JP5524214B2 - 細胞容積モル浸透圧濃度を調節するための組成物および方法 - Google Patents

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Description

本出願は、2008年9月15日に出願した米国仮出願第61/097,149号の利益を主張し、全内容が本明細書に援用される。
本発明は一般的に、分子および細胞生物学、細胞培養系およびバイオリアクターに関し、細胞培養におけるポリペプチドなどの産物の組換え産生に関する。特に、本発明は、細胞、例えば、バイオリアクター中の培養細胞を含めた培養細胞における細胞内容積モル浸透圧濃度を調節するための組成物および方法を提供する。
哺乳類細胞を培養するバイオリアクターは、成長因子、血栓溶解薬、インターフェロン、インターロイキン、エリスロポエチン、コロニー刺激因子および他の様々なサイトカインならびに抗体などの組換えタンパク質系薬物を製造するのに用いられている。しかし、バイオリアクターにおいて、培養物の重量モル浸透圧濃度は、pHを調節するための塩基の添加ならびに培養物に必要なエネルギーを供給するための栄養物および補給物の供給の結果として増加する。一般的に、回分式バイオリアクターの作動を通して、重量モル浸透圧濃度は、約300ミリオスモル/kg(mOsm)から時には600mOsmもの高い値に増加する。300mOsmの細胞培養物と比較して、ある範囲の(340mOsmを上回り、400から450mOsmの間に含まれる閾値を下回る)重量モル浸透圧濃度では哺乳類細胞の比生産性は増加するが、細胞の成長率は低下し、細胞の死亡率は影響を受けないことが示された。ほとんどの細胞株について、重量モル浸透圧濃度閾値が存在し、この閾値を上回ると細胞の死亡率が重量モル浸透圧濃度とともに劇的に増加すると考えられている(多くの場合、当閾値は400から450mOsmの間に含まれると考えられている)。
バイオリアクターにおいて、重量モル浸透圧濃度の上昇は、張性の増大(NaClの増加)と関連付けられる。高NaClは、TonEを活性化する、転写因子張性応答エンハンサー結合タンパク質/浸透圧応答エレメント結合タンパク質(TonEBP/OREBP、TonEは「張性エンハンサー」または「浸透圧応答エレメント」とも呼ばれる)を活性化し、そのプロモーターがその同種結合部位:エンハンサーORE/TonEにより制御されるいくつかの保護遺伝子の転写の増大をもたらす。
TonEBP/OREBP転写活性の調節は複雑である。高張性の30分以内に、TonEBP/OREBPは、リン酸化された状態になり、核内に転位する。数時間後に、TonEBP/OREBP mRNAおよびタンパク質の存在量が増加する。また、高張性は、その転写活性化ドメインのリン酸化に伴う、TonEBP/OREBPの転写活性化活性を増大させる。より緩やかに、高張性は、そのmRNAおよびタンパク質合成の誘導によりTonEBP/OREBPの存在量を増加させる。
本発明は、(a)転写調節配列に作動可能に連結した少なくとも1つのTonEBP応答またはNFATc応答転写エンハンサーを含む少なくとも1つの浸透圧応答転写調節エレメント(ORTRE);(b)転写調節配列が真核細胞において転写活性があるか、または転写調節配列が真核細胞由来である、(a)の核酸分子;(c)転写調節配列が脊椎動物、哺乳類の動物、ヒト、昆虫、植物、酵母もしくは真菌細胞、もしくはウイルスにおいて転写活性があるか、または転写調節配列が脊椎動物、哺乳類の動物、ヒト、昆虫、植物、酵母もしくは真菌細胞、もしくはウイルス由来であるか、または転写調節配列が合成配列である、(a)または(b)の核酸分子;または(d)転写調節配列がプロモーターおよび/もしくはエンハンサーを含む、(a)の核酸分子を含む単離、合成または組換え核酸分子を提供する。
代替実施形態では、少なくとも1つのTonEBP応答またはNFATc応答転写エンハンサー分子(配列)は、センスもしくはアンチセンス方向でプロモーターの5’側に位置する;または少なくとも1つのTonEBP応答もしくはNFATc応答転写エンハンサー配列は、センスもしくはアンチセンス方向でプロモーターの3’側に位置する;または少なくとも1つのTonEBP応答もしくはNFATc応答転写エンハンサー配列は、センスもしくはアンチセンス方向でプロモーターの5’側に位置し、第2、第3および/または付加的なTonEBP応答もしくはNFATc応答転写エンハンサー配列は、センスもしくはアンチセンス方向でプロモーターの3’側に位置する。
代替実施形態では、OR−TREは、TonEBP応答またはNFATc応答転写エンハンサー配列に作動可能に連結した少なくとも1つのアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーをさらに含む。アクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは、センスもしくはアンチセンス方向でOR−TREの5’側に位置していてよい;またはアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは、センスもしくはアンチセンス方向でOR−TREの3’側に位置していてよい;またはアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは、センスもしくはアンチセンス方向でOR−TREの5’側に位置していてよく、第2、第3および/もしくは付加的なアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは、センスもしくはアンチセンス方向でOR−TREの3’側に位置する。
代替態様では、アクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは、センスもしくはアンチセンス方向でプロモーターの5’側に位置している;またはアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは、センスもしくはアンチセンス方向でプロモーターの3’側に位置している;またはアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは、センスもしくはアンチセンス方向でプロモーターの5’側に位置し、第2のアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは、センスもしくはアンチセンス方向でプロモーターの3’側に位置している。
一実施形態では、少なくとも1つのTonEBP応答もしくはNFATc応答転写エンハンサーおよび/または少なくとも1つのアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは、真核生物(例えば、脊椎動物、哺乳類動物、ヒト、昆虫、酵母もしくは真菌)、原核生物、植物、ウイルスおよび/または合成核酸分子配列を有する(含む)か、またはさらに含む。
代替実施形態では、少なくとも1つのTonEBP応答転写エンハンサーは、5’−(T/A/C)GGAA(A/T)NN(T/A/C)N(T/A/C)−3’(配列番号1)(式中、Nが任意の核酸残基であってよい)の核酸配列を含み、かつ/または少なくとも1つのNFATc応答転写エンハンサーは、5’−(T/A/C)GGAA(C/G)(A/G)−3’(配列番号2)もしくは5’−(T/A/C)GGAAANN(T/A/C)N(T/A/C)−3’(配列番号4)(式中、Nが任意の核酸残基であってよい)の核酸配列を含み、かつ/または少なくとも1つのアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは、5’−TGA(C/G)TCA−3’(配列番号3)の核酸配列を含む。
代替実施形態では、少なくとも1つのTonEBP応答転写エンハンサーは、5’−(T/A/C)GGAAANN(T/A/C)N(T/A/C)−3’(配列番号4)のヌクレオチド配列を含み、かつ/または該少なくとも1つのNFATc応答転写エンハンサーは、5’−TGGAAATTTGT−3’(配列番号5)の核酸配列を含み、かつ/または少なくとも1つのアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは、5’−TGACTCA−3’(配列番号6)の核酸配列を含む。
一実施形態では、OR−TREは、5’−TTGGAAAATCACCAGAATGGGATTTAGAGAGGTGGGGTTCCTGACTCATT−3’(配列番号7)、または(配列番号7)の残基2〜12(5’−TGGAAAATCAC−3’に相当する)(配列番号9)、または5’−TTGACTAGTTGGAAAATCACCAGAATGGGATTTAGAGAGGTGGGGTTCCTGACTCATTGCTAGCTCGAGCTCGGTACCCGGGTCGAGTAGGCGTGTACGGTGGGAG−3’(配列番号8)のヌクレオチド配列を含み、(配列番号7)および(配列番号8)におけるTonEおよびAP1結合部位は太字である。
一実施形態では、本発明の浸透圧応答構築物に用いるTonEBP応答転写エンハンサーエレメント(配列)は、アミノ酸残基モチーフRAHYETEG(配列番号9)を含むタンパク質に特異的に結合する核酸を含む。
一実施形態では、少なくとも1つのTonEBP応答転写エンハンサーは少なくとも1つのアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーの5’側に位置するか、または少なくとも1つのアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサー配列は少なくとも1つのTonEBP応答転写エンハンサーの5’側に位置する。
代替実施形態では、少なくとも1つのTonEBP応答転写エンハンサー配列は、少なくとも1つのアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400または500またはそれ以上のヌクレオチド残基内に位置する。
代替実施形態では、少なくとも1つのTonEBP応答転写エンハンサーは、プロモーターの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400または500またはそれ以上のヌクレオチド残基内に位置する。
代替実施形態では、少なくとも1つのアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサー配列は、プロモーターの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400または500またはそれ以上のヌクレオチド残基内に位置する。
代替実施形態では、プロモーターは、構成プロモーター、誘導プロモーター、合成プロモーター、哺乳類プロモーター、細菌プロモーター、植物プロモーター、酵母プロモーター、真菌プロモーター、ウイルスプロモーターまたはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。
代替実施形態では、OR−TREは、1つから10(1〜10)もしくはそれ以上のTonEBP応答転写エンハンサーを含み、かつ/またはOR−TREは、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10もしくはそれ以上のアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーを含む。
代替実施形態では、核酸分子は、細胞、例えば、真核細胞において転写活性のあるプロモーターに作動可能に連結した1つまたは複数の付加的な核酸分子(配列)をさらに含む。付加的な核酸分子または複数の核酸分子(配列)は、1つもしくは複数のタンパク質コード化核酸分子、または1つもしくは複数の調節核酸(抑制、安定化または上方制御機能または効果を有する核酸)を含み得る。例えば、調節核酸は、1つまたは複数のセンスまたはアンチセンス核酸分子(配列)であってよい。代替実施形態では、付加的な核酸分子は、(a)タンパク質コード化核酸分子;(b)調節核酸分子;または(c)(b)の核酸分子を含み、該調節核酸分子は、抑制性、安定化もしくは上方制御核酸分子、またはセンスもしくはアンチセンス配列である。
代替実施形態では、付加的な核酸分子は、浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドをコード化する核酸分子(配列)を含み、または付加的な核酸分子は、抗アポトーシスタンパク質;細胞に酸化ストレスに対する抵抗性を付与するタンパク質;タンパク質の折りたたみの促進に関与するシャペロンタンパク質;タンパク質の細胞外分泌に関与するタンパク質;解糖系酵素;細胞周期調節タンパク質;グリコシル化酵素;もしくはそれらの任意の組合せをコード化する核酸分子(配列)を含む。
代替実施形態では、調節核酸、例えば、抑制性核酸分子は、センス配列、アンチセンス配列、リボザイム、短鎖干渉RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む。付加的な核酸分子は、NFATcまたはTonEBPポリペプチドをコード化する核酸分子を含み得る。
本発明は、(a)核酸の転写を調節または促進する、核酸に作動可能に連結した本発明の少なくとも1つのOR−TRE;(b)転写核酸がポリペプチドコード化核酸分子をコード化する(含む)、(a)の核酸分子;(c)転写核酸が(i)浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチド、または重量モル浸透圧濃度が増加しつつある環境にある細胞を保護する、または高重量モル浸透圧濃度もしくは漸増高重量モル浸透圧濃度の条件下の細胞を保護するタンパク質;(ii)抗アポトーシスタンパク質;(iii)細胞に酸化ストレスに対する抵抗性を付与するタンパク質;(iv)タンパク質の折りたたみの促進に関与するシャペロンタンパク質;(v)タンパク質の細胞外分泌に関与するタンパク質;(vi)解糖系酵素;(vii)細胞周期調節タンパク質;(viii)グリコシル化酵素;または(ix)(i)から(viii)の任意の組合せをコード化する、(b)の核酸分子;(d)転写核酸が調節核酸、例えば、抑制性、安定化もしくは上方制御核酸分子、またはセンスもしくはアンチセンス配列を含む核酸分子を含む、(a)の核酸分子;(e)調節核酸分子、例えば、抑制性、安定化または上方制御核酸分子が、センス、アンチセンス配列、リボザイム、短鎖干渉RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む、(d)の核酸分子;(f)転写核酸がNFATcポリペプチド、AP−1ポリペプチド、TonEBPポリペプチド、カルシニューリンポリペプチドまたはそれらの組合せをコード化する、(b)のポリペプチドコード化核酸分子を含む単離、合成または組換え浸透圧応答核酸分子を提供する。
代替実施形態では、浸透圧保護性タンパク質または浸透圧保護性ペプチドは、プロリンもしくはグリシンベタイン、タウリン輸送体、グリシンベタイン−γ−アミノ酪酸輸送体、ナトリウム−ミオイノシトール共輸送体、熱ショックタンパク質、アクアポリン、またはアルドースレダクターゼである。抗アポトーシスタンパク質は、Bcl−2、Bcl−xL、Mcl−1、BHRF1、X−IAP、IAP1、IAP2IEX−1L、Bfl−1またはBcl−wであり得る。細胞に酸化ストレスに対する抵抗性を付与するタンパク質は、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ペルオキシレドキシン、スルフィレドキシン、チオレドキシン、チオレドキシンレダクターゼ、チオレドキシンペルオキシダーゼ、チオールトランスフェラーゼ、グルタレドキシンまたはグルタチオンレダクターゼであり得る。
代替実施形態では、タンパク質折りたたみの促進に関与するシャペロンタンパク質は、結合免疫グロブリンタンパク質(binding immunoglobulin protein、BiP)、カルネキシン、カルレチクリン、ERp57またはタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)である。
解糖系酵素は、ピルビン酸カルボキシラーゼまたはピルビン酸キナーゼであり得る。細胞周期調節タンパク質は、サイクリンもしくはサイクリン依存性キナーゼまたはサイクリンもしくはサイクリン依存性キナーゼの阻害剤であり得る。
本発明は、標的核酸分子を含む少なくとも1つの核酸分子に作動可能に連結した少なくとも1つの浸透圧応答転写調節エレメントを含む単離、合成または組換え核酸分子を提供する。標的核酸分子は、泌乳刺激遺伝子、泌乳刺激メッセージまたは泌乳刺激タンパク質の発現を減少させるための泌乳刺激遺伝子、泌乳刺激メッセージまたは泌乳刺激タンパク質を標的とする核酸分子を含み得る。泌乳刺激遺伝子は、乳酸デヒドロゲナーゼであり得る。泌乳刺激遺伝子または泌乳刺激遺伝子メッセージを標的とする核酸分子を含む核酸は、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンスRNAおよび/またはリボザイム活性を有するRNAを含み得る。一実施形態では、少なくとも1つの浸透圧応答転写調節エレメントは、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)を含む。
一態様では、浸透圧応答核酸分子は、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域または5’非翻訳領域および3’非翻訳領域の両方を含む転写物(メッセージ)をコード化する核酸分子をさらに含む。一態様では、浸透圧応答核酸分子は、一実施形態では、5’非翻訳領域内に位置し、または3’非翻訳領域内に位置し得る、少なくとも1つの転写または翻訳調節配列をさらに含む。
本発明は、(a)本発明の核酸分子、(b)本発明の核酸および/または(c)本発明の浸透圧応答核酸を含むベクターを提供する。代替実施形態では、ベクターは、発現カセット、組換えウイルス、プラスミド、ファージ、ファージミド、人工染色体もしくはクローニング媒体であり、またはベクターは、バクテリオファージP1由来ベクター、細菌人工染色体、酵母人工染色体または哺乳類人工染色体であり、またはベクターは、染色体外エピソームである。一態様では、ベクターは組込みベクターである。
本発明は、(a)本発明の核酸、(b)本発明の核酸および/または(c)本発明の浸透圧応答核酸、または(b)本発明のベクターを含む細胞を提供する。代替実施形態では、細胞は、哺乳類細胞、ヒト細胞、マウス細胞、昆虫細胞、真菌細胞、細菌細胞、植物細胞、不死細胞またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。細胞中のベクターは、染色体外エピソームであってよく、またはベクターは、細胞のゲノムに安定に組み込むことができる。本発明の核酸は、エピソーム、一過性発現構築物、または、あるいは安定なゲノム挿入断片であってよい、ゲノム組込み発現構築物であってよい。
本発明は、本発明の細胞を含む、バイオリアクター、培養皿、ペトリ皿、試験管、ローラーボトルなどを提供する。
本発明は、浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドまたは浸透圧保護性調節核酸分子を発現させることを含む、重量モル浸透圧濃度が増加しつつある環境にある、もしくは高重量モル浸透圧濃度もしくは漸増高重量モル浸透圧濃度の条件下の細胞を保護する、または細胞中の重量モル浸透圧濃度または容積モル浸透圧濃度を維持する方法を提供し、この方法は、(a)本発明の核酸分子および/もしくは本発明の浸透圧応答核酸分子、または本発明のベクターを含み;浸透圧保護性タンパク質もしくはペプチドをコード化し、またはそれ自体浸透圧保護性核酸分子であるポリヌクレオチドを細胞に導入すること;ならびに(b)浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドまたは浸透圧保護性調節核酸が発現し、それにより重量モル浸透圧濃度が増加しつつある環境にある、または高重量モル浸透圧濃度もしくは漸増高重量モル浸透圧濃度の条件下の細胞を保護するように細胞を培養することを含む。
これらの方法の代替態様では、浸透圧保護性タンパク質もしくはペプチドは、(i)重量モル浸透圧濃度が増加しつつある環境にある細胞を保護する(例えば、高重量モル浸透圧濃度もしくは漸増高重量モル浸透圧濃度の条件下の細胞を保護する)タンパク質;(ii)抗アポトーシスタンパク質;(iii)細胞に酸化ストレスに対する抵抗性を付与するタンパク質;(iv)タンパク質の折りたたみの促進に関与するシャペロンタンパク質;(v)タンパク質の細胞外分泌に関与するタンパク質;(vi)解糖系酵素;(vii)細胞周期調節タンパク質;(viii)グリコシル化酵素;または(ix)(i)から(viii)の任意の組合せを含む。
本発明は、細胞(例えば、バイオリアクター内の細胞のような培養細胞を含む)における組換えタンパク質の産生を増加させる、または産生を調節する、あるいは細胞(例えば、バイオリアクター内の細胞のような培養細胞を含む)中の高重量モル浸透圧濃度の条件下で正しく折りたたまれたタンパク質または正しくグリコシル化されたタンパク質の産生を増加させる方法であって、(a)組換えタンパク質をコード化する異種または組換え核酸分子を準備すること;ならびに(b)本発明の核酸および/または本発明の浸透圧応答核酸(核酸分子が浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドをコード化する)、あるいは浸透圧保護性調節核酸を含むポリヌクレオチドを細胞に安定または一時的に挿入すること;ならびに(c)(b)の浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドまたは浸透圧保護性調節核酸および(a)の組換えタンパク質が発現する条件下で細胞を培養し、それにより、細胞中の組換えタンパク質の産生を増加させる、または産生を調節する、あるいは細胞中の高重量モル浸透圧濃度の条件下で正しく折りたたまれたタンパク質または正しくグリコシル化されたタンパク質の産生を増加させる、または産生を調節することを含む方法を提供する。
