JP5526337B2 - 核酸のハイブリダイゼーション方法及び一塩基多型の判定方法 - Google Patents
核酸のハイブリダイゼーション方法及び一塩基多型の判定方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5526337B2 JP5526337B2 JP2009051384A JP2009051384A JP5526337B2 JP 5526337 B2 JP5526337 B2 JP 5526337B2 JP 2009051384 A JP2009051384 A JP 2009051384A JP 2009051384 A JP2009051384 A JP 2009051384A JP 5526337 B2 JP5526337 B2 JP 5526337B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nucleic acid
- base sequence
- probe
- target
- target nucleic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
Description
ローブ群とを適宜の条件で接触させ、ハイブリッド体シグナル強度を該完全及び/又は不完全マッチプローブに各々対応して測定し、完全マッチプローブ対応の 第一シグナルデータ、並びに/又は不完全マッチプローブ対応の第二シグナルデータを取得し、各プローブ群の第一及び/又は第二シグナルデータから、プローブ群に関連づけられた最適反応条件でのデータを第一及び/又は第二試験データとして抽出し、第一及び/又は第二試験データにフィルタリング処理を行い、試料核酸における標的核酸の配列を判定し、全種標的核酸の判定結果を統合する核酸配列解析方法が開示されている。
ギャップの長さ(塩基数)を上記範囲とすることにより、標的核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーションを阻害することなく、プローブ核酸と標的核酸とのハイブリダイゼーションの特異性を向上させることができる。
RNA等よりも安定なDNAをプローブ核酸とすることにより、プローブ核酸の耐久性を増大させることができると共に、ハイブリダイゼーションの再現性を向上させることができる。
プローブ塩基配列の塩基数を上記範囲とすることにより、プローブ核酸と標的核酸とのハイブリダイゼーションにおいて、ミスマッチを有する核酸とのハイブリダイゼーションに起因するバックグラウンドノイズを増大させることなく、塩基配列特異性を向上できる。
前記標的核酸と前記プローブ核酸のうち前記標的塩基配列と相補的な前記プローブ塩基配列を有するものとの特異的なハイブリダイゼーションを位置特異的に検出する工程Bとを有することを特徴とする一塩基多型の判定方法を提供することにより上記課題を解決するものである。
なお、本発明において「反応器」とは、標的核酸を含む溶液を充填する容器又は流通させる流路の(溶液と接触する)内壁面上の所定の位置にプローブ核酸が配置され、標的核酸とプローブ核酸を接触させ、ハイブリダイズさせるよう構成されたものをいう。
ギャップの長さ(塩基数)を上記範囲とすることにより、標的核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーションを阻害することなく、プローブ核酸と標的核酸とのハイブリダイゼーションの特異性を向上させることができる。
RNA等よりも安定なDNAをプローブ核酸とすることにより、プローブ核酸の耐久性を増大させることができると共に、ハイブリダイゼーションの再現性を向上させることができる。
プローブ塩基配列の塩基数を上記範囲とすることにより、プローブ核酸と標的核酸とのハイブリダイゼーションにおいて、ミスマッチを有する核酸とのハイブリダイゼーションに起因するバックグラウンドノイズを増大させることなく、塩基配列特異性を向上できる。
一塩基多型に対応する塩基が、各領域の塩基数が(ほぼ)等しくなるようにプローブ塩基配列を3つの領域に分割した場合(具体例については後述する。)における中央部に位置すると、ミスマッチが存在する核酸とのハイブリダイゼーション効率が低下するため、プローブ核酸と標的核酸とのハイブリダイゼーションにおける塩基配列特異性を向上させることができる。なお、プローブ塩基配列と相補的な標的塩基配列中の一塩基多型に対応する塩基の位置についても同様である。
