JP5517820B2 - ロータリーベーン式舵取機のシーリング装置 - Google Patents

ロータリーベーン式舵取機のシーリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、船舶の舵取機の一形式であるロータリーベーン式舵取機に係り、そのシーリング装置に関する。
従来のロータリーベーン式舵取機は、例えば図5〜図7に示すように、ハウジング1と、その内部に収納されるローター2とを有している。ローター2は、下部軸部2aがハウジング1の底部に設けたボス部1aで支持され、上部軸部2bがハウジング1の上部開口に配置した環状のトップカバー3で支持されている。ボス部1aと下部軸部2aとの間にはラジアル軸受4aとスラスト軸受4bとを装入し、トップカバー3と上部軸部2bとの間にはラジアル軸受4cを装入しており、ローター2は、半径方向と軸方向とに荷重のかかった状態で、船体に固定されたハウジング1の内部で回動自在に保持されている。
ローター2は、舵軸(図示省略)を装入する内部貫通孔2cを有し、外周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のベーン2dを突設している。ハウジング1は、内周面の周方向に沿った等間隔の位置に、上記ベーン2dと同数のセグメント1bを突設している。
ローター2の各ベーン2dは、上端面に形成した上部横スリット2e内に、トップカバー3の下面に摺接する上部横シール2fを保持し、下端面に形成した下部横スリット2g内に、ハウジング1の内底面に摺接する下部横シール2hを保持し、半径方向の先端面に形成した縦スリット2i内に、ハウジング1の内周面に摺接する縦シール2jを保持している。また、ハウジング1のセグメント1bは、半径方向の先端面に形成した縦スリット1c内に、ローター2の外周面に摺接する縦シール1dを保持している。尚、上記各シール2f,2h,2j,1dはそれぞれ弾性材料によって形成されている。
ローター2は、ハウジング1内において、上部および下部横シール2f、2hがそれぞれトップカバー3の裏面およびハウジング1の内底面に摺接し、縦シール2iがハウジング1の内周面に摺接し、セグメント1bの縦シール1dがローター2の外周面に摺接する状態で回転し、これにより、ベーン2dとセグメント1bとの間には作動油室5a、5b、5c、5dが形成される。
トップカバー3は、ローター2の上部端面2kに対向する部位に形成した上部リングスリット3a内に、一体構造の環状の上部リングシール3bを保持している。また、ハウジング1は、ローター2の下部端面2lに対向する部位に形成した下部リングスリット1e内に、一体構造の環状の下部リングシール1fを保持している。上部および下部リングシール3b,1fはそれぞれ弾性材料より形成されており、上部リングシール3bのリングシール面3cがローター2の上部端面2kと接触し、下部リングシール1fのリングシール面1gがローター2の下部端面2lと接触して、それぞれシーリング作用を行っている。
上部および下部リングシール3b,1fによって、各作動油室5a〜5dの圧油が、ローター2の上部端面2kとトップカバー3との間の微小な間隙およびローター2の下部端面2lとハウジング1の内底面との間の微小な間隙を通って、隣接する作動油室5a〜5dおよび大気に通ずるローター軸部2a,2bへ漏洩(又は漏出)するのを防いでいる。
また、上部リングシール3bのリングシール外周縁部3dがベーン2dの上部横シール2fの内周側上端縁2nとセグメント1bの縦シール1dの内周側上端縁1hとにそれぞれ接触するとともに、下部リングシール1fの外周縁部1iがベーン2dの下部横シール2hの内周側下端縁2oとセグメント1bの縦シール1dの内周側下端縁1jとにそれぞれ接触し、これによって、ベーン2dの上部および下部横シール2f,2hの上下の各内周端縁部2n,2oとセグメント1bの縦シール1dの上下の各内周端縁部1h、1jを通って作動油が高圧側の作動油室(5a,5c又は5b,5d)から隣接する低圧側の作動油室(5b,5d又は5a,5c)に漏洩するのを防いでいる。
