不動態維持電流と呼ばれ、不動態被膜の化学溶解により減少した分を補修するために使われる。不動態維持電流が小さい程、化学溶解が遅く、耐食性が高い。
酸による処理前においては、B材の不動態維持電流は、A材の不動態維持電流よりも小さい(曲線k17,k18参照)。従って、酸による処理前においては、B材の方がA材よりも耐食性が高い。
図14は、A材およびB材の酸処理後におけるアノード分極曲線の測定結果を示す図である。図14において、縦軸は、電流密度を表し、横軸は、参照電極に対する電位を表す。また、曲線k19は、A材のアノード分極曲線を示し、曲線k20は、B材のアノード分極曲線を示す。更に、酸処理は、1%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した酸に55℃で5分間浸漬し、その後、20%の硝酸に55℃で5分間浸漬することによって行なわれた。
図14を参照して、酸処理後においては、A材の不動態維持電流は、B材の不動態維持電流よりも小さい(曲線k19,k20参照)。従って、酸処理後においては、A材の方がB材よりも耐食性が高い。
図15は、A材の酸処理前後におけるアノード分極曲線の測定結果を示す図である。図15において、縦軸は、電流密度を表し、横軸は、参照電極に対する電位を表す。また、曲線k21は、酸処理前のアノード分極曲線を示し、曲線k22は、酸処理後のアノード分極曲線を示す。更に、酸処理は、1%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した酸に55℃で5分間浸漬し、その後、20%の硝酸に55℃で5分間浸漬することによって行なわれた。
図15を参照して、酸処理後の不動態維持電流は、酸処理前の不動態維持電流よりも小さい(曲線k21,k22参照)。従って、A材においては、酸処理によって耐食性が高くなる。
図16は、B材の酸処理前後におけるアノード分極曲線の測定結果を示す図である。図16において、縦軸は、電流密度を表し、横軸は、参照電極に対する電位を表す。また、曲線k23は、酸処理前のアノード分極曲線を示し、曲線k24は、酸処理後のアノード分極曲線を示す。更に、酸処理は、1%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した酸に55℃で5分間浸漬し、その後、20%の硝酸に55℃で5分間浸漬することによって行なわれた。
図16を参照して、酸処理前の不動態維持電流は、酸処理後の不動態維持電流よりも小さい(曲線k23,k24参照)。従って、B材においては、酸処理によって耐食性が低くなる。
このように、酸処理前においては、A材は、B材よりも耐食性が低い。これは、A材における表面のCr濃度がB材よりも低いためである。一方、酸処理後においては、A材は、B材よりも耐食性が高い。これは、A材における表面のCr濃度がB材よりも高いためである。
従って、耐食性を高くするためには、Cr濃度、即ち、Cr酸化物の濃度をFe酸化物よりも高くすることが重要である。
上述したように、A材は、酸処理によって耐食性が高くなり、その耐食性は、B材よりも高い。また、A材は、酸処理によって接触抵抗が10(mΩcm)よりも低くなる。従って、酸処理が施されたA材は、高い耐食性と、低い接触抵抗とを有するので、固体高分子型燃料電池のセパレータの材料に適している。
A材の酸処理における酸の強さによる接触抵抗の違いを表2に示す。
