JP2005146321A - 微細組織を有する鋼材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Cr、Niの含有を必須とせず、Nを0.05〜4.0%含有させ、Mn
を10.0%以下、Si、Alを4.0%以下に制御し、オーステナイト相の存在率が体積率で70%以上となる温度で熱処理を施し、その後冷却することで金属組織中のフェライト相の結晶粒径を3.0μm以下にする。組織の微細化効果をより顕著にするために、加熱温度・時間、加熱・冷却速度等の熱履歴に加え、熱処理回数、熱処理中での歪付与等を行う。
【選択図】なし
Description
特に高強度化に関しては近年のエネルギー・環境問題への意識の高まりを背景に、高強度素材の適用による部材の軽量化・使用量抑制が指向されるようになっている。高強度化の方法には転位強化、固溶体強化、組織強化などが適用されているが、上記の様々な特性との両立の観点から組織微細化による強化が注目されている。この方法は特殊元素の多量な添加を必要としないことからリサイクルなどの観点からも広い範囲での適用拡大が期待されている。
近年、フェライト鋼で1μmより小さい結晶粒径を形成させる技術開発が産学協同で進められ(社)日本鉄鋼協会 材料とプロセス、14巻502ページや、特開2000−73034号公報、特開2000−96137号公報等に開示されているが、その手法はメカニカルミリング等により非常に高い歪を付与するものであり、工業的な実用化には困難を伴うばかりでなく、熱的には不安定で溶接を伴う用途への適用においては問題が出る可能性が高い。また微細化に伴い加工性、特に材料加工で絶対的に必要となる均一伸びが顕著に劣化することが報告されており、工業的に製造されたとしても用途が限定されることが予想される。
しかしながら、これらの鋼はその特異なべイナイト変態を活用しオーステナイトを残留させているため、熱処理条件(温度、時間)を厳格に制御しないと意図する金属組織とならず、良好な強度や伸びの保証や製造時の歩留向上を妨げる原因となっている。さらに、0.3〜2.0%の多量のSi含有が必須であることから亜鉛めっき等においてはめっきの付着性が悪く、溶融めっきではめっき時の熱履歴のため好ましい金属組織が破壊される場合もあり広範な工業的利用が妨げられている。
これらを解決する技術として本発明者は特願2003−27399号において普通鋼(低Cr、Ni鋼)をベースにこれまででは考えられないほどの多量のNを鋼中に含有させ、その後の簡単な熱処理のみにより結晶粒径が1μm以下にもなる主としてフェライト相からなる鋼に関する技術を開示している。しかし、この時点での開示技術では熱処理の温度や履歴等にあいまいな部分が残っていた。もちろんこのあいまいさは当業者であれば適当な回数の試行により、使用する鋼材成分や用途さらには必要特性に応じて開示範囲内の適当な領域に決定できる程度のものではある。
(社)日本鉄鋼協会 鉄と鋼、85巻691ページ (社)日本鉄鋼協会 材料とプロセス、14巻502ページ
り簡易に得られるようにすることを課題とする。
従来よりNはオーステナイト相を安定化させる元素として知られているが、Cr、Ni等をそれほど多量に含有しない普通鋼をベースとした場合、従来の製造法のように溶鋼段階で高濃度のNを含有させる方法では精錬が困難であり、また、鋳造時に鋼片中にガスが発生し凝固後に気泡が残存し良好な鋼材を得ることができない。このため本発明鋼が対象とするような普通鋼をベースとした高N鋼材の加工性、靭性、耐食性などを含めた広い範囲での特性は検討されておらず、未知であった。
本発明の要旨とするところは特願2003−27399号で開示されている超高N鋼に関する技術に加え、
1)熱処理での最高到達温度を完全オーステナイト化温度との兼ね合いで制御する。
2)冷却中の固溶Nによるソリュートドラッグ効果、炭化物と比較し低温で形成される窒化物によるピニング効果、さらには低温で形成し微細に分散する窒化物からの変態核生成を十分活用できるよう熱履歴を精緻に制御する。
3)複合組織としてのオーステナイトの分散状態、低温変態による体積変化に伴う歪の緩和、さらには変態終了後に微細に残存する窒化物の形態制御を考慮し熱履歴を制御することにあり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(2)鋼材内の特定部位または全部位について、質量%で、C:0.0001〜1.5%、Si:4.0%以下、Mn:0.01〜10.0%、P:0.0001〜0.5%、S:0.0001〜0.1%、Al:4.0%以下、N:0.05〜4.0%を含有し、
3*(0.5*Mn+Ni)<8+Cr+1.5*Si+1.5*Al+10*P
<4*(0.5*Mn+Ni+2.5)であり、
主としてフェライト相からなる結晶粒径が平均で3.0μm以下である部位を有することを特徴とする微細組織を有する鋼材。
(3)更に、質量%で、Cr:20.0%以下を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の微細組織を有する鋼材。
