JP2013147742A - 溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】、降伏強さ440MPa以上、引張強さ590MPa以上を有し、降伏比が80%以下の低降伏比高張力鋼板を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.06〜0.09%、Si:0.01〜0.07%、Mn:1.0〜1.6%、P:0.009%以下、S:0.0007%以下、Mo:0.20〜0.60%、Al:0.005〜0.060%を含有し、さらにNb:0.005〜0.030%、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0025%〜0.0055%を式(1)および式(2)を満すように含有し、さらにB:0.0003%以下であり、かつ、炭素当量Ceqを0.40〜0.47%、溶接割れ感受性指数Pcmを0.21%以下とし、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板。
【選択図】図1

Description

本発明は、土木、建築および橋梁分野の溶接構造物に使用され、入熱15〜900kJ/cmの広い条件の溶接熱影響部の靭性と耐溶接割れ性(または耐硬化性)に優れ、降伏強さ440MPa以上、引張強さ590MPa以上を有し、降伏比が80%以下の低降伏比高張力鋼板に関するものである。
近年、溶接構造物の大型化に伴い、鋼板の高強度化や厚肉化が進められている。同時に、構造物の施工能率向上と施工コストの低減の観点から溶接効率の向上が求められ、大入熱溶接の適用範囲が拡大している。例えば、高層建築物に用いられるボックス柱では、サブマージアーク溶接やエレクトロスラグ溶接などの溶接入熱が400kJ/cmを超えるような超大入熱溶接が適用されている。
また、建築構造物では耐震性の向上が求められ、鋼板母材の塑性変形能確保のために、降伏比(YR)を80%以下とする低YR特性が要求されてきたが、さらに近年、溶接継手部における高い靱性も要求されるようになってきている。例えば、ボックス柱の溶接部や柱−梁接合部において、0℃におけるシャルピー吸収エネルギー値が、重要な部位では、47J以上、その他の部位でも27J以上といった値が必要とされている。
一般に、鋼板に大入熱溶接を適用した際に、最も靱性が低下する部位は、溶接熱影響部(以下HAZと呼ぶ)のうち、溶融線近傍のボンド部と呼ばれる領域である。ボンド部では、大入熱溶接時に融点に近い高温にさらされて、オーステナイト粒が粗大化しやすく、引き続く冷却の際に、上部ベイナイト組織や島状マルテンサイトといった低靭性の組織がオーステナイト粒内に生成しやすい。このようなHAZは、旧オーステナイト粒が粗大化していることから、粗粒HAZ(Coarse grain HAZ : 以下CGHAZと呼ぶ)と呼ばれている。
一方、小入熱多パス溶接時のボンド部では、後続パスによる再加熱によって、2相域まで再加熱される領域(Inter−critically reheated CGHAZ : 以下ICCGHAZと呼ぶ)が存在する。このような領域では、島状マルテンサイトが生成しやすく、靱性が低下する。
引張強さが590MPaを超える高強度鋼板では、強度確保のために合金を多量に添加することが多く、降伏比は上昇し、大入熱溶接のボンド部や小入熱溶接での2相域再加熱HAZ(ICCGHAZ)では、靭性が低下する傾向にある。また、このような鋼板の仮付け溶接や吊り工具の溶接など小入熱でかつビード長さが短い溶接部では、HAZが硬化しやすく、硬化部の硬さがHV350を超えると低温割れや遅れ破壊などの危険があるため、耐溶接割れ性(または耐硬化性)の観点からHAZ硬さは、HV350未満が要求される。このため、低降伏比と優れたHAZ靭性、耐溶接割れ性などをすべて備えた高強度鋼板の開発が要望されている。
HAZ靱性の向上に対しては、鋼中に微細な介在物や析出物を分散させて、オーステナイト粒の粗大化を防止するとともに、粒内フェライトの核生成サイトとして機能させて旧オーステナイト粒内組織の微細化を図る技術が普及している。
例えば、特許文献1には、TiNと希土類元素(REM)の酸硫化物(オキシサルファイド)を複合して鋼中に微細分散させる技術が開示されている。また、特許文献2には、Ti酸化物を分散させてオーステナイト粒内でフェライト粒核生成サイトとして利用し、HAZ靱性を向上させる技術が開示されている。特許文献3には、超大入熱HAZ靭性を向上させるために、Ca、O、Sの含有量を適正範囲に調整し、形態を最適化したCa酸硫化物を鋼中に分散して、粒内フェライトの核生成を促進する技術が開示されている。
