JP2015190008A - 溶接熱影響部靭性に優れた非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents

溶接熱影響部靭性に優れた非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶接入熱が400kJ/cm超えの大入熱溶接が適用されても、溶接熱影響部靭性に優れるとともに、鋼板内部の靭性にも優れた非調質低降伏比高強度厚鋼板を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.05〜0.10%、Si:0.01〜0.10%、Mn:0.6〜1.8%、P:0.009%以下、S:0.003%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0040%以下、Mo:0.20〜0.60%、Nb:0.005〜0.030%、V:0.001〜0.070%を含有し、2.0≰Ti/N≰4.0とし、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、引張強さ640MPa以上、降伏比80%以下の溶接熱影響部靭性に優れた非調質低降伏比高張力厚鋼板。【選択図】図1

Description

本発明は、建築鋼構造物等の溶接構造物用として好適な、非調質低降伏比高張力厚鋼板に関する。特に、建築ボックス柱の施工において、サブマージアーク溶接あるいはエレクトロスラグ溶接などの溶接入熱が400kJ/cm超えの大入熱溶接が適用されても、溶接熱影響部靭性に優れるとともに、鋼板内部の靭性にも優れた非調質低降伏比高張力厚鋼板に関する。なお、本発明における厚鋼板とは、板厚19mm以上の鋼板であり、とりわけ板厚50mm以下のものとする。
建築鋼構造物には耐震性の向上が要求される。例えば、塑性変形能確保のために降伏比(YR)を80%以下とする鋼材の低降伏比化が要求されている。また、鋼構造物は溶接接合により組み立てられるため、溶接部を含めて良好な靭性を保持することが要求されている。溶接鋼構造物は、地震時のように大きな負荷荷重を受けると、塑性変形が生じる前に溶接部から脆性破壊が発生する場合がある。このため、特に溶接継手部において高い靱性が要求されるようになっている。
最近では、構造物の施工能率向上と施工コストの低減という要望から溶接効率の向上が求められ、大入熱溶接の適用範囲が拡大されている。例えば、高層建築物に用いられるボックス柱では、サブマージアーク溶接やエレクトロスラグ溶接などの溶接入熱が400kJ/cmを超えるような大入熱溶接が適用されている。このような大入熱溶接を適用する部位としては、例えば、角継手部のサブマージアーク溶接やダイヤフラム接合部のエレクトロスラグ溶接などが挙げられる。
一般に、このような大入熱溶接部では、溶接熱影響部(以下、HAZともいう。)の靭性劣化が問題となる。これは、大入熱溶接により融点近傍まで加熱された領域では、冷却が遅いため高温域での滞留時間が長く、オーステナイト粒が粗大化しやすいうえ、さらにその後の冷却の際に、MA(島状マルテンサイトともいう)等の硬質な脆化相が生じやすいことに起因する。このようなHAZの靭性劣化は、鋼材の強度が増加するにしたがい、顕著となり、とくに、TS590MPa級鋼材で問題となることが多い。
このような問題に対し、例えば特許文献1には、重量比でC:0.05〜0.11%、Si:0.5%以下、Mn:0.6〜1.6%を含み、P、Sを適正範囲内に調整し、さらに、Cu:0.80〜1.60%、Ni:0.30〜1.0%を含み、Nb:0.005〜0.02%、Ti:0.005〜0.025%、N:0.001〜0.004%、O:0.001〜0.006%を含む鋼を熱間圧延後、再加熱焼入れし、さらに二相域に再加熱し焼入れ、焼戻する大入熱溶接熱影響部靭性の優れた建築用低降伏比600N/mm級鋼板の製造方法が記載されている。特許文献1に記載された技術では、低Cとし、B無添加でTi酸化物を利用して大入熱溶接熱影響部靭性を向上させるとともに、二相域加熱焼入れとCuによる析出硬化を利用することにより、低降伏比で、600N/mm級の高強度を有する鋼板の製造が可能になるとしている。
また、特許文献2には、質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.5〜3.0%を含み、Al、P、Sを適正範囲に調整して含有し、さらに、Ti:0.004〜0.03%、B:0.0005〜0.0030%、Ca:0.0005〜0.0030%、N:0.0020〜0.0070%、O:0.0050%以下を含み、さらに、Cu:1.5%以下、Ni:2.0%以下のうちから選ばれた1種または2種を、炭素当量Ceqが0.35%以上、Ca、O、S含有量からなる関係式であるACRが0.3〜0.8%を満足する範囲で含む鋼素材に、熱間圧延を施し厚鋼板とし、該厚鋼板に再加熱焼入れ工程と、ついで、二相域の温度に再加熱したのち焼入れ、焼戻する、大入熱溶接熱影響部靭性に優れる低降伏比高張力厚鋼板の製造方法が提案されている。特許文献2に記載された技術では、大入熱溶接部靭性を向上するために、TiNを利用してHAZでのオーステナイト粒の粗大化を抑制しつつ、ACRを0.3〜0.8%を満足するようにCa、O、Sを調整して、CaS上にMnSが析出した複合硫化物を析出させ、フェライト変態核として作用させ、粒内フェライトの核生成を促進させてHAZ組織の微細化を図り、大入熱溶接部靭性を向上させるとしている。さらに、特許文献2に記載された技術では、固溶強化に有効なCu、Ni量を適正化して、二相域加熱し、焼入れる処理により、引張強さTS590MPa以上の高強度化と、80%以下の低降伏比化を、大入熱溶接HAZ靭性の劣化を招くことなく達成できるとしている。
