JP5520233B2 - 電磁波フィルタ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロ波帯、およびミリ波帯などのアナログ高周波信号もしくはデジタル信号を送受信するアンテナ装置を電子機器に搭載する際に必要となる電磁波フィルタ装置に関する。本発明は、例えば動画伝送用の無線通信機能を有する電子機器において、特に無線通信機能によって用いる所定周波数の放射パターンを劣化させることなく、電子機器内部から発生するノイズの外部空間への不要な輻射を抑圧する機能を有する電磁波フィルタ装置、又はそのような電磁波フィルタ装置を備えたレドームに関する。
近年、動画伝送の無線化技術が広く検討されており、60GHz帯のミリ波信号を利用した規格が実用化されつつある。微細化プロセスを適用したCMOS技術によって、60GHz帯の能動回路が1チップで実現されてきているものの、回路内のトランジスタの駆動電圧が低いので回路の高出力化は困難である。また、60GHz帯の電磁波は回折伝搬が期待できず、送信機器と受信機器との間に見通しを確保する必要がある。無線動画伝送を屋内で行う際には、ユーザが通信経路を頻繁に遮蔽する可能性が想定されるので、壁や天井や床の反射を利用して遮蔽を回避しながら見通しを確保するためのビームステアリング技術の適用が検討されている。前述のCMOS素子の出力特性が低いという課題は、多数のアンテナ素子の電力を空間的に合成するアレイアンテナ技術により克服されるが、波長が短くなるミリ波帯ではマイクロ波帯と比較して伝搬損失が深刻となるので、アンテナ利得を極めて高い値に維持しながら指向性を変化させる必要がある。すなわち、60GHz帯の動画伝送モジュールは、任意の機器に搭載された後も、任意の通信方向に対して設計利得を維持する必要がある。
一方、電子機器は、周辺機器への悪影響を避けるために、不要に輻射する電磁波成分を一定レベル以下に抑圧するように規制されており、このため、機器内部から不要な電磁波が漏洩しないよう機器の筐体をシールド構造にすることが一般的である。そのため、無線通信インターフェイスを電子機器筐体に内装した場合、従来では、送受信アンテナを機器の外部に実装するか、不要電磁輻射が規制に合格できる程度に収まるように、アンテナを内装している部分のシールド構造を切り欠いている。
特許文献1は、所定周波数の電波のみを通過させて外来ノイズ電波による影響を抑制した電波レーダ装置に関するものである。特許文献1にて開示されたレーダ装置によれば、レーダ本体を被覆する導体からなるシールド構造を備え、シールド構造は、少なくともアンテナに対向する部分に形成された周波数選択用のスクリーン部を有し、スクリーン部は、スクリーン部の外縁に両端が短絡された追加導体によって複数の開口部に分割されることにより、所定周波数fpよりも低い周波数fLのノイズ電磁波を遮断するとともに、各開口部の共振周波数を所定周波数fpに設定することによって、所定周波数fpの電磁波を透過させることが可能であるとしている。
特許文献2は、特定の電磁波のみを通過させ、他の電磁波を遮断する電磁波遮断構造体に関するものである。特許文献2の電磁波遮断構造体においては、複数の開口を設けた導電層が開示されている。開口の長さを調整することにより、所定周波数の電磁波のみを通過させることが可能であり、導電層による遮蔽と合わせて、特許文献1の発明と同様の効果をあげる。開口の幅wは小さいほど良く、その許容範囲は開口の長さlの約5%以下としている。「開口の幅wが大きくなりすぎると、開口のスロットアンテナとしての特性が悪化する」との記載があり、各開口部はスロットアンテナとして機能させていることが分かる。水平偏波と垂直偏波の両偏波に対応できるとされる構成も開示されているが、基本的な原理は特許文献1の発明と同様である。
特許文献3は、特定の周波数帯域では電波を透過し、それ以外の帯域では高い遮蔽特性を示すシールド構造に関するものである。特許文献3の発明においても、特許文献1及び2の発明と同様の構成で、スクリーン部を分割した複数の開口が、所定周波数に対してスロットアンテナとして機能するよう調整し、共振させた開口を介して所定周波数の電磁波の通過を実現している。特許文献1及び2の構成との差異として、特許文献3の発明においては、所定周波数fpより高い周波数fHにおいて、開口が有する2つの対向する外縁部間を短絡するバンドパスフィルタが追加されており、所定周波数fpの電磁波の通過を許容し、所定周波数より低い周波数fLの電磁波の通過を遮断するだけでなく、高い周波数fHの電磁波の通過をも遮断することができた、としている。
特開平11−248835号公報。 特開2002−33592号公報。 特開2004−297763号公報。
しかし、従来の電磁波フィルタ装置においては、電磁波フィルタ装置によって遮蔽された(例えばレドーム又はシールド構造内に格納された)アンテナ装置の放射特性が、遮蔽前の特性と比較して変化してしまうという課題があった。例えば、特許文献1においては、スクリーン部の追加導体の形状を最適化することによって所定周波数fpの電磁波の通過係数を最大化できるとしているが、主ビーム方向以外の放射角も含む放射特性を維持するように最適化する手法について詳細な記載はない。
特許文献2においても、「所定の周波数の電磁波を発射するためのエネルギ効率を向上することができる」という記載があるが、電磁波フィルタ装置による遮蔽の前後で所定周波数fpにおけるアンテナ放射特性を維持することについての記載はない。むしろ、各開口がスロットアンテナとして機能することが明示されており、これによれば、原理的に、電磁波フィルタ装置による遮蔽の前後でアンテナ放射特性が変化することが暗示されている。
特許文献3においても、スクリーン部を通過する所定周波数fpでの電磁波の放射特性の変化を抑圧する方法は、特許文献1と同様に開示されていない。特許文献3において「開口部は、周の長さによって透過し得る周波数を持つ電磁波のスロットアンテナとして機能する」と記載されている通り、開口部は所定周波数fpの電磁波が透過し得ることを保証するが、電磁波フィルタ装置による遮蔽後でも放射特性が維持されることについては保証していない。
以上をまとめると、従来技術のいずれを用いても、以下の2つの目的を同時に達成することが困難であった。すなわち、第1の目的は、電磁波フィルタ装置により遮蔽する前後で所定周波数fpにおけるアンテナ放射特性を維持することである。例えば、遮蔽によりビーム半値幅が減少すれば、通信可能な空間を制限することになる。また、電磁波フィルタ装置を設けたことによりビーム半値幅が不要に増加することは、不要な多重干渉波を受信することにもつながりかねない。また、遮蔽による利得の劣化は、通信可能な距離を制限することになる。また、電磁波フィルタ装置を設けたとき、ヌル特性であるべき放射角にてヌル特性が得られないために妨害波の影響の回避が困難になる場合もありうる。また、第2の目的は、所定周波数fpより低い周波数fLを有してスクリーン部を通過する電磁波の強度を抑圧すること、すなわち、低域ノイズ成分の遮断特性を向上させることである。
本発明の目的は、電磁波フィルタ装置により遮蔽されるアンテナ装置の放射特性が所定周波数fpにおいて劣化することを回避しつつ、従来と同様に、所定周波数fpより低い周波数fLにおいて不要輻射を低減し、かつ妨害波を抑圧することを可能とする電磁波フィルタ装置を提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、所定周波数より低い周波数の電磁波の通過を阻止する電磁波フィルタ装置において、上記電磁波フィルタ装置は、