しかしながら、これらの技術では、Ti、N、Ca、S、Oなどの微量元素の量を精密に制御する必要があり、製鋼コストの増加につながったり、大量生産が難しいという問題がある。また、TiNを鋼中に多量に分散させようとしてN量を増加すると、連鋳スラブの表面性状が劣化して、鋳片表面の手入負荷が増大したり、歩留まりが低下してコスト増加につながるという問題がある。
特許文献4には、合金元素添加量の調整により焼入性を適正な範囲に制御して、大入熱HAZ靭性を高める方法が開示されている。焼入性を低い範囲に制御して、超大入熱溶接HAZ部の組織をフェライト+パーライトにする場合と、高い焼入性として下部ベイナイト主体の組織にする場合があるが、低い焼入性では、例えば60mmを超える厚肉材では母材および溶接継手の強度を590MPa以上に保つことが難しく、一方、高い焼入性にするためには、多量の合金元素を添加する必要があるという問題がある。
特許文献5には、Cを0.02〜0.04%まで低減するとともに、Bおよび他の合金元素を添加することによって焼入性を高め、ベイナイト主体の組織を得る方法が開示されている。厚肉材で十分な強度を確保するためには、高い焼入性を得るために多量の合金元素を添加する必要があるが、Mn、Cu、Niなどのオーステナイト安定化元素の添加量を増やすことは、連鋳スラブの表面性状を劣化させたり、中央偏析部の硬さの上昇によるスラブ内部欠陥増加などの問題を引き起こす可能性がある。
特許文献6には、母材およびHAZの強度が確保しやすいC:0.07〜0.09%の鋼に、Moを0.20〜0.60%添加して、大入熱溶接HAZ組織をベイナイト単相化し、さらに、Si、Pを低減することによって、大入熱溶接HAZ靭性を向上する技術が開示されている。この技術によれば、溶接熱影響部靭性と耐溶接割れ性に優れた高強度厚鋼板を、介在物や析出物の微細分散制御など高度な製鋼技術を用いることなく、スラブ表面性状を損ねる元素を添加することもなく、大量生産に適した形で安価に得ることが可能である。エレクトロスラグ溶接部など大入熱溶接熱影響部においても、0℃でのシャルピー吸収エネルギーが27J程度以上の靭性を安定して得ることができる。しかしながら、この方法では、大入熱溶接熱影響部において、あるいは小入熱多パス溶接時のボンド部に点在するICCGHAZを模した再現HAZ組織において、0℃で47J以上のシャルピー吸収エネルギーを安定して得ることは困難である。また、この技術ではある程度の量のSを含有させることが必要なため、鋼板板厚中央付近のMnおよびSが濃化した偏析部においては、伸長した介在物(MnS)の存在により、板厚方向(Z方向)のシャルピー吸収エネルギーが低下する場合がある。特に、熱影響部が広範囲に及ぶエレクトロスラグ溶接継手においては、中心偏析部と溶接熱影響が重なることがあり、溶接部のシャルピー衝撃試験において、試験片を板厚方向に(亀裂面が板面平行になるように)採取するため、吸収エネルギーが低下しやすいという問題があった。
特開昭60−152626号公報 特開昭57−51243号公報 特開2005−68519号公報 特開平09−202936号公報 特開2000−219934号公報 特願2011−208213号公報
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、最大100mmまでの板厚範囲において、建築構造用として好適な440MPa以上の降伏強さと590MPa以上の引張強さ、80%以下の低降伏比を有し、さらに超大入熱溶接熱影響部および小入熱多パス溶接部において溶接熱影響部靭性と耐溶接割れ性に優れた高強度厚鋼板を介在物、析出物の微細分散制御など高度な製鋼技術を用いることなく、スラブ表面性状を損ねる元素を添加することもなく、大量生産に適した形で安価に得ることを目的とする。
本発明でいう「溶接熱影響部靭性に優れた」とは、溶接入熱量が400kJ/cmを超えるエレクトロスラグ等の大入熱溶接継手のボンド部(CGHAZ)およびHAZに含まれている中心偏析部において、シャルピー衝撃試験の0℃における吸収エネルギー(vE0)が平均47J以上の靭性を有し、さらに溶接入熱量20〜50kJ/cmの小入熱多パス溶接におけるICCGHAZにおいても、シャルピー衝撃試験の0℃における吸収エネルギー(vE0)が平均47J以上の靭性を有する場合をいうものとする。また、「耐溶接割れ性に優れた」とは長さ40mmのショートビート溶接部の最高硬さがHV350未満且つ、溶接割れ感受性指数Pcmが0.21%以下である場合をいうものとする。
連鋳スラブの割れ発生などにより製造性を損ねないために、スラブ割れを助長するN、B、Cu、Ni等の元素をできるだけ添加しないこととした。合金元素添加量を低減しつつ、母材および溶接継手における安定した引張強さを確保するためには、C量は多い方が望ましいが、優れた耐溶接割れ性とHAZ靭性を得るためにはC低減が望ましい。そのバランスを最適化するために、C量を0.06〜0.09%の狭い範囲に限定し,Mo添加によってミクロ組織をベイナイト主体として強度を確保した。
