JP5528382B2 - 油圧式パワーステアリングシステムの油圧コントローラ - Google Patents
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Description
ステアリングホイールの操作時に、ステアリングシリンダがエンドに達した場合、又は、タイヤが障害物により動きを止められた場合、それ以上、ステアリングホイールが回らなくなる。
このハンドルスリップ現象を油圧コントローラの構造と共に詳細に説明する。
前記スプールの弁孔一端側には、ステアリングホイールに連動連結される連結部が設けられ、スプールの弁孔他端側にメータリングポンプが配置されている。
前記ハウジングと、メータリングポンプのトロコイドステータ及びトロコイドロータとの間には前記ポートプレートが挟み込まれ、前記端部カバーはトロコイドステータ及びトロコイドロータのポートプレート配置側とは反対側に配置されている。
ハウジング、スプール及びスリーブには、当該油圧コントローラを機能させるべく圧油が流通する多数の油路が形成されている。
したがって、メータリングポンプの容積室の圧油がリークすると、トロコイドロータが
動いて連動機構、バルブ装置を介してステアリングホイールが動いてしまい、前述したハンドルスリップ現象が起こる。
この油圧コントローラにあっては、トロコイドロータにブレーキ力を与えるために、メータリングポンプの端部カバーとトロコイドロータとの間にプラグ部材を設けている。
このプラグ部材と端部カバーとの間には制動圧力室が設けられ、この制動圧力室には、メータリングポンプの容積室からリークした高圧の圧油がトロコイドロータと端部カバーとの接当面間(隣接面間)の隙間を通って流入し、該制動圧力室に作用する高圧の油圧によりプラグ部材でトロコイドロータが押圧されて該トロコイドロータがポートプレートに押し付けられる。これによりトロコイドロータにブレーキ力が与えられ、このブレーキ力によって前記ハンドルスリップ現象が抑制される。
そこで、トロコイドロータにブレーキ力を作用させたいときには制動圧力室に高圧の油圧が作用するが、ハンドルスリップ現象が問題とならない通常のステアリング操作時にはトロコイドロータにブレーキ力を作用させないようにした油圧コントローラがある(特許文献1参照)。
そして、通常のステアリング操作時(バルブ装置が中立位置からスプールがスリーブに対して所定角度相対回転した通常操作位置に操作されている時)では、スリーブの加圧孔とスプールの圧油供給路との連通が遮断されていると共にスリーブのドレン孔がスプールのドレン穴に連通しており、前記流体流通路→環状溝→ドレン孔→ドレン穴を経て制動圧力室内の圧油がタンクに逃げ、これにより、ハンドルスリップ現象が問題とならない通常のステアリング操作時にはトロコイドロータにブレーキ力を作用させないようにしている。
リンダがストロークエンドに達した場合等にトロコイドロータにブレーキ力を与えてハンドルスリップ現象を抑制するのに、スリーブに前記環状溝に連通する加圧孔を形成すると共にスプールに前記加圧孔に連通する圧油流通路を形成しているが、スリーブに環状溝やドレン孔や加圧孔を形成すると共にスプールにドレン穴や圧油供給路を形成すると、スリーブ及びスプールが軸方向に長くなり、これらの加工精度に影響を及ぼし、例えば、円筒度を出すのに影響を及ぼすという問題が生じる。
請求項1に係る発明によれば、ステアリングホイールによって操作されて圧油の方向を切り替えるバルブ装置と、このバルブ装置と連動機構を介して連動していてステアリングホイールの操作量に対応した量の圧油をステアリングシリンダに送るべく吐出するメータリングポンプと、ステアリングシリンダに送られる圧油の圧力が設定圧以上になると圧油をタンクに逃がすリリーフ弁とを備え、
前記メータリングポンプは、トロコイド歯形の内歯を有するトロコイドステータと、このトロコイドステータの内歯と噛み合うトロコイド歯形の外歯を有するトロコイドロータと、これらトロコイドステータ及びトロコイドロータの軸方向一端側に位置する端部カバーとを備え、
前記トロコイドステータを、前記端部カバーとメータリングポンプに対する圧油の入出力ポートを有するポートプレートとの間に固定し、前記端部カバーとトロコイドロータとの間に制動圧力室を設け、
