JP5350336B2 - 油圧式パワーステアリングシステムの油圧コントローラ - Google Patents
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Description
ステアリングホイールの操作時に、ステアリングシリンダがエンドに達した場合、又は、タイヤが障害物により動きを止められた場合、それ以上、ステアリングホイールが回らなくなる。
前記ハンドルスリップ現象を軽減することができる油圧コントローラが特許文献1に開示されている。
したがって、メータリングポンプの容積室の圧油がリークすると、トロコイドロータが動いて連動機構、バルブ装置を介してステアリングホイールが動いてしまう。
この油圧コントローラにあっては、前記プラグ部材とカバーとの間に存在する圧油によりプラグ部材でトロコイドロータを押圧して該トロコイドロータをプレートに押し付けることによりトロコイドロータにブレーキ力を与えるようにしている。
このシール材嵌合部はプラグ部材を構成する厚板材を切削することによって形成されており、プラグ部材は切削加工に不向きな形状であるためコスト高であるという問題がある。
前記プラグ部材94をプレス加工可能な板材によって形成し、
該プラグ部材94の外周縁側に、該外周縁側とトロコイドロータ82との間に介在する環状のシール材97を嵌合させる環状のシール材嵌合部96を、該プラグ部材94を構成する板材をプレス加工によって凹ませることにより形成したことを特徴とする。
また、前記バルブ装置9をステアリングホイール13の回転操作によって回転操作されるロータリバルブによって構成し、連動機構23はバルブ装置9の回転動作に連動してトロコイドロータ82を回転させるためのシャフト76を備え、このシャフト76は、トロコイドロータ82の中心側に形成されたスプライン穴84にスプライン嵌合するスプライン軸部78を有し、プラグ部材94を前記スプライン穴84を塞ぐように設け、前記シール材嵌合部96をスプライン穴84の歯底円より径外側に位置するように設け、前記突部99をプラグ部材94の中心側に形成し、プラグ部材94はシール材嵌合部96と突部99との間でトロコイドロータ82を押圧するように構成するのがよい。
図1〜8,図11において、符号1は、車両の全油圧式パワーステアリングシステムに採用される油圧コントローラ(パワステコントローラ)である。
先ず、この油圧コントローラ1を、図11の油圧回路を参照して概略説明する。
油圧コントローラ1は、油圧ポンプPからの圧油を入力するポンプポート2と、圧油をタンクTへと排出するためのタンクポート3と、ステアリングシリンダSの左側油室4Lに油圧ホース等の油圧管路を介して接続される第1シリンダポート5と、ステアリングシリンダSの右側油室4Rに油圧ホース等の油圧管路を介して接続される第2シリンダポート6とを有する。
また、油圧コントローラ1は、バルブ装置9(ステアリングバルブ)と、メータリングポンプ10と、リリーフ弁11と、チェック弁12とを有する。
より具体的には、ステアリングホイール13を左右一方に通常操作すると一方の通常操作位置15L,15Rに切り替わり、他方に通常操作すると他方の通常操作位置15L,15Rに切り替わる。また、ステアリングホイール13を左右一方にストロークエンドまで切ると一方のエンド位置16L,16Rに切り替わり他方にストロークエンドまで切ると他方のエンド位置16L,16Rに切り替わる。
前記メータリングポンプ10は、ステアリングホイール13の回転の度合いに応じた油量を計量してステアリングシリンダSに供給するものであり、このメータリングポンプ10はバルブ装置9と連動機構23を介して連動されていて、ステアリングホイール13の回転操作によってバルブ装置9を操作した際の該バルブ装置9の動きに連動して動くように構成されている。
また、例えば、ステアリングホイール13を中立位置から左側に切ると、バルブ装置9は、中立位置14から一方の通常位置15L又は一方のエンド位置16Lに切り替わり、油圧ポンプPからの圧油が一方のメータリング油路19Aを介してメータリングポンプ10に供給され、該メータリングポンプ10から吐出した圧油は、他方のメータリング油路19Bから第2出力路22を経て第2シリンダポート6から出力されて、ステアリングシリンダSの右側油室4Rに供給される。一方、ステアリングシリンダSの左側油室4Lから排出された油は第1出力路21、排油路18、タンクポート3を経てタンクTドレンされる。これによって、操向輪が左側に操向操作される。
前記チェック弁12は、給油路17と排油路18とを接続する油路に、油圧ポンプPの駆動時は給油路17から排油路18への圧油流通を阻止し、油圧ポンプP停止時は排油路18から給油路17への圧油流通を許容できるように介装されている。