尚、ローター2には、上部リングシール3bの位置よりも内側の上部端面2kと下部リングシール1fの位置よりも内側の下部端面2lとを連通するバランス孔2mが設けられている。もし万一、上部および下部リングシール3b、1fから圧油が漏洩した場合、この漏洩油によってローター2の上部端面2kと下部端面2lとに作用する圧力がバランス孔2mを介して上下方向にバランスするようになっている。これにより、軸方向の差圧による不均等な力がローター2に発生するのを防いでいる。
ローター2の回転軸心に対して対極の位置にある作動油室5a,5c同士、および作動油室5b,5d同士はそれぞれ連通しており、例えば、作動油室5aに油圧ポンプから圧油が供給されると、対極の位置にある作動油室5cにも同時に圧油が供給される一方、残りの作動油室5b,5dからは同時に油が排出されて油圧ポンプ側に戻される。
これにより、圧油によるローター2の回転が成立する。
各作動油室5a〜5dの油密を確保するために、ベーン2dの上部および下部横シール2f,2hと縦シール2jとセグメント1bの縦シール1dと上部および下部のリングシール3b,1fとは、接触摺動するシール面の反対側の各背面にそれぞれ、高圧側となっている作動油室(5a,5c又は5b,5d)から導いた圧油をかけて、シール面を相手面に押し付けている。
すなわち、図8は横シール2f,2hと縦シール1d,2jとの断面形状を示し、図9はリングシール3b、1fの断面形状を示す。図8,図9に示すように、上記各シール1d,1f,2f,2h,2j,3bは、いずれも接触摺動する各シール面1g,1k,2p,2q,2r,3cの反対側の背面1m,1n,2s,2t,2u,3eに作動油室5a〜5dから導いた圧油を作用させることによって、各シール面1g,1k,2p,2q,2r,3cを相手側の摺動面に押し付けてシーリング性を与えるものである。
また、上記各シール1d,1f,2f,2h,2j,3bはそれぞれ背面1m,1n,2s,2t,2u,3e側にスカート部1o,1p,2v,2w,2x,3fを有している。そして、上記圧油は、同時に、各々のスカート部1o,1p,2v,2w,2x,3fにも作用して、スカート部1o,1p,2v,2w,2x,3fを各々のスリット1c,1e,2e,2g,2i,3aの両側面に押し付ける。これにより、圧油が各スリット1c,1e,2e,2g,2i,3aと各シール1d,1f,2f,2h,2j,3bとの間の間隙を通って低圧側に漏洩するのを防いでいる。
また、上記ベーン2dの上部および下部横シール2f,2hと縦シール2jとの連接部は図10〜図13に示すような構成になっている。尚、各図10〜図13は上部横シール2fと縦シール2jの上側との連接部を示したものであり、下部横シール2hと縦シール2jの下側との連接部はこれと対称に構成されている。横シール2fは、縦シール2jとの連接部において、スカート部2vが欠けており、この欠けた部分に縦シール2jの上端部がはめ込まれる。これにより、上部および下部横シール2f,2hと縦シール2jとをそれぞれスリット2e,2g,2i内に装着した状態において、上部および下部横シール2f,2hの背面2s,2tの空間と縦シール2jの背面2uの空間とが連通し、縦シール2jの背面2uに導かれた作動油が上部および下部横シール2f、2hの背面2s,2tにも作用するようになっている。
而して、上部および下部横シール2f、2hと縦シール2jとのそれぞれの端面と相手面との間を通って高圧作動油が低圧側に漏洩するのを防ぐために、これら各シール2f,2h,2jをそれぞれのスリット2e,2g,2i内に装着するに際して、各シール2f,2h,2jに若干の長手方向の弾性圧縮を与えるようになっており、この弾性圧縮の反発力により、各シール2f,2h,2jの各端面に接触面圧を生じさせるようになっている。さらに、上部および下部横シール2f,2hのスカート部2v,2wの端面と縦シール2jのスカート部2xとの間のそれぞれの接触面を通っての高圧作動油の漏洩を防ぐために、これらの接触面にも各スリット2e,2g,2i内への装着の際に、弾性圧縮による接触面圧を生じさせるようになっている。