同時に、SiおよびPを低減することによって、超大入熱溶接のCGHAZおよび小入熱多パス溶接におけるICCGHAZの靭性が向上する。SiとPの低減は、靭性を劣化させる島状マルテンサイトの生成を抑制し、さらに、島状マルテンサイト自体の靭性向上にも寄与する。また、N、B、Cu、Ni等の元素をできるだけ低減することも、超大入熱溶接のCGHAZおよび小入熱多パス溶接におけるICCGHAZの島状マルテンサイト生成抑制に寄与する。これらの成分設計により、小入熱から大入熱の溶接継手熱影響部において、0℃でのシャルピー吸収エネルギーが平均47J程度以上の靭性を安定して確保することができる。
さらに、より高い靭性を確保するための成分設計を検討した。従来、適量のSを含有させることは、HAZ靱性向上のために好ましいと考えられてきた。これは、鋼中に分散したMnSが、旧オーステナイト粒内でのベイナイト核生成を促進し、パケットやブロックと呼ばれるベイナイト下部組織のサイズを微細化するためである。しかしながら、MnSは組織微細化に寄与すると同時に、それ自体は靱性を低下させる原因となるものである。そこで、Sをできるだけ低減して、鋼中のMnSを極限まで少なくし、代わりにMnSより微細で、靭性へ悪影響が少なく、MnSと同様に旧オーステナイト粒内でのベイナイト核生成を促進するTiを含む窒化物または炭窒化物(Ti、Nbの複合炭窒化物を含む)を分散させることにより、大入熱溶接HAZ靭性が向上することに想到した。Ti、Nb、Nのバランスを適正な範囲に制御することにより、有害なMnSを減らしながらも、ベイナイト下部組織を微細化することができる。
本発明は、上記した知見にさらに検討を加えたもので、その要旨は以下の通りである。
[1]質量%で、C:0.06〜0.09%、Si:0.01〜0.07%、Mn:1.0〜1.6%、P:0.009%以下、S:0.0007%以下、Mo:0.20〜0.60%、Al:0.005〜0.060%を含有し、さらにNb:0.005〜0.030%、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0025%〜0.0055%を下記式(1)および式(2)を満すように含有し、さらにB:0.0003%以下であり、かつ、下記式(3)に示す炭素当量Ceqが0.40〜0.47%、下記式(4)に示す溶接割れ感受性指数Pcmが0.21%以下を満たすように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板。
3.0×10−5 ≦ (Ti+Nb/5)×N ≦ 9.0×10−5 ・・・(1)
但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
2.5 ≦ (Ti+Nb/3)/N ≦ 5.5 ・・・・・・(2)
但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5
+Mo/4+V/14(%) ・・・・・・・・・・・・・(3)
但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60
+Cr/20+Mo/15+V/10+5B(%) ・・・(4)
但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
[2]さらに、質量%で、Cr:0.05〜0.60%、V:0.005〜0.080%の1種または2種を含有することを特徴とする[1]に記載の溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板。
[3]さらに、質量%で、Cu:0.05〜0.30、Ni:0.05〜0.30の1種または2種を、下記式(5)を満すように含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板。
Mn+Cu+Ni ≦ 1.6(%) ・・・・・・・・・・・・(5)
但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
[4]さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0020%、REM:0.0010〜0.0030%、Mg:0.0010〜0.0020の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする[1]乃至[3]の何れかに記載の溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板。