本発明は、バイオリアクター、インプラントまたは人工器官における細胞中の組換えタンパク質の産生を増加させる、または産生を調節する、あるいは細胞中の高重量モル浸透圧濃度の条件下で正しく折りたたまれたタンパク質または正しくグリコシル化されたタンパク質の産生を増加させる、または産生を調節する方法であって、(a)細胞が本発明の核酸および/または本発明の浸透圧応答核酸分子、あるいは本発明のベクターを含み、核酸分子またはベクターが浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドをコード化する、本発明の細胞を含むバイオリアクター、インプラントまたは人工器官を準備すること;ならびに(b)浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドまたは浸透圧保護性調節核酸、ならびに組換えタンパク質が発現する条件下で細胞を培養すること、あるいは細胞による浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドまたは浸透圧保護性調節核酸、ならびに組換えタンパク質の発現を可能にする条件下にバイオリアクター、インプラントまたは人工器官を置くことを含む方法を提供する。
本発明は、浸透ストレスまたは浸透圧ショックに対する細胞の適応性または抵抗性を付加または増強する方法であって、本発明の核酸および/もしくは本発明の浸透圧応答核酸、または本発明のベクターを含むポリペプチドを細胞に導入することを含み、核酸またはベクターが浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドまたは浸透圧保護性調節核酸をコード化する、方法を提供する。代替態様では、本明細書で用いているように、浸透ストレスが培養系、細胞等の重量モル浸透圧濃度(ストレス)の緩やかな変化を含むのに対して、浸透圧ショックが培養系、細胞等の重量モル浸透圧濃度(ストレス)の急激な変化(ショック)を含むという点で、浸透ストレスは浸透圧ショックと異なる。
これらの方法の代替態様では、該方法は、高張浸透ストレスまたは高張浸透圧ショックに対する細胞の適応性または抵抗性を付加または増強し、あるいは該方法は、低張浸透ストレスまたは低張浸透圧ショックに対する細胞の適応性または抵抗性を付加または増強する。
本発明は、細胞中の組換えタンパク質の産生を増加させる、もしくは産生を調節する、または細胞中の高重量モル浸透圧濃度の条件下で正しく折りたたまれたタンパク質もしくは正しくグリコシル化されたタンパク質の産生を増加させる方法であって、(a)組換えタンパク質をコード化する異種または組換え核酸分子を準備すること;ならびに(b)核酸またはベクターが浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドをコード化する、本発明の核酸および/または本発明の浸透圧応答核酸分子、あるいは本発明のベクターを含むポリヌクレオチドを細胞に安定的にまたは一過性に挿入すること;ならびに(c)(b)の浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドまたは浸透圧保護性核酸、および(a)の組換えタンパク質が発現する条件下で細胞を培養することを含む方法を提供する。
本発明は、インプラントまたは人工器官における組換えタンパク質の産生を増加させる、または産生を調節する、あるいはインプラントまたは人工器官における高重量モル浸透圧濃度の条件下で正しく折りたたまれたタンパク質または正しくグリコシル化されたタンパク質の産生を増加させる方法であって、(a)組換えタンパク質をコード化する異種または組換え核酸分子を含む細胞を準備すること;ならびに(b)核酸分子が浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドまたは浸透圧保護性核酸分子をコード化する、本発明の核酸および/または本発明の浸透圧応答核酸分子、あるいは本発明のベクターを含むポリヌクレオチドを細胞に安定的にまたは一過性に挿入すること;ならびに(c)細胞をインプラントまたは人工器官に挿入し、細胞中の浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドまたは浸透圧保護性核酸分子、および組換えタンパク質の発現を可能にする条件にインプラントまたは人工器官を維持し、それにより、インプラントまたは人工器官における組換えタンパク質の産生を増加させる、あるいは産生を調節することを含む方法を提供する。
本発明は、高密度または後期細胞産生系において生体分子を効率よく産生する、あるいは高密度または後期細胞産生系において総生体分子のより高い収量または翻訳後処理タンパク質のより高い収量を可能にする方法であって、(a)核酸分子が浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチドまたは浸透圧保護性核酸分子をコード化する、本発明の核酸および/または本発明の浸透圧応答核酸分子、あるいは本発明のベクターを含むポリヌクレオチドを、生体分子を産生することができる細胞に安定的にまたは一過性に挿入すること;(b)生体分子が小分子、ポリペプチドおよび/または核酸である、(a)の方法;あるいは(c)適切に折りたたまれた、もしくは好ましくは折りたたまれた(例えば、野生型折りたたみ、野生型パターンの折りたたみ)またはグリコシル化されたポリペプチドのより高い収量をもたらす、(a)または(b)の方法を含む方法を提供する。
本発明は、本発明の細胞、本発明のベクターおよび/または本発明の浸透圧応答核酸分子を含む人工器官またはインプラントを提供する。本発明は、本発明の細胞、本発明のベクターおよび/または本発明の浸透圧応答核酸分子を含む製造品を提供する。本発明は、本発明の細胞、本発明の核酸分子、本発明のベクターおよび/または本発明の浸透圧応答核酸分子を含むキットを提供する。一態様では、キットは、本発明の方法を実施することに関する説明書をさらに含む。
したがって、特定の実施形態では、本発明は、転写制御因子に作動可能に連結した少なくとも1つのTonEBP応答転写エンハンサーまたはNFATc応答転写エンハンサーと、前記TonEBP応答転写エンハンサーまたはNFATc応答転写エンハンサーに作動可能に連結した少なくとも1つのアクチベータータンパク質(AP−1)応答転写エンハンサーとを含む少なくとも1つの浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)を含む単離された核酸分子を提供する。転写制御因子は、例えば、プロモーター、エンハンサーまたはそれらの組合せであってよい。いくつかの実施形態では、第1のTonEBP応答転写エンハンサーまたはNFATc応答転写エンハンサーはプロモーターの5’側に位置し、第2のTonEBP応答転写エンハンサーまたはNFATc応答転写エンハンサーはプロモーターの3’側に位置している。いくつかの実施形態では、第1のアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーはOR−TREの5’側に位置し、第2のアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーはOR−TREの3’側に位置している。いくつかの実施形態では、アクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは転写制御因子の5’側に位置し、転写制御因子はプロモーターである。さらに他の実施形態では、アクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは、プロモーターである転写制御因子の3’側に位置している。他の実施形態では、第1のアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは転写制御因子の5’側に位置し、第2のアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーは転写制御因子の3’側に位置し、第1の転写制御因子および第2の転写制御因子は両方ともプロモーターである。いくつかの実施形態では、核酸分子は、(a)配列番号1の核酸配列を含む少なくとも1つのTonEBP応答転写エンハンサー;または(b)配列番号2もしくは配列番号4の核酸配列を含む少なくとも1つのNFATc応答転写エンハンサー;または(c)配列番号3の核酸配列を含む少なくとも1つのアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサー(Nは任意のヌクレオチドであり得る)を含む。
特定の実施形態では、本発明のOR−TREは、配列番号7、配列番号8または配列番号9のヌクレオチド配列を含む。
本発明の核酸分子は、真核細胞において転写活性のあるプロモーターである転写制御因子に作動可能に連結した付加的な核酸分子をさらに含んでいてよい。付加的な核酸分子は、タンパク質コード化核酸分子(例えば、対象のタンパク質をコード化する)または調節核酸分子(例えば、抑制性分子、安定化分子、上方制御核酸分子、またはアンチセンス分子を生成するもの)であってよい。いくつかの実施形態では、抑制性核酸分子は、アンチセンス配列、リボザイム、短鎖干渉RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む。いくつかの実施形態では、付加的な核酸分子は、例えば、プロリンもしくはグリシンベタイン、タウリン輸送体、グリシンベタイン−γ−アミノ酪酸輸送体、ナトリウム−ミオイノシトール共輸送体、熱ショックタンパク質、アクアポリン、アルドースレダクターゼまたは神経障害標的エステラーゼ(NTE)などの浸透圧保護性タンパク質または浸透圧保護性ペプチドをコード化する。他の実施形態では、付加的な核酸分子は、細胞中で発現するタンパク質に有益な特性を付与するタンパク質もしくはペプチドをコード化する。有益性を付与するタンパク質は、例えば、抗アポトーシスタンパク質(例えば、Bcl−2、Bcl−xL、Mcl−1、BHRF1、X−IAP、IAP1、IAP2IEX−1L、Bfl−1またはBcl−w);細胞に酸化ストレスに対する抵抗性を付与するタンパク質(例えば、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ペルオキシレドキシン、スルフィレドキシン、チオレドキシン、チオレドキシンレダクターゼ、チオレドキシンペルオキシダーゼ、チオールトランスフェラーゼ、グルタレドキシンまたはグルタチオンレダクターゼ);タンパク質折りたたみの促進に関与するシャペロンタンパク質(例えば、結合免疫グロブリンタンパク質(BiP)、カルネキシン、カルレチクリン、ERp57またはタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI));タンパク質の細胞外分泌に関与するタンパク質;解糖系酵素(例えば、ピルビン酸カルボキシラーゼまたはピルビン酸キナーゼ);細胞周期調節タンパク質(例えば、サイクリンもしくはサイクリン依存性キナーゼまたはサイクリンもしくはサイクリン依存性キナーゼの阻害剤);グリコシル化酵素、あるいはそれらの任意の組合せであってよい。他の実施形態では、付加的な核酸分子は、NFATcまたはTonEBPポリペプチドをコード化する。
いくつかの実施形態では、OR−TREは、例えば、泌乳刺激遺伝子(例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ)、泌乳刺激メッセージまたは泌乳刺激タンパク質の発現を減少させるための泌乳刺激遺伝子、泌乳刺激メッセージまたは泌乳刺激タンパク質を標的とする核酸分子などの少なくとも1つのターゲティング核酸分子に作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、泌乳刺激遺伝子または泌乳刺激メッセージを標的とするこれらの核酸分子は、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンスRNAおよび/またはリボザイム活性を有するRNAを含む。
本発明は、本発明の核酸を含むベクターおよびそのようなベクターを含む宿主細胞を含む。
特定の実施形態では、本発明の核酸分子は、(i)真核細胞において転写活性のあるプロモーターである転写制御因子に作動可能に連結した、細胞中で発現するタンパク質に有益な特性を付与するポリペプチドをコード化する付加的な核酸分子、および(ii)細胞中で発現させるべき対象のタンパク質をコード化する核酸をさらに含み、(i)の核酸分子の発現が、(ii)の核酸分子によってコード化されるポリペプチドに前記有益な特性を与える。そのような実施形態では、(i)の分子は、抗アポトーシスタンパク質;細胞に酸化ストレスに対する抵抗性を付与するタンパク質;タンパク質の折りたたみの促進に関与するシャペロンタンパク質;タンパク質の細胞外分泌に関与するタンパク質;解糖系酵素;細胞周期調節タンパク質;グリコシル化酵素またはそれらの任意の組合せからなる群から選択されるポリペプチドをコード化する。
本発明はまた、高重量モル浸透圧濃度の条件下の細胞を保護する方法であって、
(a)(i)浸透圧保護性タンパク質または浸透圧保護性ペプチドをコード化する核酸分子または調節核酸分子と、(ii)プロモーターに作動可能に連結した第2の対象のタンパク質をコード化するポリヌクレオチドとを含むポリヌクレオチドを細胞に導入すること、および
(b)浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチド、または浸透圧保護性調節核酸および対象のタンパク質が発現し、それにより、高重量モル浸透圧濃度の条件下の細胞を保護し、第2の対象のタンパク質の発現を可能にするように細胞を培養すること
を含む方法を提供する。
これらの実施形態では、浸透圧保護性タンパク質または浸透圧保護性ペプチドは、例えば、プロリンもしくはグリシンベタイン、タウリン輸送体、グリシンベタイン−γ−アミノ酪酸輸送体、ナトリウム−ミオイノシトール共輸送体、熱ショックタンパク質、アクアポリン、アルドースレダクターゼまたは神経障害標的エステラーゼ(NTE)であってよい。
本発明はまた、高重量モル浸透圧濃度の条件下の細胞中の対象のタンパク質を発現させる方法であって、
(a)(i)発現タンパク質に有益な特性を付与するタンパク質をコード化する核酸分子と、(ii)プロモーターに作動可能に連結した、第2の対象のタンパク質をコード化するポリヌクレオチドとを含むポリヌクレオチドを細胞に導入すること、および
(b)前記細胞を高重量モル浸透圧濃度の条件下で増殖させる場合に、(i)の核酸分子の発現が、(ii)のポリヌクレオチドによりコード化されるポリペプチドに前記有益な特性を与えるように細胞を培養すること
を含む方法を提供する。
これらの実施形態では、細胞中で発現するタンパク質に有益な特性を付与するタンパク質またはペプチドは、例えば、抗アポトーシスタンパク質;細胞に酸化ストレスに対する抵抗性を付与するタンパク質;タンパク質の折りたたみの促進に関与するシャペロンタンパク質;タンパク質の細胞外分泌に関与するタンパク質;解糖系酵素;細胞周期調節タンパク質;グリコシル化酵素またはそれらの任意の組合せであってよい。
本発明の方法において、細胞を最初に通常の培養条件(すなわち、標準的な張性条件を含む)下で培養することができ、その後、前記第2の対象のタンパク質の発現を増大させるのに十分な量に重量モル浸透圧濃度を上昇させるように培養条件を変更することができる。これは、前記重量モル浸透圧濃度を上昇させる化合物を培養物に混入することによって達成することができる。
いくつかの実施形態では、培養物中の後期のタンパク質の発現(培養条件が重量モル浸透圧濃度を増加させた場合の)は、細胞に対して有毒であるタンパク質、不安定であるタンパク質、または通常の培養条件下で発現するのが困難であるタンパク質のようなタンパク質を産生するのに有益である。
他の実施形態では、初期の培養条件は標準的培養条件であり、培養物が細胞培養の過程で高浸透圧になることを可能にし、それにより、OR−TREの制御下にある前記第2の対象のタンパク質の発現を増大させる。これらのタンパク質は、細胞に対して有毒であるタンパク質、不安定であるタンパク質、または通常の培養条件下で発現するのが困難であるタンパク質であり得る。
本発明はさらに、浸透ストレスまたは浸透圧ショックに対する細胞の適応性または抵抗性を付加または増強する方法であって、本発明の核酸分子を含むポリヌクレオチドを細胞に導入することを含み、付加的な核酸分子が(a)浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチド;または(b)浸透圧保護性調節核酸分子である、方法を提供する。
本発明はさらに、高重量モル浸透圧濃度の条件下の細胞中の対象のタンパク質を発現させる方法であって、
(a)TonEBPをコード化するタンパク質コード化核酸分子と、
(b)第2のOR−TREに作動可能に連結した、第2の対象のタンパク質をコード化するポリヌクレオチドと
を含むポリヌクレオチドを細胞に導入することを含み、上昇した重量モル浸透圧濃度の条件下で(a)の核酸分子が発現し、それによりTonEBPタンパク質を発現させ、TonEBPタンパク質がTonEBPおよび前記第2の対象のタンパク質の発現を正に調節する、方法を提供する。これは、正のフィードバックループシステムを創出する。これらの実施形態では、第2の対象のタンパク質は、例えば、浸透圧保護性タンパク質(例えば、プロリンもしくはグリシンベタイン、タウリン輸送体、グリシンベタイン−γ−アミノ酪酸輸送体、ナトリウム−ミオイノシトール共輸送体、熱ショックタンパク質、アクアポリン、アルドースレダクターゼまたは神経障害標的エステラーゼ(NTE));前記細胞によって発現されるポリペプチドに有益な特性を付与するタンパク質(例えば、抗アポトーシスタンパク質;細胞に酸化ストレスに対する抵抗性を付与するタンパク質;タンパク質の折りたたみの促進に関与するシャペロンタンパク質;タンパク質の細胞外分泌に関与するタンパク質;解糖系酵素;細胞周期調節タンパク質;グリコシル化酵素;またはそれらの任意の組合せ)であってよい。いくつかの実施形態では、該方法は、プロモーターに作動可能に連結した第3の対象のタンパク質の発現を含むことができ、有益な特性を付与するタンパク質は第3の対象のタンパク質に作用する。
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細を添付図面および下の記述において示す。本発明の他の特徴、目的および長所は、記述および図面から、また特許請求の範囲から明らかである。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許、特許出願、GenBank配列およびATCC寄託物は、全ての目的のために参照により明示的に組み込まれている。
以下で詳細に説明するように、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)が、どのように浸透圧許容度を増加させるかの概略を示す図である。 以下の実施例1で詳細に説明するように、トランスフェクト細胞に由来する上清中のマーカーを測定することによって、本発明の構築物の転写を上方制御する活性を実証する実験の概略を示す図である。 以下の実施例1で詳細に説明するように、本発明の例示的な浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)の概略を示す図である。 以下の実施例1で詳細に説明するように、図3に例示した本発明の例示的な浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)のin vivoにおける浸透圧保護性効果の概略を示す図である。 以下の実施例1で詳細に説明するように、それらの構成的発現レベルで正規化したPOR3およびPOR7駆動発現レベルの概略を示す図である。これら様々な図面中の類似の参照シンボルは、類似要素を示す。 高張培地中におけるタンパク質生成に対する1つ、3つまたは、7つのOREの効果を示す図である。
本発明は、細胞中、例えば、バイオリアクターに用いられる細胞などの培養細胞中の細胞内容積モル浸透圧濃度を調節するための組成物および方法を提供する。一態様では、本発明は、培養哺乳類細胞中の細胞内容積モル浸透圧濃度を調節するための組成物および方法を提供する。一実施形態では、本発明は、人工(組換え)浸透圧センシング、または「浸透圧応答」遺伝子発現系、ならびにそれらを調製し、使用する方法を提供する。他の実施形態では、これらの浸透圧センシング、または「浸透圧応答」遺伝子発現系を細胞に組み込むことにより、本発明はまた、高い浸透圧応答、または浸透圧センシングメカニズムを有する遺伝子改変細胞を提供する。したがって、一態様では、これらの細胞を培養系、例えば、バイオリアクターに用いる場合、それらの高い浸透圧応答性(例えば、高張または低張浸透ストレスに対する高い抵抗性)は、より良好な細胞の健康および生存、ならびに培養系またはバイオリアクターにおける生成物の生産の増加または促進をもたらす。
