以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
本実施の形態にいては、画像形成装置が、電子写真方式や静電記録方式などによって画像形成を行うものであり、スキャナー機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンターとしての機能、データ通信機能、およびサーバー機能を備えたMFPである場合について説明する。画像形成装置は、MFPである場合の他、ファクシミリ装置、PPC(Plain Paper Copier)複写機などの複写機、またはレーザープリンターなどのプリンターなどであってもよい。また画像形成装置は、モノクロおよびカラーのいずれの画像を形成するものであってもよいし、アナログ方式およびデジタル方式のいずれの方式で画像を形成するものであってもよい。
[画像形成装置の構成]
始めに、本実施の形態における画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態における画像形成装置の構成を模式的に示す断面図である。
図1を参照して、本実施の形態の画像形成装置は、画像形成装置本体100と、画像形成装置本体100に付加された周辺装置である後処理装置210(後処理装置1)および220(後処理装置2)とを備えており、これらはシステムを構成している。後処理装置210は、パンチ、折り、ステープル、および仕分けの各機能を有している。後処理装置220は、ページ挿入機能を有している。後処理装置220は、画像形成装置本体100で印字された用紙群の所定の位置に、予め後処理装置220にセットされた用紙を挿入するページ挿入機能と、用紙を挿入した後の用紙群に対しステープルを行う機能とを有している。
画像形成装置本体100は、電子写真方式により画像を形成し、おおまかに、トナー像形成部10と、用紙搬送部20と、定着装置(定着ユニット)8と、スキャナー90とを含んでいる。トナー像形成部10は、いわゆるタンデム方式で、必要に応じてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のYMCKの4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成する。
トナー像形成部10は、4色のトナーボトル16Y、16M、16C、および16K(以下、これらをまとめてトナーボトル16と呼ぶことがある。)と、中間転写ベルト6と、4組のプリントヘッド10Y、10M、10C、および10Kなどで構成されている。
トナーボトル16は、YMCK各色のトナーを保管する。トナーボトル16は、駆動モータ(図示無し)により回転駆動され、内部に保管されているトナーを各プリントヘッド10Y、10M、10C、および10Kの各々に補給する。トナーの補給動作は、プリントヘッド10Y、10M、10C、および10Kの各々の現像器14内のトナーが少なくなると行われる。
中間転写ベルト6は、環状であり、2つのローラー61および62の間に架けわたされている。中間転写ベルト6は、用紙搬送部20と連動して回転する。用紙搬送部20の2次転写ローラー23は、中間転写ベルト6におけるローラー62に接触している部分に対向するように配置されている。用紙は、中間転写ベルト6と2次転写ローラー23との間で挟まれながら搬送される。
プリントヘッド10Y、10M、10C、および10Kの各々は、中間転写ベルト6の直下に並置されており、それぞれY、M、C、Kの画像を感光体11上に形成する。プリントヘッド10Y、10M、10C、および10Kの各々は、感光体11と、帯電器12と、露光装置13と、現像器14と、クリーナー15などを含んでいる。露光装置13は、YMCKの各色別の画像データに基づいて、帯電器12により一様に帯電した感光体11上に潜像を形成する。現像器14は、潜像が形成された各感光体11上に各色のトナーを付着させることにより、各感光体11上にトナー像を形成する(現像)。各感光体11は、トナー像を中間転写ベルト6転写し、その中間転写ベルト6上に、用紙に形成する4色分のトナー像の鏡像を形成する(1次転写)。その後、高電圧が印加された2次転写ローラー23により、中間転写ベルト6に形成されたトナー像が用紙に転写され、用紙上にトナー像が形成される(2次転写)。
定着装置8は、ローラー式であり、加圧ローラー81と、加熱ローラー82と、定着ヒーター83とを含んでいる。加熱ローラー82の内部には定着ヒーター83が内蔵されている。定着ヒーター83へ電圧を印加することにより定着ヒーター83が発熱し、それにより加熱ローラー82が加熱される。定着装置8は、加熱ローラー82と加圧ローラー81とでトナー像が形成された用紙を挟みながら搬送し、その用紙に加熱および加圧を行う。これにより、定着装置8は、用紙に付着したトナーを溶融させて用紙に定着させ、用紙に画像を形成する。なお、定着装置8はベルト式のものであってもよい。
用紙搬送部20は、給紙トレイ30に保管された用紙を、1枚ずつ通紙経路RT1またはRT2に沿って搬送するものである。用紙搬送部20は、給紙ローラー21と、タイミングローラー22と、2次転写ローラー23と、搬送ローラー24〜26と、排紙ローラー27とを含んでいる。給紙ローラー21、タイミングローラー22、および排紙ローラー27の各々は、通紙経路RT1における上流側(給紙トレイ30側)から下流側(排紙ローラー27側)へ向かってこの順序で配置されている。給紙ローラー21、タイミングローラー22、2次転写ローラー23、搬送ローラー24〜26、および排紙ローラー27の各々は、たとえば対向する2つのローラーで用紙を挟みながらそのローラーを回動させて用紙を搬送する。なお、用紙搬送部20は、これら以外にも用紙を搬送するためなどに用いられるローラーを有していてもよい。
給紙トレイ30に保管された用紙は、給紙ローラー21によって1枚ずつ給紙される。続いて用紙は、タイミングローラー22の前で一旦停止された後、所定のタイミングで2次転写ローラー23へ搬送され、トナー像が形成される。次に用紙は、定着装置8においてトナー像が定着され、排紙ローラー27によって画像形成装置本体100外(後処理装置210)へ排出される。
画像形成装置本体100には両面印刷をするための両面ユニットが装着されている。両面印刷の場合、表面に画像が形成された用紙は、定着装置8を通過後、排紙ローラー27においてスイッチバックされ、通紙経路RT2に沿って搬送される。用紙は、搬送ローラー24〜26によって通紙経路RT2に沿って搬送された後、再び通紙経路RT1に沿って搬送され、その裏面に画像が形成される。その後用紙は、排紙ローラー27によって画像形成装置本体100外へ排出される。
スキャナー90は、原稿の画像を読み取り、原稿から画像を読み取る原稿読取部91と、原稿を連続的に原稿読取部91へ搬送する自動給紙装置(ADF)92とを含んでいる。
画像形成装置本体100には、さらに、手差しトレイ28や下部給紙カセット29などが設けられていてもよい。
後処理装置210は、通紙経路RT3に沿って搬送される用紙に対してパンチ処理を行うパンチユニット201と、通紙経路RT3に沿って搬送される用紙に対して折り処理を行う折りユニット202と、通紙経路RT3に沿って搬送される用紙に対してステープル処理を行うステープラ203と、後処理後の用紙を排出する場所である排紙トレイ207a〜207cとを含んでいる。
後処理装置220は、挿入するための用紙を配置する給紙トレイ221と、給紙トレイ221に配置された用紙を通紙経路RT4に給紙する給紙ローラー222とを含んでいる。給紙ローラー222によって給紙された用紙は、通紙経路RT4を経由して通紙経路RT3へ搬送される。
図2は、本発明の一実施の形態における画像形成装置の制御の構成を示すブロック図である。