[5]さらに、硫化物系介在物の清浄度を0.002%以下、Tiを含む窒化物または炭窒化物(但し、TiとNbの複合炭窒化物を含む)の平均サイズを円相当直径で5〜50nmとすることを特徴とする[1]乃至[4]の何れかに記載の溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板。
本発明によれば、最大100mmまでの板厚範囲において建築構造用として好適な440MPa以上の降伏強さと590MPa以上の引張強さ、80%以下の低降伏比を有し、さらに超大入熱溶接熱影響部および小入熱多パス溶接部において、溶接熱影響部靭性と耐溶接割れ性に優れた高強度鋼板を大量生産することができ、鋼構造物の大型化や鋼構造物の耐震性の向上、施工効率の向上に大きく寄与し、産業上格段の効果を奏する。
溶接継手試験片の開先形状を示す図である。 (a)板厚100mm、(b)板厚40mmでのVノッチシャルピー衝撃試験片の採取位置を示す図である。
以下に本発明の各構成要件の限定理由について説明する。
1.成分組成について
はじめに、本発明の鋼の成分組成を規定した理由を説明する。なお、成分%は、すべて質量%を意味する。
C:0.06〜0.09%
Cは、鋼の強度を増加させ、構造用鋼材として必要な強度を確保するのに有用な元素である。他の合金元素の添加量を必要最小限に抑えるために、C量は、0.06%以上とする。一方、0.09%を超えると耐溶接割れ性の低下、HAZ靭性の低下が顕著になるため、C量は0.06〜0.09%の範囲とする。好ましくは0.07〜0.09の範囲である。より好ましくは、0.07〜0.08の範囲である。
Si:0.01〜0.07%
Siの低減は本発明の最も重要な要素の一つである。Siを0.07%以下とすることによって,HAZでの島状マルテンサイトの生成が抑制され,HAZ靭性が向上する。一方で、Siには脱酸剤としての作用や、母材強度を高める効果もあるので、0.01%以上の添加が望ましい。このため、Si量は0.01〜0.07%の範囲とする。好ましくは、0.01〜0.05%の範囲である。
Mn:1.0〜1.6%
Mnは、鋼の強度を増加させる作用を有しており、引張強さ590MPa以上を確保するために、1.0%以上の添加を必要とする。一方、1.6%を超えて添加すると、凝固時の中央偏析部への濃化が著しくなり、スラブ欠陥の増加などの原因となる。また、母材およびHAZ靱性の低下が著しく劣化する。このため、Mn量は1.0〜1.6%の範囲とする。好ましくは、1.2〜1.6%の範囲である。より好ましくは、1.4〜1.6の範囲である。
P:0.009%以下
Pの低減は本発明の最も重要な要素の一つである。Pは島状マルテンサイトに濃化し、島状マルテンサイトの生成を助長するとともに、島状マルテンサイト自体の靭性を低下させる元素である。HAZ靱性を向上するためには、できるだけ低減することが望ましい。特に低Si化と組み合わせたときには、島状マルテンサイトの生成量が顕著に減少し、HAZ靭性が著しく向上する。Pを0.009%以下とすることによってHAZ靭性向上効果が顕著となるため、P量は0.009%以下とする。好ましくは、0.005以下である。
S:0.0007%以下
SはMnと結合してMnSを形成する。MnSは圧延により伸長し、特にシャルピー試験片を板厚方向(Z方向)に採取した際に、吸収エネルギーを顕著に低下させる。MnSは板厚中央の中心偏析部に多く偏在する。エレクトロスラグ溶接の熱影響部は広範囲に及ぶため、中心偏析部が熱影響部に含まれることがあり、このような位置のシャルピー衝撃吸収エネルギーは顕著に低下する。これを改善するためには、Sを極限まで低減し、MnSをできるだけ減少することが必要である。Sを0.0007%以下まで低減すれば、MnSの影響はほとんど認められなくなるため、S量は0.0007%以下とする。好ましくは、0.0006%以下である。
Mo:0.20〜0.60%
Moは本発明において、強度確保のために必須の重要元素である。Mn、Cu、Niなどの合金添加は、連鋳スラブの表面性状を劣化させたり、中央偏析部の硬さの上昇によるスラブ内部欠陥増加などの問題を引き起こす問題がある。また、超大入熱溶接のCGHAZおよび小入熱多パス溶接におけるICCGHAZの島状マルテンサイト生成を促進し、靱性を劣化させるため、Moを用いて母材およびHAZの強度を確保する。0.20%以上を添加することによって、粒界フェライトの生成を抑制し、母材およびHAZの組織をベイナイト主体とすることができ、590MPa以上の引張強度が得られる。0.60%を超えると耐溶接割れ性が低下するので、Mo量は0.20〜0.60%の範囲とする。好ましくは、0.25〜0.55の範囲である。より好ましくは、0.30〜0.50の範囲である。
Al:0.005〜0.060%