また、シール面2r,1kの直線長さが一般に長くなるベーン2dの縦シール2jおよびセグメント1bの縦シール1dについては、作動油室5a〜5dからそれぞれの背面2u,1mに導かれる作動油の圧力が低いか或いはゼロであっても、各シール面2r,1kにシール面圧が与えられるように、図11,図14に示すようにベーン2dの縦シール2jの背面2uと縦スリット2iとの間の空間、および、図15,図16に示すようにセグメント1bの縦シール1dの背面1mと縦スリット1cとの間の空間には、それぞれ下記のような役割をする波板ばね7が自由状態で介在されている。
すなわち、舵を中立状態にして船が直進航行している間、実際には外乱により船の針路がずれるのを矯正するために絶えず舵を小舵角にて作動させているが、この時は発生する油圧が低く、従って、上記縦シール2j,1dの背面2u,1mを押す十分な力を与えられない。上記波板ばね7は、十分な油圧が発生していなくてもシール面2r,1kに必要最小限の面圧を与えるためのものである。
尚、上記縦シール2jの背面2uと縦スリット2iとの間の空間および縦シール1dの背面1mと縦スリット1cとの間の空間はそれぞれ非常に狭いため、これら狭い空間に挿入可能で且つ十分なばね力(押圧力)を縦シール1d,2jに与えるためには、ばね定数の大きな波板ばね7を用いる必要があった。
また、上記従来の上部および下部リングシール1f、3bの構造では、図9に示すように、外周縁部1i,3dに作用する油圧によってリングシール1f,3bが半径方向に押されてリングシール1f,3bの外周側面とスリット1e,3aとの間に漏洩を許すような間隙が生じることに対する積極的な対抗手段を講じていないため、高圧側となる作動油室(5a,5c又は5b,5d)から導いた作動油をリングシール1f,3bの背面1n,3eにのみ作用させる代わりに、先ず内周側面に導いて、それをさらに背面1n,3eにも導くようにして、シール面1g,3cにおけるシーリングとともに外周面におけるシーリングも併せて行わせるようにしたものが公開されている(例えば下記特許文献1参照)。
これら、圧油を作動油室5a〜5dから各シール1d,1f,2f,2h,2j,3bの背面1m,1n,2s,2t,2u,3eに導く手段は次のようなものである。
先ず、各ベーン2dの縦シール2jと上部および下部横シール2f,2hの各背面2s,2t,2uに高圧側となる作動油室(5a,5c又は5b,5d)から圧油を導く手段としては、ベーン2dが回転体であるがゆえに、図14に示すように、各ベーン2dに、隣接する両作動油室5a,5d同士および隣接する両作動油室5b,5c同士をそれぞれ連通する油室連通孔2yを設け、それぞれの油室連通孔2yに圧力バルブ6を装着し、そして、ベーン2dには、圧力バルブ6の出口孔6cから縦シール2jの背面2uに通じる作用孔2zを設けるとともに、上部および下部横シール2f,2hの各背面2s,2tがそれぞれ縦シール2jとの連接部を通じて縦シール2jの背面2uに連通している。従って、縦シール2jの背面2uに作用する油圧は同時に上部および下部横シール2f、2hの各背面2s,2tにも作用する。
上記圧力バルブ6は、図14に示すように、バルブ本体6aの両入口6bにそれぞれ弁座6dを螺合し、二つの弁座6dの間に二個のボール弁体6eを遊動せしめ、両ボール弁体6eの間にスプリング6fを介在せしめ、ボール弁体6eが弁座6dから開いた状態で圧力バルブ入口6bに通じるように出口孔6cを設け、バルブ本体6aの一端の外径部にねじ部6gを切り、他端の外径部にOリング6hを設けるように構成されている。上記油室連通孔2yの一端部にタップをたてて、これに上記バルブ本体6aのねじ部6gを螺合することにより、圧力バルブ6を油室連通孔2y内に装着している。
これにより、例えば作動油室5aが高圧側、作動油室5dが低圧側となった場合、高圧側の作動油室5aの油圧が圧力バルブ6の一方のボール弁体6eを開くとともに、他方のボール弁体6eを弁座6dに押し付けて逆止作用を行うことにより、高圧側の作動油室5aが低圧側の作動油室5dに連通するのを防ぎ、そして、高圧側の圧油が作用孔2zを通って縦シール2jの背面2uに作用する。逆に作動油室5dが高圧側、作動油室5aが低圧側となった場合は、逆の動作により、作動油室5dの圧油が縦シール2jの背面2uに作用する。
