JP5525699B2 - 高分子イオン性化合物 - Google Patents
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Description
これらのイオン液体の大半はイオン液体自身が重合性官能基を有しておらず、前記イオン液体の諸特性を発現させるために、高分子化合物中にイオン液体を配合しているものがほとんどである。
しかし、近年、1種類の重合性官能基を有するイオン液体として、例えば特開2005−255843号公報(特許文献1)には、(メタ)アクリル基を有するイオン液体が開示され、他の低分子化合物とともにもしくは単独で重合できることが記載されている。
近年有機−無機ハイブリッド材料は、高透明性、高耐熱性、高摩耗性並びに撥液性などの特性を有することから工業上幅広く応用され、例えば電子材料、光学材料、塗料、接着剤、レジスト材料、医療材料などに使用されている。また、背景技術にも前記したようにイオン液体も有用な特性を種々備えており、イオン液体と有機−無機ハイブリッド材料の両方の性質を併せもつ新しい高分子材料の開発が期待されている。
さらに、前記のイオン液体と有機−無機ハイブリッド材料の両方の性質を併せもつ新しい高分子材料の原料となるイオン液体についてもこれまでに合成されていない。
したがって、有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物の生産およびその原料となる新規なイオン液体の合成が課題であった。
さらに、重合性官能基として有機の重合性官能基とアルコキシシリル基を同一分子内に有する新規なイオン液体の有機の重合性官能基を重合させて有機の重合性官能基の重合が進行した高分子イオン性化合物の生成を確認した。また、アルコキシシリル基を酸もしくは塩基触媒で加水分解縮合させてシロキサン結合を有する高分子イオン性化合物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
R1は、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基から選ばれるいずれかのアルキレン基であり、
R2は、メチル基又はエチル基であり、
また、R3、R4およびR5はお互いに独立して、水素、メチル基及びエチル基から選ばれるいずれかであり、
Xは、1価に帯電された塩素、臭素またはヨウ素のいずれかの塩形成アニオンであり、
Yは、Yは1価に帯電されたBF 4 − 、PF 6 − 、AsF − 、SbF 6 − 、AlCl 4 − 、FeCl 4 − 、(CF 3 SO 2 ) 2 N − 、(NC) 2 N − 、CF 3 SO 3 − 、CH 3 SO 3 − 、HSO 4 − 、CF 3 CO 2 − 、CH 3 CO 2 − 、CF 3 C 6 H 4 SO 3 − 及びCH 3 C 6 H 4 SO 3− から選ばれるいずれかの有機または無機の塩形成アニオンである。
上記の構成によれば、イオン液体自身が有機の重合性官能基と無機の重合性アルコキシシリル基を同時に有することにより、有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物を提供することができる。
本発明の高分子イオン性化合物は、(2)前記一般式(1)から(4)で示される化合物の内いずれかの化合物(以下「本発明のイオン液体」と称することがある。)を単独若しくは2種以上を混合して、加水分解縮合させてアルコキシシリル基を縮合した高分子イオン性化合物を単独若しくは2種以上を有機の重合性官能基を重合させて、又は前記高分子イオン性化合物を単独若しくは2種以上と他の有機重合性化合物を混合したものを有機の重合性官能基を重合させて、重合した高分子イオン性化合物である。
加水分解縮合させてアルコキシシリル基を縮合して高分子イオン性化合物を生成するには、本発明のイオン液体を酸性条件下で酸触媒を用いて加水分解縮合するか又は塩基性条件下で塩基触媒を用いて加水分解縮合することによってアルコキシシリル基が縮合し高分子イオン性化合物が生成する。
本発明でいう加水分解縮合とは、アルコキシシリル基上のアルコキシ基が酸もしくは塩基触媒と水により水酸基に変換され、生成したシラノールがアルコキシシリル基もしくは別のシラノールから脱アルコールもしくは脱水し、シロキサン結合に変換されることおよびこの反応の繰り返しによりアルコキシシリル基を有するイオン液体の高分子化が進行することである。また、加水分解縮合させてアルコキシシリル基を縮合した高分子イオン性化合物は、加水分解縮合にあたってアルコキシル基を完全に縮合させた高分子イオン性化合物であってもよいし、加水分解縮合を途中で止めて部分的に縮合させた高分子イオン性化合物であっても良い。
上記の構成によれば、有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物を提供することができる。
有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物を提供することができる。
