JP5527645B2 - 鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主に船舶、橋梁、建築、建設機械などの鋼構造物で使用される鋼材の製造方法に関し、特に窒素含有量の高い鋼板とその製造方法に関するものである。
近年、鋼構造物の軽量化に資する鋼材の高靭性高張力化が求められる中、鋼材の組織微細化によって諸特性の向上を図ることを目的に、従来から微細組織を有する鋼材の製造方法が開発されてきた。
特許文献1に記載の製造方法は、550℃〜(Ac1変態点+30℃)の温度で1パスの圧下率が30%以上で歪速度0.1/秒以上の圧延を行うことを提案している。
特許文献2に記載の製造方法は、(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満の温度で35〜60%の1パス圧延を行うことを提案している。
特許文献3記載の製造方法は、700℃超、Ac3変態点以下の温度で圧下率30%以上の圧延を行うことを提案している。
特許文献4に記載の製造方法は、(Ac1変態点−100℃)以上の温度から熱間加工を開始又は再開して、(Ac3変態点−100℃)〜Ac3変態点の範囲で熱間加工を終了し、引き続いて当該表層領域をAc3変態点以上に復熱させることなく冷却することを提案している。
しかし、前記いずれの文献に示された鋼の窒素含有量は、0.0022質量%以下と不可避的範囲内のもでしかなく、窒素が多量に含有されている鋼板における微細粒化の先例はなかった。
窒素が多量に含有される鋼としてはリサイクル鉄を用いた物が一般に知られており、これらをその窒素含有量や炭素含有量故に、高性能鋼に用いることは避けられてきたのが現状である。
本発明は、このような実情に鑑み、高濃度に窒素を含有する鋼板でも、高性能鋼板として利用できることを明らかにすることを目的とする。

本発明の鋼板の製造方法は、フェライト粒径4μm以下の等軸微細粒組織からなる鋼板の製造方法であって、化学成分組成が、質量%で
C:5×10−2〜2×10−1
Si:1×10−1〜5×10−1
Mn:6×10−1〜2、
P:2.5×10−2以下、
S:1.5×10−2以下、
Al:1×10−2〜6×10−2、N:8×10−3〜3×10−2であって、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼片をAc3変態点以上1150℃以下にて1パス当たりの圧下率が10%以上で各パス間時間が30秒以内であって累積圧下率が10%以上の圧下をすることからなる圧延Aを施し、次に3℃/秒以上50℃/秒以下の冷却速度でAr1変態点以下の温度に冷却し、そして、0.5℃/秒以上50℃/秒以下の加熱速度でAc1変態点以上で{Ac1変態点+0.5(Ac3変態点−Ac1変態点)}以下に加熱して、0.1/秒以上200/秒以下の歪速度で1パス当たりの圧下率が35%以上の圧延を、累積圧下率が60%以上になるまで各パス間時間を20秒以内にして繰り返し行う圧延Bを施し、当該圧延直後に、0.5℃/秒以上の加熱温度で{Ac1変態点+0.9(Ac3変態点−Ac1変態点)}以下に再加熱し、その後、3℃/秒以上50℃/秒以下の冷却速度で500℃以下まで冷却することを特徴とする。

本発明の鋼板の製造方法において、好ましくは、前記鋼片は、リサイクル鉄を用いて電気炉溶製法により溶製されたものであるとよい。
本発明の鋼板の製造方法において、好ましくは、前記鋼板は−40℃におけるシャルピー衝撃試験におけるセパレーション指数(SI値)が、0.13以下であるとよい。 本発明の鋼板の製造方法において、好ましくは、前記鋼板の厚さが5mm以上であるとよい。
本発明の鋼板は、リサイクル鉄などを用いた窒素高含有鋼であっても、等軸微細粒組織という高機能鋼板とすることができたものであり、また、得られた鋼板は、当該組織を有するが故に優れた等方性靭性を有することとなった。
