JP5518797B2 - 内燃機関の燃料供給装置の吸入弁 - Google Patents

Description

本発明は請求項１のおいて書き部に記載の内燃機関の燃料供給装置、特に船舶用ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料供給装置の吸入弁に関する。

特許文献１には、複数の気筒を備えたエンジン、すなわち重油で運転される船舶用ディーゼルエンジンが開示されており、当該エンジンでは、各気筒にコモンレール式燃料供給装置のインジェクタが配設されている。当該インジェクタを介して、エンジンの各気筒に燃料が噴射可能である。特許文献１に記載されたコモンレール式燃料供給装置は、燃料をコモンレール式燃料供給装置の低圧領域から当該燃料供給装置の高圧領域に運搬するために、複数の高圧ポンプを有するポンプ装置を含んでおり、当該ポンプ装置と前記インジェクタとの間の高圧領域には、恒常的に高圧下に置かれている蓄圧システムが設けられている。当該恒常的に高圧下に置かれている蓄圧システムはコモンレールとも称され、特許文献１によれば、一つまたは複数の蓄圧ユニットを有し、やはり恒常的に高圧下に置かれている高圧燃料導管を介して、ポンプ装置と接続されている。当該蓄圧システムはさらに、噴射のタイミングに応じて間欠的に高圧下に置かれる高圧燃料導管を介して、前記インジェクタに接続されている。特許文献１に記載のコモンレール式燃料供給装置においては、それぞれの高圧ポンプに吸入弁と送り出し弁が配設されており、個々の吸入弁を介して低圧領域から個々の高圧ポンプのポンプ室に燃料を吸い込み可能であり、送り出し弁を介して個々の高圧ポンプのポンプ室から蓄圧システムの方向に、燃料を搬送可能である。

実際に知られているコモンレール式燃料供給装置では、高圧ポンプに配設されている弁、すなわち、吸入弁と送り出し弁は、異なる軸に設けられて並置されている。当該並置は、従来知られている吸入弁の構造形式によって規定されており、部材コストに対して不利な影響を及ぼす。吸入弁と送り出し弁を並置することはまた、特に高圧の場合、気密性の問題を生じさせる。

独国特許出願公開第10 2004 060 003号明細書

上記の点に鑑み、本発明は内燃機関の燃料供給装置の新規な吸入弁を創出することを課題とする。当該課題は、請求項１に記載の吸入弁によって解決される。本発明によれば、弁体は、燃料供給装置の低圧領域から高圧ポンプのポンプ室に燃料が到達する吸入プロセスに対して、弁体の径方向外側部分と協働する複数の吸入穴を開放し、高圧ポンプのポンプ室から燃料供給装置の高圧領域に燃料が到達する送り出しプロセスに対して、前記吸入穴を封止する。

本発明に係る吸入弁の構造的な実施は、高圧ポンプに配設されている弁、すなわち、高圧ポンプに配設されている吸入弁と送り出し弁を、軸に沿って互いに同軸的に配置することを可能にする。これによって、コスト上の有利点が実現されるとともに、高圧の際の気密性の問題が回避され得る。

本発明の好適なさらなる構成は、従属請求項および以下の詳細な説明に記載されている。図面を参照しながら以下に本発明の実施の形態をより詳しく説明するが、本発明は当該実施の形態に限定されない。

コモンレール式燃料供給装置を、本発明の第一の実施の形態に係る吸入弁と、送り出し弁との領域において示す部分概略図である。 コモンレール式燃料供給装置を、本発明の第二の実施の形態に係る吸入弁と、送り出し弁との領域において示す部分概略図である。

本発明は内燃機関の燃料供給装置、特に船舶用ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料供給装置の吸入弁に関する。

コモンレール式燃料供給装置は低圧領域および高圧領域を有している。コモンレール式燃料供給装置の当該高圧領域は、少なくとも一つの高圧ポンプを有するポンプ装置と、少なくとも一つの畜圧ユニットを有する蓄圧システムとを含んでおり、ポンプ装置の単独または個々の高圧ポンプは、吸入弁を介して、燃料を低圧領域から高圧領域に吸引し、送り出し弁を介して蓄圧システムに供給する。燃料は蓄圧システムを起点として、インジェクタを介して気筒に噴射可能である。

図１は、コモンレール式燃料供給装置を、本発明に係る吸入弁１および当該吸入弁１に対して同軸的に設けられている送り出し弁２の領域において示している。当該吸入弁および送り出し弁はともに、燃料供給装置のポンプ装置の高圧ポンプ３に配設されている。高圧ポンプ３についてはポンプシリンダ４が示されており、当該ポンプシリンダは、高圧ポンプ３のポンプ室５を画定するとともに、本発明に係る吸入弁１を収容するための凹所６を有している。