そして、本発明のイオン液体のアルコキシシリル基を縮合させて高分子イオン性化合物を合成するに場合に加水分解縮合を一度途中で止めることもでき、中間体として単離し、再度可溶化して完全に縮合させて製膜することができる。本発明における前記中間体をいろいろな用途に対応した中間体として目的物に塗布することができ、塗布する際に、施工者は前記中間体を製造元から仕入れ、現場で溶かして塗るだけでいろいろな用途に対応した膜を製膜できるという簡便さを教授することができ、産業上においても大変利用価値の高いものである。
また、本発明の重合性官能基としてビニル基とアルコキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体はアルコキシシリル基のみを加水分解縮合することができるため、側鎖にさらに重合可能なビニル基を持つ高分子イオン性化合物を提供できるという効果を奏する。
さらに、アルコキシシリル基を加水分解縮合した後ビニル基を重合することができるため、より強度の高い有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物を提供できるという効果を奏する。
本発明に係るイオン液体は、少なくとも2種類の重合性官能基を有しておりその一方は有機の官能基であり、他方は無機の官能基であることを特徴とする。
有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物を創出するために用いられる異なる2種類の重合性官能基を有するイオン液体としては、有機の重合性官能基と無機の重合性官能基が導入されたイオン液体であれば特に限定されるものではないが、前記一般式(1)から(4)で示される4級塩型イオン液体から選ばれる少なくとも1種類であることが望ましい。中でも、製造コストを考慮すると、原料が安価で入手しやすく、比較的合成が簡便な前記一般式(1)および(3)で示される異なる2種類の重合性官能基を有するイオン液体、特に電子材料等での利用においてはハロゲンアニオンが含有された化合物の使用を避けるため、1価のアニオンとしてハロゲンアニオンを含まない前記一般式(3)で示される異なる2種類の重合性官能基を有するイオン液体を用いることが好適である。
なお、有機の重合性官能基とアルコキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体は、複数組み合わせて使用することができ、有機の重合性官能基もしくはアルコキシシリル基の一方を持つ公知のイオン液体も使用でき、重合度を調整できる。
また、アルコキシシリル基のアルコキサイドR2としては、加水分解性があれば特に制限されない。例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ等が挙げられる。
製造装置において重要な因子は、反応装置が反応温度の制御をできること、反応物および反応生成物が安全に供給および排出できること、反応混合物を均一に混合できることであるが、ハロゲン化アルキルトリアルコキシシランの化学的性質上、反応装置は窒素等の不活性ガス雰囲気下で操作することができ、揮発性化合物の安全な排出が可能であることが望まれる。従って反応は撹拌装置、原料等の供給および排出を行える装置を備えたガラス機器内で、また反応溶媒を用いてその反応溶媒の沸点以上の温度で反応を行うときには還流コンデンサーを用いることもできる。しかし反応は適切に行われる場合においてはステンレス製および他の好適な不活性材料を用いて製造され、かつ、温度制御ならびに、反応物の供給および反応生成物の排出のための器具を有する工業的な製造装置においても行うことができる。
以下、一般式(5)、(6)の有機の重合性官能基(RX)がビニル基であるとして発明の内容を説明するが、ビニル基以外の有機の重合性官能基を有するイオン液体を合成する場合も同様の手法によって合成することができる。
例えば、パラトルエンスルホン酸等のブレンステッド酸を酸触媒として使用し、アルコキシシリル基を加水分解縮合させることによりシロキサン結合を有する有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物を得ることができる。また、水酸化ナトリウム等の塩基触媒でもアルコキシシリル基を加水分解縮合させることができ、シロキサン結合を有する有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物を得ることができる。
アルコキシシリル基をパラトルエンスルホン酸等のブレンステッド酸触媒により加水分解縮合させて、有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物を得ることができる。加水分解縮合後、未反応のビニル基を重合させて、より強度が高い有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物を得ることができる。