これらの方法によると、標的核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーションの検出をリアルタイムに行うことができるため、SNPのタイピングに要する時間を短縮し、スループットを向上できる。また、プレートリーダー等に比べ安価な装置で位置特異的なハイブリダイゼーションの検出が可能であるため、医療現場等において簡便に一塩基多型のタイピングを行うことができる。
また、本発明によると、複雑な条件設定のために多大な労力や熟練を要することなく、医療現場等において迅速かつ簡便に高精度なSNPのタイピングを行うことが可能な一塩基多型(SNP)の判定方法が提供される。
(I)核酸のハイブリダイゼーション方法
図1を参照しながら、本発明の第1の実施の形態に係る核酸のハイブリダイゼーション方法について説明する。なお、図1において、他の塩基配列とハイブリダイズする塩基配列を白又はハッチングで表し、それ以外の塩基配列を黒で表している。また、以下の説明において、塩基配列の名称の後に付したカッコ入りのアルファベットは、図1においてそれぞれの塩基配列に付したアルファベットに対応している。
本実施の形態に係る核酸のハイブリダイゼーション方法は、ハイブリダイゼーションの対象となる標的塩基配列を有する標的核酸を含む試料を、標的塩基配列と相補的なプローブ塩基配列を有するプローブ核酸と接触させ、試料中の標的核酸とプローブ核酸とを特異的にハイブリダイズさせる方法であり、図1に示すように:
(A)標的塩基配列(t)よりも5’末端側に位置する標的核酸中の塩基配列の一部又は全部(a:図1では標的塩基配列(t)よりも5’末端側に位置する標的核酸中の塩基配列の一部である場合について例示しているが、5’末端までの塩基配列の全部であってもよい。)とハイブリダイズ可能な塩基配列(a’)を5’末端側に有する5’末端側ブロック核酸、及び/又は
(B)標的塩基配列(t)よりも3’末端側に位置する標的核酸中の塩基配列の一部又は全部(b:図1では標的塩基配列(t)よりも3’末端側に位置する標的核酸中の塩基配列の一部である場合について例示しているが、3’末端までの塩基配列の全部であってもよい。)とハイブリダイズ可能な塩基配列(b’)を3’末端側に有する3’末端側ブロック核酸
を標的核酸と接触させ、5’末端側ブロック核酸、及び/又は3’末端側ブロック核酸が、それぞれ標的核酸中のハイブリダイズ可能な塩基配列とハイブリダイズした状態で標的核酸とプローブ核酸とを特異的にハイブリダイズさせる。
ハイブリダイゼーションの対象となる標的塩基配列(t)を有する標的核酸は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドおよびその誘導体を少なくとも一つ以上含んで構成される任意のポリヌクレオチドである。なお、「ポリヌクレオチド」とは、2以上の任意の数のヌクレオチドが縮合した化合物を意味し、いわゆる「オリゴヌクレオチド」も、本発明における「ポリヌクレオチド」に含まれる。ポリヌクレオチドの具体例としては、DNA、cDNA、mRNA(メッセンジャーRNA:スプライシング前のものであってもスプライシング後のものであってもよい)、tRNA(トランスファーRNA)、或いはそれらの断片等が挙げられる。また、ポリヌクレオチド或いはそれを含む試料の起源は特に制限されず、生体(動物、植物、細菌、真菌、古細菌、ウィルス等の任意の生命体を意味する)試料由来のもの、生体試料由来の核酸をPCR法等により増幅及び/又は制限酵素等に(標的塩基配列を途中で切断しないものを選択する必要がある。)より断片化したもの、化学合成されたものであってよく、これらのうち2以上の混合物であってもよい。
標的核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーションにおける塩基配列特異性を向上させるために、下記の(A)に示す5’末端側ブロック核酸、及び/又は下記の(B)に示す3’末端側ブロック核酸を標的核酸と接触させ、5’末端側ブロック核酸、及び/又は3’末端側ブロック核酸が、それぞれ標的核酸中のハイブリダイズ可能な塩基配列(a及び/又はb)とハイブリダイズした状態で標的核酸とプローブ核酸とを特異的にハイブリダイズさせる。
(A)5’末端側ブロック核酸:標的核酸中の塩基配列(a)とハイブリダイズ可能な塩基配列(a’)を5’末端側に含む核酸
(B)3’末端側ブロック核酸:標的核酸中の塩基配列(b)とハイブリダイズ可能な塩基配列(b’)を3’末端側に含む核酸
5’末端側ブロック核酸は、塩基配列(a)とハイブリダイズ可能な塩基配列(a’)よりも5’末端側に更に1又は複数の塩基を有していてもよいが、好ましくは、該塩基配列(a’)は5’末端に位置しており、5’末端には他の塩基を有しない。
同様に、3’末端側ブロック核酸は、塩基配列(b)とハイブリダイズ可能な塩基配列(b’)よりも3’末端側に更に1又は複数の塩基を有していてもよいが、好ましくは、該塩基配列(b’)は5’末端に位置しており、3’末端には他の塩基を有しない。