また、特許文献3には、質量%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.6〜1.6%を含み、P、S、Alを適正範囲に調整して含有し、さらに、Cu:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜2.0%、Ti:0.005〜0.030%、B:0.0003〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%、N:0.0030〜0.0060%、O:0.0010〜0.0030%を、Ca、O、S含有量からなる関係式であるACRが0.2〜0.8%、Ceqが0.47%以下となる範囲で含む鋼素材を、熱間圧延後、加速冷却を施し厚鋼板とし、さらに二相域の温度に再加熱したのち焼入れ、焼戻する、大入熱溶接熱影響部靭性に優れる低降伏比高張力厚鋼板の製造方法が提案されている。特許文献3に記載された技術では、高温に加熱された領域におけるオーステナイト粒の粗大化抑制と、冷却時にフェライト変態を促進する変態核の微細分散が、大入熱溶接部靭性を向上するために重要であるとして、TiNの利用と、Ca、O、Sの含有量をACRが適正範囲となるように調整して形態を最適化したCaの酸化物または硫化物を鋼中に分散して粒内フェライトの核生成を促進させてHAZの組織を微細化し、大入熱溶接部靭性を向上させるとしている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載された技術はいずれも、二相域熱処理を行う。このため、工程が複雑となり、製造期間が長期化し、生産性に問題を残している。このため、上記した二相域熱処理を省略した非調質低降伏比高張力鋼材が求められている。
一方、二相域熱処理を行なうことなく、優れた大入熱溶接部靭性と低降伏比とを両立させることができる技術として、特許文献4が挙げられる。特許文献4は、mass%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.5〜2.0%を含み、P、S、Alを適正範囲に調整して含有し、さらに、Ti:0.004〜0.02%、Ca:0.0005〜0.0030%、N:0.0020〜0.0070%を、ACRが0.3〜0.8%となる範囲で含む鋼素材を、圧延終了温度をAr3変態点以上とする熱間圧延を施し、1℃/s以上の冷却速度で600〜250℃の範囲まで冷却し、空冷する加速冷却を施す、大入熱溶接熱影響部靭性に優れる低降伏比建築構造用厚鋼板の製造方法である。特許文献4に記載された技術では、熱間圧延条件および圧延終了後の加速冷却条件を調整して、母材厚鋼板の低降伏比化を図るとともに、Ca、O、S含有量からなる関係式であるACRを適正範囲となるように調整して、溶接時にフェライト変態核となる微細な粒子を多数生成して、HAZの組織を微細化し、大入熱溶接熱影響部靭性を改善するとしている。
また、特許文献5では熱間圧延後の加速冷却を二段階に分けることにより、鋼板に適度な延性を与えて、二相域熱処理を施すことなくTSが590MPa以上、降伏比が80%以下の高強度鋼板を作ることを達成しようとしている。
特開平06−128635号公報 特開2005−68478号公報 特開2005−68519号公報 特開2003−183767号公報 特開2011−214053号公報
しかしながら、特許文献4に記載された技術は、引張強さTSが490MPa以上の強度を有する厚鋼板を対象としており、引張強さTSが640MPa以上の高張力厚鋼板には適用できない。また、特許文献5に記載された技術は、厚鋼板の組織がフェライトとベイナイトの2相組織であり、軟質なフェライト相を含んでいる。このため、安定して引張強さTSが640MPa以上の厚鋼板を製造することは困難である。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、溶接入熱が400kJ/cm超えの大入熱溶接が適用されても、溶接熱影響部靭性に優れるとともに、母材の靭性にも優れた、引張強さ640MPa以上、降伏比80%以下の非調質低降伏比高張力厚鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、以下の知見を得た。
熱間圧延終了後、第一の加速冷却として、鋼板表面温度が(B−150)℃以上(B−30)℃以下となるまで加速冷却し、加速冷却停止後に冷却停止温度から30℃以上復熱させる。このような、加速冷却および復熱により、鋼板表層部をベイナイト(B)+島状マルテンサイト(MA)の2相組織にすることができる。このような2相組織にすることにより鋼板表層部が低応力で降伏するようになる。このため、鋼板全体としても降伏応力が低下し、その結果、鋼板全体を低降伏比化することが可能である。また、このような2相組織にすることにより、軟質相であるフェライト(F)を含んだF+Bの2相鋼とは異なり、高強度を保ったまま低降伏比化を達成することが可能である。また、鋼板全体をB+MAの2相組織にしてしまうと、鋼板内部の靭性が著しく劣化してしまう。このため、鋼板表層部のみB+MAの2相組織とするとともに、復熱後の第二の冷却を施すことにより、鋼板内部はベイナイトを主相とし、島状マルテンサイトが少ない組織にすることで、鋼板内部の靭性を保つことができる。鋼板の靭性は、表層の靭性がほとんど影響しないため、鋼板内部を高靭性とすることで鋼板全体の靭性が確保できる。
本発明は上記知見に基づくものであり、その特徴は以下の通りである。
[1]質量%で、C:0.05〜0.10%、Si:0.01〜0.10%、Mn:0.6〜1.8%、P:0.009%以下、S:0.003%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0040%以下、Mo:0.20〜0.60%、Nb:0.005〜0.030%、を含有し、2.0≦Ti/N≦4.0とし、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、鋼板表面から板厚方向に5mm未満の範囲における金属組織が、面積率で、島状マルテンサイト(MA)が5〜20%であり、残部がベイナイトであり、板厚方向に5mm以上から板厚中央部までの範囲における金属組織が、旧オーステナイト粒径が60μm以下であり、面積率で、ベイナイトが70%以上、残部が、島状マルテンサイト(MA)が10%以下(0%を含む)、あるいはさらに、パーライトおよび/またはフェライトからなり、引張強さ640MPa以上、降伏比80%以下であることを特徴とする溶接熱影響部靭性に優れた非調質低降伏比高張力厚鋼板。
[2]さらに、質量%で、Cr:0.05〜0.60%、Cu:0.05〜0.50%、Ni:0.05〜0.80%、V:0.001〜0.070%、B:0.0003〜0.0030%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらに下記(1)式で定義されるCeqが、0.40〜0.50を満足することを特徴とする[1]に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14…(1)