吸入弁１は、燃料供給装置の低圧領域から高圧ポンプ３のポンプ室５に燃料を吸引するために用いられる。燃料供給装置の低圧領域に関して、図１では、低圧供給管７が示されている。

燃料供給装置の低圧領域から燃料を吸引する際、すなわち、吸入プロセスにおいて、吸入弁１の弁体８は、当該吸入弁１の弁座９から持ち上げられ、その後、吸入穴１０であって、当該吸入穴を介して低圧供給管７が高圧ポンプ３のポンプ室５と連通可能である、吸入穴を開放する。

弁体８が弁座９に押し付けられているとき、当該弁体は吸入穴１０を封止し、それによって燃料は、高圧ポンプ３のポンプ室５から送り出し弁２を介して、燃料供給装置の高圧領域の蓄圧システム１１の方向に搬送され得る。燃料は高圧ポンプ３のポンプ室５を起点として、送り出し弁２の方向に、送り出し穴１２を介して搬送され得る。高圧ポンプ３のポンプ室５から、送り出し弁２の方向に燃料を搬送する際、すなわち、送り出しプロセスの間、すでに述べた通り、吸入穴１０は、吸入弁１の弁体８によって閉鎖されている。

本発明に係る吸入弁１において、弁体８は複数の吸入穴１０と協働する。当該吸入穴は弁体８の径方向外側部分１３に配設されているか、もしくは、弁体８の当該径方向外側部分１３と協働する。吸入プロセスにおいて、弁体８の径方向外側部分１３は、吸入穴１０を開放する。それに対して送り出しプロセスでは、弁体８の径方向外側部分１３は、吸入穴１０を封止する。

送り出しプロセスの間、送り出し穴１２を介して、燃料は高圧ポンプ３のポンプ室５から、送り出し弁２の方向に搬送可能であり、当該送り出し穴１２は吸入穴１０のほぼ中央に配置されており、従って、弁体８の径方向中心に配置されている。

図１によれば、吸入穴１０および送り出し穴１２は、ほぼ同一平面に配置されているか、もしくは、ほぼ同一平面においてポンプシリンダ４の凹所６に出口を有している。当該凹所において、吸入弁１の弁体８は、軸方向に摺動可能に支承されている。

図１によれば、吸入弁１の弁体８は、中央にある軸方向凹所１４を有している。当該軸方向凹所は燃料が貫流可能であるとともに、当該軸方向凹所を介して、送り出しプロセスの際、高圧ポンプ３のポンプ室５は、送り出し弁２に通じる送り出し穴１２に連通可能となっている。

図１によればまた、吸入弁１の弁体８内に、径方向に延在する凹所１５が設けられている。当該凹所１５を介して、弁体８の中央にある軸方向凹所１４は、ポンプシリンダ４の凹所６であって、当該凹所において、吸入弁１の弁体８が軸方向に摺動可能に支承されている凹所６と連結されている。このような径方向凹所１５を介して、送り出しプロセスの際、燃料は凹所６に到達可能であり、それによって、弁体８を弁座９に押し付けるとともに、吸入穴１０の閉止を支援する。

吸入プロセスにおいて、弁体８が弁座９から、吸入穴１０を開放しながら持ち上げられると、燃料は、吸入穴１０と、弁体８の中央にある軸方向凹所１４とを介して、高圧ポンプ３のポンプ室５に到達する。

図１に示す実施の形態において、弁体８にはバネ部材１６が配設されている。当該バネ部材は、図１に示す実施の形態では、内部に設けられているバネ部材１６として形成されており、当該内部に設けられているバネ部材は、吸入弁１の弁体８の中央にある軸方向凹所１４内に配置されている。

送り出しプロセスの間、バネ部材１６は吸入弁１の弁体８を弁座９に押し付け、それによって、吸入穴１０を閉止し、すでに述べた通り、送り出しプロセスの際、吸入穴１０をこのように閉止することは、弁体８の径方向凹所１５を介して、ポンプシリンダ４の凹所６に流入する燃料によって、支援される。

吸入プロセスの間、吸入穴１０を開く、もしくは、開放するために、弁体８はバネ部材１６の弾性力に抗して弁座９から持ち上げられる。

図２は本発明に係る吸入弁の第二の実施の形態を示している。当該実施の形態において、弁体８に配設されているバネ部材１６は、外部に設けられているバネ部材として形成されており、当該バネ部材は、弁体８を径方向外側において囲繞し、従って中央にある軸方向凹所１４内に配置されているのではなく、高圧ポンプ３のポンプシリンダ４の凹所６内に配置されている。

図２の実施の形態と図１の実施の形態とのさらなる相違点は、図２の実施の形態において、吸入穴１０に接し、かつ、弁体８に隣接して、周縁溝１７が形成されていることである。当該溝１７によって、弁体８がねじれた際、吸入穴１０に接する座部の打ち抜き穴を介して、漏れが生じるのを回避することができる。それによって、弁体８のための抗捩れ固定部を用いなくても済む。

