JP2009523442A - 角膜ジストロフィー診断用のdnaチップ - Google Patents

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Abstract

本発明は角膜ジストロフィー診断用のオリゴヌクレオチドに係り、さらに詳細には、眼科の視力校正手術前に正確に診断されるべきアベリノ症をはじめとする角膜ジストロフィーを診断するためのBIGH3遺伝子突然変異検出用のオリゴヌクレオチド及び前記オリゴヌクレオチドが固定されていることを特徴とする角膜ジストロフィー診断用のDNAチップに関する。本発明によれば、従来、顕微鏡によってのみ診断されていたジストロフィーを遺伝的に正確に診断することができ、角膜ジストロフィー患者が誤診により視力校正手術を施術されて失明することを防ぐことができる。

Description

本発明は、角膜ジストロフィー診断用のオリゴヌクレオチドに係り、さらに詳しくは、眼科の視力校正手術前に正確に診断されるべきアベリノ症をはじめとする角膜ジストロフィーを診断するためのBIGH3遺伝子突然変異検出用のオリゴヌクレオチド及び前記オリゴヌクレオチドが固定されていることを特徴とする角膜ジストロフィー診断用のDNAチップに関する。
角膜ジストロフィー(corneal dystrophy)は、角膜の中心に濁りが発生し、年をとる度に次第に濁りが激しくなって視力が低下する常染色体優性遺伝疾患であり、アベリノ角膜ジストロフィー(Avellino corneal dystrophy)、顆粒状角膜ジストロフィー(Granular corneal dystrophy)、I型格子状角膜ジストロフィー(lattice type I corneal dystrophy)及びレイス・バックラースI角膜ジストロフィー(Reis-bucklers corneal dystrophy)などがあり、βIG−H3タンパク質をコーディングする遺伝子の突然変異により発生する。
これらの中で、アベリノ角膜ジストロフィー患者は、年齢の増加に伴って異型接合体(heterozygote)は相当の視力損失を示し、同型接合体(homozygote)の場合には6歳から失明する。アベリノ角膜ジストロフィーは、顆粒状角膜ジストロフィーとして通称されていた疾患であるが、遺伝子の違いが発見されて1988年に分離されて新たに命名された疾患であり、全世界的に最もありふれた角膜ジストロフィーとして知られており、遺伝子解析の結果、韓国における有病率(異型接合体の場合)が1/340〜1/1,000と極めてありふれた疾患であると言われている(Holland, E.J. et al., Ophthalmology,99:1564, 1992; Kennedy, S.M. et al., Br. J. Ophthalmol., 80:489, 1996; Dolmetsch, A.M. et al., Can. J. Ophthalmol., 31:29, 1996; Afshari, N.A. et al., Arch. Ophthalmol., 119:16, 2001; Stewart, H.S. Hum. Mutat.,14:126, 1999)。
本発明者らは、異型接合体のアベリノ角膜ジストロフィー患者が、レーシック手術を受けると約2年後から角膜の濁りが急増して失明するということを見出した(Jun, RM et al., Ophthalmolgy, 111:463, 2004)。以前は、レーシックまたはエキシマーレーザー手術により角膜ジストロフィー患者の濁りがなくなるという予測下で、多くの施術がなされており、これまで韓国において施術されたレーシック手術の件数は約30万件であると推定されるが、韓国におけるアベリノ角ジストロフィーの異型接合子の頻度を最小の計算値の1/1,000であるとしても、300名が視力を失っていると推測することができる。レーシック手術を受ける患者は、主として20−30代の生産的な活動をする人口層であって、これら患者の失明は社会的、経済的に深刻な問題となる。
また、2000年以来にレーシック手術の施術許可が公表されたアメリカの場合、黒人からもアベリノ角膜ジストロフィー患者のレーシック手術による失明が発見され始め、全世界的に多数の患者が施術後に病勢が進行中であることを推測することができる。
このため、レーシック手術の施術前にアベリノ角膜ジストロフィー患者に対する正確な診断を行うことによりレーシック手術による症状進行を防がなければならないが、既存の眼科においては、眼科医者が顕微鏡により眼球濁りを検査するだけでアベリノ角膜ジストロフィーを診断しており、症状が未進行の患者の場合には発見できず、レーシック手術を行って失明に発展する場合もしばしば発生していることから、正確で且つ迅速な角膜ジストロフィーの診断方法が切望されているのが現状である。
そこで、本発明者らは、角膜ジストロフィーの原因となるBIGH3遺伝子の突然変異を正確で且つ迅速に診断可能なDNAチップを開発するために鋭意努力した結果、BIGH3遺伝子の特定の突然変異部位を含有するプローブを作製し、これを固定したDNAチップを用いて角膜ジストロフィーを効率よく診断することができるということを確認し、本発明を完成するに至った。
発明の要約
従って、本発明の目的は、角膜ジストロフィーの原因となるBIGH3遺伝子の特定の突然変異部位を含むオリゴヌクレオチドを提供するとことにある。
本発明の他の目的は、前記オリゴヌクレオチドが固定されている角膜ジストロフィー診断用のDNAチップを提供するとことにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号50、配列番号53及び配列番号59よりなる群から選ばれる1以上の塩基配列を必須に含有する角膜ジストロフィー診断用のオリゴヌクレオチドを提供する。
本発明において、前記配列番号50の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは、配列番号12の塩基配列で表わされることを特徴とし、前記配列番号53の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは配列番号13の塩基配列で表わされることを特徴とする。
本発明において、前記配列番号59の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは、配列番号15の塩基配列で表わされることを特徴とし、前記配列番号35の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは、配列番号65の塩基配列で表わされることを特徴とする。
本発明において、前記オリゴヌクレオチドの長さは13〜17bpであることを特徴とする。
また、本発明は、前記オリゴヌクレオチドが固定されている角膜ジストロフィー診断用のDNAチップを提供する。
本発明において、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47及び配列番号56よりなる群から選ばれる1以上の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドが、さらに固定されていることを特徴とする。
本発明において、前記配列番号47の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは、配列番号11の塩基配列で表わされることを特徴とし、前記配列番号56の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは配列番号14の塩基配列で表わされることを特徴とし、さらに、前記配列番号34の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは配列番号62の塩基配列で表わされることを特徴とする。