上記式(1)において、C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Vは各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
[3][1]または[2]に記載の成分組成を有する鋼素材を、1050〜1200℃に加熱後、表面温度が950℃以下の温度域での累積圧下量が30%以上で、圧延終了温度が表面温度でAr3変態点以上900℃以下となる熱間圧延を行い、その後、第一の冷却として、表面温度でAr3変態点以上の温度から冷却を開始し、表面の平均冷却速度が50℃/s以上で冷却し、表面温度で(B−150)℃以上(B-30)℃以下で冷却を停止する加速冷却を行い、前記第一の冷却停止後、表面温度が冷却停止から30℃以上上昇して、かつ、B以下の温度まで復熱し、次いで、第二の冷却として、板厚の1/2位置の平均冷却速度が10℃/s以上として、1/2位置温度がMs以上600℃以下になるまで加速冷却することを特徴とする引張強さ640MPa以上、降伏比80%以下である溶接熱影響部靭性に優れた非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
ここで、Bはベイナイト変態開始温度であり、B=830−270×C−90×Mn−37Ni−70Cr−83Mo…(2)とする。式(2)において、C、Mn、Ni、Cr、Moは各元素の含有量(質量%)とする。
[4]前記第二の冷却後、400℃以上700℃以下の温度で焼戻しを行うことを特徴とする[3]に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、大入熱溶接熱影響部靭性と鋼板内部の靭性に優れた、引張強さ640MPa以上、降伏比80%以下である低降伏比高張力厚鋼板を、熱処理を施すことなく、また、多量な合金含有を行うことなく製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明の非調質低降伏比高張力厚鋼板は、鋼構造物の軽量化や、鋼構造物の耐震性の向上に大きく寄与するという効果もある。
なお、ここでいう「溶接熱影響部靭性に優れた」とは、溶接入熱量が400kJ/cmを超える超大入熱溶接部のボンド部近傍の熱影響部(ボンド部から1mm)において、シャルピー衝撃試験の0℃における吸収エネルギー(vEo)が50J以上を示す場合をいうものとする。
本発明の冷却条件の概略を示す模式図である。
以下、本発明について具体的に説明する。なお、以下の説明において、鋼成分組成の各元素の含有量の単位は「質量%」であり、以下、特に断らない限り単に「%」で示す。
まず、本発明の対象とする非調質低降伏比高張力厚鋼板の成分組成について説明する。
C:0.05〜0.10%
Cは、鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度を増加させ、構造用鋼材として必要な強度を確保するのに有用な元素である。また、焼入れ性を高めてベイナイト組織を得るために必須の元素である。さらにCは、硬質相(MA)の体積率、および硬さを増加させ、降伏比を低下させる作用を有する。このような効果を得るために、Cの含有量は0.05%以上とする。一方、0.10%を超える含有は、溶接性と靭性を顕著に低下させる。このため、Cは0.05〜0.10%の範囲に限定する。なお、好ましくは0.06〜0.09%である。
Si:0.01〜0.10%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶し鋼材の強度を増加させる。このような効果を得るためには、Siの含有量は0.01%以上とする。一方、0.10%を超える含有は、母材の靱性を低下させるとともに、溶接熱影響部靱性を顕著に低下させる。このため、Siは0.01〜0.10%の範囲に限定する。なお、好ましくは、0.02〜0.07%である。
Mn:0.6〜1.8%
Mnは、焼入れ性を高め鋼の強度を増加させる作用を有する元素であり、ベイナイト組織とするため必要である。また、他の合金元素と比べ安価である。このため、所望の高強度および組織を確保するために、0.6%以上の含有を必要とする。一方、1.8%を超える含有は、母材の靱性およびHAZ靱性を著しく低下させる。このため、Mnは0.6〜1.8%の範囲に限定する。なお、好ましくは1.3〜1.6%である。
P:0.009%以下
Pは、溶接部の靱性を低下させる元素であるため、本発明ではできるだけ低減することが望ましい。0.009%を超えて含有すると、上記した悪影響が顕著となるため、Pは0.009%以下に限定する。なお、過度のP低減は、精錬コストを上昇させ、経済的に不利となるため、Sは0.001%程度以上とすることが望ましい。
S:0.003%以下
Sは、鋼中ではMnS等の硫化物系介在物として存在し、母材および溶接部の靱性を劣化させるとともに、鋳片中央偏析部などに多量に偏在して鋳片等における欠陥を発生しやすくする。このような傾向は0.003%を超える含有で顕著となる。このため、Sは0.003%以下に限定する。好ましくは0.002%以下である。なお、過度のS低減は、精錬コストを上昇させ、経済的に不利となるため、Sは0.001%程度以上とすることが望ましい。
Al:0.05%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、高張力鋼の溶鋼脱酸プロセスにおいては、脱酸剤として、もっとも汎用的に使われる。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましい。しかし、0.05%を超える含有は、母材の靱性が低下するとともに、溶接時に溶接金属に混入して溶接金属部靱性を低下させる。このため、Alは0.05%以下に限定する。なお、好ましくは0.010〜0.045%である。
N:0.0040%以下
Nは、鋼中に固溶している場合には、冷間加工後に歪時効を起こし靭性を劣化させる。このため、Tiなどの窒化物形成元素を添加して窒化物として固定することにより、固溶窒素は可能な限り低減することが好ましい。TiNなどの窒化物は、粒界をピンニングして結晶粒の粗大化を防止し、あるいは、フェライト変態核として作用し、HAZ靭性の向上に寄与する。このため、Nは0.0010%以上とすることが好ましい。一方、Nの含有量が0.0040%を超えると、Tiなどの窒化物形成元素により窒化物として固定しても、窒化物が粗大になり、靭性の劣化が著しくなる。このため、Nの含有量は0.0040%以下に限定した。好ましくは0.0030%以下である。
