JP5525836B2 - 固形洗浄組成物 - Google Patents

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Description

本発明は固形洗浄組成物、特にN−アシルアミノ酸の対イオンの改良に関する。
透明固形洗浄組成物は高級感を与え、商品価値が高いところから、特に洗顔用石鹸などに用いられている。
ところで、従来の透明固形洗浄組成物は、脂肪酸石鹸を基剤とし、ショ糖、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコールなどのサッカライド類またはポリオール類を透明化剤として使用し、枠ねり法あるいは機械ねり法により製造しているのが通例である。
このようにして製造された透明固形洗浄組成物の透明化の構造的メカニズムは、可視光線に対して光学的に不連続な大きさである不透明固形洗浄組成物の繊維状微結晶群が、主として繊維軸に対して垂直に分断されて、それが可視光線の波長以下に微細化されて固形洗浄組成物が透明化しているものと考えられる。
しかしながら、このような透明化の機構で得られた透明固形洗浄組成物では、未だ透明感の優れたものではなく、また使用途中において石鹸表面がゲル化し不透明になるなど、商品価値が損なわれる傾向が認められた。
そこで、従来においてもN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩を主成分とした透明固形洗浄組成物が開発されている(特開平6−264092,特開平4−1297等)。
しかしながら、これらのアミノ酸塩系透明固形洗浄組成物にあっても、キシミ感や浸透感など使用感の点で改善の余地が残されていた。
特開平6−264092 特開平4−1297
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その解決すべき課題はアミノ酸系固形洗浄組成物において、その良好な外観を損なうことなく、使用感の改善を図ることにある。
本発明者らは、N−長鎖アシル酸性アミノ酸の対イオンの検討を進めた結果、アルカリ金属、エタノールアミンと共にタウリンを用いることにより、使用感の大幅な改善が図られることを見いだし、本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明にかかる透明固形洗浄組成物は、N−アシルアミノ酸塩を主成分とし、
前記N−アシルアミノ酸に対する対イオンは、エタノールアミンからなる対イオン30〜60%と、N−メチルタウリン及びヒポタウリンからなる群より選択される対イオン5〜25%と、アルカリ金属ならなる対イオン25〜60%と、を含み、
前記N−アシルアミノ酸の対イオンによる中和度は、1.7〜2.0であることを特徴とする。
以下、本発明の構成について詳述する。
[N−長鎖アシル酸性アミノ酸及びその対イオン]
本発明において用いられるN−長鎖アシル酸性アミノ酸としては、N−直鎖アシルグルタミン酸、N−長鎖アシルアスパラギン酸等が挙げられる。
また、N−アシルアミノ酸に対する対イオンは、エタノールアミンからなる対イオン30〜60%、N−メチルタウリン及びヒポタウリンからなる群より選択される対イオン5〜25%、アルカリ金属ならなる対イオン25〜60%、である必要がある。
エタノールアミンのモル構成比60%を超える場合高温保存性が悪化し褐変を生じやすく、また40未満の場合透明性が悪化する。
また、N−メチルタウリン及びヒポタウリンからなる群より選択される対イオンのモル比は5〜25%、特に10〜20%が好適である。モル比が5%以下である場合には、キシミ感、浸透感などの使用感の改善が顕著には認められず、25%を超えると凝固点が下がり、熟成後の硬度低下が認められ、使用時の溶け減り過剰を生じ、形態の維持が困難となる。
N−長鎖アシル酸性アミノ酸の塩としての配合量は、対イオンのモル構成比により異なるが、本発明の透明状態とするためにはその配合量は35質量%ないし80質量%、好ましくは40質量%ないし70質量%である。
ところで、本発明において得られる透明固形洗浄組成物は、従来の透明石鹸に比較してその透明性が特に優れており、これは結晶構造が液晶状態であることによる。
そして同じ原料を使用しても、液晶状態が得られなければ、透明性が従来の透明石鹸と同程度となってしまうことが確認されている。
さらに液晶状態にない透明石鹸では使用中に石鹸表面がゲル化し不透明になる等の問題が生じたが、これは水不溶性部分が残存るためである。従って、本発明のように洗浄組成物全体が均一な液晶系である透明固形洗浄組成物では水不溶性部分が残存するようなことがなく、使用中に石鹸表面がゲル化し不透明になってしまうようなこともない。
このように、本発明にかかる透明固形洗浄組成物はその結晶構造が液晶であることから極めて優れた透明性、透明安定性を有しているのである。
ここで、N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩はN−長鎖アシル酸性アミノ酸をアルカリで中和することにより容易に得られるが、その際の中和度が液晶の形成に影響を及ぼす。