一実施形態では、本発明の構築物(例えば、本発明の構築物における核酸)の転写を誘導または減少させるシグナルが、例えば、バイオリアクター、培養皿、ペトリ皿、試験管、ローラーボトル、インプラント、人工器官などにおけるような培養液中の細胞の細胞内および/または細胞外環境における容積モル浸透圧濃度、重量モル浸透圧濃度および/または張性の変化(例えば、高重量モル浸透圧濃度の状態を引き起こすまたは高重量モル浸透圧濃度の程度を増加させる変化)である場合に、本発明の構築物を誘導核酸および/またはポリペプチド発現系として用いる。
代替実施形態では、本発明の組成物および方法は細胞に浸透圧保護性表現型を与えるので、これらの組成物および方法は、「発現することが困難な」分子、ポリペプチドおよび/または核酸、例えば、細胞に有毒である、例えば、固有の宿主細胞毒性を有する分子、ポリペプチドおよび/または核酸の生成(の製造)を増大または促進するのに用いることができる。本明細書に記載する組成物および方法はまた、例えば、後期または細胞高密度培養環境におけるような、例えば、浸透ストレスのある培養またはバイオリアクター条件におけるような浸透ストレス条件(例えば、高重量モル浸透圧濃度の条件)に敏感である翻訳後メカニズムを有する細胞中の例えば、ポリペプチドの適切な折りたたみおよび/または好ましい/所望のグリコシル化(例えば、野生型グリコシル化パターン)を増加または促進するために、例えば、適切な翻訳後処理を増加または促進するために適切に「発現することが困難」または好ましい/所望の(例えば、野生型折りたたみパターン)という状況において「発現することが困難」である「発現することが困難」なポリペプチドの発現(製造)を増加または促進するために用いる。他の実施形態では、本明細書に記載する組成物および方法はまた、例えば、後期または細胞高密度培養環境におけるような、例えば、浸透ストレス培養またはバイオリアクター条件におけるような浸透ストレス条件(例えば、高重量モル浸透圧濃度の条件)で適切にまたは十分な収率で翻訳後処理することができないタンパク質、例えば、浸透ストレス条件で正常にまたは十分な収率で折りたたまれまたはグリコシル化された状態にならないタンパク質の状況において「発現することが困難」である「発現することが困難」なポリペプチドの発現を増大または促進するために用いる。代替実施形態では、本明細書に記載する組成物および方法を実施することにより、より高い収率の正しい翻訳後修飾、例えば、グリコシル化または折りたたまれたポリペプチドが得られるので、バイオリアクターなどの後期または細胞高密度培養環境において生成物の品質が維持される。例えば、一態様において、本明細書に記載する組成物および方法を実施することは、特にバイオリアクターなどの後期または細胞高密度培養環境において生成物の品質が損なわれる場合に、製造工程における組換えタンパク質の品質の維持、例えば、製造工程におけるFDA承認組換えタンパク質の品質の維持をもたらす。
他の実施形態では、本発明の組成物および方法は細胞に浸透圧保護性表現型も与えるので、これらの組成物および方法は、例えば、バイオリアクター、培養皿、ペトリ皿、試験管、ローラーボトル、インプラント、人工器官などにおける細胞培養、または高密度もしくは後期増殖細胞を含む、高密度もしくは後期細胞産生系における生成(製造)を増加または促進するために用いることができる。したがって、本明細書に記載する組成物および方法の使用は、総生体分子(例えば、小分子、ポリペプチドおよび/または核酸)のより高い収量、あるいは翻訳後処理タンパク質より高い収量、例えば、適切に折りたたまれたもしくは好ましく折りたたまれた(例えば、野生型折りたたみ)またはグリコシル化されたポリペプチドのより高い収量を可能にすることを含む、高密度または後期細胞産生系における生体分子の効率のよい生産を可能にする。
同様に、本発明の組成物および方法は、組換えタンパク質の発現を誘導するのに、あるいは最適な細胞密度が達成された後の培養条件を含む、培養条件における細胞中の適切なタンパク質の折りたたみおよび/またはグリコシル化の程度を増加させるのに用いることができ、誘導、例えば、本発明のOR−TREによる転写の増加は、細胞の細胞内および/または細胞外環境における容積モル浸透圧濃度、重量モル浸透圧濃度および/または張性の変化(例えば、増加)(例えば、高重量モル浸透圧濃度の状態を引き起こす、または高重量モル浸透圧濃度の程度を増加させる変化)により誘発される。本発明の組成物および方法は、細胞発現系、例えば、インプラント、人工器官、バイオリアクター、培地などにおける細胞増殖および組換えタンパク質発現を断ち切るために用いることができる。本発明の組成物および方法は、高重量モル浸透圧濃度の条件下、または高容積モル浸透圧濃度、重量モル浸透圧濃度および/もしくは張性条件下で誘導転写またはプロモーター系として用いることができる。
本発明の方法および/または組成物を実施することによって培養物中の細胞による産生が増加する、培養細胞により産生される生成物としては、組換えポリペプチド、多糖、ポリケチドなどの小分子(例えば、抗生物質)、核酸、ビリオンおよびゲノム詰め込みウイルス粒子(例えば、「プロデューサー細胞」が培養細胞である場合と同様に)などがある。
本発明の遺伝子改変細胞は、浸透ストレスによりよく抵抗することができ(例えば、高重量モル浸透圧濃度の条件、高張または低張浸透ストレスに対する高い抵抗性を含む)、増加しつつある重量モル浸透圧濃度(例えば、高重量モル浸透圧濃度の条件)に直面して保護され、代替実施形態では、通常の(生理的)重量モル浸透圧濃度より高いまたは低い重量モル浸透圧濃度で成長および高い生存能力を維持することができる。一実施形態では、本発明の浸透圧センシング、または「浸透圧応答」または「高重量モル浸透圧濃度応答」遺伝子発現系および細胞の使用は、例えば、浸透ストレス条件で細胞毒性を減弱させ、組換えタンパク質産物および/または適切に折りたたまれもしくは好ましくは折りたたまれた(例えば、野生型折りたたみ)またはグリコシル化されたタンパク質であり得る、十分な量および一貫性のある質の培養細胞産物を保証することによって、「発現することが困難な」タンパク質のより多い培養物またはバイオリアクター収量を得ることを可能にする。
一実施形態では、本発明は、高重量モル浸透圧濃度感受性、浸透圧センシングまたは浸透圧応答遺伝子発現系を提供することによる、浸透ストレス培養条件における細胞による産物収量の減少に対する解決策を提供する。また、本発明は、本発明のこれらの高重量モル浸透圧濃度感受性、浸透圧センシングおよび浸透圧応答系を含む細胞を提供するものであり、本発明の細胞は、高い生存および高張または低張浸透ストレスを含む、高重量モル浸透圧濃度、低重量モル浸透圧濃度の条件または任意の浸透ストレス条件(複数可)の負の影響に対する抵抗性を有する。本発明は、高重量モル浸透圧濃度または上昇した重量モル浸透圧濃度、例えば、バイオリアクターなどの培養系における張性の高い状態(例えば、ナトリウムもしくはカリウム塩、例えば、NaClの増加などの塩の増加)と相関する(と関連する)高重量モル浸透圧濃度によって引き起こされる問題を予防または改善するための組成物、細胞および方法を提供する。本発明は、低重量モル浸透圧濃度または低下した重量モル浸透圧濃度、例えば、バイオリアクターなどの培養系における張性の低い状態(例えば、塩の減少、ナトリウムもしくはカリウム塩、例えば、NaClの減少)と相関する(と関連する)低下した重量モル浸透圧濃度によって引き起こされる問題を予防または改善するための組成物、細胞および方法を提供する。
代替態様では、本発明は、高重量モル浸透圧濃度または上昇した重量モル浸透圧濃度によって引き起こされる問題、あるいは低重量モル浸透圧濃度または低下した重量モル浸透圧濃度によって引き起こされる問題を予防または改善するための組成物、細胞および方法を提供するものであり、高重量モル浸透圧濃度または低重量モル浸透圧濃度は、例えば、例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸銅、硝酸第二鉄、硫酸第一鉄、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、および/または硫酸亜鉛などの無機塩および鉱物;あるいは例えば、パラモリブデン酸アンモニウム、酸化バナジウムアンモニウム、硫酸マンガン、塩化ニッケル、亜セレン酸、メタケイ酸ナトリウムおよび/または塩化第一スズなどの微量元素;あるいは例えば、リン酸塩(例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウムを含む)、炭酸塩および/または重炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウムおよび/または重炭酸ナトリウム)、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)および/または酪酸ナトリウムなどの緩衝剤または緩衝剤成分;あるいは例えば、グルコースおよび/またはガラクトースなどの炭水化物、天然もしくは合成アミノ酸、ヌクレオチドおよび/または補因子、例えば、ヒポキサンチン、リノール酸、リポ酸、プトレシン二塩酸塩、ピルビン酸ナトリウムおよび/またはチミジンなどの代謝中間体などの重量モル浸透圧濃度を増加および/または低下させることができる培養成分もしくは構成要素、あるいは、ビオチン、D−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、シアノコバラミン、葉酸、i−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサール、ピリドキシン、チアミン、ホルモンおよび/または補因子、例えば、インスリン、トランスフェリンおよび表皮成長因子、あるいはペプチド、タンパク質および/または組織加水分解物(例えば、ペプトン)、あるいは抗生物質、例えば、硫酸ゲンタマイシン、あるいはリノール酸、アルファトコフェロール、脂質/EtOHなどの低濃度で必要なビタミンまたは他の有機化合物、あるいは消泡剤として機能することができるブロックコポリマー、例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドに基づくポリマー、例えば、PLURONIC(商標)(BASF、Florham Park、N.J.)、湿潤剤、分散剤、増粘剤、乳化剤、界面活性剤、浸透圧保護剤、例えば、プロリン、グルタミン酸塩、ソルビトール、ベタイン、イノシトール、タウリンおよび/またはグリセロール−ホスホコリンを含む、培養または緩衝系の構成要素、成分もしくは要素のレベル(量)のそれぞれ上昇または低下によって引き起こされる。
一実施形態では、本発明の実施の浸透圧保護効果を補強するために本発明の組成物および/または方法を実施する場合に、1つまたは複数の浸透圧保護化合物を用いる。例えば、本発明の組成物および/または方法は、プロリン、グルタミン酸塩、ソルビトール、ベタイン、イノシトール、タウリンおよび/またはグリセロール−ホスホコリンなどの1つまたは複数の浸透圧保護化合物の使用を含む。
本発明の組成物、例えば、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)は、少なくとも1つの張性エンハンサー結合タンパク質(TonEBP)(「浸透圧応答エレメント結合タンパク質(OREBP)」または「NFAT5」としても公知である)応答転写エンハンサー配列(ORE/TonEエンハンサー配列)を含み、かつ/または本発明のOR−TREは、NFATc張性応答転写因子を含み得る。例えば、高塩(高ナトリウムまたはカリウム塩、例えば、NaCl)条件により引き起こされる高重量モル浸透圧濃度の状態を含む、浸透ストレスは、リン酸化により転写因子張性応答エンハンサー/浸透圧応答エレメント結合タンパク質(NFATcまたはTonEBP/OREBP)を活性化し(本発明は特定の作用機序によって制限されないが)、リン酸化TonEBP/OREBPが細胞質から核に転位し、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)および内因性浸透圧応答転写調節エレメントの転写の増加をもたらす。
内因性浸透圧応答転写調節エレメントの活性化は、プロモーターがエンハンサーORE/TonEによって制御されるタウリン輸送体(TauT)、グリシンベタイン−γ−アミノ酪酸輸送体(BGT1)、ナトリウム−ミオイノシトール共輸送体、熱ショックタンパク質70(HSP70)、アクアポリン2(AQP2)およびアルドースレダクターゼ遺伝子(AR)を含む、いくつかの防護核酸、例えば、遺伝子の発現(転写)を増大させ、また代替実施形態では、本発明の浸透圧応答核酸は、これらの浸透圧応答内因性核酸、例えば、遺伝子のコード化配列を含む。したがって、一態様では、本発明の組成物および方法は、本発明の組成物に組み込まれた(遺伝子工学により組み込まれた)例えば、タウリン輸送体(TauT)、グリシンベタイン−γ−アミノ酪酸輸送体(BGT1)、ナトリウム−ミオイノシトール共輸送体、熱ショックタンパク質70(HSP70)、アクアポリン2(AQP2)および/またはアルドースレダクターゼ遺伝子(AR)などの浸透圧応答内因性核酸、例えば、遺伝子の浸透圧応答発現により、細胞に浸透圧抵抗性を与える。
しかし、代替実施形態では、本発明の組成物および方法は、それらが挿入された細胞に対して異種である核酸、例えば、遺伝子(およびタンパク質)の浸透圧応答発現により、細胞に浸透圧抵抗性を与える。例えば、タウリン輸送体(TauT)、グリシンベタイン−γ−アミノ酪酸輸送体(BGT1)、ナトリウム−ミオイノシトール共輸送体、熱ショックタンパク質70(HSP70)、アクアポリン2(AQP2)および/またはアルドースレダクターゼ遺伝子(AR)は、細胞に対して異種であり得る。本発明の組成物および方法はまた、プロリンもしくはグリシンベタイン、またはタウリン輸送体、またはグリシンベタイン−γ−アミノ酪酸輸送体、またはナトリウム−ミオイノシトール共輸送体、または熱ショックタンパク質、または熱ショックタンパク質70、またはアクアポリン(水チャンネルとして作用する膜細孔タンパク質)、またはアクアポリン2、またはアルドースレダクターゼなどの内因性または異種浸透圧保護性タンパク質または浸透圧保護性ペプチドの浸透圧応答発現により、細胞に浸透圧抵抗性を与えることができる。
本発明の組成物および方法はまた、Bcl−2、Bcl−xL、Mcl−1、BHRF1、X−IAP、IAP1、IAP2IEX−1L、Bfl−1またはBcl−wなどの内因性または異種浸透圧保護性抗アポトーシスタンパク質の浸透圧応答発現により、細胞に浸透圧抵抗性を与えることができる。
本発明の組成物および方法はまた、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ペルオキシレドキシン、スルフィレドキシン、チオレドキシン、チオレドキシンレダクターゼ、チオレドキシンペルオキシダーゼ、チオールトランスフェラーゼ、グルタレドキシンまたはグルタチオンレダクターゼなどの細胞に酸化ストレスに対する抵抗性を付与する内因性または異種タンパク質の浸透圧応答発現により、細胞に浸透圧抵抗性を与えることができる。
本発明の組成物および方法は、細胞を浸透ストレスから、例えば、高重量モル浸透圧濃度の条件から保護して、アンフォールドまたはミスフォールドタンパク質等などであるが、これらに限定されない、有害な結果を改善または予防する。したがって、代替実施形態では、本発明の組成物および方法は、培養細胞を含む細胞が、タンパク質または正しい折りたたみ状態の、かつ/またはより良好な(正常、野生型)グリコシル化プロファイル等を有するタンパク質を含む、より多くの内因性産物を生成し、分泌することを可能にする。一態様では、本発明の組成物および方法は、結合免疫グロブリンタンパク質(BiP)(グルコース調節タンパク質78、またはGrp78とも呼ばれる)、カルネキシン、カルレチクリン、ERp57またはタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)などの、いわゆる小胞体ストレス応答(または「URP」、アンフォールドまたはミスフォールドタンパク質の蓄積によって誘発されるプログラムされた細胞死またはアポトーシスを防ぐためにアンフォールドまたはミスフォールドタンパク質の蓄積に反応して活性化される)を含むタンパク質の折りたたみの促進に関与する内因性または異種シャペロンタンパク質の浸透圧応答発現により、細胞に浸透圧抵抗性を与えることができる。
本発明の組成物および方法はまた、タンパク質の細胞外分泌に関与する内因性または異種タンパク質の浸透圧応答発現により、細胞に浸透圧抵抗性を与えることができる。
本発明の組成物および方法はまた、内因性または異種解糖系酵素、例えば、ピルビン酸カルボキシラーゼまたはピルビン酸キナーゼの浸透圧応答発現により、細胞に浸透圧抵抗性を与えることができる。
本発明の組成物および方法はまた、内因性または異種細胞周期調節タンパク質、例えば、サイクリンもしくはサイクリン依存性キナーゼ(CDK)またはサイクリンもしくはサイクリン依存性キナーゼの阻害剤の浸透圧応答発現により、細胞に浸透圧抵抗性を与えることができる。
一態様では、本発明の浸透圧応答核酸配列は、例えば、浸透ストレスの後の細胞ストレスを改善することにより、哺乳類細胞培養における組換えタンパク質の産生を向上/増加させるのに用いることができる。本発明はまた、本発明のこれらの浸透圧応答核酸配列を用いる方法を提供する。
本発明はまた、対象のタンパク質が高い重量モル浸透圧濃度の条件下で発現することができるように対象の遺伝子の発現が浸透圧応答エレメントの制御下にある、核酸を提供する。これらの場合、OR−TREが対象の遺伝子をコード化する核酸に作動可能に連結している。これらの実施形態では、該核酸は、OR−TRE制御浸透圧抵抗性遺伝子もしくは核酸、および/または例えば、細胞の代謝、分泌もしくは増殖に対する効果であり得る、または正しい折りたたみ、翻訳後修飾などの、発現タンパク質の質に関する有益な効果を有するものであってよい、発現タンパク質に対して有益な効果を与えるタンパク質もしくはペプチドをコード化する核酸も含んでいてもよい。
本発明はまた、タンパク質が次にTonEBPのさらなる発現を促進することができるようにOR−TREがTonEBPの発現を誘導する、正のフィードバックメカニズムを提供する。OR−TREの制御下の他の遺伝子とともに用いる場合、正のフィードバックは、これらの遺伝子の発現も促進する効果を有する。正のフィードバックは、高重量モル浸透圧濃度に対する細胞の高度の適応性をもたらす可能性がある。
特定の特性を最適化するためにタンパク質の産生の時期を選ぶように調節された予測可能な方法でOR−TREの制御下の遺伝子の発現を促進するために培養物の重量モル浸透圧濃度を人為的に増加させることができる。あるいは、OR−TREの制御下の遺伝子の発現を整えることにより、重量モル浸透圧濃度が自然に増加するときに、培養段階の後期に遺伝子を発現させることができる。これらの方法は、細胞に有毒であるタンパク質、不安定であるタンパク質および標準的な培養条件下で単に発現することが困難であるタンパク質を発現させるのに有用である可能性がある。
本発明はまた、張性応答遺伝子発現および組換えタンパク質の製造のためのそれらの可能な適用を可能にする様々な新規な人工プロモーターを提供する。一態様では、本発明の核酸は、浸透圧応答哺乳類プロモーターを含み、あるいは、一態様では、本発明の核酸は、対象の核酸配列の浸透圧感受性発現のためのTonEBP mRNAの浸透圧応答非翻訳領域を含む。
一実施形態では、本発明の核酸は、最小真核プロモーターの上流でクローニングされるTonEBP/OREBPエンハンセオソームに特異的な1つまたは複数のオペレーターモジュールを含むTonEBP/OREBP応答プロモーターを含む。一態様では、−1053位にTonEを、−1014位にアクチベータータンパク質1(AP−1)部位を含むマウスアルドースレダクターゼプロモーターのヌクレオチド配列−1053〜−1007(例えば、Daoudal(1997年)J.Biol.Chem.、1月31日、272巻(5号)、2615〜2619頁を参照)を用いる。
代替態様では、本発明の核酸は、トランス遺伝子の発現を促進するプロモーター配列の上流またはプロモーター配列内に1つまたは複数の浸透圧応答エレメントを挿入することによって組換えタンパク質の産生に対する高い重量モル浸透圧濃度の影響に対抗し、それにより、重量モル浸透圧濃度が増加するときにその転写活性を増加させる。例えば、天然系において、ほぼ全ての張性応答遺伝子は、TonEの35bp内に1つまたは複数のアクチベータータンパク質1(AP−1)応答部位を有し、また代替態様では、本発明の核酸は、TonE部位の同様な距離内(より大きい、より小さいまたは同じ)に1つまたは複数のAP−1部位(AP−1結合配列)を含む。本発明の核酸における1つまたは複数のAP−1応答モチーフの存在は、高NaCl誘発性応答性に寄与しており、例えば、この態様では、AP−1応答モチーフを含む本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(ORTRE)は、浸透ストレスに対してより敏感になりまたはより応答性(より張性応答性)になり、例えば、高塩(例えば、ナトリウムまたはカリウム塩、例えば、NaCl)培養条件に対してより敏感になりまたはより応答性になる。本発明は、トランス遺伝子(「対象の遺伝子」)発現レベルを所望のレベルに、例えば、浸透ストレス(例えば、低張または高張)条件において基礎発現からより高い、もしくは最大発現に微調整するためにプロモーター配列に作動可能に連結した浸透圧応答エレメント、例えば、TonEおよび/またはAP−1の数を変化させることによって可能にした様々なトランス遺伝子代替物またはウインドウを使用する。
一実施形態では、細胞の高重量モル浸透圧濃度応答性(例えば、浸透圧応答性)の増加は、転写ユニットのプロモーターにより媒介/制御されるトランス遺伝子、または「対象の遺伝子」などの核酸分子の転写の速度を増加させる本発明の核酸によって媒介される。例えば、一態様では、高重量モル浸透圧濃度応答(例えば、浸透圧応答)NFATc/OREBPまたはTonEBP/OREBP遺伝子トランス活性化活性の増加は、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)のプロモーターにより媒介される。代替実施形態では、真核細胞において転写活性のあるプロモーターは、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)に用いることができる。例えば、構成プロモーターもしくは誘導プロモーターを含むもしくはからなるプロモーター、または合成プロモーター、または哺乳類、植物、昆虫、細菌、酵母、真菌もしくはウイルスプロモーター、またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えば、ヒトCMVプロモーターの断片からなる最小プロモーターがある。一態様では、例えば、本明細書で述べるように、核酸分子(例えば、トランス遺伝子または対象の遺伝子)を最も効率的に発現させるために、最小転写ユニット、例えば、発現ベクターの最小またはストリップダウン型を用いる。
本発明は特定の作用機序により制限されないが、一態様では、図1aおよび図1bに概略を示すように、TonEBP発現の細胞のTonEBPにより促進される正のフィードバックループのため、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)は、浸透圧耐性(osmo−tolerance)を増加させる。
本発明の組成物および方法は、上昇した張性(ナトリウムまたはカリウム塩、例えば、またはNaClなどの塩の増加)と相関する上昇した重量モル浸透圧濃度を改善する。一態様では、培養環境における高塩(ナトリウムまたはカリウム塩)は、本発明の転写因子張性応答エンハンサー/浸透圧応答エレメント結合タンパク質(TonEBP/OREBP)を活性化し、本発明の構築物に組み込まれた浸透圧保護性遺伝子の転写の増大をもたらす。これらの構築物において、プロモーターは、例えば、浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)または、一態様では1つまたは複数のAP−1タンパク質結合配列を含むエンハンサーORE/TonEにより制御される。
本発明は特定の作用機序により制限されないが、一態様では、TonEBP/OREBP転写活性の調節は、図1aに概略を示した通りである。このスキームは、核−細胞質トラフィッキング、トランス活性化およびリン酸化を含む。一態様では、高張性の30分以内に、TonEBP/OREBPがリン酸化された状態になり、その核分布、すなわち、核画分における量と細胞質画分における量との比が増加する。一態様では、TonEBPのトランス活性化は、張性に依存し、TonEBPの転写活性は、等張条件下では正であり、低張で低下し、高張で増加する。
図1aにTonEBPがどのようにして高張性によって刺激され、1つまたは複数のTonEBPの同種結合部位:ORE/TonEを含むプロモーターの転写を誘導するのかの概略を示す。一実施形態では、プロモーターを含む内因性TonE(張性エンハンサー、浸透圧応答エレメントとも呼ばれる)を用いて、生物医薬品の生産の増強のための組換えタンパク質の発現を促進することができる。
図1bにTonEBPの浸透圧依存性活性:浸透圧応答正フィードバックループの適用の例の概略を示す。しかし、本発明が特定の作用機序により制限されないことに注意すると、図1bは、多くの可能な例示的な作用機序の1つ、すなわち、張性が増大するときにTonEBPがそれ自体の刺激を合成的に増幅するようにTonEBPがそれ自体の発現をトランス活性化するというTonEBP応答の正のフィードバック、すなわち、TonEBPの浸透圧応答活性化が大きいほど、より多くのTonEBPが生じ、より大きいフィードバックがもたらされることを示している。
本発明の構築物のデザインにおいて、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)は、様々な浸透圧保護性遺伝子をトランス活性化することができ、それにより、細胞が高い重量モル浸透圧濃度に適応することを可能にする。1つの例示的なメカニズムにおいて、そのような浸透圧応答の正のフィードバックループは、浸透ストレスへの哺乳類細胞の適応を加速し、増幅する可能性がある。これは、構成的過剰発現という不都合を伴うことなしに高重量モル浸透圧濃度へのそれらの耐性を増大させると思われる。
いくつかの態様では、TonEBPの構成的過剰発現は、等張条件にある細胞のエネルギーの過剰な排出である可能性がある。しかし、本発明は組換えタンパク質を発現する細胞に対して浸透圧抵抗性表現型を創出することができる浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)を含むので、ある種の状況下では、本発明の構築物または細胞を、細胞にある程度の浸透圧抵抗性を与える遺伝子を構成的に発現するようにデザインすることができると予測される。代替実施形態では、本発明の構築物は、細胞内および/または細胞外の重量モル浸透圧濃度、容積モル浸透圧濃度および/または張性の増加または低下に応答することができるという点で浸透圧応答性である。代替実施形態では、浸透圧応答性は、重量モル浸透圧濃度または容積モル浸透圧濃度の変化、例えば、重量モル浸透圧濃度または容積モル浸透圧濃度の低下または増加、例えば、高重量モル浸透圧濃度または低重量モル浸透圧濃度の変化(その増加または低下した状態)を含むモル濃度の変化を意味する。一態様では、「重量モル浸透圧濃度」は、水溶液中に溶解した溶質粒子の浸透圧の尺度である。溶質粒子は、イオンおよび非イオン化分子の両方を含む。
重量モル浸透圧濃度は、1kgの水に溶解している浸透活性粒子の濃度(すなわち、オスモル)として表される(38℃の1mOsm/kgH2Oは19mmHgの浸透圧に相当する)。「容積モル浸透圧濃度」は、1リットルの溶液中に溶解した溶質粒子の数を意味する。培地の重量モル浸透圧濃度を増加させるように培地に添加することができる溶質としては、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、非代謝性ポリマー、ビタミン、イオン、塩(例えば、ナトリウムまたはカリウム塩)、糖、代謝物、有機酸、脂質などがある。一実施形態では、培地中のアミノ酸および塩、例えば、ナトリウムおよびカリウム塩(例えば、NaCl)の濃度は、本明細書で示す所望の重量モル浸透圧濃度範囲を達成するために増加させる。本明細書で用いる場合、略語「mOsm」は、「ミリモル/kgH2O」を意味する。
例えば、一実施形態では、本明細書に示す組成物および方法は、例えば、バイオリアクターに見出される細胞培養培地が約210〜350ミリモル(mOsm)の範囲内、または約260〜320ミリモル(mOsm)の範囲内のオスモル濃度、または細胞培養物を標的とする代替実施形態では、約280、290、300もしくは310mOsm/kgのオスモル濃度を有することを維持するために用いる。
代替実施形態では、本明細書に示す組成物および方法は、比較的低い容積モル浸透圧濃度の細胞培養培地を維持するため、例えば、約248mOsm〜約280mOsmの容積モル浸透圧濃度を有する細胞培養培地を維持するために用いる。例えば、米国特許番号(USPN)5,747,341を参照のこと。代替実施形態では、本明細書に示す組成物および方法は、約280〜330mOsmまたは例えば、米国特許出願公開第20050272124号に記載されているように約400〜600mOsmの細胞培養培地を維持するために用いる。代替実施形態では、本明細書に示す組成物および方法は、例えば、USPN5,705,364に記載されているように約250〜600mOsmの細胞培養培地を維持するために用いる。
環境またはストレス抵抗性タンパク質
本発明は、浸透圧保護性タンパク質もしくは浸透圧保護性ペプチド;抗アポトーシスタンパク質;細胞に酸化ストレスに対する抵抗性を付与するタンパク質;タンパク質の折りたたみの促進に関与するシャペロンタンパク質;タンパク質の細胞外分泌に関与するタンパク質;解糖系酵素;細胞周期調節タンパク質;グリコシル化酵素;またはそれらの任意の組合せに作動可能に連結した本発明の少なくとも1つの浸透圧応答転写調節エレメントを含む浸透圧応答核酸を提供する。
浸透圧保護性遺伝子
本発明は、哺乳類細胞の含水量および/または浸透ポテンシャルを好都合に生じさせるタンパク質をコード化する浸透圧応答核酸を提供する。例えば、本発明の核酸は、哺乳類細胞の含水量および/または浸透ポテンシャルを生じさせるタンパク質、例えば、プロリンおよびグリシンベタインおよび/または糖などの他の浸透活性溶質のレベルに影響を及ぼすタンパク質の生合成をコード化する核酸を浸透圧応答的に発現することができる。
本発明の核酸は、浸透圧抵抗性を改善し、補足的作用機序を有する複数の遺伝子を浸透圧応答的に発現することができる。本発明の核酸によって発現させられるこれらの遺伝子の組合せは、細胞中、例えば、哺乳類細胞中の浸透圧抵抗性の改善に相加的および/または相乗的効果を有し得る。代替実施形態では、これらの遺伝子の1つまたは複数の構成的発現によって、かつ/または例えば、本発明の浸透圧応答転写および/または転写後発現系を用いて浸透圧応答的に1つまたは複数を発現させることによっても利益が与えられる。遺伝子工学により改変された細胞に高い浸透圧応答、または高い浸透圧感知メカニズムを与えるタンパク質の発現の構成的および浸透圧誘発的増加の様々な組合せを提供することによって、本発明は、組換えタンパク質を発現する細胞、例えば、哺乳類細胞に適する浸透圧感受性発現パターンを有し、高または低容積モル浸透圧濃度のストレスにより十分に耐えるようにデザインまたは適合させることができる。例えば、本発明の組成物および方法は、例えば、培養系またはバイオリアクター中の培養条件を酸性化する乳酸産生を改善または予防するのに用いることができる。大部分の培養系およびバイオリアクターにおいて、培地のpHを維持するために、塩基が送り込まれ、結果として重量モル浸透圧濃度が増加する。
回分式バイオリアクター中の乳酸の蓄積と細胞の増殖および生存能力の低下との間に相関がある。したがって、本発明の組成物および方法によるピルビン酸カルボキシラーゼ、ピルビン酸キナーゼおよび他の酵素などの解糖系酵素の浸透圧応答過剰発現は、形質転換細胞、例えば、哺乳類細胞が乳酸産生から乳酸消費に切り替わることを可能にする。解糖系酵素(複数可)のこの過剰発現の結果は、細胞による生存能力の維持および細胞、例えば、哺乳類細胞による組換えタンパク質の産生の増加である。
核酸およびベクターの生成および操作
本発明は、浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)、浸透圧応答核酸、および発現カセット、ベクター、組換えウイルス、プラスミド、ファージ、ファージミド、人工ホルモンならびにそれらを含むクローニング媒体を含む核酸を提供する。本発明は、科学および特許文献に十分に記述されている当技術分野で公知の方法またはプロトコールまたは装置と併せて実施することができる。
本発明は、浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)、または浸透圧応答核酸を含み、またsiRNAもしくはmiRNAなどのRNAi、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、あるいは一本鎖もしくは二本鎖であってよく、例えば、iRNA、リボ核タンパク質(例えば、iRNP)を含む、天然もしくは合成由来のペプチド核酸(PNA)に、またはDNA様もしくはRNA様物質に対してセンスまたはアンチセンス鎖を示す可能性があるゲノムもしくは合成由来のDNAまたはRNA(例えば、mRNA、rRNA、tRNA)も含む、これらの断片を含む「核酸」または「核酸配列」を提供する。本発明の核酸は、本明細書で述べるポリペプチドをコード化することができ、コード化配列だけでなく、リーダー配列またはプロタンパク質配列ならびにイントロンまたはコード化配列の5’および/または3’非コード化配列などの非コード化配列も含むことができる。したがって、本発明を実施するために用いるポリヌクレオチドは、ポリペプチドのコード化配列ならびに付加的なコード化および/または非コード化配列を含み得る。
一般的技術
本発明を実施するために用いる核酸は、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)、浸透圧応答核酸、またはRNA、iRNA、調節核酸(抑制、安定化または上方制御機能もしくは作用を有する核酸)、cDNA、ゲノムDNA、ベクター、ウイルスまたはそれらのハイブリッドを本発明を実施するために用いるかどうかにかかわりなく、遺伝子工学により改変され、増幅され、かつ/または組換えにより発現/生成した様々な源から単離することができる。
組換え核酸および/またはポリペプチドは、個別に単離またはクローニングし、所望の活性について試験することができる。細菌、哺乳類、酵母、昆虫または植物細胞発現系などの任意の組換え発現系を用いることができる。
あるいは、本発明を実施するために用いる核酸は、例えば、Adams(1983年)、J.Am.Chem.Soc.、105巻、661頁;Belousov(1997年)、Nucleic Acids Res.、25巻、3440〜3444頁;Frenkel(1995年)、Free Radic.Biol.Med.、19巻、373〜380頁;Blommers(1994年)、Biochemistry、33巻、7886〜7896頁;Narang(1979年)、Meth.Enzymol.、68巻、90頁;Brown(1979年)、Meth.Enzymol.、68巻、109頁;Beaucage(1981年)、Tetra.Lett.、22巻、1859頁;USPN4,458,066に記載されている周知の化学合成法によりin vitroで合成することができる。
サブクローニング、標識プローブ(例えば、Klenowポリメラーゼ、ニック翻訳、増幅を用いるランダムプライマー標識)、配列決定、ハイブリダイゼーションなどの核酸の操作の技術は、科学および特許文献に十分に記述されている。例えば、Sambrook編、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL(第2版)、1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory、(1989年);CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、Ausubel編、John Wiley & Sons,Inc.、New York(1997年);LABORATORY TECHNIWUES IN BIOCHEMISTRY AND MOLECULAR BIOLOGY:HYBRIDIZATION EITH NUCLEIC ACID PROBES、パートI、Theory and Nucleic Acid Preparation、Tijssen編、Elsevier、N.Y.(1993年)を参照のこと。
本発明を実施するために用いる核酸を入手し、操作する他の有用な手段は、ゲノム試料からクローニングすることであり、所望ならば、例えば、ゲノムクローンまたはcDNAクローンから単離または増幅した挿入断片をスクリーニングし、再クローニングすることである。本発明を実施するために用いる核酸の源は、例えば、哺乳類人工染色体(MACs)、例えば、米国特許第5,721,118号参照;ヒト人工染色体、例えば、Rosenfeld(1997年)、Nat.Genet.、15巻、333〜335頁参照;酵母人工染色体(YAC);細菌人工染色体(BAC);P1人工染色体、例えば、Woon(1998年)、Genomics、50巻、306〜316頁参照;P1由来ベクター(PACs)、例えば、Kern(1997年)、Biotechniques、23巻、120〜124頁参照;コスミド;組換えウイルス、ファージまたはプラスミドに含まれているゲノムまたはcDNAライブラリーなどである。
転写および翻訳制御配列
本発明の核酸配列は、タンパク質コード化配列に作動可能に連結したプロモーターおよびエンハンサーまたはRNA合成/発現を誘導もしくは調節するための調節核酸、例えば、抑制性、安定化もしくは上方制御核酸分子を含む。例えば、一態様では、本発明は、真核細胞において転写活性のあるプロモーター配列の上流側(その5’側)にあり、それに作動可能に連結した少なくとも1つの張性エンハンサー結合タンパク質(TonEBP)応答転写エンハンサー配列を提供する。付加的なエンハンサー配列も本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)に作動可能に連結させることができる。
任意の転写調節配列、例えば、真核細胞、例えば、哺乳類細胞において作動可能なプロモーターまたはエンハンサー配列を、本発明を実施するのに用いることができ、例えば、本発明の核酸構築物に用いることができる。例えば、代替実施形態では、本発明を実施するのに用いるプロモーターは、最小プロモーター(「コアプロモーター」とも呼ぶ)、誘導プロモーターまたは構成的プロモーターである。転写調節配列、例えば、プロモーター、エンハンサー配列は、プロモーターにおいて転写を開始するRNAポリメラーゼがコード化配列をRNA、例えば、mRNAに転写するとき、転写される配列、例えば、タンパク質コード化配列に「作動可能に連結」する。一実施形態では、ここで用いるプロモーターは、転写されるべき核酸もしくは遺伝子の上流(センス鎖の5’領域の方向)に位置し得る核酸、例えば、DNAまたは遺伝子の(における)調節領域であり、したがって、プロモーターは、核酸もしくは遺伝子の転写を開始する(可能にする)。
代替実施形態では、たとえプロモーターまたはエンハンサーが転写されるべき配列に近くに(近接して)ないとしても、言い換えれば、転写調節配列(例えば、AP−1またはTonEBP応答転写のエンハンサーなどのエンハンサーとして)の転写されるべき配列(例えば、20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400または500またはそれ以上の残基)に対する(に対して位置する)距離に制限が存在せず、構築物上(構築物中または内)のその配置に制限が存在しないとしても、転写調節配列、例えば、プロモーターまたはエンハンサー配列は、転写されるべき配列、例えば、タンパク質コード化配列、または抑制、安定化もしくは上方制御核酸分子などの調節核酸、またはアンチセンスもしくは他の抑制性配列(miRNAもしくはsiRNAなど)に「作動可能に」連結させることができる。ここで、いくつかの実施形態では転写調節配列が転写されるべき配列に対してシスであるが、他の態様ではそれが転写されるべき配列に対してトランスであることに注意すること。
代替実施形態では、転写調節配列、例えば、プロモーターまたはエンハンサー配列(例えば、AP−1またはTonEBP応答転写のエンハンサー)は、転写されるべき配列に対してセンスもしくはアンチセンス方向であるか、または転写されるべき配列に対して同じもしくは反対の鎖であり得る。
最小プロモーター、例えば、転写を適切に開始するために必要なプロモーター配列またはモチーフの最小部分であるコアプロモーターまたは最小プロモーターを用いることができる。一態様では、本発明を実施するのに用いる最小またはコアプロモーターは、ヒトCMVプロモーターの断片であるか、またはそれを含み、最小プロモーター(コアプロモーター)およびそれらを同定し、それらを調製する方法は、当技術分野で周知であり、例えば、Baliga(2001年)、Biol.Proceed.Online、3巻、64〜69頁;Hettiarachchi(2003年)、Nucleic Acids Res.、31巻(18号)、5256〜5265頁を参照のこと。例えば、TATAボックスを含み、−90位から転写開始部位+1までに及ぶCaMV35SプロモーターのドメインAの一部を「最小プロモーター」として用いることができる。RNAポリメラーゼIIの結合部位であるTATAボックスは別として、この最小プロモーターは、最小の3つのCAAT様ボックスを含むものであり、これらの配列は、上流配列の活性を強化し、プロモーターの活性の効率に影響を及ぼす。一態様では、これらのCAAT様ボックスは、本発明の構築物の発現を促進するために単独で用いるか、または異種プロモーター領域に取り付ける。本発明を実施するために用いることができる他の例示的な「最小プロモーター」は、例えばBassel−Duby(1992年)、Mol.Cell Biol.、12巻(11号)、5024〜5032により記載されたCCCACCCCC(CCACボックス)配列を含むプロモーター;または例えばJuven−Gershon(2008年)、Curr.Opin.Cell Biol.、20巻(3号)、253〜9頁、Epub、2008年4月22日;Juven−Gershon(2006年)、Biochem.Soc.Trans.、34巻(Pt6)、1047〜50頁により記載されたRNAポリメラーゼIIコアプロモーター;またはミオシン重鎖遺伝子の最小プロモーター(−164〜+16);例えばSmith(1998年)、Am.J.Physiol.、274巻(5Pt1)、C1188〜95頁を参照などである。
本発明を実施するために用いることができる例示的な真核プロモーターは、CMV即時早期、HSVチミジンキナーゼ、早期および後期SV40、レトロウイルスからのLTR、マウスメタロチオネインI、熱ショックプロモーター、早期および後期SV40プロモーター、レトロウイルスからのLTRならびにマウスメタロチオネインIプロモーターなどである。原核または真核細胞またはそれらのウイルスにおける遺伝子の発現を制御していることが公知であるプロモーターも用いることができる。本発明を実施するために用いることができるプロモーターはまた、大腸菌(E.coli)lacまたはtrpプロモーター、lacIプロモーター、lacZプロモーター、T3プロモーター、T7プロモーター、gptプロモーター、ラムダPRプロモーター、ラムダPLプロモーター、3−ホスホグリセレン酸キナーゼ(PGK)などの解糖系酵素をコード化するオペロンからのプロモーターおよび酸ホスファターゼプロモーター;真菌プロモーターなどである。
本発明を実施するために用いることができる例示的な植物プロモーターは、誘導および構成プロモーター、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35S転写開始領域、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のT−DNA由来の1’もしくは2’プロモーター;および/または例えば、オーキシンなどの植物ホルモンへの曝露により誘導可能なプロモーター;ならびに公知の植物遺伝子の他の転写開始領域などである。
原核または真核細胞またはそれらのウイルスにおける遺伝子の発現を制御していることが公知であるエンハンサーおよび/またはプロモーターも用いることができる。代替実施形態では、本明細書で用いているように、エンハンサーは、アクチベーターまたはエンハンサー結合タンパク質と呼ぶことができるタンパク質に特異的に結合することができる核酸、例えば、DNAの短い領域である。一態様では、このエンハンサー領域へのアクチベーターの結合は、タンパク質コード化配列、例えば、遺伝子の転写を開始し、またはプロモーターの活性に影響を及ぼす(開始する、停止させる、増加または低下させる)ことができる。エンハンサーによる影響を受ける、またはそれに「作動可能に連結した」プロモーターおよび/または遺伝子は、エンハンサーからかなり離れていてよく、あるいは異なるベクターまたは染色体上にさえ存在していてよい。代替実施形態では、プロモーター上のエンハンサーにより影響される転写の増加または減少は、RNAまたはDNAポリメラーゼなどの転写に必要な他のタンパク質の結合を増大させることができる、プロモーター上のエンハンサーへの付加的な「転写因子」の動員に直接的または間接的に影響を及ぼすエンハンサーに結合したアクチベーターに起因し得る。
一態様では、真核細胞において発現する本発明の発現カセット、ベクター、組換えウイルス、プラスミド、ファージ、ファージミド、人工染色体およびクローニング媒体は、発現レベルを増加させるための付加的なエンハンサーも含んでいてよい。エンハンサーは、プロモーター上で作用してその転写を増加させる長さが通常約10〜300bpのDNAのシス作用性エレメントである。例としては、bp100〜270の複製起点の後期側のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス早期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーなどがある。
SV40ウイルスの早期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含むSV40制限断片として好都合に得られる。Fiersら、Nature、273巻、113頁(1978年);MulliganおよびBerg、Science、209巻、1422〜1427頁(1980年);Pavlakisら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78巻、7398〜7402頁(1981年)。ヒトサイトメガロウイルスの即時早期プロモーターは、HindIIIE制限断片として好都合に得られる。Greenawayら、Gene、18巻、355〜360頁(1982年)。ウシ乳頭腫ウイルスをベクターとして用いた哺乳類宿主におけるDNAを発現するための系は、米国特許第4,419,446号に開示されている。この系の変更形態は、米国特許第4,601,978号に開示されている。サル細胞における免疫インターフェロンをコード化するcDNAの発現についてGrayら、Nature、295巻、503〜508頁;単純疱疹ウイルスからのチミジンキナーゼプロモーターの制御下のマウス細胞におけるヒトβ−インターフェロンcDNAの発現についてReyesら、Nature、297巻、598〜601頁(1982年);培養マウスおよびウサギ細胞におけるヒトインターフェロンβ1遺伝子の発現についてCanaani(1982年)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、79巻、5166〜5170頁;ならびにラウル肉腫ウイルス長末端反復をプロモーターとして用いたCV−1サル腎臓細胞、ニワトリ胚線維芽細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞およびマウスNIH−3T3細胞における細菌CAT配列についてGorman(1982年)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、79巻、6777〜6781頁も参照のこと。
組換え脊椎動物細胞培養における対象のポリペプチドの合成への適応に適する他の方法、ベクターおよび宿主細胞は、Gethingら、Nature、293巻、620〜625頁(1981年);Manteiら、Nature、281巻、40〜46頁(1979年);Levinsonら、欧州特許第117,060号;および欧州特許第117,058号に記載されている。一実施形態では、核酸またはポリペプチドを含む、本発明の哺乳類細胞培養発現のために本発明を実施するのに用いるプラスミドは、pRK5(欧州特許公開第307,247号)またはpSVI6B(PCT公開番号WO91/08291、1991年6月13日公開)である。
発現ベクターおよびクローニング媒体
本発明は、本発明の核酸(本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)を含む)および/または本発明の浸透圧調節核酸を含む、本発明の浸透圧応答核酸を含む発現カセット、ベクター、組換えウイルス、プラスミド、ファージ、ファージミド、人工染色体およびクローニング媒体を提供する。ウイルス粒子、バキュロウイルス、ファージ、プラスミド、ファージミド、コスミド、フォスミド、細菌人工染色体、ウイルスDNA(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病およびSV40の派生体)、P1ベースの人工染色体、酵母プラスミド、酵母人工染色体および対象の特定の宿主(哺乳類細胞など)に特異的な他のベクターは、本発明を実施するのに用いることができる。一態様では、本発明を実施するのに用いる発現カセット、ベクター、組換えウイルス、プラスミド、ファージ、ファージミド、人工染色体およびクローニング媒体は、染色体、非染色体および合成DNA配列を含み得る。多数の適切なベクターが当業者に公知であり、市販されている。
例示的なベクターとしては、pXT1、pSG5(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVLSV40(Pharmacia)などの真核ベクターが挙げられる。しかし、宿主において複製可能であり、生存可能である限り、他のプラスミドまたは他のベクターを用いることができる。低コピー数または高コピー数ベクターを本発明で用いることができる。
本発明を実施するのに用いる発現カセット、ベクター、組換えウイルス、プラスミド、ファージ、ファージミド、人工染色体およびクローニング媒体は、プロモーター、翻訳開始のためのリボソーム結合部位および転写ターミネーターを含み得る。また、発現を増幅するための適切な配列も含んでいてよい。哺乳類発現ベクターは、複製起点、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、転写終結配列ならびに5’フランキング非転写配列を含み得る。いくつかの態様では、SV40スプライスから得られるDNA配列およびポリアデニル化部位は、必要な非転写遺伝エレメントを供給するために用いることができる。
一態様では、発現ベクターは、2生物体で、例えば、発現のために哺乳類または昆虫細胞で、クローニングおよび増幅のために原核宿主で維持されることを可能にするために2つの複製系を有することができる。さらに、発現ベクターを組み込むために、発現ベクターは、宿主細胞ゲノムと相同の少なくとも1つの配列を含むことができる。発現ベクターは、発現構築物に隣接する2つの相同配列を含み得る。組込みベクターは、ベクターに含めるための適切な相同配列を選択することによって宿主細胞の特定の遺伝子座に向けることができる。
組込みベクター用の構築物は、当技術分野で周知である。例示的な真核プロモーターとしては、CMV即時早期、HSVチミジンキナーゼ、早期および後期SV40、レトロウイルスからのLTRおよびマウスメタロチオネインIなどがある。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当分野の通常の技術水準の範囲内にある。発現ベクターは、翻訳開始のためのリボソーム結合部位および転写ターミネーターも含む。ベクターは、発現を増幅するための適切な配列も含んでいてよい。プロモーター領域は、クロラムフェニコールトランスフェラーゼ(CAT)ベクターまたは選択可能マーカーを有する他のベクターを用いて所望の遺伝子から選択することができる。さらに、発現ベクターは、真核細胞培養のジヒドロ葉酸レダクターゼもしくはネオマイシン耐性などの、または大腸菌におけるテトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性などの形質転換宿主細胞の選択のための表現型形質を与えるために1つまたは複数の選択可能マーカー遺伝子を含むことが好ましい。
哺乳類発現ベクターは、複製起点、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、転写終結配列ならびに5’フランキング非転写配列も含んでいてよい。いくつかの態様では、SV40スプライスから得られるDNA配列およびポリアデニル化部位は、必要な非転写遺伝エレメントを供給するために用いることができる。
代替態様では、本発明の核酸、例えば、浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)を含むもの、および/または本発明の浸透圧応答核酸は、エピソームであるか、または細胞、例えば、培養される細胞のゲノムに安定に組み込まれる。
本発明の核酸構築物の安定な組込みのために、適切なキャリアまたはベクター、例えば、本発明を実施するのに用いることができるごくわずかなベクターおよびパッケージング系を挙げている、偽型レンチウイルスベクターを記載しているUSPN7,311,907;7,262,049;レンチウイルス感染宿主細胞を含む細胞培養の細胞増殖を増大させ、密度を増加させる方法を記載しているUSPN7,250,299;7,226,780;7,220,578;7,211,247;7,160,721;USPN7,078,031;7,070,993;7,056,699;6,955,919に記載されているレンチウイルスベクターおよび/またはパッケージング系を用いることができる。
本発明の核酸構築物のエピソーム輸送のために、適切なキャリアまたはベクター、例えば、本発明を実施するのに用いることができるごくわずかなベクターおよびパッケージング系を挙げている、USPN7,294,505に記載されている適切な核エピソームベクター;USPN6,808,923に記載されている所望の遺伝子のエピソーム複製のためのレンチウイルスベクター系;USPN6,797,494に記載されている組織特異的遺伝子発現のためのエピソーム発現ベクター;USPN6,605,281に記載されているエピソームへの導入用のヒト乳頭腫ウイルスベクター;USPN6,479,279または6,410,314に記載されているエピソームベクターを用いることができる。
本発明を実施するのに用いることができる他の発現カセット、ベクター、組換えウイルス、プラスミド、ファージ、ファージミド、人工染色体またはクローニング媒体および系は、例えば、本発明を実施するのに用いることができるごくわずかなベクターおよびパッケージング系を挙げている、USPN7,371,570に記載されている複製可能なアデノウイルスベクター;USPN7,348,178に記載されているアデノウイルス(Ad)ベースのトランスパッケージング系;USPN7,323,177;7,319,033;7,318,919または7,306,793に記載されているアデノウイルスなどである。
マーカー遺伝子
一態様では、本発明を実施するのに用いる発現カセット、ベクター、組換えウイルス、プラスミド、ファージ、ファージミド、人工染色体およびクローニング媒体は、本発明の核酸を含む、宿主細胞、例えば、哺乳類細胞の選択を可能にする1つまたは複数の選択可能なマーカー遺伝子を含む。
例示的な選択可能なマーカーは、ジヒドロ葉酸レダクターゼをコード化する遺伝子または真核細胞培養にネオマイシン耐性を付与する遺伝子、テトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性を付与する遺伝子などである。本発明を実施するのに用いる発現カセット、ベクター、組換えウイルス、プラスミド、ファージ、ファージミド、人工染色体およびクローニング媒体は、形質転換された細胞の選択を可能にする選択可能なマーカー遺伝子、例えば、アンピシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネオマイシンおよびテトラサイクリンなどの薬物に対して細菌を抵抗性にする遺伝子も含んでいてもよい。選択可能なマーカーは、ヒスチジン、トリプトファンおよびロイシン生合成経路におけるものなどの生合成遺伝子も含んでいてよい。
一態様では、トランスフェクト細胞を同定する能力を改善するために、1つまたは複数の選択可能またはスクリーニング可能マーカー核酸を、対象の発現可能な遺伝子として、またはそれに加えて用いる。「マーカー遺伝子」または「マーカー核酸」は、マーカー遺伝子/マーカー核酸を発現する細胞にはっきり識別できる表現型を与え、それにより、トランスフェクト細胞がマーカーを有さない細胞と識別されることを可能にする核酸である。
「マーカー遺伝子」または「マーカー核酸」は、マーカーが、化学的手段により、すなわち、選択薬(例えば、抗生物質など)を用いることにより「選択」することができる形質を与えるのか、またはマーカーが、観察もしくは試験により、すなわち、「スクリーニング」により識別することができる単に形質であるかによって、選択可能またはスクリーニング可能なマーカーをコード化し得る。例えば、緑色蛍光タンパク質または他の蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ型の生物発光タンパク質などがある。適切なマーカー遺伝子の多くの例が当技術分野で公知であり、本発明の実施で用いることができる。
「マーカー遺伝子」または「マーカー核酸」は、その分泌をトランスフェクト細胞の同定または選択の手段として検出することができる「分泌性マーカー」もコード化することができる。例としては、抗体相互作用により同定することができる分泌性抗原、またはそれらの触媒活性により検出することができる分泌性酵素をコード化するマーカーなどがある。分泌性タンパク質は、例えば、ELISAにより検出可能な小拡散性タンパク質;細胞外溶液中で検出可能な小活性酵素(例えば、分泌アルカリホスファターゼ、分泌ルシフェラーゼ、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)由来分泌a−アミラーゼ(SAMY)、バシラス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来キシラーゼA誘導体)および膜結合または一時的膜結合タンパク質などの多くのクラスに分類される。本発明を実施するのに用いることができる選択可能マーカー、および哺乳類細胞トランスフェクションを含む細胞トランスフェクションに適する選択可能マーカーは、当技術分野で公知である。そのようなマーカーは、アデノシンデアミナーゼ、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(ネオマイシンと併用)、ブレオマイシン耐性遺伝子(フレオマイシンまたはブレオマイシンまたはゼオシンと併用)、シトシンデアミナーゼ(N−(ホスホナセチル)−L−アスパラギン酸、イノシンおよびシトシンと併用)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)(メトトレキサートと併用)、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ(ヒスチジノールと併用)、ハイグロマイシン−B−ホスホトランスフェラーゼ(ハイグロマイシンと併用)、チミジンキナーゼおよびキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼを含むが、これらに限定されない。アデノシンデアミナーゼマーカーを用いる場合、遺伝子を組み込んでいる細胞は、低濃度のADA阻害剤2’−デオキシコフォルマイシンと細胞毒性濃度のアデノシンまたはその類似体9−β−D−キシロフラノシルアデニンの存在下での増殖により選択することができる。
宿主細胞および形質転換細胞
本発明は、例えば、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)などの本発明の核酸構築物、または本発明の浸透圧応答もしくは浸透圧調節核酸を含む、形質転換したまたはトランスフェクト細胞も提供する。この宿主細胞は、例えば細菌細胞、真菌の細胞、イースト細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞または植物細胞のような原核細胞、真核細胞を含めた当業者によく知られている任意の宿主細胞であってよい。例示的な細菌細胞には、エシェリキア属、バシラス属、ストレプトマイセス属、サルモネラ属、シュードモナス属およびブドウ球菌属内の任意の種が含まれ、例えば、Escherichia coli、Lactococcus lactis、Bacillus subtilis、Bacillus cereus、Salmonella typhimurium、Pseudomonas fluorescensが含まれる。例示的な真菌の細胞には、アスペルギルス属の任意の種が含まれる。例示的な酵母細胞には、ピチア属、サッカロミケス属、分裂酵母属またはシュバニオミケス属(Schwanniomyces)の任意の種が含まれ、Pichia pastoris、Saccharomyces cerevisiaeまたはSchizosaccharomyces pombeが含まれる。例示的な昆虫細胞には、スポドプテラ(Spodoptera)またはショウジョウバエの任意の種が含まれ、Drosophila S2およびSpodoptera Sf9が含まれる。例示的な動物細胞には、CHO、COSまたはボーズ黒色腫または任意のマウスもしくはヒト細胞株が含まれる。適切な宿主の選択は、当業者の能力の範囲内である。多種多様な高等植物種を形質転換するための技術は周知であり、技術的および科学的文献に記載されている。例えばWeising、(1988)、Ann.Rev.Genet.、22巻:421〜477頁、米国特許第5,750,870号を参照のこと。
本発明の発現カセット、ベクター、組換えウイルス、プラスミド、バクテリオファージ、ファージミド、人工染色体またはクローニング媒体は、形質転換、トランスフェクション、形質導入、ウイルス感染、遺伝子銃またはTi媒介された遺伝子導入含めて様々な技術のいずれかを用いてこれらの宿主細胞に導入できる。具体的方法には、リン酸カルシウムトランスフェクション法、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション法、リポフェクション法または電気穿孔法が含まれる(Davis,L.、Dibner,M.、Battey,I.、Basic Methods in Molecular Biology、(1986))。
一態様では、本発明の構築物は、スクリーニングのためにこれらの細胞に導入され、したがってこれらの核酸は、その後の核酸の発現に適した方法でこれらの細胞に入れる。この導入方法は、主に目標の細胞型により決定される。例示的な方法としてはリン酸カルシウム沈殿法、リポソーム融合法、リポフェクション法(例えば、LIPOFECTIN(商標))、電気穿孔法、ウイルス感染法、などが挙げられる。本発明の構築物は、宿主細胞ゲノムに安定的に組み込まれてもよく(例えば、レトロウイルスの導入で)、または例えば、従来のプラスミド、標準的調節配列の利用、選択マーカーなどを用いることによって細胞原形質中に一過性にもしくは安定的に存在してもよい。
必要に応じて、プロモーターの活性化、形質転換体の選択または本発明の遺伝子の増幅に適するように改変した従来の栄養培地中で、本発明の設計した宿主細胞を培養できる。適当な宿主株を形質転換して、その宿主株を適当な細胞密度まで増殖させた後、選択したプロモーターを適当な方法(例えば、温度シフトまたは化学誘導)により誘導してよく、さらにこの細胞を追加の期間培養して所望の組換えポリペプチドを産生させてもよい。
プロモーターの活性化、形質転換体の選択または遺伝子の増幅に適するように改変した従来の栄養培地中で、本発明の構築物を含む宿主細胞を培養できる。例えば温度、pHなどのような培養条件は、発現のために選択した宿主細胞で以前に使用した条件であることができ、これは当業者には明らかであろう。
トランスフェクションの方法、例えば、リン酸カルシウム法および電気穿孔法は、当業者には公知である。使用する宿主細胞に応じて、それらの細胞に適切な標準な諸技術を使用して形質転換を実行する。上記のSambrookら1989に記載の塩化カルシウムを使用するカルシウム処理または電気穿孔が、丈夫な細胞壁障壁を有する原核生物またはその他の細胞に一般に使用される。このような細胞壁がない哺乳動物の細胞には、Grahamおよびvan der Eb、Virology、52巻:456〜457頁、1978のリン酸カルシウム沈殿法を使用できる。哺乳動物の細胞宿主系形質転換の一般的な態様は、米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母への形質転換は、一般的にVan Solingenら、J.Bact.、130巻:946頁、(1977)およびHsiaoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、76巻:3829頁、(1979)の方法に従って実施する。しかし、細胞にDNAを導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション法、電気穿孔法、無傷の細胞との細菌プロトプラスト融合法、またはポリカチオン法(例えばポリブレンもしくはポリオルニチン)を用いてもよい。哺乳動物細胞を形質転換するための様々な技術については、Keownら、Methods in Enzymology、185巻:527〜537頁、(1990)およびMansourら、Nature、336巻:348〜352頁、(1988)を参照のこと。
調節核酸配列
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの調節核酸(例えば、抑制性、安定化または上方制御核酸分子)を含む浸透圧応答および浸透圧調節核酸を提供する。一実施形態では、ある遺伝子メッセージ(例えば、泌乳刺激遺伝子または泌乳刺激遺伝子メッセージ)を標的とする配列が、使用される。一実施形態では、その配列は抑制性であり、例えば短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンスRNAおよび/またはリボザイム活性を有するRNAを含んでいる。したがって代替実施形態では、本発明は、遺伝子、メッセージ(mRNA)またはタンパク質の発現および/または活性を増加、促進、減少、または無効化する遺伝子、メッセージ(mRNA)またはタンパク質を「標的」とすることができる核酸を含めた調節(抑制性、安定化または上方制御)核酸の使用を提供する。
一実施形態では、これらの調節(例えば、抑制性)核酸はオリゴヌクレオチドであり、例えば、公知の天然ヌクレオチド類似体、天然に存在する核酸、合成核酸および/または組換え核酸を含む。本発明は合成主鎖を有する核酸様構造物の使用を包含する。Mata、(1997)、Toxicol.Appl.Pharmacol.、144巻:189〜197頁、Strauss−Soukup、(1997)、Biochemistry、36巻:8692〜8698頁、Samstag、(1996)、Antisense Nucleic Acid Drug Dev、6巻:153〜156頁を参照のこと。本発明は、調節核酸(抑制性、安定化または上方制御)デオキシリボヌクレオチド(DNA)またはリボヌクレオチド(RNA)の一本鎖または二本鎖形態での使用を提供する。本発明は、公知の天然ヌクレオチド類似体を含む核酸の使用を提供する。本発明は、リン酸ジエステル結合を介してDNA部分とコンジュゲートした2’−O−アルキル置換基を有するRNA部分を含む調節(例えば、抑制性)混合オリゴヌクレオチドの使用を提供する。例えば、米国特許第5,013,830号を参照のこと。本発明は、合成主鎖を有する核酸様構造物の使用を提供する。本発明により提供されるDNA主鎖類似体としては、リン酸ジエステル、ホスホロチオエート、ジチオリン酸、メチルホスホン酸、ホスホロアミド酸、アルキルリン酸トリエステル、スルファミン酸塩、3’−チオアセタール、メチレン(メチルイミノ)、3’−N−カルバミン酸、カルバミン酸モルホリノ、およびペプチド核酸(PNA)がある。Oligonucleotides and Analogues、a Practical Approach、F.Eckstein編、Oxford University 出版、IRL出版、(1991)、Antisense Strategies、Annals of the New York Academy of Sciences、第600巻、BasergaおよびDenhardt編、(NYAS1992)、Milligan、(1993)、J.Med.Chem.、36巻:1923〜1937頁、Antisense Research and Applications、(1993、CRC出版)を参照のこと。本発明は、N−(2−アミノエチル)グリシン単位のような、非イオン性主鎖を含むPNAの使用を提供する。ホスホロチオネート結合は、例えば、米国特許第6,031,092号、米国特許第6,001,982号、米国特許第5,684,148号に記載されている。WO97/03211、WO96/39154、Meta、(1997)、Toxicol.appl.Pharmacol.、144巻:189〜197頁も参照のこと。本発明の核酸中で使用される他の合成主鎖としては、メチルホスホン酸結合または替りにメチルホスホン酸とリン酸ジエステルの結合(例えば、米国特許第5,962,674号、Strauss−Soukup、(1997)、Biochemistry、36巻:8692〜8698頁を参照のこと)、およびベンジルホスホン酸結合(例えば、米国特許第5,532,226号、Samstag、(1996)、Antisense Nucleic Acid Drug Dev、6巻:153〜156頁を参照のこと)がある。本発明は、遺伝子、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチドプライマ、プローブおよび増幅産物を含む調節(例えば、抑制性)核酸の使用を提供する。
本発明の核酸は、遺伝子発現パターンに影響を及ぼすように機能するが、まだタンパク質に翻訳されないRNA転写物を発現するために真核性の(例えば、哺乳動物)細胞に導入されてもよい。本発明を実施するために使用される例示的な調節(例えば、抑制性)核酸としては、短鎖干渉RNA(siRNA)およびマイクロRNA(miRNA)、アンチセンスRNAおよびリボザイム活性を有するRNAがあり:これらの核酸は、天然の(内在性)または導入された(異種の)細胞遺伝子(例えば、哺乳動物遺伝子)の発現を減少または除去するために機能できる。
本発明を実施するために使用する遺伝子および核酸は、構築または単離されてよく、これらは転写されたときに、1つまたは複数の標的メッセンジャーRNAの全てまたは1部または複数の部分に対して相補的である調節RNA(例えば、アンチセンスまたはセンス)または二本鎖RNAを生成する。この調節(例えば、アンチセンスまたはセンス)もしくは二本鎖RNA、またはsiRNAまたはmiRNAは、そのメッセンジャーRNAのポリペプチド産物の生成を減少させる。このポリペプチド産物は、哺乳動物細胞のゲノムにコード化される任意のタンパク質であってよい。
本発明を実施するために使用する遺伝子および核酸は、構築または単離されることもでき、これらは転写されたときに、RNA酵素またはリボザイムを生成し、これらはエンドリボヌクレアーゼとして作用し、選択された配列でRNA分子の裂開を触媒できる。
選択されたメッセンジャーRNAの裂開により、それらがコード化するポリペプチド産物の生成を減少させることができる。これらの調節(例えば、抑制性)核酸は、新規な哺乳動物細胞株を作成するために使用されてもよく、これらの哺乳動物の細胞株は、アンチセンスまたは干渉RNAによって、影響を受ける可能性がある本明細書に引用されたこれらのポリペプチドを含むがこれに限らない、ポリペプチドを低レベルで発現できる。
任意の特定の実施形態(例えば、バイオリアクター、インプラント、細胞培養物、組換えタンパク質として発現させる、など)では、使用される調節(例えば、抑制性または上方制御)核酸の最適な長さおよび濃度は、通常の方法およびスクリーニング系を使用して決定できる。最適な長さおよび濃度を設計するための戦略は、科学および特許文献中によく記載されており、その当業者は、本発明の新規な試薬を使用して通常の方法およびスクリーニング系を使用して、調節(例えば、抑制性または上方制御)核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)を設計できる。
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本発明は、遺伝子メッセージを標的とする少なくとも1つの配列(例えば、泌乳刺激遺伝子または泌乳刺激遺伝子メッセージを標的とする配列)を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。アンチセンスオリゴヌクレオチドを設計するための戦略は、科学および特許文献中によく記載されており、その当業者は、本発明の新規な試薬を使用して、タンパク質をコード化する(例えば、泌乳刺激タンパク質をコード化する)オリゴヌクレオチドを設計できる。例えば、有効なアンチセンスオリゴヌクレオチドをスクリーニングするための遺伝子歩行/RNA地図作成手順は当業者において、周知であり、RNA地図作成アッセイに関して記載があり(例えば、Ho、(2000)、Methods Enzymol.、314巻:168〜183頁を参照のこと)、そのアッセイは強力なアンチセンス配列を選択するための簡便かつ信頼性の高い方法を提供するための標準的な分子技術に基づいている。Smith、(2000)、Eur.J.Pharm.Sci.、11巻:191〜198頁も参照のこと。
一実施形態では、天然に存在する核酸が、調節(例えば、抑制性または上方制御)核酸オリゴヌクレオチドとして使用される。このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、任意の長さであることができ、例えば、他の態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約5〜100、約10〜80、約15〜60、約18〜40の間である。最適な長さは、通常のスクリーニングによって、決定できる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、任意の濃度で存在できる。最適な濃度は、通常のスクリーニングによって、決定できる。多種多様な合成、非天然ヌクレオチドおよび核酸の類似体が公知であり、この潜在的な課題を解決できる。例えば、N−(2−アミノエチル)グリシン単位のような非イオン性主鎖を含むペプチド核酸(PNA)を、使用できる。以下に記載の通り、ホスホロチオネート結合を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用することもできる、WO97/03211、WO96/39154、Mata、(1997)、Toxicol Appl Pharmacol、144巻:189〜197頁、Antisense Therapeutics、Agrawal編、(Humana出版、Totowa、N.J.、1996)。上記の通り、本発明により提供される合成DNA主鎖類似体を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドには、ジチオリン酸、メチルホスホン酸、ホスホロアミド酸、アルキルリン酸トリエステル、スルファミン酸塩、3’−チオアセタール、メチレン(メチルイミノ)、3’−N−カルバミン酸およびカルバミン酸モルホリノ核酸も含めることができる。
コンビナトリアルケミストリー方法論を使用して、本発明のセンスおよびアンチセンスキシラナーゼ、マンナナーゼおよび/またはグルカナーゼ配列のような任意の標的に対して適当な結合能および特異性を有する特定のオリゴヌクレオチドを迅速にスクリーニングできる膨大な数のオリゴヌクレオチドを作成できる(例えば、Gold、(1995)、J.of Biol.Chem.、270巻:13581〜13584頁を参照のこと)。
調節リボザイム
本発明は、例えば、泌乳刺激タンパク質をコード化するメッセージに結合できる転写産物(メッセージ)になることができるリボザイムを提供する。一実施形態では、これらのリボザイムは、例えばmRNAを標的とすることによって、タンパク質活性(例えば、泌乳刺激タンパク質活性)を調節(例えば、阻害)することができる。リボザイムを設計し、ターゲティングのために泌乳刺激タンパク質に特異的なアンチセンス配列を選択するための戦略は、科学および特許文献中によく記載されており、その当業者は、本発明の新規な試薬を使用してこれらのリボザイムを設計できる。リボザイムは、リボザイムの標的RNA結合部分を介して標的RNAに結合することによって、作用し、標的RNA結合部分は、標的RNAを切断するRNAの酵素部分と近接して保持される。それにより、リボザイムは相補的な塩基対合よって標的RNAを認識して結合し、一旦正しい部位に結合すると、酵素的に作用して、標的RNAを切断し不活性化する。このような方法での標的RNAの切断は、その切断がコード化配列内で起こる場合、コード化されているタンパク質の合成を指示するそのRNAの能力を破壊することになる。リボザイムはその標的RNAに結合して切断した後、標的RNAから遊離して、繰り返し新しい標的に結合し切断できる。
治療的な処置に効果をもたらすのに必要なリボザイムの有効濃度はアンチセンスオリゴヌクレオチドのそれもより低くすることができるので、いくつかの状況において、リボザイムの酵素的性質はアンチセンス技術(ここで核酸分子は単純に標的核酸に結合して、その転写、翻訳またはその他の分子との会合を妨害する)のような他の技術よりも有利になり得る。この潜在的利点は、酵素的に作用するリボザイムの能力を反映している。したがって、1つのリボザイム分子が、多くの標的RNA分子を切断することが可能である。さらにリボザイムは一般的に特異性の高い阻害剤であり、その阻害の特異性は塩基対合メカニズムによる結合だけでなく、リボザイム分子が、これが結合するRNAの発現を阻害することによるメカニズムによっても決まる。すなわち、この阻害は標的RNAの切断によって、引き起こされるので、特異性を、標的でないRNAの切断速度に対する標的RNAの切断速度の比率として定義する。この切断メカニズムは、塩基対合に関係する要素に付加的な要素に依存している。したがって、リボザイムの作用の特異性は、同じRNA部位に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドのそれより大きくなり得る。
本発明を実施するために使用するリボザイムは、酵素的なリボザイムRNA分子であることができ、それはハンマーヘッドモチーフで、ヘアピンモチーフで、デルタ型肝炎ウイルスモチーフとして、グループIイントロンモチーフとしておよび/またはRNAガイド配列と会合するRNaseP様RNAとして形成され得る。ハンマーヘッドモチーフの例は、例えばRossi、(1992)、Aids Research and Human Retroviruses、8巻:183頁、ヘアピンモチーフの例は、Hampel、(1989)、Biochemistry、28巻:4929頁およびHampel、(1990)、Nuc.Acids Res.、18巻:299頁、デルタ型肝炎ウイルスのモチーフの例は、Perrotta、(1992)、Biochemistry、31巻:16頁、RNasePモチーフの例は、Guerrier−Takada、(1983)、Cell、35巻:849頁、グループIイントロンの例は、Cech米国特許第4,987,071号により記載されている。これらの特定の諸モチーフの説明は、制限しようとするものではない。
RNA干渉(RNAi)
1つの態様では、本発明は、泌乳刺激タンパク質コード化配列のようなタンパク質コード化配列を標的とするための、RNA調節(例えば、抑制性、安定化または上方制御)分子(例えば、「RNAi」分子)を提供する。このRNAi分子としては、二本鎖RNA(dsRNA)分子、例えば、siRNA、miRNAおよび/または低分子ヘアピン型RNA(shRNA)分子を挙げることができる。このRNAi分子、例えばsiRNA(阻害的低分子RNA)は、タンパク質コード化遺伝子(例えば、泌乳刺激タンパク質コード化遺伝子)の発現を阻害することができ、かつ/またはmiRNA(マイロRNA)はタンパク質メッセージ(例えば、泌乳刺激タンパク質メッセージ)の翻訳を阻害する。1つの態様では、RNAi分子、例えば、siRNAおよび/またはmiRNAは、長さが約11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29またはそれより長い二本鎖ヌクレオチドである。
本発明はいかなる具体的な作用機構によっても制限されないが、RNAiは細胞に入ることができ、内在性mRNA含めた類似または同一配列の一本鎖RNA(ssRNA)の分解を引き起こすことができる。細胞が二本鎖RNA(dsRNA)に曝露されるとき、相同遺伝子に由来するmRNAは、RNA干渉(RNAi)と呼ばれる過程によって、選択的に分解される。RNAiのもとになる有力な基本的機序は、特定の遺伝子配列に合致した二本鎖RNA(dsRNA)を短鎖干渉RNAと呼ばれる短い断片に切断することであり、それがその配列に合致するmRNAの分解を誘発する。1つの態様では、本発明のRNAi類は、遺伝子抑制療法で使用され、例えば、Shuey、(2002)、Drug Discov.Today、7巻:1040〜1046頁を参照のこと。一態様では、本発明は、本発明のRNAi分子類(例えば、siRNAおよび/またはmiRNA)を使用してRNAを選択的に分解する方法を提供する。この過程は、in vitro、ex vivoまたはin vivoで実施されてよい。一態様では、本発明のこれらのRNAi分子は、細胞、器官または動物中で機能消失突然変異を生成するために使用できる。
RNA発現を調節(例えば、選択的にRNAを分解する)するための調節核酸(例えば、RNAi分子、siRNAおよび/またはmiRNA)を作成し使用するための方法は、当業者にとって周知であり、例えば、米国特許第6,506,559号、米国特許第6,511,824号、米国特許第6,515,109号、米国特許第6,489,127号を参照のこと。
非ヒトトランスジェニック動物
本発明は、例えば、非ヒト動物中で浸透圧調節を研究するために、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)を含む非ヒトトランスジェニック動物を提供する。非ヒトトランスジェニック動物は、当業者にとって公知の任意の方法を使用して設計し作成でき、例えば、形質転換細胞および卵およびトランスジェニックマウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、魚、ウシの作成と使用に関して記載している米国特許第6,211,428号、米国特許第6,187,992号、米国特許第6,156,952号、米国特許第6,118,044号、米国特許第6,111,166号、米国特許第6,107,541号、米国特許第5,959,171号、米国特許第5,922,854号、米国特許第5,892,070号、米国特許第5,880,327号、米国特許第5,891,698号、米国特許第5,639,940号、米国特許第5,573,933号、米国特許第5,387,742号、米国特許第5,087,571号を参照のこと。例えば、トランスジェニック酪農動物の乳での組換えタンパク質生産に関して記載しているPollock、(1999)、J.Immunol.Methods、231巻:147〜157頁、トランスジェニックヤギの生産を実証しているBaguisi、(1999)、Nat.Biotechnol.、17巻:456〜461頁も参照のこと。
細胞培養物、インプラントおよびバイオリアクター
代替実施形態では、本発明の組成物および方法を使用して任意のインプラント、人工器官または培養系(例えば、バイオリアクター、インプラント、人工器官または単純な細胞培養プレート、ビン、ディッシュ、チューブもしくはフラスコで)における細胞の健康および生存率を維持できる。組成物および方法を使用して、培養条件における細胞の健康および生存率を維持する、例えばこれらの細胞が産物(例えば組換えタンパク質または多糖産物、または「産生細胞株」の場合にはウイルス性産物(例えば、ウイルス粒子)(例えば、米国特許第5,837,484号、米国特許第6,566,118号を参照のこと)、またはポリケチドなどの有機分子)を生成するように設計されているとき、本発明の組成物(例えば、本発明の発現カセット、ベクター、組換えウイルス、プラスミド、バクテリオファージ、ファージミド、人工染色体もしくはクローニング媒体、または本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)を含む任意のキメラ核酸)を組み込むことによりこれらの細胞がさらに健康でより生存可能になるので、より多くのこの所望の産物が作られる。
本明細書において、提供される組成物および方法は、例えば、バイオリアクター、インプラントなどの培養系中の細胞による、分子(例えば組換えタンパク質)の生成を促進するためにも使用できる。一態様では、本明細書において、提供される組成物および方法は、最適な浸透圧条件より劣る条件下(具体的な細胞または培養系に対して最適な浸透圧条件よりも劣る)、例えば、後期または高密度の細胞培養条件下で見られるような高重量モル浸透圧濃度および/または低重量モル浸透圧濃度の条件下で、正しく折りたたまれたもしくは好ましく折りたたまれた(例えば、野生型の折たたみ)および/またはグリコシル化されたタンパク質の生成を維持または増加させるために使用される。したがって、一実施形態では、本明細書において、提供されるこれらの組成物および方法は、後期または高密度の細胞培養条件で見られるような特別な浸透圧ストレスを受けた条件の細胞(例えば、細胞培養系)で生成する産物(例えば、組換えタンパク質)の品質を維持または増加させるために使用される。
本明細書において、提供されるこれらの組成物および方法は、当業者に公知の任意の培養系において、実施されることができ、例えば、(流加バッチ細胞培養に関して記載している)米国特許第5,705,364号、米国特許第5,721,121号、米国特許第5,976,833号、米国特許第6,180,401号、米国特許第6,410,270号、米国特許第6,716,602号、米国特許第7,294,484号、米国特許第7,294,481号、および米国特許出願公開第2003/0096414号、米国特許出願公開第2005/0272124号、(微小流体細胞培養系に関して記載している)米国特許出願公開第2006/0160180号、米国特許出願公開第2007/0254358号、米国特許出願公開第2007/0231901号、(グリコシル化のための細胞培養環境の操作に関して記載している)米国特許出願公開第2007/0184529号、米国特許出願公開第2007/0161106号を参照のこと。
例えば、一実施形態では、「流加バッチ細胞培養」は、例えば、最初に細胞および培地が培養容器に供給され、周期細胞および/または培養終了前の産物回収の有り無しで、培養期間中連続的または不連続増分でその培養液に追加の培養栄養分が供給されるバッチ培養に使用される。本発明を実施するために使用する流加バッチ培養系は、「半継続的な流加バッチ培養法」であることができ、例えば、細胞および培地を含む全ての培養液を定期的に除去し新しい培地で交換する。例えば、細胞および全ての培養栄養分を含む細胞培養のための全ての構成要素を、培養過程の開始時に培養容器に供給する単純な「バッチ培養」も、本発明を実施するために使用できる。例えば、製造培養の増殖過程の期間中、培養容器から上清を除去しない潅流培養も本発明を実施するために使用できる、例えば濾過、カプセル化、マイクロキャリアへの固定などによって、細胞を培養液中に留まらせることができ、培養培地が連続的にまたは断続的に導入され培養容器から除去される。
本発明のこれらの細胞(本発明の発現カセット、ベクター、組換えウイルス、プラスミド、バクテリオファージ、ファージミド、人工染色体もしくはクローニング媒体、あるいは本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)を含む任意のキメラ核酸を含む任意の細胞)は、任意のバイオリアクター、細胞培養プレート、チューブまたはフラスコを含む任意の細胞培養系で使用できる。本発明は、本発明の細胞を含むバイオリアクター系、細胞培養系、プレート、チューブおよびフラスコも提供する。
例えば、本発明の実施において、細胞増殖期に続いてポリペプチド生産期があることができ、それは増殖期とは区別できる。一実施形態では、生産期は細胞増殖期とは異なる培養容器中で実施される。
あるいは、各段階で同じ容器を使用できる。例えば、生成のために増殖期の培養培地を、高重量モル浸透圧濃度、低ブドウ糖含有培地で供給できる。あるいは、当業者に利用可能な細胞−液体分離装置(例えば、クロスフロー濾過、回転選別または流動床マイクロキャリア)を使用する培地交換が、同じ容器を使用できるようにするために使用できる。
一実施形態では、生産期は、少なくとも約1.0×10細胞/mL、または少なくとも約3.0×10細胞/mL、または約1〜10×10細胞/mLの細胞種密度で、増殖期の培養動物細胞を播種することを含む。一実施形態では、動物細胞は、例えば、増殖期を例証したそれのような培養容器中で、約400〜600mOsm、または約400〜500mOsmの開始重量モル浸透圧濃度で培養される。
一実施形態では、指定の重量モル浸透圧濃度の培養培地を得るために、PS−04(商標)、DIESEL(商標)、またはSUPER CELLl(商標)培養培地または類似の培地を使用することができ、培養培地の重量モル浸透圧濃度はブドウ糖および塩(例えば、NaClのような)の基礎濃度の追加によって、増加させることができる。この種の培養培地は、追加の細胞栄養分を提供し高い開始オスモル濃度を得るために過剰のアミノ酸を含んでいる。しかし、当業者には容易に明らかなように、培養培地中の他の構成要素の濃度(複数可)は、所望の重量モル浸透圧濃度を得るために調整できる。
一実施形態では、この重量モル浸透圧濃度は、その培養期間を通して実質的に望ましい範囲で維持される。細胞培養培地へのブドウ糖の供給の制御は、所望の最適条件を実質的に超える重量モル浸透圧濃度の過剰な増加を防止するのに役立つ。
一実施形態では、生産期は、培養期間を通して約0.01〜1g/L、好ましくは0.02〜0.5g/L、および好ましくは、0.05〜0.2g/Lの範囲内になるように制御されたブドウ糖の濃度のもとで実施される。指定の範囲内における培養培地のグルコース濃度を監視および制御するためには、FIAまたは他のオートメーション化したオンライン制御系が有効である。
一実施形態では、グルタミン濃度も培養期間を通して0.2〜2mM、好ましくは0.5〜1mMの範囲内になるように制御される。グルタミン濃度の制御は、例えば、上述したものと類似のFIA系を使用して達成できる。
一実施形態では、温度、pH、dOなどの培養条件は、タンパク質産生のために選択した宿主細胞で以前に使用した条件であり、当業者には明らかであろう。例えば、pHは6.5〜7.5の範囲で調節されてよく、産生のための温度は、30℃〜38℃の間でよい。
一実施形態では、生産循環は、組換えタンパク質のための約10日〜15日間またはそれより長い標準的な時間から、約9日間もしくはそれより短く、または7日間もしくはそれより短く短縮できる。ある実施形態(例えば、ここでは対象のポリペプチドがDNA分解酵素である)では、その生産期は、最大のポリペプチド力価が得られる前に終了する。より長く培養して生成したDNA分解酵素と比較して、結果として生じるDNA分解酵素組成物の脱アミドの割合が減少しているように、このことは有利になる。ポリペプチド生産期の後、当業者によく確立された技術を使用して、対象のポリペプチドをこの培養培地から回収できる。
バイオリアクター、インプラントおよび人工器官
本発明は、本発明の細胞を含むインプラントおよび人工器官、バイオリアクター系、細胞培養系、プレート、ディッシュ、チューブ、ビンおよびフラスコも提供する。任意のインプラント、人工器官、バイオリアクター系、細胞培養系、細胞培養プレート、ディッシュ(例えば、ペトリ皿)、細胞培養チューブおよび/または細胞培養フラスコ(例えば、ローラービン)を使用して、本発明を実施できる。
例えば、本発明のバイオリアクター、または本発明の方法を実施するために用いるバイオリアクターは、例えば米国特許出願公開第2008/0112995号に記載の移植可能なバイオリアクター装置、または、例えば米国特許出願公開第2008/0057571号、米国特許出願公開第2008/0044890号、米国特許出願公開第2008/0044850号、米国特許出願公開第2008/0038816号、米国特許出願公開第2008/0032396号、米国特許出願公開第2008/0032389号、米国特許出願公開第2008/0032380号、米国特許出願公開第2008/0014629号、米国特許出願公開第2008/0014215号に記載されているバイオリアクター装置、および/または生体利用人工器官のためのバイオリアクターに関して記載している米国特許出願公開第2008/0003669号、および/または米国特許(USPN)第7,378,023号、米国特許第7,371,567号、哺乳動物の肝細胞のためのバイオリアクターに関して記載している米国特許第7,351,584号、マイクロプロセッサで制御され、これを装備しているバイオリアクターに関して記載している米国特許第7,348,175号、バイオリアクター中の懸濁液の生物学的処理のための装置に関して記載している米国特許第7,300,584号、上向流バイオリアクターに関して記載している米国特許第7,290,669号、3段階酵素反応器に関して記載している米国特許第7,264,962号、生存可能な固定化した生物材料を使用するバイオリアクターに関して記載している米国特許第7,229,808号、多孔質容器バイオリアクター装置に関して記載している米国特許第7,198,941号、生細胞のオートメーション化した培養および処理のためのバイオリアクター装置および細胞培養系に関して記載している米国特許第7,198,940号、温度制御を改善したバイオリアクター系に関して記載している米国特許第7,156,985号であることができ、本発明を実施するために使用できるほんの2つ、3つの例示的なバイオリアクターおよび細胞培養系を記載する。
代替実施形態では、本発明は、インプラント、例えば、本発明の細胞を含む医療用インプラント(例えば、インスリンまたはサイトカインまたはホルモンを分泌する細胞)またはステント、整形、眼または歯のインプラントを提供する。例えば、インプラントおよび人工器官(例えば、人工のまたは移植の皮膚、肝臓、膵臓または歯)、バイオリアクター系、細胞培養系、プレート、ディッシュ、チューブおよびフラスコは、幹細胞、多能性細胞、未分化細胞、脈絡叢細胞、シュワン細胞、網膜細胞、神経細胞、骨細胞、肝細胞、肝臓実質細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞、線維芽細胞様細胞、クッパー細胞、腎臓細胞、血管細胞、皮膚細胞、歯根膜の細胞、象牙芽細胞、象牙質芽細胞、セメント芽細胞、エナメル芽細胞、歯原性外胚葉性幹細胞組織、骨芽細胞、破骨細胞、線維芽細胞、ならびに歯形成または骨形成に関与する他の細胞および組織、および/または幹細胞、および他のヒトまたは動物器官細胞もしくはその細胞は、胚性幹細胞もしくは成体幹細胞またはそれらの組合せである。
本発明の細胞を含む任意のバイオリアクター、インプラント、ステント、人工器官または同様の装置は、本発明の組成物または方法を生産または使用するために利用でき、例えば、米国特許第7,388,042号、米国特許第7,381,418号、米国特許第7,379,765号、米国特許第7,361,332号、7,351,423号、米国特許第6,886,568号、米国特許第5,965,125号、米国特許第5,270,192号、および米国特許出願公開第2004/0127987号に記載されているインプラント、(耳介インプラントに関して記載している)米国特許出願公開第2008/0119909号、(眼インプラントに関して記載している)米国特許出願公開第2008/0118549号、(生理活性創傷包帯に関して記載している)米国特許出願公開第2008/0020015号、(心臓弁生物補綴物、血管移植片、半月インプラントに関して記載している)米国特許出願公開第2007/0254005号、(肝臓移植に関して記載している)米国特許出願公開第2007/0059335号、米国特許出願公開第2006/0128015号がある。
浸透圧応答転写エンハンサーおよびそれらの結合タンパク質
本発明は、転写調節配列に作動的に連結した(例えば最小プロモーター、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターなどのプロモーターに作動的に連結した)少なくとも1つのTonEBP応答またはNFATc応答転写エンハンサー配列を含む、少なくとも1つの浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)を提供する。TonEBP応答およびNFATc応答転写エンハンサー配列、およびそこに結合するTonEBPおよびNFATcタンパク質は、当業者に周知である。
例えば、TonEBP応答転写エンハンサー配列は、この配列を含むことができる:5’−(T/A/C)GGAA(A/T)NN(T/A/C)N(T/A/C)−3’(配列番号1)、および、TonEBP応答転写エンハンサー配列は、記載されており、例えばDaoudal、(1997)、J.Biol.Chem.、272巻(5号):2615〜2619頁、Ferraris、(1999)、Am.J.Physiol.、276巻(3Pt 1)、および後述したその他を参照のこと。本発明を実施するために使用できる例示的な活性TonEBP結合部位としては、表1に見られる部位が含まれる。
Figure 0005524214

1.Daoudal S, Tournaire C, Halere A, Veyssiere G, Jean C.Isolation of the mouse aldose reductase promoter and identification of a tonicity-responsive element. J. Biol Chem. 1997 Jan 31;272(5):2615-9.

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4.Fenton RA, Cottingham CA, Stewart GS, Howorth A, Hewitt JA, Smith CP. Structure and characterization of the mouse UT-A gene (Slc14a2).Am J Physiol. Renal Physiol. 2002 Apr; 282(4):F630.

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11.Woo SK, Lee SD, Na KY, Park WK, Kwon HM.TonEBP/NFAT5 stimulates transcription of HSP70 in response to hypertonicity. Mol Cell Biol. 2002 Aug;22(16):5753-60.
浸透圧保護性表現型の促進
一態様では、本発明の組成物または方法は、浸透圧応答転写エンハンサーに結合するタンパク質も表し、例えば、本発明の組成物(構築物)は、本発明の構築物中で使用される浸透圧応答転写エンハンサーに結合する少なくとも1つのタンパク質をコード化する核酸配列を含む。本発明の構築物および/または方法が、誘導可能な核酸および/またはポリペプチド発現系として使用される場合、この別の例は本発明の態様において、特に有効であり、本発明のこの構築物自体が、構成的にまたは誘導的に(例えば、浸透圧応答に)供給(製造)されることができ、浸透圧応答転写エンハンサーに結合して、浸透圧応答転写エンハンサー配列の転写活性化を「促進する」追加的なまたは新規なタンパク質は、本発明の構築物中に存在する。
別の実施形態では、浸透圧応答転写エンハンサーに結合して、浸透圧応答転写エンハンサー配列の転写活性化を「促進する」追加的なまたは新規なタンパク質は、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)とは違う別の構築物上に存在する。
例えば、本発明の例示的な方法は、本発明の構築物を含むOR TREと新規なまたは追加の浸透圧応答転写エンハンサー結合配列を作成するための他の発現構築物(例えば、発現ベクター)とを両方使用することを含んでいる。
例えば、本発明の構築物は、配列1を有する張度応答エンハンサー結合タンパク質、または「TonE−結合タンパク質」、または「TonEBP」をコード化することができる:
Figure 0005524214
NFATc張度応答転写活性化配列も、本発明の構築物中で使用することができ、このNFATcシグナル経路は、例えばLi、(2007)、Am.J.Physiol.cell Physiol.、292巻(5号):C1606〜16頁に記載されている。例えば、Miyakawa、(1999)、「Tonicity−responsive enhancer binding protein,arel−like protein that stimulates transcription in response to hypertonicity」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、96巻(5号):2538〜2542頁に記載の(例えば、Lopez−Rodriguez、(1999)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、96巻(13号):7214〜7219頁、も参照のこと)張度応答エンハンサー結合性タンパク質に応答する配列も、本発明を実施するのに使用できる。このタンパク質は、哺乳動物細胞中で浸透圧ストレスにより誘導される遺伝子発現を調節する。このタンパク質ファミリーの単量体メンバーとは異なり、このタンパク質は、ホモ二量体として存在し、DNAエレメントと安定な二量体を形成する。異なるアイソフォームをコード化する複数の転写変異体が、この遺伝子について見つかっている。本発明を実施するために使用できる1つのアイソフォームは:
Figure 0005524214
である。Nagase、(1998)、DNA Res.、5巻(6号):355〜364頁、Lopez−Rodriguez、(1999)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、96巻(13号):7214〜7219頁、Miyakawa、(1999)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、96巻(5号):2538〜2542頁、を参照のこと。
上述の通り、本発明は、細胞(バイオリアクター、細胞培養物、インプラントなどの中の細胞含めて)中に挿入され、発現した場合に、その細胞に対して浸透圧保護性表現型を与える核酸構築物を提供する。代替実施形態では、本発明は、例えばNFATcポリペプチド、AP−1ポリペプチド、TonEBPポリペプチド、カルシニューリンポリペプチドまたはそれらの組合せをもコード化することによって、能力を高めた浸透圧保護性構築物を提供する。本発明の構築物がNFATcポリペプチドも発現するときに、例えばNFATcポリペプチドが張度応答性エンハンサーに結合し、その細胞中で浸透圧保護性タンパク質のより(より大きい、より高い)発現をもたらすので、浸透圧保護性能力の増大が得られる。本発明の構築物がAP−1ポリペプチドも発現するときに、例えば、AP−1ポリペプチドは、NFATcポリペプチドが張度応答エンハンサーに結合するために必要な補因子になり得るので、浸透圧保護性能力の増大が得られる。本発明の構築物がTonEBPポリペプチドも発現するときに、例えば、TonEBPタンパク質は本発明のTonEBP応答転写エンハンサー配列に結合するので、浸透圧保護性能力の増大が得られる。これらNFATc、AP−1、TonEBPおよび/またはカルシニューリンポリペプチドをコード化する核酸は、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)によって、または他のエンハンサーもしくはプロモーターによっても調節され得る。
代替実施形態では、これらNFATc、AP−1、TonEBPおよび/またはカルシニューリンポリペプチドは、本発明のORE−TRE浸透圧応答核酸分子と同じ構築物上で発現させるよりはむしろ別々の構築物、例えば別々のベクター上で発現され、そのベクターはエピソーム性、一過性発現構築物またはゲノムに組み込まれる発現構築物であり得る。
キットおよびライブラリー
本発明は、本発明の細胞、標的配列、トランスフェクション試薬、遺伝子導入試薬、説明書(本発明の方法に関する)またはそれらの任意の組合せを含めた本発明の組成物および方法を含むキットを提供する。このように、キット、細胞、ベクターなどが本明細書において提供される。
本発明は、以下の実施例を参照してさらに記載されることになるが、しかし、本発明がこれらの実施例に限定されないことは理解されよう。
実施例1
浸透圧感受混成転写調節エレメントの設計
本発明は、浸透圧応答転写調節エレメント(ORTRE)を提供する。
この実施例は、本発明の例示的な浸透圧応答合成混成転写調節エレメントを設計するためのTonE結合部位の使用、および重量モル浸透圧濃度増加時におけるその発現特性に関して記載する。これらの結果は、本発明の浸透圧応答転写調節エレメントが浸透圧依存的な様式でトランス活性化され得ることを実証している。
方法:
浸透圧応答プロモーターPOR1の構築
浸透圧応答プロモーターPOR1を、oligo OLM155 5’−TTGACTAGTTGGAAAATCACCAGAATGGGATTTAGAGAGGTGGGGTTCCTGACTCATTGCTAGCTCGAGCTCGGTACCCGGGTCGAGTAGGCGTGTACGGTGGGAG−3’(配列番号8)、およびアニーリング配列OLM165 5’−GGTGGTTTAATCGATAGAACC−3’(配列番号10)を用いてヒトCMVプロモーターをPCR増幅することによって、クローニングしたが、ただしTonEおよびAP1結合部位を太字で、これら結合部位およびそれらの間の配列を、浸透圧応答エレメント(OR)とみなし、アニーリング配列をイタリックで、SpeIおよびNheIクローニング部位を浸透圧応答エレメント(OR)の5’側および3’側にそれぞれ導入し、これらクローニング部位に下線を引いている。このPCR産物をtopoクローニングし、それによりpLM216を得た。この混成プロモーターを、そのすぐ3’側のイントロンと一緒に(SpeI/ClaI)を用いてpLM216から切り出し、STIgMA−FCスタークレス(Stalkless)発現プラスミド(SpeI/ClaI)部位にクローニングし、それによりpOsmo1(POR1−Intron−STIgMA−Fc−pA、POR1、OR−Pfragment CMV)を得た。
細胞培養、トランスフェクション
チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO−K1 DUX−B11(dhfr)を、無血清低タンパク質(ヒト組換えインスリン)培地中で、懸濁培養した。最適化したLIPOFECTAMINE(商標)(Invitrogen、Carlsbad、CA)トランスフェクション手順を使用して、この細胞に高効率一過性トランスフェクションを行った。一過性にトランスフェクトした細胞を、トランスフェクト後6時間に採取し、6ウェルプレート中の重量モル浸透圧濃度が増加する血清含有培地に播種した。塩濃度の増加に伴ってリン酸緩衝食塩水を固定容量添加することによって、この培地の重量モル浸透圧濃度を各ウェルで調整した。ELISAを用いて一過性にトランスフェクトした細胞を、48時間後にFc融合遺伝子発現について常法に従って分析した。
結果
生物薬剤産生およびストレス応答遺伝子工学のための哺乳動物の遺伝子調節系の設計に関する浸透圧応答エレメントの潜在力を分析するために、TonE部位を含むマウスアルドースレダクターゼプロモーター(配列−1053〜−1007)の浸透圧応答エレメントとヒトサイトメガロウイルス前初期プロモーターの5’側部分であるAP−1部位(活性化タンパク質−1)(例えば、上記Daoudalら、1997を参照のこと)を融合させ、それにより浸透圧応答プロモーター1 POR1を構築した。
例示的なPOR1プロモーターがFc融合タンパク質pOsmo1(POR1−Intron−STIgMA−Fc−pA、POR1、OR Pfragment CMV)の発現を駆動するプラスミドを構築した。CHOK1 DUX−B11(dhfr)細胞に、構成的プロモーター(ヒトサイトメガロウイルスプロモーター)またはPOR1プロモーターのいずれかで駆動されるFc融合発現プラスミドをトランスフェクトした後に、このトランスフェクト細胞を、重量モル浸透圧濃度が増加する培地に播種し、48時間培養した。次いで、図2に略図で例示した通り、この細胞の上清をFc融合発現についてアッセイしたが、ここで、重量モル浸透圧濃度をmOsmとして、本発明の構成的プロモーターおよびPOR1−転写調節エレメント両方に由来するタンパク質の濃度をmg/Lで表している。
構成的プロモーター駆動発現プラスミドの発現レベルは、300〜400mOsmの安定した状態を保ち、その後重量モル浸透圧濃度がさらに増加するにつれて減少した。おそらく、これはよく記載されている高重量モル浸透圧濃度における細胞挙動を反映している:重量モル浸透圧濃度の増加に伴って細胞増殖速度が減少し細胞生存率が減少する。
したがって、レポーター遺伝子の構成的発現は、組換えタンパク質の発現における高重量モル浸透圧濃度の効果の説明となる。
ヒトサイトメガロウイルスプロモーターおよび浸透圧応答プロモーター1は、300mOsmで同程度の組換えタンパク質発現レベルを駆動した。重量モル浸透圧濃度が400mOsmまで増加するにつれて、POR1駆動発現レベルは増加し、続いて重量モル浸透圧濃度の増加に伴って減少した。しかし、このPOR1駆動発現レベルは、それら構成的プロモーター駆動の対応物よりも、より遅い速度で減少した。
結論
これら細胞の生理は高重量モル浸透圧濃度に影響を受け、それにより全体のタンパク質産生量が減少するにもかかわらず、構成的駆動および例示的なPOR1駆動Fc融合発現レベルの比較から、高浸透圧培地において、本発明の例示的なPOR1はCMVプロモーターよりも高いタンパク質発現レベルを駆動することが明らかになる。これらの結果は、本発明の浸透圧応答転写調節エレメントが、CHO−K1 DUX−B11(dhfr)細胞にトランスフェクトされたときに、浸透圧依存的様式でトランス活性化され得ることを実証している。したがってこれらの結果は、このPOR1駆動導入遺伝子発現により例証されるように、本発明の転写調節エレメントがリアルタイム重量モル浸透圧濃度センサとして使用できることを実証している。
実施例2
1組の浸透圧応答転写調節エレメントの設計
この実施例は、本発明の1組の浸透圧応答転写調節エレメントの設計および試験に関して記載する。重量モル浸透圧濃度を増加させたときに、本発明の構築物中の浸透圧応答エレメントの数の増加が、この組換え型タンパク質の発現ウインドウに及ぼす影響を試験した。図3は、本発明の3つの例示的な合成浸透圧応答転写調節エレメントをどのように構築したかの概略を示す図である。
方法:
浸透圧応答プロモーターの構築
pOsmo1(SpeI/ClaI)からPOR1を切り出し、pOsmo1(NheI/ClaI)にクローニングし、それにより2つの浸透圧応答エレメントを含む浸透圧応答混成プロモーターを得た:pLM217(POR2ーIntron)。同様に、pLM217(SpeI/ClaI)からPOR2−Intronを切り出し、pOsmo1(NheI/ClaI)への挿入することによって、POR3を構築し、それによりpOsmo2(POR3−Intron−STIgMA−Fc−pA、POR3、OR−OR−OR−Pfragment CMV)を得た。pLM217(SpeI/ClaI)からPOR2−Intronを切り出し、pLM217(NheI/ClaI)にクローニングし、それによりpLM218:POR4−Intron(POR4、OR−OR−OR−OR−Pfragment CMV)を得た。pLM218(SpeI/ClaI)からPOR4−Intronを切り出し、pOsmo2(NheI/ClaI)にライゲーション、それによりpOsmo3(POR7−Intron−STIgMA−Fc−pA、POR7、OR−OR−OR−OR−OR−OR−OR−Pfragment CMV)を得た。
細胞培養、トランスフェクション
チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO−K1 DUX−B11(dhfr)を、無血清低タンパク質(ヒト組換えインスリン)培地中で、懸濁培養した。最適化したLIPOFECTAMINE(商標)(Invitrogen、Carlsbad、CA)トランスフェクション手順を使用して、この細胞に高効率一過性トランスフェクションを行った。一過性にトランスフェクトした細胞を、トランスフェクションの6時間後に採取し、6ウェルプレート中の重量モル浸透圧濃度が増加する血清含有培地に播種した。塩濃度の増加に伴ってリン酸緩衝食塩水を固定容量添加することによって、この培地の重量モル浸透圧濃度を各ウェルで調整した。ELISAを用いて一過性にトランスフェクトした細胞を、48時間後にFc融合遺伝子発現について常法に従って分析した。
結果
ヒトサイトメガロウイルスプロモーター断片の5’側の浸透圧応答エレメントの数の増加が及ぼす影響を評価するために、3つまたは7つの浸透圧応答エレメントを並べてクローニングしたさらに2つの浸透圧応答プロモーターを構築した:図3に例示したようにPOR3およびPOR7。CHO−K1 DUX−B11(dhfr)細胞に、ヒトサイトメガロウイルス構成的プロモーターまたは浸透圧応答プロモーター3、POR3、または浸透圧応答プロモーター7、POR7で駆動されるFc融合発現プラスミドをトランスフェクトした。トランスフェクションの6時間後に、この細胞を採取し、重量モル浸透圧濃度が増加する培地に播種した。このレポーター遺伝子の構成的発現は、300mOsm〜400mOsmの重量モル浸透圧濃度で著しい影響を受けず、次いで、図4に例示した通り、Fc融合発現レベルは重量モル浸透圧濃度の増加につれて減少し、図4は図3に例示した本発明の例示的な浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)のin vivo浸透圧保護性効果の概略を示す図であり、図5の正規化したデータも参照のこと。
図4に例示した通り、等張培地におけるPOR3駆動Fc融合発現レベルは、それらに対応する構成的発現レベルの半分であった。培地の重量モル浸透圧濃度が300mOsmから500mOsmへ増加するにつれて、POR3駆動発現は等張発現レベルの1.5倍のピークに増加し、続いて500mOsm〜700mOsmまでの重量モル浸透圧濃度で減少した。
図4に例示した通り、等張培地におけるPOR7駆動Fc融合発現レベルは、それらの構成的発現の対応物より15倍低かった。重量モル浸透圧濃度が300mOsmから550mOsmに増加するにつれて、POR7駆動Fc融合発現レベルは等張発現レベルの最高4倍に増加し、続いて重量モル浸透圧濃度とともに減少した。図5において、データは正規化している。
結論
より多くの(よりたくさんの)浸透圧応答エレメントが、本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)(「混成浸透圧応答プロモーター」とも呼ばれる)内にコード化され(挿入され)るほど、等張培地における導入遺伝子発現レベルはより少なくなり、−しかしそれらの誘導因子(等張発現レベルによるその最大発現レベルの比率)はより高くなる。それにより、様々な導入遺伝子発現ウインドウおよび誘導因子をもたらす1組の浸透圧応答プロモーターを構築し、本発明は、この構築物に改変された1つまたは複数の浸透圧応答エレメントを有する様々な浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)を提供し、例えば、1つまたは複数の張度エンハンサー結合タンパク質(TonEBP)−応答転写エンハンサー配列(TonEBP−結合モチーフ)を有し、代替実施形態として、任意選択で1つまたは複数のAP−1タンパク質結合部位(AP−1結合モチーフ)をさらに有する。
正規化した発現レベル
データ分析
等張から高張における発現の構成的発現レベルの相対的な減少は、細胞増殖および生存率の阻害に起因するタンパク質産生の浸透圧相関的減少を示している。したがって、構成的発現レベルを用いてPOR3駆動およびPOR7駆動発現レベルを正規化した。図4を参照のこと。
結論
この実施例は、本発明の構築物にコード化される浸透圧応答エレメント(本発明の浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)または「浸透圧応答プロモーター」)の数の増加が、浸透圧応答エレメントの数に依存的な様式でどの程度等張発現レベルの低下を招くかを実証するデータを提示している。この実施例も、本発明の例示的な構築物によるこれらプロモーターの実際のトランス活性化レベルが、350mOsm〜700mOsmの重量モル浸透圧濃度の間で直線的に増加することを実証するデータを提示している。
実施例3
浸透圧感受性の転写および転写後遺伝子調節
この実施例は、複合させた浸透圧感受転写および転写後遺伝子調節を有する本発明の例示的な構築物に関して記載する。例えば、本発明の例示的な構築物は、浸透圧ストレスを受けた(例えば、高塩濃度)条件下でメッセージおよびポリペプチドの転写および転写後発現レベルの両方をそれぞれ正に上方制御することが可能である。
代替実施形態は、浸透圧調節を転写制御および/または転写後(例えば、翻訳の)レベルの制御と併用する:(1)(転写レベルでは)内因性の哺乳動物の浸透圧応答プロモーターおよび/または本発明の合成の真核生物の浸透圧応答プロモーター、(2)(転写後レベルでは)1つあるいは複数の転写または翻訳の調節配列もしくはモチーフを合体することによる。その構築物から生成した任意のメッセージ(転写産物)が、浸透圧感受性の5’側および/または3’側非翻訳領域を有するような本発明の構築物にこれらの制御を組み込む(設計する)ことができ、一実施形態では、追加の転写および/または転写後(例えば、翻訳の)レベルの制御を組み込む(設計する)ことができる。
例えば、転写および/または転写後(例えば、翻訳の)レベルの制御配列またはモチーフの存在により、より安定なおよび/またはより長い耐久性がある(例えば、高重量モル浸透圧濃度条件(例えば、高浸透圧環境)において、より安定なおよび/またはより長い耐久性がある)mRNA(メッセージ)が生成され、それにより、結果として高重量モル浸透圧濃度の条件下で(例えば、高重量モル浸透圧濃度で)、高い組換えタンパク質発現が得られる。この実施形態は、等張培地における基底発現と高重量モル浸透圧濃度条件における(例えば、高浸透圧培地における)最大の遺伝子誘導の間で調節因子を促進する。
実施例4
重量モル浸透圧濃度が増加するにつれて、構成的プロモーターにより駆動される組換えタンパク質生成の収量は徐々に減少する。構成的プロモーターへ浸透圧応答エレメントを導入すると、この構成的プロモーターをさらにトランス活性化し、組換えタンパク質生産における高張性の負の効果と釣り合う可能性があると結論される。この仮説を試験するために、1つ、3つまたは、7つの浸透圧応答配列を、ヒトCMVプロモーターのエンハンサーおよびPfragment CMVの間に導入した。
方法:
浸透圧応答プロモーターの構築
ヒトCMVプロモーターのエンハンサーを、oligo OLM401を用いてPCR増幅した:5’−CAAGCTTGACTAGTCAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCAT−3’(配列番号38)、およびOLM400:5’−AGCTAGCACACCGTACACGCCTACCG−3’(配列番号39)(制限部位を太字、アニーリング配列をイタリックで示す)。このPCR産物をHindIIIおよびNheIで消化し、中間プラスミドからPOR1−Intronを切り出し(SpeI/EcoRI)、両方のDNA断片を別の中間プラスミド(HindIII/EcoRI)にクローニングし、それにより:PconstOR1−Intron:EhCMVOR1Pfragment CMV−Intronを得た。これと同じ戦略を使用して、PconstOR3−Intron:EhCMVOR3Pfragment CMV−IntronおよびPconstOR7−Intron:EhCMVOR7Pfragment CMV−Intronを構築した。
この中間プラスミドからPconstOR1を切り出し(SpeI/ClaI)、pOsmoI(SpeI/ClaI)にクローニングし、それにより:pconstOsmo1(PconstOR1−Intron−STIgMA−Fc−pA、PconstOR1:EhCMV−POR1)を得た。これと同じ戦略を使用して、pconstOsmo3(PconstOR3−Intron−STIgMA−Fc−p、PconstOR3:EhCMV−POR3)、およびpconstOsmo7(PconstOR7−Intron−STIgMA−Fc−pA、PconstOR7:EhCMV−POR7)を構築した。
細胞培養、トランスフェクション
チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO−K1 DUX−B11(dhfr)を、無血清低タンパク質(ヒト組換えインスリン)培地中で、懸濁培養した。最適化したlipofectaminトランスフェクション手順を使用して、この細胞に高効率一過性トランスフェクションを行った。一過性にトランスフェクトした細胞をトランスフェクションの6時間後に採取し、6ウェルプレート中の重量モル浸透圧濃度が増加する血清含有培地に播種した。塩濃度の増加に伴ってリン酸緩衝食塩水を固定容量添加することによって、この培地の重量モル浸透圧濃度を各ウェルで調整した。一過性にトランスフェクトした細胞を、ELISAを用いて実施するFc融合遺伝子発現アッセイで常法に従って分析した。
結果
ヒトサイトメガロウイルスプロモーターのエンハンサーの3’側およびヒトサイトメガロウイルスプロモーター断片の5’側の浸透圧応答エレメントの導入数の増加が及ぼす影響を評価するために、1つ、3または7つの浸透圧応答エレメントを並べてクローニングし、3つのプロモーターを構築した:PconstOR1、PconstOR3、PconstOR7。CHO−K1 DUX−B11(dhfr)細胞に、ヒトサイトメガロウイルス構成的プロモーターまたはこれら設計したプロモーターのうちの1つで駆動されるFc融合発現プラスミドをトランスフェクトした。トランスフェクションの6時間後にこの細胞を採取し、重量モル浸透圧濃度が増加する培地に播種した。
重量モル浸透圧濃度の増加につれて、このレポーター遺伝子の構成的発現は徐々に減少した(図6)。
驚くべきことに、エンハンサーとCMVプロモーターの断片の間に1つの浸透圧応答エレメントを導入することにより、等張培地において、組換えタンパク質発現の倍増がもたらされた。300mOsm/Kgと450mOsm/Kgの間で、PconstOR1により駆動される対象の組換えタンパク質の発現レベルはこの高水準で維持され、次いで500mOsm/Kgから700mOsm/Kgまで重量モル浸透圧濃度で減少した。
構成的ヒトCMVプロモーター内に3つの浸透圧応答エレメントを導入することにより、300mOsm/Kgで野生型CMVプロモーターと比較して組換えタンパク質発現のわずかな増加がもたらされた。一方で、7つの浸透圧応答配列を導入することにより、等張培地において、組換えタンパク質発現のわずかな減少がもたらされた。3つまたは7つの浸透圧応答エレメントを含むように修飾したCMVプロモーターにより駆動されるFc融合発現レベルは、300mSom/Kgから400mOsm/Kgまで増加し、次いで700mOsm/Kgまで徐々に減少した。
結論
ヒトCMVプロモーター内に1つの浸透圧応答エレメントを導入することにより、300mOsm/Kgで、組換えタンパク質発現レベルが2倍になった。これは、予想外の結果であった。
浸透圧応答エレメントがあることにより、組換えタンパク質発現に対する上昇した重量モル浸透圧濃度の効果を釣り合わせることが可能になり、3つまたは7つの浸透圧応答エレメントを導入した場合、組換え発現レベルは重量モル浸透圧濃度の上昇に伴って上方制御されて、最大で400mOsm/Kgに達し、次いで徐々に減少する。
本発明のいくつもの実施形態を述べた。にもかかわらず、本発明の精神と範囲から逸脱することなく様々な修正を加えることができることが、理解されよう。したがって、他の実施形態は以下の特許請求の範囲内にある。

Claims (10)

  1. 高重量モル浸透圧濃度を含む条件下において細胞中で対象のタンパク質を製造する方法であって、
    (a)転写制御因子に作動可能に連結した少なくとも1つのTonEBP応答転写エンハンサーまたはNFATc応答転写エンハンサーと、前記TonEBP応答転写エンハンサーまたはNFATc応答転写エンハンサーに作動可能に連結した少なくとも1つのアクチベータータンパク質1(AP−1)応答転写エンハンサーとを含む少なくとも1つの浸透圧応答転写調節エレメント(OR−TRE)を含む核酸分子と、
    (b)OR−TREに作動可能に連結した、対象のタンパク質をコード化するポリヌクレオチドと
    を含むポリヌクレオチドを細胞に導入することを含み、
    昇した重量モル浸透圧濃度の条件下で前記(a)の核酸分子が発現し、それによりTonEBPタンパク質を発現させ、前記TonEBPタンパク質が対象のタンパク質の発現を正に調節する、方法。
  2. 記対象のタンパク質が浸透圧保護性タンパク質である、請求項に記載の方法。
  3. 前記浸透圧保護性タンパク質が、プロリンもしくはグリシンベタイン、タウリン輸送体、グリシンベタイン−γ−アミノ酪酸輸送体、ナトリウム−ミオイノシトール共輸送体、熱ショックタンパク質、アクアポリン、アルドースレダクターゼまたは神経障害標的エステラーゼ(NTE)である、請求項に記載の方法。
  4. 記対象のタンパク質が、前記細胞によって発現されるポリペプチドに有益な特性を付与するタンパク質である、請求項に記載の方法。
  5. 前記有益な特性を付与するタンパク質が、抗アポトーシスタンパク質;細胞に酸化ストレスに対する抵抗性を付与するタンパク質;タンパク質の折りたたみの促進に関与するシャペロンタンパク質;タンパク質の細胞外分泌に関与するタンパク質;解糖系酵素;細胞周期調節タンパク質;グリコシル化酵素;またはそれらの任意の組合せである、請求項に記載の方法。
  6. プロモーターに作動可能に連結した第の対象のタンパク質をコード化する第の核酸をさらに含み、有益な特性を付与する前記タンパク質が前記第2の対象のタンパク質に作用する、請求項に記載の方法。
  7. 量モル浸透圧濃度を上昇させる化合物を前記培養物に混入することにより重量モル浸透圧濃度を増加させる、請求項に記載の方法。
  8. 記対象のタンパク質が前記細胞に対して有毒である、請求項に記載の方法。
  9. 記対象のタンパク質が不安定である、請求項に記載の方法。
  10. 記対象のタンパク質が通常の培養条件下で発現するのが困難である、請求項に記載の方法。
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