図2を参照して、画像形成装置本体100は、操作部101と、表示部102と、制御部103と、定着ヒーター駆動部104と、駆動負荷部105と、直流電源である電源部106とを含んでいる。電源部106は、商用電源230(たとえば100V)を受電し、画像形成装置本体100内の各部へ電力を供給する。電源部106は、駆動系電源ライン(中電力系ライン)L1を通じて駆動負荷部105および後処理装置210の後処理駆動部210bの各々へ、たとえば24Vの電圧で電力を供給する。電源部106は、定着系電源ライン(大電力系ライン)L2を通じて定着ヒーター駆動部104へ、1次側電源の電力を供給する。電源部106は、制御系電源ライン(小電力系ライン)L3を通じて、制御部103および後処理装置1の後処理制御部210aの各々へ、たとえば3.3Vの電圧で電力を供給する。
操作部101は、ユーザーから画像形成装置に関する各種指示を受け付ける。
表示部102は、画像形成装置に関する各種設定項目やメッセージなどを表示する。
制御部103は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)などを含んでおり、画像形成装置全体を制御する。制御部103は、操作表示制御部103aと、画像制御部103bと、駆動負荷制御部103cと、定着ヒーター制御部103dを含んでいる。操作表示制御部103aは、画像形成に関するユーザーI/Fである操作部101および表示部102を制御する。画像制御部103bは、画像データに基づく露光データを用紙のページごとに露光装置13へ出力する。駆動負荷制御部103cは、画像形成装置を駆動する駆動負荷部105のモーターの動作を制御する。定着ヒーター制御部103dは、定着ヒーター駆動部104の動作を制御する。
定着ヒーター駆動部104は制御部103と接続されており、定着ヒーター制御部103dの指示に基づいて定着ヒーター83を駆動する。
駆動負荷部105は、用紙搬送駆動部105aと、感光体駆動部105bと、現像器駆動部105cと、高圧電源105dと、ADF駆動部105eと、その他駆動部105fとを含んでいる。用紙搬送駆動部105aは、用紙搬送部20のローラーを駆動するモーターである。感光体駆動部105bは、感光体11を駆動するモーターである。現像器駆動部105cは、現像器14を駆動するモーターである。高圧電源105dは、感光体11および現像器14のうち少なくともいずれか一方に電位を付与する。ADF駆動部105eは、自動給紙装置92を駆動するモーターである。その他駆動部105fは、画像形成装置における上述以外のモーターである。駆動負荷部105は、制御信号ラインL8を通じて制御部103と接続されている。
後処理装置210は、後処理制御部210aと、後処理駆動部210bとを含んでいる。後処理制御部210aは、制御信号ラインL4を通じて制御部103と接続されており、制御信号ラインL5を通じて後処理駆動部210bと接続されている。後処理制御部210aは、制御部103からの指示に基づいて、後処理駆動部210bを制御する。後処理駆動部210bは、画像形成後の用紙に後処理を施すフィニッシャーを駆動するモーターである。
後処理装置220は、後処理制御部220aと、後処理駆動部220bと、電源部220cとを含んでいる。後処理制御部220aは、制御信号ラインL6を通じて後処理制御部210aと接続されており、制御信号ラインL7を通じて後処理駆動部220bと接続されている。後処理制御部220aは、制御部103からの指示に基づいて、後処理駆動部220bを制御する。後処理駆動部210bは、後処理装置220内のローラーなどの駆動部材を駆動する。電源部220cは、商用電源230から受電し、商用電源230の電圧を変換した電圧で、後処理駆動部220bへ電力を供給する。つまり後処理装置220は、画像形成装置本体100の電源部106からの電力の供給は受け付けず、電源部106とは別の電源部220cから電力の供給を受ける。
制御部103は、さらに、第1〜第4の電力算出部103e〜103hと、電力合算部103iと、計時部103jとを含んでいる。第1の電力算出部103eは、負荷の消費電力量を、負荷に供給する電圧および電流のうち少なくともいずれか一方の測定値に基づいて算出するのに対して、第2の電力算出部103f、第3の電力算出部103g、および第4の電力算出部103hは、負荷の消費電力量を、画像形成装置の動作状態および動作時間に基づいて予測する。特に、第1の電力算出部103eは、電源部106と、駆動負荷部105および後処理駆動部210bの各々との間に接続されている。第2の電力算出部103fは、制御信号ラインL9を通じて定着ヒーター駆動部104と接続されている。電力合算部103iは、第1の電力算出部103eにて算出した消費電力量と、第2の電力算出部103f、第3の電力算出部103g、および第4の電力算出部103hにて予測した消費電力量とを合算することにより、画像形成装置の消費電力量を算出する。
計時部103jは、現在の時刻や、所定の時間間隔を計時する。計時部103jはさらに、画像形成装置の各動作状態(通電時間、待機中、省電力中、または動作中など)の累積時間を計時する。計時結果はメモリ(たとえばROM333(図3)内の不揮発性RAM)に記憶される。
なお、図2において、電源を独立に持った周辺機器である後処理装置220は省略されてもよい。この場合、第4の電力算出部103hもまた省略される。画像形成装置本体100も周辺装置も、受電した商用電源を24Vや3.3Vの電圧を有する直流電源に変換することにより装置内部で使用するのが一般的である。しかし、電源の容量とコストとのバランスから、画像形成装置本体100から周辺装置へ電源を供給する場合と、周辺装置が独自に電源をもつ場合がある。装備率の高い周辺装置の場合には、一般的に、画像形成装置本体100の電源部106に周辺装置用の電力容量が予め割り当てられ、画像形成装置本体100からその周辺装置へ電源が供給される。一方、装備率の低い周辺装置や稼働率が低い周辺装置の場合には、周辺装置の電源のコストを画像形成装置本体100のコストに上乗せしないために、一般的に、周辺装置に独自の電源が設けられる。この種の周辺装置は、周辺装置に付随する周辺装置(第2周辺装置)であることが多い。
図3は、本発明の一実施の形態における画像形成装置の回路構成を模式的に示す図である。
図3を参照して、電源300は、商用電源230の電圧を24Vの電圧と3.3Vの電圧とにそれぞれ変換する。24Vに変換された電圧は、電源300から駆動系負荷350(駆動負荷部105)へ供給される。電源300と駆動系負荷350との間には電流検出抵抗301が接続されている。3.3Vに変換された電圧は、電源300から制御系負荷330(制御部103)へ供給される。
制御系負荷330は、CPU331と、RAM332と、ROM333と、増幅器334と、I/O拡張ASIC(Application Specific Integrated Circuit)335と、フォトセンサー336と、スイッチ337と、ドライバー338と、ユーザーI/F339と、ネットワークI/F340とを含んでいる。CPU331、RAM332、ROM333、I/O拡張ASIC335、ユーザーI/F339、およびネットワークI/F340の各々は、バスBUSを介して互いに接続されている。増幅器334は、電流検出抵抗301を流れる電流を増幅し、CPU331のA/D入力ポートに出力する。I/O拡張ASIC335は、フォトセンサー336およびスイッチ337からセンサー入力SIを受け付け、ドライバー338および高圧電源335へリモート信号RSを出力する。
駆動系負荷350は、モーター351と、クラッチ352と、ソレノイド353と、チャージャ354と、高圧電源355とを含んでいる。モーター351、クラッチ352、およびソレノイド353の各々は、制御系負荷330のドライバー338によりその動作が制御される。高圧電源355は、制御系負荷330のI/O拡張ASIC335から出力されるリモート信号RSに基づいて、チャージャ354の電位を制御する。
定着負荷310(定着ヒーター83および定着ヒーター駆動部104)は、SSR(Solid State Relay)またはIH(Induction Heating)電源311と、定着ヒーターまたはIHコイル312とを含んでいる。商用電源230の電圧は、SSRまたはIH電源311によって適切な電圧に変換され、定着ヒーターまたはIHコイル312に適用される。SSRまたはIH電源311は、定着ヒーターリモート(出力ポートまたはシリアルポート)を介してCPU331と接続されている。