(4)更に、質量%で、Ni:10.0%以下を含有することを特徴とする(1)乃至(3)に記載の微細組織を有する鋼材。
(5)更に、質量%で、Ti:0.2%以下、B:0.02%以下、Nb:0.2%以下の1種以上を含有することを特徴とする(1)乃至(4)に記載の微細組織を有する鋼材。
(7)結晶粒径が平均で3.0μm以下である部位に関して、実質的にフェライト相の体積率が50%以上、オーステナイト相の体積率が20%以下であることを特徴とする(1)乃至(6)に記載の微細組織を有する鋼材。
(8)(1)乃至(7)に記載の鋼材を製造するに際し、鋼材を窒化することにより、質量%で、N含有量を0.03%以上増加させ0.05%以上とすることを特徴とする微細組織を有する鋼材の製造方法。
(9)アンモニアを0.5%以上含む雰囲気中に鋼材温度550℃以上で1秒以上保持することにより、質量%で、N含有量を0.03%以上増加させ0.05%以上のNを含有させることを特徴とする(8)に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
(10)アンモニアを0.5%以上含む550〜800℃の雰囲気中に1秒以上保持することにより、質量%で、N含有量を0.03%以上増加させ0.05%以上のNを含有させることを特徴とする(9)に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
(12)質量%で、N含有量が0.05%以上であり、厚さ、幅、長さのいずれかが最終製品より小さな部材2つ以上を主として固体状態で合体させる工程として熱間での加工を適用することを特徴とする(11)に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
(13)質量%で、N含有量が0.05%以上であり、厚さ、幅、長さのいずれかが最終製品より小さな部材2つ以上を主として固体状態で合体させる熱間加工が温度700℃以上、鋼材の特定方向に付与される平均的な歪が対数歪で0.5以上であることを特徴とする(12)に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
(14)質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、オーステナイト相の存在率が体積率で70%以上となる温度で熱処理を施し、その後冷却することにより、結晶粒径を3.0μm以下とすることを特徴とする(8)乃至(13)に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
(15)質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、Tmax−50℃以上で熱処理を施し、その後冷却することで結晶粒径を3.0μm以下とすることを特徴とする(8)乃至(14)に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
ここに、Tmax:鋼材が完全オーステナイト化する場合は完全オーステナイト化温度、そうでない場合はオーステナイト相の存在率が最大となる温度。
(17)質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、(14)乃(16)に記載のフェライト−オーステナイト変態を生ずる熱処理を複数回施すことを特徴とする微細組織を有する鋼材の製造方法。
(18)質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、(14)乃至(17)に記載の熱処理の途中で加工を行うことを特徴とする微細組織を有する鋼材の製造方法。
(19)前記熱処理の途中における加工が200℃以上、Tmax+200℃以下の温度域で行われ、かつ付与される特定方向の歪が対数歪で0.1以上であることを特徴とする(18)に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
(20)質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、50〜550℃の温度域で10秒以上滞在させ、その後550℃を超える温度に保持しないことを特徴とする(8)乃至(19)に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
(21)質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、650℃以上の温度から冷却速度10℃/秒以上で400℃以下まで冷却し、さらに50〜550℃の温度域で10秒以上滞在させ、その後550℃を超える温度に保持しないことを特徴とする(20)に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
なお、各成分の含有率(%)は質量%を示す。
