JP2004500076A - 新生児スクリーニングのためのジーンチップ - Google Patents
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Abstract
遺伝的に引起こされた二つの現象型に少なくとも二つの現象型の実証に関係する参照配列ないしはこれに機能的に特徴付けられた変異に対するオリゴヌクレオチドの選択性を持つヌクレオチド基板で、オリゴヌクレオチドの配列が参照配列に対して同一または相補的である。
Description
【0001】
本発明は、特定の遺伝子配列を検出するためオリゴヌクレオチドの選択性を有する結合されたオリゴヌクレオチドのためのヌクレオチド基板に関し、内容的に関連するドイツ特許出願第10002446.7号の優先権を主張する。
【0002】
ハイブリダイゼーション技術、即ち2つの相補的な核酸を互いに目標に合うように積み重ねることは、多数の分子生物学的方法における重要なステップを表すものである。この技術によれば、個々の遺伝子又はゲノムDNAの調製における遺伝子の部分又は遺伝子の転写生成物(mRNA)が実証される[Sambrook J、Fritsch EF、Maniatis著「分子クローニング(Molecular Cloning)」A laboratory manual.第2版、第2巻、1989年、Cold Spring Harbor: Cold Spring Harbor Laboratory Press、13.96−97;Constanzi C、Gillespie D著「迅速なブロット:セルからのDNA及びRNAの同定(Fast blots:immobilization of DNA and RNA from cells)」、In著「分子クローニング技術へのガイド(Guide to molecular cloning techniques)」、Berger SR and Kimmel AR、Academic Press Inc.出版、 San Diego著「酵素学における方法(Methods in Enzymology)」1987年、152、582−87頁、Schena M et al著「相補的DNAマイクロアレイによる形質発現の定量的モニタリング(Quantitative monitoring of gene expression patterns with a complementary DNA microaray)」Science 1995年;270。467−470頁]。
【0003】
ハイブリダイゼーションの最も重要な利用の1つは、個々の遺伝子の変化又は変異(ミューテーション)の検査である[Ausubel FM、Brent R、Kingston RE、Moore DE、Seidman JG、Smith K著「分子生物学における現代のプロトコル(Current protocols in molecular biology)、1998年、John Wiley & Sons]。
【0004】
通常、ハイブリダイゼーションは、核酸配列の検出反応及びそれに続く同定と組み合わされる。そのため、第1の核酸ストランドは例えば色素、放射能又は化学ルミネッセンス分子又は発光分子によりマーキングされ、第2の核酸ストランドは固相と結合される。しばしば使用されるDNA分析のためのサザンブロット及びRNA分析のためのノーザンブロットにおいては、固相はニトロセルロース膜又はナイロン膜によって形成される。
【0005】
この従来のブロットシステムにおいては、ゲノムDNA又はRNA、いわゆるターゲット配列は、アガロースゲルを介して電気泳動法により分離され、ニトロセロース膜又はナイロン膜上に写し取られ、プローブとしての公知のDNA配列ないしRNA配列とハイブリダイゼーションされる。ハイブリダイゼーションはプローブのあらかじめのマーキングにより検出され、場合によっては定量化される。この方法は高度の特殊性を特徴とする。しかしこの方法は、ブロット過程の実施が非常に労力と時間を要し、1つの過程においてそれぞれ僅かの配列しか同時に検査することができないという欠点を持っている。
【0006】
ターゲットによるプローブのハイブリダイゼーションは、最近ではいわゆるジーンチップによっても行うことができる[Lockhart DJ、Dong H、Byme MC、Follettie MT、Gallo MV、Chee MS、Mittmann M、Wang C、Kobayashi M、Horton H及びBrown EL著「高密度オリゴヌクレオチド アレイへのハイブリダイゼーションによる発現モニタリング(Expression Monitoring by Hybridization to High−Density Oligonucleotide Arrays)」Nature Biotechnology、第14巻、1675−1680頁、1986年、Wodicka L、Dong H、Mittmann M、Ho MH及びLockhart DJ著「出芽酵母におけるゲノム幅の発現モニタリング(Genome−Wide Expression Monitoring in Saccharomyces Cerevisiae)」Nature Biotechnology第15巻、1359−1367頁、1997年]。ジーンチップは例えば合成樹脂又はガラス製の基板からなり、その上に数千程度のオリゴヌクレオチドをプローブとして貼り付けることができる。僅か数平方cmの大きさのチップの表面はオリゴヌクレオチドの「芝生」で覆われ、それによりDNA又はRNAサンプルの相補的な核酸配列をハイブリダイゼーションすることができる。ターゲット配列は、ハイブリダイゼーションの後の検証を行うために前もってマーキングされる。
【0007】
ジーンチップの使用は、数千の異なる配列の検査を同時にすることができ、従って従来のブロット法に対し改良することができる。更にチップ上のハイブリダイゼーションはスキャナーを介して評価することができ、その結果この方法は十分に自動化が可能である。
【0008】
ジーンチップ又は遺伝子結合的検査媒体の製造のために種々の技術が開発されてきており、例えばリトグラフ法、絹紗スクリーン又は反応チャネル法、電気化学的/合成法、インクジェットシステム、マイクロピン法又はオープンキャピラリーチップがある。またマイクロビーズの使用も知られている[Lackner KJ他著「DNAアレイに代る発光マイクロビーズにおける複合DNA及びRNA解析(Multiplex DNA−und RNA−Analyse an fluoreszenten Microbeads als Alternative zum DNA−Array)」、Statusseminar Chiptechnologie fuer DNA−Diagnostik und Sequenzanalyse in Deutschland.DECHEMA 1999年]。
【0009】
遺伝子におけるミューテーションは遺伝子情報の配列決定により同定することができる(Sanger他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 74、5463−5467頁、1977年)。核酸の配列決定は一般に非常に費用がかかり、その結果実際上はミューテーションは大抵間接的に、即ちその生物化学的及び/又は生理的効果の検査を介して生物化学的方法(例えば酵素結合免疫測定法)、分析法(例えば高出力液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー又は質量分析)、又は細菌学的法(いわゆるグトリ生長阻止テスト)により実証される。
【0010】
このやり方は、ミューテーションがしばしばミューテーションにより生じた代謝障害又は病状が現れた後始めて知ることができ、その結果可能な治療処置を時間が経過した後始めて選択し導入することができるという欠点を持っている。そのため場合によっては取り返しのつかない障害が始まってしまう事がある。
【0011】
症状が現れるのを避けるためには、遺伝子欠陥の診断と治療ないし予防策の開始との間の時間ができるだけ短く保たれなければならない。このことはミューテーションが直接に、即ち核酸の平面上で検出されることによって行うことができる。このことはしかもできるだけ、早い小児期に行うべきである。
【0012】
配列決定と並んで、遺伝子異常の同定を(既に述べた)ハイブリダイゼーションにより行うことができる。これは、ジーンチップの使用が可能であり、従って自動化された評価技術の効果的な手段を使用することができるという利点を持っている。
【0013】
米国特許第5837832号明細書から次のようなDNAチップが知られている。すなわちこのチップを使用することによって、可能なミューテーションに関する既知の配列を精査することができる。そのため先ず、問題になっているいわゆる参照配列に相補的な配列−いわゆる野生型配列−であって、それぞれとりわけ12〜18の塩基対の長さの断片を含むもの、並びにそれぞれこれらの野生型配列断片の単一の塩基においてのみ異なる配列が合成される。これらのいわゆる置換配列の数は、各塩基置換による理論的に可能なミューテーションの数に相応する。