その製法においても、上述した通り、窒素が高含有量の鋼片から、比較的低圧下で等軸微細粒組織を有する鋼板が製造可能である。その為、低温大歪加工を回避するでき、圧延設備への大規模な投資が不要である他に、溶鋼を一切脱窒のための精錬処理を施す必要がない。また、船舶、橋梁、建築、建設機械などの鋼構造物で使用される板厚5mm以上の厚鋼板の製造ができる。そして、製造された厚鋼板は、シャルピー衝撃特性の異方性の原因となるセパレーションが生じにくい。更に、等軸かつ細粒な組織を得るための圧延Bと再加熱のそれぞれの役割が明確になったことで、加工熱処理の一つの指針を提供できた。
本発明の鋼板は、窒素が8×10−3質量%以上含有されていながら、平均フェライト粒径4μm以下の等軸微細粒組織からなるものである。
通常通り、等軸とは、結晶粒のアスペクト比3.0以下であることを意味する。
アスペクト比と平均フェライト結晶粒径は、鋼板の圧延方向断面で計測した結果である。
本発明の鋼板は、フェライトが主体であり、C含有量が高い場合でもパーライト分率は10体積%以下である。
窒素含有量については、3×10−2質量%以下、好ましくは2×10−2質量%以下とするのが望ましい。
これを超えた量含有されていると靭性の劣化が起こる。
また、フェライト粒径は平均値であって、下記する製法では、0.5μm以上、好ましくは1.0μm以上とするのが実際的である。
また、−40℃におけるシャルピー衝撃試験におけるセパレーション指数(SI値)が、0.13以下とするのが望ましい。
鋼板の厚さも5mm以上より好ましくは 10mm以上とするのが望ましい。
下記実施例では、実験のために2.5mm厚に圧延したが、その実施例の鋼に記載の方法で、5mm以上の厚さの厚板を容易に創生できるとともに、この各実施例で示した特性と同様に特性を有することとなる。
前記鋼板の製造方法は、高窒素であるが故に生じる圧延上の問題を、加熱、冷却及び圧延を合理的に組み合わせて達成したものである。
具体的には、窒素が8×10−3質量%以上含有されている鋼片をAc3変態点以上1150℃以下にて10%以上の圧下率で圧延する圧延Aを施し、次に3℃/秒以上の冷却速度でAr1変態点以下の温度に冷却し、そして、0.5℃/秒以上50℃/秒以下の加熱速度でAc1変態点以上で{Ac1変態点+0.5(Ac3変態点−Ac1変態点)}以下に加熱して、0.1/秒以上200/秒以下の歪速度で1パス当たりの圧下率が35%以上の圧延を、累積圧下率が60%以上になるまで各パス間時間を20秒以内にして繰り返し行う圧延Bを施し、当該圧延直後に、0.5℃/秒以上の加熱温度で{Ac1変態点+0.9(Ac3変態点−Ac1変態点)}以下に再加熱し、その後、3℃/秒以上50℃/秒以下の冷却速度で500℃以下まで冷却することによる。
<圧延Aの諸条件>
圧延A前の加熱温度をAc3変態点以上とするのは、十分なγ相を得ることにより、粗大な鋳造組織を残存させないためである。加熱温度を1150℃以下とするのは、γ相粒径が粒成長によって粗大化するのを防ぐためである。
圧延Aの圧下率を10%以上とするのは、α相核生成サイトを十分確保して、細粒化を促進するためである。圧延Aの圧下率の上限値は特に指定しないが、現状の圧延設備能力を考慮すれば、50%以下とするのが現実的である。
圧延Aを2パス以上で行う場合は、一回の圧下でγ相に蓄えられた歪が回復するのを防ぎ、α相核生成サイトを十分確保して、細粒化を促進するためには、パス間時間を30秒以内とするのが適切である。
圧延Aの圧下率を10%以上とするのは、α相核生成サイトを十分確保して、細粒化を促進するためである。圧延Aの累積圧下率の上限値は特に指定しないが、本発明は、板厚5mm以上の厚鋼板を対象としており、圧延Bのための板厚を確保するためには、70%以下とするのが現実的である。