Nは、本発明の最も重要な元素である。本発明の特徴である微細組織を得るには従来鋼以上に多量のNが必要である。そのメカニズムは、Nはオーステナイト生成元素であり、同様な性質を有すると考えられ一般に広く活用されているCに比べ鋼への固溶量が高いことに起因している。すなわち、後述のMnの影響も相まって、オーステナイト相が存在する温度域からの冷却過程においてフェライトーオーステナイトの変態がより低温化するとともに変態過程において、多量に存在する固溶Nが変態前のオーステナイト相の粒成長を抑制すると共に変態後のフェライト相の粒成長をも抑制する効果を発現するため必須の元
素である。さらに固溶量が多いことから冷却過程での窒化物形成がCと比較し低温で起きるため形成される窒化物は炭化物より微細なものとなりピニング効果によりフェライト相の粒成長を抑制する。また、オーステナイト相中に存在する微細な窒化物の界面近傍はNの欠乏領域を形成しフェライト変態の核となることも考えられ変態後のフェライト組織の微細化に寄与する効果も有する。N量が0.05%未満ではその効果が見出せないか、効果を得るために高濃度の合金添加または厳格な熱処理が必要となるので下限を0.05%とする。通常、自動車部品等に用いられるいわゆる加工用普通鋼をべ−スとする場合においては0.3%程度は必要となる。一方、過剰なN含有は鋼中に多量のFe窒化物を形成
し易くなり、延性を損ねる場合があるので上限を4.0%とする。通常、自動車部品等に用いられるいわゆる加工用普通鋼をベースとし、通常の1分程度の連続焼鈍ラインを用いてN含有量を高める場合は、大体2%程度まで含有量を高めることができる。下限については他の元素、特に変態温度に強く関係するMn、Si、Al、P、Crとの兼ね合いはあるが、好ましくは0.085%、さらに好ましくは0.10%、さらに好ましくは0.15%さらに好ましくは0.20%、さらに好ましくは0.25%、さらに好ましくは0.30%、さらに好ましくは0.35%とする。上限については好ましくは2.0%、さらに好ましくは1.0%さらに好ましくは0.80%、さらに好ましくは0.60%とする。
Ti、Nb、およびBも、強い窒化物形成元素であり、過剰な添加は好ましくない。しかし、適当量存在した場合、非常に微細な窒化物を形成し結晶粒の超微細化効果を補う効果を有し、延性の劣化を補って余りあるほど顕著に高強度化させることも可能で、変態を遅らせる効果等も認められるため必要に応じて利用することも有効である。TiおよびNbについては各々0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下とし、Bについては0.02%以下、好ましくは0.005%以下とする。
一般に、本発明鋼が対象としているようなCr,Ni等を多量には含有しないいわゆる普通鋼ではNの含有量は0.03%程度が限度である。これは通常、鋼の成分調整が行なわれる溶鋼段階でのNの溶解量には熱力学的に限界があるとともに、鋳造における凝固時の温度低下にともない鋼中のN固溶可能量が大きく低下しガス化するためブローホールの発生が顕著になり鋼材表面の性状が著しく劣化してしまうことから規制されている。一方、Cr、Ni等を10%程度から数10%含有するいわゆるステンレス鋼では溶鋼を含む鋼中へのN溶解の許容量が熱力学的に格段に大きくなるため多量のN含有鋼の製造が可能となっている。しかし、ステンレス鋼においても通常の製法ではN量の上限はせいぜい0.3%程度である。このような従来の高Nステンレス鋼でもNの多くはCr窒化物を形成してしまうため、また様々な窒化物、炭化物の形成およびそれらにも影響を受ける変態挙動を考慮した制御がなされていないため本発明の重大な進歩性の一つである超微細粒化効果を全く活用していない状況である。本発明鋼では凝固以降にN添加を行なうため上記のような熱力学に起因した原理的な制限がなくなり、Cr、Ni等を高濃度に含有せずとも高いNの含有が可能となっている。とは言え、本発明鋼で例えば耐食性を付与する等の本発明以外の目的でCr、Niを添加することは可能である。
Niはオーステナイト安定化元素であり、Mnと同様、本発明の効果に好ましい効果を有する。添加コストを考え10%以下とする。しかし、過剰な添加はオーステナイトを過剰に安定化させ最終的に常温まで多量のオーステナイト相を残存させ主としてフェライト相からなる結晶粒の微細化効果を損ねる場合がある。変態を介した超微細化効果についてはNiとほぼ同等の効果を有するMnを活用したほうがコスト的に大幅に有利であるためNi量は好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下とする。
ただし、Si、Al、Crと同様に変態温度を上昇させることに注意を要する。また、鋼を窒化してNを高める場合には、Pが鋼の表面、粒界に偏析し窒化効率を低下させることがある点でも注意を払う必要がある。脱Pコストと過剰添加による延性劣化を考慮し0.001〜0.5%とする。窒化効率を考えると0.2%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.08%以下である。
Sも本発明においてはあえて添加する必要はなく、MnSを形成し本発明が必要とするMnの効果を減じる害があるため低い方が好ましい。また粗大なMnSが多量に存在すると延性を劣化させることもあり、0.0001〜0.1%とする。好ましくは0.05%以下、通常は0.02%以下である。