油圧コントローラ1のバルブ装置9はロータリバルブからなり、バルブボディ24に貫通形成された弁孔25内に、該弁孔25と同心状で且つ軸心回りに回転自在に配置された筒体からなるスリーブ26と、このスリーブ26内に、該スリーブ26と同心状で且つ軸心回りに相対回転自在に配置されたスプール27とを有する。
バルブボディ24には、弁孔25に平行な第1〜4油孔28,29,30,31が該バルブボディ24の後面から前方に向けて形成されている。
各軸方向流通路32は、前端側において第1連通孔33によって弁孔25に連通し、中途部において第2連通孔34によって連通している。
前記第1油孔28の前方には、該第1油孔28の前端から前方に延びる吸込油路40が形成され、この吸込油路40は第3連通孔41を介して前記第1周溝36に連通している。
第1油孔28は前記チェック弁12より後方側で第4連通孔42を介して第3周溝38に連通している。
また、バルブボディ24には、前記リリーフ弁11が組み込まれている。
このリリーフ弁11は、バルブボディ24の前面から後方に向けて形成された第1装着孔46と、この第1装着孔46より径小に形成されていて該第1装着孔46から後方に延びる第2装着孔47と、第2装着孔47に前方側から挿入されたポペット48と、ポペット48を後方に付勢するように第1装着孔46内に設けられたスプリング49とを有する。
第1装着孔46は第8連通孔51を介して第1周溝36に連通され、第2装着孔47は第9連通孔52を介して第3周溝38に連通している。
スリーブ26の前端側には内外周溝53,54が形成され、これら内外周溝53,54は、スリーブ26に径方向貫通状に形成された第1通路56によって連通されていると共に、前記外周溝54は前記第1周溝36に連通している。
また、スリーブ26には、第1通路56の後方に径方向一対のピン支持孔57が径方向貫通状に形成されていると共に、このピン支持孔57の後方に、径方向貫通状の第2〜7通路58,59,60,61,62,63が後方に向けて順に形成されている。
また、第2通路58及び第7通路63は径方向一対形成され、第3〜6通路59,60,61,62は周方向に間隔をおいて複数(6つ)形成されている。
このスプール27の前端側には、バルブボディ24から前方に突出するように、スプライン軸部65が一体形成され、このスプライン軸部65に、ステアリングホイール13と一体回動するハンドル軸が連動連結されていて、ステアリングホイール13の回転操作に連動してスプール27が回転操作されるよう構成されている。
一方のピン支持孔57から他方のピン支持孔57にわたってスプール27の軸心に直交するように配置されたピン67が挿通されている。
ピン支持孔57はピンと略同径とされてピン67の端部側が内嵌され、ピン挿通孔66はピン支持孔57に対して径大であり、ピン67とピン挿通孔66との間の隙間分スプール27とスリーブ26とが相対回転可能とされている。
また、前記ピン67の前方側において、スプール27とスリーブ26とにわたって板ばねからなるセンタリングバネ68が設けられており、スプール27が中立位置からスリーブ26に対して回転したときにセンタリングバネ68が弾性変形し、該センタリングバネ68によってスプール27に対してスリーブ26が中立位置に向けて付勢されて、スリーブ26がスプール27の回転に追従するようになっている。
スプール27の外周面には、スリーブ26に形成された第3通路59に連通する第5周溝69と、中立時に第4通路60と第5通路61とを連通させる切欠溝70と、スリーブ26に形成された第6通路62に連通する第6周溝71とが形成されている。
スプール27の中空部64内には、該スプール27の軸心に対して傾斜して配置されたシャフト76が配置され、このシャフト76の前端側は二股状に形成され、この二股部77に前記ピン67が挿入されている。
前記メータリングポンプ10はバルブボディ24の後面側に取付固定されている。
このメータリングポンプ10とバルブボディ24との間にはプレート79が介装され、メータリングポンプ10の後面側にはカバー80が配置されている。
本実施形態では、トロコイドステータ81の歯数は7であり、トロコイドロータ82歯数は6であり、トロコイドステータ81とトロコイドロータ82との間には容積室83が形成されている。このメータリングポンプ10は、ステアリングホイール13の回転に連動するトロコイドロータ82の自公転運動によりステアリングホイール13の回転に応じた油量を計量(吐出)するようになっている。
バルブボディ24の後部、プレート79、トロコイドステータ81及びカバー80の外形状は同径の円柱状に形成されている。
トロコイドステータ81、カバー80及びプレート79は、後方からカバー80、トロコイドステータ81及びプレート79を貫通してバルブボディ24に形成されたネジ孔85に螺合されたボルト86によってバルブボディ24に取付固定されている。
