JP3079904B2 - 放射性廃棄物の固化処理方法 - Google Patents

放射性廃棄物の固化処理方法

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JP3079904B2
JP3079904B2 JP06161787A JP16178794A JP3079904B2 JP 3079904 B2 JP3079904 B2 JP 3079904B2 JP 06161787 A JP06161787 A JP 06161787A JP 16178794 A JP16178794 A JP 16178794A JP 3079904 B2 JP3079904 B2 JP 3079904B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、放射性廃棄物の固化処
理方法に係り、特に、原子力発電所等の原子力関連施設
から発生する多種多様な放射性廃棄物を単一の設備でし
かも安全に固化処理するのに好適な放射性廃棄物の固化
処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所からは、濃縮廃液,廃イオ
ン交換樹脂などのいわゆるスラッジ,可燃性雑固体,不
燃性雑固体など多種多様な放射性廃棄物が発生する。こ
れらの放射性廃棄物は各々の物性に応じて最適な方法で
固化処理されている。例えば、濃縮廃液及びスラッジの
処理については、これらをセメントと混合して固化する
方法(特公昭63−52359号公報,特開昭63−289500号公
報),いったん放射性廃棄物を乾燥粉体化してペレット
にした後に固化処理する方法(特許第1174650 号)など
が知られている。また、可燃性雑固体については焼却し
た後に得られた焼却灰を溶融して固化する方法(特公平
4−50558号公報),不燃性雑固体については高圧でプレ
スして減容した後にプレス塊の間にセメントを注入して
固化処理する方法(特開平4−110799号公報)などが知ら
れている。このような放射性廃棄物の処理方法の採用
は、放射性廃棄物の減容を図れるのみでなく、長期耐久
性に優れた安定な固化体を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、原子力
発電所から発生する放射性廃棄物は、その性状に応じて
各々適切に固化処理されている。しかし、これらの固化
処理の実施に当っては、放射性廃棄物に応じた様々な設
備を必要とする。このため、処理される複数の放射性廃
棄物に応じてそれぞれの固化処理装置を原子力発電所に
設置するためには、それに対応した広い設置場所が必要
となる。
【0004】本発明の目的は、放射性固化処理設備の設
置面積を減少できる放射性廃棄物の固化処理方法を提供
することにある。
【0005】本発明の他の目的は、均一な固化体を得る
ことができる放射性廃棄物の固化処理方法を提供するこ
とにある。
【0006】本発明の他の目的は、均一な固化体を得る
ための第1及び第2混練物の流動性の調整が容易な放射
性廃棄物の固化処理方法を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、固化処理に伴って発
生する二次放射性廃棄物の量を低減できる放射性廃棄物
の固化処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
第1の発明の特徴は、第1放射性廃棄物の混練固化処理
の際に、少なくとも水硬性固化材,水及び前記第1放射
性廃棄物の3つの物質を混練機内に供給し、これらの物
質を前記混練機内で混練して第1混練物を生成し、この
第1混練物を固化容器内に注入し、第2放射性廃棄物の
注入固化処理の際に、前記第2放射性廃棄物を除く少な
くとも前記水硬性固化材及び水の2つの物質を、前記混
練固化処理で用いられた水硬性固化材供給手段及び水供
給手段によって、前記混練固化処理に用いられた前記混
練機内に供給し、これらの物質を前記混練機内で混練し
て第2混練物を生成し、この第2混練物を予め前記第2
放射性廃棄物が充填された固化容器内に注入することに
ある。
【0009】本発明の他の目的を達成する第2の発明の
特徴は、前記混練機によって得られた前記第2混練物の
流動性は、前記混練機によって得られた前記第1混練物
のそれよりも高いことにある。
【0010】本発明の他の目的を達成する第3の発明の
特徴は、前記混練機によって得られた前記第2混練物は
流動化剤を含んでおり、前記混練機によって得られた前
記第1混練物は前記第2混練物に含まれる前記流動化剤
よりも少ない量の流動化剤を含んでいることにある。
【0011】本発明の他の目的を達成する第4の発明の
特徴は、前記混練機によって得られた前記第2混練物は
流動化剤を含んでおり、前記混練機によって得られた前
記第1混練物は流動化剤を含んでいないことにある。好
ましくは、その流動化剤は、無機流動化剤または界面活
性剤系の流動化剤である。
【0012】本発明の他の目的を達成する第5の発明の
特徴は、前記混練機内の前記第1または第2混練物を前
記固化容器に充填するに際し、前記固化容器内に注入さ
れた混練物の液面を検出し、この液面が所定値になった
ときの前記固化容器の重量を検出し、検出された重量に
基づいて前記混練機内に残留している前記混練物の量を
求めることにある。
【0013】好ましくは、前記残留している混練物の量
が規定値以上ある場合には、放射性廃棄物固化のために
新たな前記固化容器内に注入する。
【0014】好ましくは、残留している混練物の量が規
定値以下である場合には、その混練物量を考慮して新た
に混練物を生成する。
【0015】本発明の目的を達成する第6発明の特徴
は、水硬性固化材が充填される第1タンクと、水が充填
される第2タンクと、混練機と、前記第1タンクと前記
混練機とを連絡する第1配管と、前記第2タンクと前記
混練機とを連絡する第2配管と、前記混練機に混練固化
処理の対象である第1放射性廃棄物を供給する第3配管
と、前記第1配管に設けられた第1バルブと、前記第2
配管に設けられた第2バルブと、前記第3配管に設けら
れた第3バルブと、第1放射性廃棄物が指定されたとき
に、前記対象放射性廃棄物、前記水硬性固化材及び前記
水を前記混練機に供給するために、前記第1,第2及び
第3の各バルブを開き、固化容器内に充填された注入固
化処理対象の第2放射性廃棄物が指定されたときに、前
記水硬性固化材及び前記水を前記混練機に供給するため
に、前記第1及び第2の各バルブを開くコントローラと
を備えたことにある。
【0016】
【作用】第1放射性廃棄物の混練固化処理の際に第1混
練物を生成する混練機を用いて、第2放射性廃棄物の注
入固化処理の際に必要な第2混練物を生成するので、混
練固化処理時及び注入固化処理時において混練機を共用