Ti:0.005〜0.020%
Tiは、Nとの親和力が強い元素であり、凝固時にTiNとして析出し、鋼中の固溶Nを減少させ、冷間加工後のNの歪時効による靭性劣化を低減する作用を有する。また、Tiは、HAZの組織改善を介して、HAZ靭性の向上にも寄与する。このような効果を得るためには、0.005%以上の含有を必要とする。一方、0.020%を超えて含有すると、TiN粒子が粗大化し、上記した効果が期待できなくなる。このため、Tiは0.005〜0.020%の範囲に限定する。なお、好ましくは0.007〜0.015%である。
Mo:0.20〜0.60%
Moは、靭性の改善と強度の上昇に有効な元素である。TSが640MPa以上の鋼板を安定して製造するためには0.20%以上の含有を必要とする。しかし、0.60%を超えると溶接性が劣化する。このため、Moは0.20〜0.60%の範囲に限定する。なお、好ましくは0.50%以下である。
Nb:0.005〜0.030%
Nbは、焼入れ性を向上する元素である。また、結晶粒の成長を抑制しHAZ靭性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、0.005%以上の含有を必要とする。しかし、0.030%を超えると、焼入れ性が過剰に高くなり、HAZ靭性および母材靭性が劣化する。このため、Nbは0.005〜0.030%の範囲に限定する。なお、好ましくは0.010〜0.025%である。
2.0≦Ti/N≦4.0
本発明では、N含有量に見合う量のTiを含有させ、固溶NをTiNとして固定する。TiNは、粒界をピンニングして結晶粒の粗大化を防止し、あるいは、フェライト変態核として作用し、HAZ靭性の向上に寄与する。このため、Ti含有量(質量%)とN含有量(質量%)との比、Ti/Nが2.0以上4.0以下を満足するように、Ti量およびN量を調整する。Ti/Nが2.0未満では、N量に比べてTi量が少なすぎるため、多くのNが固溶Nとして残存する。その結果、HAZ靭性が低下したり、溶接部からの脆性破壊発生により部材変形性能が低下する場合がある。このため、Ti/Nを2.0以上に限定する。一方、Ti/Nが4.0を超えると、TiN粒子が粗大化して、所望の効果を確保できなくなる。このため、Ti/Nを2.0〜4.0の範囲に限定する。なお、好ましくは、3.0〜3.8の範囲である。
上記以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。
さらに、上記成分組成に、Cr:0.05〜0.60%、Cu:0.05〜0.50%、Ni:0.05〜0.80%、V:0.001〜0.070%、B:0.0003〜0.0030%、の1種または2種以上を含有し、さらにCeqが、0.40〜0.50を満足することにより、鋼板の強度、HAZ靭性をさらに改善することができる。
Cr、Cu、Ni、V、Bはいずれも、鋼の強度を増加させる作用を有する元素であり、1種または2種以上を選択して含有できる。
Cr:0.05〜0.60%
Crは、焼入性向上を介し、母材の強度を増加させる元素であり、厚鋼板の高強度化に有用な元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上含有することが好ましいが、0.60%を超える含有は、合金コストの増加を招く。このため、含有する場合には、Crは0.05〜0.60%の範囲に限定する。なお、より好ましくは0.10〜0.60%である。
Cu:0.05〜0.50%、Ni:0.05〜0.80%
Cu、Niは、固溶強化や焼入性向上を介して、鋼板の強度を増加させ、厚鋼板の高強度化に寄与する。このような効果を得るためには、0.05%以上含有することが好ましいが、Cuの0.50%を超える含有、Niの0.80%を超える含有は、合金コストの増加を招くうえ、熱間脆性による表面性状の劣化を招く。このため、含有する場合には、Cuは0.05〜0.50%、Niは0.05〜0.80%、の範囲に限定する。なお、より好ましくはCu、Niとも0.10〜0.50%である。
V:0.001〜0.070%
Vは、析出強化によって、強度を増加させるのに有効な元素である。このような効果を得るためには、0.001%以上の含有が好ましい。しかし、0.070%を超えて添加すると、HAZ靭性および母材靭性が劣化する。従って、Vを添加する場合は0.070%以下とする。より好適には0.005〜0.060%である。
B:0.0003〜0.0030%
Bは焼入れ性の向上を介し、鋼の強度増加に寄与する元素である。このような効果を得るために、0.0003%以上含有することが好ましい。しかし、0.0030%を超える含有は、母材やHAZ靭性を劣化させる。このため、含有する場合には、Bは0.0003〜0.0030%の範囲に限定する。なお、より好ましくは0.0006〜0.0020%である。
Ceq:0.40〜0.50
Ceqが、0.40未満では、所望の母材強度を確保できないうえ、溶接熱影響部の軟化を所望の許容限度内に抑えることができない。一方、Ceqが、0.50を超えて高くなると、溶接性が低下するとともに、母材靭性、HAZ靭性が低下する。このため、Ceqは0.40〜0.50の範囲に限定した。なお、Ceqは下記式(1)で定義される。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14…(1)
ここで、C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、V、は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
次に、本発明の金属組織について説明する。
本発明では、引張強さ640MPa以上と、降伏比80%以下とを兼備させるために、鋼板表面から板厚方向に5mm未満の範囲における金属組織が、島状マルテンサイト(MA)の面積率が5〜20%であり、残部がベイナイトであり、板厚方向に5mm以上から板厚中央部までの範囲における金属組織が、旧オーステナイト粒径が60μm以下であり、ベイナイトの面積率が70%以上、ベイナイト以外の残部が、島状マルテンサイト(MA)が10%以下(0%含む)、あるいはさらに、パーライトおよび/またはフェライト、からなる金属組織とする。