また、プレート79の中心側には前記シャフト76の後端側を挿通させるためのシャフト挿通孔88が形成され、シャフト76後端側のスプライン軸部78はトロコイドロータ82のスプライン穴84とスプライン嵌合している。
そして、ステアリングホイール13の回転操作量に連動してトロコイドロータ82が回転すると、隣接する3つの入出力ポート87が吸入側となってメータリングポンプ10内に圧油が吸入されると共に、他の隣接する3つの入出力ポート87が吐出側となってステアリングシリンダSに対して圧油が出力される。
前記ピン67とシャフト76によって、メータリングポンプ10とバルブ装置9と連動する前記連動機構23が構成されている。
前記バルブボディ24に形成された前記第1〜4油孔28,29,30,31には、後方からカバー80、トロコイドステータ81及びプレート79を貫通して各油孔28,29,30,31の後端側に形成した雄ネジに螺合された第1〜4油圧継手89,90,91,92が接続され、第1油圧継手89の後端のポートがポンプポート2とされ、第2油圧継手90の後端のポートがタンクポート3とされ、第3油圧継手91の後端のポートが第1シリンダポート5とされ、第4油圧継手92の後端のポートが第2シリンダポート6とされている。
これによって、ポンプポート2からの圧油は、第4通路60から第6周溝71、第6通路62、第2連通孔34、軸方向流通路32、入出力ポート87を経てメータリングポンプ10の容積室83に入る。このとき、前述したように隣接する3つの入出力ポート87が吸入側となり、他の隣接する3つの入出力ポート87が吐出側となる。メータリングポンプ10から吐出された圧油は、入出力ポート87、軸方向流通路32、第1連通孔33、第3通路59、第5周溝69、第2通路58、第2周溝37、第7連通孔45、第4油孔31、第4油圧継手92を介して第2シリンダポート6から出力される。
また、ステアリングホイール13を右に切ったときは、スプール27の外周面に形成された油溝によって第4通路60が第5周溝69に連通し、他の油溝によって第6周溝71が第7通路63に連通する。
すなわち、ステアリングホイール13を左に切ったときに対して、吸入側と吐出側とが逆転する。
このとき、ステアリングシリンダSからの戻りの油は第2シリンダポート6、第4油穴31、第7連通孔45、第2周溝37、第2通路58、第1逃し孔72を介してスプール27の中空部64内に至り、ここからタンクポート3へと流れる。
この凹部93内には、スプライン穴84を後方から塞ぐように正面視円形状のプラグ部材94が設けられている。このプラグ部材94は、プレス加工可能な金属板材からなり、凹部93の内径と略同じ外径に形成されている。
また、このプラグ部材94は、ステアリングシリンダSがエンドに達した場合や、タイヤが障害物により動きを止められた場合において、油圧コントローラ1の構成部品の圧油の漏れによってステアリングホイール13が少しずつ回転してしまうという、ハンドルスリップ現象を軽減すべくトロコイドロータ82にブレーキ力を与える役目を有する。
そして、ステアリングホイール13の操作時に、ステアリングシリンダSがエンドに達した場合、又は、タイヤが障害物により動きを止められた場合などにおいて、油圧コントローラ1のリリーフ弁11が開き、この油圧リリーフ時に、プラグ部材94の背面の油の圧が高圧となり、この圧油によってプラグ部材94が前方に押圧されることにより、該プラグ部材94がトロコイドロータ82をプレート79に押し付け、摩擦ブレーキ力を発生させる。これによって、ハンドルスリップ現象を軽減させるのである。
また、プラグ部材94の中心側(中央部)には、該プラグ部材94を構成する板材自体を後方に向けて突出させることにより形成された球面状の突部99が設けられている。
前記突部99を圧力(油圧)による押付力の方向に対し逆方向へ突起させるように設けることにより、プレス成形可能な金属板材でプラグ部材94を形成しても、該プラグ部材94の強度を確保することができる。
また、突部99の形状は、球面状に限定されることはなく、例えば、有底円筒状であってもよい。
また、シール材嵌合部96を、プレス加工によってプラグ部材94を構成する板材自体を全周にわたって後方側に凹ませたことにより、押圧部100を背面側からみると、後方から前方に向けて凹んでおり(油溜まり空間が形成され)、該押圧部100とカバー80との間が、メータリングポンプ10の容積室83から漏れ出てトロコイドロータ82とカバー80との接当面間を流れる圧油が侵入する圧力室101となっている。
シール材嵌合部96の後面はカバー80に接当しており、突部99の後端部は、本実施形態では、カバー80に接触していなく、若干隙間がある。なお、突部99の後端部はカバー80に接触するように構成されていてもよい。
前記油圧コントローラ1にあっては、エンジンOFF時などにおいて、油圧ポンプPからの圧油の供給がなくなった際にも、ステアリングホイール13が動作するように、タンクT側の油を吸込油路40からチェック弁12を介して第1油孔28に流すことのできるハンドルポンプ性能を備えている。