Alは、脱酸剤として作用し、高張力鋼の溶鋼脱酸プロセスにおいて、もっとも汎用的に使われる。また、鋼中のNをAlNとして固定し、Nによる靭性低下や割れ発生する効果も有する。このような効果は0.005%以上の添加で認められるが、0.060%を超えて添加すると、母材の靱性が低下するとともに、溶接時に溶接金属に混入して靱性を劣化させる。このため、Al量は0.005〜0.060%の範囲とする。好ましくは、0.010〜0.045%の範囲である。より好ましくは、0.020〜0.035の範囲である。
Nb:0.005〜0.030%
Nbは、析出強化によって強度を上昇する効果と、制御圧延時にオーステナイトの再結晶を抑制し、その後の変態組織を微細化して母材を強靱化する効果を有する元素である。また、Tiと同時に添加することにより、複合炭窒化物(Ti,Nb)(C,N)を形成する。(Ti、Nb)(C,N)は、TiNよりもフェライトやベイナイトの核生成サイトとしての機能が高く、HAZ組織の微細化に顕著に寄与する。これらの効果を得るには0.005%以上の添加が必要である。また、0.030%を超える添加は、著しく母材およびHAZ靱性を低下させるので、Nbは0.005〜0.030%の範囲とする。好ましくは、0.008〜0.020%の範囲である。
Ti:0.005〜0.020%
Tiは、Nとの親和力が強く凝固時にTiNとして析出し、HAZでのオーステナイト粒の粗大化抑制、あるいはフェライト変態核としてHAZの高靱化に寄与する。このような効果を得るためには、0.005%以上の添加が必要である。一方、0.020%を超えて添加すると、TiN粒子が粗大化し、上記した効果が期待できなくなる。このため、Ti量は0.005〜0.020%の範囲とする。好ましくは、0.008〜0.020%の範囲である。
N:0.0025〜0.0055%
固溶Nは母材や超大入熱溶接のCGHAZおよび小入熱多パス溶接におけるICCGHAZの島状マルテンサイト生成を促進して靱性を劣化させる。一方、TiやNbと結びついて窒化物を形成した場合、ピンニング効果によりオーステナイト粒の粗大化を防いだり、フェライトやベイナイトの核生成サイトとして機能することにより、HAZ組織の微細化に寄与する。このような効果を得るには、少なくとも0.0025%添加する必要がある。一方、0.0055%を超えると、窒化物が多すぎたり、粗大化することにより、むしろ靱性が低下する場合があるので、N量は0.0025〜0.0055%の範囲とする。好ましくは、0.0030〜0.0050%の範囲である。
(Ti+Nb/5)×N: 3.0×10−5 〜9.0×10−5
(Ti+Nb/5)×Nの値が3.0×10−5 未満では、十分な数の複合窒化物(Ti、Nb)Nが生成しない。一方、9.0×10−5 を超えると、(Ti、Nb)Nが多くなり、粗大化するため、HAZ靭性が低下する。そこで、(Ti+Nb/5)×Nの値は、3.0×10−5〜9.0×10−5の範囲とする。なお、好ましくは、4.0×10−5〜8.0×10−5の範囲である。
(Ti+Nb/3)/N: 2.5〜5.5
(Ti+Nb/3)/Nの値が2.5未満では、固溶Nが鋼中に残存してHAZ靭性は低下する。一方、5.5を超えると、複合窒化物(Ti、Nb)Nが粗大化してしまい、HAZ靱性が低下する。そこで、(Ti+Nb/3)/Nの値は、2.5〜5.5の範囲とする。好ましくは、2.5〜4.0の範囲である。
B:0.0003%以下
Bは小入熱溶接のHAZを硬化させて耐溶接割れ性を損ねたり、超大入熱溶接のCGHAZおよび小入熱多パス溶接におけるICCGHAZの島状マルテンサイト生成を促進して靱性を劣化させるため、B量は0.0003%以下とする。
本発明では、さらに、式(3)、式(4)に規定する炭素当量Ceq、溶接割れ感受性指数Pcmの範囲を定める。
炭素当量Ceq:0.40〜0.47%
最大板厚100mmまでの厚肉材で母材およびHAZの強度を確保するためには、Ceqを0.40%以上とする必要があるが、0.47%を超えると溶接性が低下し、またHAZ靱性が低下するため炭素当量Ceqは、0.40〜0.47の範囲とする。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5
+Mo/4+V/14(%) ・・・・・・・・・・・・・(3)
但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
溶接割れ感受性指数Pcm:0.21%以下
耐低温割れ性を良好に保ち,板厚60mm以上の厚肉材でもほぼ予熱を必要としない溶接性を確保するため、溶接割れ感受性指数Pcmは0.21以下とする。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60
+Cr/20+Mo/15+V/10+5B(%) ・・・(4)
但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