次に、セグメント1bの縦シール1dについては、背面1mに油圧をかける代わりに、作動油室5a〜5dの高圧油を直接シーリングリップ部に導いてシーリング作用を行わせるようにしたものが公開されている(例えば下記特許文献1参照)。この場合、高圧側となる作動油室から圧力油をセグメント1bの縦シール1dの背面1mに導く手段を講じる必要はない。
しかしながら上記セグメント1bの縦シール1dがベーン2dの縦シール2jと同じ構造である場合は、図15に示すように、高圧側となる作動油室(5a〜5dのいずれか)から上記縦シール1dの背面1mに圧油を導いている。すなわち、上記ローター2のベーン2dの場合と同様に、セグメント1bに、隣接する両作動油室5a,5bおよび隣接する両作動油室5c,5dをそれぞれ連通する油室連通孔を設け、油室連通孔内に圧力バルブ6を装備する。
次に、図5および図16に示すように、上部および下部リングシール3b,1fについては、セグメント1bの縦シール1dの背面1mの上端部から上部リングシール3bの背面3eに通じる油路3gがトップカバー3に穿孔され、また、上記縦シール1dの背面1mの下端部から下部リングシール1fの背面1nに通じる油路1qがハウジング1の底部に穿孔されており、これによって、高圧側となる作動油室5a〜5dからの圧油を上部および下部リングシール3b,1fの各背面3e,1nに作用させている。
尚、下記特許文献1においては、請求項3,4および請求項6,7の場合、セグメントの縦シールには高圧側となる作動油室からの圧油を導入しないため、上部および下部リングシールに高圧側となる作動油室からの圧油を導入する手段として、例えば、同請求項5において、ベーンに設けた圧力バルブの出口を、ローターを上下に貫通するバランス孔に接続し、バランス孔の上下の開口をそれぞれ上部および下部リングシールの内周側面に通じるようにしている。
上記のように構成されたロータリーベーン式舵取機の作動油室5a〜5dに作動油を与えるために、図17又は図18に示すいずれかの油圧回路が設けられている。
図17に示す油圧回路は制御油圧ポンプ9gを設ける場合である。また、図18に示す油圧回路は制御油圧ポンプ9gを設けない場合である。図17又は図18に示すように、油圧回路には、主要構成要素として、一方向一定吐出量の油圧ポンプ9aと、方向切換弁9bと、方向切換弁9bを制御する電磁パイロット弁9cと、パイロット逆止弁9dと、流量調整弁9eと、油タンク9fとが備えられている。
方向切換弁9bは、油圧ポンプ9aからの吐出油の供給先を作動油室5a,5cと作動油室5b,5dとのいずれかに切り換える通路切換を行うとともに、作動油室5a〜5dに作動油を供給しない場合、中立位置に切り換えられて油圧ポンプ9aからの吐出油をそのまま油タンク9fに戻す機能を有している。また、上記パイロット逆止弁9dは、油圧ポンプ9aから作動油室5a,5cあるいは作動油室5b,5dへの作動油の供給を行わない時、作動油を各作動油室5a〜5d内に閉じ込めて、舵を固定するものである。また、上記流量調整弁9eは、パイロット逆止弁9dの作動が衝撃的にならないように流量を調整するものである。
図17に示した油圧回路を用いた場合では、方向切換弁9bを作動させるために必要な制御油圧は、油圧ポンプ9aに同軸に設けた制御油圧ポンプ9gから制御油圧ライン9iを通って供給される。
また、図18に示した油圧回路を用いた場合では、方向切換弁9bを作動させるために必要な制御油圧は、油圧ポンプ9aの吐出油圧を方向切換弁9bの制御油圧として利用している。この場合、舵取機が無負荷あるいは低負荷の状態、或いは、方向切換弁9bが中立位置にあって、油圧ポンプ9aの吐出油が油タンク9fにそのまま戻されている状態であっても、油圧ポンプ9aの吐出油圧が所定の値以上に保たれるように、方向切換弁9bから油タンク9fへの戻り油ライン9Lに圧力調整弁9hを設け、圧力調整弁9hの入口における油圧ラインを、圧力調整弁9hによって一定圧力に規定される規定油圧ライン9jとし、この規定油圧ライン9jからシーリング油圧ライン9kを分岐させている。