アルコキシシリル基を水酸化ナトリウム等の塩基触媒により加水分解縮合させて、有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物を得ることができる。加水分解縮合後、未反応のビニル基を重合させて、より強度が高い有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物を得ることができる。
有機のビニル基とアルコキシシリル基を湿気中でラジカル重合または光重合と加水分解縮合させて強度が高い有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物を得ることができる。
さらに、ビニル基のようなオレフィン部位は含窒素複素環カルベン錯体における中心金属の触媒活性を維持させるために効果的であることが知られており、今回の異なる2種類の重合性官能基を有するイオン液体はアルコキシシリル基で固定化を行い、ビニル基のオレフィン部位で触媒活性の維持を行うため、繰り返し利用可能な含窒素複素環式カルベン固体触媒を提供することができる。
このように、一般式(1)から(4)で示される重合性官能基としてビニル基とアルコキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体も二酸化炭素の吸着に使用できる。さらに、有機−無機ハイブリッド高分子イオン性化合物はイオン液体のみで構成されているため、膜としてのイオン液体含量が高くなっており、高効率な二酸化炭素分離膜を作製できる。
1−ビニルイミダゾール(東京化成工業(株)製)4.98gと3−クロロプロピルトリメトキシシラン(シグマアルドリッチジャパン(株)製)20mLを混合し、窒素雰囲気下90℃で60時間撹拌した。この反応溶液を室温に戻した後、ジエチルエーテル50mLを加えてエーテル層を分離した。この操作をあと2回繰り返した後、減圧ポンプで減圧乾燥させ、ビニル基とトリメトキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体(1)12.74gを得た。
上記のようにして得たビニル基とアルコキシシリル基を有するイオン液体は下記のようなスペクトルを示した。
1H NMR (CDCl3):d 0.6-0.7(m,
2H, CH2Si), 2.08(qin, 2H, CH2CH2CH2),
3.57(s, 9H, Si(OCH3)3), 4.46(t, 2H, NCH2),
5.39(dd, 1H, CH2=CH-), 6.26(dd, 1H, CH2=CH-),
7.61(dd, 1H, CH2=CH-), 7.93(s, 1H, NCHCHNCH2),
8.49(s, 1H, VyNCHCHN), 10.92(s, 1H, NCHN). 13C NMR (CDCl3):d 4.6(CH2Si),
22.7(CH2CH2CH2), 49.3(OCH3),
50.5(NCH2), 107.9(CH2=CH-), 118.7(NCHCHN),
121.6(NCHCHN), 127.0(CH2=CH-), 134.2(NCHN).
FT-IR(neat): 1651(dvinyl), 1072(SiOCH3).
合成例1で合成したビニル基とアルコキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体(1)10.06gとテトラフルオロホウ素ナトリウム(ナカライテスク(株)製)3.87gにアセトニトリル200mLを加えて、懸濁液を窒素雰囲気下室温で5日間撹拌した。白色析出物をセライトでろ過した後、アセトニトリルを減圧留去した。得られた油状生成物を塩化メチレン40mLで抽出し、活性炭処理を行った。塩化メチレンを減圧留去して、塩素アニオンがテトラフルオロホウ素アニオンに変換されたビニル基とトリメトキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体(3)9.17gを得た。
上記のようにして得たテトラフルオロホウ素アニオンを有するイオン液体は下記のようなスペクトルを示した。
1H NMR (CDCl3):d 0.6-0.7(m, 2H, CH2Si), 2.01(qin, 2H, CH2CH2CH2),
3.56(s, 9H, Si(OCH3)3), 4.28(t, 2H, NCH2), 5.40(dd,
1H, CH2=CH-), 5.88(dd, 1H, CH2=CH-), 7.16(dd,
1H, CH2=CH-), 7.57(s, 1H, NCHCHNCH2),
7.81(s, 1H, VyNCHCHN), 9.03(s, 1H, NCHN). 13C NMR (CDCl3):d 5.4(CH2Si),
23.4(CH2CH2CH2), 50.2(OCH3),
53.4(NCH2), 109.2(CH2=CH-), 119.2(NCHCHN),
122.7(NCHCHN), 127.7(CH2=CH-), 133.7(NCHN).
FT-IR(neat): 1656(dvinyl), 1030(SiOCH3).