[消費電力量の算出方法の概要]
続いて、消費電力量の算出方法の概要について説明する。
図4は、本発明の一実施の形態における画像形成装置の消費電力量の算出の構成を示すブロック図である。図4では、後処理装置220を画像形成装置が含まない場合の構成を示している。
第1の電力算出部103eは、第1の負荷群、すなわち駆動負荷部105および後処理装置210の消費電力量を、駆動負荷部105および後処理装置210に供給する電流の測定値に基づいて算出する。具体的には、第1の電力算出部103eは、画像形成装置を駆動するモーターの消費電力量を、これらのモーターに供給する電流の測定値に基づいて算出する。画像形成装置を駆動するモーターとは、用紙搬送駆動部105a、感光体駆動部105b、現像器駆動部105c、ADF駆動部105e、その他駆動部105f、および後処理駆動部210bである。加えて第1の電力算出部103eは、高圧電源105dの消費電力量を、高圧電源105dに供給する電流の測定値に基づいて算出する。第1の電力算出部103eは、画像形成に関連する各動作(プリント枚数、用紙サイズ、片面・両面モード、カラー・モノクロモード、給紙段、または後処理モードなど)によりさまざまな条件で動作する駆動負荷系の変動的な消費電力量を、電流を直接計測することにより算出する。なお、第1の電力算出部103eは、負荷の消費電力量を、負荷に供給する電圧または電流のうち少なくともいずれか一方の測定値に基づいて算出すればよい。
第2の電力算出部103fは、第2の負荷群、すなわち定着ヒーター83(定着ヒーター駆動部104)の消費電力量を、定着ヒーター83への投入電力と定着ヒーター83の通電時間とに基づいて算出する。第2の電力算出部103fは、短時間で大電力を要する定着ヒーター83の消費電力量を予測(算出)する。
第3の電力算出部103gは、第3の負荷群、すなわち操作表示制御部103a、画像制御部103b、駆動負荷制御部103c、および定着ヒーター制御部103dの合計の消費電力量を、画像形成装置の動作状態および動作時間に基づいて算出する。第3の電力算出部103gは、長時間で小電力を要する操作表示制御部、および制御対象となる各負荷の制御を行う各制御部の消費電力量を予測(算出)する。
電力合算部103iは、第1〜第3の電力算出部103e〜103gにて算出した消費電力量を合算することにより、画像形成装置全体の消費電力量を決定し、決定した消費電力量を表示部102へ通知する。表示部102は、通知された消費電力量に基づいて電力使用状況の表示および集計を行い、ユーザーに消費電力情報を通知する。
図5は、本発明の一実施の形態における画像形成装置の消費電力量の算出の変形例の構成を示すブロック図である。図5では、後処理装置220の消費電力をさらに算出する場合の構成を示している。
図5を参照して、第4の電力算出部103hは、第4の負荷群である後処理装置220の消費電力を、後処理装置220の動作状態および動作時間に基づいて予測(算出)する。後処理装置220のような第2周辺装置は、一般的に稼働率が低いため、第2周辺装置の駆動系負荷の消費電力量は、後処理装置220の動作状態および動作時間に基づいて予測される。
電力合算部103iは、第1〜第4の電力算出部103e〜103hにて算出した消費電力量を合算することにより、画像形成装置全体の消費電力量を決定し、決定した消費電力量を表示部102へ通知する。表示部102は、通知された消費電力量に基づいて電力使用状況の表示および集計を行い、ユーザーに消費電力情報を通知する。
上述の消費電力量の算出方法においては、画像形成装置の電力消費の実情や、経時的あるいは耐久的な消費電力の変化に合わせて、計算によって消費電力量を算出する部分と、実測によって消費電力量を算出する部分とに分けて消費電力量を算出することで、設計が容易で精度の高い方法を実現している。
画像形成装置の消費電力量を算出する場合、印字動作中の消費電力量だけではなく、待機中の消費電力量やスリープモード中の消費電力量も含んだ総合的な消費電力量を考慮する必要がある。この観点から、TEC(Typical Electricity Consumption)値と呼ばれる消費電力量で議論するのが好ましい。TEC値では、所定のボリュームで印字動作を行なった後、所定の休止を経て再び所定の印字動作を行なう場合の消費電力量であって、夜間や休日を想定したスリープモードの時間をも想定した形で消費電力量が測定される。
TEC値を構成する消費電力量を分析すると、次のような内訳となっている。
スリープモードでの消費電力量 ・・・・29%
印字中の消費電力量(駆動部 定着ヒータを除く) ・・・・13%
印字中の消費電力量(制御部 定着ヒータを除く) ・・・・3%
印字中の消費電力量(定着ヒーター) ・・・・55%
印字ジョブが終了後、次の印字が行われないと所定のタイミングでスリープモード(省電力モード)に移行する。また、夜間や休日も印字が行われないため、長時間スリープモードに移行した状態になる。これらスリープモードで消費される累積の消費電力量がTEC値の29%を占めている。この場合、駆動負荷部や定着ヒーターは動作していないため、画像形成装置全体の消費電力量は制御部のみの消費電力量となる。一方、スリープ状態から印字指示を受け付けた場合、画像形成装置はウォームアップ動作を行い、ウォームアップ完了と共に印字動作を行い、印字動作が終了するとスリープモードに戻る。この一連の動作による消費電力量の累積値に占める、駆動負荷部、制御部、および定着ヒーターの消費電力量は、それぞれ13%、3%、および55%となる。
スリープモードにある場合、画像形成装置は、印字指示を受けるための最小限の機能のみを残し、それ以外の制御は休止している。このため消費電力の変動は少ない。したがってスリープ状態にある場合、その動作時間から消費電力量を精度良く求めることができる。
印字中の制御部の消費電力量は、「印字モードによって異なる画像処理の状態」と、「印字モードの動作時間」とに基づいて算出される。
印字中の駆動負荷部の消費電力量は、環境や装置の耐久などによって変動が生じやすい。したがって、駆動負荷部の電源系統(多くの場合は24Vの)の消費電力量は、実測した電流に基づいて算出される。電流の測定は、制御部がモーターの動作を制御する周期(メインルーチンの周期)と同期した周期で行われることが好ましい。駆動負荷部は、所定周期ごとにオンすべきかオフすべきか制御部によって判断され、判断結果に従ってオンまたはオフされる。したがって、電流の変化はこの周期に応じた動きとなるためである。
印字中の定着ヒーターの消費電力量は、「定着ヒーターの定格消費電力」と、「定着ヒーターの動作時間」とに基づいて算出される。定着ヒーターの定格消費電力と、実際のヒーターの消費電力との差は、ヒーターの部品公差として管理されているため、精度管理が可能である。
ここで、定着ヒーターをオンまたはオフした過渡時に突入電流が流れたり、オンまたはオフに起因する1次側の電圧が変動したりすることを防止するために、点灯または消灯を行なう場合に徐々に消費電力を変化させる場合がある。この場合、定着ヒーターの消費電力量の計算に補正の計算を入れることにより、正確な消費電力量の算出が可能である。定着ヒーターの動作時間は、定着ヒーターのオンオフ制御をおこなう制御周期に同期して測定されることが好ましい。
上述のように、駆動負荷部の消費電力量を実測した電流値に基づいて算出し、それ以外の部分の消費電力量を動作状態に基づいて予測することで、精度良く消費電力量を求めることが可能となる。
図6は、本発明の一実施の形態における消費電力量の算出に関する画像形成装置の動作を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、たとえば、制御部103のROM333に格納された制御プログラムを制御部103のCPU331がロードすることにより実行される。