この制動圧力室と前記リリーフ弁とにわたって設けられていて、リリーフ弁の非作動時に、該リリーフ弁に設けた逃し流路に連通していて該逃し流路を介して制動圧力室の圧をタンクに逃す流体流通路を設け、
前記リリーフ弁は、前記バルブ装置を収容するハウジングに形成されたポペット収容孔内に、ポペットと、該ポペットを付勢するリリーフスプリングとを収容してなり、前記ポペットに逃し流路を形成し、流体流通路はポペット収容孔に連通する逃し用接続油路を有し、
リリーフ弁の非作動時に、逃し流路が逃し用接続油路に連通することにより流体流通路が逃し流路に連通し、
リリーフ弁の作動時に、ポペットの周面で逃し用接続油路の端部が塞がれることにより流体流通路と前記逃し流路との連通が遮断され且つ流体流通路が該リリーフ弁に設けた加圧流路に連通し、これによりリリーフ弁を作動させる油圧力が加圧流路から流体流通路を経て制動圧力室に送られ、この制動圧力室に作用する油圧力によりトロコイドロータをポートプレートに押し付けるように構成したことを特徴とする。
前記スプールの弁孔一端側にはステアリングホイールに連動連結される連結部が設けられ、スプールの弁孔他端側にポートプレート及びメータリングポンプが設けられ、ステアリングホイールによってスプールを回転操作することにより、該スプールがスリーブに対してセンタリングバネの付勢力に抗して相対回転して圧油の方向が切り替えられるよう構成され、
前記ポペット収容孔が前記ハウジングに前記弁孔と平行状に形成され、前記リリーフスプリングはポペットを弁孔一端から弁孔他端に向けて付勢することを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、ステアリングホイールを回転操作する通常のステアリング操作時にあっては、リリーフ弁は非作動状態であり、端部カバーとトロコイドロータとの間に設けられた制動圧力室の圧油は流体流通路からリリーフ弁に設けられた逃し流路を介してタンクに逃げるため、トロコイドロータにブレーキ力は作用しない。
図1〜8,図11において、符号1は、車両の全油圧式パワーステアリングシステムに採用される油圧コントローラ(パワステコントローラ)である。
先ず、この油圧コントローラ1を、図11の油圧回路を参照して概略説明する。
油圧コントローラ1は、油圧ポンプPからの圧油を入力するポンプポート2と、圧油をタンクTへと排出するためのタンクポート3と、ステアリングシリンダSの左側油室4Lに油圧ホース等の油圧管路を介して接続される第1シリンダポート5と、ステアリングシリンダSの右側油室4Rに油圧ホース等の油圧管路を介して接続される第2シリンダポート6とを有する。
また、油圧コントローラ1は、バルブ装置9(ステアリングバルブ)と、メータリングポンプ10と、リリーフ弁11と、チェック弁12とを有する。
より具体的には、ステアリングホイール13を左右一方に通常操作すると一方の通常操作位置15L,15Rに切り替わり、他方に通常操作すると他方の通常操作位置15L,15Rに切り替わる。また、ステアリングホイール13を左右一方にストロークエンドまで切ると一方のエンド位置16L,16Rに切り替わり他方にストロークエンドまで切ると他方のエンド位置16L,16Rに切り替わる。
前記メータリングポンプ10は、ステアリングホイール13の回転の度合いに応じた油量を計量してステアリングシリンダSに供給するものであり、このメータリングポンプ10はバルブ装置9と連動機構23を介して連動されていて、ステアリングホイール13の回転操作によってバルブ装置9を操作した際の該バルブ装置9の動きに連動して動くように構成されている。
また、例えば、ステアリングホイール13を中立位置から左側に切ると、バルブ装置9は、中立位置14から一方の通常位置15L又は一方のエンド位置16Lに切り替わり、油圧ポンプPからの圧油が一方のメータリング油路19Aを介してメータリングポンプ10に供給され、該メータリングポンプ10から吐出した圧油は、他方のメータリング油路19Bから第2出力路22を経て第2シリンダポート6から出力されて、ステアリングシリンダSの右側油室4Rに供給される。一方、ステアリングシリンダSの左側油室4Lから排出された油は第1出力路21、排油路18、タンクポート3を経てタンクTにドレンされる。これによって、操向輪が左側に操向操作される。