以上が本発明の基本化学成分であり、残部はFe及び不可避的不純物からなるが、さらに所望の強度、靭性を得るために、Cr、Vの1種または2種を選択元素として添加してもよい。
Cr:0.05〜0.60%
Crは、スラブ表面性状や中央偏析部に及ぼす悪影響が少なく、超大入熱溶接のCGHAZおよび小入熱多パス溶接におけるICCGHAZの靭性の劣化も少ない元素であり、母材およびHAZの強度調整のため必要に応じて添加できる。強度を上昇させる効果を得るには0.05%以上の添加が必要で、0.60%を超えると溶接性が低下するため、Crを添加する場合は、Cr量は0.05〜0.60%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、0.15〜0.35%の範囲である。
V:0.005〜0.080%
Vは、析出強化によって強度を上昇する効果を有する。必要に応じて添加することができるが、このような効果を得るには0.005%以上の添加が必要である。0.080%以上のVは著しくHAZ靱性を低下するので、Vを添加する場合は、V量は0.005〜0.080%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、0.010〜0.050%の範囲である。
さらに所望の強度、靭性を得るために、Cu、Niの1種または2種を選択元素として添加してもよい。
Cu:0.05〜0.30、Ni:0.05〜0.30、Mn+Cu+Ni:1.6%以下
Cu、Niは、Mnと同様に、鋼の強度を増加させる元素であり、母材およびHAZの強度を確保するために、必要に応じて添加できる。
Cuは鋼の強度を増加させる作用を有しており、この効果を得るには0.05%以上の添加が必要である。しかし、0.30%を超えてCuを添加するとスラブ割れが発生しやすくなるため、Cuを添加する場合は、Cu量は0.05〜0.30%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、0.05〜0.15%の範囲である。
Niも鋼の強度を増加させる作用を有しており、この効果を得るには0.05%以上の添加が必要である。しかし、0.30%を超えてNiを添加するとスラブ割れが発生しやすくなるため、Niを添加する場合は、Ni量は0.05〜0.30%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、0.05〜0.20%の範囲である。
なお、Cu、Niを添加する場合はさらに、下記式(5)を満たすことが好ましい。
Mn+Cu+Ni ≦ 1.6(%) ・・・・・・・・・・・・(5)
但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
Mn+Cu+Niを1.6%以下とする理由は、Mn+Cu+Niが1.6%を超えると、凝固時の中央偏析部への濃化が著しく、中央偏析部の硬さが上昇し、スラブ内部欠陥が増加する問題を引き起こし易くなるためである。
さらに材質を改善する目的でCa、REM、Mgの中から選ばれる1種以上を選択元素として添加してもよい。
Ca:0.0005〜0.0020%、REM:0.0010〜0.0030%、
Mg:0.0010〜0.0020%
Ca、REMおよびMgは、硫化物の形態制御を介して鋼の延性向上に寄与する元素である。これらの元素の硫化物または酸化物粒子はMnSと複合して溶接時にフェライト変態核として作用し、HAZ靱性の向上に寄与する。これらの効果を発揮させるには、少なくとも0.0005%以上のCa、0.0010%以上のREMまたはMgを添加する必要がある。一方、Caは0.0020%を超えて添加した場合、過剰量のCa系介在物が生成し、逆に靱性が低下する場合がある。このため、Caを添加する場合は、Ca量は0.0005〜0.0020%の範囲とすることが好ましい。同様の理由で、REMまたはMgを添加する場合は、REM量は0.0010〜0.0030%、Mg量は0.0010〜0.0020%の範囲とすることが好ましい。
さらに、HAZ靱性を向上させるために、硫化物系介在物の清浄度やTiを含む窒化物または炭窒化物のサイズを規定してもよい。
硫化物系介在物の清浄度:0.002%以下
Z方向シャルピー吸収エネルギーは、圧延方向に伸長した硫化物系介在物の清浄度の向上に伴い向上する。清浄度を0.002%以下とすると、中央偏析部でも十分な靭性を確保することができるため、硫化物系介在物の清浄度は0.002%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.001%以下である。硫化物系介在物の清浄度はJIS G 0555付属書1の「点算法による非金属介在物の顕微鏡試験方法」により算出する。
Tiを含む窒化物または炭窒化物(但し、TiとNbの複合炭窒化物を含む)の平均サイズを円相当直径:10〜100nm