すなわち、良好な液晶状態を得るには、本発明の対イオンを採用した場合には、N−長鎖アシル酸性アミノ酸に対するアルカリの中和度を1.7当量以上、好ましくは1.8当量以上にする必要がある。中和度が1.7当量未満のN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩では白濁しやすく、透明固形の液晶を得ることができない。
尚、N−長鎖アシル酸性アミノ酸モノ塩とN−長鎖アシル酸性アミノ酸ジ塩を混合して、混合物の中和度が1.7当量以上となるようにしてもよい。
また、本発明にかかる洗浄組成物のpHは1%水溶液での測定で6.3〜7.5、好まくは6.8±0.3の範囲であることが好適である。
pHが6.3以下となると透明性に悪影響を与え、またpHが7.5以上となると褐変を生じやすくなる。
なお、本発明にかかる固形洗浄剤組成物は、基剤としては透明であるが、顔料などの配合により不透明になる場合も含まれる。
[ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤]
本発明にかかる固形洗浄組成物にはヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤を添加することが好適であり、泡立ちの改善が認められる。
本発明において好適なヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤は下記構造を有する。
Figure 0005525836
(式中、Rは炭素原子数4〜34の飽和又は不飽和の炭化水素基を表し;X、Xのいずれか一方は−CHCOOMを表し、他方は水素原子を表し;Mは水素原子、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウム、低級アルカノールアミンカチオン、低級アルキルアミンカチオン、又は塩基性アミノ酸カチオンを表す。)
式中、Rは芳香族炭化水素、直鎖状又は分岐状脂肪族炭化水素のいずれでもよいが、脂肪族炭化水素、特にアルキル基、アルケニル基が好ましい。例えば、ブチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルウンデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ウンデシルヘキサデシル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基等が好ましい例として挙げられ、中でもデシル基、ドデシル基が界面活性能力の面で優れている。
また、式中、X、Xのいずれか一方は−CHCOOMで表されるが、Mとしては、水素原子、リチウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
具体的には、上記(A)ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤のうち、ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウムが本発明で最も好ましい。
なお、本発明においてヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤は、前記N−アシルアミノ酸塩との組み合わせでは、泡立ちを改善する観点から1〜30質量%、好ましくは5〜25質量%配合することができる。
[キレート剤、尿素類]
また、本発明にかかる洗浄組成物組成物に、キレート剤を添加することが好適である。特に本発明のN−アシルアミノ酸に対する対イオンとして用いられるエタノールアミンは、経時で着色を生じることがあり、その防止に有効である。
また、本発明において好適に用いられるキレート剤としては、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩が挙げられ、さらに好ましくは、ヒドロキシエタンジホスホン酸である。配合量としては、0.001〜1.0質量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.5質量%である。ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩の配合量が0.001質量%より少ない場合は、キレート効果が不十分となり、経時で黄変等の不都合を生じ、1.0質量%より多いと皮膚への刺激が強くなり、好ましくない。
同様に、尿素類を併用することが好ましく、本発明で使用される尿素類としては、尿素、チオ尿素等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。組成物中の尿素類の含有量は、その種類や併用するイオウ含有水溶性還元剤の種類や量にもよるが、0.1〜3質量%、特に0.5〜2.0質量%が好ましい。この含有量が0.1質量%未満であると、高温で長期間保存した時の褐変の防止効果やイオウ臭の防止効果が不十分となり、逆に、3質量%を超えると、高温で長期間保存した時にアンモニア臭が発生するおそれがあり、好ましくない。
[カチオン性ポリマー]