プローブ核酸としては、プローブ・ハイブリダイゼーション法で通常用いられる核酸をいずれも好適に使用することができる。使用することができる核酸の具体例としては、標的塩基配列に相補的なプローブ塩基配列を有するデオキシリボヌクレオチド(DNA)、リボヌクレオチド(RNA)及びその誘導体を少なくとも1以上含んで構成されるポリヌクレオチドが挙げられる。
プローブ塩基配列(p)よりも5’末端側又は3’末端側に更に1又は複数の塩基を有していてもよいが、好ましくは、プローブ塩基配列(p)は5’末端又は3’末端に位置しており、5’末端又は3’末端には他の塩基を有しない。
固相担体の例としては、(1)ガラス、樹脂、セラミックス、金属(バルク材料、薄膜、微粒子等の任意の形態を取りうる)等の材質からなるマイクロタイタープレート、セル、フローセル、マイクロリアクター、チューブ、及び(2)シリカ、ポリスチレン等の材質からなるクロマトグラフィー用担体等が挙げられる。固相担体の表面への標的核酸、プローブ核酸及びブロック核酸の非特異的な吸着を避けるために、固相担体の表面を、カゼイン、ウシ血清アルブミン(BSA)等で被覆(ブロッキング)してもよい。
本発明の第2の実施の形態に係る一塩基多型の判定方法は、判定の対象となる標的塩基配列(t)を有する標的核酸を、標的塩基配列(t)に存在する一塩基多型(SNP)の一部又は全部のそれぞれと相補的なプローブ塩基配列(p)を含み、相異なるプローブ塩基配列(p)を有するもの同士が単一の反応器の内壁面上の互いに相異なる所定の領域に配置された複数のプローブ核酸と接触させ、標的核酸とプローブ核酸のうち標的塩基配列(t)と相補的なプローブ塩基配列(p)を有するものとを特異的にハイブリダイズさせる工程Aと、標的核酸とプローブ核酸のうち標的塩基配列(t)と相補的なプローブ塩基配列(p)を有するものとの特異的なハイブリダイゼーションを位置特異的に検出する工程Bとを有している。
なお、「塩基配列の中央に位置する(塩基)」とは、プローブ塩基配列(p)の塩基数がnである場合において、
(1)nが偶数の場合:5’末端側から(n/2)番目又は(n/2)+1番目
(2)nが奇数の場合:(n+1)/2番目に位置する塩基をいう。
すなわち、プローブ塩基配列(p)を上記のように3つの領域に分割すると、塩基数が3の倍数のときは3つの領域の塩基数は全て等しくなり、3で割ると1又は2余る数のときは中央部の塩基数が両端部のそれよりもそれぞれ1又は2多くなるように分割される。
(1)まず、一塩基多型に対応する塩基が中央に位置し、適当な塩基長(例えば、13塩基)のプローブ塩基配列を有するプローブ核酸を設計及び合成し、標的核酸とのハイブリダイゼーションを観測する。
(2)いずれのプローブ核酸についても共鳴信号の強度が大きく、十分な塩基配列特異性が観測されない場合は、プローブ塩基配列の塩基長を小さくし、共鳴信号の強度が小さく、ミスマッチを有するプローブ核酸に対するハイブリダイゼーション効率がより大きい等の非特異的なハイブリダイゼーションが観測される場合には、プローブ塩基配列の塩基長を大きくする。
(3)上記のようにプローブ塩基配列の塩基長を変更した結果、塩基配列特異性が改善されたが、なお不十分である場合には、3’末端側ブロック核酸及び5’末端側ブロック核酸のいずれか一方を添加し、改善が見られるか検討する。必要に応じて、他方も添加し同様に検討を行う。
本発明の第3の実施の形態に係る一塩基多型判定用反応器は、判定の対象となる標的塩基配列を有する溶液を充填する容器及び該溶液を流通させる流路のいずれか一方又は双方を有し、標的塩基配列中に存在する一塩基多型(SNP)の一部又は全部のそれぞれと相補的なプローブ塩基配列を有する複数のプローブ核酸のうち相異なる該プローブ塩基配列を有するもの同士が内壁面上のそれぞれ互いに相異なる所定の位置に配置されている。
図2に示すように、本発明の第4の実施の形態に係る一塩基多型判定装置10は、上述の第2の実施の形態に係る一塩基多型の判定方法を実施するための装置であり、判定の対象となる標的塩基配列を有する溶液を充填する容器及び該溶液を流通させる流路のいずれか一方又は双方を有し、標的塩基配列中に存在する一塩基多型(SNP)の一部又は全部のそれぞれと相補的なプローブ塩基配列を有する複数のプローブ核酸のうち相異なる該プローブ塩基配列を有するもの同士が内壁面上のそれぞれ互いに相異なる所定の位置に配置された反応器12と、標的塩基配列を有する標的核酸とプローブ核酸のうち標的塩基配列と相補的な該プローブ塩基配列を有するものとの特異的なハイブリダイゼーションを位置特異的に検出する検出手段13とを有している。
