JP5525857B2 - 放射性廃棄物の処理装置及びその処理方法 - Google Patents
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そして、この処分対象となるイオン交換樹脂廃棄物を分解処理等して減容することが検討されている。
また他の例として、使用済イオン交換樹脂を銅触媒の存在下で高温高圧で酸化反応させて分解処理する方法が検討されている。この処理方法においても、硫酸塩を主成分とする廃液が発生する。
また、この硫酸塩を含む廃液については、鉄等の共沈反応による核種分離によって、更に減容することが検討されている。この廃液処理においては、放射能濃度の高い鉄クラッド等の沈殿物が発生する。
アウトドラムミキサ方式は、放射性廃棄物とセメント固型化材を予め混練槽で混練した後に、ドラム缶などの容器に送出して固化させる方式である(例えば、特許文献1)。
インドラムミキサ方式は、容器中に放射性廃棄物とセメント固型化材とを投入した後に、撹拌翼で混練する方式である(例えば、特許文献2)。
一方、原子力発電所から発生する金属や保温材、塩ビ・ゴム、圧縮体等の雑固体廃棄物は、容器に収納してモルタル充填する方式がとられている(例えば、特許文献3)。
アウトドラムミキサ方式では、混練槽の洗浄廃液等の二次廃棄物量が多く、また混練時間が長いために送出部等においてセメントが固化し閉塞し易い課題があった。
このために、装置をコンパクト化して洗浄部分の面積を少なくし、さらに混合効率を犠牲にせず混練体の滞留時間を短くすることが求められている。
このために、装置の混練機構をできるだけ小さくするとともに、撹拌部の洗浄の際に液はねしない密閉構造を備える撹拌機構の開発が求められている。
このために、廃棄物の含まれる混練物を全体的ではなく、部分的に均一撹拌して連続送出する機構を備える装置の開発が求められている。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように放射性廃棄物の処理装置10(以下、単に「処理装置10」という)は、第1の投入管11と、第2の投入管12と、下端に開口部14を有する筒体13と、モータMの駆動により軸回転する回転軸15に連結する回転翼16と、振動体17と、洗浄ノズル18とから構成される。
また容器30は、処理装置10から送出された混練体が充填されると、コンベア31により蓋封印する次の工程に搬送される。
そして、混練体が充填された容器30が次工程に搬送されると、空の容器30aが処理装置10の直下に搬送されることとなり、新たに混練体が連続的に注入されることになる。
コンベア31は、このように混練体の容器30への充填が終了するたびに、次の新しい空の容器30aを開口部14の直下に逐次移送するものである。
つまり、容器30に連続的に注入される混練体の界面が所定のレベルに到達したところで信号を出力し、投入部20(20a,20b,20c)における混練水、放射性廃棄物及び固型化材の供給を停止させる。
なお、容器30における一杯分の混練水、放射性廃棄物及び固型化材の適量が、後述する計量部23で計量されて投入されるように発明が構成されていれば、この液面センサ32は、特に必要がない。
そして、処理装置10には、投入部20aから混練水が投入され、投入部20bから放射性廃棄物が投入され、投入部20cから固型化材が投入されることになる。
なお、前述した液面センサ32の検出信号に基づいて、投入部20からの混練水、放射性廃棄物及び固型化材の送出量を制御する場合は、特に計量部23を設けなくてもよい。
ここで、第1の投入管11は、投入された混練水及び放射性廃棄物を混合状態で筒体13の内部に向けて流動させる。
また、第2の投入管12は固型化材を筒体13の内部に向けて流動させる。なお、粉体である固型化材が良好に流動するために、第2の投入管12の傾斜は、固型化材の安息角以上に角度付けされていることが望ましい。
なお、図1に示される筒体13は、内部に位置する回転翼16を外観できるように、一部が切除された状態で示されている。
この回転翼16の設けられる回転軸15の基端は、毎分数千回転で駆動するモータMに接続されている。
そして、筒体13の下端の開口部14から送出される混練体は、コンベア31で次から次へと移送される容器30に充填され、養生固化されることになる。
洗浄装置である洗浄ノズル18は、混練体の通過後にモータMを回転駆動させた状態で、洗浄水を噴射して回転翼16、回転軸15、筒体13の内壁面等の付着物を除去するものである。