前記チェック弁12は、給油路17と排油路18とを接続する油路に、油圧ポンプPの駆動時は給油路17から排油路18への圧油流通を阻止し、油圧ポンプPの停止時は排油路18から給油路17への圧油流通を許容できるように介装されている。
油圧コントローラ1は、バルブ装置9やリリーフ弁11やチェック弁12等が組み込まれるハウジング24を有する。
油圧コントローラ1のバルブ装置9はロータリバルブからなり、ハウジング24に貫通形成された弁孔25と、この弁孔25内に該弁孔25と同心状で且つ軸心回りに回転自在に配置された筒体(円筒体)からなるスリーブ26と、このスリーブ26内に、該スリーブ26と同心状で且つ軸心回りに相対回転自在に配置されたスプール27とを有する。
ハウジング24には、弁孔25の周囲に該弁孔25に平行な第1〜4油孔28,29,30,31が該ハウジング24の後面から前方に向けて形成されている。
各軸方向流通路32は、前端側において第1連通孔33によって弁孔25に連通し、中途部において第2連通孔34によって連通している。
前記第1油孔28の前方には、該第1油孔28の前端から前方に延びる吸込油路40が形成され、この吸込油路40は第3連通孔41を介して前記第1周溝36に連通している。
第1油孔28は前記チェック弁12より後方側で第4連通孔42を介して第3周溝38に連通している。
図2及び図14に示すように、前記リリーフ弁11は、ハウジング24に形成されたポペット収容孔46(弁体収容孔)と、このポペット収容孔46に収容されたポペット48(弁体)及びリリーフスプリング49とを有し、本実施形態では、該リリーフ弁11はバルブ装置9の回転軸心に沿って設けられている。
から後方に向けて形成されており、前部の低圧室46Aと、この低圧室46Aより径小に形成された中間部の高圧室46Bと、この高圧室46Bより径小に形成された後部の支持孔46Cとから構成されている。このポペット収容孔46の低圧室46Aと高圧室46Bとの境目がシート部47とされている。
リリーフスプリング49は、コイルスプリングによって形成され、プラグ50とポペット48との間に圧縮状に介在され、ポペット48を後方(閉じる方向)に付勢している。このリリーフスプリング49によってリリーフ弁11の設定圧(リリーフ圧)が決定される。
ポペット48は、前後方向(軸方向)に長く形成され、前端側が低圧室46A内に位置し、該前端側にリリーフスプリング49が接当するバネ受け部48Aが設けられている。ポペット48のバネ受け部48Aの後方側には、後方に向けて径小となるテーパ状に形成されていてシート部47に前方から接当する閉止部48Bが形成されている。
また、ポペット48の環状凹部46E後方側はポペット収容孔46の支持孔46C内に前後方向摺動自在に内嵌された摺動支持部48Dとされている。
前記周方向溝111、第1流通孔112及び第2流通孔113とで加圧流路114が形成されている。
この逃し流路116は、ポペット48前面から後方に向けて穿設形成された第1軸方向流路117と、ポペット48の後面から前方に向けて穿設形成された第2軸方向流路118と、これら第1軸方向流路117と第2軸方向流路118とを連通する絞り流路119と、ポペット48の摺動支持部48Dの後部外周面から第2軸方向流路118にかけて穿設形成された径方向流路120とから構成されている。
前記加圧用接続油路121は、支持孔46Cの前部側に形成された周方向の溝によって形成されており、ポペット収容孔46に連通している。
この加圧用接続油路121は、リリーフ弁11の非作動時(ポペット48が閉じている
時)には、前記ポペット48の摺動支持部48Dの周面の周方向溝111前方側によって加圧用接続油路121の端部が塞がれ、また、リリーフ弁11の作動時(ポペット48が開いている時)には、加圧用接続油路121が周方向溝111に連通することにより加圧流路114に連通するよう構成されている。