さらに本発明によれば、以下のカチオン性ポリマーを添加することにより、溶け崩れ、摩擦溶解度、起泡性について十分な改善効果が得られる。
カチオン性ポリマー本発明において用いられるカチオン性ポリマーとしては、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ヒドロキシエチルセルローストリメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシエチルセルロースアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシプロピルグァーガムアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ガラクトマンナンアルキルトリメチルアンモニウムクロライド及びアクリル酸β−N−N−ジメチル−N−エチルアンチニオエチル塩ビニルピロリドン共重合物等が挙げられる。
本発明にかかる固形洗浄組成物にカチオン性ポリマーを配合すると、透明性に優れ、しかも耐溶け崩れ性、摩擦溶解度、低温安定性に優れた透明固形洗浄組成物を提供することができる。配合量はカチオン性ポリマーの種類により異なるが、好ましくは0.1〜1質量%である。
[イオウ含有水溶性還元剤]
本発明で使用されるイオウ含有水溶性還元剤としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ハイドロサルファイト等が挙げられ、これらの中でも、褐変の防止効果がより高く、またそれ自体のイオウ臭の発生量も少ない点から、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩が好ましい。上記の塩の塩基としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属類;エタノールアミン、アミノメチルプロパノール等の有機アミン等が挙げられる。
組成物中のイオウ含有水溶性還元剤の含有量は、その種類や併用する尿素類の種類や量にもよるが、0.0001〜0.1質量%、特に0.005〜0.05質量%が好ましい。この含有量が0.0001質量%未満であると、高温で長期間保存した時の褐変の防止効果が不十分となり、逆に、0.1質量%を超えると、高温で長期間保存した時に、イオウ臭の発生量が多くなって、尿素類によるこのイオウ臭の防止効果が不十分となるおそれがあり、好ましくない。
[その他]
尚、本発明においては以上のN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩の他、多価アルコール、低級アルコール、その他の成分を配合することができる。
多価アルコール本発明における多価アルコールは、配合量が5質量%ないし30質量%、好ましくは8質量%ないし25質量%配合することができる。
多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、エチレングリコール、及びジグリセリン等が挙げられる。
配合量が5質量%以下ではN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩が結晶化してしまう場合があり、30質量%以上では溶液状となる。
低級アルコール本発明における低級アルコールは、多価アルコールと低級アルコールの配合重量比は10:1ないしは1:5、好ましくは5:1ないしは1:2配合することができる。
多価アルコールと低級アルコールの配合重量比(多価アルコール/低級アルコール)が10/1以上の場合、加熱溶解時に増粘し製造が不可能となり、1/5以下の場合、乾燥期間に時間を要したり、透明性が良好でなかったりする。
低級アルコールとしては、エチルアルコール、プロピルアルコール等が挙げられる。
本発明の透明固形洗浄組成物には以上の成分の他、洗浄組成物に通常配合される公知の配合成分を配合することができる。
例えば、本発明の透明性を損わない量のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、殺菌剤、保湿剤、油分、香料、色素、キレート剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、生薬、非イオン性、カチオン性或いはアニオン性の水溶性高分子等を配合することができる。
さらに、起泡性を向上させる目的で、本発明の透明固形洗浄組成物の効果を損わない範囲で、例えばポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、リン酸エステル塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、脂肪酸石鹸等のアニオン界面活性剤、アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオキシドポリプロピレンオキシドブロックポリマー等のノニオン界面活性剤を配合することができる。さらに、その添加剤としては、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ポリオキシエチレンアルキルグルコシドエーテル等の保湿剤、レシチン、サポニン、アロエ、オオバク、カミツレ等の天然抽出物等が挙げられる。特に使用性(しっとりさ)に特徴を有する乳酸エステルは、一般の石けんではPHがアルカリ性の為、分解等により配合することはできなかったが、本発明においては安定性良く配合することが可能である。