本発明において、配列番号16〜配列番号47、配列番号50、配列番号53、配列番号56及び配列番号59よりなる群の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドが、いずれも固定されていることを特徴とする。
さらに、本発明は、配列番号11〜配列番号15、配列番号62及び配列番号65よりなる群のオリゴヌクレオチドがいずれも固定されていることを特徴とする角膜ジストロフィー診断用のDNAチップを提供する。
さらに、本発明は、配列番号1及び配列番号2、配列番号3及び配列番号4、配列番号5及び配列番号6、配列番号7及び配列番号8、並びに配列番号9及び配列番号10よりなる群から選ばれるプライマー対を提供する。
本発明の他の特徴及び具現例は、下記の詳細な説明及び特許請求の範囲からなお一層明らかになる。
スポッティング溶液によるDNAチップの検出効率を測定するためのDNAチップのスポットを示すものである。 正常人の場合、図1におけるDNAチップにエクソン4領域の増幅産物を適用したハイブリダイゼーションの結果を示すものである。 ヘテロアベリノ症の場合、図1におけるDNAチップにエクソン4領域の増幅産物を適用したハイブリダイゼーションの結果を示すものである。 ホモアベリノ症の場合、図1におけるDNAチップにエクソン4領域の増幅産物を適用したハイブリダイゼーションの結果を示すものである。 ヘテロレイス・バックラースCD1の場合、図1におけるDNAチップにエクソン4領域の増幅産物を適用したハイブリダイゼーションの結果を示すものである。 プローブ濃度別にデザインされたDNAチップのスポット配列を示すものである。 図6のDNAチップを使用したときにおける、患者により予想されるハイブリダイゼーションの結果を示すものである。 図6におけるDNAチップを使用したときにおける、プライマー組のハイブリダイゼーションの時間によるハイブリダイゼーションの結果を示すものである。 プローブの長さによるDNAチップのハイブリダイゼーションの結果を示すグラフである。 プローブの長さによるDNAチップのハイブリダイゼーションの効率を調べるためのDNAチップのスポット配列を示すものである。 プローブの長さによるDNAチップのハイブリダイゼーションの結果を示すものである。 それぞれ15merのプローブを50μMの濃度にて3xSSCスポッティング溶液を用いて製造したDNAチップのスポット配列を示すものである。 図12におけるDNAチップを用いたハイブリダイゼーションの結果を示すものである。
発明の詳細な説明及び具体的な具現例
本発明においては、眼科疾患のうち、角膜濁りを誘起する角膜ジストロフィーがBIGH3遺伝子の突然変異によるものであることに着目し、アベリノ角膜ジストロフィー、格子状角膜ジストロフィー、顆粒状角膜ジストロフィー、レイス・バックラースジストロフィーなどの種々の角膜ジストロフィー患者に現れるBIGH3遺伝子の点突然変異部位を中心としてそれぞれの角膜ジストロフィーを診断可能なプローブを作製した。
本発明において作製されたプローブは、配列番号11〜配列番号67の塩基配列を有するプローブである。
前記プローブを用いて角膜ジストロフィーを効率よく選別可能なDNAチップを製作するために、最適のスポッティング溶液、最適の固定化時間、最適のプローブの長さなどを検索してみた。その結果、スポッティング溶液としては3xSSC溶液が最適であり、固定化時間は6時間において最良の結果が得られ、エクソン4変異による角膜ジストロフィーの場合には15merの長さのプローブを使用したときに最良の結果が得られ、エクソン12変異による角膜ジストロフィーの場合には17merの長さのプローブを使用したときに最良の結果が得られた。
以下、本発明において使用する用語及び表現を説明する。
「分離された」核酸分子は、核酸の天然源に存在する他の核酸分子から分離されたものである。例えば、ゲノムDNAと関連して、用語「分離された」はゲノムDNAが天然的に結合している染色体から分離された核酸分子を含む。
「プローブ」または「核酸プローブ」とは、検出しようとする標的塩基配列と十分に相補的であって、ハイブリダイズする塩基配列を有する一本鎖の特異的なオリゴヌクレオチドのことを言う。
「組成物」とは、原核若しくは真核生物由来の遺伝子情報に相補的なプローブが純粋な状態であるか、あるいは、他のプローブと配合されうる状態であることを意味する。また、プローブは塩または緩衝剤と配合されて乾燥された状態、沈殿物としてアルコール溶液または水溶液の状態で存在してもよい。
「標的」とは、本発明によるプローブのいずれとも相補的な配列を有する生物学的な試料由来の核酸分子を意味する。標的核酸は、一本鎖または二本鎖のDNA(任意に増幅後に得る)若しくはRNAであってもよく、少なくとも一つのプローブオリゴヌクレオチドと少なくとも部分的な相補性を有する配列を含有する。
「生物学的な試料」とは、目的とする標的配列を検出しようとする臨床試料(例えば、濃汁、唾液、血液、尿など)、環境試料、細菌コロニ、汚れたまたは純粋な培養物、精製された核酸などの検体を言う。
「オリゴヌクレオチド」とは、一般に、約10個〜約100個のヌクレオチドよりなるヌクレオチド高分子を意味する。しかしながら、ヌクレオチドの長さは100個以上であっても、10個以下であってもよい。
「ヌクレオチド」は、フォスフェートグループ、5−炭糖及び窒素塩基よりなる核酸の基本単位である。RNAにおいて、5−炭糖はリボースである。DNAにおいて、5−炭糖は2−デオキシリボースである。5−ヌクレオチドの場合、糖は5−炭糖−2においてヒドロキシル基(−OH)を含有する。また、この用語は、リボースの2位にメトキシ基のように前記基本単位の類似体を含む。
「相同性」は同一性と同意であり、例えば、90%相同性と言われるポリ核酸は、配列を並べるときに、同じ位置において90%の同じ塩基対を示すことを意味する。
「ハイブリダイゼーション」とは、標的核酸(検出しようとする配列)への相補配列のアニーリングを意味する。相補配列を含む両核酸高分子が互いを発見し、塩基対相互作用を通じてアニールする能力は周知の現象である。
「プライマー」とは、複製しようとする核酸の鎖に相補的な伸長産物合成のための開始点として作用可能な一本鎖DNAオリゴヌクレオチド配列を言う。プライマーの長さ及び配列はこれらが伸長産物の合成を開始可能な程度であれば良いが、好ましくは、約5〜50個のヌクレオチドから構成される。特定の長さ及び配列は目的とするDNAまたはRNA標的の複雑性だけではなく、温度及びイオン強度などのプライマー使用の条件により決まるであろう。
「標識」とは、検出可能な(好ましくは、定量可能な)シグナルを提供し、核酸に結合可能なあらゆる原子または分子を言う。標識は、蛍光、放射性、色度、X−線回折または吸収、磁力などにより検出可能なシグナルを提供することができる。
「ハイブリッド」は、相補的な塩基間のワトソン-クリック塩基対または非標準塩基対により2つの一本鎖の核酸配列の間に形成された複合体である。
「プローブ特異性」とは、標的と非標的配列を区別する能力を記述するためのプローブの特徴を言う。これと関連して、プローブが特異的であるとは、ヌクレオチド配列が定められた標的配列とハイブリダイズし、非標的配列とは実質的にハイブリダイズしないか、あるいは、非標的配列とのハイブリダイズが最小に行われるということを意味する。プローブ特異性は、配列及びアッセイ条件により左右される。
「標準菌株」とは、市販中若しくは入手し易い菌株を言う。
<プローブの同定>
各種の原核、真核、またはそれ由来の遺伝子情報の検出用の核酸プローブを作製するためには、検出しようとする各標識子にのみ特異性を有さなければならないが、このために、まず、各標的遺伝子あるいは生物体に対する特異プローブ候補群を選定する。
プローブ候補群は、標的配列が位置している遺伝子の部位内において決める。プローブ候補群の特異性の有無は、まず、BLAST検索を通じて各塩基配列間の類似性を比較して確認し、実際にハイブリダイゼーション反応に菌株を適用して各標的遺伝子においてのみ反応するプローブを候補群内において同定用のものとして選別する。