また、本明細書で記述していない様々な使用特性を向上させる目的で、さらには鋳造性、圧延性など製造上の課題を改善する目的でSn,Sb,Bi,Mo,V,W、Ta、Se等の各種元素を適当量添加することは本発明の効果を何ら損なうものではない。ただし、窒化でN量を高める場合にはSn、Sbの添加が窒化効率を低下させる場合があるので注意を要する。
前記微細粒領域の直径の平均値は、望ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下であり、組織の微細化に関しては条件を制御することにより0.5μm以下、さらに熱処理条件の精緻な制御や複数回の熱処理さらには加工による歪の影響も組合わせることで0.2μm以下、0.1μm以下、さらなる微細化も可能である。粒径が微細であるほど特性上の特徴も明確になる。また、組織の微細化により、従来知見より向上が期待される特性、例えば、耐摩耗性や疲労特性などについても、好ましい効果を得ることができる。
低下する場合があることや、プレス成形した状態で存在する多量のマルテンサイト相が二次加工性や衝撃性の低下を引き起こすことがあるので、残留オーステナイトの体積率を20%以下とすることが好ましい。オーステナイト相以外にもマルテンサイト相やベイナイト相などFeを主体とした相、さらにはFeまたは添加元素による窒化物や炭化物など多様な相の存在を勘案すると、好ましい範囲はフェライト相の体積率で50%以上である。
成分の調整において重要なのがその鋼材の変態挙動である。本発明では熱処理におけるフェライト−オーステナイト変態を利用して最終的な製品における主としてフェライト相からなる組織の微細化を達成するため、熱処理により鋼中にオーステナイト相が生成する必要がある。その生成量が少ないとフェライト相のままであった部位の組織が粗大化し混粒組織を呈し特性を劣化させる。このため室温から溶融温度までの範囲で少なくとも体積率で70%がオーステナイト相として存在するような成分に調整しておく必要がある。好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは100%(完全オーステナイト)である。ただし、100%と言えども析出物
等も含めれば厳密に完全な100%になることはない。あくまでも通常の判断における実質的な100%である。この変態挙動については当業者であれば通常行われる一般的な熱処理一急冷後の組織観察や自動的な膨張測定、通常用いられるフォーマスター試験機等により容易に知ることができるものであり、これまでの変態に関する膨大な知見による経験式や市販の熱力学的な平衡計算ソフトでも高精度で推定可能なものであり、その結果をもとに成分および後述の熱処理温度等を容易に決定できるものである。
3*(0.5*Mn+Ni)<8+Cr+1.5*Si+1.5*Al+10*P
<4*(0.5*Mn+Ni+2.5)
が目安として提示できる。
次に、本発明鋼材の製造方法について説明する。本発明の特徴は従来のCr,Niを含有しない鋼材では考えられなかったほどの高濃度のNを含有させることである。高N鋼を製造する手段は特に限定されるものではない。現状の設備においてCr、Ni等を多量に含有しない成分系で溶鋼段階で成分調整し多くのNを含有させることは不可能であるが、近年検討されている、溶鋼が入った鍋をNを高圧充填した気密容器中に設置し、その中で凝固させて気泡等の欠陥を含まない鋳造を行う方法で製造が可能である。また従来鋼のように溶鋼段階では低いNのまま成分調整し、気泡等の欠陥のない鋳片を得た後、固相である鋼片または鋼板への窒化を適用することで比較的容易に高濃度のNを含有させることも可能である。この窒化の方法はガスによるもの液体中で行うもの、さらには固体との接触やイオンやプラズマ照射などによるものが考えられ。いずれも固相状態において含有N量を0.05%以下から0.05%以上に増加させることが可能なものである。
従来の窒化は主に工具鋼等の表面を硬質化するために行われており、そのメカニズムは主としてCr、Ti等の窒化物を多量に生成させるものである0本発明のように高強度化とともにその他の様々な特性を両立させるために主としてフェライト粒の微細化を目的としたものとは根本的に異なる。また、本発明では窒化後の高N材を熱処理することで変態を活用した組織の微細化効果を発現させるのに対し、従来の窒化を施された鋼においてその後の変態を活用した微細化に関しての考慮はまったくない。むしろ従来の窒化は工具の変形等を抑制するため変態が起きない低温で行われることが普通であり、本発明のように主
としてオーステナイト相が存在する状況下で窒化を行い、その後さらにオーステナイト化するような熱処理を行い、そこからの変態を活用してフェライト組織の微細化を達成する技術とは全く異なるものである。
さらに好ましくは620℃である。高温側の温度は鋼材温度のみが雰囲気温度に対して高温である場合と、雰囲気温度そのものが高温に保持される場合で事情が多少異なる。