鋼板表面から板厚方向に5mm未満の範囲における金属組織:面積率で、島状マルテンサイト(MA)が5〜20%であり、残部がベイナイト
鋼板表面から板厚方向に5mm未満までの範囲において、鋼板表層部をベイナイト(B)+島状マルテンサイト(MA)の2相組織にすることにより、高強度を保ったまま低降伏比化を実現することができる。MAはベイナイトと比べ硬質であり、その周りのベイナイトを歪ませて可動転位を多数導入できる。このため、ベイナイト(B)+島状マルテンサイト(MA)の2相組織では、ベイナイト単相組織に比べ、より低応力で転位が移動するようになるため、降伏応力が低下し、ベイナイト単相組織に比べ、低降伏比とすることが可能である。また、このような2相組織にすることにより、軟質相であるフェライト(F)を含んだF+Bの2相鋼とは異なり、高強度を保ったまま低降伏比を達成することが可能である。表層が低降伏比であると、表層がより低応力で降伏する。表層が降伏すると、表層以外の部分に応力が集中して、表層以外の部分も降伏するため、鋼板全体の見かけの降伏応力が低下して、鋼板全体を低降伏比とすることができる。
本発明において、島状マルテンサイト(MA)の面積率が5%未満では、可動転位の導入が少なく、所望の低降伏比とすることができない。また、MAはベイナイトと比べ硬質であり、脆性亀裂の発生起点として作用するため、MAの面積率が20%を超えると母材の靭性が極度に低下する。このため、鋼板表面から板厚方向に5mm未満までの範囲において、MAは5〜20%とする。好ましくは8〜18%である。
なお、一般的に、上部ベイナイトはベイナイトラス間、あるいは粒界に島状マルテンサイト(MA)を含む組織であり、ベイナイトを構成するベイニティックフェライト(ベイナイトラス)とMAの両方を含む組織全体をベイナイトとしている。しかし、本発明では、MAはベイナイトと別の組織として区別した。本発明では一般的な上部ベイナイト組織からMAを除いた部分をベイナイトとする。また、MAを含まない下部ベイナイトは組織全体をベイナイトとする。
板厚方向に5mm以上から板厚中央部までの範囲における金属組織:旧オーステナイト粒径が60μm以下
旧オーステナイト粒径はベイナイト変態する前のオーステナイトの粒径である。ベイナイトは、原子の長距離拡散を伴わずに剪断的にオーステナイトから変態した変態生成相である。このため、ベイナイト変態前のオーステナイト粒界は保存され、旧オーステナイト粒径は組織観察により容易に測定できる。ベイナイト変態により、オーステナイト結晶粒は、ほぼ同じ結晶方位を有する下部組織(ラス)の集団であるブロックまたはパケットに分断される。したがって、オーステナイト粒径が小さくなると、必然的に変態後のブロックまたはパケットの粒径も小さくなる。ブロックまたはパケットは脆性破壊における破面単位であるので、旧オーステナイト粒径が小さくなると、破面単位が小さくなり靭性が向上する。このため、板厚方向に5mm以上から板厚中央部までの範囲における金属組織の旧オーステナイト粒径を60μm以下と規定した。旧オーステナイト粒径が60μmを超えると所望の靭性が得られない。好ましくは50μm以下である。なお、旧オーステナイト粒径の下限は特に限定しないが、実際上、本発明の製造条件では旧オーステナイト粒径は10μm以上である。
板厚方向に5mm以上から板厚中央部までの範囲における金属組織:面積率で、ベイナイトが70%以上、残部が、島状マルテンサイト(MA)10%以下(0%を含む)、あるいはさらに、パーライトおよび/またはフェライト
鋼板全体を、前述したB+MAの2相組織にしてしまうと、鋼板内部の靭性が著しく劣化してしまう。このため、鋼板内部(板厚方向に5mm以上板厚中央部までの範囲)については、主相をベイナイトとし、ベイナイトの面積率を70%以上にすることにより、強度と靭性を保つことができる。ベイナイトの面積率が70%未満では所望の強度が得られない。このため、ベイナイトの面積率は70%以上とする。ベイナイトの面積率は好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。また、ベイナイト以外の残部は、島状マルテンサイト、あるいはさらに、パーライトおよび/またはフェライトとする。島状マルテンサイト(MA)が多く存在すると靭性を保つことができないため、島状マルテンサイト(MA)は10%以下(0%を含む)とする。島状マルテンサイト(MA)が10%超えでは、靭性が低下し所望の靭性が得られない。なお、ベイナイト以外のMA、パーライトおよびフェライトは少ないほど好ましく、鋼板内部はベイナイト100%(ベイナイト単相)が最も好ましい。すなわち、MA、パーライトおよびフェライトは、全く、無い方が好ましい。なお、この場合のベイナイトはMAを含まないベイナイト(下部ベイナイト)である。また、MAではないマルテンサイト(一般的なマルテンサイト)は生成させない。マルテンサイト組織は結晶粒の一部または全部で、ある程度広い領域にわたって、マルテンサイトである組織であり、ベイナイトラス間あるいは粒界に小さいマルテンサイトが分散して生成するMAとは異なる。マルテンサイトが生成すると、マルテンサイトは高強度で降伏強度も高いため、低降伏比とすることが困難となり、靭性も低下する。
次に、本発明の製造条件について、説明する。
本発明の製造方法は、上述した成分組成を有する鋼を、1050〜1200℃に加熱後、表面温度が950℃以下の温度域での累積圧下量が30%以上で、圧延終了温度が表面温度でAr3変態点以上900℃以下となる熱間圧延を行い、その後、第一の冷却として、表面温度でAr3変態点以上の温度から冷却を開始し、表面の平均冷却速度が50℃/s以上で冷却し、表面温度で(B−150)℃以上(B−30)℃以下で冷却を停止する加速冷却を行い、前記第一の冷却停止後、表面温度が冷却停止温度から30℃以上上昇しかつ、B℃以下の温度まで復熱し、次いで、第二の冷却として、板厚の1/2位置の平均冷却速度が10℃/s以上として、1/2位置温度がMs以上600℃以下になるまで加速冷却する。なお、鋼材(鋼素材(スラブ)または鋼板)の温度は特に断らない限り、鋼材の表面温度を意味する。
まず、上述した成分組成を有する鋼を、転炉、電気炉等の溶製手段により溶製し、連続鋳造法または造塊〜分塊法等でスラブ等の鋼素材とすることが好ましい。なお、溶製方法、鋳造法について上記した方法に限定されるものではない。その後、所望の形状に圧延し、圧延後に、冷却および加熱を行う。