図2の表は、加圧水型原子炉(PWR)の濃縮廃液を200L容器(ドラム缶)で固化処理する場合を想定した、混練水、放射性廃棄物及び固型化材の模擬的な配合条件を示している。
図3のフローチャートは、この実施例におけるセメント固化処理の工程を示している。 なお、ここで水酸化カルシウムの配合は、固化を促進させてホウ酸を安定に保持し混練体の養生固化後にホウ酸が溶出するのを防止するためのものである。
一方で、開口部14から送出される混練体の一部を小型の円筒容器にサンプリングして一定期間静置した後に一軸圧縮強度を測定したところ、4週間後は35MPa、12週間後は45MPaとなり、十分な強度を有することが認められた。
図4は、第2実施形態に係る放射性廃棄物の処理装置の構成図を示している。
なお、図4に記載されている機能部のうち、図1に記載されているものと共通するものについては、同一の符号を付し前記した説明を引用して記載を省略する。
第2実施形態に係る処理装置10は、第1の処理装置10a及び第2の処理装置10bから構成され、第1の筒体13aの下端の開口部14aが、第2の筒体13bの投入管11bに接続されている。
このように各成分毎に段階的な混合をさせながら混練体を生成することにより、大容量の濃縮廃液を処理する場合であっても、送出される混練体は、最初から最後に至るまで均一な組成となる。
図5は、加圧水型原子炉(PWR)の濃縮廃液を大容量の400L容器で固化処理する場合を想定した、混練水、放射性廃棄物及び固型化材の模擬的な配合条件を示している。 図6のフローチャートは、この実施例におけるセメント固化処理の工程を示している。
次に、送出された混練体と固型化材(セメント)とを第2の処理装置10bに投入し、第2の連続混練を実行し第2の開口部14bからその混練体を送出させ、400L容量の容器に充填した。
この場合の処理能力は、単位時間あたり500kgということであった。また、第2の開口部14bから送出される混練体を、送出開始点から送出終了点に至るまでの各時点において小型の円筒容器でサンプリングし一軸圧縮強度を測定した。その結果、いずれも4週間後は35MPa、12週間後は45MPaとなり、固化体は全体として均一な強度が確保されることが認められた。
なお、硫酸ナトリウム濃度が25%となるよう118L〜146Lに調整された模擬的な濃縮廃液と、247〜180kgのセメントとを処理装置10に投入し、全量が約360kgで一定の混練体を生成した。
また、粘度値は、汎用の回転粘度計に各組成の成分を調合し撹拌しながら60分経過後に計測された値を示している。
さらに、本実施形態に係る処理装置10は、200dPa・sを超える高粘度のセメント混練体も処理可能であることが認められた。
これに対して本実施形態に係る処理装置10を用いると、従来法の2倍以上の200kg程度の硫酸ナトリウムを良好に混練・固化させることが認められた。
一般に、焼却灰にはセメントの凝結反応を早める化学物質が含まれており、従来のインドラム方式又はアウトドラム方式の処理装置では、混練途中に粘度が上昇して処理が困難となる場合があった。
また、凝結時間が1時間以内であるような焼却灰を含むセメント混練体を処理する場合、従来方式では処理装置の内部で凝結反応が進行し、焼却灰を混練体中に均一分散させることが困難であった。
また、本実施形態により得られた固化体のブリージング率は0%であり、28日後の一軸圧縮強度は基準値(1.47MPa以上)を満足しており、作製された固化体の健全性が認められた。
この結果によれば、混練体が混練時に300dPa・sを超える高粘度を示す場合であっても、問題なく混練することが可能である、固化後の一軸圧縮強度は全て基準値(1.47dPa・s以上)を満足することが確認された。
この実施例では、PWR濃縮廃液(ほう酸ナトリウム主成分、Na/B=0.3)をさらに加熱高濃縮して74%の高濃縮廃液に調製し、セメント固化を実施した場合を示している。そして、ホウ酸ナトリウムが沈殿しないように加熱高濃縮廃液の温度を70〜80℃程度に保ったまま連続混練を実施している。
なお、このような高濃縮ホウ酸ナトリウム液を従来のインドラム方式又はアウトドラム方式で混練処理することは、試すまでもなく不可能である。
そこで、珪砂を添加した後に高炉セメントを添加した結果、珪砂の混合比率を高濃縮廃液(300g)に対して10%(30g)〜33%(100g)の範囲で、200dPa・s〜30dPa・sの粘度範囲をとり、問題なく混練することができた。