でき、更に、水硬性固化材供給手段及び水供給手段も共
用しているので、放射性固化処理設備をコンパクトにす
ることができる。従って、放射性固化処理設備が占有す
る設置面積を減少できる。
【0017】第2混練物の流動性が第1混練物のそれよ
りも高いので、固化容器内に充填された放射性廃棄物間
への浸透が良好に行える。このため、固化容器内に予め
放射性廃棄物を充填した場合に対して得られる固化体は
空隙が著しく少ない均一なものとなる。逆に、放射性廃
棄物を含む第1混練物の流動性が第2混練物のそれより
も低いので、混練固化処理によって得られた固化体内で
放射性廃棄物が一部の領域、特に上部又は下部に偏在す
ることを防止でき、均一な固化体を得ることができる。
【0018】第2混練物は流動化剤を含んでおり、第1
混練物は第2混練物に含まれる流動化剤よりも少ない量
の流動化剤を含んでいるので、それらの流動性の調整を
容易に行うことができる。固化材が少ないと固化体の強
度が所定の強度に達しなくなり、また逆に固化材が必要
量よりも多くなると放射性廃棄物の固化容器内への充填
量が減少する、いわゆる減容比が悪くなる。従って、固
化材量の調整幅が少なく、第1及び第2混練物のそれぞ
れの流動性の調整が困難である。しかしながら、本発明
は、放射性廃棄物と固化材の配合調整により流動性の調
整を行う必要がなく、上記の流動性の調整を容易に行う
ことができる。
【0019】第2混練物は流動化剤を含んでおり第1混
練物は流動化剤を含んでいないことによっても、同様な
理由でそれらの流動性の調整を容易に行うことができ
る。
【0020】混練機内の第1または第2混練物を固化容
器に充填するに際し、固化容器内に注入された混練物の
液面を検出し、この液面が所定値になったときの固化容
器の重量を検出し、検出された重量に基づいて混練機内
に残留している混練物の量を求めるので、この残留量を
考慮して新たに作成する混練物の量を決めることができ
る。このため、固化処理に伴って発生する二次廃棄物量
を著しく減少できる。
【0021】発明者等は、混練固化と注入固化を単一の
固化設備で可能とすることによって固化処理設備がコン
パクトになり、固化処理設備が占有する設置面積の減少
につながることに気が付いた。なお、混練固化とは、放
射性廃棄物,水硬性固化材及び水を混練した後、この混
練物を固化容器内に充填し固化するものである。他方、
注入固化とは、予め放射性廃棄物を充填した固化容器内
に水硬性固化材及び水の混練物を注入し、固化するもの
である。
【0022】放射性廃棄物はセメントなどの水硬性固化
材により固化処理することで減容性を確保しつつ長期安
定性に優れた固化体を得ることができる。固化処理に当
たっては、液体あるいは粉末状の濃縮廃液,廃スラッ
ジ,焼却灰などに対してはいわゆる混練固化が必要であ
り、一方、金属配管などの雑固体に対してはいわゆる注
入固化が必要となる。従って、単一の設備で混練固化と
注入固化を可能とすることにより、原子力発電所等の放
射性物質取扱い施設から発生するほとんど全ての放射性
廃棄物を単一の設備で固化処理可能となり、固化処理装
置の設置面積が減少し運転員の負荷軽減が可能となる。
【0023】発明者等は、単一の固化処理設備による混
練固化と注入固化の実施をより好ましいものにするため
には、以下の3つの課題を解決することが望ましいこと
がわかった。以下に、それらの課題の内容と解決策の例
を詳細について説明する。
【0024】第一の課題は、固化体の物性確保である。
金属配管等の雑固体廃棄物を注入固化する場合には、雑
固体廃棄物相互間の隙間の中まで固化材を浸透させる必
要があるため、固化材には高い流動性が要求される。一
方、混練固化の場合には、固化材に適度な流動性は必要
なものの、あまり流動性が高過ぎると均一な固化体が得
られないとの問題を生じることを見出した。一例を以下
に説明する。比重が約1の廃樹脂(使用済イオン交換樹
脂)をセメントで混練固化する場合、比重が約2のセメ
ントペーストの流動性が極度に高くなると、比重差によ
り廃樹脂が固化体の上部に浮上し均一な固化体が得られ
ない。同様の問題を生じる比重の軽い廃棄物としては、
ほかに焼却灰などがある。また、比重が5程度と高い金
属粉などの場合は、セメントペーストの流動性が極度に
高いと、廃樹脂とは逆に廃棄物が固化体の下部に沈降
し、均一な固化体が得られない。このような廃棄物の浮
上や沈降を防止して均一な固化体を得るためには、セメ
ントペーストの流動性はある値よりも低いことが望まし
い。以上の説明のように、発明者等は、セメントペース
トの流動性が注入固化では高く混練固化では低いことが
望ましいとの結論に至った。しかし、セメントペースト
の流動性を変化させるため、放射性廃棄物に応じてセメ
ントの組成等を調整することは煩雑で実際的ではない。
発明者等は、放射性廃棄物に応じてセメントの組成を変
化させずとも、注入固化の場合にはセメントペースト等
に適当な流動化剤を添加し、混練固化の場合には流動化
剤を添加しないかあるいは添加量を減少させることで、
全ての放射性廃棄物に対して均一で健全な固化体を作成
できることを見出した。ここでいう流動化剤としては、
球状の微粉末でベアリング効果のあるフライアッシュや
シリカフューム(これらは無機流動化剤と呼ばれる),
界面活性剤の仲間で一般に減水剤と呼ばれるリグニンス
ルホン酸カルシウムやナフタリンスルホン酸ホルムアル
デヒドの高縮合物などがある。また、このような流動性
の調整を設備的に実現するには、混練機に流動化剤供給
タンクを接続すれば良い。
【0025】第二の課題は、固化容器に充填するセメン
トペースト量の制御に関連するものである。従来は固化
の対象になる放射性廃棄物が限定されていたため、固化
容器(通常は200リットルドラム缶)に充填すべき混
練物の重量は予めわかっており、混練機で一回あたり混
練すべき廃棄物,セメント,水等の配合も容易に計算可
能であった。しかしながら、多種多様な放射性廃棄物を
固化処理しようとした時には、混練物の比重が大きく変
化するため、一回あたり混練すべき放射性廃棄物,セメ
ント,水等のトータル重量等の最適値を事前に予測する
ことが困難となる。すなわち、放射性廃棄物の比重が小
さい場合には混練物の比重も小さくなるため、同じ重量
の混練物を一度に作成して200リットルドラム缶に充
填しようとすると、混練物の容積が200リットルを超
えてしまいドラム缶から溢れてしまう場合がある。逆
に、放射性廃棄物の比重が大きい場合には混練物の比重
も大きくなるため、混練物がドラム缶容積の半分以下し
か充填されないといった非能率的なことが起こる可能性
がある。
【0026】このような課題に対しては、混練機から固
化容器に混練物を移送する際に、固化容器内の液面と重
量の両者を監視することで解決が可能である。すなわ
ち、本発明では、予め決められた割合で混練機にて放射