接地導体と、
上記接地導体に設けられた第1の開口と、
両端で上記接地導体にそれぞれ接続され、上記第1の開口を複数の第2の開口に分割する複数のストリップ導体と、
上記ストリップ導体のそれぞれに所定間隔で設けられた複数の帯域阻止フィルタとを備え、
上記各帯域阻止フィルタは、上記電磁波フィルタ装置を通過する上記所定周波数の電磁波に起因して上記所定周波数の電流が上記各ストリップ導体を流れることを阻止することにより、上記所定周波数の電磁波の放射に実質的に影響を与えることなく、上記電磁波フィルタ装置において上記所定周波数の電磁波を通過させることを特徴とする。
上記電磁波フィルタ装置において、上記各帯域阻止フィルタは、上記所定周波数において1/4実効波長に相当する長さを有する開放スタブ導体であることを特徴とする。
上記電磁波フィルタ装置において、上記各開放スタブ導体は、T字形状又はY字形状を有することを特徴とする。
上記電磁波フィルタ装置において、上記各開放スタブ導体は、上記ストリップ導体に接続された第1の導体部分と、上記第1の導体部分の先端から分岐した第2及び第3の導体部分とを備え、上記第2及び第3の導体部分は互いに等しい線幅及び長さを有することを特徴とする。
上記電磁波フィルタ装置の上記各開放スタブ導体において、上記第2及び第3の導体部分は、上記第1の導体部分を含む所定の平面に対して鏡面対称に構成されることを特徴とする。
上記電磁波フィルタ装置において、上記開放スタブ導体のそれぞれは、上記開放スタブ導体が上記ストリップ導体に接続された位置において上記ストリップ導体の長手方向に直交する平面に対して鏡面対称に構成されることを特徴とする。
上記電磁波フィルタ装置の上記ストリップ導体のそれぞれにおいて、上記複数の開放スタブ導体は、上記ストリップ導体の長手方向に沿って、互いに逆向きの第1の方向及び第2の方向に向かって交互に接続されることを特徴とする。
上記電磁波フィルタ装置において、
上記複数のストリップ導体のうちの少なくとも一部は互いに平行に設けられ、
上記平行なストリップ導体のうちの隣接する任意の2つのストリップ導体において、ストリップ導体間で近接した各一対の開放スタブ導体のうち、一方の開放スタブ導体は上記第1の方向に向かって接続され、他方の開放スタブ導体は上記第2の方向に向かって接続されることを特徴とする。
上記電磁波フィルタ装置において、上記各開放スタブ導体の導体部分のうちの少なくとも一部は、上記電磁波フィルタ装置を通過する電磁波の進行方向に平行に設けられることを特徴とする。
上記電磁波フィルタ装置の上記ストリップ導体のそれぞれにおいて、上記複数の帯域阻止フィルタは、Nを整数とするとき、上記所定周波数においてN/2波長に相当する長さとは異なる間隔で設けられることを特徴とする。
上記電磁波フィルタ装置において、上記複数のストリップ導体は、
上記第1の開口を含む所定の面内において、第3の方向に平行に設けられた複数の第1のストリップ導体と、
上記面内において、上記第3の方向に交差する第4の方向に平行に設けられた複数の第2のストリップ導体とを含むことを特徴とする。
上記電磁波フィルタ装置において、
上記複数の第1のストリップ導体は両面プリント配線基板の第1の面に形成され、
上記複数の第2のストリップ導体は上記両面プリント配線基板の第2の面に形成され、
上記複数の第1のストリップ導体の少なくとも一部と、上記複数の第2のストリップ導体の少なくとも一部とは、ビア導体を介して互いに接続されることを特徴とする。
上記電磁波フィルタ装置において、上記複数のストリップ導体及び上記複数の帯域阻止フィルタは、1つ以上の導体層を含むプリント配線基板において、上記導体層のうちの1つ以上にそれぞれ形成されることを特徴とする。
本発明の第2の態様によれば、上記電磁波フィルタ装置を備えたことを特徴とするレドームが提供される。
本発明の電磁波フィルタ装置によれば、ストリップ導体へ帯域阻止フィルタを導入することにより、ストリップ導体上において所定周波数の高周波電流が生じない領域を実現できるので、従来の電磁波フィルタ装置の課題であった、スクリーン部を通過する放射電磁波の放射特性の劣化が回避できるものである。
本発明の電磁波フィルタ装置によれば、第1に、アンテナ装置を電磁波フィルタ装置により遮蔽した場合においても当該アンテナ装置の所定周波数での放射特性を維持できるので、無線通信機器の通信可能なエリア範囲を保証することが可能となる。第2に、電磁波フィルタ装置は、アンテナ装置から不要に輻射するノイズ成分や外部からアンテナ装置に到来する妨害波に相当する低周波帯の電磁波の通過を抑圧することが可能となる。
本発明の実施形態に係る電磁波フィルタ装置3を備えたレドームの構成を示す斜視図である。 図1の電磁波フィルタ装置3の導体部分を除去した、第1の比較例に係るレドームの構成を示す斜視図である。 図1の電磁波フィルタ装置3の詳細構成を示す上面図である。 図3のストリップ導体11aの詳細構成を示す部分拡大図である。 図1のA−A’線において−Y方向に切断したときの断面図である。 本発明の実施形態の第1の変形例に係る電磁波フィルタ装置3Aを備えたレドームの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態の第2の変形例に係る電磁波フィルタ装置3Bの構成を示す上面図である。 本発明の実施形態の第3の変形例に係る電磁波フィルタ装置3Cを備えたレドームの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態の第4の変形例に係る電磁波フィルタ装置3Dの構成を示す上面図である。 本発明の実施形態の第5の変形例に係る電磁波フィルタ装置3Eの構成を示す上面図である。 本発明の実施形態の第6の変形例に係る電磁波フィルタ装置3Fを備えたレドームの構成を示す断面図である。 図4のスタブ導体13の変形例に係るスタブ導体13Aの構成を示す部分拡大図である。 図4のスタブ導体13の変形例に係るスタブ導体13Bの構成を示す部分拡大図である。 図4のスタブ導体13の変形例に係るスタブ導体13Cの構成を示す部分拡大図である。 図4のスタブ導体13の変形例に係るスタブ導体13Dの構成を示す部分拡大図である。 図4のスタブ導体13の変形例に係るスタブ導体13Eの構成を示す部分拡大図である。 第2の比較例に係る電磁波フィルタ装置20の構成を示す上面図である。 第3の比較例に係る電磁波フィルタ装置20Aの構成を示す上面図である。 第4の比較例に係る電磁波フィルタ装置20Bの構成を示す上面図である。 第5の比較例に係る電磁波フィルタ装置20Cの構成を示す上面図である。 本発明の実施例と比較例とに係る実効利得及びビーム半値幅を示す表である。 本発明の第1の実施例と第1の比較例とに係る周波数に対する放射利得を示すグラフである。 本発明の実施例と比較例とに係る反射損失を示す表である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。説明のために、図中に示すようなXYZ座標を導入し、また、同様の構成要素には同じ参照番号を付与する。