図6を参照して、制御部103は、タイマーによる計時をスタートし(S1)、入力処理を行う(S2)。次に制御部103は、画像形成装置の動作状態としてどのようなモードが選択されているかを判別する(S3)。
ステップS3において、省電力モード(スリープモード)が選択されている場合、制御部103は、省電力制御を行い(S5)、ステップS13の処理へ進む。ステップS3において、ウォームアップモードが選択されている場合、制御部103は、ウォームアップ制御を行い(S7)、ステップS13の処理へ進む。ステップS3において、待機モードが選択されている場合、制御部103は、待機制御を行い(S9)、ステップS13の処理へ進む。さらにステップS3において、印字モードが選択されている場合、制御部103は、印字制御を行い(S11)、ステップS13の処理へ進む。
ステップS13において、制御部103は、出力処理を行い(S13)、AD(アナログデジタル)変換処理を行う(S15)。続いて制御部103は、駆動負荷部105および後処理装置210の消費電力量を第1の電力算出部103eにより算出する処理を行い(S17)、定着ヒーター83の消費電力量を第2の電力算出部103fにより算出する処理を行う(S19)。続いて制御部103は、操作表示制御部103a、画像制御部103b、駆動負荷制御部103c、および定着ヒーター制御部103dの合計の消費電力量を第3の電力算出部103gにより算出する処理を行い(S21)、後処理装置220の消費電力量を第4の電力算出部103hによる算出する処理を行う(S23)。後処理装置220を画像形成装置が含まない場合には、ステップS23の処理は省略される。次に制御部103は、第1〜第4の電力算出部103e〜103h(または第1〜第3の電力算出部103e〜103g)にて算出した消費電力量の合算処理を電力合算部103iにより行う(S25)。続いて制御部103は、電力情報の表示処理を表示部102にて行い(S26)、表示部102に消費電力量を表示するモードである電力表示モードが、操作部101を通じて設定されたか否かを判別する(S27)。
ステップS27において、電力表示モードが設定されたと判別した場合(S27でYes)、制御部103は消費電力量を表示部102に表示し(S29)、ステップS33の処理へ進む。一方、ステップS27において、電力表示モードが設定されないと判別した場合(S27でNo)、制御部103は消費電力量の表示を表示部102から消去し(S31)、ステップS33の処理へ進む。
ステップS33において、制御部103は、タイマーによる計時が所定時間(たとえば5ms)経過したか否かを判別し(S33)、所定時間経過したと判別した場合(S33でYes)、制御部103はステップS2の処理へ進む。
[第1の電力算出部による消費電力量の算出方法]
続いて、第1の電力算出部103eによる消費電力量の算出方法について説明する。
図7は、第1の電力算出部103eによる駆動負荷部105および後処理装置210の消費電力量の算出方法を説明するための回路図である。
図7を参照して、電源部106は低圧電源106aを含んでいる。低圧電源106aには複数の負荷LDが互いに並列に接続されている。低圧電源106aは、定格出力電源であり、1次側(電源部106よりも商用電源側)の電圧を2次側(電源部106よりも負荷LD側)の定格電圧(たとえば24V)に変換し、変換後の電圧で各負荷LDに電力を供給する。負荷LDは、駆動負荷部105の各駆動部または後処理装置210に対応する部材である。低圧電源106aと各負荷LDとの間の電力供給経路には、電流検出抵抗301が接続されている。電流検出抵抗301には、全ての負荷LDを流れる電流を合わせた電流が流れる。
第1の電力算出部103eは、たとえば電流検出抵抗301を流れる電流をAD変換した値である電流M1(A)(24V電流モニターのAD変換値)を、時間T1(s)ごとに回数N1だけ計測(サンプリング)する。時間T1はサンプリング周期であり、回数N1はサンプリング点数である。時間T1および回数N1の各々は、時間T1と回数N1との積が1(s)になるように設定され、たとえばROM333に保存される。本実施の形態では、図8に示すように、時間T1が5(ms)に設定され、回数N1が200(回)に設定される。
第1の電力算出部103eは、計測した電流M1と、2次側の定格電圧とに基づいて、1(s)当たりの2次側の消費電力量(Ws)を算出する。各負荷LDのオンオフ状態は印字シーケンスの中で複雑に変わるため、電流検出抵抗301を流れる電流を実測し、実測した電流に基づいて2次側の消費電力量を算出することにより、消費電力量の精度が向上する。また、第1の電力算出部103eは、2次側の消費電力量を1次側の消費電力量(Ws)に換算することが好ましい。低圧電源106aでは、電流(2次側の電流)の大きさによって変換効率が変動するためである。2次側の消費電力量を1次側の消費電力量に変換する場合には、たとえば図9に示すような変換効率テーブルが用いられることが好ましい。その後、第1の電力算出部103eは、算出情報を電力合算部103iに通知する。
図10は、第1の電力算出部103eが実行する消費電力量の算出処理を示すフローチャートである。図10に示すフローチャートは、図6のステップS17における処理のサブルーチンとして実行される。
図10を参照して、第1の電力算出部103eは、電流検出抵抗301を流れる電流M1を計測し(S101)、電流M1を積算電流E1に加算する(S103)。次に第1の電力算出部103eは、変数nが200に達したか(1(s)の時間が経過したか)否かを算出する(S105)。
ステップS105において、変数nが200に達したと判別した場合(S105でYes)、第1の電力算出部103eは、積算電流E1を200で割ることにより、電流M1の1(s)間の平均値Eを算出する(S107)。次に第1の電力算出部103eは、平均値Eと定格電圧(24V)とに基づいて、1(s)当たりの2次側の消費電力量Nを算出する(S109)。続いて第1の電力算出部103eは、2次側の消費電力量Nを1(s)当たりの1次側の消費電力量Aに変換する(S111)。ステップS111においては、たとえば図9に示す変換効率テーブルを用いて、電流が平均値Eである場合の変換効率を求め、求めた変換効率で2次側の消費電力量Nを割ることによって、1次側の消費電力量Aが算出される。続いて第1の電力算出部103eは、1次側の消費電力量Aを電力合算部103iに通知し(S113)、変数nおよび積算電流E1の値をクリアし(S115)、リターンする。
ステップS105において、変数nが200に達しないと判別した場合(S105でNo)、第1の電力算出部103eは、変数nをインクリメントし(S117)、リターンする。
[第2の電力算出部による消費電力量の算出方法]
続いて、定着装置8がハロゲン定着器である場合(定着ヒーター83がハロゲンヒーターである場合)における、第2の電力算出部103fによる消費電力量の算出方法について説明する。
定着装置8が、ハロゲンヒーター(ハロゲンランプ)を用いた定着器であるハロゲン定着器である場合、定着ヒーター83に流す電流を定格電流(たとえば15Aまたは20A)以下に抑えた状態で、ウォームアップ時間が所定の条件(製品仕様)を満たす必要がある。このため、定着ヒーター83(複写機用のハロゲンヒーター)における定格電力に対する実際の消費電力、あるいは定着ヒーター83が発生する熱量は厳密に管理されている。このため、定着ヒーター83がオンの状態での消費電力の変動は小さい。この事実に着目すると、ハロゲン定着器である定着ヒーター83の消費電力量は、定着ヒーター83の定格電力と、定着ヒーター83への通電時間とに基づいて、正確に算出することができる。
図11は、定着装置8がハロゲン定着器である場合における、第2の電力算出部103fによる定着ヒーター83の消費電力量の算出方法を説明するための概念図である。