この逃し用接続油路122は、リリーフ弁11の非作動時には、逃し用接続油路122は前記逃し流路116の径方向流路120に連通し、また、リリーフ弁11の作動時には、逃し流路116の径方向流路120が逃し用接続油路122から前方側に外れてポペット48の摺動支持部48Dの周面で逃し用接続油路122の端部が塞がれるよう構成されている。
スリーブ26の前端側には内外周溝53,54が形成され、これら内外周溝53,54は、スリーブ26に径方向貫通状に形成された第1通路56によって連通されていると共に、前記外周溝54は前記第1周溝36に連通している。
また、スリーブ26には、第1通路56の後方に径方向一対のピン支持孔46C57が径方向貫通状に形成されていると共に、このピン支持孔46C57の後方に、径方向貫通状の第2〜7通路58,59,60,61,62,63が後方に向けて順に形成されている。
また、第2通路58及び第7通路63は径方向一対形成され、第3〜6通路59,60,61,62は周方向に間隔をおいて複数(6つ)形成されている。
このスプール27の前端側には、ハウジング24から前方に突出するように、スプライン軸部65(ステアリングホイール13に連動連結する連結部)が一体形成され、このスプライン軸部65に、ステアリングホイール13と一体回動するハンドル軸が連動連結されていて、ステアリングホイール13の回転操作に連動してスプール27が回転操作されるよう構成されている。
一方のピン支持孔57から他方のピン支持孔57にわたってスプール27の軸心に直交するように配置されたピン67が挿通されている。
ピン支持孔57はピン67と略同径とされていてピン67の端部側が内嵌され、ピン挿通孔66はピン支持孔57に対して径大であり、ピン67とピン挿通孔66との間の隙間分、スプール27とスリーブ26とが相対回転可能とされている。
また、前記ピン67の前方側において、スプール27とスリーブ26とにわたって板ばねからなるセンタリングバネ68が設けられており、スプール27が中立位置からスリーブ26に対して回転したときにセンタリングバネ68が弾性変形し、該センタリングバネ68によってスプール27に対してスリーブ26が中立位置に向けて付勢されて、スリーブ26がスプール27の回転に追従するようになっている。
して形成されている。
スプール27の外周面には、スリーブ26に形成された第3通路59に連通する第5周溝69と、中立時に第4通路60と第5通路61とを連通させる切欠溝70と、スリーブ26に形成された第6通路62に連通する第6周溝71とが形成されている。
スプール27の中空部64内には、該スプール27の軸心に対して傾斜して配置されたシャフト76が配置され、このシャフト76の前端側は二股状に形成され、この二股部77に前記ピン67が挿入されている。
前記メータリングポンプ10はハウジング24の後面側に配置されて該ハウジング24に取付固定されている。
このメータリングポンプ10は、トロコイド歯形の内歯を有するトロコイドステータ81と、このトロコイドステータ81の内歯と噛み合うトロコイド歯形の外歯を有するトロコイドロータ82と、トロコイドステータ81及びトロコイドステータ81の後端側(軸方向一端側)に配置されていて該トロコイドステータ81及びトロコイドステータ81の後端側を塞ぐ端部カバー80とから主構成されたトロコイド式のロータリポンプからなる。
本実施形態では、図10に示すように、トロコイドステータ81の歯数は7であり、トロコイドロータ82歯数は6であり、トロコイドステータ81とトロコイドロータ82との間には容積室83が形成されている。このメータリングポンプ10は、ステアリングホイール13の回転に連動するトロコイドロータ82の自公転運動によりステアリングホイール13の回転に応じた油量を計量(吐出)するようになっている。
ハウジング24の後部、ポートプレート79、トロコイドステータ81及び端部カバー80の外形状は同径の円柱状に形成されている。
トロコイドステータ81、端部カバー80及びポートプレート79は、後方から端部カバー80、トロコイドステータ81及びポートプレート79を貫通してハウジング24に形成されたネジ孔85に螺合された取付ボルト86によってハウジング24に取付固定されている。