或いは、反応器中12での標的核酸溶液の添加やハイブリダイゼーション等は手動で行ってもよい。
飲酒により摂取されたエタノールの中間代謝産物であるアセトアルデヒドを酸化し、酢酸に変換するALDH2には遺伝子多型(一塩基多型)が存在し、遺伝子型により活性型であるALDH2*1型と不活性型であるALDH2*2型とに分けられる。ALDH2遺伝子の第12エクソンの104番目(5’末端から1035番目)の塩基が、前者においてはG(グアニン)である(以下、「G型」という。)のに対し、後者においてはA(アデニン)である(以下、「A型」という。)。その結果、ALDH2における487番目のアミノ酸が、前者においてはグルタミン酸(GAA)、後者においてはリジン(AAA)になる。遺伝子型が活性型ホモ接合体(G/G)の人は、エタノール及びアセトアルデヒド代謝が速いのに対し、ヘテロ接合体(G/A)及び不活性型ホモ接合体(A/A)の人は、アセトアルデヒド代謝が遅れるため、これらの人には顔面紅潮や不快症状(フラッシング症状)が現れる。特に後者は、酒に非常に弱く、いわゆる殆ど「飲めない」タイプである。白人や黒人では、G/Gの割合がほぼ100%であるのに対し、日本人では、G/Gの人が56%、G/Aが38%、A/Aが4%となっている。
標的核酸として、G型のALDH2遺伝子の第12エクソンの104番目の塩基(下記の塩基配列中太字で示した核酸塩基)を含む30塩基からなり、下記の配列番号1で表される塩基配列を有する核酸を合成した。
上の(1)の結果から、SPR法により標的核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーションを検出できることは確認できたが、標的塩基配列の塩基長が20である場合には、塩基配列特異性が十分でないため、種々の塩基長を有する標的核酸を用い、核酸塩基配列の塩基長がハイブリダイゼーションにおける塩基配列特異性に及ぼす影響について検討した。使用したプローブ核酸及び標的核酸は、それぞれ下記のとおりである。ここでは、配列番号11で表される塩基配列を有するプローブ核酸のみを用い、塩基長の異なる標的核酸(配列番号12〜20)を用いて検討を行った。
プローブ核酸として、上記の配列番号11(完全に相補的)及び21(1塩基のミスマッチを有するもの)で表される塩基配列を有するものを、標的核酸として下記の塩基配列を有するもの(塩基長はいずれも11である)をそれぞれ用いて上記(1)と同様の操作を行い、標的核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーション効率を検討した。
標的核酸として、ALDH2遺伝子の第12エクソンの104番目の塩基を含む50塩基からなる、下記の配列番号27及び配列番号28のいずれかで表される塩基配列を有する核酸を合成した。
なお、プローブ塩基配列の塩基長が13の場合(塩基配列29、31)についても同様の結果が得られた。
3’末端側ブロック核酸の添加量がハイブリダイゼーション効率に及ぼす影響についても検討した。結果は示さないが、いずれの標的核酸(配列番号27及び28)についても、3’末端側ブロック核酸(配列番号33)の添加量の増大につれてミスマッチ/マッチ比は低下したが、標的核酸の2倍(モル比)付近で添加効果は飽和した。したがって、3’末端側ブロック核酸は、少なくとも標的核酸の2倍(モル比)添加すれば十分に塩基配列特異性を向上させる効果が得られることが確認された。
標的核酸として配列番号27、28で表される塩基配列を有するもの、プローブ核酸として配列番号29、31で表される塩基配列を有するもの、3’末端側ブロック核酸として、下記の配列番号34〜40で表される塩基配列を有するもの(カッコ内の数字は、3’末端側ブロック核酸がハイブリダイズな可能な標的核酸中の塩基配列の5’末端側と標的塩基配列の3’末端側とのギャップの長さ(以下、「ギャップの長さ」と略称する。)を表す。負の数字は、3’末端側ブロック核酸の3’末端側に存在し、標的塩基配列とオーバーラップする余分な塩基の数を表す。)を用いて、上記(1)及び(4)と同様の操作を行い、標的核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーション効率を検討した。
標的核酸として配列番号27で表される塩基配列を有するもののみ(G/G型に相当)、配列番号28で表される塩基配列を有するもののみ(A/A型に相当)、両者を1:1で混合したもの(G/A型に相当)のいずれか、プローブ核酸として配列番号29、31及び41で表される塩基配列を有するもの、3’末端側ブロック核酸として、配列番号34で表される塩基配列を有するものをそれぞれ用いて(図7参照:黒の台形はアビジンを、Bが書かれた五角形はビオチン分子をそれぞれ表す。)、上記(1)及び(4)と同様の操作を行い、標的核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーション効率を検討した。なお、配列番号29、31及び41で表される塩基配列を有するプローブ核酸は、それぞれ一塩基多型に対応する部位における塩基がG、A及びCである標的核酸に相補的なプローブ塩基配列を有している。