[実施例1]
合成例2で合成したビニル基とアルコキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体(3)1.20gにジメチルホルムアミド(ナカライテスク(株)製)1.95gを加えた後、1重量パーセントに調製した2,2'−アゾビスイソブチロニトリルのジメチルホルムアミド溶液2.42gを加えた。反応溶液をポリエチレン容器に流し込み80℃で乾燥させると、高分子イオン性化合物の硬いフィルムが得られた。
合成例2で合成したビニル基とアルコキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体(3)1.17gにアセトニトリル3.07gを加えた後、0.1M 水酸化ナトリウム水溶液1.24gを加えて、室温で3時間撹拌した。その後70℃でさらに3時間撹拌した後、室温に戻した。溶媒を減圧留去し、高分子イオン性化合物を得た。得られた高分子イオン性化合物をジメチルホルムアミド4mLに溶解させた後、ポリエチレン容器に流し込み80℃で乾燥させると、高分子イオン性化合物の柔軟なフィルムが得られた。
上記のようにして得た高分子イオン性化合物は下記のようなスペクトルを示した。
1H NMR (DMSO-d6):d 0.3-0.8(bs, 2H, CH2Si), 1.5-1.9(bs, 2H, CH2CH2CH2),
3.9-4.3(bs, 2H, NCH2), 5.46(d, 1H, CH2=CH-), 5.94(d,
1H, CH2=CH-), 7.25(dd, 1H, CH2=CH-), 7.77(m,
1H, NCHCHNCH2), 8.17(s, 1H, VyNCHCHN), 9.27(m, 1H,
NCHN). FT-IR(neat): 1654(dvinyl), 1018(Si-O-Si).
合成例2で合成したビニル基とアルコキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体(3)1.04gにアセトニトリル3.06gを加えた後、パラトルエンスルホン酸一水和物(ナカライテスク(株)製)30.7mgを水1.08gに溶解させた水溶液を加えて、室温で3時間撹拌した。その後70℃でさらに3時間撹拌した後、室温に戻した。溶媒を減圧留去し、高分子イオン性化合物を得た。得られた高分子イオン性化合物をジメチルホルムアミド4mLに溶解させた後、ポリエチレン容器に流し込み80℃で乾燥させると、高分子イオン性化合物の柔軟なフィルムが得られた。このようにして酸加水分解して得た高分子イオン性化合物の膜は粘着性を有するため、粘着性および接着性を必要とする帯電防止剤に利用できる。
上記のようにして得た高分子イオン性化合物は下記のようなスペクトルを示した。
1H NMR (DMSO-d6):d 0.2-1.1(bs, 2H, CH2Si), 1.5-2.2(bs, 2H, CH2CH2CH2),
3.1-3.9(bs, 0.7H, Si(OCH3)3), 3.9-4.5(bs, 2H, NCH2),
5.45(d, 1H, CH2=CH-), 5.93(d, 1H, CH2=CH-),
7.25(m, 1H, CH2=CH-), 7.78(s, 1H, NCHCHNCH2),
8.16(s, 1H, VyNCHCHN), 9.32(m, 1H, NCHN). FT-IR(neat): 1656(dvinyl), 1028(Si-O-Si).
合成例2で合成したビニル基とアルコキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体(3)1.04gにアセトニトリル3.01gを加えた後、0.1M 水酸化ナトリウム水溶液1.00gを加えて、70℃で3時間撹拌した後、室温に戻した。溶媒を減圧留去し、アルコキシシリル基が加水分解縮合した高分子イオン性化合物を得た。得られた高分子イオン性化合物をジメチルホルムアミド2gに溶解させた後、1重量パーセントに調製した2,2'−アゾビスイソブチロニトリルのジメチルホルムアミド溶液2.01gを加えた。この溶液をポリエチレン容器に流し込み80℃で乾燥させると、ビニル基がラジカル重合した高分子イオン性化合物の硬いフィルムが得られた。
[実施例5]
合成例2で合成したビニル基とアルコキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体(3)1.13gとカーボンナノチューブ0.04gを乳鉢で捏ねてペースト状にした後、水酸化ナトリウム(ナカライテスク(株)製)6.3mgを水0.20gに溶解させた水溶液を加えた。さらにペーストを捏ね、シリコンシートの上に塗布し80℃で乾燥させた。得られたカーボンナノチューブ高分子イオン性化合物複合体の面積抵抗は1.76×102Ω/cm2であり、導電性が付与された複合材料として利用可能である。