表2において、弱め1とは、1%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した酸に55℃で1分間浸漬し、その後、20%の硝酸に55℃で5分間浸漬する処理を言う。また、弱め2とは、0.1%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した酸に55℃で5分間浸漬し、その後、20%の硝酸に55℃で5分間浸漬する処理を言う。弱め3とは、0.1%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した酸に55℃で1分間浸漬し、その後、20%の硝酸に55℃で5分間浸漬する処理を言う。強め1とは、1%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した酸に55℃で60分間浸漬し、その後、20%の硝酸に55℃で5分間浸漬する処理を言う。強め2とは、5%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した酸に55℃で5分間浸漬し、その後、20%の硝酸に55℃で5分間浸漬する処理を言う。強め3とは、5%のフッ酸と10%の硝酸とを混合した酸に55℃で60分間浸漬し、その後、20%の硝酸に55℃で5分間浸漬する処理を言う。
また、表2においては、酸処理の各条件において、3個の試料が用いられた。
表2から解るように、酸処理において、10(mΩcm)よりも低い接触抵抗が安定して得られるのは、標準処理である。
弱め1の酸処理を用いた場合、処理直後の接触抵抗は、3個の試料の全てにおいて、10(mΩcm)よりも低いが、127日経過後においては、1個の試料において、接触抵抗が10(mΩcm)よりも高くなる。
また、弱め2の酸処理を用いた場合、処理直後の接触抵抗は、2個の試料において10(mΩcm)よりも低くなるが、1個の試料において、10(mΩcm)よりも高くなる。そして、弱め2の酸処理を用いた場合、127日経過後において、接触抵抗は、3個の試料の全てにおいて、10(mΩcm)よりも高くなる。
更に、強め1、強め2および強め3の酸処理を用いた場合、接触抵抗は、30〜50(mΩcm)程度までしか低下せず、酸処理後の時間経過とともに高くなる。
従って、1%のフッ酸を用いた場合、フッ酸と硝酸とを混合した酸の処理時間を1分よりも長く、かつ、5分以下に設定してA材の酸処理を行なうのが好ましい。
また、フッ酸と硝酸とを混合した酸の処理時間として5分を用いた場合、フッ酸の濃度を0.1%よりも高く、かつ、1%以下に設定してA材の酸処理を行なうのが好ましい。
B材の酸処理における酸の強さによる接触抵抗の違いを表3に示す。
なお、表3における弱め1、弱め2、弱め3、強め1、強め2および強め3は、それぞれ、表2における弱め1、弱め2、弱め3、強め1、強め2および強め3と同じ酸処理を言う。
表3から明らかなように、B材の接触抵抗は、標準処理、弱め1の酸処理、弱め2の酸処理、弱め3の酸処理、強め1の酸処理、強め2の酸処理および強め3の酸処理のいずれを用いても、10(mΩcm)よりも高くなる。
従って、B材、即ち、酸処理の前後においてCr酸化物がFe酸化物よりも多い状態が維持されるステンレス鋼は、酸処理の条件を各種変更しても、10(mΩcm)よりも低い接触抵抗が得られず、固体高分子型燃料電池のセパレータの材料に適さない。
図17は、A材の酸処理前後における透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)の写真を示す図である。
図17を参照して、酸処理前においては、不動態被膜が観測され、不動態被膜は、非晶質(アモルファス)からなる。
一方、酸処理後においては、不動態被膜は、明確には観測されない。これは、図6の処理直後に示すように、酸処理の直後においては、多くのFeが不動態被膜に含まれ、コントラストがつきにくいためと考えられる。
図18は、B材のTEM写真を示す図である。図18を参照して、B材においても、酸処理前においては、不動態被膜が観測され、酸処理後においては、不動態被膜は、明確には観測されない。これは、図8の処理直後に示すように、酸処理の直後においては、多くのFeが不動態被膜に含まれ、コントラストがつきにくいためと考えられる。
図19は、酸処理後、所定の時間が経過したA材およびB材のTEM写真を示す図である。なお、図19においては、A材は、酸処理後、227日が経過した試料であり、B材は、酸処理後、142日が経過した試料である。また、A材のTEM写真観察直前の接触抵抗は、5.7(mΩcm)であり、B材のTEM写真観察直前の接触抵抗は、167.4(mΩcm)である。