本発明の洗浄組成物は、枠練り法によって製造される。すなわち、炭素数10ないし22のアシル基を有する中和度1.5〜1.8当量のN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩と多価アルコールと低級アルコール及び必要に応じて他の界面活性剤、その他の添加剤に水を加えた混合物を70〜80℃に加熱し、均一に溶解した後、型に注入して冷却固化させる。その後乾燥熟成を行ない本発明の洗浄組成物を得る。
乾燥期間は多価アルコールと低級アルコールの配合量により異なるが、2〜40日程度で十分である。
以上説明したように本発明にかかる透明固形洗浄組成物によれば、N−長鎖アシル酸性アミノ酸の対イオンとして、アルカリ金属、エタノールアミン及びタウリンを用いることにより、キシミ感の抑制及び浸透感の向上といった使用感の改善を図ることが可能となった。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明者らはN−長鎖アシル酸性アミノ酸の対イオンと使用感の関係を検討するため、次のような基本処方を用いて検討を行った。なお、配合量は質量%で示し、また対イオン組成はモル比で示す。
[表1](仕込み時処方)
N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸 22.1%
N−ステアロイル−L−グルタミン酸 7.37%
対イオン 当量
ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウム 10.0
カチオン化セルロース 0.3
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
尿素 2.0
エタノール 10.0
濃グリセリン 14.0
エデト酸2ナトリウム 2.5
精製水 残余
まず、本発明者らはトリエタノールアミンを対イオンモル比50%に固定し、アルカリ金属(KOH)及びタウリン(N−メチルタウリン)のモル比を変化させた。なお、この際、中和度は1.6とした。結果を次の表2に示す。
[表2]
試験例 1−1 1−2 1−3 1−4
トリエタノールアミン 50 50 50 50
カリウム(KOH) 50 40 30 20
N−メチルタウリン − 10 20 30
中和度 1.6 1.6 1.6 1.6
凝固点(℃) 67.2 64.3 64.5 54.1
切断時外観 ○ ○ ○ ○
pH(1%) 6.12 6.12 6.16 6.15
摩擦溶解度 71.2 73.9 80.5 82.7
硬度(押し) 360 330 330 230
4週間後外観 × × × ×
使用感
しっとり感 △ ○ ○ ○
クリーミー感 △ ○ ○ ○
泡立ち △ ○ ○ ○
なお、摩擦溶解度に関しては、JISK−3304に準じて測定した。すなわち、40℃に調整した水道水で濡らしたフィルム面上に一定重量の試料片(断面15mm×20mm)を載せ、このフィルムを回転し10分間摩擦溶解させる。摩擦溶解前後の重量より、次式により一定面積当たりの摩擦溶解度を求めた。
摩擦溶解度(%)=(前重量−後重量)×100/3
また、硬度は、レオメーター(不動工業社製)にて石鹸表面より深度10mmまで針を圧入した際の最大応力にて示した。
前記表2より明らかなように、対イオンとしてのトリエタノールアミン及びカリウムに加えて、N−メチルタウリンを配合することにより、しっとり感、クリーミー感、泡立ちを中心とした使用感が向上することが理解される。しかしながら、中和度1.6では4週間の熟成完了時の外観観察により全般に白色化が進むことが明らかとなった。
そこで、本発明者らはさらに中和度の調整し検討を行った。
結果を次の表3に示す。
[表3]
試験例 2−1 2−2 2−3 2−4 2−5 2−6
トリエタノールアミン 50 50 50 50 50 50
カリウム(KOH) 50 45 40 30 25 20
N−メチルタウリン − 5 10 20 25 30
中和度 1.8 1.8 1.8 1.8 1.8 1.8
凝固点(℃) 71.2 69.7 69.2 64.3 62.6 58.9
切断時外観 ○ ○ ○ ○ ○ ○
pH(1%) 6.65 6.64 6.62 6.62 6.65 6.68
摩擦溶解度 74.5 74.2 73.2 80.5 82.1 84.2
硬度(押し) 440 421 417 337 299 233
4週間後外観 ○ ○ ○ ○ ○ ○
使用感
しっとり感 △ ○ ○ ○ ○ ○
クリーミー感 △ ○ ○ ○ ○ ○
泡立ち △ ○ ○ ○ ○ ○