さらに、このようにして選別された同定用の核酸プローブは、種々の生物学的な試料を対象とする臨床試験に適応して感度を確かめる。
本発明により選別された核酸プローブは、11〜17merのオリゴヌクレオチドであり、好ましくは、検出しようとする標的の完全な相補配列と70%、80%、90%または95%以上の相同性を有する。本発明による各菌の検出及び同定用の核酸プローブのオリゴヌクレオチドの長さは50個またはそれ以上も可能である。本発明に用いられるヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド及びイノシンまたは変形基を含有するヌクレオチドなどの変形されたヌクレオチドであってもよいが、これらはハイブリダイゼーションの特徴に必ず影響を及ぼしてはならない。
<プローブの利用>
本発明の核酸プローブは、診断の目的から、生物学な試料中において標的核酸の有無を試験するに当たって公知のあらゆるハイブリダイゼーション技術、例えば、ドット-ブロットと呼ばれるフィルター上へのポイント沈着技術(Manitais et al., Molecular Cloning, Cold Spring Harbor, 1982)、サザン・ブロットまたはノザーンブロットにより行うことができる。
また、本発明の核酸プローブは、核酸プローブ系アッセイ(nucleic acid probe-based assay)の特異性を高めるサンドイッチハイブリダイゼーションシステムに使用可能である。核酸プローブ系アッセイにおいて、サンドイッチハイブリダイゼーションの原理及び手順は公知である(Dunn and Hassel, Cell, 12:23, 1977; Rnaki et al., Gene, 21:77, 1983)。サンドイッチハイブリダイゼーション技術には捕獲プローブ及び/または検出プローブが用いられ、これらのプローブは標的核酸の異なる両領域とハイブリダイゼーションすることができ、これらの一方(一般に、検出プローブ)が目的とする菌に対して特異的な標的の領域とハイブリダイゼーションすることができる。捕獲プローブと検出プローブは少なくとも部分的に異なるヌクレオチド配列を有さなければならない。
直接的なハイブリダイゼーションアッセイが有利な力学を提示するが、サンドイッチハイブリダイゼーションはシグナル-対-ノイズの割合が高いという点において有利である。また、サンドイッチは核酸プローブ系アッセイの特異性を高めることができる。サンドイッチハイブリダイゼーション過程の主な段階を構成するインキュベーション及びそれに続く洗浄段階はそれぞれ約20〜65℃の恒温において行う。核酸ハイブリッドはハイブリダイズされた塩基の数により左右され(温度はハイブリッドのサイズに比例して増加する)、また、ハイブリダイズされた塩基の性質及びそれぞれのハイブリダイズされた塩基の場合、隣り合う塩基の性質により左右される解離温度を有することが知られている。サンドイッチハイブリダイゼーション技術において用いられるハイブリダイゼーションの温度は、与えられたプローブと相補的な配列の標的との間に形成されたハイブリッドの半解離温度(half-dissociation temperature)以下において選択されなければならない。この半解離温度は簡単な通常の実験により決めることができる。
また、本発明の核酸プローブは競合ハイブリダイゼーションプロトコルに用いることができる。競合ハイブリダイゼーションにおいて、標的分子は、特定のプローブとこの相補体との間におけるハイブリッド形成と競合する。標的の存在数が増大するにつれて、プローブとこの相補体との間に形成されたハイブリッドの量は減少する。特定の標的が存在することを示す陽性シグナルは、標的が添加されていないシステムと比較して、ハイブリダイゼーション反応が減少することを示す。特定の態様として、標識される特異的なオリゴヌクレオチドプローブを標的分子とハイブリダイズする。次いで、混合物を特異的なプローブと相補的なオリゴヌクレオチドが固定されたマイクロタイターディッシュウェルに入れ、ハイブリダイゼーション反応を行い続ける。洗浄後、相補的なオリゴヌクレオチドとプローブとの間のハイブリッドを、好ましくは、使用された標識に応じて定量する。
また、本発明の核酸プローブは、リバースハイブリダイゼーション(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:6230, 1989)に使用可能である。この場合には、まず、標的配列を5’−ビオチン化プライマーを用いてPCRを行うことにより酵素的に増幅することができる。第2の段階において、増幅された産物は固体支持体の上に固定された特定のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせて検出する。リバースハイブリダイゼーションは増幅せずに行うこともできる。この場合には、生物学的な試料に存在する核酸はハイブリダイゼーション前に化学的に特定の色素(dye)を添加して特異的にまたは非特異的に標識または変形しなければならない。
本発明の核酸プローブは、前記本発明において、目的とする標的遺伝子の有無を迅速に決める上で使用可能なキットに含まれうる。キットは、標的遺伝子の存在を検定するのに必要となるあらゆる構成要素を含む。通常、キットは、標識されたプローブの安定した製剤、標的とプローブ核酸のハイブリダイゼーションを誘導するための乾燥状態のまたは液状のハイブリダイゼーション液、目的としない、またはハイブリダイズされていない核酸を洗浄して除去するための溶液、標識されたハイブリッドを検出するための基質及び場合により、標識を検出するための機器を含む。
本発明の特定の1つの態様は、サンドイッチアッセイの概念を利用するキットを含む。このキットは、患者の特定の部位において検体を収集するための第1の要素、例えば、検体のスクレイプ用の器具、またはペーパーポイント、収容バイアル、分散及び溶解緩衝液が含まれる。第2の要素は標的とプローブ核酸との間のハイブリダイゼーションのための乾燥状態のまたは液状の媒質、及び目的とせず、そしてハイブリダイズされないポリヌクレオチドを洗浄して除去するための媒質を含む。第3の要素は、標的核酸の一部に相補的な非標識の核酸プローブが固定または結合されている固体支持体を含む。多数の標的を分析する場合には、それぞれ個々のrRNAに対して特異的な1種以上の捕獲プローブがディップスチックの他の個別領域にアプライされる。
第4の要素は、第3の要素が固定され非標識の核酸プローブがハイブリダイズされる同じrRNA本鎖の第2の他の領域に相補的な標識されたプローブを含有する。ここで、核酸プローブは、凍結乾燥された核酸などの乾燥形態のもの、またはアルコール沈殿された核酸などの沈殿形態のもの、または緩衝液中の、プローブの配合物を含む。標識は、周知のいかなる標識も採用可能である。
例えば、プローブは、通常の手段によりビオチン化することができ、ビオチン化されたプローブの存在は、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素に結合されたアビジンを添加した後、ペルオキシダーゼと反応したときに視覚的にモニタリングするか、あるいは、色度計または分光計を用いた装備によりモニタリング可能な基質と接触させて検出することができる。このような標識方法及びその他の酵素形態の標識は放射能標識方法と比較して経済的であり、高感度である他、比較的に安全であるというメリットを有する。アッセイキットの完成品には標識されたプローブの検出のための種々の試薬及びその他のキットに含まれるもの、例えば、ガイドライン、陽性及び陰性対照群及び種々の成分を混合反応させるための容器などが含まれる。
<DNAチップ>