鋼素材の加熱温度:1050〜1200℃
加熱温度が1050℃未満では、Ti、Moなどの炭化物を完全に固溶させることができず、得られる厚鋼板の強度が低下しやすい。一方、鋼素材の加熱温度が1200℃を超えると、組織が粗大化して得られる厚鋼板の靭性が低下する。このため、鋼素材の加熱温度は1050〜1200℃とする。なお、好ましくは1080℃〜1150℃である。
表面温度が950℃以下の温度域での累積圧下量:30%以上
本発明では、得られる厚鋼板のミクロ組織を適度に微細化するため制御圧延を行う。表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下量が30%未満では、組織が粗大化し、得られる厚鋼板において所望の靭性を確保できなくなる。このため、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下量を30%以上に限定する。なお、好ましくは33%以上である。なお、950℃を超える温度域では、圧延後に再結晶が瞬時に起こり、結晶粒が成長するため、結晶粒の微細化には950℃を超える温度域での圧下量は結晶の微細化にほとんど寄与しない。
圧延終了温度:表面温度でAr3変態点以上900℃以下
圧延終了温度が表面温度で900℃を超えると、組織が粗大化し得られる厚鋼板において所望の靭性を確保できなくなる。一方、圧延終了温度が表面温度でAr3変態点未満では、圧延中あるいは圧延直後にフェライトが生成し、粗大化して、表層部の靱性が低下する。このため、圧延終了温度は表面温度でAr3温度以上900℃以下に限定する。好ましくは780〜850℃である。
なお、Ar3変態点は、下記式を用いて算出した値を用いるものとする。
Ar3変態点(℃)=900−332C+6Si−77Mn−20Cu−50Ni−18Cr−68Mo・・・(3)
上記式(3)において、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Moは、各元素の含有量(質量%)とし、上記式で記載された元素が含有されない場合には、当該元素を零として計算するものとする。
次に、本発明の冷却条件について図1を用いて説明する。図1は表面および板厚1/2の温度履歴をCCT図(連続冷却変態図)に重ねた模式図である(この図は本発明の冷却条件と組織形成の関係を模式的に表したものであり、実際のCCT図、冷却曲線を示すものではない)。図中のB、F、P、Mはそれぞれベイナイト、フェライト、パーライト、マルテンサイトが生成する温度−時間領域である。第1の冷却によって鋼板表層部は、表面温度で平均冷却速度が50℃/s以上で冷却される。板厚1/2は第1の冷却によって冷却されるが、表層ほど急速には温度が低下しない。また、板厚1/2は、表層が冷却されてから熱伝導によって冷却されるため、板厚1/2の温度変化は加速冷却の開始から時間的遅れがある。このため、板厚1/2の第一の冷却は、第一の冷却の開始によって板厚1/2の冷却速度が増加しはじめた時点から、第一の冷却の停止によって板厚1/2の冷却速度が減少しはじめた時点までとする。なお、表面温度は加速冷却の開始と同時に冷却速度が増加し、加速冷却の停止と同時に冷却速度が低下する。第一の冷却によって表層はベイナイト変態を開始し、表面温度が(B−150)℃以上(B−30)℃以下で冷却を停止する。第一の冷却の停止後、表層は復熱し温度が上昇する。第一の冷却の停止後、板厚1/2の温度の冷却速度は低下し、板厚1/2の温度はAr3変態点以上を保つ。表面温度が30℃以上上昇した後、表面温度がBs以下の温度から第二の冷却を開始する。板厚の1/2位置の平均冷却速度を10℃/s以上で加速冷却し、1/2位置温度がMs以上600℃以下になるまで加速冷却する。表面の温度は、板厚の1/2位置よりも急速に冷却され、第二の冷却を停止すると復熱し温度が上昇する。なお、前述のように、板厚の1/2位置の温度変化は加速冷却の開始、停止から時間的遅れを伴う。このため、第二の冷却による板厚の1/2位置の平均冷却速度は、第二の冷却の開始によって板厚1/2の冷却速度が増加しはじめた時点から、第二の冷却の停止によって板厚1/2の冷却速度が減少しはじめた時点までの平均冷却速度とする。
以下に、各冷却温度条件について説明する。
第一の冷却の開始温度:表面温度でAr3変態点以上の温度
第一の冷却の開始温度が、Ar3変態点未満では、加速冷却開始前にフェライトが生成し、粗大化するため、表層部のフェライト粒の微細化が達成できなくなり、表層部の靭性が低下する。このため、第一の冷却の開始温度をAr3変態点以上に限定する。
第一の冷却の冷却速度:表面の平均冷却速度が50℃/s以上
冷却速度が50℃/s未満では、板厚の1/2位置の温度がAr3変態点以上を保ったまま、表面温度を(B−150)℃以上(B−30)℃以下まで低下させるとが困難である。このため、第一の冷却の冷却速度を、表面の平均冷却速度が50℃/s以上とする。なお、ここでいう「表面の平均冷却速度」とは、鋼板表面における加速冷却開始から終了までの平均の冷却速度をいう。
第一の冷却の冷却停止温度:表面温度が(B−150)℃以上(B−30)℃以下、板厚の1/2位置の温度がAr3変態点以上
第一の冷却では、表層部と内部との温度差がある程度生じるように冷却し、冷却停止後の復熱により、表層部に島状マルテンサイトを生成させる。また、第一の冷却での加速冷却において、冷却停止温度が表面温度で(B−150)℃未満では温度が低くなりすぎ、MAが生成しない下部ベイナイト組織、あるいはマルテンサイト組織が生じてしまう。一方、冷却停止温度が表面温度で(B−30)℃を超える温度ではベイナイト変態がほとんど進まず、その後の復熱においても変態せず、大部分が未変態のオーステナイトとして残存する。この未変態のオーステナイトは第二の冷却により変態し、MAが生成しない下部ベイナイト組織、あるいはマルテンサイト組織となる。したがって、冷却停止温度が表面温度で(B−30)℃を超える温度では所望のMA量を確保できない。このため、冷却停止時の表面温度は(B−150)℃以上(B−30)℃以下とする。また、板厚の1/2位置の温度はAr3変態点以上を保持し、フェライト変態を起こさないようにする。これは、鋼板内部を第二の冷却でベイナイトを主体とする組織とするためである。鋼板内部は冷却されにくいので、第一の冷却でAr3変態点未満まで冷却されると、第一の冷却の停止後、冷却速度が低下することにより、フェライトが生成する。このため、ベイナイトを主体とする組織とすることが困難となる。したがって、冷却停止時の板厚の1/2位置の温度はAr3変態点以上とする。