性廃棄物,セメント,水等を混練するが、そのトータル
重量は概略の予想値とせざるを得ない。そして、混練終
了後、混練物はドラム缶に充填するが、混練物が固化容
器から溢れないよう液面の監視を行う。液面が所定の値
に達すると混練物の充填を停止するとともに、同時に監
視しているドラム缶の重量増加から混練機内に残った混
練物量を求める。次の混練作業では、残っている混練物
量を加味して、新たに投入すべき廃棄物やセメント量を
決定することで、混練機内に過度の残留物が残らないよ
う(この残留物は最終的に二次廃棄物となる)、固化装
置の運転を実施することが可能となる。このように、固
化容器内の液面と重量の両者を監視することで、多種類
の廃棄物を固化処理する場合でも、固化容器から混練物
が溢れ出ることを防止でき、しかも、二次廃棄物の発生
量を最小とすることが可能になる。
【0027】第三の課題には、多種類の廃棄物を単一の
設備で固化処理する場合には、運転条件の設定等が複雑
になる点が挙げられる。これに対しては、廃棄物の種類
を指定すると必要な制御量が自動的に設定される運転制
御盤を設けることにより、解決が可能である。その結
果、運転員の負担を低減できるのみならず運転時の信頼
性と安全性を向上できる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 (実施例1) 本発明の一実施例として沸騰水型原子力発電所から発生
する放射性廃棄物を固化処理するのに好適な放射性廃棄
物固化処理装置を図1及び図2を用いて説明する。
【0029】Na2SO4を主成分とする濃縮廃液1は濃
縮廃液タンク2,粒状の使用済イオン交換樹脂を主成分
とする廃樹脂3はスラッジタンク4,焼却灰5は焼却灰
タンク6に、それぞれ貯蔵されている。濃縮廃液タンク
2は、バルブ7を有する配管40によって、混練機10
に接続される。スラッジタンク4は、バルブ8を有する
配管41によって、混練機10に接続される。脱水機1
1がバルブ8と混練機10の間で配管41に設けられ
る。焼却灰タンク6は、バルブ9を有する配管42によ
って、混練機10に接続される。
【0030】また、内部に水硬性固化材であるC種高炉
セメントが充填された固化材タンク15は、配管43に
よって混練機10に接続される。バルブ44,計量容器
12及びバルブ45が、この順に、固化材タンク15側
より配管43に設けられる。内部に水が充填された水タ
ンク16は、配管46によって混練機10に接続され
る。バルブ47,計量容器13及びバルブ48が、この
順に、水タンク16側より配管46に設けられる。ま
た、内部に流動化剤が充填された流動化剤供給タンク1
7は、配管49によって混練機10に接続される。バル
ブ50,計量容器14及びバルブ51が、この順に、流
動化剤供給タンク17側より配管49に設けられる。計
量容器12,13,14は、図示されていないが、重量
計を有する。重量計は、計量容器内に充填された物質の
重量を計測する。これらの重量計で測定された重量の測
定値は、コントローラ52に入力される。
【0031】混練機10の詳細構造を図により説明す
る。混練機10は、逆円錐形のケーシング18の内部に
モータ19により直接駆動される混練羽根20が設けら
れている。モータ19は、ケーシング18の上部に設け
られる。また、ナイフゲート弁21及びピンチバルブ2
2が混練機10の下部に接続される。ナイフゲート弁2
1及びピンチバルブ22は、それぞれモータ(図示せ
ず)により駆動される。
【0032】固化容器として使用する内容積が約200
リットルのドラム缶23は、コンベア等の移送手段を用
いて、必要に応じて雑固体供給エリア24を介して混練
機10の下部にセットされるようになっている。
【0033】また、バルブ7,8,9,44,45,4
7,48,50,51、モータ19、及びナイフゲート
弁21及びピンチバルブ22をそれぞれ駆動する各モー
タは、コントローラ52により制御される。コントロー
ラ52は、そのメモリ(図示せず)に、表1に一例とし
て示すような各放射性物質の所定重量に対して混合する
固化材,水及び流動化剤の重量を設定値として記憶す
る。
【0034】
【0035】操作盤25は、図示されていないが固化処
理を行う放射性物質の選択スイッチ、スタートボタン及
び停止ボタンを有する。選択スイッチは、回転スイッチ
であり、OFF,濃縮廃液,廃樹脂,焼却灰及び金属配
管等を選択できる。また、操作盤25は、表示装置(図
示せず)を有する。
【0036】濃縮廃液,廃樹脂及び焼却灰は、混練固化
処理がなされる。本実施例の固化処理装置を用いた混練
固化処理を、廃樹脂を例にとって説明する。
【0037】運転員は、操作盤25の選択スイッチをO
FFの状態から廃樹脂に切り替え、その後、スタートボ
タンを押した。スタートボタンを押す前は、全てのバル
ブが閉の状態になっている。コントローラ52は、スタ
ートボタンを押すことによって発生したスタート信号を
受けてまずバルブ8を開く。スラッジタンク4内の固形
分濃度約5%の廃樹脂3が脱水機11に送られる。ここ
で、廃樹脂3は含水率約50%にまで遠心脱水される。
脱水済みの廃樹脂量が100kgになった時点でバルブ8
は閉となる。これは、脱水機11に設けられた重量計に
より測定された廃樹脂3の重量の測定値がコントローラ
52に入力され、設定値である100kgに達したときコ
ントローラ52がバルブ8を閉じる。
【0038】コントローラ52は、メモリに記憶した表
1の情報により廃樹脂と混合すべき物質を選択し該当す
るバルブを操作する。今回の場合、混合すべき物質は固
化材及び水である。コントローラ52は、バルブ44及
ぶ47を開く。C種高炉セメントが計量容器12内に、
及び水が計量容器13内に導かれる。各計量容器に設け
られた重量計による測定値が前者で130kg,後者で5
5kgになったときコントローラ52はバルブ44,47
を閉じる。これらのバルブの閉鎖は、同時ではない。次
に、コントローラ52はバルブ45,48を開き、混練
機10のモータ19を駆動させる。混練機10内に供給
されたC種高炉セメント及び水は、混練羽根20の回転
により混練される。このようにして、混練固化に対する
固化材ペーストが準備される。その後、脱水機11で得
られた脱水済みの廃樹脂100kgが、混練機10内の固
化材ペースト中に投入される。再び、混練羽根20で5
分間混練し最終的な混練物を得る。この混練時において
も、モータ19はコントローラ52により制御される。
この間、ナイフゲート弁21及びピンチバルブ22は閉
じていたが、混練の終了を知らせるコントローラ52か
らの制御信号を受け、口径がいずれも15cmのナイフゲ
ート弁21及びピンチバルブ22は全開となる。この結
果、混練機10内の混練物はすべてドラム缶23に排出
される。その後、ナイフゲート弁21及びピンチバルブ