株式会社ニッポンジーン製DNA抽出キットISOHAIRを用いて、ヒトの毛髪からDNAを抽出した。抽出したDNAをテンプレートとして、5’末端から904番目〜1332番目の塩基を含む430bpPCR増幅産物を得た。使用したプライマーは、それぞれの末端から25塩基分の塩基配列と相補的な塩基配列を有するオリゴデオキシリボヌクレオチドである。このようにして得られた430bp増幅産物をテンプレートとして、非対称PCR法により118bp増幅産物を得た。非対称PCR法の条件は下記のとおりである。
5’末端側テンプレート(945〜964番目の塩基配列と相補的):1μM
3’末端側テンプレート(1042〜1062番目の塩基配列と相補的):20nM
サイクル:95℃5分→(94℃30秒−55℃30秒−72℃15秒)×35サイクル
13名のボランティアより採取した毛髪から上記(8)と同様の方法によりDNAを抽出し、430bpPCR増幅産物を得た。使用したプライマーは、それぞれの末端から25塩基分の塩基配列と相補的な塩基配列を有するオリゴデオキシリボヌクレオチドである。このようにして得られた430bp増幅産物をテンプレートとして、非対称PCR法により139bp増幅産物を得た。非対称PCR法の条件は下記のとおりである。
5’末端側テンプレート(925〜949番目の塩基配列と相補的):1μM
3’末端側テンプレート(1044〜1063番目の塩基配列と相補的:配列番号34):20nM
Premix、MilliQ:25μL
サイクル:95℃5分→(94℃30秒−55℃30秒−72℃15秒)×40サイクル
MTHFRは、葉酸代謝経路の酵素のひとつで、ホモシスチンをメチオニンに変換するプロセスの律速段階を触媒する。MTHFRをコードするDNA中の677番目のCがTに変異したことに起因するこの酵素の異常は葉酸欠乏を引き起こし、高ホモシスチン血症を来す原因になるが、葉酸の投与によって改善できる。ただし、葉酸欠乏は胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを高めることが知られており、特に妊娠初期には葉酸の充分な摂取が必要である。したがって、診断によりTTホモだった場合は妊娠期に葉酸摂取の充分な管理が必要になる。日本人における各ジェノタイプの出現頻度は、C/C型46%、C/T型44%、T/T型10%である。
標的核酸として、MTHFR遺伝子の第677番目の塩基を含む53塩基からなる、下記の配列番号42及び配列番号43のいずれかで表される塩基配列を有する核酸を合成した。プローブ核酸として、配列番号44〜47で表される塩基配列を有するもの(一塩基多型に対応する塩基を中央に有している。)、3’末端側ブロック核酸として、配列番号48で表される塩基配列を有するもの(ギャップの長さは1である。)をそれぞれ設計及び合成した。これらの核酸を用いて実施例1の(1)及び(4)と同様の操作を行い、標的核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーション効率を検討した。
(1)配列番号50>配列番号49ならばT/T型
(2)配列番号49/配列番号50>3ならばC/C型
(3)1≦配列番号49/配列番号50≦3ならばC/T型
株式会社ニッポンジーン製DNA抽出キットISOHAIRを用いて、ヒトの毛髪からDNAを抽出した。抽出したDNAをテンプレートとして、下記の配列番号53及び54で表される塩基配列を有するプライマー(前者が5’末端側、後者が3’末端側である。)を用いて、非対称PCR法により866bp増幅産物を得た。得られた増幅産物をテンプレートとして、下記の配列番号55及び56で表される塩基配列を有するプライマー(前者が5’末端側、後者が3’末端側である。)を用いて、非対称PCR法により72bp増幅産物を得た。これを標的核酸として用い、上記と同様の実験を行った。
apo Eは、血漿中で脂質と結合しリポタンパクとなり、また、リポタンパクが細胞に認識されるときのマーカーとなるタンパク質である。apo E遺伝子にはε2、ε3、ε4の3つの対立遺伝子(アリル)(タンパク質ではE2、E3、E4のアイソフォーム)があり、E2、E3、E4の違いは、112位と158位のアミノ酸である。apo E3では112番目がシステインであるが、apo E4では112番目がアルギニンとなっている。apo E4はアルツハイマー病の危険因子として知られており、「apo E4ホモ」では3倍、「apo E4ホモ」かつ「ALDH2が不活性型」は30倍アルツハイマー病に罹患しやすいとされている。