【0014】
次いで配列はチップ上に定められたモデルに貼り付けられ、好ましくはそれぞれ5個の互いに並行した列を有するブロックを形成する。これらのブロックはそれぞれ、野生型配列と、それに平行に配置されてそれぞれ交換された塩基の1つを有する3個の置換配列とを含む。5番目の配列は再び野生型配列に相応する。これに従い配列内における単一のヌクレオチド内のすべての理論的に可能な塩基交換を表示するためには5つの列と配列が必要である。
【0015】
米国特許第5837832号明細書においては、この規準に従って人の遺伝子がミューテーションについて検査され、例えば嚢胞性線維症と関連して討議された遺伝子の特定のエクソンCFTR、又は癌抑制遺伝子のエクソンp53(そのミューテーションは癌発病と結び付けられている)が検査される。
【0016】
このやり方の欠点は、比較的短い鎖の遺伝子において早くも、理論的に可能なすべてのミューテーションスペクトラムをカバーするためには、考えられるハイブリダイゼーション箇所として数万ないし数十万の配列をジーンチップ上に設けなければならないことである。検査すべき遺伝子又は遺伝子断片又は2つ又はそれ以上の遺伝子又は遺伝子断片の同時の検査の配列長さが長くなるにつれて、ハイブリダイゼーションの有効なスクリーニングに必要な数は、対応するジーンチップの製作及び変換を不可能にするオーダに達する。
【0017】
例えば現在ゲノム検査のために重要な約40,000のヒトの遺伝子を上述の原理を使用して精査すべき場合には、少なくとも4×108のハイブリダイゼーション箇所を持ったジーンチップを必要とするであろう。このようなチップの製作は今日の従来技術では、また従来技術において見通しのあるとされた開発によってさえ、実現不可能である。相応して遺伝子欠陥の広範囲に及ぶ、早期の時宜を得た、迅速な検査は、実際に関連する範囲においては実施不可能である。
【0018】
それ故本発明の課題は、結合されたオリゴヌクレオチドのためのヌクレオチド基板及び結合されたオリゴヌクレオチドのためのヌクレオチド基板のための配列の選択、又は類似の遺伝子結合された検査媒体、特に新生児スクリーニングのための検査媒体に関し、それによって、病気に関連する遺伝子ないし遺伝子断片(参照配列)のゲノム状態の検査が可能になるものを提供することにある。
【0019】
この課題は、独立請求項に記載された特徴により解決される。有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0020】
この課題は、詳細には、公知の形式で決定される表現型(phenotype)(以下では「現象型」ということもある。)を生じる機能的に特徴のあるミューテーションを持ったオリゴヌクレオチドの選択が可能なヌクレオチド基板によって解決される。このオリゴヌクレオチドは参照配列に同一又は相補的である。
【0021】
突然変異したオリゴヌクレオチドは、本発明によれば参照配列断片のすべての理論的に可能なミューテーションのスペクトラムから適切に選択され、結合される。
【0022】
このように選択され、特殊の表現型を生じるミューテーションは、第2の表現型を根拠付ける少なくとも1つのオリゴヌクレオチドと共にジーンチップ上に設けられる。
【0023】
ここで表現型という概念は、広く定義され、選択された参照配列と結び付けられるか、又はこれらの配列の検出を介して実証され得るすべての現れ方、外観及び結末に関連する。
【0024】
この場合、表現型は例えば身体機能、生理的機能(例えば代謝障害)又はゲノムに基づく医学的意味における病気(例えば特定の癌)への素因を表す。
【0025】
本発明によるチップは、それぞれ限られた数のハイブリダイゼーション箇所のみを必要とするだけであるという顕著な利点を有し、その結果ハイブリダイゼーション作用に続く解析にジーンチップを実際の医療において有効に利用することが可能である。
【0026】
本発明によるジーンチップの他の利点は、迅速で、コスト的に有利で、とりわけ信頼できる検査法が提供されることにあり、その感度は従来の生理学的方法のそれを凌駕するものである。
【0027】
本発明の特に有利な構成は、出生前及び新生児の分野の遺伝的状態の検査を可能にする。
【0028】
新生児のためのスクリーニングプログラムにおいては、遺伝に基づく多数の代謝疾病を僅かの血液を使用して検出することができる。本発明によれば、以下の疾病の少なくとも2つ又はそれ以上に対するオリゴヌクレオチドを1つのチップ上で選択することができる。
【0029】
フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ガラクトース血症、ホモシスチン尿症、ビオチニダーゼ欠乏症、中間鎖状アシル−CoA−デヒドロゲナーゼ欠陥、遺伝性ハイパーコレステリン血症、遺伝性アポリポB蛋白欠陥、嚢胞性線維症、マルファン症候群、スミス−レムリ−オピッツ症候群、副腎性器症候群。
【0030】
特に疾病「フェニルケトン尿症」及び「ガラクトース血症」に対するオリゴヌクレオチドを有するチップは有利である。このチップは更に「ビオチニダーゼ欠乏症」のためのオリゴヌクレオチドと有利に組み合わせられる。
【0031】
上述の疾病は全体として21の定められた遺伝子上のミューテーションにより生じ、この遺伝子は機能的に関連する調製範囲を含めて約150,000のヌクレオチドを含んでいる。各ヌクレオチドはそれぞれ4個の塩基、アデニン、グアニン、シトシン及びチミンの1つと存在することができ、また挿入、欠失又は転位も考慮しなければならないから、約900,000の異なるミューテーションの可能性が生じる。更に例えばいわゆる小さなインデルス(挿入/欠失)のような複雑なミューテーションが含まれると、数百万の異なるミューテーションが生じる。
【0032】
従って、従来技術によるジーンチップは、数百万の対応するハイブリダイゼーション箇所を有しなければならないことになる。このような配列の数は既知のジーンチップ上には有効に設けることも、評価することもできない。
【0033】
オリゴヌクレオチドの本発明による選択によれば、疾病の検出のためジーンチップ上に必要な配列、即ちハイブリダイゼーション個所は約5,000に減少され得る。それによって単一のジーンチップ上で同時のミューテーション検出が可能である。上述の疾病の検出に必要なオリゴヌクレオチドのもとで再び選択を行い、、疾病のただ1つ又は僅かのものを診断することも可能である。
【0034】
この特別の構成において診断される疾病においては、ヒトの最も重要な遺伝子に基づく疾病の目標とする選択が対象となる。その選択は更に操作性及び全住民中の著しい頻度の規準に従い行われる。更にそれらは本質的に既に既知のミューテーションに帰するものである。その場合、機能的に特徴付けられたミューテーションが組み合わされ、そのミューテーションはそれぞれ観察される実際の疾病の90〜95%を発生する。
【0035】
しかしながら、この原理によれば、その遺伝子上の原因が既知の他の疾病も単独で、又は組み合わせて検出することができる。
【0036】
同様に、他の有機体、例えば動物における病気又は表現型を同定すること、又は検出することも可能である。
【0037】
以下に本発明を病気の選択の例について詳細に説明する。
【0038】
本発明によるジーンチップ及び本発明による選択の基礎になっているものはヒトゲノムの21の遺伝子上にある参照配列、従ってそれに相補的な配列をも検出するためのオリゴヌクレオチドである。この場合具体的にはバイオテクノロジー情報国立センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)の遺伝子銀行のコードで挙げられている次の配列が対象となる。診断すべき疾病はそれぞれ括弧内に挙げられている。
【0039】
1.フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、PAH(フェニルケトン尿症の診断)
[遺伝子銀行ナンバー:K03020、NM000277、L47726、U49897]
2.キノイド デヒドロプテリディンレダクターゼ、QDPR(フェニルケトン尿症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:NM000320、M16447、X04882]
3.ミトコンドリア分枝鎖状アルファ−ケト酸ヒドロゲナーゼ、α−ペプチド、BCKDHA(メープルシロップ尿症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:Z14093]
4.ミトコンドリア分枝鎖状アルファ−ケト酸ヒドロゲナーゼ、β−ペプチド、BCKDHB(メープルシロップ尿症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:M55575]