図19を参照して、A材およびB材の両方において、不動態被膜は、明確に観測された。これは、図6および図8に示すように、酸処理後、時間が経過するとともに、Feの酸化が進行し、Feの組成比が減少するためであると考えられる。
そして、A材における不動態被膜の厚みは、B材における不動態被膜の厚みと殆ど同じである。
不動態被膜の厚みが殆ど同じであるにも拘わらず、接触抵抗が大きく相違するのは、表面におけるCr酸化物の組成比が相違するからであり、A材において、10(mΩcm)よりも低い接触抵抗が得られるのは、Cr酸化物の組成比が50%よりも多いためであると考えられる。
上述したように、表面におけるCr酸化物の組成比がFe酸化物の組成比よりも少ないステンレス鋼に対してフッ硝酸処理および硝酸処理を順次行なうことによって、表面におけるCr酸化物の組成比が50%よりも多いステンレス部材30が得られる。そして、このステンレス部材30は、Cr酸化物の組成比が50%よりも少ないステンレス部材の不動態維持電流よりも小さい不動態維持電流を有する。
従って、ステンレス部材30の耐食性を向上でき、かつ、接触抵抗を低くできる。
[実施の形態2]
図20は、実施の形態2によるステンレス部材の断面図である。図20を参照して、実施の形態2によるステンレス部材50は、ステンレス鋼501と、不動態被膜502とを含む。
ステンレス鋼501は、JIS規格で決められたSUS304 2B材、SUS304 BA材、SUS310S BA材、SUS316L BA材およびSUS316L 2B材からなる。即ち、ステンレス鋼501は、オーステナイト系のステンレス鋼からなる。
不動態被膜502は、52.04%以上のCr酸化物を含む。その結果、不動態被膜502は、10(mΩcm)よりも低い接触抵抗を有する。また、不動態被膜502は、3〜5nmの膜厚を有する。そして、不動態被膜502は、ステンレス鋼501の表面に配置される。
図21は、図20に示すステンレス部材50の製造方法を示す工程図である。図21を参照して、オーステナイト系のステンレス鋼からなるステンレス鋼板を所定の大きさに加工し、ステンレス鋼60を作製する(図21の工程(a)参照)。
そして、ステンレス鋼60をフッ酸に浸漬することによってステンレス鋼60をフッ酸処理する。この場合、フッ酸の濃度は、1%である。このフッ酸処理によって、ステンレス鋼61が得られる(図21の工程(b)参照)。
その後、ステンレス鋼61を硝酸に浸漬することによってステンレス鋼61を硝酸処理する。この場合、硝酸の濃度は、20%または40%である。この硝酸処理によって、ステンレス部材50が得られる(図21の工程(c)参照)。ステンレス部材50は、その表面に不動態被膜502を有する。
なお、図21に示すフッ酸処理の概念図は、図5に示すフッ硝酸処理の概念図と同じであり、図21に示す硝酸処理の概念図は、図5に示す硝酸処理の概念図と同じである。従って、フッ酸処理によって、オーステナイト系のステンレス鋼からFeが溶出し、硝酸処理によって、オーステナイト系のステンレス鋼の表面に不動態被膜が形成される。
実施の形態2においては、酸処理の対象となるステンレス鋼は、SUS316L BA材に限らず、SUS316L BA材以外のSUS304BA材等を含むオーステナイト系のステンレス鋼である。
実施の形態1においては、SUS316L BA材をフッ硝酸処理し、その後、硝酸処理を行なうことによって、耐食性に優れ、かつ、接触抵抗の低いステンレス部材30を製造した。
ここで、フッ硝酸処理は、SUS316L BA材の表面に形成された不動態被膜の除去と、Feの溶出とを目的として行なわれた。そして、このフッ硝酸処理においては、フッ酸は、不動態被膜の除去と、Feの溶出とを行い、硝酸は、フッ酸の作用を補助するものと考えられていた。