また、本発明の核酸プローブは遺伝子チップに用いられる。本発明の好ましい態様は、本発明の核酸プローブが固体支持体に固定されたDNAチップを提供する。DNAチップは小さな基板の上に種々の塩基配列の断片が極めて密にスポットされたものであって、基板に固定されたDNAとここに相補的な未知のDNA試料との間のハイブリダイズにより未知試料のDNAを検出するのに用いる。プローブを固定する基板は、ガラス、シリコンなどの無機質またはアクリル系、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephtalate、PET)、ポリスチレン、ポリカボネート、ポリプロピレンなどの高分子物質からなり、基板の表面は平らなもの、あるいは、多数の孔が開いているものを用いることができる。
プローブの固定は5’または3’のいずれかの位置が基板に共有結合により固定される。固定化方法は、通常の技術であって、例えば、静電気力を用いるか、合成されたオリゴ上にアミン基を付けてアルデヒドコーティングされたスライドに貼り付けてこれらの両者間の結合を誘導するか、あるいはアミン基コーティングされたスライドの上、L−リシンコーティングされたスライドの上、又はニトロセルローズ膜がコーティングされたスライドの上にスポットすることにより行われる。本発明の1つの態様として、プローブを合成するとき、3’位にアミン基を有する塩基を挿入してアルデヒド残基によりコーティングされたガラス板に共有結合させる。
基板の表面への異なるプローブの固定、配列は、ピンマイクロアレイ、インクジェット、フォトリソグラフィ、電気的なアレイなどの方法により行う。本発明の1つの態様としては、プローブを緩衝溶液に溶解させた状態で、公知の方法により製作されたマイクロアレイヤーを用いて(Yoon et al, J. Microbiol. Biotechnol., 10:21, 2000スポットする。
マイクロアレイヤーの原理は、微細に製作されたピンがDNAをプレート(reservoir)から把持して基板におけるコンピュータが指定した全く同じ個所に移すことである。マイクロアレイヤーにより移されたプローブの固定のために、45%〜65%程度、好ましくは、50%〜55%程度の湿度が保たれる条件においてプローブの3’位のアミン基とガラス板にコーティングされているアルデヒド基との間の反応が円滑になされるようにするために1時間以上反応を誘導し、6時間以上放置してDNAプローブを固定する。
生命体(living organism)由来の細胞または生命体そのものを検出するために、必要に応じて、これらの細胞を化学的及び/または物理的な方法により部分的にまたは完全に溶解させてこれらの細胞のRNA及び/またはDNAへの接近を容易にし、且つ、本発明のプローブと接触させる。接触は、液体媒質または溶液中においてニトロセルロース、セルロースまたはナイロンフィルターなどの適当な支持体の上において行うことができる。このような接触は、最適条件、下位最適条件または制限条件下において行うことができる。このような条件は、温度、反応物の濃度、核酸の塩基対最適温度を下げる物質(例えば、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド及び尿素)の存在及び反応体積を低減及び/またはハイブリッド形成を促す物質(例えば、デキストランスルファート、ポリエチレングリコールまたはフェノール)の存在を含む。
<プローブの作製>
核酸プローブは、通常のクローニング方法(Maniatis, T., et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York, 1982)を用いて目的とする配列をクローニングするか、あるいは、市販のDNA合成器を用いて化学的に合成して多量に得ることができる。
本発明のプローブは、通常の方法により、一本鎖または二本鎖として調製することができる。一本鎖のプローブを得る方法として、最も代表的な例は、自動DNA合成器機においてDMT(dimethoxytrityl)オフ方式により合成して脱保護反応を行った後、所望の数の塩基よりなるプローブを合成することである。
このようにして調製されたプローブは、合成に際し、一方の末端にFITC(fluorescein isothiocyanate)などの蛍光物質を付着して特定の核酸の有無を確かめることができる。他の方式としては、一本鎖のDNAを鋳型とし、それと相補的な塩基配列を有するプローブを作る方法であって、鋳型のDNAにプライマーをアニールさせ、そのプライマーからクレノー酵素と蛍光物質が付着された塩基(dNTP)を用いてプローブを合成する方法が挙げられる。この方法によれは、DNAの内部に蛍光物質が付着することから、高い感度及び特異性を有するプローブを合成することができる。
二本鎖のプローブを得る方法として、ゲノムDNAあるいはプラスミドDNAを特定の制限酵素で切断して所望の部分の遺伝子あるいは塩基部分を含むプローブを得ることができる。ランダムプライミング方法は、6個のランダムヘキサマーと鋳型DNAをハイブリダイズさせた後、蛍光物質の付着されている種々の長さのプローブを合成する方法であり、また、他の方法として、DNAの5’末端に32PをT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて結合させることにより蛍光物質の付着されたプローブを合成してもよく、DNA分解酵素(DNAse)Iを用いて二本鎖のDNAに切断部分を形成した後、このDNAを鋳型にしてDNAポリメラーゼIと蛍光物質の付着された塩基(dNTP)を用いてプローブを合成してもよい。このようにして二本鎖に合成されたプローブは変性過程を経て一本鎖にした後、ハイブリダイゼーション反応に供される。
本発明のプローブは、有利には、標識可能である。いかなる通常の標識も使用可能である。プローブは、32P、35S、125I、H及び14Cなどの放射性同位元素を用いて標識可能である。放射性標識は3または5位を放射性標識されたヌクレオチド、ポリヌクレオチドキナーゼ、末端トランスファラーゼまたはリガーゼを用いて末端標識するなど通常の方法により行うことができる。
放射性標識の他の方法は、本発明のプローブを化学的にヨード化するものであり、このようなヨード化によりプローブ上に数個の125I原子が結合することになる。このように本発明のプローブの一方が放射性として標識されると、一般に、オートラジオグラフィー、液体シンチレーション、ガンマカウンティングまたは他の通常の方法を用いて放射線を検出する。
また、本発明のプローブは、免疫特性を有する残基(例えば、抗原またはハプテン)、一部の試薬に対して特異的な親和性を有する残基(例えば、リガンド)、酵素反応により検出可能な残基(例えば、酵素、補助酵素、酵素基質または酵素反応に預かる基質)、またはある波長において蛍光、発光または吸光の物理的な特性を提供する残基、と結合して非放射性標識されることがある。また、プローブと標的により形成されたハイブリッドを特異的に検出する抗体を用いることができる。非放射性標識は本発明のプローブを化学的に合成するときに提供可能である。アデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン及びウラシル残基は他の化学残基と容易に結合し、これにより、プローブまたはプローブと相補的なDNAまたはRNA断片との間に形成されたハイブリッドの検出が可能になる。
<標的>
生物学的な試料において疾病を診断するのに用いるための核酸基質を提供するために、試料から核酸を抽出する。核酸は標準技術または市販中のキットを用いて、種々の試料から抽出可能である。例えば、組織試料からRNAまたはDNAを分離するのに用いるキットは、Qiagen、Inc.(アメリカ)及びStratagene(アメリカ)において購入可能である。QIAAMPブラッドキット(QIAamp Blood extraction Kit)は、血液だけではなく、骨髄、体液または細胞懸濁液からのDNAの分離を可能にする。QIAAMP組織キット(QIAamp Tissue extraction Kit)は、筋肉及び器官からのDNAの分離を可能にする。