なお、Bsはベイナイト変態開始温度であり、以下の式で定義される。
=830−270×C−90×Mn−37Ni−70Cr−83Mo…(2)
式(2)において、C、Mn、Ni、Cr、Moは各元素の含有量(質量%)とする。
第一の冷却停止後、表面温度が30℃以上上昇し、Bs以下の温度まで復熱
本発明では、第一の冷却停止後、表面温度が30℃以上上昇し、Bs以下の温度まで復熱後、第二の冷却を開始する。復熱は、表面温度が30℃以上上昇する時点まで行う。そして、第二の冷却を開始する。ただし、第一の冷却停止後、表面温度はBsを超えてはならない。本発明では、第一の冷却と第二の冷却との間の冷却停止中の復熱中に、島状マルテンサイトを生成させる。このため、復熱後の温度、すなわち第二の冷却の冷却開始温度が、島状マルテンサイト生成という組織制御の観点から重要な因子となる。第一の冷却停止後、ベイナイト変態は完全に完了しておらず、ベイナイトラス間に未変態のオーステナイトが残存した状態になっている。この状態で冷却が停止されると、ベイナイトラスからCが吐き出され、未変態のオーステナイトにCが濃化する。この未変態のオーステナイトにCが十分濃化されていれば、未変態のオーステナイトは、第二の冷却により島状マルテンサイト(MA)に変態する。このため、冷却を停止して復熱を十分にさせなければ所望量のMAを含む組織が得られない。このため第一の冷却停止後、表面温度が30℃以上上昇するまで復熱する。ただし、第一の冷却停止後、表面温度はBsを超えてはならない。復熱により、表面温度がBs℃を超えると、表層部において、ベイナイト変態が進行しなくなり、未変態のオーステナイトが残存する。この未変態のオーステナイトが第二の冷却によって急冷されると、MAを含まないベイナイト(下部ベイナイト)、あるいは、マルテンサイトとなる。これらの相はMAを含まないため所望のMA量が得られない。また、これらの相は、比較的高温で生成するMAを伴うベイナイト(上部ベイナイト)よりも強度が高く、降伏比が高くなってしまう。
第二の冷却の冷却速度:板厚の1/2位置の平均冷却速度で10℃/s以上
本発明の第二冷却は、上述したように、第一の冷却停止後、表面温度が30℃以上復熱(ただし、表面温度がBs℃を超えない)した後、第二の冷却を開始する。第二の冷却により、鋼板内部については、ベイナイトを主相とする組織となるので、鋼板内部の靭性に優れた高張力厚鋼板を得ることができる。本発明では、第二の冷却では、板厚の1/2位置の平均冷却速度で10℃/s以上で冷却する。板厚の1/2位置を、平均冷却速度で10℃/s以上で冷却することにより。鋼板内部をベイナイト主体の組織とすることができる。また、板厚の1/2位置の平均冷却速度で10℃/s以上であれば、表層はこれを上回る冷却速度で冷却されるため、ベイナイト中の未変態オーステナイトをMAに変態させ、ベイナイト中にMAを含む組織とすることができる。また、平均冷却速度が10℃/s未満では、ベイナイトが十分生成せず、ベイナイト以外にフェライトおよびパーライトが過剰に生成するため、鋼板内部を所望の組織とすることができない。なお、板厚の1/2位置の平均冷却速度は、第二の冷却の開始によって板厚1/2の冷却速度が増加しはじめた時点から、第二の冷却の停止によって板厚1/2の冷却速度が減少しはじめた時点までの平均冷却速度とする。
第二の冷却の冷却停止温度:板厚の1/2位置温度でMs以上600℃以下
第二の冷却の冷却停止温度が、板厚の1/2位置温度で600℃超えの場合、ベイナイトが十分生成せず、ベイナイト以外にフェライトおよびパーライトが過剰に生成するため、鋼板内部を所望の組織とすることができない。
第二の冷却の冷却停止温度の下限は板厚の1/2位置温度でMsとする。Ms未満まで加速冷却を続けるとマルテンサイト(島状マルテンサイト(MA)ではない一般的なマルテンサイト)が生成するため、所望の組織とすることができない。
なおMsはマルテンサイト変態の開始温度であり、以下の式で定義される。
Ms=499−308C-10.8Si−32.4Mn−16.2Ni−27Cr−10.8Mo・・・(4)
式(4)において、C、Si、Mn、Ni、Cr、Moは各元素の含有量(質量%)とする。
なお、上記した冷却工程を施したのち、必要に応じて、強度および靭性の調整を目的として、焼戻工程を施してもよい。焼戻しは、400℃以上700℃以下の温度で行うことが好ましい。焼戻温度が400℃未満では、所望の効果を期待できない。一方、700℃を超える温度では、強度低下が著しくなる。
以下、実施例に基いて、さらに本発明について説明する。
表1に示す成分組成を有する鋼素材を用いて、表2に示す製造条件で厚鋼板を作製した。なお、冷却は、第一の冷却と、冷却停止−復熱を経て、第二の冷却とからなる冷却とした。第一の冷却および第二の冷却は高速水流による加速冷却であり、これ以外では鋼板は空冷により温度低下する。各工程における鋼板温度は、赤外線放射温度計で表面温度を測定し、これに基づき、必要に応じて、板厚の1/2位置の温度を、伝熱計算を用いて算出した。
Figure 2015190008
Figure 2015190008
得られた厚鋼板について、組織観察、引張特性、衝撃特性、HAZ靭性をそれぞれ求めた。各試験方法は次の通りとした。
(1)組織観察
板厚全厚の組織観察用試験片のL方向断面を研磨、ナイタール腐食して鋼板表面から1mm間隔で鋼板の中央まで、光学顕微鏡(倍率:400倍)および走査型電子顕微鏡(倍率:2000倍)を用いて、ミクロ組織を各3視野以上観察し、撮像して画像解析により、組織の種類、旧オーステナイト粒径、および組織分率(面積率%)を求めた。鋼板表層部(鋼板表面から板厚方向に5mm未満)の組織は、表面から1、2、3,4mm位置のミクロ組織から求め、旧オーステナイト粒径、組織分率は、これらの位置の平均とした。表面直下の組織は表面脱炭による影響が大きいため、表面直下の組織は表層の組織に含めない。また、鋼板内部(板厚方向に5mm以上から板厚中央まで)の組織は、表面から5mm位置、および、これより中央よりの各位置のミクロ組織から求め、旧オーステナイト粒径、組織分率は、これらの位置の平均とした。フェライトの判別は、光学顕微鏡(倍率:400倍)によるミクロ組織写真で結晶粒内に下部組織が認められないものをフェライトとし、面積分率を測定した。また、光学顕微鏡によるミクロ組織写真から、旧オーステナイト粒径を測定した。ベイナイト、MA、マルテンサイト(MAを除く)、パーライトの判別は走査型電子顕微鏡によるミクロ組織写真(倍率:2000倍)で行った。MAはベイナイトラス間、結晶粒界などに存在する扁平な粒状、あるいは球状の組織をMAとした。なお、MAは倍率2000倍で識別可能な粒径0.5μm以上のもののみをMAとして判断した。また、炭化物がラメラ状(層状)なっているものをパーライトと判断した。また、結晶粒全体にラス状の下部組織を示し、内部に炭化物の析出のないものをマルテンサイトとした。フェライト、MA、パーライト、マルテンサイト以外の組織はすべてベイナイトとした。