しかし、本願発明の発明者は、このフッ硝酸処理においては、硝酸は、ステンレス鋼の表面に不動態被膜を形成する機能を有するのではないかと考え、ステンレス鋼をフッ酸で処理した場合、ステンレス鋼をフッ硝酸で処理した場合について接触抵抗を調べた。
図22は、ステンレス鋼をフッ硝酸およびフッ酸で処理した場合の接触抵抗の比較を示す図である。
図22において、縦軸は、接触抵抗を表し、横軸は、酸処理後の経過日数を表す。また、白菱形、白丸および白三角は、フッ酸処理を行なった場合の接触抵抗と経過日数との関係を示し、黒菱形、黒丸および黒三角は、フッ硝酸処理を行なった場合の接触抵抗と経過日数との関係を示す。更に、ステンレス鋼は、SUS316L BA材である。更に、フッ硝酸処理におけるフッ硝酸は、実施の形態1におけるフッ硝酸と同じであり、フッ酸処理におけるフッ酸の濃度は、1%である。
図22を参照して、フッ酸処理を行なった場合の接触抵抗は、フッ硝酸処理を行なった場合の接触抵抗と同じである。従って、ステンレス鋼をフッ酸のみで処理しても、接触抵抗が10(mΩcm)よりも低くなることが解った。即ち、フッ酸のみでも、ステンレス鋼の表面に形成された不動態被膜を除去でき、かつ、ステンレス鋼中のFeを溶出できることが解った。
また、フッ硝酸処理を行なった場合、フッ硝酸中の硝酸は、不動態被膜を形成する作用を有することが解った。
実施の形態1において、フッ硝酸処理および硝酸処理によって耐食性に優れ、かつ、10(mΩcm)よりも低い接触抵抗が得られたのは、処理前のCr酸化物がFe酸化物よりも少ないステンレス鋼であり(図6および表1参照)、処理前のCr酸化物がFe酸化物よりも多いステンレス鋼では、10(mΩcm)よりも低い接触抵抗が得られなかった(図8および表1参照)。
従って、硝酸が不動態被膜を形成する作用を有することを前提に考えると、Cr酸化物がFe酸化物よりも多いステンレス鋼では、フッ酸によってFeが溶出される前に硝酸によって不動態被膜が形成され、ステンレス鋼の表面におけるCrの濃縮が起こらなかったものと考えられる。
そこで、本願発明の発明者は、SUS316L BA材のA材およびB材についてフッ硝酸処理およびフッ酸処理を行なった場合の組成比について調べた。ここで、A材は、フッ硝酸処理によって接触抵抗が10(mΩcm)よりも低くなったステンレス鋼であり、B材は、フッ硝酸処理によって接触抵抗が10(mΩcm)よりも低くならなったステンレス鋼である。
図23は、A材のフッ硝酸処理およびフッ酸処理による組成比の変化を示す図である。また、図24は、B材のフッ硝酸処理およびフッ酸処理による組成比の変化を示す図である。
図23および図24において、縦軸は、組成比を表し、組成比は、XPSによって測定された。
図23を参照して、A材のCr酸化物の組成比は、処理前においては、30.07(%)であり、フッ硝酸処理後においては、52.04(%)であり、フッ酸処理後においては、54.35(%)である。従って、A材については、フッ硝酸処理およびフッ酸処理のいずれの処理を行なっても、Cr酸化物の組成比は、増加することが解った。
図24を参照して、B材のCr酸化物の組成比は、処理前においては、49.06(%)であり、フッ硝酸処理後においては、43.90(%)であり、フッ酸処理後においては、52.88(%)である。従って、B材については、Cr酸化物の組成比は、フッ硝酸処理によって減少し、フッ酸処理によって増加することが解った。そして、フッ酸処理後のCr酸化物の組成比は、54.35(%)である。
一方、A材をフッ酸処理して1日が経過したときの接触抵抗は、3.4(mΩcm)であり、A材をフッ酸処理して2日が経過したときのCr/Fe比は、1.45である。また、B材をフッ酸処理して1日が経過したときの接触抵抗は、2.7(mΩcm)であり、B材をフッ酸処理して2日が経過したときのCr/Fe比は、1.38である。