<圧延Aと圧延Bとの間の冷却>
圧延A後の冷却速度を3℃/秒以上とするのは、圧下後の鋼片組織が粒成長によって粗大化するのを防ぐためである。冷却速度を50℃/秒以下とするのは、5mm以上の厚鋼板製造の場合、板厚全体の熱履歴に極端な差異を与えることを防ぐためである。また、冷却温度をAr1変態点以下とするのは、旧γ相からのα相変態を完了させて、細粒化に寄与しない旧γ相を残存させないためである。この意味において、圧延A後の冷却温度の下限値は特に指定しないが、500℃未満の温度まで冷却した場合、圧延B前の加熱に消費するエネルギーが過大となるため、500℃以上とするのがより好ましい。
<圧延Bの諸条件>
圧延B前の加熱速度を0.5℃/秒以上の高速とするのは、α相が粒成長により粗大化するのを防ぐためである。この意味では特に上限を規定しないが、加熱速度を50℃/秒以下とするのは、現状の加熱設備の限界からすれば、50℃/秒がその上限と考えられる。圧延B開示時の加熱温度をAc1変態点以上とするのは、圧延Bの変形抵抗を小さくするためである。またその加熱温度の上限を{Ac1変態点+0.5(Ac3変態点−Ac1変態点)}とするのは、圧延Bの歪が加わるα相を十分確保すると同時に、α相への加工歪導入促進に必要なγ相を十分確保することで、細粒化を促進するためである。
また、圧延Bの歪速度を0.1/秒以上とするのは、圧延に要する時間が長すぎて、圧延中に加えたはずの転位が回復してしまい、多数の転位を導入することができず、α相に動的再結晶が生じたとしても微細な結晶粒を得られないからである。圧延Bの歪速度を200/秒以下とするのは、α相の動的再結晶の発生を確保して、細粒化を促進するためである。
圧延Bの1パス当たりの圧下率を35%以上とするのは、α相の再結晶サイトやγ相の析出サイトを十分確保して、細粒化を促進するためである。圧延Bの1パス当たりの圧下率の上限値は特に指定しないが、現状の圧延設備能力を考慮すれば、50%以下とするのが現実的である。
圧延Bのパス間時間を20秒以内とするのは、圧下でα相に蓄えられた歪が回復するのを防ぎ、α相の再結晶サイトやγ相の析出サイトを十分確保して、細粒化を促進するためである。
圧延Bの累積圧下率を60%以上とするのは、α相の再結晶サイトやγ相の析出サイトを十分確保して、細粒化を促進するためである。
<圧延B後の再加熱と冷却>
再加熱速度を0.5℃/秒以上とするのは、α相やγ相が粒成長により粗大化するのを防ぐためである。
再加熱温度を(Ac1変態点+0.9(Ac3変態点−Ac1変態点))以下とするのは、γ相が支配的になり、γ相が粒成長により粗大化するのを防ぐためである。
また、鋼板の内部エネルギーによる再加熱では、加熱速度の制御及び板厚全体にわたる加熱が困難な場合があるので加熱炉や誘導加熱機器などによる外部エネルギーによって再加熱するのが望ましい。この再加熱が完了したら、γ相が粒成長により粗大化することとなるので、できるだけ速やかに次の冷却処理にはいるのが望ましい。再加熱の完了と次の冷却開始までの時間は、90秒以下、好ましくは60秒以下、より好ましくは30秒以下とするのが望ましい。
再加熱後の冷却処理の最初は、所定の冷却速度で冷却することから始まる。この冷却は、γ相が粒成長により粗大化するのを防ぐことを目的にしたもので、冷却速度を3℃/秒以上とするのが望ましい。
冷却速度を速くすればするほど、γ相が粒成長により粗大化するのを確実に防ぐこととなるが、速度が過剰になるとマルテンサイト組織やベイナイト組織が旧γ相粒径を引き継いで生じるため、細粒化に寄与しないと同時に、靭性が低下するためである。
このため、冷却速度は、50℃/秒以下とするのが望ましい。