ただし連続炉を想定した場合、低温雰囲気中への高温鋼材の連続的な挿入により、窒化炉内に新たな低温雰囲気を持続して導入しているとしても、窒化炉内への連続的な熱の持込により窒化雰囲気の温度は多少なりとも上昇する可能性がある。窒化雰囲気の温度があまりに上昇すると後述するように炉材として使用されている金属部での雰囲気の分解が起きるようになり鋼材への窒化効率が低下する場合があるので低温雰囲気中へ高温鋼材を挿入しての窒化を行なう場合には熱の移動および雰囲気温度の管理が重要となる。
N化のタイミングは鋳片〜製品直前の鋼材(板であれば焼鈍板)のいずれでも可能であるが、窒化では表面から鋼内部へのNの拡散を利用しているため鋼材サイズは薄いまたは細いほど高濃度のN化が容易となる。通常は最終製品に近い形状に加工された後に窒化することが有利となる。
鋼板の場合は熱間仕上げ圧延以降の工程で行うことが好ましく、通常の冷延鋼板の製造においては再結晶焼鈍工程中で焼鈍炉の一部または全部を発明雰囲気にすることでN化を行うことが生産上は都合がよい。
工程の前半で高濃度のNを含有させ、その後の高温処理または適当な温度での保定により結晶粒の微細化に都合の良い熱履歴を付与する工程も可能であるし、焼鈍工程の最高温度への到達により再結晶および適当な延性を付与した後にN化を行うような工程も可能である。また、これらを組合わせたり、高温再結晶の後、発明範囲内の低温で窒化を行い、その後再び高温に昇温し組織制御を行うような工程によっても本発明の効果は何ら損なわれるものではない。
具体的には例えば0.8mmの鋼板を直接窒化するよりも、0.1mmの板をあらかじめ窒化しておきこれを8枚重ねて合体させるような場合である。または径が1mm以下さらには数μm程度の鉄粉を窒化し、これを合体させて製品形状または半製品の形状を形成させるような場合である。この場合の合体手段は特に限定されるものではないが、たとえば熱間圧延や熱間押し出しに代表される高温での圧着である。この条件は特に限定されるものでなく通常の圧着と同様に行えばよいが、本発明で用いる部材が多量のNを含有していることから部材の溶融を伴うような条件は避け、主として固相状態で合体される必要がある。
とはいえミクロな意味では接合される部材表面は溶融に近い状態になることは問題ではない。このような方法による場合の温度は700℃以上、鋼材の特定方向、特に部材を合体させる方向に付与される平均的な歪が対数歪で0.5以上が目安となる。
この熱処理は窒化処理と連続している必要はなく、いったん常温まで冷却した後、またはめっき処理や何らかの加工などを行った後に行っても構わない。また特に鋼材表面から窒化した場合にはN濃度の鋼材板厚方向での偏析が考えられるが、高温保持によるNの拡散によりこれを解消する場合には必要な温度と時間を制御する。熱処理条件としては熱処理中のオーステナイト量が体積率で70%に高まる必要がある。好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは100%(完全オーステナイト)である。ただし、前述のように100%とは厳密な意味ではなく、通常の判断に基づく実質的なものである。変態が起きない部位が存在するとこの部位の組織が粗大化し最終製品で混粒組織を呈し特性を劣化させる場合がある。変態挙動は鋼成分やそれまでの熱履歴等、さらには加熱速度や保持時間等にも影響されるため一概には言えないが、完全オーステナイト化する場合は完全オーステナイト化温度、そうでない場合はオーステナイト相の存在率が最大となる温度をTmaxとし、Tmax−50℃以上に到達させるのが望ましい。好ましくはTmax−20℃以上、Tmax以上とすれば本発明の効果を得るのに全く問題はない。保持時間は数秒で十分であるが、必要により数分または数時間以上保持しても構わない。この熱処理における最高到達温度の上限は特に限定されるものではないが、温度が上昇することでフェライト相のままの部位が存在する場合にはこの部分の組織が粗大化し冷却後の混粒組織が顕著になり好ましくない。また、完全オーステナイト化しているとしてもオーステナイト組織の粗粒化が起き、その後の冷却過程でのフェライト変態による組織微細化に好ましくはないし、エネルギー的に無駄となるので何らかの必要性がある場合を除いて不用意に温度を上昇させるのは避けるべきである。上限は、Tmax+200℃、好ましくはTmax+100℃、さらに好ましくはTmax+50℃程度とすべきである。
この原因は上述のように本N−Mn鋼での微細化メカニズムがNがCより鋼中への溶解量が大きいため、変態時の固溶Nによるドラッグ効果、低温で析出する微細な窒化物によるピニング効果、さらには微細な窒化物を核とする変態核の数密度上昇にあることから、温度上昇中のオーステナイト粒の成長、温度下降中のフェライト粒の成長が顕著に抑制されているためである。繰り返し回数に制限はないが、微細化効果の飽和や工業的な生産性を考えると5回以下、好ましくは2または3回である。
ここで、接着性を確保するためには、付与される歪みは対数歪みで0.1以上であることが望ましい。歪みの付与される方向は特に限定はされない。
ただし、過度に急速な冷却は鋼成分や冷却終了温度にもよるが、鋼中にマルテンサイト相を生成させ延性を劣化させる場合があるので注意が必要である。