22は、コントローラ52による制御により閉じる。こ
れによって、固化処理作業が終了する。ただし、混練物
排出の間もその排出をスムーズに行うため、混練羽根2
0の回転は継続される。また、混練機10で得られた混
練物の粘度は相当に高いものであるが(約100ポア
ズ)、ナイフゲート弁21及びピンチバルブ22を含め
た配管の口径は15cmと大きいため、混練物排出時の閉
塞や固着は起こらない。このような制御により、固化処
理装置から計測された情報及びコントローラ52に作成
された情報は、操作盤25の表示装置に表示される。
【0039】なお、混練物を密封されたドラム缶23
は、図示していないドラム缶密封装置により上端部を蓋
で密封される。このドラム缶23は貯蔵場所まで移送さ
れる。
【0040】以上説明した廃樹脂3のほかにも、濃縮廃
液1及び焼却灰5も同様に混練固化することができる。
濃縮廃液1及び焼却灰5の固化処理は、廃樹脂の場合と
基本的に同じであるためその説明を省略する。この場合
にも操作盤25にて放射性廃棄物の種類を指定すれば、
混練機10に供給すべき廃棄物,固化材,水の量が自動
的に決定され、必要なバルブの開閉動作や混練羽根の回
転が行われ廃棄物固化体が作成される。表1に示された
放射性廃棄物,固化材、及び水の配合割合は必ずしも固
定されているわけではなく、固化材の種類,最終的に必
要とする固化体の物性等に応じて変化する。
【0041】以上では、放射性廃棄物を水硬性固化材と
混練固化する場合について述べたが、次に同じ放射性固
化処理装置を用いた放射性雑固体廃棄物を例に注入固化
について説明する。
【0042】雑固体供給エリア24において予め金属配
管約300kgがドラム缶23に充填される。この後、こ
のドラム缶23は、コンベアによって移送され混練機1
0の下部にセットされる。この状態で、操作盤25の選
択スイッチを廃樹脂から雑固体に切り替え、スタートボ
タンを押す。このスタート信号を入力したコントローラ
52は、記憶している表1の情報に基づいて、バルブ4
4,47,50を開く。C種高炉セメント,水及び流動
化剤供給タンク17内の減水剤(ナフタリンスルホン酸
ホルムアルデヒドの高縮合物)がそれぞれ該当する計量
容器内に供給される。計量容器12,13,14にそれ
ぞれ設けられた重量計は、重量の測定値をコントローラ
52に伝える。コントローラ52は、各物質の測定値が
表1に示した設定値に達した時点で、該当するバルブ4
5,48,51をそれぞれ閉じる。これらのバルブが閉
じられたとき、計量容器12内には170kgのC種高炉
セメントが、計量容器13内には70kgの水、計量容器
12内には1kgの流動化剤である減水剤が存在する。
【0043】コントローラ52がバルブ45,48,5
1を開いたとき、これらの物質は混練機10内に供給さ
れる。コントローラ52はバルブ45,48,51の開
と同時にモータ19を駆動させる。これらの物質は、混
練羽根20によって3分間混練され、粘度が5ポアズと
低く流動性に優れた固化材ペーストになる。この間、ナ
イフゲート弁21及びピンチバルブ22は閉じている。
混練終了後、混練羽根20の回転を継続した状態で、コ
ントローラ52はナイフゲート弁21を全開とし、口径
15cmのピンチバルブ22を流路面積が5cm2 となるよ
うに部分的に開く。この結果、混練機10内の固化材ペ
ーストは、約20kg/分の割合で、予め金属配管を充填
しているドラム缶23内に注入される。このドラム缶2
3は、蓋により密封された後、貯蔵場所まで移送され
る。このようにして、金属配管を含む放射性雑固体の固
化体が作成される。固化材ペーストの注入終了後、ナイ
フゲート弁21及びピンチバルブ22がコントローラ5
2によって閉鎖される。ここで、金属配管の固化処理作
業が終了する。
【0044】上記金属配管を固化するために得られた固
化材ペーストは粘度が5ポアズと低く流動性に優れてい
る。従って、固化材ペーストを混練機10より排出する
際に、ピンチバルブ22の開度を全開にすると固化材ペ
ーストの注入速度が早過ぎるために固化材ペーストがド
ラム缶23から溢れる場合がある。しかし、本実施例で
は上記のようにコントローラ52によってピンチバルブ
22の開度が調節されるので、このような問題は発生し
ない。
【0045】以上、本実施例によれば、多種多様の放射
性廃棄物を同一の設備で固化処理することができる利点
がある。このため、放射性物質固化処理設備の設置面積
が減少する。また、本実施例は、混練固化及び注入固化
を別々の装置で行う場合に比べて、運転員の負担を著し
く軽減する。
【0046】また、以上の方法で作成した固化体を切断
して健全性を調べたところ、廃樹脂固化体については固
化体上部への廃樹脂浮上等の問題がなく、また雑固体固
化体については固化体の中心部にまで固化材が均一に浸
透しており有害な空隙は見当らなかった。比較例とし
て、廃樹脂を混練固化する場合に前記の条件のもとで、
流動化剤供給タンク17の減水剤(ナフタリンスルホン
酸ホルムアルデヒドの高縮合物)1kgを添加したとこ
ろ、混練物の粘度が10ポアズ以下と流動性が高まり、
比重の軽い廃樹脂が固化体上部に浮上する現象が見ら
れ、固化体の健全性に問題を生じた。また、金属配管雑
固体を注入固化する際に、前記の条件のもとで減水剤の
添加のみを省略したところ、混練物の粘度が150ポア
ズと流動性が著しく低下し、固化体の中心部にまで固化
材が均一に浸透せず多量の空隙を生じるとの問題を生じ
た。このように、混練固化では流動化剤を添加せず、ま
た注入固化では流動化剤を添加することにより、放射性
物質に対応させて固化材の混合量を調節する際の煩雑さ
を避けて、多種類の放射性廃棄物を単一の固化設備で処
理でき、均一で健全な固化体を得ることができた。
【0047】なお、本実施例では混練固化の対象廃棄物
として濃縮廃液,廃スラッジ,焼却灰を示したが、ほか
にも細断した保温材(ガラスウール),コンクリート,
クラッドスラリーなども同様に固化処理できる。また注
入固化の対象廃棄物として金属配管を示したが、ほかに
も濃縮廃液や廃樹脂のペレット,高圧プレスにより圧縮
減容したプレス塊なども同様に固化処理できる。また、
本実施例では固化材としてC種高炉セメントを用いた
が、水硬性固化材であればどのようなものでも良く、普
通ポルトランドセメント,繊維強化セメント,セメント
ガラスなどが使用できる。
【0048】本実施例は、放射性廃棄物を含まない第2
混練物は流動化剤を含んでおり、放射性廃棄物を含む第
1混練物は第2混練物に含まれる流動化剤よりも少ない
量の流動化剤を含んでいるので、それらの流動性の調整
を容易に行うことができる。固化材が少ないと固化体の
強度が所定の強度に達しなくなり、また逆に固化材が必
要量よりも多くなると放射性廃棄物の固化容器内への充
填量が減少する、いわゆる減容比が悪くなる。従って、
固化材量の調整幅が少なく、第1及び第2混練物のそれ