図1は、本発明の実施形態に係る電磁波フィルタ装置3を備えたレドームの構成を示す斜視図であり、図2は、図1の電磁波フィルタ装置3の導体部分を除去した、第1の比較例に係るレドームの構成を示す斜視図である。また、図3は、図1の電磁波フィルタ装置3の詳細構成を示す上面図(導体パターン図)であり、図4は、図3のストリップ導体11aの詳細構成を示す部分拡大図であり、図5は、図1のA−A’線において−Y方向に切断したときの断面図である。図1において、アンテナ素子5を含むアンテナ基板4(図5に示すように、アンテナ基板4は好ましくは所定の誘電体支持部6上に設けられる。)を包囲するように、接地されたシールド導体1が設けられる。シールド導体1は、その内部に格納した電子機器と外部空間とを電磁気的に遮断する。また、シールド導体1は、その構造の一部において、アンテナ素子5の放射方向が開放されるように導体を除去したシールド開口2を有する。図2を参照すると、シールド開口2より、シールド導体1内部に設けられたアンテナ基板4とアンテナ素子5の位置が確認できる。アンテナ素子5は例えばパッチアンテナであり、以下、本明細書では、アンテナ素子5から放射される電磁波が垂直偏波を有する例について説明する。本発明の実施形態ではさらに、図1に示すように、シールド開口2の全面に電磁波フィルタ装置3が設けられる。
図3を参照すると、電磁波フィルタ装置3は、シールド開口2を覆うために十分なサイズを有する誘電体基板9(図5参照)と、シールド開口2の縁(すなわち内周)に適合するように誘電体基板9上において環状にパターン形成された接地導体10と、誘電体基板9上において接地導体10の内周の内側にパターン形成され、低域周波数fLの電磁波を遮蔽するストリップ導体11a〜11k(以下、総称して符号「11」を用いる。)とを備えて構成される。本実施形態では、シールド開口2は矩形形状であり、従って、接地導体10の内周もまた、辺10a,10b,10c,10dを備えた矩形形状を有する。ストリップ導体11a〜11kのそれぞれは、接地導体10の内周の内側において、接地導体10の対向する部分を電気的に接続するように誘電体基板9上にパターン形成される。詳しくは、ストリップ導体11a〜11gは、X軸方向に互いに所定間隔を有してZ軸方向にそれぞれ延在するように、かつ接地導体10の対向する辺10a,10cを電気的に接続するように形成され、ストリップ導体11h〜11kは、Z軸方向に互いに所定間隔を有してX軸方向にそれぞれ延在するように、かつ接地導体10の対向する辺10b,10dを電気的に接続するように形成される。本実施形態において、電磁波フィルタ装置3の導体部分(すなわち接地導体10及びストリップ導体11と、後述するスタブ導体13)はいずれも、誘電体基板9の+Y側の面に形成される(図5参照)。ストリップ導体11a〜11gとストリップ導体11h〜11kとは互いに交差し、互いに電気的に接続される。接地導体10は、シールド開口2の縁においてシールド導体1に電気的に接続され、従って、接地導体10はシールド導体1を介して実際に接地され、ストリップ導体11a〜11kはシールド開口2を複数の小さな開口12に分割する。シールド開口2と、接地導体10の内周とは、X軸方向の長さXscと、Z軸方向の長さZscとを有する。各開口12は、X軸方向の長さXapと、Z軸方向の長さZapとを有する。
本発明の実施形態において、各ストリップ導体11a〜11kは、図4に示すように、複数のスタブ導体13a,13b,13c,…(以下、総称して符号「13」を用いる。)を備えたことを特徴とする。各スタブ導体13は開放スタブ(open circuited stub)として構成され、また、所定周波数fpを含む帯域を阻止する帯域阻止フィルタとして機能する。ストリップ導体11のそれぞれにおいて、隣接するスタブ導体13は、互いに所定距離Lstを有して配置される。図4では、ストリップ導体11a上のスタブ導体13a,13b,13cのみを概略的に示す。図示の簡単化のために、ストリップ導体11aに交差するストリップ導体11h〜11kは省略する。開放スタブ構造は、主線路(すなわちストリップ導体11a)に対して付加された先端開放の分岐線の実効長が所定周波数fpにおいて1/4波長に相当するという条件にて、主線路を通過する電磁波に対して所定周波数fp近傍の成分のみ遮断することを利用した一般的な高周波回路である。
ここで、スタブ導体13の動作原理について説明する。ストリップ導体11a上の任意の領域15から、ストリップ導体11aに沿って接地導体10の内周の辺10a,10cへ到達するまでの経路としては、図4中に矢印で示す2つの経路16a,16bが存在する。所定周波数fpの電磁波が領域15の周囲の空間を通過する際、通過電磁波とストリップ導体11aとの間の相互作用により領域15に電荷が発生し、発生した電荷は経路16a,16bに沿って接地導体10に流れようとする。本実施形態の構成では、経路16aの側にスタブ導体13bが挿入されるとともに、経路16bの側にもスタブ導体13cが挿入されたので、所定周波数fpの電磁波が領域15の近傍を通過する際に領域15に発生する所定周波数fpの高周波電流はスタブ導体13b,13cにより阻止され、領域15から接地導体10へと流れる高周波電流自体が発生しなくなる。よって、該領域15の周囲の空間を所定周波数fpの電磁波が通過しても、ストリップ導体11aと通過電磁波との間の相互作用は抑圧される。ストリップ導体11に沿って分布するように複数のスタブ導体13を配置することにより、所定周波数fpの高周波電流が流れえない領域をストリップ導体11上に広く出現させることが可能となる。図3に示すように、Z軸方向に平行なストリップ導体11a〜11と、X軸方向に平行なストリップ導体11h〜11kとが交差して電気的に接続され、ストリップ導体11上の所定の領域から接地導体10までの経路が3つ以上存在する場合においても、同様に、すべての経路に帯域阻止フィルタとして機能するスタブ導体13を挿入し、所定周波数fpの高周波電流が流れえない領域をストリップ導体11上に出現させることが可能となる。この場合、電磁波フィルタ装置3に存在するストリップ導体11上の全領域において、所定周波数fpの高周波電流が流れることを禁じさせれば、電磁波フィルタ装置3を±Y方向に通過する電磁波は、ストリップ導体11と一切相互作用を起こせなくなる。
従って、本発明の実施形態では、各ストリップ導体11上に設けられた複数のスタブ導体13により、ストリップ導体11が所定周波数で共振しなくなるので、当該所定周波数の電磁波が電磁波フィルタ装置を自由に通過することができるようになる。
なお、スタブ導体13自体が放射性を有すると、ストリップ導体11上を流れる電流成分の抑圧効果が劣化することがある。よって、スタブ導体13は、それ自体の放射成分を相殺するように対称形状を有することが好ましい。特に、各スタブ導体13を、図4に示すようにT字形状に構成することが好ましい。具体的には、スタブ導体13aは、ストリップ導体11aから分岐した長さL1の導体部分14aと、導体部分14aの先端からさらに分岐した長さL2,L3の導体部分14b,14cとを備えて構成され、導体部分14b,14cは等しい線路幅及び長さを有して構成されることが好ましい。さらに、導体部分14b,14cは、導体部分14aを含む所定の平面に対して鏡面対称に構成されることが好ましい。特に好ましくは、スタブ導体13のそれぞれは、スタブ導体13がストリップ導体11に接続された位置においてストリップ導体11の長手方向に直交する平面に対して鏡面対称に構成される。また、図12に示すように、各スタブ導体13をY字形状に構成しても、同様の効果を得ることができる。