前記ポートプレート79には、トロコイドステータ81の各歯底に対応する位置に、前後方向貫通状の入出力ポート87が形成され、各入出力ポート87はハウジング24に形成された前記軸方向流通路32に連通している。したがって、前記軸方向流通路32はトロコイドステータ81の各歯底の数に対応する数形成されている。
したがって、ステアリングホイール13の回転操作によってスプール27が回転動作し、該スプール27の回転動作に追従してスリーブ26が回転すると、ピン67を介してシャフト76が偏心回転運動(すりこぎ運動)してトロコイドロータ82をトロコイドステータ81内で回転させるようになっている。
に圧油が吸入されると共に、他の隣接する3つの入出力ポート87が吐出側となってステアリングシリンダSに対して圧油が出力される。
また、ステアリングホイール13の回転方向に応じてトロコイドロータ82の回転方向が変わることにより、吐出側と吸入側とが逆になる。
前記ハウジング24に形成された前記第1〜4油孔28,29,30,31には、後方から端部カバー80、トロコイドステータ81及びポートプレート79を貫通して各油孔28,29,30,31の後端側に形成した雄ネジに螺合された第1〜4油圧継手89,90,91,92が接続され、第1油圧継手89の後端のポートがポンプポート2とされ、第2油圧継手90の後端のポートがタンクポート3とされ、第3油圧継手91の後端のポートが第1シリンダポート5とされ、第4油圧継手92の後端のポートが第2シリンダポート6とされている。
これによって、ポンプポート2から流入した圧油は、第1油孔28から第4連通孔42及び第3周溝38を経て第4通路60に入り、該第4通路60から第6周溝71、第6通路62、第2連通孔34、軸方向流通路32、入出力ポート87を経てメータリングポンプ10の容積室83に入る。このとき、前述したように隣接する3つの入出力ポート87が吸入側となり、他の隣接する3つの入出力ポート87が吐出側となる。メータリングポンプ10から吐出された圧油は、入出力ポート87、軸方向流通路32、第1連通孔33、第3通路59、第5周溝69、第2通路58、第2周溝37、第7連通孔45、第4油孔31、第4油圧継手92を介して第2シリンダポート6から出力される。
これによって、ポンプポート2から流入した圧油は、第1油孔28から第4連通孔42及び第3周溝38を経て第4通路60に入り、該第4通路60から第5周溝69、第3通路59、第1連通孔33、軸方向流通路32、入出力ポート87を経てメータリングポンプ10の容積室83に入る。
メータリングポンプ10から吐出された圧油は、入出力ポート87、軸方向流通路32、第2連通孔34、第6通路62、第6周溝71、第7通路63、第4周溝39、第6連通孔44、第3油孔30、第3油圧継手91を介して第1シリンダポート5から出力される。
27の中空部64内に至り、この中空部64からピン挿通孔66、内周溝53、第1通路56、外周溝54、第1周溝36、第5連通孔43、第2油孔29、第2油圧継手90等を介してタンクポート3から排出される。
前記トロコイドロータ82の後面中心側には、該トロコイドロータ82の中心を中心とする円形状の凹部93が後方から前方に向けて凹設することで形成されている。この凹部93は、スプライン穴84の歯底円よりも径大に形成されている。
このプラグ部材94とスプライン軸部78との間にはヒラザガネ95が介装されている。
すなわち、プラグ部材94と端部カバー80との間(トロコイドロータ82と端部カバー80との間)には制動圧力室101が形成され、この制動圧力室101に高圧の油圧力が作用すると、プラグ部材94がトロコイドロータ82を前方に押圧し、これによりトロコイドロータ82をポートプレート79に押し付け、摩擦ブレーキ力を発生させる。これによって、ハンドルスリップ現象を軽減させるのである。
また、プラグ部材94の中心側(中央部)には、該プラグ部材94を構成する板材自体を後方に向けて突出させることにより形成された球面状の突部99が設けられている。
前記突部99を圧力(油圧)による押付力の方向に対し逆方向へ突起させるように設けることにより、プレス成形可能な金属板材でプラグ部材94を形成しても、該プラグ部材94の強度を確保することができる。
ラグ部材94によるトロコイドロータ82の押圧に寄与しない部分に形成されているので、プラグ部材94の機能に問題はない。
また、突部99の形状は、球面状に限定されることはなく、例えば、有底円筒状であってもよい。
また、シール材嵌合部96を、プレス加工によってプラグ部材94を構成する板材自体を全周にわたって後方側に凹ませたことにより、押圧部100を背面側からみると、後方から前方に向けて凹んでおり(油溜まり空間が形成され)、該押圧部100と端部カバー80との間が、前記制動圧力室101となっている。
図2、図12、図13に示すように、前記油圧コントローラ1には、リリーフ弁11の非作動時に、制動圧力室101の圧をタンクTに逃す流体流通路126が制動圧力室101とリリーフ弁11とにわたって形成されている。
詳しくは、この流体流通路126は、図12及び図13に示すように、端部カバー80の前面の制動圧力室101に対応する部位から後方に穿設形成された第1流通路127と、この第1流通路127の後端からリリーフ弁11に前後方向で対応する位置にある取付ボルト86へと向けて端部カバー80の径方向外方に延びる第2流通路128と、該取付ボルト86の根元側に形成されていて前記第2流通路128に連通する周溝からなる第3流通路129と、この第3流通路129から該取付ボルト86の軸心に向けて径方向に穿設形成された第4流通路130と、この第4流通路130の取付ボルト86径内側端部から取付ボルト86の先端面(前端面)にまで穿設形成された第5流通路132と、該取付ボルト86が螺合するネジ孔85から前方(ネジ孔85の奥方向)に向けて延長形成されていて前記第5流通路132に連通する第6流通路132と、この第6流通路132の前端(奥部端部)から前方に向けて穿設形成されていて前記ポペット収容孔46に形成された前記逃し用接続油路122及び加圧用接続油路121に連通する第7流通路133と、逃し用接続油路122及び加圧用接続油路121とから構成されている。
通常のステアリング操作時においても、メータリングポンプ10の容積室83から漏れ出てた圧油がトロコイドロータ82と端部カバー80との接当面間を流れて制動圧力室101に侵入するが、本実施形態の油圧コントローラ1にあっては、リリーフ弁11の非作動時においては、流体流通路126が逃し流路116に連通していて制動圧力室101の圧油が流体流通路126から逃し流路116を経てリリーフ弁11の低圧室46Aに流れ、ここからタンクTへと逃げるので、通常のステアリング操作時には制動圧力室101に
高圧の油圧力が作用しない。したがって、通常のステアリング操作時にあっては、トロコイドロータ82にブレーキ力が作用しない。
このハンドルポンプ性能を実現するための部品として、前記チェック弁12のボール102のほか、このボール102の可動域を制限する可動域制限要素103が設けられている。
前記構成の油圧コントローラ1にあっては、リリーフ弁11と制動圧力室101とにわたって流体流通路126を形成するのに、流体流通路126を構成する油路の一部を取付ボルト86に形成しているが、これに限定されることはなく、図15に示すように、流体流通路126を構成する油路の一部をトロコイドステータ、ポートプレート79に直接形成してもよい。
10 メータリングポンプ
11 リリーフ弁
13 ステアリングホイール
14 中立位置
23 連動機構
25 弁孔
26 スリーブ
27 スプール
46 ポペット収容孔
48 ポペット
49 リリーフスプリング
65 連結部
68 センタリングバネ
79 ポートプレート
80 端部カバー
81 トロコイドステータ
82 トロコイドロータ
83 容積室
87 入出力ポート
101 制動圧力室
114 加圧流路
116 逃し流路
121 加圧用接続油路
122 逃し用接続油路
126 流体流通路
S ステアリングシリンダ
T タンク
Claims (3)
- ステアリングホイール(13)によって操作されて圧油の方向を切り替えるバルブ装置(9)と、このバルブ装置(9)と連動機構(23)を介して連動していてステアリングホイール(13)の操作量に対応した量の圧油をステアリングシリンダ(S)に送るべく吐出するメータリングポンプ(10)と、ステアリングシリンダ(S)に送られる圧油の圧力が設定圧以上になると圧油をタンクに逃がすリリーフ弁(11)とを備え、