この可動域制限要素103は、バルブボディ24の外周面から第1油孔28へと向けて形成され且つチェック弁12の後方近傍に形成されたネジ穴104にねじ込まれるネジ部材105と、このネジ部材105に固定されていて第1油孔28内に挿入され且つボール102の後方近傍に位置する棒状の制限部材106とから構成されている。
(1)プレートは拘束されていないため、流体脈動や混入エア等の影響により該プレートが暴れ、摩耗を起こし、ボール102と第1油孔28の内面との間に入り込み、最終的にチェック弁12がチェック弁12としての機能を果たせなくなる。
(2)プレートはボール102と第1油圧継手89との間に位置するので、通常作動時において、プレートの向きや傾きによって圧力損失が大きく変化する惧れがある。
本実施形態の油圧コントローラ1に採用された可動域制限要素103にあっては、ボール102と第1油孔28との間に入り込むことがなく、また、向きや傾きによる通常作動時の圧力損失の変動がなく、第1油孔28内のボール102と第1油圧継手89との間に長く存在しないので、通常作動時の圧力損失自体も小さくなる。
10 メータリングポンプ
13 ステアリングホイール
23 連動機構
76 シャフト
78 スプライン軸部
79 プレート
80 カバー
81 トロコイドステータ
82 トロコイドロータ
84 スプライン穴
87 入出力ポート
94 プラグ部材
96 シール材嵌合部
97 シール材
99 突部
S ステアリングシリンダ
Claims (4)
- ステアリングホイール(13)によって操作されて圧油の方向を切り替えるバルブ装置(9)を備え、このバルブ装置(9)と連動機構(23)を介して連動していてステアリングホイール(13)の操作量に対応した量の圧油をステアリングシリンダ(S)に送るべく吐出するメータリングポンプ(10)を備え、このメータリングポンプ(10)は、トロコイド歯形の内歯を有するトロコイドステータ(81)と、このトロコイドステータ(81)の内歯と噛み合うトロコイド歯形の外歯を有するトロコイドロータ(82)とを備え、前記トロコイドステータ(81)を、メータリングポンプ(10)に対する圧油の入出力ポート(87)を有するプレート(79)と、メータリングポンプ(10)のカバー(80)との間に固定し、前記カバー(80)とトロコイドロータ(82)との間にプラグ部材(94)を設け、前記プラグ部材(94)とカバー(80)との間に存在する圧油によりプラグ部材(94)でトロコイドロータ(82)を押圧して該トロコイドロータ(82)をプレート(79)に押し付けることによりトロコイドロータ(82)にブレーキ力を与えるようにした油圧式パワーステアリングシステムの油圧コントローラにおいて、
前記プラグ部材(94)をプレス加工可能な板材によって形成し、
該プラグ部材(94)の外周縁側に、該外周縁側とトロコイドロータ(82)との間に介在する環状のシール材(97)を嵌合させる環状のシール材嵌合部(96)を、該プラグ部材(94)を構成する板材をプレス加工によって凹ませることにより形成したことを特徴とする油圧式パワーステアリングシステムの油圧コントローラ。 - 前記プラグ部材(94)に、トロコイドロータ(82)側からカバー(80)側に向けて突出する突部(99)を、プラグ部材(94)を構成する板材をプレス加工することによって形成したことを特徴とする請求項1に記載の油圧式パワーステアリングシステムの油圧コントローラ。
- 前記バルブ装置(9)をステアリングホイール(13)の回転操作によって回転操作されるロータリバルブによって構成し、連動機構(23)はバルブ装置(9)の回転動作に連動してトロコイドロータ(82)を回転させるためのシャフト(76)を備え、このシャフト(76)は、トロコイドロータ(82)の中心側に形成されたスプライン穴(84)にスプライン嵌合するスプライン軸部(78)を有し、プラグ部材(94)を前記スプライン穴(84)を塞ぐように設け、前記シール材嵌合部(96)をスプライン穴(84)の歯底円より径外側に位置するように設け、前記突部(99)をプラグ部材(94)の中心側に形成し、プラグ部材(94)はシール材嵌合部(96)と突部(99)との間でトロコイドロータ(82)を押圧するように構成していることを特徴とする請求項2に記載の油圧式パワーステアリングシステムの油圧コントローラ。
- 前記環状のシール材嵌合部(96)は、該プラグ部材(94)を構成する板材をトロコイドロータ(82)側からカバー(80)側に向けて凹ませることにより形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油圧式パワーステアリングシステムの油圧コントローラ。
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