さらに、図3及び図4に示すように、スタブ導体13間の第1の配置条件として、ストリップ導体11のそれぞれにおいて、複数のスタブ導体13は、ストリップ導体11の長手方向に沿って、互いに逆向きの第1の方向及び第2の方向に向かって交互に接続されることが好ましい。言い換えると、ストリップ導体11のそれぞれにおいて、ストリップ導体11からスタブ導体13が分岐する向きを隣接するスタブ導体13間で互い違いに構成することが好ましい。さらに、図3に示すように、スタブ導体13間の第2の配置条件として、平行なストリップ導体11のうちの隣接する任意の2つのストリップ導体11において、ストリップ導体11間で近接した各一対のスタブ導体13のうち、一方のスタブ導体13は上記第1の方向に向かって接続され、他方のスタブ導体13は上記第2の方向に向かって接続されることが好ましい。言い換えると、ストリップ導体11間で近接した一対のスタブ導体13は、同一方向を向くことなく、互いに対向するように構成されることが好ましい(ただし、第1の配置条件により、特定の一対のストリップ導体11上においてスタブ導体13が対向するのは1つおきになる)。これらのスタブ導体13の配置条件により、スタブ導体13自体が不要に放射する成分同士を相殺させることができ、仮にスタブ導体13自体が放射性を有する場合においても、所定周波数での放射特性に意図せぬ影響をもたらすことを効果的に抑圧することが可能となる。
さらに、各ストリップ導体11上において隣接するスタブ導体13間の距離は、所定整数Nに対して、実効的にN/2波長とならないよう設計されることが好ましい。領域15の両端が回路的に開放となり、線路長が実効的にN/2波長となる場合、ストリップ導体11自体がアンテナとして放射性を発現する危険性がある。よって、隣接するスタブ導体13間の距離は、好ましくは、実効的にN/2波長とならず、さらに好ましくは実効的にN/2波長未満に構成される。
ここで、図2と、図17乃至図20とを参照して、本発明の実施形態に対する比較例として、従来技術の電磁波フィルタ装置の構成及び動作について説明する。図2は、本発明の実施形態に対する第1の比較例であり、本発明の実施形態の特徴である電磁波フィルタ装置3の導体部分を持たない(すなわちストリップ導体11等の導体部分を含まず誘電体基板9のみが設けられた)従来技術に係るレドームである。第1の比較例においては、電磁波フィルタ装置3を介した低周波数帯の不要な電磁波の通過強度を抑圧する対策はとられておらず、従って、低域ノイズ成分の遮断特性を向上する本発明の第2の目的は達成されない。
図17は、第2の比較例に係る電磁波フィルタ装置20の構成を示す上面図であり、図18は、第3の比較例に係る電磁波フィルタ装置20Aの構成を示す上面図である。第2の比較例は、第1の比較例に図17の電磁波フィルタ装置20を追加した構成を有する従来技術のレドームである。図17を参照すると、電磁波フィルタ装置20は、図3の電磁波フィルタ装置3と同様の誘電体基板9と接地導体10を備え、さらに、誘電体基板9上において接地導体10の内周の内側にパターン形成された、帯域阻止フィルタ(すなわちスタブ導体13)を持たない複数のストリップ導体21a〜21gを備えて構成される。ストリップ導体21a〜21gは、X軸方向に互いに所定間隔を有してZ軸方向にそれぞれ延在するように、かつ接地導体10の対向する辺10a,10cを電気的に接続するように誘電体基板9上にパターン形成され、これにより、ストリップ導体21a〜21gは、図2のシールド開口2を複数の小さな開口12に分割する。従って、各開口12のX軸方向の長さXapを、シールド開口2のX軸方向の長さXscより減じることになり、垂直偏波の放射電磁波に対してシールド効果を発現できる。なお、この構造では、各開口12のZ軸方向の長さZapは、シールド開口2のZ軸方向の長さZscと同じである。すなわち、第2の比較例では、広い面積を有するシールド開口2を、狭い面積を有する複数の開口12の集合へと置換することになるので、これによって、電磁波フィルタ装置20を通過する低周波帯の電磁波に対するシールド効果が生じ、低域ノイズ成分の遮断特性を向上する本発明の第2の目的を達成できる。
仮に、抑圧すべきノイズ電磁波の偏波成分が水平偏波成分を含む場合、垂直偏波の放射電磁波だけでなく、水平偏波の放射電磁波に対してもシールド効果を発現することが必要となる。図18に示す第3の比較例は、第2の比較例の構成に加えて、帯域阻止フィルタ(すなわちスタブ導体13)を持たない複数のストリップ導体21h〜21kを追加した構成を有する従来技術のレドームである。ストリップ導体21h〜21kは、Z軸方向に互いに所定間隔を有してX軸方向にそれぞれ延在するように、かつ接地導体10の対向する辺10b,10dを電気的に接続するように誘電体基板9上にパターン形成され、これにより、ストリップ導体21a〜21k(以下、総称して符号「21」を用いる。)は、図2のシールド開口2を複数の小さな開口12に分割する。垂直偏波と水平偏波との両方の放射電磁波に対してシールド効果を発現させるためには、図18に示すように、図17の電磁波フィルタ装置20の構成に対してX軸方向に延在するストリップ導体21h〜21kを追加し、開口12のZ軸方向の長さZapを減ずることが有効である。広い面積を有するシールド開口2を、狭い面積を有する開口12の集合に置換することによって、低域ノイズ成分の遮断特性を向上する本発明の第2の目的を達成できる。
しかしながら、第2及び第3の比較例では、所定周波数の電磁波が電磁波フィルタ装置20,20Aを通過する際に、通過電磁波とストリップ導体21との間の相互作用が避けられない。この相互作用によりストリップ導体21上に電荷が発生すれば、発生した電荷は、ストリップ導体21と接地導体10及びシールド導体1との短絡点である電磁波フィルタ装置20,20Aの端部まで流れてしまう。ストリップ導体21上に流れた電流の分布に起因する放射が重畳されると、電磁波フィルタ装置20,20Aによって遮蔽されたアンテナ素子5の本来の放射特性が変化させられることになる。よって、第2及び第3の比較例の構成では、所定周波数fpの電磁波の放射特性を保証する本発明の第1の目的が達成されない。
図19は、第4の比較例に係る電磁波フィルタ装置20Bの構成を示す上面図であり、図20は、第5の比較例に係る電磁波フィルタ装置20Cの構成を示す上面図である。第4及び第5の比較例は、第1の比較例に対して、特許文献1〜3の開示内容に該当する電磁波フィルタ装置20B,20Cを追加した構成を有する従来技術のレドームである。図19を参照すると、電磁波フィルタ装置20Bは、誘電体基板9上の導体面にパターン形成された複数のスロット状の開口12を備え、各開口12は、所定周波数fpにおいてスロットアンテナとして共振するように、当該周波数fpにおける1波長に相当する縁の長さを有する。本明細書において、電磁波フィルタ装置20Bの各開口12は、X軸方向の長さXapと、Z軸方向の長さZapとを有する矩形形状のスロットとして説明する。第2及び第3の比較例のストリップ導体21と同様に、第4の比較例においても、電磁波フィルタ装置20Bの導体部分に所定周波数fpの高周波電流が流れることは回避できない。よって、第4の比較例の構成でも、所定周波数fpの電磁波の放射特性を保証する本発明の第1の目的が達成できない。図20を参照すると、第5の比較例では、第4の比較例に対する変形例として、Z軸方向に隣接する開口12に対して、その配置をX軸方向に長さXosだけオフセットさせるように構成している。開口12の配置関係を変更したことにより、通過電磁波の放射パターンに対する影響は変化するが、第5の比較例の構成においてもやはり、電磁波フィルタ装置20の導体部分に所定電磁波fpの高周波電流が流れてしまうことは回避できず、所定周波数fpの電磁波の放射特性を保証する第1の目的が達成されない。