ぞれの流動性の調整が困難である。しかしながら、本実
施例は、放射性廃棄物と固化材の配合調整により流動性
の調整を行う必要がなく、上記の流動性の調整を容易に
行うことができる。 (実施例2) 本発明の他の実施例である放射性固化処理装置を図3及
び図4に示す。本実施例では、濃縮廃液または廃樹脂か
ら得られたペレットを混練固化により、雑固体のプレス
塊等を注入固化により固化処理する場合について、運転
制御を中心に説明する。
【0049】実施例1と同じ構成は同一の符号を付し
た。実施例と異なる構成について説明する。配管43,
46,49は、混練機10Aに接続される。濃縮廃液ま
たは廃樹脂を薄膜蒸発乾燥機(図示せず)により粉末化
した後に造粒した容積約15ccのアーモンド状のペレッ
ト26を貯蔵するペレットタンク27は、配管53によ
って、スクリューフィーダ29に接続される。バルブ2
8が、配管53に設けられる。54はスクリューフィー
ダ29内の回転スクリューを駆動するモータである。ス
クリューフィーダ29の出口は、配管55によって混練
機10Aに接続される。計量容器30及びバルブ34
が、配管55に設けられる。固化材タンク15は、内部
に、炭素遷移2重量%を含む普通ポルトランドセメント
主成分とする繊維強化セメントを充填している。流動化
剤供給タンク17は、内部に無機流動化剤(真球状のシ
リカフューム)を充填している。
【0050】混練機10Aは、図4に示すように、ケー
シング18A内に回転軸57を設け、3枚の混練羽根2
0をアーム58によって回転軸57に取り付けている。
モータ19は、ケーシング18Aの外側に配置される。
ベルト31が、モータ19のシャフトと回転軸57に取
り付けられる。混練物排出用のスライド式のシャッター
33(全開にすると開口部の断面積は300cm2 )が、
ケーシング18Aの底部に設けられる。
【0051】コントローラ52Aは、計量容器12,1
3,14,30に設けられた重量計で計測された重量,
レーザ式の液面計35で測定された液面、及び重量計3
7で計測された重量を入力する。コントローラ52A
は、バルブ28,34,44,45,47,48,50
及び51の開閉,モータ19及び54の駆動,シャッタ
ー33の開閉、及び加振機36の起動停止の各制御を行
う。コントローラ52Aのメモリ(図示せず)は、実施
例1の表1に記載された各放射性廃棄物に対する固化
材,水及び流動化剤の配合比率以外に、ペレット300
kgに対する上記繊維強化セメント200kg,水100kg
及び流動化剤0kgの配合比率、及び雑固体のプレス塊
(高圧プレスにより約1000トンで圧縮減容された直
径約45cm,高さ約20cmの金属配管と保温材を主成分
とする雑固体)3個に対する上記繊維強化セメント40
0kg,水200kg及び流動化剤である真球状のシリカフ
ューム20kgの配合比率を設定値として記憶する。
【0052】まず、ペレットの固化処理について説明す
る。運転員が、操作盤25の選択スイッチをペレットに
設定しスタートボタンを押す。この操作によって発生す
るスタート信号が、コントローラ52Aに入力される。
コントローラ52Aは、バルブ28を開くとともにモー
タ54を起動させる。回転されるスクリューフィーダ2
9が、ペレットタンク27内のペレット26を計量容器
30内に移送する。計量容器30に設けられた重量計
(ロードセル)の測定値が300kgになったとき、コン
トローラ52Aは、バルブ28を閉じるとともにモータ
54を停止させる。計量容器30内には、300kgのペ
レット26が存在する。
【0053】その間に、コントローラ52Aは、メモリ
に記憶している混練物を得るための配合比の情報に基づ
いて、ペレットを含む混練物の作成に必要な物質を選択
する。この混練物には、固化材及び水を必要とする。こ
のため、コントローラ52Aは、バルブ44及び47の
開信号を該当するバルブに対して出力する。バルブ44
及び47が開けられる。計量容器12内に繊維強化セメ
ントが、計量容器13内に水が供給される。コントロー
ラ52Aは、計量容器12及び13の各重量計から繊維
強化セメント200kg,水100kgの測定値を入力した
とき、バルブ44及び47を閉じ、その後、バルブ4
5,48を開く制御を行う。前述の繊維強化セメント2
00kg及び水100kgが、混練機10Aのケーシング1
8A内に供給される。これらの供給前に、コントローラ
52Aは、モータ19を駆動させる。混練羽根20の回
転によって繊維強化セメント及び水が混練され、固化材
ペーストが混練機10A内で準備される。コントローラ
52Aは、固化材ぺーストの混練時間が2分を経過した
時点でバルブ34を開く。計量容器30内の空計量済み
のペレット300kgが、混練機10内に供給される。そ
の後、コントローラ52Aの制御によって更に2分間混
練が継続される。コントローラ52Aは、混練羽根20
の回転を継続しながら、シャッター33を100cm2
け開くように制御する。この結果、ペレットを含む混練
機10A内の混練物は、流量約40kg/分で、シャッタ
ー33の下方に配置されたドラム缶23内に注入され
る。混練物を注入する間、加振機36による振動がドラ
ム缶23に加えられる。これは、混練物の粘度が高いこ
とに起因する固化体内部での空隙の発生を防止するため
である。加振機36による加振の開始及び停止は、コン
トローラ52Aによって制御される。
【0054】ドラム缶23内に充填される混練物の量
は、レーザ式の液面計35で計測される。コントローラ
52Aは、液面計35で計測されたドラム缶23内の混
練物の液面が、混練物の充填量がドラム缶容積の約80
%を占める場合に相当するレベルに達したと判定したと
き、シャッター33を閉じる。その後、ドラム缶23を
蓋で密封することによって、1本目の固化体の作製が終
了する。また、この時にドラム缶23に排出・充填され
た混練物の重量は450kgであることが、重量計37に
より計測される。この計測値はコントローラ52Aに入
力される。以上のようにして得られた固化体は、貯蔵場
所まで移送される。新たな空のドラム缶23が混練機1
0の下方に再びセットされる。
【0055】1本目の固化体を作製する際にドラム缶2
3が密封された時点で、混練機10内に150kgの混練
物が残っていることが、重量計37の計測値に基づいた
コントローラ52A内の演算手段による演算によって求
められる(作成した混練物600kgに対し、ドラム缶へ
の排出量が450kgであるため)。その演算手段は、次
の固化処理でも重量計37で計測された450kgの混練
物がドラム缶23に充填されると仮定し、また混練機1
0内には150kgの混練物が残っていることから、新た
に作成すべき混練物の量がそれらの差に相当する300
kg(配分比はペレット150kg,セメント100kg,水