図11を参照して、定着装置8に対して通常の制御が行われる場合、(a)に示すように、第2の電力算出部103fは、定着ヒーター83の定格電力を定着ヒーター83への投入電力として、定着ヒーター83の定格電力と通電時間との積により定着ヒーター83の消費電力量を算出する。一方、定着ヒーターがオンした場合またはオフした場合に、突入電流による定着ヒーター83の損傷を防ぐことを目的として、定着ヒーター83を流れる電流を緩やかに増加させる制御(スルーアップ制御)、または定着ヒーター83を流れる電流を緩やかに減少させる制御(スルーダウン制御)が行われる場合がある。これらの制御を行う場合には、(b)に示すように、第2の電力算出部103fは、定着ヒーター83の動作開始直後および動作停止直前の過渡状態における定着ヒーター83の消費電力の変化に基づいて消費電力量を補正する。具体的には、第2の電力算出部103fは、定着ヒーター83の定格電力と通電時間との積から、スルーアップ制御時の補正消費電力量AM1およびスルーダウン制御時の補正消費電力量AM2を減ずることにより、定着ヒーター83の消費電力量を算出する。
なお、第2の電力算出部103fは、動作開始直後および動作停止直前のうちいずれか一方の過渡状態のみに基づいて消費電力を補正してもよい。
続いて、定着ヒーター83が、ロングヒーターおよびショートヒーターの2本のハロゲンヒーターよりなる場合における、定着ヒーター83の消費電力量の算出方法の一例を説明する。ロングヒーターおよびショートヒーターの各々の定格電力は、図12に示すように、1180(W)および790(W)であるものとする。
図13は、定着装置8の典型的な点灯パターンを示す図である。
図13を参照して、定着ヒーター83が時刻t1でオンした場合、スルーアップ制御により、定着ヒーター83の消費電力は、時間に比例して定格電力まで増加する。定着ヒーター83の消費電力が時刻t2で定格電力まで増加すると、定着ヒーター83は全点灯された状態となり、消費電力は一定となる。定着ヒーター83が時刻t3でオフした場合、スルーダウン制御により、定着ヒーター83の消費電力は、時間に比例してオフ時消費電力まで減少する。オフ時消費電力は、ロングヒーターでは500(W)、ショートヒーターでは335(W)である。定着ヒーター83の消費電力が時刻t4でオフ時消費電力まで減少すると、定着ヒーター83は全消灯される。
定着装置8がハロゲン定着器である場合、第2の電力算出部103fは、定着ヒーター83がある位相制御状態にある場合の経過時間を計測しながら、定着ヒーター83の位相制御状態を時間T2ごとに回数N2だけサンプリングする。時間T2はサンプリング周期であり、回数N2はサンプリング点数である。時間T2および回数N2の各々は、時間T2と回数N2との積が1(s)になるように設定され、たとえばROM333に保存される。本実施の形態では、時間T2が5(ms)に設定され、回数N2が200(回)に設定される。定着ヒーター83の位相制御状態とは、たとえば定着ヒーター83の全点灯状態、全消灯状態、スルーアップ制御状態、またはスルーダウン制御状態などである。そして第2の電力算出部103fは、位相制御状態が切り替わった場合に、切り替わる前の位相制御状態の種類と、切り替わる前の位相制御状態の経過時間とに基づいて、1(s)当たりの定着ヒーター83の消費電力量(Ws)を算出する。その後第2の電力算出部103fは、算出情報を電力合算部103iに通知し、変更後の位相制御状態の経過時間を再計測する。
図14は、位相制御状態と消費電力量の計算式との関係を模式的に示す表である。図15は、図14の計算式を模式的に示す表である。
図14を参照して、位相制御状態がスルーアップ制御状態である場合、ロングヒーターでは図15の「A−1」の欄に示す計算式が用いられ、ショートヒーターでは図15の「A−2」の欄に示す計算式が用いられる。位相制御状態がスルーダウン制御状態である場合、ロングヒーターでは図15の「A−3」の欄に示す計算式が用いられ、ショートヒーターでは図15の「A−3」の欄に示す計算式が用いられる。位相制御状態が全点灯状態である場合、ロングヒーターでは図15の「A−5」の欄に示す計算式が用いられ、ショートヒーターでは図15の「A−6」の欄に示す計算式が用いられる。
図15を参照して、スルーアップ制御状態では定着ヒーター83の消費電力は時間に比例して増加するので、「A−1」および「A−2」の欄に示す計算式では、図13において斜線で示す領域REG1の三角形の面積として消費電力量が算出されている。スルーダウン制御状態では定着ヒーター83の消費電力は時間に比例して減少するので、「A−3」および「A−4」の欄に示す計算式では、図13において斜線で示す領域REG2の台形の面積として消費電力量が算出されている。
図16は、定着装置8がハロゲン定着器である場合において、第2の電力算出部103fが実行する消費電力量の算出処理を示すフローチャートである。図16に示すフローチャートは、図6のステップS19における処理のサブルーチンとして実行される。
図16を参照して、第2の電力算出部103fは、定着ヒーター83の位相制御状態を定着ヒーター83から取得し(S201)、位相制御状態が変化したか否かを判別する(S203)。
ステップS203において、位相制御状態が変化しないと判別した場合(S205でNo)、第2の電力算出部103fは、経過時間を更新し(S205)、リターンする。一方、ステップS203において、位相制御状態が変化したと判別した場合(S203でYes)、位相制御状態の種類と経過時間とに基づいて、定着ヒーター83の消費電力量を算出する(S207)。続いて第2の電力算出部103fは、定着ヒーター83の消費電力量を電力合算部103iに通知し(S209)、経過時間をクリアし(S211)、リターンする。
続いて、定着装置8がIH定着器である場合(定着ヒーター83がIH(誘導加熱)ヒーターである場合)における、第2の電力算出部103fによる消費電力量の算出方法について説明する。
図17は、定着装置8がIH定着器である場合における、第2の電力算出部103fによる定着ヒーター83の消費電力量の算出方法を説明するための概念図である。
図17を参照して、定着装置8がIH定着器である場合、定着装置8は、IHコイルと、IHコイルに電力を供給するIH電源とを含んでいる。制御部103は、IH電源に対して一定の指示電力を供給するとともに、IH電源のオンオフの制御を行う。
したがって、定着装置8がIH定着器である場合、定着ヒーター83の消費電力量は、図17に示すように、制御部103が供給する指示電力と、定着ヒーター83への通電時間とに基づいて、正確に算出することができる。なお、指示電力のサンプリング周期内でヒーターリレースイッチがオフされた場合、定着ヒーター83はオフ状態となるが、サンプリングされる指示電力は変化しない。
定着装置8がIH定着器である場合、第2の電力算出部103fは、制御部103が定着ヒーター83へ供給する指示電力(W)を、時間T2ごとに回数N2だけサンプリングする。時間T2はサンプリング周期であり、回数N2はサンプリング点数である。時間T2および回数N2の各々は、時間T2と回数N2との積が1(s)になるように設定され、たとえばROM333に保存される。本実施の形態では、図18に示すように、時間T2が100(ms)に設定され、回数N2が10(回)に設定される。次に第2の電力算出部103fは、サンプリングした10回の指示電力(W)の平均値Hを、1(s)当たりの定着ヒーター83の消費電力量(Ws)として算出する。その後、第2の電力算出部103fは、算出情報を電力合算部103iに通知する。
第2の電力算出部103fは、以下の式(1)に示すように、サンプリングした10回の指示電力(W)の平均値Hに、電圧降下補正係数R1を乗ずることにより、1(s)当たりの定着ヒーター83の消費電力量(Ws)を算出してもよい。本実施の形態では、図18に示すように、電圧降下補正係数R1が1.03に設定される。
1(s)当たりの定着ヒーター83の消費電力量(Ws)=平均値H×電圧降下補正係数R1 ・・・(1)
図19は、定着装置8がIH定着器である場合において、第2の電力算出部103fが実行する消費電力量の算出処理を示すフローチャートである。図19に示すフローチャートは、図6のステップS19における処理のサブルーチンとして実行される。