表3より明らかなように、中和度を1.8とすることにより2週間熟成後の白化は防止される。しかも、N−メチルタウリンを対イオンとして用いることにより、使用感が明らかに改善される。しかし、N−メチルタウリンの配合量が30%となると硬度が著しく低下し、摩擦溶解度(溶け減り)も顕著になる。このため、このN−メチルタウリンの好適なモル比は5〜25%、特に好ましくは10〜20%であることが理解される。
同様な試験を中和度2.0で行った。結果を次の表4に示す。
[表4]
試験例 3−1 3−2 3−3 3−4
トリエタノールアミン 50 50 50 50
カリウム(KOH) 50 40 30 20
N−メチルタウリン − 10 20 30
中和度 2.0 2.0 2.0 2.0
凝固点(℃) 71 67 61 58
切断時外観 ○ ○ ○ ○
pH(1%) 7.14 7.09 7.05 7.05
摩擦溶解度 78.0 78.2 79.5 85.5
硬度(押し) 423 340 287 207
4週間後外観 ○ ○ ○ ○
使用感
しっとり感 △ ○ ○ ○
クリーミー感 △ ○ ○ ○
泡立ち △ ○ ○ ○
上記表4より明らかなように、中和度2.0においても、前記中和度1.8と同様の傾向が認められ、N−メチルタウリンの特に好適なモル比は10〜20%であることが理解される。
さらに本発明者らはトリエタノールアミンのモル比について検討を行った。結果を次の表5〜表7に示す。
[表5]
試験例 4−1 4−2 4−3 4−4 4−5
トリエタノールアミン 20 30 40 60 70
カリウム(KOH) 60 50 40 20 20
N−メチルタウリン 20 20 20 20 10
中和度 1.8 1.8 1.8 1.8 1.8
切断時外観 ○ ○ ○ ○ ○
4週間後外観 △ ○ ○ ○ △
[表6]
試験例 5−1 5−2 5−3 5−4 5−5
トリエタノールアミン 20 30 40 60 70
カリウム(KOH) 60 50 40 20 20
N−メチルタウリン 20 20 20 20 10
中和度 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0
切断時外観 ○ ○ ○ ○ ○
4週間後外観 △ ○ ○ ○ △
[表7]
試験例 6−1 6−2 6−3 6−4
トリエタノールアミン 40 60 40 60
カリウム(KOH) 50 30 50 30
N−メチルタウリン 10 10 10 10
中和度 1.8 1.8 2.0 2.0
切断時外観 ○ ○ ○ ○
4週間後外観 ○ ○ ○ ○
表5〜7より明らかなように、トリエタノールアミンのモル比は30〜60%で好適な結果が示される。トリエタノールアミンが20%の場合には熟成完了時(2週間後)程度では何ら問題はないが、4週間経過後に曇りを生じる場合がある。一方、トリエタノールアミンが70の場合には、やはり4週間経過後に若干の黄変が認められた。
[表8]
試験例 7−1 7−2 7−3
トリエタノールアミン 50 − 50
ジエタノールアミン − 50 −
カリウム(KOH) 35 35 35
N−メチルタウリン 15 15 −
ヒポタウリン − − 15
中和度 1.8 1.8 1.8
切断時外観 ○ ○ ○
4週間後外観 ○ ○ ○
表8より明らかなように、エタノールアミンとしては、トリエタノールアミンのみならずジエタノールアミンでも同等の効果が認められ、N−メチルタウリンとヒポタウリンにも同等の効果があることが認められた。
以上説明したように、本発明によれば、N−アシルアミノ酸塩を主成分とする固形洗浄組成物の対イオンとしてタウリン類を用い、中和度を1.7以上とすることにより、外観を悪化させることなく、使用感の改善を図ることができる。

Claims (6)

  1. N−アシルアミノ酸塩が、全組成物の35質量%ないし80質量%配合された固形洗浄組成物であって、前記N−アシルアミノ酸に対する対イオンは、エタノールアミンからなる対イオン30〜60%と、N−メチルタウリン及びヒポタウリンからなる群より選択される対イオン5〜25%と、アルカリ金属からなる対イオン25〜60%と、を含み、前記N−アシルアミノ酸の対イオンによる中和度は、1.7〜2.0であることを特徴とする固形洗浄組成物。
  2. 請求項1記載の固形洗浄組成物において、N−アシルアミノ酸塩の全組成物中における配合量は40質量%以上であることを特徴とする固形洗浄組成物。
  3. 請求項1または2記載の組成物において、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤を含むことを特徴とする固形洗浄組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の組成物において、キレート剤及び/又は尿素を含むことを特徴とする固形洗浄組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物において、カチオン性ポリマーを含むことを特徴とする固形洗浄組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物において、亜硫酸塩を含むことを特徴とする固形洗浄組成物。
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