50kg)であると計算により求める。この配分比は、メ
モリに記憶された上記配分比に基づいて求められる。
【0056】2本目の固化体は、1本目の固化体の作製
後に混練機10内に残留している混練物、及び新たに混
練機10内で作られた混練物を用いて作製される。ま
ず、コントローラ52Aの制御によってシャッター33
を前述と同様に開き、混練機10内に残留している混練
物を混練機10下方に配置したドラム缶23内に充填さ
れる。新たな混練物は、1本目のそれと同様に、コント
ローラ52Aによる制御によって作成される。その際、
コントローラ52Aは、演算手段が求めたペレット15
0kg,セメント100kg及び水50kgの混練物を得るよ
うに放射性廃棄物固化処理装置を制御する。新たに作成
された混練物は、混練機10の下方に配置され混練機1
0内に残留していた混練物を充填しているドラム缶23
内に充填される。このとき、液面計35及び重量計37
の測定値がコントローラ52Aに伝送され、演算手段は
混練物排出後の混練機10内の混練物の残留物量は5kg
であることを演算により求めた。
【0057】以上でその日の固化処理を終了し、混練機
10の洗浄作業を行ったが、混練機10内の残留物が5
kgと少ないため、二次廃棄物の発生量をわずかな量に押
さえることができた。これに対し、2本目の固化体を作
製する第2バッチ目の固化処理において第1バッチと同
じ配合(ペレット300kg,セメント200kg,水10
0kg)を行っていたならば、300kg以上もの混練物が
固化処理後に残ったことになる。すなわち、固化容器内
の液面監視及び重量監視を同時に実施することによっ
て、混練物がドラム缶23から溢れるトラブルを防止で
きるとともに、固化処理に伴う二次放射性廃棄物の発生
量を著しく低減することができる。
【0058】次に、雑固体のプレス塊等を注入固化によ
り固化処理する場合について説明する。高圧プレスによ
り約1000トンで圧縮減容された直径約45cm,高さ
約20cmの金属配管と保温材を主成分とする雑固体のプ
レス塊3個が雑固体供給エリア24にて1本のドラム缶
23内に収納される。
【0059】運転員が操作盤25の選択スイッチを雑固
体に設定しスタートボタンを押す。スタート信号がコン
トローラ52Aに入力される。コントローラ52Aは、
前述したペレットの場合と同様に放射性物質固化処理装
置を制御する。これによって、雑固体の固化体を得るこ
とができる。ペレットの固化体を得る場合と異なる点を
中心に説明する。
【0060】コントローラ52Aは、メモリに記憶して
いる混練物を得るための配合比の情報に基づいて、上記
雑固体を固化する場合に必要な物質、すなわち固化材,
水及び流動化剤を選択する。これらの物質を各計量容器
に導くために、コントローラ52Aは、バルブ44,4
7及び50を開く制御を行う。これによって、計量容器
12内に繊維強化セメントが、計量容器13内に水が、
計量容器14内に真球状のシリカフュームが供給され
る。コントローラ52Aは、計量容器12,13及び1
4の各重量計から入力した繊維強化セメント,水及び真
球状のシリカフュームの測定重量がメモリに記憶されて
いる配合比の設定値である繊維強化セメント400kg,
水200kg及び真球状のシリカフューム20kgに達した
とき、バルブ44,47及び50を閉じ、その後、バル
ブ45,48,51を開く制御を行う。前述の繊維強化
セメント400kg,水200kg及び真球状のシリカフュ
ーム20kgが、混練機10Aのケーシング18A内に供
給され、混練羽根20の回転によって混練される。この
ため、固化材ペーストが混練機10A内で準備される。
【0061】雑固体のプレス塊3個が収納されたドラム
缶23が混練機10の下方にセットされている。コント
ローラ52Aは、固化材ぺーストの混練時間が2分を経
過した時点で、シャッター33の開口部断面積が2cm2
となるようにシャッター33を開ける制御を行う。固化
材ぺーストは放射性廃棄物を含まないため極めて流動性
が良く(粘度5ポアズ以下)、シャッター33をわずか
2cm2 になるように開くだけで、固化材ぺーストは約1
0kg/分の割合で雑固体のプレス塊3個を収納したドラ
ム缶23内に注入される。この際、ドラム缶23とその
プレス塊の隙間はもちろん、プレス塊の内部にまで固化
材ぺーストを浸透させるため、固化材ぺーストの注入速
度を低く抑えると同時に、ドラム缶23には加振機36
により強力な振動を加える。約8分後、固化材ぺースト
の液面がドラム缶上端から5cm下がったレベルに達す
る。コントローラ52Aは、液面計35の測定信号に基
づいてドラム缶上端から5cm下がったレベルまで固化材
ぺーストが達したと判定したとき、シャッター33を閉
じてドラム缶23内への固化材ぺーストの供給を停止す
る。ドラム缶23の上端は、蓋により密封される。これ
によって、1バッチ目の固化処理が終了する。ドラム缶
23内に注入された混練物(固化材ぺースト)量は17
0kgである。
【0062】ペレットの場合と同様に、コントローラ5
2A内の演算手段は、重量計37によって計測されたド
ラム缶23内の固化材ぺーストの重量170kgを入力
し、混練機10A内に残留する固化材ぺーストの重量を
求める。この重量は、450kgである。
【0063】次に、混練機10A内に残った固化材ペー
ストを用いて、プレス処理していない金属配管350kg
が予め充填された新たなドラム缶23に対して注入固化
を実施した。その結果、重量計37の信号から第2バッ
チ終了後にも約190kgの混練物が混練機10内に残っ
ていることがわかった。このため、第3バッチとして、
第1バッチと同様のプレス塊の固化処理を行ったとこ
ろ、混練機10内の最終的な固化材ペーストの残留量は
10kgとなったので、これは二次廃棄物として処理し、
一連の固化処理を終了した。
【0064】以上のように、本実施例は、固化容器内の
液面と重量を同時に監視することで、固化容器内に排出
・充填すべき混練物量を適切に制御でき混練物が固化容
器から溢れるなどのトラブルを防止できると同時に、二
次廃棄物の発生量を最低限に押さえるよう固化材の配合
などの運転条件を適切に管理できる。特に、後者の運転
条件の管理は、比重や形状が異なる多種類の廃棄物を単
一設備で固化処理しようとした時に必然的に生じる課題
であり、固化体の重量測定にかえ混練機内容物の重量測
定によっても実施することが可能である。なお、本実施
例でも実施例1と同様、注入固化の場合のみ流動化剤を
添加したが、これにより、ペレットと雑固体いずれの廃
棄物も健全に固化処理できた。本実施例は、実施例1と
同じ効果を得ることができる。
【0065】また本実施例では、ペレット26は混練固
化により処理したが、容積が約15ccと比較的大きな粒
状物質であるため、雑固体廃棄物と同様に、この濃縮廃
液ペレット26を予めドラム缶23内に充填しておき、