一方、本発明の実施形態に係る電磁波フィルタ装置3では、前述のように、各ストリップ導体11において、帯域阻止フィルタとして機能する複数のスタブ導体13を備えたことにより、所定周波数fpの電磁波の放射特性を保証する第1の目的と、低域ノイズ成分の遮断特性を向上する第2の目的との両方を達成することができる。
本発明の実施形態のように、ある特定のエネルギーの電磁波の存在を禁止する空間を発現せしめる現象は、フォトニックバンド構造といわれる電磁波制御技術との類似点がある。従来技術では、周期構造を備えた誘電体を用いることによって、空間内を進行する電磁波の採りうるエネルギー状態を制御することができる。ただし、従来のフォトニックバンド技術は、アンテナや蛍光体等の電磁波放出源からの放射特性を変化させることに用いられている。一方、本発明は、電磁波放出構造であるアンテナからの放射特性を変化させないための構造であり、この点で従来技術とは大きく異なる原理で動作する発明であるといえる。また、一般的にフォトニックバンド構造を用いて電磁波を放射する利用例として、放射方向に周期構造の乱れを導入することが多い。すなわち、周期的に誘電率を変化させた構造にて放射源周辺を形成した後、放射方向ではその周期性を低下させることにより、電磁波エネルギーを効率的に単方向に放出する利用法である。すなわち、エネルギーを放出する方向以外への放射を抑圧するよう、周期構造により実現される電磁波反射構造を配置する。一方、本発明の構造では、電磁波が通過する方向に、電磁波のエネルギー状態を制御するよう設計された導体構造が配置されている。これは、本発明の構成が、空間を進行する電磁波に対してではなく、ストリップ導体11上を電流という形式によって伝搬する電磁波に対してのみ選択的に、エネルギーの禁止則を実現しているからである。このように、本発明の構成は、従来技術とは異なる電磁波エネルギーの制御方法によって、所定周波数fpの電磁波の放射特性を保証する第1の目的を達する。
本発明の実施形態において、開口12は所定周波数fpにて共振するよう設計される必要がない。第4及び第5の比較例において、開口12は所定周波数fpにてスロットアンテナとして動作し、開口12の縁、すなわち、電磁波フィルタ装置20B,20Cの導体部分には高周波電流が流れていた。よって、第4及び第5の比較例において、各開口12の縁の長さはスロット共振器長(例えば1実効波長)にされる必要がある。一方、本発明では、開口12の周囲のストリップ導体11には高周波電流は流れない。よって、本発明の実施形態における各開口12の縁の長さは送受信する電磁波の波長に依存せず、従来技術における開口よりもはるかに小型の開口を構成することも可能となる。本発明の実施形態における開口12を第4及び第5の比較例における開口12より小型に構成することにより、電磁波フィルタ装置3を通過しようとする低域周波数fLの電磁波の遮断特性を格段に向上させることが可能である。
なお、特許文献3の図1の構成例を参照すると、開口部の外縁を形成する導体に対して、フィルタを構成するように対向する一対の分岐配線が接続されている。しかし、特許文献3においては、導体上を所定周波数fpの高周波電流が流れるので、特許文献3の分岐配線と本発明の実施形態のスタブ導体13とには大きな差異があることが分かる。特許文献3の構成例は、あくまで、所定周波数fpより高い周波数fHの高周波電流を一対の分岐配線間の分布容量を介して流れさせるように、導体を短絡するための構成である。一方、本発明の実施形態のスタブ導体13には、所定周波数fpにて1/4実効波長に相当するというスタブ長に対しての条件が存在し、特許文献3とは構成及び効果の点で関連がない。ただし、本発明のスタブ導体13においても、隣接するストリップ導体11間で対向する一対のスタブ導体13の先端箇所間において所定周波数fpよりも高い周波数fHで十分な容量を生じさせることにより、周波数fHの高周波電流をこの一対のスタブ導体13を介して流れさせ、電磁波フィルタ装置3が周波数fHの電磁波を遮蔽する効果を発現するよう設計することが可能である。
以下、本発明の実施形態に係るいくつかの変形例について説明する。
図6は、本発明の実施形態の第1の変形例に係る電磁波フィルタ装置3Aを備えたレドームの構成を示す断面図である。電磁波フィルタ装置の導体部分は、図5に示すように誘電体基板9の+Y側の面(すなわちレドームの外側)に形成されることに限定されず、図6に示すように−Y側の面(すなわちレドームの内側)に形成されてもよい。本変形例では、電磁波フィルタ装置3Aの導体部分とシールド導体1とを電気的に接続するために、接地導体10(図6には図示せず。)の位置において誘電体基板9を貫通するように、所定間隔の周期で接地導体10の内周に沿って配置された複数のビア導体が設けられる。図6では、ビア導体7a,7b(以下、総称して符号「7」を用いる。)のみを示す。各ビア導体7の一端は、誘電体基板9の−Y側の面において接地導体10に電気的に接続され、他端は、+Y側の面においてシールド導体1に電気的に接続される。本変形例の構成は、ストリップ導体11及びスタブ導体13がレドームの外側に露出しないという点で好ましい。
図7は、本発明の実施形態の第2の変形例に係る電磁波フィルタ装置3Bの構成を示す上面図である。ストリップ導体11は、図3に示すように、X軸方向に平行なものと、Z軸方向に平行なものとの両方を設けることに限定されず、送受信する電磁波の偏波特性に応じて一方のみを設けてもよい。図7の構成では、ストリップ導体11a〜11gは、X軸方向に互いに所定間隔を有してZ軸方向にそれぞれ延在するように、かつ接地導体10の対向する辺10a,10cを電気的に接続するように誘電体基板9上にパターン形成され、これにより、ストリップ導体11a〜11gは、シールド開口2を複数の小さな開口12に分割する。従って、各開口12のX軸方向の長さXapを、シールド開口2のX軸方向の長さXscより減じることになり、垂直偏波の放射電磁波に対してシールド効果を発現できる。
図8は、本発明の実施形態の第3の変形例に係る電磁波フィルタ装置3Cを備えたレドームの構成を示す断面図である。各スタブ導体13は、ストリップ導体11が形成された平面と同一平面内に形成されることに限定されず、一般的な多層プリント配線基板の製造技術を用いれば、例えば、ストリップ導体11が形成された平面と直交する第3の方向にスタブ導体13の導体部分の一部を配向させることが容易に可能である。図8を参照すると、本変形例の電磁波フィルタ装置3Cにおいて、各スタブ導体13は、それらが接続されたストリップ導体11に対して−Y側に位置するように形成される。詳しくは、誘電体基板9は両面プリント配線基板として構成され、ストリップ導体11は誘電体基板9の+Y側の導体面にパターン形成され、図4の導体部分14aに相当する部分は、ストリップ導体11から分岐するように誘電体基板9を貫通して形成されたビア導体にて構成され、図4の導体部分14b,14cに相当する部分は、誘電体基板9の−Y側の導体面にパターン形成され、ビア導体に電気的に接続される。本発明の実施形態に係る一般的な構成例において、電磁波フィルタ装置は通過電磁波の進行方向に対して直交するよう配置される。よって、本変形例におけるスタブ導体13の配向方向は、通過電磁波の進行方向と平行な成分を有する。電磁波フィルタ装置3Cを通過する電磁波に直交する平面内に形成されるストリップ導体11は、その直交性から通過電磁波と相互作用を生じやすいのに比べ、スタブ導体13は、通過電磁波に対して平行になるほど通過電磁波との相互作用は生じにくくなる。よって、本変形例の構成において、スタブ導体13の構成における少なくとも一部の導体部分が、通過電磁波と平行な成分を有する方向へ配向されることが好ましい。いずれにせよ、スタブ導体13の構成は、高周波特性だけでなく、製造コスト、占有容積、特性ばらつき等の値を考慮して、選択することができる。
図9は、本発明の実施形態の第4の変形例に係る電磁波フィルタ装置3Dの構成を示す上面図であり、図10は、本発明の実施形態の第5の変形例に係る電磁波フィルタ装置3Eの構成を示す上面図である。図3のストリップ導体11a〜11gと、ストリップ導体11h〜11kとは同一導体面上に形成されることに限定されず、図9に示すように、両面プリント配線基板である誘電体基板9の各導体面にそれぞれ形成されてもよい。図3のストリップ導体11a〜11gと、ストリップ導体11h〜11kとは、互いに交差した位置において互いに電気的に接続されていたが、図9に示すように、対応する位置においてビア導体7を介して互いに電気的に接続されてもよく、それに代わって、一部のみがビア導体7を介して互いに電気的に接続されるか、又は図10に示すようにまったく接続されなくてもよい。
図11は、本発明の実施形態の第6の変形例に係る電磁波フィルタ装置3Fを備えたレドームの構成を示す断面図である。本発明の実施形態に係る電磁波フィルタ装置は、図3及び図7のような一面を導体面とするプリント配線基板や、図8及び図9のような両面プリント配線基板を用いて構成されるものに限定されず、3層以上の多層プリント配線基板を用いて構成されてもよく、電磁波フィルタ装置の各導体部分(すなわち、接地導体10、ストリップ導体11及びスタブ導体13)が多層プリント配線基板における少なくとも1つの任意の導体層に形成されてもよい。例えば、図11に示すように、各ストリップ導体11の長手方向に沿って、複数のスタブ導体13を+Y方向及び−Y方向に向かって交互に接続するように構成してもよい。さらに、平行なストリップ導体11のうちの隣接する任意の2つのストリップ導体11において、ストリップ導体11間で近接した各一対のスタブ導体13のうち、一方のスタブ導体13を+Y方向に向かって接続し、他方のスタブ導体13を−Y方向に向かって接続するように構成してもよい。
図12〜図16は、図4のスタブ導体13の変形例に係るスタブ導体13A〜13Eの構成を示す部分拡大図である。スタブ導体13は、好ましくはT字形状(図4)又はY字形状(図12)に形成されるが、スタブ導体13の実効長が所定周波数fpにおいて1/4波長に相当する条件を等価的に満足すれば同等の遮断効果が得られるため、スタブ導体13のパターン形状に制限はない。例えば、図13の線状のスタブ導体13B、図14の扇形形状のラジアルスタブ導体13C、占有面積を減じるために分岐線を途中で折り曲げた図15のベンド形状のスタブ導体13D、及び、図16のミアンダ形状のスタブ導体13Eを採用することが可能である。
また、本発明の実施形態に係る電磁波フィルタ装置は、シールド開口2の全体を覆うものに限定されるものではなく、アンテナ素子5に対して空間を介して少なくとも一部で対向し、アンテナ素子5から送受信される電磁波のフィルタとして動作可能であれば任意に配置することができる。また、シールド導体1と接地導体10とを図5のように別個に設けることなく、例えば図1のシールド導体1のうちの+Y側の面を誘電体基板9の導体面により構成し、シールド導体1と接地導体10とを少なくとも一部で一体化するように構成してもよい。また、本発明の実施形態に係る電磁波フィルタ装置は平面形状に限定されるものではなく、例えば、電磁波フィルタ装置は、アンテナ素子5の波源を中心とする同心球面状に構成するなど、凹凸を有していても本発明の効果を得ることができる。このように電磁波フィルタ装置が凹凸を有する場合においても、複数のストリップ導体11は、説明した実施形態と同様に構成されることが可能であり、例えば、図3又は図9と同様に、シールド開口2を含む所定の面内において、第1の方向に実質的に平行に設けられた複数の第1のストリップ導体11と、上記面内において、上記第1の方向に交差する第2の方向に実質的に平行に設けられた複数の第2のストリップ導体とを含んで構成される。
また、本発明の実施形態に係る電磁波フィルタ装置は、誘電体基板又は誘電体材料を少なくとも一部に用いて構成されるものに限定されず、シールド導体1内部の電子機器の気密性に問題がなければ、ストリップ導体11が誘電体材料で支持されずに完全に空気中に露出するように構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る電磁波フィルタ装置によって遮蔽されるアンテナ素子は、パッチアンテナに限定されるものではなく、線状アンテナ、スロットアンテナ等の他の任意のアンテナであってもよい。また、本発明の実施形態に係る電磁波フィルタ装置は、単一のアンテナ素子のために動作するときだけでなく、アレイ化されたアンテナ構造のために動作するときにおいても、同様に本発明の有利な効果を得ることが可能である。
以上説明したように、本発明によれば、各ストリップ導体11において、帯域阻止フィルタとして機能する複数のスタブ導体13を備えたことにより、従来技術では困難であった、電磁波フィルタ装置により遮蔽したアンテナの所定周波数fpでの放射特性を劣化させず、かつ、低域周波数fLにおけるノイズ電磁波の遮断効果を有する電磁波フィルタ装置を実現することができる。
本発明の有利な効果を実証するべく、図7の電磁波フィルタ装置3Bに基づく第1の実施例のレドームと、図3の電磁波フィルタ装置3に基づく第2及び第3の実施例のレドームとを作製した。また、これらの実施例の比較対象かつ従来技術の典型例として、第1乃至第5の比較例のレドームを作製した。作製した実施例と比較例について、電磁波フィルタ装置の主要な構成パラメータ以外は同一である。以下の説明では、図1等に示すXYZ座標を参照する。
シールド導体1内に格納するアンテナ素子5として、アルミナにてなるアンテナ基板4上に形成した垂直偏波のパッチアンテナを利用した。アンテナ素子5は、0.8mm×0.95mmのサイズを有する。共振周波数は60GHzに設計した。自由空間に配置した条件下で、アンテナ素子5は良好な反射損失−14.2dBを得た。同様に、アンテナ素子5を自由空間に配置したとき、正面方向(Y軸方向)の実効利得は5.35dBiであり、E面(YZ面)内のビーム半値幅は94度であり、H面(XY面)内のビーム半値幅は83度であった。
アンテナ素子5の表面より+Y方向に1.2mmだけ空間を介して、誘電率3及び厚さ0.25mmを有する液晶ポリマー基板の誘電体基板9を配置した。さらに、誘電体基板9の+Y側に位置するように、厚さ1mmの銅板にてなり、14mm(X軸方向)×10mm(Z軸方向)の長方形形状のシールド開口2を有するシールド導体1を配置した。誘電体基板9は、シールド開口2に対応する領域と、この領域の外縁にあって、シールド導体1に接続するための幅1mmの領域とを有して構成された。アンテナ素子5及び誘電体基板9はそれぞれ、Y軸上(すなわちX=0,Z=0)に中心が位置するように配置した。シールド導体1は、シールド開口2以外の部分においてアンテナ基板4を囲い、シールド構造として機能した。第1の比較例として、シールド開口2に誘電体基板9のみを備え、電磁波フィルタ装置の導体部分を含まないレドームを構成した。
一方、第2乃至第5の比較例と、第1乃至第3の実施例とについては、誘電体基板9の両面に厚さ18ミクロンの銅配線を形成して、電磁波フィルタ装置の導体部分を構成した。誘電体基板9の+Y側の面では、シールド導体1に接続するための幅1mmの領域にのみ導体を残して、他の領域からは導体をすべて除去した誘電体基板9の−Y側の面(アンテナ素子5に近接した側の面)では、図3、図7、図17乃至図20に示す各電磁波フィルタ装置の導体部分をそれぞれ構成した。第2及び第3の比較例と、第1乃至第3の実施例とについては、すべてのストリップ導体11,21(スタブ導体13を含む。)の配線幅は100ミクロンに統一した。また、電磁波フィルタ装置とシールド導体1との接続部では、誘電体基板9を貫通する複数のビア導体7を、シールド開口2の縁に沿って500ミクロン間隔の周期で設け、これらのビア導体7により誘電体基板9の−Y側の面の導体部分と+Y側の面の導体とを電気的に接続し、+Y側の面の導体をシールド導体1にめっき接続した。すなわち、この接続部を介して、電磁波フィルタ装置の導体部分をシールド導体1に短絡した。
第2の比較例(図17参照)において、Z軸方向に延在した直線状のストリップ導体21a〜21gを、X軸方向に沿って2mm間隔の周期で6本配置した。これらのストリップ導体21によって、第2の比較例に係るレドームのシールド開口2は、2mm×10mmの面積の長方形形状の複数の開口12に分割された。また、第3の比較例(図18参照)では、第2の比較例の構成に加えて、X軸方向に延在した直線状のストリップ導体21h〜21kを、Z軸方向に沿って2mm間隔の周期で4本配置した。Z軸方向に延在したストリップ導体21a〜21gと、X軸方向に延在したストリップ導体21h〜21kとは、互いに交差して電気的に接続され、結果的に第3の比較例に係るレドームのシールド開口2は、一辺2mmの正方形形状かつ正方格子配置の複数の開口12に分割された。第4の比較例(図19参照)では、第2の比較例と実質的に同様の構成においてストリップ導体21を配置する周期のみを変更することにより、結果的に形成される開口12を60GHz帯でスロット共振すべく設計した。第4の比較例では、Z軸方向に延在した直線状のストリップ導体をX軸方向に沿って2mm間隔の周期で配置し、X軸方向に延在した直線状のストリップ導体をZ軸方向に沿って0.3mm間隔の周期で配置した。Z軸方向に延在したストリップ導体は0.2mmの幅を有し、X軸方向に延在したストリップ導体は0.21mmの幅を有して構成された。これにより、各開口12が、1.8mm(X軸方向)×90ミクロン(Z軸方向)の長方形形状となるように構成した。なお、特許文献2にて記載された好ましい条件に従って、長方形形状の開口12の辺のアスペクト比を5%に構成した。第5の比較例(図20参照)では、第4の比較例の構成からさらに、Z軸方向に隣接する開口12間においてX軸方向に±0.9mmの変位を与えた。
一方、第1の実施例(図7参照)では、Z軸方向に延在したストリップ導体11a〜11gをX軸方向に沿って2mm間隔の周期で6本配置し、各ストリップ導体11a〜11gには、Z軸方向に沿って2mm間隔の周期でスタブ導体13を接続した。従って、第1の実施例の構成は、第2の比較例におけるストリップ導体21にスタブ導体13を追加した構成に相当する。各スタブ導体13は、図4に示すようにT字形状の開放スタブとして構成した。ストリップ導体11から分岐される導体部分14aの長さL1は0.18mmであり、導体部分14aからさらに分岐される二つの導体部分14b,14cはそれぞれ等しい長さL2=L3とし、長さの和L2+L3は1.0mmである。スタブ導体13による阻止帯域の中心周波数は60GHzとなった。ストリップ導体11とスタブ導体13とは同一面に形成した。さらに、X軸方向に隣接する任意の2つのスタブ導体13と、Z軸方向に隣接する任意の2つのスタブ導体13とをそれぞれ、ストリップ導体11に対して互いに逆向きになるように配置した。すなわち、ストリップ導体11のそれぞれにおいて、ストリップ導体11からスタブ導体13が分岐する向きを隣接するスタブ導体13間で互い違いに構成し、さらに、隣接する2つのストリップ導体11に設けられて互いに隣接する2つのスタブ導体13は、同一方向を向くことなく、互いに対向するように構成した。第2の実施例(図3参照)では、Z軸方向に延在したストリップ導体11a〜11gをX軸方向に沿って2mm間隔の周期で配置するとともに、X軸方向に延在したストリップ導体11h〜11kをZ軸方向に沿って2mm間隔の周期で配置し、ストリップ導体11a〜11kにより形成された一辺2mmの正方形形状の開口12のそれぞれにおいて、正方形の各辺の中点に、第1の実施例と同様のスタブ導体13を周期的に配置した。また、ストリップ導体11のそれぞれにおいて、ストリップ導体11からスタブ導体13が分岐する向きを隣接するスタブ導体13間で互い違いに構成し、さらに、隣接する2つのストリップ導体11に設けられて互いに隣接する2つのスタブ導体13は、同一方向を向くことなく、互いに対向するように構成した。第3の実施例(図3参照)では、第2の実施例におけるストリップ導体11を配置する周期を1.45mm間隔にした。
図21は、本発明の実施例と比較例とに係る実効利得及びビーム半値幅を示す表である。第1乃至第3の実施例は、それぞれ正面方向において、実効利得4.91dBi,4.90dBi,4.88dBiを示した。これらの値は、自由空間に配置したときのアンテナ特性と比較した劣化量が、それぞれ0.5dB未満に留まったことに相当する。一方、第2乃至第4の比較例は、それぞれ正面方向において、実効利得2.69dBi,2.87dBi,3.31dBiを示し、劣化量がそれぞれ2.66dB,2.47dB,2.04dBに達した。本発明の実施形態に係るレドームの構成が、従来技術と比較して、放射特性の変化が少ないということが実証された。なお、第5の比較例は、正面方向にて4.8dBiの実効利得を示し、劣化量は第1乃至第3の実施例と同等レベルの0.57dBにとどまった。しかし、第5の比較例では、E面内でのビーム半値幅は110度に達し、自由空間に配置したときのビーム半値幅94度から大きな変動が生じた。また、H面内でのビーム半値幅は75度となり、8度の減少が生じた。また、第2乃至第4の比較例でも同様に、ビーム半値幅には大きな変動が発生した。一方、第1乃至第3の実施例のすべてにおいては、E面及びH面のビーム半値幅の変動は3度以内に収まっており、本発明のの効果が実証された。
図22は、本発明の第1の実施例と第1の比較例とに係る周波数に対する放射利得を示すグラフである。第1乃至第3の実施例のレドームと、第1の比較例のレドームとにおいて、60GHzより低域に共振特性を有する垂直偏波のアンテナ素子5(小型パッチアンテナ)を、シールド開口2の中央に位置するように設け、電磁波フィルタ装置(第1の比較例の場合は、電磁波フィルタ装置の誘電体基板9)を介して通過してくる電磁波の放射特性を正面方向にて測定した。第1乃至第3の実施例のすべてにおいて、測定した周波数帯域全体にわたって第1の比較例よりも放射利得が効果的に抑圧され、本発明の効果が実証された。図22では、第1の実施例と第1の比較例とについて、不要放射利得の抑圧度の周波数依存特性を示す。図22によれば、10GHzより低い帯域では20dB程度の安定した抑圧が周波数に依存せず達成され、本発明の低域シールド効果を実証した。同様に、第2及び第3の実施例においても、本発明の低域シールド効果が実証された。
図23は、本発明の実施例と比較例とに係る反射損失を示す表である。図23は、動作周波数が60GHzのときの反射損失値を示す。第2乃至第4の比較例はそれぞれ、−8.85dB,−8.07dB,−8.67dBという−10dBを超える反射損失値を示してしまい、電磁波フィルタ装置に含まれたストリップ導体21がアンテナの放射特性のみならず、反射特性にも悪影響を与えたことが分かった。第5の比較例では、反射損失は−10.4dBであったものの、図21を参照して説明した通り、ビーム半値幅に大きな変化が生じた。一方、第1乃至第3の実施例における反射損失はそれぞれ、−12.1dB,−12.6dB,−12.9dBであった。これらの値は10dBを下回る良好な値であり、本発明の構成において、ストリップ導体11上に所定周波数の高周波電流が流れない効果が実証された。
本発明に係る電磁波フィルタ装置は、従来の電磁波フィルタ装置では困難であった、所定周波数の通過電磁波の放射特性を劣化させることなく、低域での通過電磁波の強度を低減させることができるので、特にミリ波屋内通信やミリ波車載レーダなど、高利得かつ広い指向性可変範囲の両立が必要な通信及びレーダを実現する用途において特に有益である。また、携帯電話システムの基地局アンテナなど、アンテナ指向性の高度な制御を必要とする用途や、MIMO技術を使用する各用途においても使用されうる。
1…シールド導体、
2…シールド開口部、
3,3A〜3F…電磁波フィルタ装置、
4…アンテナ基板、
5…アンテナ素子、
6…誘電体支持部、
7,7a,7b…ビア導体、
9…誘電体基板、
10…接地導体、
10a〜10d…接地導体10の内周の辺、
11,11a〜11k…ストリップ導体、
12…開口、
13a〜13c,13A〜13E…スタブ導体、
14a,14b,14c…導体部分、
15…ストリップ導体11a上の領域、
16a,16b…ストリップ導体11a上の経路、
20,20A〜20C…電磁波フィルタ装置、
21a〜21k…ストリップ導体。

Claims (13)

  1. 所定周波数より低い周波数の電磁波の通過を阻止する電磁波フィルタ装置において、上記電磁波フィルタ装置は、
    接地導体と、
    上記接地導体に設けられた第1の開口と、
    両端で上記接地導体にそれぞれ接続され、上記第1の開口を複数の第2の開口に分割する複数のストリップ導体と、
    上記ストリップ導体のそれぞれに所定間隔で設けられた複数の帯域阻止フィルタとを備え、
    上記各帯域阻止フィルタは、上記所定周波数において1/4実効波長に相当する長さを有する開放スタブ導体であり、上記各帯域阻止フィルタに電流が流れることにより、上記各帯域阻止フィルタは、上記電磁波フィルタ装置を通過する上記所定周波数の電磁波に起因して上記所定周波数の電流が上記各ストリップ導体を流れることを阻止すことを特徴とする電磁波フィルタ装置。
  2. 上記各開放スタブ導体は、T字形状又はY字形状を有することを特徴とする請求項記載の電磁波フィルタ装置。
  3. 上記各開放スタブ導体は、上記ストリップ導体に接続された第1の導体部分と、上記第1の導体部分の先端から分岐した第2及び第3の導体部分とを備え、上記第2及び第3の導体部分は互いに等しい線幅及び長さを有することを特徴とする請求項記載の電磁波フィルタ装置。
  4. 上記各開放スタブ導体において、上記第2及び第3の導体部分は、上記第1の導体部分を含む所定の平面に対して鏡面対称に構成されることを特徴とする請求項記載の電磁波フィルタ装置。
  5. 上記開放スタブ導体のそれぞれは、上記開放スタブ導体が上記ストリップ導体に接続された位置において上記ストリップ導体の長手方向に直交する平面に対して鏡面対称に構成されることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の電磁波フィルタ装置。
  6. 上記ストリップ導体のそれぞれにおいて、上記複数の開放スタブ導体は、上記ストリップ導体の長手方向に沿って、互いに逆向きの第1の方向及び第2の方向に向かって交互に接続されることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の電磁波フィルタ装置。
  7. 上記複数のストリップ導体のうちの少なくとも一部は互いに平行に設けられ、
    上記平行なストリップ導体のうちの隣接する任意の2つのストリップ導体において、ストリップ導体間で近接した各一対の開放スタブ導体のうち、一方の開放スタブ導体は上記第1の方向に向かって接続され、他方の開放スタブ導体は上記第2の方向に向かって接続されることを特徴とする請求項記載の電磁波フィルタ装置。
  8. 上記各開放スタブ導体の導体部分のうちの少なくとも一部は、上記電磁波フィルタ装置を通過する電磁波の進行方向に平行に設けられることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載の電磁波フィルタ装置。
  9. 上記ストリップ導体のそれぞれにおいて、上記複数の帯域阻止フィルタは、Nを整数とするとき、上記所定周波数においてN/2波長に相当する長さとは異なる間隔で設けられることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の電磁波フィルタ装置。
  10. 上記複数のストリップ導体は、
    上記第1の開口を含む所定の面内において、第3の方向に平行に設けられた複数の第1のストリップ導体と、
    上記面内において、上記第3の方向に交差する第4の方向に平行に設けられた複数の第2のストリップ導体とを含むことを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載の電磁波フィルタ装置。
  11. 上記複数の第1のストリップ導体は両面プリント配線基板の第1の面に形成され、
    上記複数の第2のストリップ導体は上記両面プリント配線基板の第2の面に形成され、
    上記複数の第1のストリップ導体の少なくとも一部と、上記複数の第2のストリップ導体の少なくとも一部とは、ビア導体を介して互いに接続されることを特徴とする請求項10記載の電磁波フィルタ装置。
  12. 上記複数のストリップ導体及び上記複数の帯域阻止フィルタは、1つ以上の導体層を含むプリント配線基板において、上記導体層のうちの1つ以上にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか1つに記載の電磁波フィルタ装置。
  13. 請求項1〜12のうちのいずれか1つに記載の電磁波フィルタ装置を備えたことを特徴とするレドーム。
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