上に述べた中間温度域での熱処理により鋼組織を好ましく制御した後は、この組織を保持するため550℃を超えるの温度への加熱は避ける必要がある。550℃を超える温度への加熱を行なうと上記の中間温度での保持による特性向上効果のかなりの部分が消失する。580℃以上では中間温度での保持による特性向上効果はほとんどみられなくなる。
本発明の特徴である微細組織は用途によっては鋼材の全ての部分が微細である必要はなく、耐磨耗性や疲労性の向上には表層のみが微細化されていればかなりの効果を得ることができる。また、部分的に組織が異なることで、強度や靭性など微細粒が有利な特性と、延性など粗大粒が有利な特性を組み合わせた複合機能を持たせることも可能となる。部分的に組織を変化させる方法としては、例えば成分を不均一にすることが考えられ、本発明のように窒化を行うものでは鋼材表面から中心へNの濃度勾配を付与し、他の元素は実質的に均一とする方法が考えられる。
従って、変態温度が場所的に異なるように、成分、特にC、Mn、Si、Al、P、Cr、Ni量が異なる複数の鋼材を一般に知られている爆着や圧着などの方法を用いて複層鋼として製造しこれを窒化するという方法も有効である。また、組織微細化のために行う調質熱処理において部分的に温度を変化させることでも組織を制御できる。
本発明鋼の用途はその形状などにより何ら限定されるものではなく、鋼材として自動車、容器、タンク、建築物、造船、土木、レール、電気機器、鋼管など一般的に鋼材が使用されている用途に適用し本発明の効果を得ることができる。また、微細粒を形成した後に何らかの加工を施して強度調整、形状調整を行っても発明の効果が失われるものではない。
結晶粒径の評価は製造した製品によらず行い、通常行われる断面組織観察において特定面積内に観察される結晶粒の数から結晶粒1個あたりの断面積を求め、さらにこの結晶粒の断面形状を円とした場合の直径として求めた。
本発明では微細組織を形成するために少なくともオーステナイト相を90%以上含む組織からの冷却が必要であるが、実質的に微細化組織形成のための変態を開始する直前の温度におけるオーステナイト相の体積率を冷却開始温度から水冷したサンプルの断面組織観察により測定した。
残留オーステナイトの体積率はMoKα線を用いたX線回折の5ピーク法で測定した。
製品が部分的に微細組織を有する場合はその部位について測定した。
本実施例においては発明鋼の中でも好ましい成分範囲、製造条件との兼ね合いで目的とする特性に少なからず差を生ずる。このため発明鋼において一部の特性についての評価は以下のように特性をランク付けることで行なった。
A:最高レベル
B:著しく良好
C:良好(従来鋼以上)
D:従来鋼レベル
C:0.03%、Si:0.02%、Mn:2.4%、P:0.01%、S:0.01%、
Al:0.06%、N:0.003%含有する鋼片を加熱温度1200℃、巻取温度650℃で4.0mmに熱延し、酸洗後、冷延し得られた厚さ0.6mmの冷延鋼板について、700℃、1分の再結晶焼鈍の後、20%アンモニアガス中で700℃、10分の窒化処理によりN濃度を0.2%とした。次いで700℃〜1100℃で10秒の調質熱処理を行い、冷却速度20℃/秒で冷却した。またC:0.2%、Si:1.5%、Mn:1.0%、P:0.03%、S:0.01%、Al:0.6%、N:0.003%含有する鋼片を加熱温度1200℃、巻取温度650℃で4.0mmに熱延し、酸洗後、冷延し得られた厚さ0.6mmの冷延鋼板について、750℃、1分の再結晶焼鈍の後、100℃/秒で450℃まで冷却し450℃で8分保定した後、空冷した一般的なTRIP鋼も準備した。すべての材料は0.6%で調質圧延し加工性およびめっき性を調査した。加工性の評価は板厚0.6mmの薄鋼板において行い、JIS5号引張試験片によるゲージ長さ50mm、引張速度10mm/minの常温引張試験で評価した。めっき性の評価は板厚0.6mmの薄鋼板において行い、実用的な条件で合金化溶融亜鉛めっきを行った鋼板について不めっき発生とめっき密着性について行い、不めっきは目視で有無を判定し、めっき密着性はめっき鋼板の60度V曲げ試験を実施後テープテストを行い、テープテスト黒化度が20%未満であれば合格とした。
特性の評価結果を表1に示す。
N量を高めオーステナイト域からの熱処理により結晶組織を微細化した本発明鋼は従来、強度一延性バランスが優れていると評価されているTRIP鋼よりも優れた特性を示す。また、比較鋼では合金成分のためめっき性が劣るが本発明鋼ではめっきにおいて何ら問題を生じなかった。