(2)引張特性
引張方向がL方向となるように、JIS Z 2201の規定に準拠して、JIS5号全厚引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して、引張試験を実施し、引張特性(降伏強さYS、引張強さTS)を求めた。また、得られた測定値から、降伏比YR(=YS/TS×100%)を算出した。
(3)衝撃特性
板厚(t)の1/2位置から、JIS Z 2242に準拠して、Vノッチ衝撃試験片を採取し、シャルピー衝撃試験を実施し、破面遷移温度vTrs(℃)を求めた。なお、vTrsが、−40℃以下である場合を靭性に優れるとした。
(4)大入熱溶接部靭性(HAZ靭性)
得られた厚鋼板からダイヤフラム厚60mmとし、エレクトロスラグ溶接ESW(溶接入熱量:460kJ/cm)により溶接継手(ESW継手)を作製した。得られた溶接継手から、試験片の切欠き位置を、ボンド部から1mm離れた位置のHAZとするVノッチ試験片を採取し、JlS Z 2242の規定に準拠して、シャルピー衝撃試験を実施し、試験温度:0℃における吸収エネルギー(vEo)を求め、大入熱溶接HAZ靱性を評価した。なお、吸収エネルギー値は、試験片3本の平均値とした。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2015190008
表3の結果から、本発明例はいずれも、引張強さ640MPa以上、降伏比80%以下を有し、さらに衝撃特性は−40℃以下を満足する、非調質低降伏比高張力厚鋼板となっている。さらに、本発明例はいずれも、溶接入熱量:460kJ/cmの溶接継手の溶接ボンドから1mm離れた位置のHAZの0℃における吸収エネルギーが50J以上と、大入熱溶接部靭性にも優れている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、強度、降伏比が不足しているか、あるいは大入熱溶接部靭性が低下している。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.10%、Si:0.01〜0.10%、Mn:0.6〜1.8%、P:0.009%以下、S:0.003%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0040%以下、Mo:0.20〜0.60%、Nb:0.005〜0.030%を含有し、2.0≦Ti/N≦4.0とし、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    鋼板表面から板厚方向に5mm未満の範囲における金属組織が、面積率で、島状マルテンサイト(MA)が5〜20%であり、残部がベイナイトであり、
    板厚方向に5mm以上から板厚中央部までの範囲における金属組織が、旧オーステナイト粒径が60μm以下であり、面積率で、ベイナイトが70%以上、残部が、島状マルテンサイト(MA)が10%以下(0%を含む)、あるいはさらに、パーライトおよび/またはフェライトからなり、引張強さ640MPa以上、降伏比80%以下であることを特徴とする溶接熱影響部靭性に優れた非調質低降伏比高張力厚鋼板。
  2. さらに、質量%で、Cr:0.05〜0.60%、Cu:0.05〜0.50%、Ni:0.05〜0.80%、V:0.001〜0.070%、B:0.0003〜0.0030%の1種または2種以上を含有し、さらに下記(1)式で定義されるCeqが、0.40〜0.50を満足することを特徴とする請求項1に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板。
    Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14…(1)
    上記式(1)において、C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Vは各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
  3. 請求項1または2に記載の成分組成を有する鋼素材を、1050〜1200℃に加熱後、表面温度が950℃以下の温度域での累積圧下量が30%以上で、圧延終了温度が表面温度でAr3変態点以上900℃以下となる熱間圧延を行い、その後、第一の冷却として、表面温度でAr3変態点以上の温度から冷却を開始し、表面の平均冷却速度が50℃/s以上で冷却し、表面温度が(B−150)℃以上(B-30)℃以下、さらに、板厚の1/2位置の温度がAr3変態点以上で、冷却を停止する加速冷却を行い、前記第一の冷却停止後、表面温度が冷却停止から30℃以上上昇して、かつ、B以下の温度まで復熱し、次いで、第二の冷却として、板厚の1/2位置の平均冷却速度が10℃/s以上として、1/2位置温度がMs以上600℃以下になるまで加速冷却することを特徴とする引張強さ640MPa以上、降伏比80%以下である溶接熱影響部靭性に優れた非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
    ここで、Bはベイナイト変態開始温度であり、
    =830−270×C−90×Mn−37Ni−70Cr−83Mo…(2)
    とする。式(2)において、C、Mn、Ni、Cr、Moは各元素の含有量(質量%)とする。
  4. 前記第二の冷却後、400℃以上700℃以下の温度で焼戻しを行うことを特徴とする請求項3に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
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