また、鋼板の厚さが5mm以上であると全体の熱履歴に極端な差異を与えるおそれがあるので、これを防ぐにも、上記冷却速度の上限は有効なものである。
そして、冷却処理の終了時点での温度を500℃以下するのが望ましい。冷却処理の終了時点での温度が高すぎると、旧γ粒からのα変態が未完了となり、旧γ粒を残存させることとなる。
<前記製法に使用する鋼片>
前記鋼板の製造方法において、化学成分組成が、質量%でC:5×10−2〜2×10−1、Si:1×10−1〜5×10−1、Mn:6×10−1〜2、P:2.5×10−2以下、S:1.5×10−2以下、Al:1×10−2〜6×10−2、N:4×10−3〜3×10−2であって、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼片を用いるのが望ましい。
Cの含有量を5×10−2質量%以上としたのは、鋼の強度を確保するためである。Cの含有量を2×10−1質量%以下としたのは、溶接性能低下を防止するためである。
Siの含有量を1×10−1質量%以上としたのは、脱酸元素として、また鋼の強化元素としての性能を確保するためである。Siの含有量を5×10−1質量%以下としたのは、鋼の表面性状を損なって、溶接性能が低下するのを防止するためであり、また靭性の低下を防止するためである。
Mnの含有量を6×10−1質量%以上としたのは、鋼の焼入性を増大させることで強度を高めると同時に、靭性の向上にも寄与する性能を確保するためである。Mnの含有量を2質量%以下としたのは、溶接性や加工性の劣化を防ぐためである。
Alの含有量を1×10−2質量%以上としたのは、脱酸元素としての性能を確保するためである。Alの含有量を6×10−2質量%以下としたのは、鋼の溶接性が劣化するのを防ぐためである。
PやSは、鋼の延性や靭性を劣化させるものであるが、必要以上に低減することは経済性に支障をきたすため、許容量として、Pは0.025質量%以下、Sは0.015質量%以下とした。
Nの含有量は、リサイクル鉄(例えば、解撤された船舶から発生した鋼材)を主原料とした電気炉溶製鋼、特に、脱窒処理を一切施さない溶鋼から製造された鋼片を用いる場合、リサイクル鉄が50質量%の場合は、4×10−3質量%含まれるのが通常であるからこれを加減とした。より多くのリサイクル鉄を用いるのがリサイクル鉄使用の経済性効果を生かすためには有効であり、8×10−3質量%以上、好ましくは1×10−2質量%以上とするのが望ましいが、鋼の靭性劣化を防ぐためには、3×10−2質量%以下、好ましくは2×10−2質量%以下とするのが望ましい。本発明は、上述した溶鋼をいかなる鋳造条件で鋳造された鋼片についても有効であるので、特に鋳造条件を特定する必要はないが、連続鋳造が最も一般的である。そして鋼片の製造方法に関しても、厚板用連続鋳造スラブが望ましいが、設備上の都合により鋼塊に鋳造後、分解圧延によりスラブを製造してもよい。
圧延A前の加熱温度をAc3変態点以上とするのは、十分なγ相を得ることにより、粗大な鋳造組織を残存させないためである。加熱温度を1150℃以下とするのは、γ相粒径が粒成長によって粗大化するのを防ぐためである。
なお、本願発明は、主に船舶、橋梁、建築、建設機械などの鋼構造物で使用される厚鋼板の製造方法であることを考慮し、TSを高く確保し、しかも降伏比=YS/TSは低い方が望ましい。そこで、機械的特性値としては、例えばJIS S15CK で規定されている水準である、引張強さ(TS)≧490MPa、降伏点(YP)≧343MPa、全伸び(El)≧20%を満たすことが望ましく、降伏比(YP/TS)≦75%であることが一層望ましい。また、シャルピー衝撃特性としては、上部棚エネルギー(USE)≧150J/cmであることが望ましい。
以下、実施例を挙げて本発明の有効性を具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記発明を実証するための形態に記載の範囲で適当に変更を加えて実施することももちろん可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
第一の実施例は、加工熱処理再現装置を用いて実施した。この実施例に用いた試供鋼は、表1の成分符号Aに示す化学成分組成を有する鋼片から切り出したφ8×12mmの円柱片である。この実施例の製造条件は、表2に示す通りであり、圧下時の歪速度は圧延A及び圧延Bのいずれにおいても10/秒とした。
最初に高さ12mmの円柱片を使用する加工熱処理再現装置では、最終的に5mm以上の板厚を得ることはできないが、これは、熱加工シミュレータによる実験を記述したものであり、これと同じ熱加工のプロセスを厚板の製造に適用すればよい。即ち、圧下率を相当歪みとみなすことができるので、この第一の実施例においてスタート材の厚さを24mmとして、圧延Aおける累積圧下率を30%とし、更に圧延Bによる累積圧下率を70%とすれば、板厚が5mmの厚鋼板を製造することができることになる。従って、スタート材の厚さを24mm以上とすれば、5mm以上の板厚の鋼板を製造することができる。なお、圧延Bにおける累積圧下率は、45%+45%の2パス圧延では69.7%となり、33%+33%+33%の3パス圧延では69.9%となる。
表2には、各実施例及び各比較例において得られた試験片のミクロ組織観察結果も併せて示す。ここで平均フェライト結晶粒径dμmは、走査型電子顕微鏡による電子後方散乱回折(SEM/EBSD)で試験片の中央部中心付近L方向断面の長方形領域の視野Sμm内にある粒界角度15°以上の粒界に囲まれた結晶の数(視野の枠に掛かる結晶数Ne、視野の枠に掛からない結晶数Nc)から円相当径と仮定した計算(式1)によって求めた。
<式1>


実施例1〜実施例4は、本発明の範囲内の試験例であり、比較例1〜比較例11は、本発明の範囲外の試験例である。
比較例1〜比較例3は、再加熱を加えなかった比較例であり、そのためにα相の再結晶やγ相の析出による等軸化が進行せず粒形状が扁平化した。
比較例4及び比較例5は、圧延B後の加熱温度(表2記載の再加熱終了温度に相当)を{Ac1変態点+0.9(Ac3変態点−Ac1変態点)}以上とした比較例であり、そのために粒成長によって粒径が粗大化した。ここで、表1に記載のAc1変態点(725℃)及びAc3変態点(890℃)により、
Ac1変態点+0.9(Ac3変態点−Ac1変態点)=873.5℃
である。
比較例6〜比較例10は、圧延B後の加熱(表2記載の再加熱に相当)後の保持時間を90秒以上とした比較例であり、そのために粒成長によって1パス圧下率が70%の比較例6は粒形状が扁平化し、その他の鋼は粒径が粗大化した。
比較例11は、圧延Bの圧下率を35%以下とした比較例であり、そのために十分なα相の再結晶サイトやγ相の析出サイトを確保することができず粒形状が扁平化した。
〔II〕第二の実施例
第二の実施例は、実験室規模の圧延設備を用いて実施した。圧延設備の性能は、ロール直径400mm、最大荷重300t、最大速度30m/分である。供試鋼は、表1の成分符号Bに示す化学成分組成を有する鋼片から60mm幅×50mm厚×300mm長の大きさに作製したものである。この第二の実施例の製造条件は、表3に示すとおりであり、圧下時の歪速度は圧延A及び圧延Bのいずれにおいても1〜2/秒とした。
表3及び表4には、ミクロ組織観察の結果と機械的特性を示す。
平均フェライト結晶粒径は、切片法(板厚中心付近の2×1mm程度のL方向断面の長方形領域に縦横4本ずつの任意の直線を引き、各直線の長さを直線と結晶粒界の交点数で割った値の平均値)で測定した。表中のセパレーション指数(SI値)は、−40℃におけるシャルピー衝撃試験におけるセパレーション指数(SI値)、即ち、−40℃におけるシャルピー衝撃試験後の破面に観察される圧延面に平行な亀裂長さの総和を破面面積で割った値であり、セパレーションは、靭性異方性の要因の一つと考えられている。
実施例5は、本発明の範囲内の試験例である。一方、比較例12は、再加熱を加えなかった試験例であり、そのためにα相の再結晶やγ相の析出による等軸化が進行しなかったため、実施例5に比べてSI値は増加し、セパレーションは発生しやすくなった。一方、比較例12は、粒径は粗大化しなかったため、実施例5に比べてYSやTSは高値を維持し、TEIやUEIは低下した。
比較例12は、SI値は0.19であるから、本願発明における第1次目標値である0.50以下を満たしているが、組織が不完全等軸であって、等軸粒組織とはなっていないので、本願発明の範囲外である。
近年、鋼材の再利用率の増加や鉄鉱石などの高炉原材料費高騰の影響を受けて、鉄鋼スクラップ材を電気炉で溶解した鋼材の利用量増加が予測されている。同時に、そのような再生材にも省資源の観点から高強度且つ高靭性が求められている。本発明は、このような電気炉溶製工程で浸透したN成分を著しく多く含有する鋼片にも適用できる。従ってまた、脱窒精錬は不要であり省エネルギー及び環境改善にも活用できる。
特開2001-234242号公報 特開2007-046128号公報 特開2007-321230号公報 特開平11-181546号公報

Claims (4)

  1. フェライト粒径4μm以下の等軸微細粒組織からなる鋼板の製造方法であって、化学成分組成が、質量%で
    C:5×10−2〜2×10−1
    Si:1×10−1〜5×10−1
    Mn:6×10−1〜2、
    P:2.5×10−2以下、
    S:1.5×10−2以下、
    Al:1×10−2〜6×10−2
    N:8×10−3〜3×10−2であって、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼片をAc3変態点以上1150℃以下にて1パス当たりの圧下率が10%以上で各パス間時間が30秒以内であって累積圧下率が10%以上の圧下をすることからなる圧延Aを施し、
    次に3℃/秒以上50℃/秒以下の冷却速度でAr1変態点以下の温度に冷却し、そして、
    0.5℃/秒以上50℃/秒以下の加熱速度でAc1変態点以上で{Ac1変態点+0.5(Ac3変態点−Ac1変態点)}以下に加熱して、0.1/秒以上200/秒以下の歪速度で1パス当たりの圧下率が35%以上の圧延を、累積圧下率が60%以上になるまで各パス間時間を20秒以内にして繰り返し行う圧延Bを施し、
    当該圧延直後に、0.5℃/秒以上の加熱温度で{Ac1変態点+0.9(Ac3変態点−Ac1変態点)}以下に再加熱し、
    その後、3℃/秒以上50℃/秒以下の冷却速度で500℃以下まで冷却することを特徴とする鋼板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の鋼板の製造方法において、前記鋼片は、リサイクル鉄を用いて電気炉溶製法により溶製されたものであることを特徴とする鋼板の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の鋼板の製造方法において、前記鋼板は−40℃におけるシャルピー衝撃試験におけるセパレーション指数(SI値)が、0.13以下であることを特徴とする鋼板の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の鋼板の製造方法において、前記鋼板の厚さが5mm以上であることを特徴とする鋼板の製造方法。
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