従って、A材については、フッ硝酸処理およびフッ酸処理のいずれを行なっても、Cr酸化物の組成比がFe酸化物の組成比も多くなり、かつ、接触抵抗が10(mΩcm)よりも低くなった。また、フッ硝酸処理を行なって接触抵抗が10(mΩcm)よりも低くならなかったB材については、フッ酸処理を行なうことによって、Cr酸化物の組成比がFe酸化物の組成比も多くなり、かつ、接触抵抗が10(mΩcm)よりも低くなった。
図25は、各種のステンレス鋼についてフッ酸処理および硝酸処理を行なったときの接触抵抗と経過日数との関係を示す図である。図25において、縦軸は、接触抵抗を表し、横軸は、経過日数を表す。
なお、フッ酸処理は、1%のフッ酸に55℃で5分間浸漬することによって行なわれ、硝酸処理は、20%の硝酸に55℃で5分間浸漬することによって行なわれた。
図25を参照して、SUS304 BA材、SUS304 2B材、SUS316L BA A材、SUS316L BA B材、SUS316L 2B材、およびSUS310S BA材等のオーステナイト系のステンレス鋼の接触抵抗は、経過日数に対して安定して、殆ど、10(mΩcm)よりも低い。一方、SUS329J4L BA材である2相系のステンレス鋼の接触抵抗は、フッ酸処理および硝酸処理によって10(mΩcm)よりも低くならず、日数が経過しても、10(mΩcm)よりも低くなることはない。
このように、オーステナイト系のステンレス鋼の接触抵抗は、フッ酸処理および硝酸処理によって安定して10(mΩcm)よりも低くなることが解った。
図26は、フッ酸の濃度を変えたときのアノード分極曲線の測定結果を示す図である。図26において、縦軸は、電流密度を表し、横軸は、参照電極に対する電位を表す。また、曲線k25は、フッ酸および硝酸による処理前のアノード分極曲線を示し、曲線k26は、フッ酸の濃度が0.1%および0.5%であるときのアノード分極曲線を示し、曲線k27は、フッ酸の濃度が1%であるときのアノード分極曲線を示す。
なお、フッ酸処理は、0.1%、0.5%および1%のフッ酸に55℃で5分間浸漬することによって行なわれ、硝酸処理は、20%の硝酸に55℃で5分間浸漬することによって行なわれた。また、処理対象のステンレス鋼は、SUS316L BA材である。
図26を参照して、フッ酸処理および硝酸処理を行なうことによって、不動態維持電流が減少している(曲線k25〜k27参照)。従って、フッ酸処理および硝酸処理を行なうことによって、耐食性が向上することが解った。
しかし、フッ酸処理および硝酸処理を行なった後における不動態維持電流は、上下に大きく変動しているので、不動態被膜は、脆い。
そこで、硝酸処理における硝酸濃度による不動態維持電流の変化を調べた。図27は、SUS316L BA材について硝酸濃度を変えたときのアノード分極曲線の測定結果を示す図である。
図27において、縦軸は、電流密度を表し、横軸は、参照電極に対する電位を表す。また、曲線k28は、フッ酸および硝酸による処理前のアノード分極曲線を示し、曲線k29は、硝酸処理の条件が20%5分および20%60分であるときのアノード分極曲線を示し、曲線k30は、硝酸処理の条件が40%5分であるときのアノード分極曲線を示し、曲線k31は、硝酸処理の条件が40%60分であるときのアノード分極曲線を示す。
なお、フッ酸処理は、1%のフッ酸に55℃で5分間浸漬することによって行なわれた。
図27を参照して、SUS316L BA材の不動態維持電流は、硝酸処理条件が強くなるに従って低下するとともに、急激な変動が減少した(曲線k29〜k31参照)。従って、硝酸処理条件が強くなるに従ってSUS316L BA材の耐食性が向上するとともに、不動態被膜の強度が向上することが解った。
図28は、SUS316L 2B材について硝酸濃度を変えたときのアノード分極曲線の測定結果を示す図である。
図28において、縦軸は、電流密度を表し、横軸は、参照電極に対する電位を表す。また、曲線k32は、フッ酸および硝酸による処理前のアノード分極曲線を示し、曲線k33は、硝酸処理の条件が20%5分であるときのアノード分極曲線を示し、曲線k34は、硝酸処理の条件が40%60分であるときのアノード分極曲線を示す。
なお、フッ酸処理は、1%のフッ酸に55℃で5分間浸漬することによって行なわれた。
図28を参照して、SUS316L 2B材の不動態維持電流は、硝酸処理条件が強くなるに従って低下するとともに、急激な変動が減少した(曲線k32〜k34参照)。従って、硝酸処理条件が強くなるに従ってSUS316L 2B材の耐食性が向上するとともに、不動態被膜の強度が向上することが解った。
上述したように、オーステナイト系のステンレス鋼をフッ酸および硝酸によって順次処理することによって、耐食性に優れ、かつ、接触抵抗が10(mΩcm)よりも低くなることが解った。
上述したように、実施の形態1においては、SUS316L BA材をフッ硝酸および硝酸によって順次処理することによって、耐食性に優れ、かつ、接触抵抗が10(mΩcm)よりも低いステンレス部材30を製造することについて説明した。
また、実施の形態2においては、オーステナイト系のステンレス鋼をフッ酸および硝酸によって順次処理することによって、耐食性に優れ、かつ、接触抵抗が10(mΩcm)よりも低いステンレス部材50を製造することについて説明した。そして、実施の形態2においては、SUS316L BA材をフッ酸および硝酸によって順次処理することによって、耐食性に優れ、かつ、接触抵抗が10(mΩcm)よりも低いステンレス部材50を製造することについても説明した。
図29は、接触抵抗とCr酸化物の比率との関係を示す図である。図29において、縦軸は、接触抵抗を表し、横軸は、Cr酸化物の比率を表す。
図29を参照して、接触抵抗は、Cr酸化物が50%未満である場合、200(mΩcm)よりも高く、Cr酸化物が52.04%以上になると、数(mΩcm)まで急減に低下する。
即ち、直線k35と直線k36との間には、大きな段差が存在し、Cr酸化物の比率において、50%と52.04%との間には、接触抵抗が約2桁低下する変曲点が存在する。そして、直線k36によって示される接触抵抗は、直線k35を延長することによって予想される接触抵抗の範囲を逸脱し、大幅に低下する。
その結果、Cr酸化物の比率を52.04%以上と規定することによる臨界的意義が存在し、Cr酸化物の比率を52.04%以上と規定することによって、接触抵抗を数(mΩcm)まで約2桁低下できるという技術的意義が存在する。
従って、この発明の実施の形態によるステンレス部材は、オーステナイト系のステンレス鋼と、ステンレス鋼の表面に形成され、Cr酸化物の組成比が52.04%以上である不動態被膜とを備えていればよい。
そして、この発明の実施の形態によるセパレータは、固体高分子型燃料電池に用いられるセパレータであって、ステンレス部材30(またはステンレス部材50)を備えていればよい。
また、実施の形態1においては、SUS316L BA材をフッ硝酸および硝酸によって順次処理してステンレス部材30を製造することを説明した。また、実施の形態2においては、オーステナイト系のステンレス鋼をフッ酸および硝酸によって順次処理してステンレス部材50を製造することを説明した。
そして、フッ硝酸による処理およびフッ酸による処理は、上述したように、ステンレス鋼の表面に形成された不動態被膜を除去するとともに、ステンレス鋼からFeを溶出させるために行なわれる。
ステンレス鋼の表面に形成された不動態被膜を除去するとともに、ステンレス鋼からFeを溶出させる酸としては、フッ硝酸およびフッ酸以外にも、フッ硝酸と有機酸との混酸、またはフッ酸と有機酸との混酸を用いることができる。そして、有機酸は、酢酸、シュウ酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸および乳酸の少なくとも1つからなる。
また、硝酸処理は、不動態被膜をステンレス鋼の表面に形成するために行なわれる。そして、不動態被膜をステンレス鋼の表面に形成する酸としては、硝酸以外に、クロム酸、重クロム酸ソーダおよび過マンガン酸カリを用いることができる。