そのあと混練機10から固化材ペーストを注入するいわ
ゆる注入固化を行うことも可能である。一方、本実施例
では雑固体廃棄物は注入固化したが、保温材やゴム手袋
などの雑固体に対しては、これらを予め細断しておき混
練固化することも可能である。すなわち、混練固化と注
入固化の使い分けは廃棄物の種類により決まるのではな
く、形状などの廃棄物性状で適宜判断すれば良い。ま
た、特公平4−50558号公報に示されるような焼却灰の溶
融体、あるいは保温材やゴム手袋や金属等を溶融処理し
た溶融体についても同様に注入固化により処理できるこ
とは当然である。 (実施例3) 以上で示した実施例からも明らかなように、放射性廃棄
物の種類に応じた固化処理の処理手順をコントローラ5
2Aのメモリに記憶させておき、この処理手順に基づい
たコントローラ52Aによる制御を放射性物質固化処理
装置に対して行えば、運転員の負荷を軽減できるのみで
なく、ヒューマンエラーに起因するバルブ切り替えミス
等のトラブルも回避できる。これを以下に詳細に説明す
るため、図3に示す放射性物質固化処理装置は、コント
ローラ52Aのメモリに図6に示す処理手順を記憶す
る。
【0066】まず、固化処理の対象となる放射性廃棄物
の種類が選択スイッチにより設定されたとき、指定され
た放射性廃棄物の種類がコントローラ52Aに入力され
る(ステップ60)。この入力された情報に基づいて、
放射性廃棄物,固化材,水,流動化剤等の配合量、並び
にバルブ及び混練羽根などの運転シーケンスが予め記憶
された運転パターンをもとに決定される(ステップ6
1)。次に、この運転シーケンスにしたがい混練機10
A内で混練物が作成される(ステップ62)。混練が終
了すると混練物はドラム缶23内に排出される(ステッ
プ63)。混練物のドラム缶23内への排出量は液面監
視装置及び重量監視装置によりモニターされており、混
練物がドラム缶23から溢れるのを防止すると同時に、
排出終了後には混練機10A内に残留した混練物量が計
算される。混練物量が規定値(通常はもう1バッチ固化
体を作成できる量)以上であれば新たなドラム缶23を
混練機10Aの下方にセットし(ステップ65)、混練
物の排出を継続する。また規定値以下の場合は固化処理
を継続することも可能であるが、洗浄等の後処理を実施
して固化処理を終了することもできる。固化処理を継続
する場合には、通常、混練機10A内に残留している混
練物量等を考慮して、新たな配合量(廃棄物,固化材,
水,流動化剤等の重量)を決定する。これにより、実施
例2でも説明したように、二次廃棄物の発生量を最低限
に押さえることが可能となる。
【0067】また、図6では、最初に固化処理の対象廃
棄物のみを指定したが、同時に対象廃棄物の処理量を指
定することも可能である。この場合には指定された廃棄
物処理量にしたがい、予め1バッチ当たりの廃棄物,固
化材等の配合量を求め、処理終了までのバッチ数も計算
しておく。そして、第1バッチが終了した時点で、混練
機内の残留物量等から、必要に応じ、第2バッチの配合
量を多少修正する。具体的には、残留物量が多い場合に
は第2バッチでの配合量を減らすことが適当である。ま
た液面監視装置のデータにより、第1バッチで作成した
混練物量が少なく固化容器に十分な量の混練物が充填さ
れていないことが検出された場合には、次のバッチの配
合量を増やすようにすればよい。なお、その後のバッチ
についても、基本的に同様である。
【0068】本実施例は、実施例2と同じ効果を得るこ
とができる。 (実施例4) 実施例1及び2は、いずれも単一の固化材を用いて多種
類の放射性廃棄物を固化処理するものである。しかし、
例えば雑固体を固化処理する際には特願平4−249937号
公報に示されるようなアルカリ度の低いセメントが特に
望ましく、廃スラッジを固化処理する際には特願平2−3
22866 号公報に示されるような核種吸着性の繊維を添加
したセメントが特に望ましく、またペレットに対しては
特願昭56−80972 号に示されるようなケイ酸アルカリ系
の水硬性固化材が特に望ましい。したがって、複数の固
化材タンクを設けておき固化処理対象の放射性廃棄物に
応じて最も望ましい固化材を選択して混練機に供給する
ようにすれば、得られる固化体の物性をさらに向上する
ことが可能となる。
【0069】このように複数の固化材タンクを設けた場
合には、最初に操作盤25で対象廃棄物を指定した際
に、どの固化材タンクの固化材を混練機に供給するかを
予め計算機に記憶しておき、それにしたがいバルブ等の
運転シーケンスを決定するようコントローラのアルゴリ
ズムを改良すればよい。
【0070】
【発明の効果】第1及び第6発明によれば、第1混練物
及び第2混練物を同じ混練機内で得ることができ、更に
混練固化処理及び注入固化処理において水硬性固化材供
給手段及び水供給手段を共用でき、放射性固化処理設備
をコンパクトにすることができる。従って、放射性固化
処理設備が占有する設置面積を減少できる。特に、第6
発明は、コントローラを備えているので、固化処理にお
ける運転員の負担を低減できる。
【0071】第2及び第3の発明によれば、固化容器内
に充填された放射性廃棄物間への浸透が良好に行え、固
化容器内に予め放射性廃棄物を充填した場合に対して得
られる固化体は空隙が著しく少ない均一なものとなる。
また、放射性廃棄物を含む第1混練物の固化体内で放射
性廃棄物が一部の領域、特に上部又は下部に偏在するこ
とを防止でき、均一な固化体を得ることができる。
【0072】第4の発明によれば、放射性廃棄物と固化
材の配合調整により流動性の調整を行う必要がなく、第
1及び第2混練物の流動性の調整を容易に行うことがで
きる。
【0073】第5の発明によれば、混練機内の混練物の
残留量を考慮して新たに作成する混練物の量を決めるこ
とができる。このため、固化処理に伴って発生する二次
廃棄物の量を著しく減少できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である放射性物質固化
処理装置の構成図である。
【図2】図1に示す混練機の縦断面図である。
【図3】本発明の他の実施例である放射性物質固化処理
装置の構成図である。
【図4】図3に示す混練機の構造図である。
【図5】図4の混練機のケーシング部分の横断面図であ
る。
【図6】本発明の他の実施例である放射性物質固化処理
装置のコントローラが実行する処理手順の説明図であ
る。
【符号の説明】
1…濃縮廃液、3…廃樹脂、5…焼却灰、10,10A
…混練機、15…固化材タンク、16…水タンク、17
…流動化剤供給タンク、20…混練羽根、21…ナイフ
ゲート弁、22…ピンチバルブ、23…ドラム缶、24
…雑固体供給エリア、25…操作盤、26…ペレット、
30…計量器、33…シャッター、35…液面計、37