標的核酸として、apo E遺伝子の3’→5’鎖において上記一塩基多型に対応する塩基を含む57塩基からなる、下記の配列番号57及び配列番号58のいずれかで表される塩基配列を有する核酸を合成した。プローブ核酸として、配列番号59〜62で表される塩基配列を有するもの(一塩基多型に対応する塩基を中央に有している。)、3’末端側ブロック核酸として、配列番号63で表される塩基配列を有するもの(ギャップの長さは1である。)をそれぞれ設計及び合成した。これらの核酸を用いて実施例1の(1)及び(4)と同様の操作を行い、標的核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーション効率を検討した。
(1)配列番号65>配列番号66ならばA/A型
(2)配列番号66/配列番号65>2ならばG/G型
(3)1≦配列番号66/配列番号65≦2ならばA/G型
株式会社ニッポンジーン製DNA抽出キットISOHAIRを用いて、ヒトの毛髪からDNAを抽出した。抽出したDNAをテンプレートとして、下記の配列番号70及び71で表される塩基配列を有するプライマー(前者が5’末端側、後者が3’末端側である。)を用いて、非対称PCR法により228bp増幅産物を得た。得られた増幅産物をテンプレートとして、下記の配列番号72及び73で表される塩基配列を有するプライマー(前者が5’末端側、後者が3’末端側である。)を用いて、非対称PCR法により125bp増幅産物を得た。これを標的核酸として用い、上記と同様の実験を行った。
11 試料供給手段
12 反応器
13 検出手段
14 データ処理手段
15 制御手段
Claims (6)
- ハイブリダイゼーションの対象となる標的塩基配列を有する標的核酸を含む試料を、前記標的塩基配列と相補的なプローブ塩基配列を有するプローブ核酸と接触させ、前記試料中の前記標的核酸と前記プローブ核酸とを特異的にハイブリダイズさせる方法において、
前記プローブ塩基配列の塩基数が10以上20以下であり、
前記標的塩基配列よりも5’末端側に1から15塩基分のギャップを隔てて位置する前記標的核酸中の塩基配列の一部又は全部とハイブリダイズ可能な塩基配列を5’末端側に有する5’末端側ブロック核酸及び/又は前記標的塩基配列よりも3’末端側に1から15塩基分のギャップを隔てて位置する前記標的核酸中の塩基配列の一部又は全部とハイブリダイズ可能な塩基配列を3’末端側に有する3’末端側ブロック核酸を前記標的核酸と接触させ、前記5’末端側ブロック核酸及び/又は前記3’末端側ブロック核酸が前記標的核酸中の前記ハイブリダイズ可能な塩基配列とハイブリダイズした状態で前記標的核酸と前記プローブ核酸とを特異的にハイブリダイズさせることを特徴とする核酸のハイブリダイゼーション方法。 - 前記プローブ核酸がDNAであることを特徴とする請求項1記載の核酸のハイブリダイゼーション方法。
- 判定の対象となる標的塩基配列を有する標的核酸を、前記標的塩基配列に存在する一塩基多型(SNP)の一部又は全部のそれぞれと相補的な塩基数10以上20以下のプローブ塩基配列を含み、相異なる該プローブ塩基配列を有するもの同士が単一の反応器の内壁面上の互いに相異なる所定の領域に配置された複数のプローブ核酸と、前記標的塩基配列よりも5’末端側に1から15塩基分のギャップを隔てて位置する前記標的核酸中の塩基配列の一部又は全部とハイブリダイズ可能な塩基配列を5’末端側に有する5’末端側ブロック核酸及び/又は前記標的塩基配列よりも3’末端側に1から15塩基分のギャップを隔てて位置する前記標的核酸中の塩基配列の一部又は全部とハイブリダイズ可能な塩基配列を3’末端側に有する3’末端側ブロック核酸を前記標的核酸と接触させ、前記5’末端側ブロック核酸及び/又は前記3’末端側ブロック核酸が前記標的核酸中の前記ハイブリダイズ可能な塩基配列とハイブリダイズした状態で接触させ、前記標的核酸と前記プローブ核酸のうち前記標的塩基配列と相補的な前記プローブ塩基配列を有するものとを特異的にハイブリダイズさせる工程Aと、
前記標的核酸と前記プローブ核酸のうち前記標的塩基配列と相補的な前記プローブ塩基配列を有するものとの特異的なハイブリダイゼーションを位置特異的に検出する工程Bとを有することを特徴とする一塩基多型の判定方法。 - 前記プローブ核酸がDNAであることを特徴とする請求項3記載の一塩基多型の判定方法。