5.分枝鎖状ディヒドロリポアミドトランスアシラーゼ、DBT(メープルシロップ尿症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:X66785]
6.ガラクトース−1−リン酸塩 ウリディルトランスフェラーゼ、GALT(ガラクトース血症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:M60091、NM000155;L46354〜46365、L46691〜46724]
7.ガラクトキナーゼ、GALK1(ガラクトース血症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:NM002044、NM000154、L76927、U26401、M84443]
8.ウリジン二リン酸−ガラクトース−4−エピメラーゼ、GALE(ガラクトース血症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:L41668](ガラクトース血症の診断)
9.シスタチン−ベータ−シンターゼ、CBS[遺伝子銀行ナンバー:NM000071、L14577、X98810〜X98823、X88562、X87815、X87816、X91910]
10. メチルテトラヒドロフォラート−L−ホモシスティン−S−メチルトランスフェラーゼ、MTR(ホモシスチン尿症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:AF025794、NM002454]
11. 5,10−メチレンテトラヒドロフォラート レダクターゼ(NADPH)、MTHFR(ホモシスチン尿症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:U09806、AF105988〜AF105998]
12. ビオチニダーゼ、BTD(ビオチニダーゼ欠乏症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:U63274、U03274]
13. 中間鎖状アシル−CoA−デヒドロゲナーゼ、ACADM(中間鎖状アシル−CoA−デヒドロゲナーゼ欠乏症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:M16827、M91422〜M91432、NM000016]
14. 低密度リポ蛋白レセプタ、LDLR(遺伝性ハイパーコレステリン血症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:NM000527、L00336〜00352、L29401]
15. アポリポ蛋白B(遺伝性アポリポB蛋白欠陥の診断)[遺伝子銀行ナンバー:X04506、M14162]
16. 「嚢胞性線維症 トランスメンブラン コンダクタンスレギュレータ、CFTR(嚢胞性線維症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:NM000492、M55131]
17. フィブリリン−1、FBN1(マルファン症候群の診断)[遺伝子銀行ナンバー:NM000138、X63556、L13923]
18. 「潜伏性形質転換型成長因子」、ベータ−結合蛋白−2、LTBP2(マルファン症候群の診断)[遺伝子銀行ナンバー:Z37976]
19. デルタ−7−ステロールレダクターゼ、DHCR7(スミス−レムリ−オピッツ症候群の診断)[遺伝子銀行ナンバー:AF03454]
20. ステロール21−ヒドロキシラーゼ、CYP21(副腎性器症候群の診断)[遺伝子銀行ナンバー:M26856、M13935、M13936]
21. ステロール17−ヒドロキシラーゼ、CYP17(副腎性器症候群の診断)[遺伝子銀行ナンバー:NM000102、M14564、M31146]
【0040】
本発明によるジーンチップは、参照配列の対応する断片と同一又はそれと相補的なオリゴヌクレオチド配列を含むこともできる。更に、機能的に特徴のあるミューテーション又はそれに相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドを設けることができる。ミューテーションにおいては、塩基置換、挿入及び欠失が対象とされ得る。同様に置換及びインデルス(Indels)(挿入/欠失)のような複合ミューテーションも可能である。
【0041】
ジーンチップ上に設けられるオリゴヌクレオチドの長さは、15〜25ヌクレオチドの値であってよい。特に15〜18merを使用すると有利である。
【0042】
参照配列の断片と同一のオリゴヌクレオチドがチップ上に設けられる場合には、それに相補的な配列は検査すべきサンプルから合成することができる。この合成はハイブリダイゼーションの後で行われる実証のために必要なマーキング反応の間に行われる。
【0043】
本発明によるジーンチップ上に、DNA配列をRNA配列と共に貼り付けることができる。相応してヌクレオチドをウラシルと共に使用することができる。同様に塩基類似体を使用することができる。
【0044】
本発明によるジーンチップは、チップが今後配列決定される機能的に特徴のあるオリゴヌクレオチドで補足され得るという利点を有する。
【0045】
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。
【0046】
実施例1:
フェニルケトン尿症(PKU)のミューテーション検出のためのDNAチップ
第1表に示される参照配列の配列に相補的なオリゴヌクレオチドが、例えばドイツ特許第19612356号明細書又は米国特許第5837832号明細書に記載されているような標準技術を使用して、適切な基板上に設けられる。この基板は金で被覆されたガラスからなるのが有利である。オリゴヌクレオチドは15ヌクレオチドの長さを有する。個々の場合によって16〜25ヌクレオチドの配列も可能である。
【0047】
基板は多数のフィールドに分けられ、フィールドはそれぞれ1つのミューテーションを含むただ1つの配列を備えている。この場合、フィールド内の配列は、ミューテーションが参照配列断片に対しできるだけ中心にあるように位置決めされている。
【0048】
フェニルアラニンヒドロキシラーゼ遺伝子(PHA遺伝子)内のフェニルケトン尿症を生じさせるミューテーションの診断のために、本発明によるジーンチップ上で全部で548のフィールドが使用される。この場合、例えばフィールド1.1は参照配列断片CCAGCATGTCCACTGに相補的な配列CAGTGGACATGCTGGを有し(第1表、行1、列2)、フィールド1.2は変異した参照配列断片CCAGCATACCACTGに相補的な対応する変異したオリゴヌクレオチドCAGTGGATATGCGGである(表1、行1、列3;ミューテーションはアンダーライン)。
【0049】
フィールド2.1、2.2及びすべての他のフィールドを占めるために、第1表の行2の配列情報が連続的に対応して使用される。
【0050】
第1表は核酸配列のリストであって、その相補的な配列がチップ上に設けられる。見易くするため、15〜25(mer)の中央の領域のみが一部分として示されている。記載されていない配列部分は参照配列に相補的である。参照配列に対する位置は、コドンナンバーの表示から明らかである。
【0051】
変異した参照配列断片に相補的なオリゴヌクレオチドは基板上の新たに決定された場所に設けられる。参照配列から外れたヌクレオチドは表の列3から明らかである。
【0052】
表に記載された配列情報は遺伝子銀行ナンバーU49897を有する参照配列に関連する。ミスセンス又はナンセンス−ミューテーション(第1表A)並びにスプライシング変種(第1表B)、欠失(第1表C及び第1表E)、挿入(第1表D)、インゲルス及び複合再配列が選択されている。
【0053】
第1表:
【表1】
【0054】
実施例2:
新生児スクリーニング用DNAチップ
DNAチップは実施例1において詳細に示したようなやり方で作られる。この場合でも15から18(mer)の長さのオリゴヌクレオチド配列が基板上に既知の技術にてもたらされる。その際、オリゴヌクレオチドは相応する参照配列の断片ないし変異した配列領域に対して相補的である。
【0055】
参照配列は以下の遺伝子に存在する。
フェニルアラニンヒドロキシラーゼ,PAH(フェニルケトン尿症の診断)
キノイドデヒドロプテリディンレダクターゼ,QDPR(フェニルケトン尿症の診断).
ミトコンドリア分枝アルファケト酸デヒドロゲナーゼ,α−ペプチド, BCKDHA (メープルシロップ症の診断).
ミトコンドリア分枝アルファケト酸デヒドロゲナーゼ,β−ペプチド, BCKDHB (メープルシロップ症の診断).
分枝鎖状ディヒドロリポアミドトランスアシラーゼ,DBT (メープルシロップ症の診断).