標的核酸が二本鎖である場合には、検出過程を行う前に変性を行うことが好ましい。二本鎖核酸の変性は化学的、物理的または酵素的な変性の公知の方法、特に、適切な温度、80℃以上の温度に加熱することにより行うことができる。
また、プローブとハイブリダイズする標的DNAは、通常、2種類の方法により調製可能である。一つは、サザン・ブロットまたはノーザン・ブロット時に用いられる方法であり、ゲノムDNAあるいはプラスミドDNAを適宜な制限酵素に切断した後、アガロース・ゲル上において電気泳動をしてサイズ別にDNA断片を分離して使用する。もう一つは、PCR方法を用いて所望の部分のDNAを増幅して使用する方法である。
このとき、使用するPCR方法を調べてみると、フォワード及びリバースのプライマー対を同量用いて増幅する最も典型的なPCRと、フォワード及びリバースのプライマー対を非対称的に添加して二本鎖と一本鎖の帯を同時に得るアシンメトリックPCR法(Asymmetric PCR)、種々のプライマー対を入れて一括して増幅可能なマルチプレックスPCR法(Multiplex PCR)、特異的な4個のプライマーとリガーゼを用いて増幅した後、酵素免疫法により蛍光量を判定するリガーゼ連鎖反応(Ligase Chain Reaction;LCR)方法、これらの他にも、ホットスタートPCR、ネストPCR、変性オリゴヌクレオチドプライマーPCR、逆転写酵素PCR、半定量的逆転写酵素PCR、リアルタイムPCR(Realtime PCR)、RACE(Rapid Amplification of cDNA Ends)、競合的PCR(Competitive PCR)、縦列型反復配列法(short tandem repeats;STR)、1本鎖高次構造多型(Single Strand Conformation Polymorphism;SSCP)、同所PCR、DDRT−PCR(Differential Display Reverse Transcriptase PCR)などの方法などがある。
本発明の好適な態様は、分離された検体のDNAを鋳型とし、アシンメトリックPCR法(Asymmetric PCR)を行うことにより断片遺伝子を調製する。断片遺伝子は、フォワードプライマーとリバースプライマーの添加比を1:5と差別化することにより1回のポリメラーゼ連鎖反応により得る。
本発明の好適な態様として、PCR反応は、10xPCR緩衝液(100mM Tris−HCl(pH8.3)、500mM KCl、15mM MgCl2)5μL、dNTP混合物(dATP、dGTP、dCTP、dTTPそれぞれ2.5mM)4μL、10pmoleフォワードプライマー0.5μL、10pmoleリバースプライマー2.5μL、1/10に希釈した鋳型DNA(100ng)1μL、Taqポリマラーゼ(5unit/μL、宝酒造株式会社)0.5μLを添加後、合計の体積が50μLになるように水を添加する。1回目の変性は94℃において7分間、2回目の変性は94℃において1分間行う。アニーリングは52℃において1分、伸長は72℃において1分間行い、これを10回繰り返し行う。この後、さらに3回目の変性は94℃において1分、アニーリングは54℃において1分、伸長は72℃において1分間行い、これを30回繰り返し行う。この後、72℃において5分間最後の伸長を1回行う。PCR反応により生成された産物は、アガロース・ゲル電気泳動法により確かめる。
<ハイブリダイゼーション及び洗浄>
ハイブリダイゼーション技術は本発明において特定なものではない。この技術は、一般に、文献(Nucleic Acid Hybridization: A Practical Approach, Ed. Hames, B. D. and Higgins, S.J., IRL Press, 1987; Gall and Pardue, Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 63:378, 1969, John, Burnsteil and Jones, Nature, 223:582, 1969)に記述されている。
ハイブリダイズの条件はストリンジェンシー(stringency)、すなわち、作用条件の厳しさにより決められる。ハイブリダイズがなされるストリンジェンシーが高くなるにつれて、ハイブリダイズはなお一層特異的となる。ストリンジェンシーは、特に、プローブ/標的結合体の塩基組成だけではなく、両核酸間の不整合度の関数である。また、ストリンジェンシーはハイブリダイズの溶液に存在するイオンの濃度及び種類、変性剤の性質及び濃度及び/またはハイブリダイゼーションの温度などのハイブリダイゼーション反応の変数の関数であってもよい。ハイブリダイゼーションが行われるべき条件のストリンジェンシーは、特に、使用されたプローブによる。これらのあらゆるデータは周知であり、適切な条件は個々の場合に通常の実験により決めることができる。一般に、使用されたプローブの長さに応じて、イブリダイゼーションの温度は、約0.8〜1M濃度の塩水溶液中において約20℃〜65℃、特に、35℃〜65℃である。
標識されたオリゴヌクレオチドプローブと標的核酸との間のハイブリダイゼーションは、Hoganらのアメリカ特許第5、030、557号公報に記述の手続きにより「非標識のヘルパーオリゴヌクレオチド」により増幅することができる。ヘルパーオリゴヌクレオチドはプローブにより結合される領域外の他の標的核酸の領域と結合する。この結合は一本鎖核酸の標的領域において、新たに2次及び3次構造をとってプローブの結合速度を加速化する。
当業者はプローブと標的との間に形成されたハイブリッドの熱安定性に影響するファクターもまたプローブ特異性に影響する可能性があることを理解できるであろう。このため、プローブと標的のハイブリッドの融点温度をはじめとして融点プロファイルがそれぞれのプローブと標的のハイブリッドに対して経験的に決定されなければならない。このような決定はArnoldらのアメリカ特許第5、283、174号公報に記述された方法により行うことができる。
プローブと標的のハイブリッドの融点温度を決める1つの方法は、ハイブリダイゼーションプロテクションアッセイ(hybridization protection assay)を行うことを含む。このアッセイ方法によれば、リチウムラウリルサルファートを含有するリチウムサクシネート緩衝溶液中の過量の標的の条件下においてプローブと標的のハイブリッドを形成する。予備形成されたハイブリッドのアリコートをハイブリダイゼーション緩衝液に希釈し、予想される融点温度(典型的に、55℃)以下から始まって2〜5℃を増加した種々の温度において5分間インキュベーションする。この後、この溶液を弱アルカリ性ボレート緩衝液により希釈し、より低い温度(例えば、50℃)において10分間インキュベーションする。一本鎖プローブに付着したアクリジニウムエステルはこれらの条件下において加水分解されるのに対し、ハイブリダイズされたプローブに付着したアクリジニウムエステルは相対的に保護される。この手続きをハイブリダイゼーションプロテクションアッセイと言う。残っている化学発光の量はハイブリッドの量に比例し、過酸化水素に続いてアルカリを次第に添加して発光計測器により測定する。このデータを温度に対する最大シグナル(通常は、最低温度)のパーセントでグラフにプロットする。
融点温度は、最大シグナルの50%が残っているポイントとして定義される。他の方途として、プローブと標的のハイブリッドに対する融点温度は、放射性同位元素により標識されたプローブを用いて決めることができる。あらゆる場合において、所定のハイブリッドに対する融点温度は、ハイブリダイゼーション溶液に含有されている塩、洗浄剤及びその他の溶質の濃度により様々であり、これらのあらゆるファクターは熱変性中の相対的なハイブリッドの安定性に影響する(Molecular Cloning: A Laboratory Manual Sambrook et al., eds. Cold Spring Harbor Lab Publ., 9.51, 1989)。