- 前記プローブ核酸の各々において、前記プローブ塩基配列の5’末端及び3’末端を起点とする一塩基多型に対応する塩基の位置がいずれも前記プローブ塩基配列の塩基数の1/3倍よりも大きいことを特徴とする請求項3又は4記載の一塩基多型の判定方法。
- 前記標的核酸と前記プローブ核酸のうち前記標的塩基配列と相補的な塩基配列を有するものとの特異的なハイブリダイゼーションを、表面プラズモン共鳴及び金の異常反射のいずれかにより検出することを特徴とする請求項3から5のいずれか1項記載の一塩基多型の判定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009051384A JP5526337B2 (ja) | 2009-03-04 | 2009-03-04 | 核酸のハイブリダイゼーション方法及び一塩基多型の判定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009051384A JP5526337B2 (ja) | 2009-03-04 | 2009-03-04 | 核酸のハイブリダイゼーション方法及び一塩基多型の判定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010200701A JP2010200701A (ja) | 2010-09-16 |
JP5526337B2 true JP5526337B2 (ja) | 2014-06-18 |
Family
ID=42962859
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009051384A Active JP5526337B2 (ja) | 2009-03-04 | 2009-03-04 | 核酸のハイブリダイゼーション方法及び一塩基多型の判定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5526337B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB201308313D0 (en) * | 2013-05-09 | 2013-06-19 | Medical Res Council | Assay Method |
US10450601B2 (en) | 2013-09-26 | 2019-10-22 | Toyo Kohan Co., Ltd. | Buffer composition for hybridization use, and hybridization method |
JP6757942B2 (ja) * | 2016-08-03 | 2020-09-23 | 東洋鋼鈑株式会社 | ハイブリダイゼーション用バッファー組成物及びハイブリダイゼーション方法 |
WO2018180987A1 (ja) * | 2017-03-29 | 2018-10-04 | 東洋紡株式会社 | 核酸の検出方法 |
JP2024034944A (ja) * | 2022-09-01 | 2024-03-13 | 東洋鋼鈑株式会社 | ハイブリダイゼーション用バッファー組成物及びハイブリダイゼーション方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006006220A (ja) * | 2004-06-25 | 2006-01-12 | Olympus Corp | 核酸配列解析方法 |
JP2007174986A (ja) * | 2005-12-28 | 2007-07-12 | Canon Inc | 核酸の塩基配列解析方法 |
JP2007175017A (ja) * | 2005-12-28 | 2007-07-12 | Sony Corp | Snp判別方法、並びにsnp判別用dnaチップ |
-
2009
- 2009-03-04 JP JP2009051384A patent/JP5526337B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010200701A (ja) | 2010-09-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
AU2021200925B2 (en) | Assays for single molecule detection and use thereof | |
D’Agata et al. | Direct detection of point mutations in nonamplified human genomic DNA | |