…重量計、52,52A…コントローラ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野下 健司 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社 日立製作所 エネルギー研究 所内 (72)発明者 小森 至 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社 日立製作所 エネルギー研究 所内 (72)発明者 泉田 龍男 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 大浦 正人 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 昭50−69500(JP,A) 特開 昭52−76600(JP,A) 特開 昭62−88999(JP,A) 特開 平2−257099(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21F 9/16 G21F 9/30 G21F 9/36

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1放射性廃棄物の混練固化処理の際に、
    少なくとも水硬性固化材,水及び前記第1放射性廃棄物
    の3つの物質を混練機内に供給し、これらの物質を前記
    混練機内で混練して第1混練物を生成し、この第1混練
    物を固化容器内に注入し、 第2放射性廃棄物の注入固化処理の際に、前記第2放射
    性廃棄物を除く少なくとも前記水硬性固化材及び水の2
    つの物質を、前記混練固化処理で用いられた水硬性固化
    材供給手段及び水供給手段によって、前記混練固化処理
    に用いられた前記混練機内に供給し、これらの物質を前
    記混練機内で混練して第2混練物を生成し、この第2混
    練物を予め前記第2放射性廃棄物が充填された固化容器
    内に注入することを特徴とする放射性廃棄物の固化処理
    方法。
  2. 【請求項2】前記第1混練物に含まれる前記第1放射性
    廃棄物は少なくとも濃縮廃液,廃イオン交換樹脂,焼却
    灰、前記濃縮廃液の粉体及びペレット、及び細断した雑
    固体のうちの1つが含まれ、かつ前記第2混練物を注入
    する前記固化容器内に充填された前記第2放射性廃棄物
    は少なくとも不燃性雑固体及びペレットのうちの1つが
    含まれる請求項1の放射性廃棄物の固化処理方法。
  3. 【請求項3】前記混練機によって得られた前記第2混練
    物の流動性は、前記混練機によって得られた前記第1混
    練物のそれよりも高い請求項1の放射性廃棄物の固化処
    理方法。
  4. 【請求項4】前記混練機によって得られた前記第2混練
    物は流動化剤を含んでおり、前記混練機によって得られ
    た前記第1混練物は前記第2混練物に含まれる前記流動
    化剤よりも少ない量の流動化剤を含んでいる請求項1の
    放射性廃棄物の固化処理方法。
  5. 【請求項5】前記混練機によって得られた前記第2混練
    物は流動化剤を含んでおり、前記混練機によって得られ
    た前記第1混練物は流動化剤を含んでいない請求項1の
    放射性廃棄物の固化処理方法。
  6. 【請求項6】前記流動化剤は、無機流動化剤または界面
    活性剤系の流動化剤である請求項4または5の放射性廃
    棄物の固化処理方法。
  7. 【請求項7】前記混練機内の前記第1または第2混練物
    を前記固化容器に充填するに際し、前記固化容器内に注
    入された混練物の液面を検出し、この液面が所定値にな
    ったときの前記固化容器の重量を検出し、検出された重
    量に基づいて前記混練機内に残留している前記混練物の
    量を求める請求項1,2,3,4または5の放射性廃棄
    物の固化処理方法。
  8. 【請求項8】前記残留している混練物の量が規定値以上
    ある場合には、放射性廃棄物固化のために新たな前記固
    化容器内に注入する請求項7の放射性廃棄物の固化処理
    方法。
  9. 【請求項9】前記残留している混練物の量が規定値以下
    である場合には、その混練物量を考慮して新たに混練物
    を生成する請求項7の放射性廃棄物の固化処理方法。
  10. 【請求項10】水硬性固化材が充填される第1タンク
    と、水が充填される第2タンクと、混練機と、前記第1
    タンクと前記混練機とを連絡する第1配管と、前記第2
    タンクと前記混練機とを連絡する第2配管と、前記混練
    機に混練固化処理の対象である第1放射性廃棄物を供給
    する第3配管と、前記第1配管に設けられた第1バルブ
    と、前記第2配管に設けられた第2バルブと、前記第3
    配管に設けられた第3バルブと、第1放射性廃棄物が指
    定されたときに、前記対象放射性廃棄物、前記水硬性固
    化材及び前記水を前記混練機に供給するために、前記第
    1,第2及び第3の各バルブを開き、固化容器内に充填
    された注入固化処理対象の第2放射性廃棄物が指定され
    たときに、前記水硬性固化材及び前記水を前記混練機に
    供給するために、前記第1及び第2の各バルブを開くコ
    ントローラとを備えた放射性廃棄物の固化処理装置。
  11. 【請求項11】水硬性固化材が充填される第1タンク
    と、水が充填される第2タンクと、混練機と、前記第1
    タンクと前記混練機とを連絡する第1配管と、前記第2
    タンクと前記混練機とを連絡する第2配管と、前記混練
    機に混練固化処理の対象である複数の第1放射性廃棄物
    を別々に供給し各前記第1放射性廃棄物毎に設けられた
    複数の第3配管と、前記第1配管に設けられた第1バル
    ブと、前記第2配管に設けられた第2バルブと、前記各
    第3配管にそれぞれ設けられた第3バルブと、複数の前
    記第1放射性廃棄物のうちの1つの前記第1放射性廃棄
    物が指定されたときに、前記指定された第1放射性廃棄
    物、前記水硬性固化材及び前記水を前記混練機に供給す
    るために、前記第1及び第2の各バルブ、及び前記指定
    された第1放射性廃棄物を導く前記第3配管に設けられ
    た前記第3バルブを開き、固化容器内に充填された注入
    固化処理対象の第2放射性廃棄物が指定されたときに、
    前記水硬性固化材及び前記水を前記混練機に供給するた
    めに、前記第1及び第2の各バルブを開くコントローラ
    とを備えた放射性廃棄物の固化処理装置。
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