図19を参照して、第2の電力算出部103fは、定着ヒーター83への指示電力をサンプリングし(S251)、変数nが10に達したか(1(s)の時間が経過したか)否かを算出する(S253)。
ステップS253において、変数nが10に達したと判別した場合(S253でYes)、第2の電力算出部103fは、10回の指示電力の平均値Hを算出し(S255)、式(1)を用いて定着ヒーター83の消費電力量を算出する(S257)。続いて第2の電力算出部103fは、定着ヒーター83の消費電力量を電力合算部103iに通知し(S259)、変数nをクリアし(S261)、リターンする。
ステップS253において、変数nが10に達しないと判別した場合(S253でNo)、第2の電力算出部103fは、変数nをインクリメントし(S263)、リターンする。
[第3の電力算出部による消費電力量の算出方法]
続いて、第3の電力算出部103gによる消費電力量の算出方法について説明する。
操作表示制御部103a、画像制御部103b、駆動負荷制御部103c、および定着ヒーター制御部103dの各々の消費電力は小さく、画像形成装置の動作状態が同じであれば、これらの消費電力の変動は少ない。したがって、第3の電力算出部103gは、操作表示制御部103a、画像制御部103b、駆動負荷制御部103c、および定着ヒーター制御部103dの合計の消費電力量を、画像形成装置の動作状態から予測される単位時間当たりの消費電力量と、動作時間とに基づいて算出する。
図20は、画像形成装置の動作状態と、電力消費パラメーターPとの対応関係を示す表である。図20に示す表は、たとえばROM333に保存されている。
図20を参照して、電力消費パラメーターPとは、サンプリング周期(0.1(s))に対応する時間での、操作表示制御部103a、画像制御部103b、駆動負荷制御部103c、および定着ヒーター制御部103dの合計の消費電力量(Ws)を示す値である。ウォームアップ中、省電力中、待機中、および印字中の各々の動作状態に対応して、電力消費パラメーターPが設定されている。
ウォームアップ中とは、画像形成装置が、省電力状態もしくは電源オフ状態から、印字可能な状態に移行するために、所定の準備動作を行っている状態である。所定の準備には定着ヒーター83による定着装置8の昇温動作やその他の動作が含まれている。画像データを受けてウォームアップ中に遷移した場合は、画像形成装置は、準備動作完了後に印字中に遷移する。電源オンの状態でウォームアップ中に遷移した場合、準備動作完了後に待機中に遷移する。画像形成装置がウォームアップ中である場合には、電力消費パラメーターPとして値P1が設定されている。
省電力中(スリープモード)とは、画像形成装置における一部の電源がオフされている状態である。画像形成装置が省電力中である場合には、電力消費パラメーターPとして値P2が設定されている。
待機中とは画像データの受信が発生すれば、直ちに印字が開始できる状態である。画像形成装置が待機中である場合には、電力消費パラメーターPとして値P3が設定されている。
印字中とは画像データに基づいて画像形成動作を行っている状態である。画像形成装置が印字中である場合には、電力消費パラメーターPとして値P4が設定されている。
第3の電力算出部103gは、現在の画像形成装置の動作状態に対応する電力消費パラメーターPを、時間T3(s)ごとに回数N3だけ計測(サンプリング)する。時間T3はサンプリング周期であり、回数N3はサンプリング点数である。時間T3および回数N3の各々は、時間T3と回数N3との積が1(s)になるように設定される。本実施の形態では、時間T3が100(ms)に設定され、回数N3が10(回)に設定される。
第3の電力算出部103gは、サンプリングした10個の電力消費パラメーターPを積算することにより、1(s)当たりの2次側の消費電力量(Ws)を算出する。第3の電力算出部103gは、2次側の消費電力量を1次側の消費電力量(Ws)に換算することが好ましい。低圧電源106aでは、電流(2次側の電流)の大きさによって変換効率が変動するためである。2次側の消費電力量を1次側の消費電力量に変換する場合には、たとえば図9に示すような変換効率テーブルが用いられることが好ましい。その後、第3の電力算出部103gは、算出情報を電力合算部103iに通知する。
図21は、第3の電力算出部103gが実行する消費電力量の算出処理を示すフローチャートである。図21に示すフローチャートは、図6のステップS21における処理のサブルーチンとして実行される。
図21を参照して、第3の電力算出部103gは、現在の画像形成装置の動作状態に基づいて、サンプリング周期単位での電力消費パラメーターPを図20の表から取得し(S301)、電力消費パラメーターPを積算電力量F1に加算する(S303)。次に第3の電力算出部103gは、変数nが10に達したか(1(s)の時間が経過したか)否かを算出する(S305)。
ステップS305において、変数nが10に達したと判別した場合(S305でYes)、第3の電力算出部103gは、積算電力量F1を、1(s)当たりの2次側の消費電力量Fとし(S307)、2次側の消費電力量Fを1次側の消費電力量Bに変換する(S309)。ステップS309においては、たとえば図9に示す変換効率テーブルを用いて、2次側の消費電力量Fに対応する電流である場合の変換効率を求め、求めた変換効率で2次側の消費電力量Fを割ることによって、1次側の消費電力量Bが算出される。続いて第3の電力算出部103gは、1次側の消費電力量Bを電力合算部103iに通知し(S311)、変数nおよび積算電力量F1の値をクリアし(S313)、リターンする。
ステップS305において、変数nが10に達しないと判別した場合(S305でNo)、第3の電力算出部103gは、変数nをインクリメントし(S315)、リターンする。
[第4の電力算出部による消費電力量の算出方法]
続いて、第4の電力算出部103hによる消費電力量の算出方法について説明する。
後処理装置220が給紙動作を実行していない場合には、画像形成装置の動作状態が同じであれば、後処理装置220の消費電力の変動は少ない。一方、後処理装置220が給紙動作を実行している場合には、給紙した用紙の枚数に応じて、後処理装置220の消費電力は増加する。したがって、第4の電力算出部103hは、後処理装置220の消費電力を、画像形成装置の動作状態から予測される単位時間当たりの消費電力と、動作時間と、後処理装置220が給紙した用紙の枚数とに基づいて算出する。
図22は、画像形成装置の動作状態と、電力消費パラメーターQとの対応関係を示す表である。図22に示す表は、たとえばROM333に保存されている。
図22を参照して、電力消費パラメーターQとは、後処理装置220が給紙動作を実行していない場合における、サンプリング周期(0.1(s))に対応する時間での後処理装置220の消費電力量(Ws)を示す値である。ウォームアップ中、省電力中、待機中または印字中であってページ挿入モードが選択されていない場合、および印字中であってページ挿入モードが選択されている場合の各々の動作状態に対応して、電力消費パラメーターQが設定されている。
画像形成装置がウォームアップ中である場合には、電力消費パラメーターQとして値Q1が設定されている。画像形成装置が省電力中である場合には、電力消費パラメーターQとして値Q2が設定されている。画像形成装置が待機中である場合、または印字中であってページ挿入モードが選択されていない場合には、電力消費パラメーターQとして値Q3が設定されている。印字中であってページ挿入モードが選択されている場合には、電力消費パラメーターQとして値Q4が設定されている。ページ挿入モードが選択されている場合、後処理装置220はページ挿入動作を実行するため、ページ挿入モードの選択の有無によって電力消費パラメーターQの値が異なっている。