図１および２から分かる通り、本発明に係る吸入弁１の構成によって、高圧ポンプ３に配設されている吸入弁１と、高圧ポンプ３に配設されている送り出し弁２とを、一つの軸に沿って、すなわち互いに同軸的に配置することが可能となる。これによって部材コストを低減させることができ、さらに、高圧の際の気密性の問題を回避することができる。本発明のさらなる有利点は、複数の吸入穴１０が設けられていることにより、比較的大きな吸引断面が使用に供され、それによって、吸入弁１に対してリフトを小さくすることが可能となる。これにより、最終的にはこのような吸入弁１の磨耗を低減し、当該吸入弁の耐用年数を増大させることができる。

１ 吸入弁
２ 送り出し弁
３ 高圧ポンプ
４ ポンプシリンダ
５ ポンプ室
６ 凹所
７ 低圧供給管
８ 弁体
９ 弁座
１０ 吸入穴
１１ 蓄圧システム
１２ 送り出し穴
１３ 部分
１４ 凹所
１５ 凹所
１６ バネ部材
１７ 溝

Claims (10)

1. 船舶用ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料供給装置等の内燃機関の燃料供給装置の吸入弁であって、当該吸入弁を介して、燃料を、前記燃料供給装置の低圧領域から高圧ポンプのポンプ室に吸引可能であり、当該高圧ポンプを介して、燃料を、前記燃料供給装置の低圧領域から前記燃料供給装置の高圧領域に供給可能であり、前記吸入弁は弁座と協働する弁体を有している、吸入弁において、
   前記弁体（８）は、前記燃料供給装置の前記低圧領域から前記高圧ポンプの前記ポンプ室（５）に燃料が到達する吸入プロセスに対して、前記弁体（８）の径方向外側部分（１３）と協働する複数の吸入穴（１０）を開放し、前記弁体（８）は、前記高圧ポンプの前記ポンプ室（５）から前記燃料供給装置の前記高圧領域に燃料が到達する送り出しプロセスに対して、当該吸入穴（１０）を封止し、
   送り出し穴（１２）であって、当該送り出し穴を介して、送り出しプロセスに対して、前記高圧ポンプの前記ポンプ室（５）から前記燃料供給装置の前記高圧領域に燃料が到達する送り出し穴は、前記吸入穴（１０）のほぼ中央に配置されており、従って、前記弁体（８）のほぼ径方向中心に配置されていることを特徴とする吸入弁。
2. 前記送り出し穴（１２）および前記吸入穴（１０）は、同一平面において、かつ、前記高圧ポンプのポンプシリンダ（４）内の凹所（６）に出口を有しており、当該凹所において、前記弁体（８）は摺動可能に支承されていることを特徴とする請求項１に記載の吸入弁。
3. 前記弁体（８）は中央にある軸方向凹所（１４）を有しており、当該軸方向凹所を介して、前記高圧ポンプの前記ポンプ室（５）は、前記送り出し穴（１２）および前記吸入穴（１０）と連通可能であることを特徴とする請求項１または２に記載の吸入弁。
4. 前記弁体（８）は、少なくとも一つの径方向凹所（１５）を有しており、当該凹所を介して、前記高圧ポンプの前記ポンプ室（５）は、ポンプシリンダ（４）の凹所（６）と連通可能であり、当該凹所において、前記弁体（８）は摺動可能に支承されていることを特徴とする請求項１から３のいずれか一項に記載の吸入弁。
5. 前記単独または個々の径方向凹所（１５）は、前記中央にある軸方向凹所（１４）を起点として径方向に前記弁体（８）を介して延在することを特徴とする請求項４に記載の吸入弁。
6. 前記弁体（８）にバネ部材（１６）が配設されており、当該バネ部材は、前記吸入穴（１０）を閉止するために、前記弁体を前記弁座に押し付けることを特徴とする請求項１から５のいずれか一項に記載の吸入弁。
7. 前記バネ部材は、内部に設けられているバネ部材（１６）であり、当該バネ部材は、燃料が貫流し、かつ、前記弁体（８）の中央にある軸方向凹所（１４）内に配置されていることを特徴とする請求項６に記載の吸入弁。
8. 前記バネ部材（１６）は、外部に設けられているバネ部材（１６）であり、当該バネ部材は前記弁体（８）を外側において囲繞することを特徴とする請求項６に記載の吸入弁。
9. 前記吸入穴（１０）に接し、かつ、前記弁体（８）に隣接して、周縁溝（１７）が形成されていることを特徴とする請求項１から８のいずれか一項に記載の吸入弁。
10. 請求項１から９のいずれか一項に記載の吸入弁であって、当該吸入弁は送り出し弁に対して同軸的に配置されていることを特徴とする吸入弁。

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