MnSはフェライトやベイナイトの核生成サイトとして機能して、HAZ組織の微細化に寄与するが、Z方向シャルピー吸収エネルギーを向上するためにS含有量を極限まで低下する場合、同様の機能を有する他の介在物・析出物を鋼中に分散させる必要がある。Tiを含む窒化物(TiN、および/またはTiとNbの複合窒化物(Ti、Nb)N)および/または炭窒化物(Ti(C、N)および/またはTiとNbの複合炭窒化物(Ti、Nb)(C、N))は、MnSと同様にフェライトやベイナイトの核生成サイトとしての機能を有するが、粒子サイズが小さすぎると相変態にほとんど影響を及ぼさず、核生成サイトとしての機能が小さい。一方、大きすぎると破壊の起点になることにより、靱性が低下してしまうため、平均サイズを円相当直径に換算して5nm以上50nm以下の範囲とするのが好ましい。より好ましくは10nm以上30nm以下の範囲である。
なお本発明は、上述した組成を有する鋼を、転炉、電気炉等の溶製手段で溶製し、連続鋳造法または造塊〜分塊法等で常法によりスラブ等の鋼素材とすることができるが、鋼の溶製方法や鋳造方法を特定するものではない。また、圧延後の熱処理も、再加熱焼入れ(RQ)、直接焼入れ(DQ)、二相域焼入れ(Q′)、焼戻し(T)や制御圧延(CR)、制御圧延+加速冷却(TMCP)を組合せて行うことができる。焼入温度は、900℃以下が好ましい。
転炉−取鍋精錬−連続鋳造法で、表1に示す組成に調製された鋼素材(スラブ:板厚250mm)を熱間圧延により100mm厚および40mm厚の鋼板とした。各鋼板の製造条件を表3に示す。
得られた各厚鋼板の板厚1/4位置から、JIS4号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施し、引張特性を調査した。また、得られた各厚鋼板の板厚1/4位置から、JIS Z 2202の規定に準拠して、Vノッチシャルピー衝撃試験片を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠して、シャルピー衝撃試験を実施し、−40℃における吸収エネルギー(vE−40℃)を求め、母材靱性を評価した。
硫化物系介在物の清浄度は板厚1/2位置から圧延方向断面の光学顕微鏡サンプルを切り出し、JIS G 0555付属書1の「点算法による非金属介在物の顕微鏡試験方法」により算出した。また、Tiを含む窒化物または炭窒化物(但し、TiとNbの複合炭窒化物を含む)の平均サイズはTEM用のレプリカサンプルを板厚1/4位置から採取し、1万倍で観察し、100個以上のTiを含む窒化物または炭窒化物を観察し、これらの円相当直径の平均として算出した。
また、得られた各厚鋼板から、継手用試験板(大きさ:400×600mm)を採取し、図1に示すような開先形状としたエレクトロスラグ溶接(溶接入熱量:1000kJ/cm)により、溶接継手を作製した。なお、供給ワイヤは、JIS Z 3353 YES62相当品、フラックスはJIS Z 3353 FS−FG3相当品を使用した。
得られた溶接継手から、図2に示すように切欠き位置をボンド部および中心偏析部(スキンプレート板厚40mmの継手のみ)とするVノッチシャルピー衝撃試験片を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠して、試験温度:0℃でのシャルピー衝撃試験を行って、継手ボンド部の0℃における吸収エネルギー(vE0℃)を求め、継手靱性を評価した。また、誘導加熱によって、1400℃および800℃をピーク温度として、800℃→500℃の平均冷却速度を50℃/sとする小入熱多パス溶接のICCGHAZに相当する2重熱サイクルを与えた試料からVノッチシャルピー衝撃試験片を採取し、0℃における吸収エネルギー(vE0℃)を求めた。得られた結果を表2に示す。
また、ショートビード最高硬さ試験はJIS Z 3101に準拠して行った。JIS Z3211 E6216−N1M1 Uに該当する被覆アーク溶接棒(径4.0mm)を用い、溶接電流170A、電圧24V、溶接速度150mm/分で溶接ビードを鋼板上に形成し、ビード下の熱影響部の硬さを測定し、最高硬さを求めた。得られた結果を表2に示す。
なお、母材特性の評価は降伏強さ(YS)が440MPa以上、引張強さ(TS)が590MPa以上、降伏比(YR)が80%以下、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーが47J以上の全てを満足する場合を合格とした。
また、溶接熱影響部靭性の評価は、溶接入熱量が400kJ/cmを超えるエレクトロスラグ溶接継手のボンド部(CGHAZ)およびHAZに含まれている中心偏析部において、シャルピー衝撃試験の0℃における吸収エネルギー(vE0)が平均47J以上の靭性を有し、さらに溶接入熱量20〜50kJ/cmの小入熱多パス溶接におけるICCGHAZにおいても、シャルピー衝撃試験の0℃における吸収エネルギー(vE0)が平均47J以上の靭性を有する場合を合格とした。