ハイブリダイズの条件は、いくつかの変数、例えば、ハイブリダイズ温度、媒質成分の性質及び濃度、形成されたハイブリッドと洗浄時の温度などを考慮してモニタリングすることができる。ハイブリダイゼーション温度及び洗浄温度はプローブの塩基配列、種類及び長さによって最大の温度に限定され、最大のハイブリダイゼーション温度または洗浄温度は約30℃〜60℃である。より高い温度においては、二本鎖形成は、プローブと標的との間に形成されたハイブリッドの解離または変性と競合する。
ハイブリダイゼーション媒質は、例えば、約3xSSC(1xSSC=0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、約25mM燐酸塩緩衝液PH7.1及び20%脱イオンホルムアミド、0.02%フィコール、0.02%牛血清アルブミン、0.02%ポリビニールピロリドン及び約0.1mg/mlせん断された変性鮭精子DNAを含有する。洗浄媒質は、例えば、約3xSSC、25mM燐酸塩緩衝液pH7.1及び20%脱イオンホルムアミドを含有する。プローブ及び媒質の変更により、目的とする特異性を得るためには、ハイブリダイゼーション温度または洗浄温度は周知の関係式により変えなければならない(B. D. HAMES and S. J. HIGGINS, (eds.). Nucleic acid hybridzation. A practical approach, IRL Press, Oxford, U.K., 1985)。
このような観点から、一般に、DNA:DNAハイブリッドはRNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドよりも安定性に劣っているため、検出されるハイブリッドの性質によってハイブリダイゼーションの条件は、特異的な検出を達成するために適切に調整されなければならない。
本発明の好適な特定の態様として、ハイブリダイゼーション緩衝溶液(6xSPE(0.15M NaCl、5mM CNa、pH7.0)、20%(v/v)ホルムアミド)をPCR増幅遺伝子と混合し、プローブの固定されたガラス板の上に分注した後、30℃において6時間反応させて相補的な結合を誘導する。時間が経過した後、3xSPE、2xSSPE、1xSSPEの順にそれぞれ5分ずつ洗浄する。
ハイブリッドの定量は、通常の方法により、標的を蛍光あるいは放射性同位元素により標識して行うことができる。標識は、プライマーそのものに行ってもよく、増幅及び転写時に蛍光及び放射性同位元素が標識された塩基残基を用いることにより行ってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。但し、これらの実施例は単に本発明を一層詳しく説明するためのものであり、本発明の要旨により本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではないということは、当業界における通常の知識を有する者にとって明らかである。
下記の実施例のあらゆる実験はセブランス病院IRB委員会の承認下で、ヘルシンキ協定によりあらゆる参加者に実験前に同意を受けて行った。
<実施例1:BIGH3タンパク質突然変異タイプの決定>
アベリノ症をはじめとする眼科疾患の原因となるタンパク質であるBIGH3の遺伝子突然変異診断用のプローブを作製するために、プローブ作製に用いられるBIGH3タンパク質の遺伝子突然変異部位を決定した。
BIGH3タンパク質の遺伝子突然変異部位は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)遺伝子関係のデータベースであるGenBankとOMIM(Online Mendelian Inheritance in Man)を通じてDNA塩基配列とアミノ酸配列を分析及び確保し、各疾患対立形質に関する情報も確保した。まず、診断チップの有効性をテストするために検索する突然変異タイプを決定した。BIGH3タンパク質の遺伝子突然変異多発領域中において、特に、アベリノ症、I型格子状疾患及びレイス・バックラースI疾患を引き起こす突然変異領域を選択した(表1)。
<実施例2:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を通じての検索領域の獲得>
表1に示す突然変異をいずれも検索するために、エクソン4、エクソン11、エクソン12、そしてエクソン14領域を含む、5対のPCRプライマーを作製した。これらの中で、エクソン4領域の突然変異領域を増幅するためには、2対のプライマーを用いた。これらのうち一方の対(プライマー1及びプライマー2)は診断用のDNAチップ実験に好適であると判断されるプライマー対であり、他方の対(プライマー3とプライマー4)は診断用のものであって、直接塩基配列分析(ダイレクトシークエンス)用に作製したものである。このとき、検索するDNAプローブとその相補的なプライマー(リバースプライマー)の5’末端部ヒドロキシル基には蛍光物質を結合した。チップ上において効果的なプライマー対を区別して知るために、プライマー2にはCy5を結合させ、プライマー4にはCy3を結合させた。
PCRは50μL全体の反応体積を基準としたとき、血液から採取した10−100ng程度のDNAを鋳型としてアシンメトリックPCR法を行うことにより断片遺伝子を調製した。断片遺伝子は、フォワードプライマーとリバースプライマーの添加比を1:5から1:10へと差別化することにより、一回のポリメラーゼ連鎖反応により取得した。1回目の変性は98℃において5分間1回行い、この後、2回目の変性は94℃において1分間、アニーリングは55℃において1分間、伸長は72℃において1分間行い、これを35回繰り返し、この後、72℃において7分間最後の伸長を1回行った。
<実施例3:BIGH3遺伝子突然変異の診断のためのプローブの製造>
表1に示す角膜ジストロフィーの突然変異を検索するために、突然変異の起こった塩基配列を中心として両側に5−8個、最も好ましくは、両側に7個の塩基配列が並べられるようにしてプローブを作製した。正常人に対するプローブは、作製された塩基配列に対して突然変異とならない正常の塩基配列が中心に来るようにした。
<実施例4:角膜ジストロフィー診断用のDNAチップの製作>
実施例3において選別された各プローブをDNAチップに適用するために合成した。モノヌクレオチド(Proligo Biochemie GmbH Hamburg Co.社製)を自動合成機(ExpediteTM 8900, PE Biosystems Co.社製)に投入し、目的とするプローブの塩基配列とスケールを入力してそれぞれ0.05μmoleの純粋な核酸プローブを得た。得られたプローブは電気泳動をして合成の有無を確かめた。
製造されたプローブをガラス板の上に固定するために、アルデヒド基−アミン基間の結合を用いた。DNAプローブを固定化するために、全てのDNA断片プローブを合成するとき、3’−第1位にアミノリンカーカラム(Aminolinker column, Cruachem, Glasgrow, Scotland)を用いてアミン基を有する塩基を挿入した。スポッティング緩衝溶液(3xSSC;0.45M NaCl、15mM CNa、pH7.0)の条件下で、前記プローブをアルデヒド基が被覆されたガラス板(CEL Associates, Inc. Huston, Texas, USA)にマイクロアレイヤーを用いてスポッティングした後、55%以上の湿度が維持される条件下において1時間以上アミンとアルデヒドを結合させた後、6時間以上放置してプローブを固定化した。このとき、基準プローブ(POSITION MARKER)の濃度は2−5μMの濃度に固定化し、各プローブは10−100μMの濃度に固定化した。プローブのアミン基とガラス板上のアルデヒド基との間の反応が円滑になされて固定化が上手く行われたかを確かめるために、サイブログリーンII(SYBRO green II、Molecular Probe, Inc., Leiden, Netherlands)により染色して確認した。