[実施例6]
合成例2で合成したビニル基とアルコキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体(3)1.19gとカーボンナノチューブ0.04gを乳鉢で捏ねてペースト状にした後、10重量パーセントに調製した2,2'−アゾビスイソブチロニトリルのジメチルホルムアミド溶液0.25gを加えた。さらにペーストを捏ね、不織布の上に塗布し80℃で乾燥させた。得られたカーボンナノチューブ高分子イオン性化合物複合体の面積抵抗は1.23×102Ω/cm2であり、導電性が付与された複合材料として利用可能である。
[実施例7]
合成例2で合成したビニル基とアルコキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体(3)1.12gと酸化亜鉛(住友大阪セメント(株))0.07gを乳鉢で捏ねてペースト状にした後、水酸化ナトリウム(ナカライテスク(株)製)6.0mgを水0.32gに溶解させた水溶液を加えた。さらにペーストを捏ね、ジメチルホルムアミド4.01gを加えた。この懸濁液をナスフラスコに入れ、70℃に加熱した後ポリエチレン容器に流し込み80℃で乾燥させると、酸化亜鉛高分子イオン性化合物複合体の膜が得られた。酸化亜鉛は紫外線反射機能を有するため、酸化亜鉛を含む高分子イオン性化合物複合体の膜は紫外線反射用の材料として用いることができる。
[実施例8]
合成例2で合成したビニル基とアルコキシシリル基を同一分子内に有するイオン液体(3)1.19gにジメチルホルムアミド2.00gを加えた。この溶液に70%チタニウムイソプロポキシド含有2−プロパノール溶液(シグマアルドリッチジャパン(株)製)0.10gを加えて撹拌した後、ポリエチレン容器に流し込み80℃で乾燥させると、ジルコニウム2w%含有高分子イオン性化合物複合体のより強い膜が得られた。ジルコニウムは屈折率が高い化合物であるため、ジルコニウム2w%含有高分子イオン性化合物複合体の膜は高屈折率材料として用いることができる。
従って、本発明のイオン液体のアルコキシシリル基を縮合させて高分子イオン性化合物を合成するに際に加水分解縮合を一度途中で止め、中間体として単離し、再度可溶化して完全に縮合させて製膜することができる。本発明における前記中間体をいろいろな用途に対応した中間体として目的物に塗布することもでき、塗布する際に、施工者は前記中間体を製造元から仕入れ、現場で溶かして塗るだけでいろいろな用途に対応した膜を製膜できるという簡便さを教授することができ、産業上においても大変利用価値の高いものである。
Claims (2)
- 有機の重合性官能基(RX)とアルコキシシリル基を同一分子内に有する下記一般式(1)から(4)で示される化合物の内いずれかの化合物を単独若しくは2種以上を混合したもの又は下記一般式(1)から(4)で示される化合物の内いずれかの化合物を単独若しくは2種以上と他の有機重合性化合物を混合したものを重合させて、有機の重合性官能基が重合した高分子イオン性化合物。
R1は、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基から選ばれるいずれかのアルキレン基であり、
R2は、メチル基又はエチル基であり、
また、R3、R4およびR5はお互いに独立して、水素、メチル基及びエチル基から選ばれるいずれかであり、
Xは、1価に帯電された塩素、臭素またはヨウ素のいずれかの塩形成アニオンであり、
Yは、Yは1価に帯電されたBF 4 − 、PF 6 − 、AsF − 、SbF 6 − 、AlCl 4 − 、FeCl 4 − 、(CF 3 SO 2 ) 2 N − 、(NC) 2 N − 、CF 3 SO 3 − 、CH 3 SO 3 − 、HSO 4 − 、CF 3 CO 2 − 、CH 3 CO 2 − 、CF 3 C 6 H 4 SO 3 − 及びCH 3 C 6 H 4 SO 3− から選ばれるいずれかの有機または無機の塩形成アニオンである。 - 請求項1に記載の一般式(1)から(4)で示される化合物の内いずれかの化合物を単独若しくは2種以上を混合して、加水分解縮合させてアルコキシシリル基を縮合した高分子イオン性化合物を単独若しくは2種以上を有機の重合性官能基を重合させて、又は前記高分子イオン性化合物を単独若しくは2種以上と他の有機重合性化合物を混合したものを有機の重合性官能基を重合させて、重合した高分子イオン性化合物。
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