ガラクトース−1−燐酸塩ウリディルトランスフェラーゼ,GALT (ガラクトース血症の診断).
ガラクトキナーゼ, GALK1 (ガラクトース血症の診断).
UDP−ガラクトース−4−エピメラーゼ, GALE (ガラクトース血症の診断).
シスタチオン−ベータ−シンターゼ,CBS (ホモシスチン尿症の診断).
5,10−メチレンテトラヒドロフォラートレダクターゼ (NADPH), MTHFR (ガラクトース血症の診断).
メチレンテトラヒドロフォラート−L−ホモシステイン−S−メチルトランスフェラーゼ,MTR (ガラクトース血症の診断).
ビオチニダーゼ,BTD (ビオチニダーゼ欠乏症の診断).
中間鎖状アシル−CoA−デヒドロゲナーゼ,ACADM (中間鎖状アシル−CoA−デヒドロゲナーゼ欠乏症の診断).
低密度リポ蛋白レセプタ,LDLR (遺伝性ハイパーコレステリン血症の診断)
アポリポ蛋白 B (遺伝性アポリポB蛋白欠陥の診断).
”シスチックフィブロシストランスメンブランコンダクタンスレギュレータ”, CFTR (嚢胞性線維症の診断).
フィブリリン−1−, FBN1 (マルファン症候群の診断).
”潜伏性形質転換型成長因子”, ベータ結合蛋白−2, LTBP2 (マルファン症候群の診断).
デルタ−7−ステロールレダクターゼ, DHCR7 (スミス−レムリ−オピッツ症候群の診断).
ステロール21−ヒドロキシラーゼ, CYP21 (副腎性器症候群の診断).
ステロール17−ヒドロキシラーゼ, CYP17 (副腎性器症候群の診断).
【0056】
これらの遺伝子から、「バイオテクノロジー情報国立センター(NCBI)」の遺伝子銀行(GenBank)のコードナンバーを介して同定される第2表に示される参照配列が選ばれる。
【0057】
本発明に基づく新生児スクリーニング用ジーンチップ上には、機能的に特徴付けられた変異に対して相補的なオリゴヌクレオチドの選択物が付着される。これらの変異は6.1.1表から6.12.5表の中で、参照配列上での位置と関連するアミノ酸とで特徴付けられる。
【0058】
新生児スクリーニング用に導入されるジーンチップ上には、処理頻度の高い12の遺伝病の診断用の少なくとも3348のハイブリダイゼーションが存在する。一つの基板上にこれらのオリゴヌクレオチド配列が共通に存在することによって、ただ一つの患者サンプルでこれらの疾病の同時診断が可能となる。それゆえ、このDNAチップは特に出産直後または出産前のスクリーニングプログラムにおいて導入するのに適している。
【0059】
第2表には診断すべき疾病に関するさらなる情報が示されている。
【0060】
第2表:
【表2】
【0061】
実施例3:
ビオチニダーゼ欠症の診断用DNAチップ
この例においては、第3表にリストアップした参照配列のオリゴヌクレオチドが直接既知の標準技術の助けを借りて適宜の基板上に配設される。例1と同様に、普通は15−mereが用いられるが、個別のケースでは16ないし25mereのオリゴヌクレオチドが用いられる。その際、配列は再び、変異した参照配列内に存する配列偏位が参照配列に対してほぼ中央に位置するように選ばれる。
【0062】
この場合でも、基板のフィールド毎にそのつどただ一つのオリゴヌクレオチドのみが配設される。
【0063】
ビオチニダーゼ欠乏症の検査のためには28の機能的に特徴付けられた変異がチップ上に施されるので、28のフィールドが得られる。その際、たとえばフィールド1.1は、参照配列断片CCAGCATGTCCACTG (第1表第1行第3列)を担持する。これはGenBankナンバーU63274を持つ遺伝子配列から導かれ、フィールド1.2は相応する変異配列CAGTGGATATGCTGG (第1表第1行第4列;変異は下線が引かれている)を示す。
【0064】
他のフィールドに対しては、第3表に示されている配列情報が、第3表の第2から14行に相応して引用されている。
【0065】
ハイブリダイゼーションの検出のために必要なマーキング反応用としてコード化されるべき参照配列のストランド(意味ストランドとも呼ばれる)に相補的なストランドから適当なプライマーを選択することにより、マークされた遺伝子断片がチップ上に施されるオリゴヌクレオチド配列に対して相補的であることが保証される。
【0066】
第3表:
第3表はビオチニダーゼ欠乏症の診断用チップ上に施された核酸配列のリストを含んでいる。見やすくするために15から25merのオリゴヌクレオチドの中央領域のみが示されている。位置はコドンナンバーを示すことにより参照配列に対して相対的に特徴付けられている。各変異参照配列に対して基板上の正確に定義付けられた場所において第3列に記載された正常な参照配列が施される。表示されていない配列断片は参照配列のそれに相応する。
【0067】
【表3】
【0068】
第4表:本発明によるヌクレオチド基板でもって認識される疾病
この表は実施例に記述したヌクレオチド担体でもって診断可能な先天的遺伝性疾患及びこれに関連する参照配列を示す。更にこの表は既に記述した変異によって相応する遺伝子に惹起される臨床疾病のパーセンテージのデータを含む。
【0069】
【表4】
【0070】
第5表:下記疾病に関係する遺伝子のリスト
【表5】
【0071】
第 6.1.1 ないし 6.12.5表は、ヌクレオチド基板(NT)上で所定の疾病に対して関連するオリゴヌクレチドを特定する。すなわち、関係位置、関係遺伝子、参照配列のコドンナンバー、参照配列の関連ヌクレオチド、変異した配列および変異の表現型を示している。見易さのためにそれぞれ直接関係する配列領域のみが示されている。掲げられていないオリゴヌクレオチド断片は参照配列の相応する配列と同一であるかまたは相補的である。欠失したヌクレオチドは小文字で示してある。
【0072】
第6表:
【表6】
【0073】
配列リスト
<110> Cullen, Paul
Seedorf, Udo
<120> Gene chip for neonate screening
<130> 44800, 44801, 44803
<140> PCT/EP01/00139
<141> 2001−01−09
<160> 295
<170> PatentIn version 3.1
<210> 1
<211> 22
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 1
<210> 2
<211> 20
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<213> Homo sapiens
<400> 2
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<211> 23
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<400> 3
<210> 4
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<400> 8
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<210> 295
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<400> 295
本発明は、特定の遺伝子配列を検出するためオリゴヌクレオチドの選択性を有する結合されたオリゴヌクレオチドのためのヌクレオチド基板に関し、内容的に関連するドイツ特許出願第10002446.7号の優先権を主張する。
【0002】
ハイブリダイゼーション技術、即ち2つの相補的な核酸を互いに目標に合うように積み重ねることは、多数の分子生物学的方法における重要なステップを表すものである。この技術によれば、個々の遺伝子又はゲノムDNAの調製における遺伝子の部分又は遺伝子の転写生成物(mRNA)が実証される[Sambrook J、Fritsch EF、Maniatis著「分子クローニング(Molecular Cloning)」A laboratory manual.第2版、第2巻、1989年、Cold Spring Harbor: Cold Spring Harbor Laboratory Press、13.96−97;Constanzi C、Gillespie D著「迅速なブロット:セルからのDNA及びRNAの同定(Fast blots:immobilization of DNA and RNA from cells)」、In著「分子クローニング技術へのガイド(Guide to molecular cloning techniques)」、Berger SR and Kimmel AR、Academic Press Inc.出版、 San Diego著「酵素学における方法(Methods in Enzymology)」1987年、152、582−87頁、Schena M et al著「相補的DNAマイクロアレイによる形質発現の定量的モニタリング(Quantitative monitoring of gene expression patterns with a complementary DNA microaray)」Science 1995年;270。467−470頁]。