C:0.08%、Si:1.8%、Mn:1.4%、P:0.01%、S:0.01%、Al:0.8%、Ni:0.2%、N:0.003%含有する鋼片を加熱温度1200℃、巻取温度650℃で2.0mmに熱延した後、40%アンモニアガス中で通電加熱により鋼板を950℃に加熱し、5分の窒化処理によりN濃度を0.5%とした。この窒化処理により、C量は0.005%まで低下した。また、C:0.5%、Si:1.2%、Mn:2.5%、P:0.03%、S:0.01%、A.1:0.6%、N:0.003%含有する鋼片を加熱温度1200℃、巻取温度450℃で2.0mmに熱延した一般的なTRIP鋼も準備した。これらの材料を800℃〜1100℃で加熱した後、ホットプレスを行った。プレス後の冷却速度および途中での熱履歴を変化させ、成形後の部材から試験片を切り出し硬度、靭性および耐遅れ破壊性を調査した。靭性はJISに準拠した方法で、耐遅れ破壊性は破断荷重の0.9倍で負荷をかけ、チオシアン酸アンモニウム溶液中で電解により陰極水素を連続チャージし、破断までの時間で評価した。冷却速度についてはプレスによる金型との接触に起因する材料の温度低下は除外し、材料をプレス成形直後に金型との接触を絶ち、その後の熱履歴について制御した。特性の評価結果を表2に示す。
N量を高めオーステナイト域からの熱処理により結晶組織を微細化した本発明鋼は従来のC−Mn鋼よりも優れた特性を示す。
C:0.8%、Si:0.1%、Mn:3.2%、P:0.01%、S:0.01%、Al:1.8%、Nb:0.05%、B:0.003%、N:0.004%含有した鋼片を通常の製造工程で太さ1.0mmの鋼線としたものについて、室温程度の40%アンモニアガス中で高周波加熱により鋼材の温度を1000℃とし10秒の処理によりN濃度を1.4%まで上昇させた。この窒化処理により、C量は0.02%まで低下した。窒化した材料は次いで500℃〜950℃で5分の調質熱処理を行うとともに、一部の材料についてはその後900℃10秒の熱処理を1〜5回行った。さらにその後、未窒化材も含めすべての材料を300℃に再加熱し3分保定した後、空冷した。特性は引張変形における破断応力および変形温度を変化させ曲げ試験を行った際の脆化割れ発生温度で評価した。
評価結果を表3に示す。
N量を高めオーステナイト域からの熱処理により結晶組織を微細化した本発明鋼は、高い強度とともに低温での良好な耐脆性を示す。
Si:0.02%、Mn:2.2%、P:0.01%、S:0.01%、Al:0.06%をベース成分とした溶鋼を、高圧N雰囲気中でインゴットとして凝固させることでC量、N量を変化した鋼片を得た。これらの鋼材から通常の連続熱間加工によりレール鋼を製造した。最終の2段の加工について、加工温度と加工量を変化させた。加熱温度、冷却条件等は一般のレール鋼で適用されるもので、本実施例ではすべて一定とした。特性の評価は、円筒形に成形した基準となる鋼材を試験材に一定の荷重で押し付けながらレール頭面上を滑らせ、1000000回滑らせた時の試験材単位長さあたりの重量変化と接触面での疲労欠陥の発生程度で評価した。
結果を表4に示す。なお、ここで示すオーステナイト体積率は最終の2段加工後、水冷した材料のレール頭面から5mm探さでの値である。
N量を高めオーステナイト域からの熱処理により結晶組織を微細化した本発明鋼は良好な耐磨耗性と耐疲労破壊性を示す。
Claims (21)
- 鋼材内の特定部位または全部位について、質量%で、C:0.0001〜1.5%、Si:4.0%以下、Mn:0.01〜10.0%、P:0.0001〜0.5%、S:0.0001〜0.1%、Al:4.0%以下、N:0.05〜4.0%を含有し、室温から溶融までの温度範囲にオーステナイト相の存在比率が体積率で70%以上となる温度域が存在し、主としてフェライト相からなる結晶粒径が平均で3.0μm以下である部位を有することを特徴とする微細組織を有する鋼材。
- 鋼材内の特定部位または全部位について、質量%で、C:0.0001〜1.5%、Si:4.0%以下、Mn:0.01〜10.0%、P:0.0001〜0.5%、S:0.0001〜0.1%、Al:4.0%以下、N:0.05〜4.0%を含有し、
3*(0.5*Mn+Ni)<8+Cr+1.5*Si+1.5*Al+10*P
<4*(0.5*Mn+Ni+2.5)であり、
主としてフェライト相からなる結晶粒径が平均で3.0μm以下である部位を有することを特徴とする微細組織を有する鋼材。 - 更に、質量%で、Cr:20.0%以下を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細組織を有する鋼材。
- 更に、質量%で、Ni:10.0%以下を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の微細組織を有する鋼材。
- 更に、質量%で、Ti:0.2%以下、B:0.02%以下、Nb:0.2%以下の1種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の微細組織を有する鋼材。
- N以外の元素についての鋼材内の濃度が実質的に均一であることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の微細組織を有する鋼材。
- 結晶粒径が平均で3.0μm以下である部位に関して、実質的にフェライト相の体積率が50%以上、オーステナイト相の体積率が20%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の微細組織を有する鋼材。
- 請求項1乃至請求項7に記載の鋼材を製造するに際し、鋼材を窒化することにより、質量%で、N含有量を0.03%以上増加させ0.05%以上とすることを特徴とする微細組織を有する鋼材の製造方法。
- アンモニアを0.5%以上含む雰囲気中に鋼材温度550℃以上で1秒以上保持することにより、質量%で、N含有量を0.03%以上増加させ0.05%以上のNを含有させることを特徴とする請求項8に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
- アンモニアを0.5%以上含む550〜800℃の雰囲気中に1秒以上保持することにより、質量%で、N含有量を0.03%以上増加させ0.05%以上のNを含有させることを特徴とする請求項9に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
- 質量%で、N含有量が0.05%以上であり、厚さ、幅、長さのいずれかが最終製品より小さな部材2つ以上を主として固体状態で合体させる工程を経て最終製品とすることを特徴とする請求項8乃至請求項10に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
- 質量%で、N含有量が0.05%以上であり、厚さ、幅、長さのいずれかが最終製品より小さな部材2つ以上を主として固体状態で合体させる工程として熱間での加工を適用することを特徴とする請求項11に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
- 質量%で、N含有量が0.05%以上であり、厚さ、幅、長さのいずれかが最終製品より小さな部材2つ以上を主として固体状態で合体させる熱間加工が温度700℃以上、鋼材の特定方向に付与される平均的な歪が対数歪で0.5以上であることを特徴とする請求項12に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
- 質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、オーステナイト相の存在率が体積率で70%以上となる温度で熱処理を施し、その後冷却することにより、結晶粒径を3.0μm以下とすることを特徴とする請求項8乃至請求項13に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
- 質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、Tmax−50℃以上で熱処理を施し、その後冷却することで結晶粒径を3.0μm以下とすることを特徴とする請求項8乃至請求項14に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
ここに、Tmax:鋼材が完全オーステナイト化する場合は完全オーステナイト化温度、そうでない場合はオーステナイト相の存在率が最大となる温度。 - 質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、オーステナイト相の存在率が体積率で70%以上となる温度で熱処理を施すに際し、加熱速度を2℃/秒以上、最高到達温度をオーステナイト相の存在率が最大となる温度+200℃以下、冷却速度を2℃/秒以上とすることにより、結晶粒径を3.0μm以下とすることを特徴とする請求項14に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
- 質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、請求項14乃至請求項16に記載のフェライト−オーステナイト変態を生ずる熱処理を複数回施すことを特徴とする微細組織を有する鋼材の製造方法。
- 質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、請求項14乃至請求項17に記載の熱処理の途中で加工を行うことを特徴とする微細組織を有する鋼材の製造方法。
- 前記熱処理の途中における加工が200℃以上、Tmax+200℃以下の温度域で行われ、かつ付与される特定方向の歪が対数歪で0.1以上であることを特徴とする請求項18に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
- 質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、50〜550℃の温度域で10秒以上滞在させ、その後550℃を超える温度に保持しないことを特徴とする請求項8乃至請求項19に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
- 質量%で、N含有量が0.05%以上である部位を形成した後、650℃以上の温度から冷却速度10℃/秒以上で400℃以下まで冷却し、さらに50〜550℃の温度域で10秒以上滞在させ、その後550℃を超える温度に保持しないことを特徴とする請求項20に記載の微細組織を有する鋼材の製造方法。
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