JP5528625B2 - サイドエアバッグ - Google Patents

Description

本発明は、請求項１のプリアンブルに記載のサイドエアバッグに関する。

サイドエアバッグの利用は、現在の自動車技術の分野で広く普及している。車両の内側構造または座席の背もたれに配置されるサイドエアバッグは、側面衝突の際に、乗員、特に乗員の胸部を保護するのに役立つ。その他のエアバッグも同様であるが、乗員を適切に保護するためにはサイドエアバッグに通気孔を設ける必要がある。通気を行わなければ、乗員は単にサイドエアバッグから車両の内側に跳ね返る。必要な通気を行う最も簡単な方法は、エアバッグの外皮、例えば、外皮の２つの側壁が互いに連結する縁領域に、永久的に開放された出口開口部を配置することである。そのような単純な通気機構を利用しさえすれば、サイドエアバッグが所定の体重の乗員および規定の事故に限り最適な性能を有することが明らかである。さまざまな状況（サイズ／体重の異なる乗員、「通常の」側突または柱もしくは樹木のような貫入する障害物との側突）で高い性能を発揮するサイドエアバッグを提供するため、数多くの提案がなされてきた。

一般的な特許文献１では、適応型内部ベント装置を備えるサイドエアバッグを公開している。そのようなサイドエアバッグであれば、小柄で体重の軽い乗員および大柄で体重の重い乗員に対する優れた性能を引き出すことが可能である。ベント装置は、外皮の一方の側壁、具体的には、車両の内部構造に面する側壁に出口開口部を備え、基本的にこの出口開口部周囲の同一の側壁に連結されると共に、貫通開口部を有するフラップを備える。テザーは、フラップから外皮の上部領域における他方の側壁、具体的には、乗員に面する側壁に延在する。図示された形状では、大柄な乗員が外皮の衝撃面にぶつかるとき、フラップが出口開口部を閉鎖するが、小柄な乗員が外皮にぶつかるとき、この場合はテザーがフラップを出口開口部から引き離すので、フラップが開いたままとなる。通常は、いかなる場合でも通気が行われるように追加の出口開口部が設けられる。

特許文献２では、外皮の２つの側壁が所定の距離を置いて互いに接近するように移動した場合に、出口開口部を遮断するようになされた特別な通気構成を有する３室の適応型サイドエアバッグを公開している。この構成は以下の効果を有する：サイドエアバッグが「通常の」側面衝撃で「正常に」機能する。高荷重の側面衝撃において、特に柱または樹木のような物体が車両に貫入するとき、出口開口部が閉鎖されてガスがサイドエアバッグのガス室内に残留し、乗客がサイドエアバッグを突き抜けて（Ｓｔｒｉｋｅｓ ｔｈｒｏｕｇｈ）車両の硬い側部構造に当たるのを防ぐ。上述のサイドエアバッグの欠点は、その構造が複雑であり結果的に製造コストが高くなることである。

ドイツ国特許出願公開第１０２００６０５１５５２号明細書 欧州特許出願公開第２００８８７９号明細書

このことから、本発明は「通常の」側突時に十分な保護を提供し、高荷重の場合、特に柱または樹木のような物体が車両に貫入するとき、乗員の突き抜けを防ぎ、製造が容易でかつ費用効率の高いサイドエアバッグを提供することをその課題とする。

請求項１に記載のサイドエアバッグによりこの課題を解決する。

サイドエアバッグは、縁に沿って互いに連結する第１側壁および第２側壁を備える外皮を有する。出口開口部が第１側壁に配置され、閉鎖要素が２つの側壁の間に配置される。この閉鎖要素が、少なくとも１つの第１連結領域を介して外皮に連結される被覆部であって、この被覆部が第１側壁に当接するとき、出口開口部を少なくとも部分的に覆う被覆部と、第２連結領域を介してこの被覆部を第２側壁に連結し、障害物のない状態でサイドエアバッグが展開するとき、被覆部が第１側壁に当接するのを妨げるテザー部とを備える。

本発明によれば、閉鎖要素が、出口開口部と縁領域間または縁領域に配置される第１連結領域を介して外皮に取り付けられ、かつ第２連結領域が、第１連結領域とは別の出口開口部の反対側に配置され、その結果、出口開口部がこれらの２つの連結領域の間に存在し、かつ外皮の内側から出口開口部に向かうガスの流れが、第１側壁に平行に、かつ少なくとも部分的に第２連結領域−出口開口部−第１連結領域のラインで規定される方向に発生する。この形状によって、２つの側壁間の距離が所定の値（具体的には、テザー部の長さ）を下回るときに出口開口部を通るガスの流れを遮断することが達成される。このガス流の遮断は、乗員が衝撃を加える外皮の領域とはほぼ無関係である。

本発明の好ましい実施形態に関して後に分かるように、本発明によるサイドエアバッグは、欧州特許出願公開第２００８５７９号明細書のサイドエアバッグと同様の効果を有するが、その単純な構造により製造が更に容易である。

本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に規定されている。

次に、本発明について図面を参照しながら更に詳細に説明する。図面は以下の通りである。

本発明の第１の実施形態による外皮の俯瞰図である。 図１に示したものの拡大図である。 障害物のない状態でサイドエアバッグが展開したときの、図１の線Ａ−Ａに沿った断面図である。 図２に示したものの高荷重側面衝撃時の図である。 本発明の第２の実施形態による外皮の俯瞰図である。 図４に示したものの拡大図である。 障害物のない状態でサイドエアバッグを展開したときの、図４の線Ｂ−Ｂに沿った断面図である。 図５に示したものの高荷重側面衝撃時の図である。

図１は、本発明によるサイドエアバッグ１０の第１の好ましい実施形態を示す。このサイドエアバッグ１０は、第１側壁１４と対応する第２側壁１６とからなる外皮１２を有する。２つの側壁１４，１６は、例えば、縁継ぎ目４０により、縁１８に沿って互いに連結する。サイドエアバッグ１０の外皮１２は、後端１２ｂから前端１２ａに延在し、縁１８が前縁１８ａを示す。完全に組み立て、取り付けた状態では、インフレータ、多くの場合は、ガス発生器（図示せず）が、外皮１２の後端１２ｂ付近の２つの側壁１４，１２の間に配置される。

外皮１２は、以下に詳細に説明する通気構成を有する：楕円形出口開口部２０が、前縁１８ａ付近の第１側壁１４に配置され、前縁１８ａの部分に平行に延在する。閉鎖要素が第１側壁１４と第２側壁１６との間に設けられる。この閉鎖要素は、基本的に長方形の被覆要素３２とテザー３４とからなる。被覆要素３２およびテザー３４は、連結継ぎ目４６を介して互いに連結する。テザー３４は、この連結継ぎ目４６から第２側壁１６に延在する。このテザー３４は高さｈおよび長さｌを有する。通常はプラスチック織物製のテザー３４に、孔３４ａを設けることができる。テザー３４は、テザー継ぎ目４２を介して第２側壁１６に連結される（図２を参照）。

被覆要素３２は、前縁１８ａ部分における第１側壁１４と第２側壁１６との間に挟持されて、縁継ぎ目４０により第１側壁および第２側壁に連結される。そのため、この縁継ぎ目４０の部分が、被覆要素３２が外皮１２に（具体的には、第１側壁１４および第２側壁１６に）取り付けられる第１連結領域である。その上、被覆要素３２は、被覆要素３２の縁に沿って前縁１８ａから被覆要素３２の後端に延在する２つの取付継ぎ目４４を介して第１側壁１４に取り付けられる。

サイドエアバッグ１０の閉鎖要素３０と外皮１２との連結部は、上記で規定した部分のみである。したがって、このサイドエアバッグ１０は製造が非常に容易である。

今述べたものから得られた形状が図１ａで示されている。被覆要素３２の少なくともテザーの高さを有する無連結（Ｃｏｎｎｅｃｔｉｏｎ ｆｒｅｅ）領域Ｃ（点‐二重点‐点のパターン線を参照）は、前縁１８ａの部分から外皮１２の中央／後方向に延在する。この無連結領域Ｃにおいては、被覆要素３２は第１側壁に取り付けられず、第２側壁１６にのみ（具体的には、テザー３４を介して）取り付けられる。出口開口部２０は、テザー３４が第２側壁１６に（具体的には、テザー継ぎ目４２により）連結される領域と前縁１８ａとの間のこの無連結領域Ｃに存在する（図１Ａおよび図２を参照）。この形状によって、被覆要素３２と第１側壁１４との間に、第１側壁と第２側壁との間に位置する「標準的な」チャンバと出口開口部２０とをつなぐ一種の流路が作り出される。選択した形状のため、この流路は外皮の後方に開放している。その形状は、エアバッグが完全に展開して平面状である場合に関する。

テザー３４の長さが完全に展開したサイドエアバッグ１０の最大厚さ未満であるので、ガスはこの流路を通って第１側壁に平行に流れ、出口開口部２０を通って外皮１２から抜け出る。（図２を参照）。所定の形状のために、基本的に、煙突効果が生じる一方向でガスの流れが発生する。更に、この効果により被覆要素３２が出口開口部２０の方へ「吸引」される。周知の動的効果のために、被覆要素の「流路」部分では、被覆要素の反対側（この部分は被覆要素と第２側壁１６との間の領域である）よりも全圧（これは静圧に動圧を加えたものである）が高い。そのため、被覆要素３２は第１側壁に基本的に平行に延在する内壁を形作る。

高荷重の側面衝撃の場合、特に物体が車両に貫入するとき、乗員Ｏ、すなわち第１側壁１４が、車両の内部構造Ｓ、すなわち第２側壁１６にテザー３４の長さよりも接近する状態が生じ得る（図３を参照）。この場合、第１側壁１４が被覆要素３２に押し付けられて、出口開口部２０を通るガスの流れが遮断される。そのため、サイドエアバッグ１０の外皮１２の内側からガスがそれ以上漏出せず、サイドエアバッグの最小厚さが変わらない。それによって乗員が突き抜けて車両の内部構造にぶつかるのを防ぐ。所定の形状のために、乗員が必ずしも外皮の規定された狭い領域（例えば、テザーが取り付けられた領域）にぶつかる必要はない。出口開口部２０を閉鎖する場合、ガス流を完全に遮断するために、追加の出口開口部が存在しないことが有利であり得る。

図４〜図６は第２の実施形態を示す。この実施形態は、以下の相違点を伴うが第１の実施形態と非常に類似している：閉鎖要素３０は、被覆部３６とテザー部３８とを備える単一片からなる。更に、取付継ぎ目４４は、線形で被覆部３６の縁に沿って走るのではなく、円形状であり被覆部３６の縁領域に取り付けられる。基本的な形状は同じである：無連結領域Ｃは、前縁１８ａの部分からサイドエアバッグ１０の後方に延在する。テザー部と第１側壁との間に「実質的な」流路が存在しないことを除き、この第２の実施形態は、第１の実施形態と同じように機能する。特に、第１側壁に基本的に平行に走る内側壁は、被覆部により形成される。

両実施形態においては、出口開口部に向かうガスの流れが第１側壁に平行であることが望ましいので、被覆要素／被覆部は貫通孔を有さないことが好ましい。

１０ サイドエアバッグ
１２ 外皮
１２ａ 前端
１２ｂ 後端
１４ 第１側壁
１６ 第２側壁
１８ 縁
１８ａ 前縁
２０ 出口開口部
３０ 閉鎖要素
３２ 被覆要素
３４ テザー
３４ａ 孔
３６ 被覆部
３８ テザー部
４０ 縁継ぎ目
４２ テザー継ぎ目
４４ 取付継ぎ目
４６ 連結継ぎ目
Ｓ 側部構造
Ｏ 乗員

Claims (9)

1. 縁（１８）に沿って互いに連結する第１側壁（１４）と第２側壁（１６）とを備える外皮（１２）を有し、出口開口部（２０）が前記第１側壁（１４）に配置され、閉鎖要素（３０）が前記２つの側壁（１４，１６）間に配置されるサイドエアバッグ（１０）において、
   前記閉鎖要素（３０）が、少なくとも１つの第１連結領域を介して前記外皮（１２）に連結される被覆部（３２，３６）であって、前記被覆部（３２，３６）が前記第１側壁（１４）に当接するとき、前記出口開口部（２０）を少なくとも部分的に覆う被覆部（３２，３６）と、第２連結領域を介して前記被覆部（３２，３６）を前記第２側壁（１６）に連結し、障害物のない状態で前記サイドエアバッグ（１０）が展開するとき、前記被覆部（３２，３６）が前記第１側壁（１４）に当接するのを妨げるテザー部（３４，３８）とを備え、
   前記被覆部（３２，３６）が、前記出口開口部（２０）と縁領域との間または縁領域に配置される第１連結領域を介して前記外皮に取り付けられ、かつ前記第２連結領域が、前記第１連結領域とは別の出口開口部（２０）の反対側に配置されることを特徴とする、サイドエアバッグ。
2. 前記被覆部（３２，３６）が、第２連結領域から前記出口開口部（２０）とは距離を置いて延在する領域では前記第１側壁（１４）に取り付けられず、その結果、前記被覆部（３２，３６）が第１側壁（１４）に連結されていない無連結領域（Ｃ）が存在することを特徴とする、請求項１に記載のサイドエアバッグ。
3. 前記出口開口部（２０）が、前記サイドエアバッグの前縁（１８ａ）付近に配置されることを特徴とする、請求項１に記載のサイドエアバッグ。
4. 前記無連結領域（Ｃ）が、前記出口開口部付近の前縁領域から前記サイドエアバッグの内側に延在することを特徴とする、請求項２および３に記載のサイドエアバッグ。
5. 前記被覆部（３２，３６）が、前記サイドエアバッグの前縁部における前記２つの側壁（１４，１６）の間に挟持されることを特徴とする、請求項１〜４の一項に記載のサイドエアバッグ。
6. 前記閉鎖要素（３０）が、前記被覆部（３６）と前記テザー部（３８）とを備える一体型要素であることを特徴とする、請求項１〜５の一項に記載のサイドエアバッグ。
7. 前記閉鎖要素（３０）が、被覆要素（３２）と別体のテザー（３４）とからなることを特徴とする、請求項１〜５の一項に記載のサイドエアバッグ。
8. 前記被覆部が、少なくとも１つの追加の連結領域を介して、前記第１側壁に追加的に取り付けられることを特徴とする、請求項１〜７の一項に記載のサイドエアバッグ。
9. 少なくとも１つの孔（３４ａ）が、前記テザー部に設けられることを特徴とする、請求項１〜８の一項に記載のサイドエアバッグ。

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