【0003】
ハイブリダイゼーションの最も重要な利用の1つは、個々の遺伝子の変化又は変異(ミューテーション)の検査である[Ausubel FM、Brent R、Kingston RE、Moore DE、Seidman JG、Smith K著「分子生物学における現代のプロトコル(Current protocols in molecular biology)、1998年、John Wiley & Sons]。
【0004】
通常、ハイブリダイゼーションは、核酸配列の検出反応及びそれに続く同定と組み合わされる。そのため、第1の核酸ストランドは例えば色素、放射能又は化学ルミネッセンス分子又は発光分子によりマーキングされ、第2の核酸ストランドは固相と結合される。しばしば使用されるDNA分析のためのサザンブロット及びRNA分析のためのノーザンブロットにおいては、固相はニトロセルロース膜又はナイロン膜によって形成される。
【0005】
この従来のブロットシステムにおいては、ゲノムDNA又はRNA、いわゆるターゲット配列は、アガロースゲルを介して電気泳動法により分離され、ニトロセロース膜又はナイロン膜上に写し取られ、プローブとしての公知のDNA配列ないしRNA配列とハイブリダイゼーションされる。ハイブリダイゼーションはプローブのあらかじめのマーキングにより検出され、場合によっては定量化される。この方法は高度の特殊性を特徴とする。しかしこの方法は、ブロット過程の実施が非常に労力と時間を要し、1つの過程においてそれぞれ僅かの配列しか同時に検査することができないという欠点を持っている。
【0006】
ターゲットによるプローブのハイブリダイゼーションは、最近ではいわゆるジーンチップによっても行うことができる[Lockhart DJ、Dong H、Byme MC、Follettie MT、Gallo MV、Chee MS、Mittmann M、Wang C、Kobayashi M、Horton H及びBrown EL著「高密度オリゴヌクレオチド アレイへのハイブリダイゼーションによる発現モニタリング(Expression Monitoring by Hybridization to High−Density Oligonucleotide Arrays)」Nature Biotechnology、第14巻、1675−1680頁、1986年、Wodicka L、Dong H、Mittmann M、Ho MH及びLockhart DJ著「出芽酵母におけるゲノム幅の発現モニタリング(Genome−Wide Expression Monitoring in Saccharomyces Cerevisiae)」Nature Biotechnology第15巻、1359−1367頁、1997年]。ジーンチップは例えば合成樹脂又はガラス製の基板からなり、その上に数千程度のオリゴヌクレオチドをプローブとして貼り付けることができる。僅か数平方cmの大きさのチップの表面はオリゴヌクレオチドの「芝生」で覆われ、それによりDNA又はRNAサンプルの相補的な核酸配列をハイブリダイゼーションすることができる。ターゲット配列は、ハイブリダイゼーションの後の検証を行うために前もってマーキングされる。
【0007】
ジーンチップの使用は、数千の異なる配列の検査を同時にすることができ、従って従来のブロット法に対し改良することができる。更にチップ上のハイブリダイゼーションはスキャナーを介して評価することができ、その結果この方法は十分に自動化が可能である。
【0008】
ジーンチップ又は遺伝子結合的検査媒体の製造のために種々の技術が開発されてきており、例えばリトグラフ法、絹紗スクリーン又は反応チャネル法、電気化学的/合成法、インクジェットシステム、マイクロピン法又はオープンキャピラリーチップがある。またマイクロビーズの使用も知られている[Lackner KJ他著「DNAアレイに代る発光マイクロビーズにおける複合DNA及びRNA解析(Multiplex DNA−und RNA−Analyse an fluoreszenten Microbeads als Alternative zum DNA−Array)」、Statusseminar Chiptechnologie fuer DNA−Diagnostik und Sequenzanalyse in Deutschland.DECHEMA 1999年]。
【0009】
遺伝子におけるミューテーションは遺伝子情報の配列決定により同定することができる(Sanger他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 74、5463−5467頁、1977年)。核酸の配列決定は一般に非常に費用がかかり、その結果実際上はミューテーションは大抵間接的に、即ちその生物化学的及び/又は生理的効果の検査を介して生物化学的方法(例えば酵素結合免疫測定法)、分析法(例えば高出力液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー又は質量分析)、又は細菌学的法(いわゆるグトリ生長阻止テスト)により実証される。
【0010】
このやり方は、ミューテーションがしばしばミューテーションにより生じた代謝障害又は病状が現れた後始めて知ることができ、その結果可能な治療処置を時間が経過した後始めて選択し導入することができるという欠点を持っている。そのため場合によっては取り返しのつかない障害が始まってしまう事がある。
【0011】
症状が現れるのを避けるためには、遺伝子欠陥の診断と治療ないし予防策の開始との間の時間ができるだけ短く保たれなければならない。このことはミューテーションが直接に、即ち核酸の平面上で検出されることによって行うことができる。このことはしかもできるだけ、早い小児期に行うべきである。
【0012】
配列決定と並んで、遺伝子異常の同定を(既に述べた)ハイブリダイゼーションにより行うことができる。これは、ジーンチップの使用が可能であり、従って自動化された評価技術の効果的な手段を使用することができるという利点を持っている。
【0013】
米国特許第5837832号明細書から次のようなDNAチップが知られている。すなわちこのチップを使用することによって、可能なミューテーションに関する既知の配列を精査することができる。そのため先ず、問題になっているいわゆる参照配列に相補的な配列−いわゆる野生型配列−であって、それぞれとりわけ12〜18の塩基対の長さの断片を含むもの、並びにそれぞれこれらの野生型配列断片の単一の塩基においてのみ異なる配列が合成される。これらのいわゆる置換配列の数は、各塩基置換による理論的に可能なミューテーションの数に相応する。
【0014】
次いで配列はチップ上に定められたモデルに貼り付けられ、好ましくはそれぞれ5個の互いに並行した列を有するブロックを形成する。これらのブロックはそれぞれ、野生型配列と、それに平行に配置されてそれぞれ交換された塩基の1つを有する3個の置換配列とを含む。5番目の配列は再び野生型配列に相応する。これに従い配列内における単一のヌクレオチド内のすべての理論的に可能な塩基交換を表示するためには5つの列と配列が必要である。
【0015】
米国特許第5837832号明細書においては、この規準に従って人の遺伝子がミューテーションについて検査され、例えば嚢胞性線維症と関連して討議された遺伝子の特定のエクソンCFTR、又は癌抑制遺伝子のエクソンp53(そのミューテーションは癌発病と結び付けられている)が検査される。
【0016】
このやり方の欠点は、比較的短い鎖の遺伝子において早くも、理論的に可能なすべてのミューテーションスペクトラムをカバーするためには、考えられるハイブリダイゼーション箇所として数万ないし数十万の配列をジーンチップ上に設けなければならないことである。検査すべき遺伝子又は遺伝子断片又は2つ又はそれ以上の遺伝子又は遺伝子断片の同時の検査の配列長さが長くなるにつれて、ハイブリダイゼーションの有効なスクリーニングに必要な数は、対応するジーンチップの製作及び変換を不可能にするオーダに達する。
【0017】