<実施例5:角膜ジストロフィー診断用のDNAチップを用いた角膜ジストロフィーの診断>
プローブの特異性と感度を確かめるために、実施例2の方法により増幅された前記PCR生成物を実施例4において作製された核酸プローブが固定されたDNAチップに適用してハイブリダイゼーション反応を行った。核酸プローブを患者あるいは正常人の血から分離したゲノム遺伝子PCR生成物とハイブリダイゼーションした後、陽性のハイブリダイゼーションのシグナルが現れる場合と残りのプローブに対してとの交差反応(特異性)の有無を試験した。
ガラス板に核酸プローブが固定されたDNAチップを水蒸気により湿潤させた後、冷たい70%エタノールに浸漬することによりガラス板に固定されていないプローブを除去した。この後、ハイブリダイゼーション過程中に蛍光物質がガラス板の表面に残っているアルデヒド残基に付着されて全体的なシグナルを高めて特異的なプローブのシグナルを阻害することを防ぐために、ガラス板をブロッキング溶液(1.3g NaBH、375ml PBS、125ml 100%エタノール)に浸漬した後、震とう器において5分間反応させた。滅菌水により洗浄後、0.1%SDSにより5分間洗浄し、滅菌水によりさらに1分間2−3回洗浄した後、遠心分離機を用いてガラス板にある水気を除去した(1、000rpm、2分間)。
ハイブリダイズさせる溶液はハイブリダイゼーション緩衝溶液[6xSSPE(0.9M NaCl、10mM NaHPO・HO、1mM EDTA、pH7.4)または20xSSPE(3M NaCl、0.2M NaHPO・HO、0.02M EDTA、pH7.4)、20%(v/v)ホルムアミド(Sigma Co., St. Louis)]にアシンメトリックPCR法により増幅させた遺伝子を各10−20μL入れて合計の体積が200μLになるように製造した。製造された溶液をプローブが固定化されているガラス板の上に分注した後、プローブ−クリップ・プレス−シール培養室(Sigma Co., St. Louis, MO.)により覆った。
ハイブリダイズされる間にガラス板の周りが乾燥されることを防ぐために、ハイブリダイゼーションチャンバーに水気があるティッシュを入れた後、30℃の恒温震とう培養器において4−6時間反応させて相補的な結合を誘導した。時間が経過した後、3xSPE(0.45M NaCl、15mM CNa、pH7.0)、2xSSPE(0.3M NaCl、10mM CNa、pH7.0)、1xSSPE(0.15M NaCl、5mM CNa、pH7.0)の順にそれぞれ5分ずつ洗浄した後、遠心分離器機を用いてガラス板にある水気を除去した(1、000rpm、2分間)。
ハイブリダイゼーション反応後、シグナルはDNAチップスキャナー(CCD camera basedscanner、ArrayWoRx、Applied Precision LLC、USA)を用いて検出し、露出時間は0.2〜0.5秒にした。検出されたシグナルはImaGene6.0ソフトウェア(Biodiscovery Inc., USA)を用いて分析し、シグナルの強度はCy3蛍光の場合に595nm、Cy5蛍光の場合に685nm、FITC蛍光の場合に530nmにおいて測定した。
<実施例6:スポッティング緩衝溶液によるDNAチップの機能性>
1または2塩基の点突然変異を選別的に検出可能な効率的な角膜ジストロフィー診断用のDNAチップを製造するために、スポッティング緩衝溶液によるDNAチップの検出効率を測定した。
実施例4において調製したプローブを0.1Mの濃度にて含むが、異なるスポッティング溶液でDNAチップを製造した。図1に示すように、4個のブロックのうち左側2個のブロックはテレケム(Telechem)社において販売するスポッティング溶液上にプローブを固定し、右上のブロックは3xSSC溶液に、右下のブロックは50%DMSO溶液上にプローブを固定した。黄色い個所は正常人に対するプローブを示し、ピンク色及び青緑の個所はそれぞれアベリノ症及びレイス・バックラースCD1に対するプローブを示すものである。
図2〜図5は、上記のようにデザインされたDNAチップにエクソン4領域の増幅産物を適用したハイブリダイゼーションの結果である。Cy5(赤色)の結果はプライマー1及びプライマー2を用いて増幅した産物を適用した結果であり、Cy3(緑色)の結果はプライマー3及びプライマー4により増幅した産物を適用した結果である。右側のボックスには、対照可能なデザイン上の結果を示している。図2は正常人の場合、図3はヘテロアベリノ症の場合、図4はホモアベリノ症の場合、図5はヘテロレイス・バックラースCD1の場合に対する結果である。
図2〜図5に示すように、3xSSCの場合の方が最もシグナルが正確で且つきれいであることを確認し、以降の実施例においては3xSSCを用いてハイブリダイゼーション反応を行った。
<実施例7:プローブの濃度とハイブリダイゼーションの時間によるDNAチップの機能性>
1または2塩基の点突然変異を選別的に検出可能な効率的な角膜ジストロフィー診断用のDNAチップを製造するために、プローブの濃度とハイブリダイゼーションの時間によるDNAチップの検出効率を測定した。
実施例4において調製したプローブを10−100μMの濃度にて含む3xSSCスポッティング溶液を用いてDNAチップを製造した。図6に示すDNAチップを1つのチップに2ブロックずつ製作した。図7は、患者により予想されるハイブリダイゼーションの結果を示すものである。
図8は、前記DNAチップを用いたプライマー組のハイブリダイゼーションの時間によるハイブリダイゼーションの結果を示すものである。赤色の結果はCy5で標識されて増幅されたプライマー1及びプライマー2に対する増幅産物に対するハイブリダイゼーションの結果である。ハイブリダイゼーションの時間及び適用された患者はそれぞれの図面に示す。
その結果、エクソン4領域に対してはプライマー1及び2に対する増幅産物の方が、プローブの濃度は30−50μMの方が、ハイブリダイゼーションの時間は2−6時間の方が好ましく、さらに好ましくは、4−6時間であり、最も好ましくは、6時間であることが分かる。
<実施例8:プローブの長さによるDNAチップの機能性の検査>
1または2塩基の点突然変異を選別的に検出可能な効率的な角膜ジストロフィー診断用のDNAチップを製造するために、アベリノ角膜ジストロフィー、レイス・バックラースI角膜ジストロフィー、格子状I角膜ジストロフィー及び顆粒状角膜ジストロフィー診断用のプローブの長さによるDNAチップの検出効率を測定した。
プローブとしては、長さが11mer、12mer、15mer及び17merのものを用い、表3に示す変異部分を中心に、配列番号11〜配列番号15、配列番号34及び配列番号35のプローブ配列を基に作製した(表4)。
前記プローブは、実施例4の方法と同様にして、プローブ濃度を50μMの濃度にて含む3xSSCスポッティング溶液を用いてDNAチップを製作した。
正常シグナル(W)に対する変異シグナル(M)の割合(W/M)を、正常配列に対するプローブのスポットシグナル(W)と変異配列を有するジストロフィープローブのスポットシグナル(M)の割合として定義し、この割合を最適化して適用した。図9に示すように、アベリノ角膜ジストロフィーの場合には、13merの長さのプローブを用いたときに最も成功的に検出され、15merの長さのプローブを用いたときにも高い効率を示している。格子状I角膜ジストロフィー及びレイス・バックラースI角膜ジストロフィーは15merの長さのプローブを用いたときに最も高い効率を示す。このため、アベリノ角膜ジストロフィー、格子状I角膜ジストロフィー及びレイス・バックラースI角膜ジストロフィーを判断するエクソン4の変異領域を検出するには15merの長さのプローブを用いた。表4には、角膜ジストロフィー診断用のチップに最適なプローブの長さを太字(下線)で示す。