前記メータリングポンプ(10)は、トロコイド歯形の内歯を有するトロコイドステータ(81)と、このトロコイドステータ(81)の内歯と噛み合うトロコイド歯形の外歯を有するトロコイドロータ(82)と、これらトロコイドステータ(81)及びトロコイドロータ(82)の軸方向一端側に位置する端部カバー(80)とを備え、
前記トロコイドステータ(81)を、前記端部カバー(80)とメータリングポンプ(10)に対する圧油の入出力ポート(87)を有するポートプレート(79)との間に固定し、前記端部カバー(80)とトロコイドロータ(82)との間に制動圧力室(101)を設け、
この制動圧力室(101)と前記リリーフ弁(11)とにわたって設けられていて、リリーフ弁(11)の非作動時に、該リリーフ弁(11)に設けた逃し流路(116)に連通していて該逃し流路(116)を介して制動圧力室(101)の圧をタンク(T)に逃す流体流通路(126)を設け、
前記リリーフ弁(11)は、前記バルブ装置(9)を収容するハウジング(24)に形
成されたポペット収容孔(46)内に、ポペット(48)と、該ポペット(48)を付勢するリリーフスプリング(49)とを収容してなり、前記ポペット(48)に逃し流路(116)を形成し、流体流通路(126)はポペット収容孔(46)に連通する逃し用接続油路(122)を有し、
リリーフ弁(11)の非作動時に、逃し流路(116)が逃し用接続油路(122)に連通することにより流体流通路(126)が逃し流路(116)に連通し、
リリーフ弁(11)の作動時に、ポペット(48)の周面で逃し用接続油路(122)の端部が塞がれることにより流体流通路(126)と前記逃し流路(116)との連通が遮断され且つ流体流通路(126)が該リリーフ弁(11)に設けた加圧流路(114)に連通し、これによりリリーフ弁(11)を作動させる油圧力が加圧流路(114)から流体流通路(126)を経て制動圧力室(101)に送られ、この制動圧力室(101)に作用する油圧力によりトロコイドロータ(82)をポートプレート(79)に押し付けるように構成したことを特徴とする油圧式パワーステアリングシステムの油圧コントローラ。 - 前記流体流通路(126)はポペット収容孔(46)に連通する加圧用接続油路(121)を有し、リリーフ弁(11)の非作動時に、ポペット(48)の周面で加圧用接続油路(121)の端部が塞がれ、リリーフ弁(11)の作動時に加圧用接続油路(121)が加圧流路(114)に連通することを特徴とする請求項1に記載の油圧式パワーステアリングシステムの油圧コントローラ。
- 前記バルブ装置(9)はハウジング(24)に貫通形成された弁孔(25)と、この弁孔(25)内に該弁孔(25)と同心状で且つ軸心回りに回転自在に配置された筒体からなるスリーブ(26)と、このスリーブ(26)内に該スリーブ(26)と同心状で且つ軸心回りに相対回転自在に配置されたスプール(27)と、このスプール(27)とスリーブ(26)とにわたって設けられていてスプール(27)に対してスリーブ(26)を中立位置(14)に向けて付勢するセンタリングバネ(68)とを有してなり、
前記スプール(27)の弁孔(25)一端側にはステアリングホイール(13)に連動連結される連結部(65)が設けられ、スプール(27)の弁孔(25)他端側にポートプレート(79)及びメータリングポンプ(10)が設けられ、ステアリングホイール(13)によってスプール(27)を回転操作することにより、該スプール(27)がスリーブ(26)に対してセンタリングバネ(68)の付勢力に抗して相対回転して圧油の方向が切り替えられるよう構成され、
前記ポペット収容孔(46)が前記ハウジング(24)に前記弁孔(25)と平行状に形成され、前記リリーフスプリング(49)はポペット(48)を弁孔(25)一端から弁孔(25)他端に向けて付勢することを特徴とする請求項1又は2に記載の油圧式パワーステアリングシステムの油圧コントローラ。
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