例えば現在ゲノム検査のために重要な約40,000のヒトの遺伝子を上述の原理を使用して精査すべき場合には、少なくとも4×108のハイブリダイゼーション箇所を持ったジーンチップを必要とするであろう。このようなチップの製作は今日の従来技術では、また従来技術において見通しのあるとされた開発によってさえ、実現不可能である。相応して遺伝子欠陥の広範囲に及ぶ、早期の時宜を得た、迅速な検査は、実際に関連する範囲においては実施不可能である。
【0018】
それ故本発明の課題は、結合されたオリゴヌクレオチドのためのヌクレオチド基板及び結合されたオリゴヌクレオチドのためのヌクレオチド基板のための配列の選択、又は類似の遺伝子結合された検査媒体、特に新生児スクリーニングのための検査媒体に関し、それによって、病気に関連する遺伝子ないし遺伝子断片(参照配列)のゲノム状態の検査が可能になるものを提供することにある。
【0019】
この課題は、独立請求項に記載された特徴により解決される。有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0020】
この課題は、詳細には、公知の形式で決定される表現型(phenotype)(以下では「現象型」ということもある。)を生じる機能的に特徴のあるミューテーションを持ったオリゴヌクレオチドの選択が可能なヌクレオチド基板によって解決される。このオリゴヌクレオチドは参照配列に同一又は相補的である。
【0021】
突然変異したオリゴヌクレオチドは、本発明によれば参照配列断片のすべての理論的に可能なミューテーションのスペクトラムから適切に選択され、結合される。
【0022】
このように選択され、特殊の表現型を生じるミューテーションは、第2の表現型を根拠付ける少なくとも1つのオリゴヌクレオチドと共にジーンチップ上に設けられる。
【0023】
ここで表現型という概念は、広く定義され、選択された参照配列と結び付けられるか、又はこれらの配列の検出を介して実証され得るすべての現れ方、外観及び結末に関連する。
【0024】
この場合、表現型は例えば身体機能、生理的機能(例えば代謝障害)又はゲノムに基づく医学的意味における病気(例えば特定の癌)への素因を表す。
【0025】
本発明によるチップは、それぞれ限られた数のハイブリダイゼーション箇所のみを必要とするだけであるという顕著な利点を有し、その結果ハイブリダイゼーション作用に続く解析にジーンチップを実際の医療において有効に利用することが可能である。
【0026】
本発明によるジーンチップの他の利点は、迅速で、コスト的に有利で、とりわけ信頼できる検査法が提供されることにあり、その感度は従来の生理学的方法のそれを凌駕するものである。
【0027】
本発明の特に有利な構成は、出生前及び新生児の分野の遺伝的状態の検査を可能にする。
【0028】
新生児のためのスクリーニングプログラムにおいては、遺伝に基づく多数の代謝疾病を僅かの血液を使用して検出することができる。本発明によれば、以下の疾病の少なくとも2つ又はそれ以上に対するオリゴヌクレオチドを1つのチップ上で選択することができる。
【0029】
フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ガラクトース血症、ホモシスチン尿症、ビオチニダーゼ欠乏症、中間鎖状アシル−CoA−デヒドロゲナーゼ欠陥、遺伝性ハイパーコレステリン血症、遺伝性アポリポB蛋白欠陥、嚢胞性線維症、マルファン症候群、スミス−レムリ−オピッツ症候群、副腎性器症候群。
【0030】
特に疾病「フェニルケトン尿症」及び「ガラクトース血症」に対するオリゴヌクレオチドを有するチップは有利である。このチップは更に「ビオチニダーゼ欠乏症」のためのオリゴヌクレオチドと有利に組み合わせられる。
【0031】
上述の疾病は全体として21の定められた遺伝子上のミューテーションにより生じ、この遺伝子は機能的に関連する調製範囲を含めて約150,000のヌクレオチドを含んでいる。各ヌクレオチドはそれぞれ4個の塩基、アデニン、グアニン、シトシン及びチミンの1つと存在することができ、また挿入、欠失又は転位も考慮しなければならないから、約900,000の異なるミューテーションの可能性が生じる。更に例えばいわゆる小さなインデルス(挿入/欠失)のような複雑なミューテーションが含まれると、数百万の異なるミューテーションが生じる。
【0032】
従って、従来技術によるジーンチップは、数百万の対応するハイブリダイゼーション箇所を有しなければならないことになる。このような配列の数は既知のジーンチップ上には有効に設けることも、評価することもできない。
【0033】
オリゴヌクレオチドの本発明による選択によれば、疾病の検出のためジーンチップ上に必要な配列、即ちハイブリダイゼーション個所は約5,000に減少され得る。それによって単一のジーンチップ上で同時のミューテーション検出が可能である。上述の疾病の検出に必要なオリゴヌクレオチドのもとで再び選択を行い、、疾病のただ1つ又は僅かのものを診断することも可能である。
【0034】
この特別の構成において診断される疾病においては、ヒトの最も重要な遺伝子に基づく疾病の目標とする選択が対象となる。その選択は更に操作性及び全住民中の著しい頻度の規準に従い行われる。更にそれらは本質的に既に既知のミューテーションに帰するものである。その場合、機能的に特徴付けられたミューテーションが組み合わされ、そのミューテーションはそれぞれ観察される実際の疾病の90〜95%を発生する。
【0035】
しかしながら、この原理によれば、その遺伝子上の原因が既知の他の疾病も単独で、又は組み合わせて検出することができる。
【0036】
同様に、他の有機体、例えば動物における病気又は表現型を同定すること、又は検出することも可能である。
【0037】
以下に本発明を病気の選択の例について詳細に説明する。
【0038】
本発明によるジーンチップ及び本発明による選択の基礎になっているものはヒトゲノムの21の遺伝子上にある参照配列、従ってそれに相補的な配列をも検出するためのオリゴヌクレオチドである。この場合具体的にはバイオテクノロジー情報国立センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)の遺伝子銀行のコードで挙げられている次の配列が対象となる。診断すべき疾病はそれぞれ括弧内に挙げられている。
【0039】
1.フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、PAH(フェニルケトン尿症の診断)
[遺伝子銀行ナンバー:K03020、NM000277、L47726、U49897]
2.キノイド デヒドロプテリディンレダクターゼ、QDPR(フェニルケトン尿症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:NM000320、M16447、X04882]
3.ミトコンドリア分枝鎖状アルファ−ケト酸ヒドロゲナーゼ、α−ペプチド、BCKDHA(メープルシロップ尿症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:Z14093]
4.ミトコンドリア分枝鎖状アルファ−ケト酸ヒドロゲナーゼ、β−ペプチド、BCKDHB(メープルシロップ尿症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:M55575]
5.分枝鎖状ディヒドロリポアミドトランスアシラーゼ、DBT(メープルシロップ尿症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:X66785]
6.ガラクトース−1−リン酸塩 ウリディルトランスフェラーゼ、GALT(ガラクトース血症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:M60091、NM000155;L46354〜46365、L46691〜46724]
7.ガラクトキナーゼ、GALK1(ガラクトース血症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:NM002044、NM000154、L76927、U26401、M84443]
8.ウリジン二リン酸−ガラクトース−4−エピメラーゼ、GALE(ガラクトース血症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:L41668](ガラクトース血症の診断)
9.シスタチン−ベータ−シンターゼ、CBS[遺伝子銀行ナンバー:NM000071、L14577、X98810〜X98823、X88562、X87815、X87816、X91910]
10. メチルテトラヒドロフォラート−L−ホモシスティン−S−メチルトランスフェラーゼ、MTR(ホモシスチン尿症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:AF025794、NM002454]
11. 5,10−メチレンテトラヒドロフォラート レダクターゼ(NADPH)、MTHFR(ホモシスチン尿症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:U09806、AF105988〜AF105998]
12. ビオチニダーゼ、BTD(ビオチニダーゼ欠乏症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:U63274、U03274]
13. 中間鎖状アシル−CoA−デヒドロゲナーゼ、ACADM(中間鎖状アシル−CoA−デヒドロゲナーゼ欠乏症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:M16827、M91422〜M91432、NM000016]
14. 低密度リポ蛋白レセプタ、LDLR(遺伝性ハイパーコレステリン血症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:NM000527、L00336〜00352、L29401]
15. アポリポ蛋白B(遺伝性アポリポB蛋白欠陥の診断)[遺伝子銀行ナンバー:X04506、M14162]
16. 「嚢胞性線維症 トランスメンブラン コンダクタンスレギュレータ、CFTR(嚢胞性線維症の診断)[遺伝子銀行ナンバー:NM000492、M55131]
17. フィブリリン−1、FBN1(マルファン症候群の診断)[遺伝子銀行ナンバー:NM000138、X63556、L13923]
18. 「潜伏性形質転換型成長因子」、ベータ−結合蛋白−2、LTBP2(マルファン症候群の診断)[遺伝子銀行ナンバー:Z37976]
19. デルタ−7−ステロールレダクターゼ、DHCR7(スミス−レムリ−オピッツ症候群の診断)[遺伝子銀行ナンバー:AF03454]
20. ステロール21−ヒドロキシラーゼ、CYP21(副腎性器症候群の診断)[遺伝子銀行ナンバー:M26856、M13935、M13936]
21. ステロール17−ヒドロキシラーゼ、CYP17(副腎性器症候群の診断)[遺伝子銀行ナンバー:NM000102、M14564、M31146]
【0040】
本発明によるジーンチップは、参照配列の対応する断片と同一又はそれと相補的なオリゴヌクレオチド配列を含むこともできる。更に、機能的に特徴のあるミューテーション又はそれに相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドを設けることができる。ミューテーションにおいては、塩基置換、挿入及び欠失が対象とされ得る。同様に置換及びインデルス(Indels)(挿入/欠失)のような複合ミューテーションも可能である。
【0041】
ジーンチップ上に設けられるオリゴヌクレオチドの長さは、15〜25ヌクレオチドの値であってよい。特に15〜18merを使用すると有利である。
【0042】
参照配列の断片と同一のオリゴヌクレオチドがチップ上に設けられる場合には、それに相補的な配列は検査すべきサンプルから合成することができる。この合成はハイブリダイゼーションの後で行われる実証のために必要なマーキング反応の間に行われる。
【0043】
本発明によるジーンチップ上に、DNA配列をRNA配列と共に貼り付けることができる。相応してヌクレオチドをウラシルと共に使用することができる。同様に塩基類似体を使用することができる。
【0044】
本発明によるジーンチップは、チップが今後配列決定される機能的に特徴のあるオリゴヌクレオチドで補足され得るという利点を有する。
【0045】
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。
【0046】
実施例1:
フェニルケトン尿症(PKU)のミューテーション検出のためのDNAチップ
第1表に示される参照配列の配列に相補的なオリゴヌクレオチドが、例えばドイツ特許第19612356号明細書又は米国特許第5837832号明細書に記載されているような標準技術を使用して、適切な基板上に設けられる。この基板は金で被覆されたガラスからなるのが有利である。オリゴヌクレオチドは15ヌクレオチドの長さを有する。個々の場合によって16〜25ヌクレオチドの配列も可能である。
【0047】
基板は多数のフィールドに分けられ、フィールドはそれぞれ1つのミューテーションを含むただ1つの配列を備えている。この場合、フィールド内の配列は、ミューテーションが参照配列断片に対しできるだけ中心にあるように位置決めされている。
【0048】
フェニルアラニンヒドロキシラーゼ遺伝子(PHA遺伝子)内のフェニルケトン尿症を生じさせるミューテーションの診断のために、本発明によるジーンチップ上で全部で548のフィールドが使用される。この場合、例えばフィールド1.1は参照配列断片CCAGCATGTCCACTGに相補的な配列CAGTGGACATGCTGGを有し(第1表、行1、列2)、フィールド1.2は変異した参照配列断片CCAGCATACCACTGに相補的な対応する変異したオリゴヌクレオチドCAGTGGATATGCGGである(表1、行1、列3;ミューテーションはアンダーライン)。
【0049】
フィールド2.1、2.2及びすべての他のフィールドを占めるために、第1表の行2の配列情報が連続的に対応して使用される。
【0050】
第1表は核酸配列のリストであって、その相補的な配列がチップ上に設けられる。見易くするため、15〜25(mer)の中央の領域のみが一部分として示されている。記載されていない配列部分は参照配列に相補的である。参照配列に対する位置は、コドンナンバーの表示から明らかである。
【0051】
変異した参照配列断片に相補的なオリゴヌクレオチドは基板上の新たに決定された場所に設けられる。参照配列から外れたヌクレオチドは表の列3から明らかである。
【0052】
表に記載された配列情報は遺伝子銀行ナンバーU49897を有する参照配列に関連する。ミスセンス又はナンセンス−ミューテーション(第1表A)並びにスプライシング変種(第1表B)、欠失(第1表C及び第1表E)、挿入(第1表D)、インゲルス及び複合再配列が選択されている。
【0053】
第1表:
【表1】
【0054】
実施例2:
新生児スクリーニング用DNAチップ
DNAチップは実施例1において詳細に示したようなやり方で作られる。この場合でも15から18(mer)の長さのオリゴヌクレオチド配列が基板上に既知の技術にてもたらされる。その際、オリゴヌクレオチドは相応する参照配列の断片ないし変異した配列領域に対して相補的である。
【0055】
参照配列は以下の遺伝子に存在する。
フェニルアラニンヒドロキシラーゼ,PAH(フェニルケトン尿症の診断)
キノイドデヒドロプテリディンレダクターゼ,QDPR(フェニルケトン尿症の診断).
ミトコンドリア分枝アルファケト酸デヒドロゲナーゼ,α−ペプチド, BCKDHA (メープルシロップ症の診断).
ミトコンドリア分枝アルファケト酸デヒドロゲナーゼ,β−ペプチド, BCKDHB (メープルシロップ症の診断).
分枝鎖状ディヒドロリポアミドトランスアシラーゼ,DBT (メープルシロップ症の診断).
ガラクトース−1−燐酸塩ウリディルトランスフェラーゼ,GALT (ガラクトース血症の診断).
ガラクトキナーゼ, GALK1 (ガラクトース血症の診断).
UDP−ガラクトース−4−エピメラーゼ, GALE (ガラクトース血症の診断).
シスタチオン−ベータ−シンターゼ,CBS (ホモシスチン尿症の診断).
5,10−メチレンテトラヒドロフォラートレダクターゼ (NADPH), MTHFR (ガラクトース血症の診断).
メチレンテトラヒドロフォラート−L−ホモシステイン−S−メチルトランスフェラーゼ,MTR (ガラクトース血症の診断).
ビオチニダーゼ,BTD (ビオチニダーゼ欠乏症の診断).
中間鎖状アシル−CoA−デヒドロゲナーゼ,ACADM (中間鎖状アシル−CoA−デヒドロゲナーゼ欠乏症の診断).
低密度リポ蛋白レセプタ,LDLR (遺伝性ハイパーコレステリン血症の診断)
アポリポ蛋白 B (遺伝性アポリポB蛋白欠陥の診断).
”シスチックフィブロシストランスメンブランコンダクタンスレギュレータ”, CFTR (嚢胞性線維症の診断).
フィブリリン−1−, FBN1 (マルファン症候群の診断).
”潜伏性形質転換型成長因子”, ベータ結合蛋白−2, LTBP2 (マルファン症候群の診断).
デルタ−7−ステロールレダクターゼ, DHCR7 (スミス−レムリ−オピッツ症候群の診断).
ステロール21−ヒドロキシラーゼ, CYP21 (副腎性器症候群の診断).
ステロール17−ヒドロキシラーゼ, CYP17 (副腎性器症候群の診断).
【0056】
これらの遺伝子から、「バイオテクノロジー情報国立センター(NCBI)」の遺伝子銀行(GenBank)のコードナンバーを介して同定される第2表に示される参照配列が選ばれる。
【0057】
本発明に基づく新生児スクリーニング用ジーンチップ上には、機能的に特徴付けられた変異に対して相補的なオリゴヌクレオチドの選択物が付着される。これらの変異は6.1.1表から6.12.5表の中で、参照配列上での位置と関連するアミノ酸とで特徴付けられる。
【0058】
新生児スクリーニング用に導入されるジーンチップ上には、処理頻度の高い12の遺伝病の診断用の少なくとも3348のハイブリダイゼーションが存在する。一つの基板上にこれらのオリゴヌクレオチド配列が共通に存在することによって、ただ一つの患者サンプルでこれらの疾病の同時診断が可能となる。それゆえ、このDNAチップは特に出産直後または出産前のスクリーニングプログラムにおいて導入するのに適している。
【0059】
第2表には診断すべき疾病に関するさらなる情報が示されている。
【0060】
第2表:
【表2】
【0061】
実施例3:
ビオチニダーゼ欠症の診断用DNAチップ
この例においては、第3表にリストアップした参照配列のオリゴヌクレオチドが直接既知の標準技術の助けを借りて適宜の基板上に配設される。例1と同様に、普通は15−mereが用いられるが、個別のケースでは16ないし25mereのオリゴヌクレオチドが用いられる。その際、配列は再び、変異した参照配列内に存する配列偏位が参照配列に対してほぼ中央に位置するように選ばれる。
【0062】
この場合でも、基板のフィールド毎にそのつどただ一つのオリゴヌクレオチドのみが配設される。
【0063】
ビオチニダーゼ欠乏症の検査のためには28の機能的に特徴付けられた変異がチップ上に施されるので、28のフィールドが得られる。その際、たとえばフィールド1.1は、参照配列断片CCAGCATGTCCACTG (第1表第1行第3列)を担持する。これはGenBankナンバーU63274を持つ遺伝子配列から導かれ、フィールド1.2は相応する変異配列CAGTGGATATGCTGG (第1表第1行第4列;変異は下線が引かれている)を示す。
【0064】
他のフィールドに対しては、第3表に示されている配列情報が、第3表の第2から14行に相応して引用されている。
【0065】
ハイブリダイゼーションの検出のために必要なマーキング反応用としてコード化されるべき参照配列のストランド(意味ストランドとも呼ばれる)に相補的なストランドから適当なプライマーを選択することにより、マークされた遺伝子断片がチップ上に施されるオリゴヌクレオチド配列に対して相補的であることが保証される。
【0066】
第3表:
第3表はビオチニダーゼ欠乏症の診断用チップ上に施された核酸配列のリストを含んでいる。見やすくするために15から25merのオリゴヌクレオチドの中央領域のみが示されている。位置はコドンナンバーを示すことにより参照配列に対して相対的に特徴付けられている。各変異参照配列に対して基板上の正確に定義付けられた場所において第3列に記載された正常な参照配列が施される。表示されていない配列断片は参照配列のそれに相応する。
【0067】
【表3】
【0068】
第4表:本発明によるヌクレオチド基板でもって認識される疾病
この表は実施例に記述したヌクレオチド担体でもって診断可能な先天的遺伝性疾患及びこれに関連する参照配列を示す。更にこの表は既に記述した変異によって相応する遺伝子に惹起される臨床疾病のパーセンテージのデータを含む。
【0069】
【表4】
【0070】
第5表:下記疾病に関係する遺伝子のリスト
【表5】
【0071】
第 6.1.1 ないし 6.12.5表は、ヌクレオチド基板(NT)上で所定の疾病に対して関連するオリゴヌクレチドを特定する。すなわち、関係位置、関係遺伝子、参照配列のコドンナンバー、参照配列の関連ヌクレオチド、変異した配列および変異の表現型を示している。見易さのためにそれぞれ直接関係する配列領域のみが示されている。掲げられていないオリゴヌクレオチド断片は参照配列の相応する配列と同一であるかまたは相補的である。欠失したヌクレオチドは小文字で示してある。
【0072】
第6表:
【表6】
【0073】
配列リスト
<110> Cullen, Paul
Seedorf, Udo
<120> Gene chip for neonate screening
<130> 44800, 44801, 44803
<140> PCT/EP01/00139
<141> 2001−01−09
<160> 295
<170> PatentIn version 3.1
<210> 1
<211> 22
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 1
<210> 2
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 2
<210> 3
<211> 23
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 3
<210> 4
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 4
<210> 5
<211> 21
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 5
<210> 6
<211> 20
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<400> 295
Claims (11)
- 遺伝的に引起こされた二つの表現型に少なくとも関係する参照配列の断片に対して同一又は相補的であるオリゴヌクレオチド配列の選択性を有するヌクレオチド基板。
- オリゴヌクレオチドの選択が一つの表現型のすべての関連現象の重要な部分を決定することを特徴とする請求項1記載のヌクレオチド基板。
- 参照配列が次の遺伝子銀行(GenBank)ナンバーの配列グループから選ばれることを特徴とする請求項1または2記載のヌクレオチド基板。
− K03020, NM 000277, L47726, U49897;
− NM 000320, M16447, X04882;
− Z14093;
− M55575;
− X66785;
− M60091, NM 000155; L46354〜46365, L46691〜46724;
− NM 002044, NM 000154, L76927, U26401, M84443;
− L41668;
− NM 000071, L14577, X98810〜X98823, X88562, X87815, X87816, X91910;
− AF025794, NM 002454;
− U09806, AF105988〜AF105998;
− U63274, U03274;
− M16827, M91422〜M91432, NM 000016;
− NM 000527, L00336〜00352, L29401;
− X04506, M14162;
− NM 000492, M55131;
− NM 000138, X63556, L13923;
− Z37976;
− AF034544;
− M26856, M13935, M13936;
− NM 000102, M14564, M31146. - オリゴヌクレオチドが第6.1.1表から6.12.5表までの表において特徴付けられる配列のグループから選ばれることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のヌクレオチド基板。
- オリゴヌクレオチドが、15から25の長さ(mer)、特に15から18の長さ(mer)のヌクレオチドを有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のヌクレオチド基板。
- 基板が金で被覆されたガラスからなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のヌクレオチド基板。
- フェニルケトン尿症およびガラクトース血症の実証となるオリゴヌクレオチドの組合せからなることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のヌクレオチド基板。
- ビオチニダーゼ欠乏症の実証となるオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項7記載のヌクレオチド基板。
- 請求項1から6のいずれか1つに記載のヌクレオチド基板を、以下の疾病のグループから選んだ少なくとも二つの疾病の診断に同時に使用することを特徴とするヌクレオチド基板の使用方法。
フェニルケトン尿症;
メープルシロップ尿症;
ガラクトース血症;
ホモシスチン尿症;
ビオチニダーゼ欠乏症;
中間鎖状アシル−CoA−デヒドロゲナーゼ欠乏症;
遺伝性ハイパーコレステリン血症;
遺伝性アポリポ蛋白−B欠陥;
嚢胞性線維症;
マルファン症候群;
スミス−レムリ−オピッツ症候群;
副腎性器症候群。 - 請求項1から8のいずれか1つに記載のヌクレオチド基板を新生児の検査に使用することを特徴とするヌクレオチド基板の使用方法。
- 請求項1から8のいずれか1つに記載のヌクレオチド基板を出生前の検査に使用することを特徴とするヌクレオチド基板の使用方法。
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