エクソン12の点突然変異により発生する顆粒状角膜ジストロフィーの診断プローブの場合、図10に示すDNAチップを用いて実験した結果、17merの長さのプライマーの方が最も有効なものであった(図11)。
<実施例9:患者診断への適用のためのDNAチップのハイブリダイゼーションの結果>
1または2塩基の点突然変異を選別的に検出可能な効率的な角膜ジストロフィー診断用のDNAチップを製造するために、実施例6、実施例7及び実施例8の結果を用いて、最適なプローブの濃度と最適なハイブリダイゼーションの時間及び最適なプローブの長さによるDNAチップの検出効率を測定した。
最終的に、15merのそれぞれのプローブを50μMの濃度の3xSSCスポッティング溶液を用いてDNAチップを製造した(図12)。患者により予想されるハイブリダイゼーションの結果は、図13に示す通りである。
図13は、上記のDNAチップを用いて、患者から増幅されたプライマー1及び2による増幅産物に対するハイブリダイゼーションの結果を示すものである。適用された患者はそれぞれの図面に示す。本発明による角膜ジストロフィー診断用のDNAチップを患者診断に適用した結果、適用した全ての患者の場合に正確な診断が可能であることが分かり、感度だけではなく、特異度にも優れていることが確認された。
上記の如きハイブリダイゼーションの結果を通じて、眼科疾患に極めて好適に適用可能な診断用のDNAチップを製作し、アベリノ角膜ジストロフィー、格子状I角膜ジストロフィー及びレイス・バックラースI角膜ジストロフィー診断用のプローブは15merの長さのプローブを用い、顆粒状角膜ジストロフィー診断用のプローブは17merの長さのプローブを用い、プローブ濃度は30−50μMの3xSSCにスポッティングして30℃において6時間のハイブリダイゼーションを通じて最適な診断効果が得られることを見出した。これより、プローブの長さによるTmよりも15−20℃高い温度におけるハイブリダイゼーションも可能であることが分かる。このため、本発明のDNAチップは、固定されるプローブの長さによりハイブリダイゼーションの温度を調節することも可能であり、アベリノ症をはじめとするBIGH3上の突然変異に起因する角膜ジストロフィーを効率よく正確に診断可能であることを確認した。
前記製作された角膜ジストロフィー診断のために最適化されたDNAチップを用いて、98名の患者の血液サンプルを用いて角膜ジストロフィーを診断した。その結果、表5に示すように、27名が正常であり、10名が同型アベリノ角膜ジストロフィーであると診断され、57名が異型アベリノ角膜ジストロフィーであると診断され、1名が異型格子状I角膜ジストロフィー患者であると診断され、1名が異型レイス・バックラースI角膜ジストロフィーであると診断され、2名が顆粒状角膜ジストロフィーであると診断された。
前記診断結果は、臨床サンプルのDNA塩基配列分析を通じて、100%正確性を有するということが確認された。
以上、詳述したように、本発明は、角膜ジストロフィーの原因となるBIGH3遺伝子の突然変異部位を含む配列である角膜ジストロフィーの原因となるBIGH3遺伝子の突然変異部位を含むオリゴヌクレオチド及び前記オリゴヌクレオチドが固定されている角膜ジストロフィー診断用のDNAチップを提供する効果がある。本発明によれば、既存の顕微鏡によってのみ診断されていた角膜ジストロフィーを遺伝的に正確に診断することができ、角膜ジストロフィー患者が誤診により視力公正手術を施術されて失明することを防ぐことができる。
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかであろう。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定まると言えるであろう。

Claims (14)

  1. 配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号50、配列番号53及び配列番号59よりなる群から選ばれる1以上の塩基配列を必須に含有する角膜ジストロフィー診断用のオリゴヌクレオチド。
  2. 前記配列番号50の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは、配列番号12の塩基配列で表わされることを特徴とする、請求項1に記載の角膜ジストロフィー診断用のオリゴヌクレオチド。
  3. 前記配列番号53の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは、配列番号13の塩基配列で表わされることを特徴とする、請求項1に記載の角膜ジストロフィー診断用のオリゴヌクレオチド。
  4. 前記配列番号59の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは、配列番号15の塩基配列で表わされることを特徴とする、請求項1に記載の角膜ジストロフィー診断用のオリゴヌクレオチド。
  5. 前記配列番号35の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは、配列番号65の塩基配列で表わされることを特徴とする、請求項1に記載の角膜ジストロフィー診断用のオリゴヌクレオチド。
  6. 前記オリゴヌクレオチドの長さは、13〜17bpであることを特徴とする、請求項1に記載の角膜ジストロフィー診断用のオリゴヌクレオチド。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドが固定されている角膜ジストロフィー診断用のDNAチップ。
  8. 配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47及び配列番号56よりなる群から選ばれる1以上の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドがさらに固定されていることを特徴とする、請求項7に記載の角膜ジストロフィー診断用のDNAチップ。
  9. 前記配列番号47の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは、配列番号11の塩基配列で表わされることを特徴とする、請求項8に記載の角膜ジストロフィー診断用のDNAチップ。
  10. 前記配列番号56の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは、配列番号14の塩基配列で表わされることを特徴とする、請求項8に記載の角膜ジストロフィー診断用のDNAチップ。
  11. 前記配列番号34の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドは、配列番号62の塩基配列で表わされることを特徴とする、請求項8に記載の角膜ジストロフィー診断用のDNAチップ。
  12. 配列番号16〜47、配列番号50、配列番号53、配列番号56及び配列番号59よりなる群の塩基配列を必須に含有するオリゴヌクレオチドがいずれも固定されていることを特徴とする、請求項7に記載の角膜ジストロフィー診断用のDNAチップ。
  13. 配列番号11〜15、配列番号62及び配列番号65よりなる群のオリゴヌクレオチドがいずれも固定されていることを特徴とする、角膜ジストロフィー診断用のDNAチップ。
  14. 配列番号1及び配列番号2、配列番号3及び配列番号4、配列番号5及び配列番号6、配列番号7及び配列番号8、及び配列番号9及び配列番号10よりなる群からから選ばれるプライマー対。
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