US9012370B2 (en) | Method for measuring chromosome, gene or specific nucleotide sequence copy numbers using SNP array | |
US20060127907A1 (en) | Method of detecting gene mutation | |
JP2009171969A (ja) | マイクロアレイハイブリダイゼーションアッセイ方法 | |
JP2005218310A (ja) | 遺伝子検出電界効果デバイスおよびこれを用いた遺伝子多型解析方法 | |
JP2002514091A (ja) | プローブアレイを使用して、遺伝子多型性を検出し、対立遺伝子発現をモニターする方法 | |
JP5526337B2 (ja) | 核酸のハイブリダイゼーション方法及び一塩基多型の判定方法 | |
US8017327B2 (en) | Single nucleotide polymorphism genotyping detection via the real-time invader assay microarray platform | |
Yoo et al. | Detection of Single Nucleotide Polymorphisms by a Gold Nanowire‐on‐Film SERS Sensor Coupled with S1 Nuclease Treatment | |
TW201619182A (zh) | 探針、微陣列、探針群組、β地中海型貧血檢測套組、β血球蛋白基因變異檢測用套組、多態性檢測用微陣列探針對的評價方法以及基因型判別顯示程式 | |
US20120283109A1 (en) | Method of analyzing target nucleic acid of biological samples | |
WO2016070164A1 (en) | Assays for single molecule detection and use thereof | |
JP2001054400A (ja) | 遺伝子型決定二対立遺伝子マーカー | |
JP4122317B2 (ja) | 遺伝子検査方法 | |
US20060234221A1 (en) | Biallelic markers of d-amino acid oxidase and uses thereof | |
JP4283578B2 (ja) | 不一致増幅物質を含むプローブ核酸を用いる標的配列の検出方法、プローブ核酸および標的配列検出用アッセイキット | |
JP2008259510A (ja) | 標的核酸配列の検出方法 | |
JPWO2005090565A1 (ja) | Dnaアレイと一塩基多型の検出方法 | |
US7537892B2 (en) | Method and sequences for determinate nucleic acid hybridization | |
JPWO2005001091A1 (ja) | 核酸の変異及び多型の検出用プローブセット、それを固相化したdnaアレイ、並びにそれらを用いた変異及び多型の検出方法 | |
US6716579B1 (en) | Gene specific arrays, preparation and use | |
JP4320188B2 (ja) | 一塩基置換検出方法及び一塩基置換検出用キット | |
KR102409336B1 (ko) | 면역글로불린 a 신병증 및 혈관염 진단용 snp 마커 및 이를 이용한 진단 방법 | |
JP2004500076A (ja) | 新生児スクリーニングのためのジーンチップ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120208 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120221 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20131112 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140107 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140225 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140318 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5526337 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |