JP5522879B2 - 樹脂容器中の生理活性ペプチドの安定性改善方法 - Google Patents

樹脂容器中の生理活性ペプチドの安定性改善方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂製容器に充填された生理活性ペプチドの安定性改善方法、および樹脂容器に充填された生理活性ペプチド製剤に関する。
医薬製剤を製造するに際して、従来ガラス容器が採用されてきたが、近年、軽量、コスト、強度、寸法精度等多くの面で優れた樹脂製の容器が開発されている。また医薬製剤として、例えば、水溶液注射剤においては、アンプルに代わって、予め注射器に薬液を充填したプレフィルドシリンジ等のキットといった形態が開発されている。これらの形態は投与時の細菌汚染の危険性回避や、患者への早急な治療行為を可能にする等メリットの多い形態として医療現場においては好まれている。
医薬製剤としては、容器の無菌条件下での製造・薬剤の充填をする以外は、通常の容器の除菌化や無菌化が必要となり、特に注射剤等であれば無菌的に製造することが必須である。例えば、ガラス容器入りのカルシトニン水溶液注射剤等を製造する場合、予めそのガラス容器を通常300℃付近まで加熱する乾熱滅菌法や121℃付近まで加熱し加圧する蒸気滅菌法が一般的に採用され、その後カルシトニン水溶液等を滅菌ガラス容器に無菌的に充填し密閉する。しかしながら、樹脂容器は耐熱性に限界があり300℃付近まで加熱する乾熱滅菌法は採用できず、また121℃付近まで加熱する蒸気滅菌法においても、仮にプレフィルドシリンジ等の製剤の製造を考えると、シリンジ容器として一般的な樹脂容器材質であるポリプロピレンは熱変形により採用し難く、しかして、それらの樹脂を使用するのであれば、その樹脂容器の滅菌方法として、放射線、電子線、または紫外線による滅菌を採用することが通常である。
一方、カルシトニン注射液等においては各種の添加物が知られており、例えば吸着防止のためにメチオニンを添加すること(特許文献1)や、光安定性等を改善するためにメチオニン、アラニン、アルギニン、イソロイシン等を添加すること(特許文献2)が知られているが、これらの先行技術は放射線などによる照射滅菌を樹脂容器に採用した際に特有の問題点の解決技術を示唆も開示もするものではない。
またこれらの技術とは無関係に、ガンマ線滅菌処理を施された樹脂容器にカルシトニン注射液を充填した製剤において、カルシトニンの安定性が不足する問題点に対する解決策として、樹脂容器の蒸気滅菌が提案されている(特許文献3)。すなわち、当該文献において、樹脂容器をガンマ線照射滅菌した場合、その照射量に比例してその後充填されたカルシトニン(エルカトニン)の安定性が、40℃の恒温器内で低下することが示され、これに対し、環状ポリオレフィン製等の比較的熱変形に抵抗性の樹脂について、照射滅菌に替えて蒸気滅菌処理を施すことで、そこに充填されたカルシトニンの安定化を図る技術である。実際、本発明者等の知る限りにおいて、現在市販されているエルカトニン製剤は全て蒸気滅菌容器内に充填されている。
しかしながら、通常、蒸気滅菌法は、加熱と加圧を密閉容器の中で1〜2時間行うようなバッチ式の方法であるため、無菌注射剤として製造する場合、生産効率が悪くて製造コストのみならず設備コストも多大となり、さらに生産ラインによる流れ作業の大量生産は困難であることから、樹脂容器においても、出来れば放射線、電子線等の滅菌方法を採用したいのが実態である。
特開2005−213158 特開2004−91469 特開2003−113112
簡便且つ安価に製造される、より安定な生理活性ペプチド製剤、或いはより高い生理活性ペプチドの安定性を達成するための手段が求められている。
本発明者は、例えば樹脂製のプレフィルドシリンジ容器に充填したカルシトニン等の生理活性ペプチド製剤を製造する際に、放射線滅菌した樹脂容器を用いた場合では、その安定性、特に長期の保存安定性が十分に保持できないことを解決するため鋭意研究を行った結果、全く偶然にも、メチオニンを含有させることにより、その生理活性ペプチドが極めて安定化することを見出した。さらにその効果が放射線照射滅菌だけにとどまらず、電子線照射さらには紫外線照射滅菌した場合でも十分に達成し得ることを確認し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明としては以下の各発明が挙げられる。
(1)樹脂容器に充填された長期保存用生理活性ペプチド製剤の製造方法であって、以下の:
1)放射線、電子線または紫外線により樹脂容器を照射滅菌し、
2)該滅菌樹脂容器に生理活性ペプチド及びメチオニンを充填する工程を含むことを特徴とする、前記方法。
(2)前記生理活性ペプチド及びメチオニンがそれらの水溶液として充填されることを特徴とする上記(1)に記載の方法。
(2−1)上記水溶液が無菌水溶液である上記(2)に記載の方法。
(2−2)上記無菌水溶液が注射剤水溶液である上記(2−1)に記載の方法。
(3)前記充填した水溶液を更に凍結乾燥することを特徴とする上記(2)、(2−1)又は(2−2)に記載の方法。
(4)前記生理活性ペプチドがカルシトニンまたはヒトPTHである上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記樹脂容器の滅菌が、放射線または電子線照射である上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の方法。
(6)生理活性ペプチドの保存方法であって、放射線、電子線または紫外線により照射滅菌された樹脂容器に該生理活性ペプチドと共にメチオニンを存在せしめることを特徴とする、前記保存方法。
(6−1)上記保存が長期保存である上記(6)に記載の方法。
(6−2)上記長期保存が3月以上の保存である上記(6−1)に記載の方法。
(6−3)上記長期保存が6月以上の保存である上記(6−1)に記載の方法。
(6−4)上記長期保存が12月以上の保存である上記(6−1)に記載の方法。
(7)1)樹脂容器中に存在せしめる該生理活性ペプチド及びメチオニンがそれらの水溶液であるか、2)生理活性ペプチドがカルシトニンまたはヒトPTHであるか、3)該樹脂容器の滅菌が放射線または電子線の照射であるか、の少なくともいずれかである上記(6)、(6−1)、(6−2)、(6−3)または(6−4)に記載の方法。
(7−1)上記水溶液が無菌水溶液である上記(7)に記載の方法。
(7−2)上記無菌水溶液が注射剤水溶液である上記(7−1)に記載の方法。
(8)放射線、電子線または紫外線により照射滅菌された樹脂容器にメチオニンと共に充填された長期保存用生理活性ペプチド製剤。
(9)樹脂容器がプレフィルドシリンジの形態である上記(8)に記載の製剤。
(9−1)水溶液である上記(8)または(9)に記載の製剤。
(9−2)上記水溶液が無菌水溶液である上記(9−1)に記載の製剤。
(9−3)上記無菌水溶液が注射剤水溶液である上記(9−2)に記載の製剤。
(10)前記生理活性ペプチドが、カルシトニンまたはヒトPTHである上記(8)乃至(9)のいずれかに記載の製剤。
(11)前記樹脂容器が、放射線または電子線により照射滅菌される上記(8)乃至(10)のいずれかに記載の製剤。
まず、本発明に用いられる樹脂製容器の形態としては、樹脂製のプレフィルドシリンジ、バイアル、バッグ、カートリッジ等が上げられるが、製剤の無菌性を確保することができ、また製剤に要求される性質に適していれば特に限定されることはない。例えば、水溶性注射剤を対象とする際には、その無菌性や水溶液を確保できる形態であれば特に限定されない。また、その樹脂容器の材質としては、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンとα−オレフィンの共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ホリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン、6フッ化樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネイト等とそれら樹脂とシクロオレフィン類との共重合体などが挙げられる。好ましくは環状ポリオレフィンであり、またポリスチレンも例示される。
本発明における樹脂容器の滅菌方法としては、放射線による照射滅菌が特に好ましい方法として挙げられる。放射線としては、ガンマ線が最も一般的であり好ましいが、その他にアルファ線やベータ線も例示することができる。また本発明においては、電子線照射滅菌も好ましい方法として挙げられる。
条件にもよるが、一般的に透過力が強いガンマ線や電子線を用いる場合、予め無菌性を保持できるフィルム等で薬剤充填前の樹脂容器を覆い、カートン箱等で該容器を梱包した状態でも、当該樹脂容器を滅菌処理することが可能であるから、その場合は必然的に滅菌に要する手間や設備的コストが削減され、生産ラインによる大量生産が可能となるため極めて有利である。ガンマ線や電子線による樹脂容器の滅菌を実施する際には、樹脂容器の無菌性を保持できる梱包状態でガンマ線または電子線を10〜30kGy照射する方法が好ましい。勿論これら滅菌方法において、ガンマ線や電子線等の照射量等照射条件は被滅菌物の大きさ、形状、梱包状態により異なるため、滅菌や殺菌能力と樹脂容器の劣化度合いを予め試験して決定することが好ましい。
また、紫外線による滅菌に際しては、樹脂容器に直接紫外線を照射することが好ましく、例えば当該滅菌工程を樹脂容器に充填する注射剤生産ラインに組み込み、充填直前に紫外線照射滅菌する等の方法を採用することが好ましい。その際の照射量も滅菌や殺菌能力と樹脂容器の劣化度合いを予め試験して決定することが好ましい。
本発明の生理活性ペプチド製剤は、当該ペプチドとともにメチオニンを含有する。好ましくはそれらが水溶液状態で本発明の樹脂容器に充填される。
ここでメチオニンには、L体、D体、DL混合物が存在し、そのいずれも用いることができるが、L体を用いることが好ましい。DL混合物、特にラセミ体を用いる別の態様もある。
メチオニンの添加量は本発明の効果を示すことができれば特に限定されないが、下限としては、生理活性ペプチド1重量部に対し、通常1重量部以上、又は2重量部以上、好ましくは5重量部以上、またさらに好ましくは10重量部以上が例示され、特に好ましくは50重量部以上が例示される。また場合によっては100重量部以上であることや、200重量部以上であることも好ましく、さらには500重量部以上を採用することが特に好ましいこともある。また上限としては、特に限定されないが、例えば、生理活性ペプチド1重量部に対し、通常30,000重量部以下、好ましくは3000重量部以下、さらに好ましくは1000重量部以下が例示される。場合によっては、500重量部以下であることも好ましい。または水溶液として提供する際のメチオニン濃度として例示すれば、下限としては、通常0.1μg/ml以上、又は0.2μg/ml以上、好ましくは1μg/ml以上、又は10μg/ml以上、さらに好ましくは100μg/ml以上が例示され、特に好ましくは1mg/ml以上が例示されるが、場合によっては5mg/ml以上であることも好ましい。また上限としては、通常100mg/ml以下、好ましくは30mg/ml以下、さらに好ましくは10mg/ml以下、特に好ましくは5mg/ml以下であることが例示される。また場合によっては、1mg/ml以下であることが特に好ましい場合もある。
本発明においては、生理活性ペプチドとメチオニンが水溶液状態であることが好ましいが、それが粉末または固形物状態となっていてもよい。当該粉末または固形物状態とする際には、本発明の生理活性ペプチドとメチオニンを含む水溶液を容器に充填した後にその容器内で該水溶液を凍結乾燥することも好ましいが、別の容器で事前に本発明の生理活性ペプチドとメチオニンを含む水溶液に凍結乾燥等の処理を行い粉末状態等にして、その後滅菌された樹脂容器に充填し、用時溶解型の注射剤とする形態も採用することができる。
上記の水溶液としては、好ましくは注射用水溶液であることが例示される。これらの水溶液等の製剤は無菌であることが好ましく、それ自体の無菌化方法としては、公知のいずれの方法も採用することができ、例えば無菌ろ過が例示される。
本発明において、生理活性ペプチドとメチオニンを含む注射剤用水溶液には、更にpH緩衝剤、等張化剤、安定化剤等の水溶液注射剤の調製に好適な添加物を加えることが好ましい。
本発明の生理活性ペプチドとしては生理活性を有する水溶性のペプチド医薬が好ましい例として挙げられ、例えば、カルシトニン、副甲状腺ホルモンであるPTH、トロンボモジュリン、インシュリン、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン、インターフェロン等を例示できる。カルシトニン又はPTHが特に好ましい例として挙げられる。
カルシトニンとしては、天然型カルシトニンやその他の合成カルシトニンが例示される。更に天然型カルシトニンとしては、サケカルシトニン、ブタカルシトニン、ヒトカルシトニン、ウナギカルシトニン、ニワトリカルシトニン等が例示される。また、合成カルシトニンとしては、[ASU1,7]カルシトニンが例示され、例えば、[ASU1,7]ウナギカルシトニン(エルカトニン)、[ASU1,7]ニワトリカルシトニン等が例示される。特に好ましくは[ASU1,7]ウナギカルシトニン(エルカトニン)が例示される。PTH(副甲状腺ホルモン)は、分子量約4,000〜10,000のペプチドであり、34〜84個のアミノ酸配列を有し、天然型または同等の生理活性を有する類似体が知られているが、例えば、1−34、1−35、1−36、1−37、1−84のアミノ酸配列を有するものが例示される。その中でも、1−34のヒトPTHが好ましいものとして例示される。
本発明の生理活性ペプチドとメチオニンを含む水溶液の調製について、カルシトニンを有効成分とした水溶液注射剤の例を用いて説明すると、以下、添加の方法や順序は適宜改変・変更することができるが、例えば、0.05〜100mM、好ましくは0.1〜50mMのpH緩衝剤を常法により注射用蒸留水に溶解し、この際のpHは、好ましくは天然型カルシトニンの場合で最も安定なpH3〜pH5に、或いは[ASU1,7]カルシトニンの場合にはpH5〜pH6.5に調整する。上記pH緩衝剤としては、注射用製剤に添加可能なpH緩衝作用を有するものが用いられ、例えば酢酸、コハク酸、酒石酸、乳酸またはその塩などがあげられるが、酢酸及びその塩が最も好ましい。なお、これらの緩衝液では、更に薄めた塩酸や水酸化ナトリウムでpHを微調節してもよい。
こうして得られたpH緩衝液に本発明のメチオニンを添加するが、カルシトニンの場合、メチオニンの添加量は下限として、通常は0.01mg/ml以上の濃度で添加することが例示され、0.1mg/ml以上が好ましく、1mg/ml以上がより好ましく、場合によっては5mg/ml以上が特に好ましいこともある。一方上限としては、通常30mg/ml以下であり、25mg/ml以下が好ましく、10mg/ml以下もしくは1mg/ml以下が好ましい場合もある。更に、有効成分である有効量のカルシトニンを溶解させればよい。カルシトニンの有効含有量は例えば、水溶液1mlあたり通常0.1μg〜100μgが例示され、好ましくは水溶液1ml当たり0.2μg以上、さらに好ましくは0.5μg以上、特に好ましくは1μg以上、または3μg以上が例示される。また上限としては水溶液1mlあたり通常は100μg以下、好ましくは10μg以下、特に好ましくは5μg以下が例示される。
さらに必要に応じて、上記pH緩衝液に対して保存剤、等張化剤を加えることができる。保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等のパラベン類、2−フェニルエタノール、エチルアルコール、クロロブタノール等のアルコール類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等の界面活性剤を添加しても良い。
等張化剤としては製剤学上許容されている一般的なものであればよく、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類、単糖類、ニ糖類等の糖類が使用できる。更に、適宜常法により無菌化処理をすればよい。
このようにして得られたカルシトニン水溶液は、例えば樹脂製の容器であるアンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ、ソフトバック、自己注射型のペン型キット、針無し注射器の容器に充填して注射剤等とするが、さらに樹脂製の経鼻投与用容器、経肺投与用容器等に充填して経鼻投与製剤、経肺投与製剤とする別の態様もある。
ここで、これら樹脂製の容器は予め無菌性を保持できるフィルムや袋で覆った梱包状態でガンマ線による滅菌、電子線による滅菌を施す。カルシトニン水溶液の充填製造時には、この滅菌済みの樹脂製容器を製造室のクリーンルームに無菌的に搬送し、そのまま充填製造することが可能となる。このような製造方式では、滅菌されていない状態の樹脂製容器をその都度蒸気滅菌する方法に比べて効率的に生産が可能である。また、滅菌されていない状態の樹脂製容器を生産ラインに乗せて、ライン上で紫外線滅菌を施したのち充填する方法も効率的な生産方法として好ましい。
以上の例示ように製造された樹脂製容器を用いたカルシトニン製剤は、製造コスト及び製造効率において多大なメリットをもたらすとともに、保管、流通時の安定性を長期にわたり保持することができるものである。保存期間としては、通常室温保存を想定した場合は3ヶ月以上、好ましくは6ヶ月以上、さらに好ましくは12ヶ月月以上、特に好ましくは3年以上の保存期間が例示される。この保存安定性を短期で評価する場合や、流通上の温度変動などを勘案して加速的に保存安定性を評価する場合、40℃保存の評価が利用されるが、この場合、1ヶ月以上、好ましくは3ヶ月以上、特に好ましくは6ヶ月以上が保存期間中に適切な活性を保持することが好ましい保存安定性として例示される。
本発明の安定性改善方法によれば、製剤中に含有される生理活性ペプチドの安定性改善効果が認められる。本発明において、安定性としては保存安定性(長期保存安定性)が挙げられ、特に実質的に遮光下、常温での保存においてさえ、いっそうの生理活性ペプチドの安定性が確保される。しかして、本発明の製剤中では、その保存後においても生理活性ペプチドの変性が抑制され得る。
以下、実施例、比較例、試験例等により本発明をするが、本発明は、これらに限られるものではない。
実施例1
予めプラスチックトレイに収納し、滅菌袋に入れた環状ポリオレフィン製シリンジに30kGyのガンマ線を照射し滅菌処理を施したものを480本用意した。別に用意した下記「充填組成物」を無菌ろ過し、先に準備した放射線滅菌した環状ポリオレフィン製シリンジに約1mlずつ充填して、[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン約4μgを含有する注射剤を得た。
「充填組成物」:50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH5.5)100mlにDL−メチオニンを1.0g溶解し、10mg/mlとなるよう調製した。必要に応じて1M酢酸を加えてpH5.5に調整した。こうして得られた溶液に[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニンを溶解し、「充填組成物」を得た。
実施例2
予めプラスチックトレイに収納し、滅菌袋に入れた環状ポリオレフィン製シリンジに30kGyの電子線を照射し滅菌処理を施したものを480本用意した。以下、実施例1と同様に「充填組成物」を無菌ろ過し、先に電子線滅菌した環状ポリオレフィン製シリンジに約1mlずつ充填して、[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン約4μgを含有する注射剤を得た。
実施例3
予め紫外線殺菌灯を用いて環状ポリオレフィン製シリンジ200本に紫外線を2週間照射し、実験的に紫外線にて殺菌処理したものを200本用意した。以下、実施例1と同様に「充填組成物」を無菌ろ過し、先に紫外線殺菌した環状ポリオレフィン製シリンジに約1mlずつ充填して、[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン約4μgを含有する注射剤を得た。
実施例4
予め滅菌袋に収納したポリプロピレン製シリンジに30kGyのガンマ線を照射し滅菌処理を施したものを500本用意した。以下、実施例1と同様に「充填組成物」を無菌ろ過し、先にガンマ線滅菌したポリプロピレン製シリンジに約1mlずつ充填して、[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン約4μgを含有する注射剤を得た。
実施例5
実施例1において用いた「充填組成物」中のDL−メチオニンをL−メチオニンとする以外は同様に行って、L−メチオニンを用いた「充填組成物」を得た。この組成物を実施例1と同様に無菌ろ過し、実施例1にて先に放射線滅菌した環状ポリオレフィン製シリンジに約1mlずつ充填して、[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン約4μgを含有する注射剤を得た。
実施例6a、6b
実施例1において用いた「充填組成物」中のDL−メチオニンの量を、組成物の水溶液1ml当たり1.0mg、20.0mgとすること以外は同様に行って、DL−メチオニンの添加量を変えた「充填組成物」を得た。これらの組成物を実施例1と同様に無菌ろ過し、実施例1にて先に放射線滅菌した環状ポリオレフィン製シリンジに約1mlずつ充填して、[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン約4μgを含有する注射剤を得た。
実施例7
50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH4.0)100mlにDL−メチオニンを溶解し、20mg/mlとなるよう調製した。必要に応じて1M酢酸を加えてpH4.0に調整した。こうして得られた溶液にヒトPTH(1−34)を溶解して、ヒトPTH(1−34)充填組成物を得た。次に、この充填組成物のそれぞれを無菌ろ過し、実施例1にて放射線滅菌した環状ポリオレフィン製シリンジに約1mlずつ充填して、ヒトPTH(1−34)約33μgを含有する注射剤を得た。
(比較例1)
DL−メチオニンを添加しない以外は実施例1と同様に行って、放射線滅菌処理した環状ポリオレフィン製シリンジに充填組成物が充填された注射剤を得た。
(比較例2)
DL−メチオニンを加えない以外は実施例2と同様に行って、電子線滅菌処理した環状ポリオレフィン製シリンジに充填組成物が充填された注射剤を得た。
(比較例3)
DL−メチオニンを加えない以外は実施例3と同様に行って、紫外線殺菌処理した環状ポリオレフィン製シリンジに充填組成物が充填された注射剤を得た。
試験例1 保存安定性
本発明の実施例及び比較例の注射剤を40℃の恒温器中で6ヶ月間保存する。その後、次の条件による高速液体クロマトグラフ法にて測定し、残存率を求める。なお、実施例7のヒトPTH(1−34)は、40℃の恒温器中で4週間保存する。
操作条件
カラム:ODS 4.6mmID×150mm
検出器:紫外吸光光度計 225nm
移動相:0.1%TFA・CHCN(66:34)
Figure 0005522879
表1からも分かるとおり、エルカトニンにおいてメチオニンの添加により保存安定性の改善効果が確認される。またヒトPTH(1−34)でもエルカトニンと同様に安定性の改善が認められる。すなわち、実施例7のヒトPTH(1−34)は、40℃の恒温器中で4週間保存において、80%以上の残存活性が認められた。
本発明を用いることにより、より安定な樹脂容器充填生理活性ペプチド製剤が、簡便且つ安価に製造することができるものである。

Claims (3)

  1. 生理活性ペプチドを遮光下で保存する方法であって、予め放射線、電子線または紫外線により照射滅菌された樹脂容器に該生理活性ペプチドと共にメチオニンを存在せしめることを特徴とし、但し前記生理活性ペプチドがエルカトニンまたはヒトPTH(1−34)である、前記方法。
  2. 樹脂容器中に存在せしめる該生理活性ペプチド及びメチオニンがそれらの水溶液である、請求項に記載の方法。
  3. 該樹脂容器の滅菌が放射線または電子線の照射である、請求項またはに記載の方法。
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JP4083634B2 (ja) * 2002-07-11 2008-04-30 旭化成ファーマ株式会社 光に安定なカルシトニン水溶液

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