また、「耐溶接割れ性の評価は、長さ40mmのショートビート溶接部の最高硬さがHV350未満且つ、溶接割れ感受性指数Pcmが0.21%以下である場合を合格とした。
Figure 2013147742
Figure 2013147742
Figure 2013147742
表1に示すように、鋼No.A〜鋼No.Iは成分組成が本発明の範囲内である発明例であり、鋼No.J〜鋼No.Zは成分組成が本発明の範囲外である比較例である。これらの鋼を用いて製造した鋼板の母材、溶接部の試験結果が表2であり、鋼板No.1〜鋼板No.12および鋼板No.31〜鋼板No.42は、成分組成が本発明の範囲内である鋼No.A〜鋼No.Iを使用したので、母材部強度、靭性、HAZ部靭性とも優れた値が得られた。
鋼板No.13〜鋼板No.29および鋼板No.43〜鋼板No.59は、成分組成が本発明の範囲外である鋼No.J〜鋼No.Zを用いて製造した比較例であり、母材部強度、靭性、HAZ部靭性の何れかが目標の特性を満足せず、発明例に比べて劣った結果となった。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.06〜0.09%、Si:0.01〜0.07%、Mn:1.0〜1.6%、P:0.009%以下、S:0.0007%以下、Mo:0.20〜0.60%、Al:0.005〜0.060%を含有し、さらにNb:0.005〜0.030%、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0025%〜0.0055%を下記式(1)および式(2)を満すように含有し、さらにB:0.0003%以下であり、かつ、下記式(3)で表される炭素当量Ceqを0.40〜0.47%、下記式(4)で表される溶接割れ感受性指数Pcmを0.21%以下とし、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板。
    3.0×10−5 ≦ (Ti+Nb/5)×N ≦ 9.0×10−5 ・・・(1)
    但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
    2.5 ≦ (Ti+Nb/3)/N ≦ 5.5 ・・・・・・(2)
    但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
    Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5
    +Mo/4+V/14(%) ・・・・・・・・・・・・・(3)
    但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
    Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60
    +Cr/20+Mo/15+V/10+5B(%) ・・・(4)
    但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
  2. さらに、質量%で、Cr:0.05〜0.60%、V:0.005〜0.080%の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板。
  3. さらに、質量%で、Cu:0.05〜0.30、Ni:0.05〜0.30の1種または2種を、下記式(5)を満すように含有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板。
    Mn+Cu+Ni ≦ 1.6(%) ・・・・・・・・・・・・(5)
    但し、元素記号は各元素の質量%を表す。
  4. さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0020%、REM:0.0010〜0.0030%、Mg:0.0010〜0.0020の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板。
  5. さらに、硫化物系介在物の清浄度を0.002%以下、Tiを含む窒化物または炭窒化物(但し、TiとNbの複合炭窒化物を含む)の平均サイズを円相当直径で5〜50nmとすることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板。
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