そして、セメント混練体を容器に充填させると短時間で凝結が終了し、ブリージングの発生はなく、強度も基準値である1.47MPa以上を満足することが認められた。
従来では、そのような再処理施設から発生する廃溶媒は、乾留熱分解すると同時に発生するリン酸を消石灰にて中和し、リン酸カルシウムに変換する処理がなされている。しかし、現状ではリン酸カルシウムの取り扱いが困難であるとの問題が指摘されている。
このリン酸カルシウムはシリカ、水酸化アルミニウムを添加して水熱固化しペレットとするが、このペレットの取り扱いが困難である上に、廃棄物の充填率が低いという問題も指摘されている。
Claims (10)
- 長手方向が鉛直方向に略一致するように配置され下端に開口部を有する筒体と、
前記筒体の外側面から傾斜してこの筒体の内側に連通して混練水、放射性廃棄物及び固型化材を導く投入管と、
前記筒体の前記開口部の反対端に設けられたモータに連結されこのモータの駆動により軸回転し、前記投入管から前記開口部に向かって重力落下する前記混練水、放射性廃棄物及び固型化材を混練する回転翼と、を備えることを特徴とする放射性廃棄物の処理装置。 - 請求項1に記載の放射性廃棄物の処理装置において、
前記開口部から送出される混練体が所定の配合比になるように、前記投入管に投入される前記混練水、放射性廃棄物及び固型化材の流量を調整する調整弁を備えることを特徴とする放射性廃棄物の処理装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の放射性廃棄物の処理装置において、
前記開口部から送出される混練体を収容する容器の容量に応じて、前記投入管に投入される前記混練水、放射性廃棄物及び固型化材を計量する計量部を備えることを特徴とする放射性廃棄物の処理装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射性廃棄物の処理装置において、
前記開口部から送出される混練体を収容する容器の液面レベルを計測する液面センサを備え、前記液面レベルを計測して収容量を制御することを特徴とする放射性廃棄物の処理装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射性廃棄物の処理装置において、
前記開口部から送出される混練体を収容する容器が、前記混練体の充填が終了するたびに前記開口部の直下に逐次移送されるコンベアを備えることを特徴とする放射性廃棄物の処理装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の放射性廃棄物の処理装置において、
前記筒体には洗浄装置が設けられ、前記混練水及び前記固型化材を混練することにより前記筒体及び前記回転翼の表面に付着した前記放射性廃棄物を洗浄することを特徴とする放射性廃棄物の処理装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の放射性廃棄物の処理装置において、
第1の前記筒体の前記下端の開口部が第2の前記筒体の前記投入管に接続されていることを特徴とする放射性廃棄物の処理装置。 - 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の放射性廃棄物の処理装置において、
前記固型化材は、セメント又はセメントに流動性を向上させる添加剤を混合したものであることを特徴とする放射性廃棄物の処理装置。 - 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の放射性廃棄物の処理装置において、
前記放射性廃棄物とは、使用済イオン交換樹脂、その乾燥粉体、放射性可燃物の焼却灰、放射性廃溶媒の熱処理生成物から成る放射性物質又はそれらのペレット成形体、若しくはその放射性物質、ペレット成形体を含む溶液又はスラリーであることを特徴とする放射性廃棄物の処理装置。 - 長手方向が鉛直方向に略一致するように配置され下端に開口部を有する筒体の外側面から傾斜を利用してこの筒体の内側に混練水、放射性廃棄物及び固型化材を導く工程と、
前記開口部に向かって重力落下する前記混練水、放射性廃棄物及び固型化材を前記筒体の前記開口部の反対端に設けられたモータに連結されこのモータの駆動により軸回転する回転翼で混練する工程と、
前記開口部から送出される混練体を容器に収容する工程と、を含むことを特徴とする放射性廃棄物の処理方法。
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