第4の電力算出部103hは、現在の画像形成装置の動作状態に対応する電力消費パラメーターQを、時間T4(s)ごとに回数N4だけ計測(サンプリング)する。時間T4はサンプリング周期であり、回数N4はサンプリング点数である。時間T4および回数N4の各々は、時間T4と回数N4との積が1(s)になるように設定され、たとえばROM333に保存される。本実施の形態では、時間T4が100(ms)に設定され、回数N4が10(回)に設定される。第4の電力算出部103hは、サンプリングした10個の電力消費パラメーターQを積算することで、給紙動作を除く1s当たりの後処理装置220の消費電力量(Ws)を算出する。
また第4の電力算出部103hは、後処理装置220が給紙した用紙の枚数をカウントし、カウントした用紙の枚数と、1枚の用紙の給紙に要する消費電力量R(Ws)とを乗ずることにより、給紙動作に関する1s当たりの後処理装置220の消費電力量(Ws)を算出する。消費電力量Rは、予め設定されたパラメーターであり、たとえばROM333に保存されている。
次に第4の電力算出部103hは、給紙動作を除く1s当たりの後処理装置220の消費電力量に、給紙動作に関する1s当たりの後処理装置220の消費電力量を加えることにより、1s当たりの後処理装置220の消費電力量(Ws)を算出する。
図23は、第4の電力算出部103hが実行する消費電力量の算出処理を示すフローチャートである。図23に示すフローチャートは、図6のステップS23における処理のサブルーチンとして実行される。
図23を参照して、第4の電力算出部103hは、現在の画像形成装置の動作状態に基づいて、サンプリング周期単位での電力消費パラメーターQを図22の表から取得し(S351)、電力消費パラメーターQを積算電力量G1に加算する(S353)。次に第4の電力算出部103hは、後処理装置220が給紙動作を開始したか否かを判別する(S355)。
ステップS355において、給紙動作を開始したと判別した場合(S355でYes)、第4の電力算出部103hは、給紙回数mに1を加え、ステップS357の処理へ進む。一方、ステップS355において、給紙動作を開始しないと判別した場合(S355でNo)、第4の電力算出部103hは、ステップS357の処理へ進む。
ステップS357において、第4の電力算出部103hは、変数nが10に達したか(1(s)の時間が経過したか)否かを算出する(S357)。ステップS357において、変数nが10に達したと判別した場合(S357でYes)、第4の電力算出部103hは、積算電力量G1と、給紙回数mとから1(s)当たりの2次側の消費電力量Gを算出する(S359)。ステップS359において、2次側の消費電力量Gは、以下の式(2)を用いて算出される。
2次側の消費電力量G(Ws)=積算電力量G1+給紙回数m×1枚の用紙の給紙に要する消費電力量R ・・・(2)
続いて第4の電力算出部103hは、2次側の消費電力量Gを1次側の消費電力量Cに変換する(S361)。ステップS361においては、たとえば図9に示す変換効率テーブルを用いて、2次側の消費電力量Gに対応する電流である場合の変換効率を求め、求めた変換効率で2次側の消費電力量Gを割ることによって、1次側の消費電力量Cが算出される。続いて第4の電力算出部103hは、1次側の消費電力量Cを電力合算部103iに通知し(S363)、変数n、給紙回数m、および積算電力量G1の値をクリアし(S365)、リターンする。
ステップS357において、変数nが10に達しないと判別した場合(S357でNo)、第4の電力算出部103hは、変数nをインクリメントし(S367)、リターンする。
[電力合算部による電力合算処理]
続いて、電力合算部103iによる電力合算処理について説明する。
第1〜第4の電力算出部103e〜103h(または第1〜第3の電力算出部103e〜103g)の各々から消費電力量に関する情報の通知を受けて、電力合算部103iは、第1〜第4の負荷群(または第1〜第3の負荷群)の消費電力量の合計値を累積加算し、累積加算値をメモリ(たとえばROM333内の不揮発性RAM)に保存する。電力合算部103iは、累積加算値を電力量情報として、所定の電力量の通知タイミング(一定周期タイミング、あるいは画像形成装置の動作状態が変化するタイミング)で操作表示制御部103aへ通知する。所定の電力量の通知タイミングは、たとえば5(s)に設定される。通知後、電力合算部103iは、メモリに保存した消費電力量の合計値をクリアする。
図24は、電力合算部103iが実行する電力合算処理を示すフローチャートである。図24に示すフローチャートは、図6のステップS25における処理のサブルーチンとして実行される。
図24を参照して、電力合算部103iは、第1の電力算出部103eが消費電力量の算出結果を電力合算部103iに通知したか否かを判別する(S401)。ステップS401において、通知したと判別した場合(S401でYes)、電力合算部103iは、通知された消費電力量の算出結果を累積加算してメモリに格納し(S411)、ステップS403の処理へ進む。一方、ステップS401において、通知しないと判別した場合(S401でNo)、電力合算部103iはステップS403の処理へ進む。
ステップS403において、電力合算部103iは、第2の電力算出部103fが消費電力量の算出結果を電力合算部103iに通知したか否かを判別する(S403)。ステップS403において、通知したと判別した場合(S403でYes)、電力合算部103iは、通知された消費電力量の算出結果を累積加算してメモリに格納し(S413)、ステップS405の処理へ進む。一方、ステップS403において、通知しないと判別した場合(S403でNo)、電力合算部103iはステップS405の処理へ進む。
ステップS405において、電力合算部103iは、第3の電力算出部103gが消費電力量の算出結果を電力合算部103iに通知したか否かを判別する(S405)。ステップS405において、通知したと判別した場合(S405でYes)、電力合算部103iは、通知された消費電力量の算出結果を累積加算してメモリに格納し(S415)、ステップS407の処理へ進む。一方、ステップS405において、通知しないと判別した場合(S405でNo)、電力合算部103iはステップS407の処理へ進む。
ステップS407において、電力合算部103iは、第4の電力合算部103iが消費電力量の算出結果を電力合算部103iに通知したか否かを判別する(S407)。ステップS407において、通知したと判別した場合(S407でYes)、電力合算部103iは、通知された消費電力量の算出結果を累積加算してメモリに格納し(S417)、ステップS409の処理へ進む。一方、ステップS407において、通知しないと判別した場合(S407でNo)、電力合算部103iはステップS409の処理へ進む。
ステップS409において、電力合算部103iは、操作表示制御部103aへの電力量情報の通知タイミングか否かを判別する(S409)。ステップS409において、電力量情報の通知タイミングであると判別した場合(S409でYes)、電力合算部103iは、メモリに格納した累積加算値を、電力量情報として操作表示制御部103aへ通知し(S421)、メモリの累積加算値をクリアし(S423)、リターンする。一方、ステップS409において、電力量情報の通知タイミングでないと判別した場合(S409でNo)、電力合算部103iはリターンする。
[操作表示制御部による表示処理]
続いて、操作表示制御部103aによる電力情報の表示処理について説明する。
操作表示制御部103aは、たとえば1ヶ月ごとの画像形成装置の消費電力量を表示部102へ表示する。この場合操作表示制御部103aは、今月の月初めから現在までの消費電力量の合計値と、過去の1ヶ月ごとの消費電力量とを月別に表示してもよい。
図25は、電力合算部103iと操作表示制御部103aとの間の通信を示すシーケンス図である。
図25を参照して、所定の電力量の通知タイミング(たとえば5s間隔)で電力合算部103iから電力量情報の通知を受ける度に、操作表示制御部103aは電力情報の表示処理を行う。具体的に、操作表示制御部103aは、通知された電力量情報をメモリ(たとえばROM333内の不揮発性RAM)に保存することによって電力量情報を累積加算し、累積加算値の表示単位(Ws)を、所定の表示単位(たとえばkWh)に変換する。そして操作表示制御部103aは、変換後の累積加算値を当月の消費電力合計値として表示部102に表示する。各月の月初めには、操作表示制御部103aは累積加算値を前月の消費電力量として(累積加算値を月情報と関連付けて)メモリに保存し、累積加算値をクリアする。操作表示制御部103aは、月別電力消費量として累積加算値を集計し、月別電力消費量を表示部102に表示する。
図26は、表示部102に表示された電力情報の画面を模式的に示す図である。
図26を参照して、表示部102には、今月の消費電力量の表示とともに過去の月別消費電力量情報が表示されている。また、消費電力量に関連付ける形式で、通電中の累積時間、待機中の累積時間、省電力中の累積時間、および動作中の累積時間の各々が、参考情報として表示されている。これらの参考情報は、計時部103jによってメモリ(たとえばROM333内の不揮発性RAM)に保存されたものである。
図27は、操作表示制御部103aが実行する電力情報の表示処理を示すフローチャートである。図27に示すフローチャートは、図6のステップS25における処理のサブルーチンとして実行される。
図27を参照して、操作表示制御部103aは、電力合算部103iから電力情報を取得すると(S501)、電力情報の値を累積加算し、メモリに保存する(S503)。次に操作表示制御部103aは、メモリに保存された累積加算値の表示単位(Ws)を、所定の表示単位(kWh)に変換し、今月の消費電力量として表示部102に表示する(S505)。続いて操作表示制御部103aは、現在が月初めか否か(たとえば現在時刻が月初めの午前0時か否か)を判別する(S507)。
ステップS507において、月初めであると判別した場合(S507でYes)、操作表示制御部103aは、累積加算値を月情報と関連付けてメモリに保存し(S509)、過去の1ヶ月ごとの消費電力量を更新する(S510)。その後操作表示制御部103aは、メモリに格納された累積加算値をクリアし(S511)、リターンする。一方、ステップS507において、月初めでないと判別した場合(S507でNo)、操作表示制御部103aはリターンする。
なお、上述の場合には、操作表示制御部103aは5秒という短い周期で電力情報の通知を受けているため、現在の消費量情報を高い精度でリアルタイムに表示することができる。一方、操作表示制御部103aが電力情報の通知を受ける周期を長くした場合には、CPU331などの負荷を低減することができる。
[変形例]
本変形例では、画像形成装置がライン型のインクジェットプリンタである場合について説明する。
図28は、本発明の一実施の形態における画像形成装置の変形例の構成を模式的に示す断面図である。
図28を参照して、画像形成装置としてのライン型のインクジェットプリンタ1300は、給紙部1310と、給紙搬送部1320と、複数の搬送ローラー1324と、ヘッドユニット部1330とを主に備えている。
給紙部1310は、給紙カセット1311と、取出装置1312とを含んでいる。給紙カセット1311は、インクジェットプリンタ1300の内部下方に設けられている。給紙カセット1311は、複数の記録紙1350を積層して収容する。取出装置1312は、給紙カセット1311の図28中右上側に設けられており、画像を記録しようとする記録紙1350を一枚ずつ給紙カセット1311から取り出す。
給紙搬送部1320は、給紙部1310の上方に配設されている。給紙搬送部1320は、記録紙1350を搬送する。給紙搬送部1320は、搬送ベルト1321と、複数のベルト用ローラー1322と、押圧ローラー1323と、搬送ローラー1324とを含んでいる。搬送ベルト1321は、記録紙1350を平面状に支持して水平方向に搬送する環状のベルトである。搬送ベルト1321は、複数のベルト用ローラー1322により回転可能に張架されている。押圧ローラー1323は、搬送ベルト1321と記録紙1350とが接触を開始する位置に設けられている。押圧ローラー1323は、搬送ベルト1321上を記録紙1350が平面状に搬送されるように、搬送ベルト1321と接触している。搬送ローラー1324は、搬送路1325の所定位置に設けられている。
搬送ローラー1324は、搬送方向Xに沿って記録紙1350を搬送する。搬送路1325は、給紙カセット1311から供給された記録紙1350を搬送ベルト1321へ搬送し、記録紙1350が搬送ベルト1321の周面に沿って搬送された後、搬送ベルト1321から排紙部1341に排出させる経路である。
ヘッドユニット部1330は、搬送ベルト1321の上部近傍に、搬送方向Xに沿って順に、KCMYの各色のインクを記録紙1350に吐出するヘッドユニット1331、1332、1333、および1334を含んでいる。ヘッドユニット1331、1332、1333、および1334の各々は、搬送ベルト1321の全幅にわたって設けられている。
インクジェットプリンタ1300は、さらにインクジェットプリンタ1300全体の動作を制御する制御部1340を備えている。
インクジェットプリンタ1300において、給紙部1310、搬送ローラー1324、給紙搬送部1320、およびヘッドユニット部1330を駆動するモーター(インクジェットプリンタ1300を駆動するモーター)の消費電力は、環境や装置の耐久などによって変動しやすい。制御部1340は、これらの部材を駆動するモーターに供給する電圧の合計値および電流の合計値のうち少なくともいずれか一方を実測し、この実測値に基づいて消費電力を算出する。一方、制御部1340の消費電力の変動は少ない。したがって、制御部1340は、制御部1340の消費電力量を、画像形成装置の動作状態から予測される単位時間当たりの消費電力量と、動作時間とに基づいて予測(算出)する。
本変形例の構成のように、感光体、現像器、画像形成後の用紙に後処理を施すフィニッシャー、自動給紙装置、およびこれらの部材を駆動するモーターを含まない画像形成装置においても、計算によって消費電力量を予測する部分と、実測によって消費電力量を算出する部分とに分けて消費電力量を算出することで、設計が容易で高精度な消費電力量を得ることができる。
なお、インクジェットプリンタは、図28に示すように固定されたヘッドユニット部1330(プリントヘッド)に対して用紙のみが移動するライン型(ラインヘッド型)のものである場合の他、ヘッドユニット部が移動しながら用紙に印字するシリアル型のものであってもよい。
[実施の形態の効果]
上述の実施の形態によれば、一部の負荷の消費電力量を、実際に測定した電流に基づいて実測し、その他の負荷の消費電力量を、実測によらない方法にて予測することで、求める消費電力量の精度を確保しつつ、電力算出にかかわるプログラムなどの装置構成の複雑化を抑制することができる。
また、環境や装置の耐久などによって変動が生じやすい駆動負荷部の消費電力量を、電流に基づいて算出することにより、消費電力量の精度を向上することができる。
[その他]
上述の実施の形態においては、駆動系負荷以外の負荷の消費電力量を、その負荷に供給する電流の測定値に基づいて算出してもよい。また、駆動系負荷の消費電力量を、駆動系負荷の動作状態および動作時間に基づいて予測してもよい。
第1〜第4の電力算出部が算出する消費電力量は、1(s)当たりの消費電力量である必要はなく、任意の時間間隔での消費電力量であればよい。
上述の実施の形態を適宜組み合わせることも可能である。たとえば図28に示すインクジェットプリンタ1300において、インクジェットプリンタ1300を駆動するモーターの制御と同期して、モーターに供給する電流を測定してもよい。
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行なっても、ハードウェア回路を用いて行なってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピュータにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。