従って、この発明の実施の形態によるステンレス部材の製造方法は、オーステナイト系のステンレス鋼を第1の酸によって処理する第1の工程と、第1の酸によって処理されたステンレス鋼を第2の酸によって処理する第2の工程とを備え、第1の酸は、フッ酸、フッ硝酸、フッ硝酸と有機酸との混酸、およびフッ酸と有機酸との混酸のいずれかからなり、第2の酸は、硝酸、クロム酸、重クロム酸ソーダおよび過マンガン酸カリのいずれかからなっていればよい。そして、有機酸は、酢酸、シュウ酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸および乳酸の少なくとも1つからなる。
また、この発明の実施の形態によるセパレータの製造方法は、固体高分子型燃料電池に用いられるセパレータの製造方法であって、上述した方法によってステンレス部材30(またはステンレス部材50)を製造する第1の工程と、第1の工程によって製造されたステンレス部材30(またはステンレス部材50)の一主面に溝を形成する第2の工程とを備えていればよい。そして、溝は、ステンレス部材30(またはステンレス部材50)の一主面を切削加工あるいはエッチング加工あるいはプレス加工することによって形成される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、耐食性に優れ、かつ、接触抵抗が低いステンレス部材、そのステンレス部材の製造方法、固体高分子型燃料電池に用いるセパレータおよびその製造方法に適用される。
1 固体高分子電解質膜、2,3 ガス拡散電極、4,5 セパレータ、4A,5A ガス供給溝、6,7 ガスシール、10 固体高分子型燃料電池、20,23,41,301,501 ステンレス鋼、21,31 触媒、30,50 ステンレス部材、42,241 不動態被膜、302,502 不動態被膜、411 凹凸面。

Claims (8)

  1. オーステナイト系のステンレス鋼と、
    前記ステンレス鋼の表面に形成され、Cr酸化物の組成比が52.04%以上である不動態被膜とを備え、
    当該ステンレス部材の表面におけるCr/Fe比は、1よりも大きい、ステンレス部材。
  2. 前記ステンレス鋼は、SUS316Lからなる、請求項1に記載のステンレス部材。
  3. 表面におけるCr酸化物の組成比がFe酸化物の組成比よりも少ないオーステナイト系のステンレス鋼を第1の酸によって処理する第1の工程と、
    前記第1の酸によって処理されたステンレス鋼を第2の酸によって処理する第2の工程とを備え、
    前記第1の酸は、フッ酸、フッ硝酸、フッ硝酸と有機酸との混酸、およびフッ酸と有機酸との混酸のいずれかからなり、
    前記第2の酸は、硝酸、クロム酸、重クロム酸ソーダおよび過マンガン酸カリのいずれかからなる、ステンレス部材の製造方法。
  4. 前記有機酸は、酢酸、シュウ酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸および乳酸の少なくとも1つからなる、請求項3に記載のステンレス部材の製造方法。
  5. 前記第1の酸は、フッ酸からなり、
    前記第2の酸は、硝酸からなる、請求項3に記載のステンレス部材の製造方法。
  6. 前記第1の酸は、フッ硝酸からなり、
    前記第2の酸は、硝酸からなる、請求項3に記載のステンレス部材の製造方法。
  7. 固体高分子型燃料電池に用いられるセパレータであって、
    請求項1または請求項2に記載のステンレス部材を備えるセパレータ。
  8. 固体高分子型燃料電池に用いられるセパレータの製造方法であって、
    請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の製造方法によってステンレス部材を製造する第1の工程と、
    前記第1の工程によって製造されたステンレス部材の一主面に溝を形成する第2の工程とを備えるセパレータの製造方法。
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