また、舵に異常に大きい衝撃荷重が作用した時、その衝撃荷重が舵取機に損傷を与えることを防止するために、図17〜図19に示すように、トップカバー3に、作動油室5a,5cに連通する一方の油路3hと、作動油室5b,5dに連通する他方の油路3iとが貫通して設けられている。トップカバー3の上面には、上記油路3h,3iにそれぞれ連通する流出入孔8a,8bを有する防衝弁ブロック8が取り付けられている。
防衝弁ブロック8には、一方の流出入孔8aを流入側として他方の流出入孔8bに流出させる一方の防衝弁8cと、他方の流出入孔8bを流入側として一方の流出入孔8aに流出させる他方の防衝弁8dとが内装されている。
舵に異常に大きい衝撃荷重が作用して、例えば作動油室5a,5cの側の油圧が異常に上昇した場合、油路3hおよび流出入口8aを通って一方の防衝弁8cが作動し、作動油室5a,5c内の油が流出入孔8bおよび油路3iを通って作動油室5b,5dの側に逃げ、衝撃荷重が緩和される。逆に、作動油室5b,5dの側に異常な油圧が発生した場合、同様にして他方の防衝弁8dが開いて、作動油室5b,5d内の油が作動油室5a,5cの側へ逃げる。
なお、シールのシーリング油システムには、上記とは別の手段を用いるものとして特許文献2が知られている。特許文献2では、ローターベーン2dおよびハウジングセグメント1bにそれぞれ油室連通孔2yを設け、満室連通孔2yにそれぞれ圧力バルブ6を設けて、高圧側となった作動油室からの作動油を各シールの背面に導くという手段によるのでなく、各作動油室5a、5b、5c、5dに連通する防衝弁8c、8dのそれぞれの入口ラインから高圧側となった作動油をシーリング用油圧として抽出し、それを各シールの背面に導くというものである。
また、舵取機の負荷が小さくて作動油室5a、5b、5c、5dの作動油に油圧が発生しないときにも各シールのシール面に必要な最低限の押圧力を与えるために、ローターベーン2dの縦シール2jおよびハウジングセグメント1bの縦シール1dのそれぞれの背面に波板ばね7を設けるという手段によるのでなく、制御油圧ポンプ9gを設ける場合は、制御油圧ライン9iからの油圧を、あるいは、制御油圧ポンプを設けない場合は、主油圧ラインから制御用油圧を得るための規定油圧ライン9jからの油圧を上記の防衝弁8c、8dのそれぞれの入口ラインから抽出したシーリング用油圧のラインに接続することにより、波板ばね7を無用にするというものである。
この場合、防衝弁8c、8dのそれぞれの入口ラインからシーリング用油圧を抽出し、それをローターベーン2dの縦シール2j、ハウジングセグメント1bの縦シール1d、上部リングシール3d、下部リングシールf1のそれぞれの背面2u、1m、3e、1nに導く手段は次のようなものである。
トップカバー3の上面に防衝弁ブロック10が設けられ、図19〜図21に示すように、この防衝弁ブロック10には一方の流出入孔10aと他方の流出入孔10bとが形成され、一方の流出入孔10aはトップカバー3に形成された一方の油路3hに連通しており、他方の流出入孔10bはトップカバー3に形成された他方の油路3iに連通している。尚、上記一方の油路3hは第1グループの作動油室5a,5cに連通し、他方の油路3iは第2グループの作動油室5b,5dに連通している。
また、防衝弁ブロック10内には防衝弁8c,8dが装着されており、上記一方の流出入孔10aは一方の防衝弁8cの流入側および他方の防衝弁8dの流出側に連通し、他方の流出入孔10bは他方の防衝弁8dの流入側および一方の防衝弁8cの流出側に連通する。
これにより、舵に異常に大きい衝撃荷重が作用して、例えば作動油室5a,5cに異常に高い油圧が発生すれば、その油圧は、作動油室5a,5cから一方の油路3hと一方の流出入孔10aとを通って一方の防衝弁8cを作動せしめ、一方の防衝弁8cから他方の流出入孔10bへ流出し、他方の油路3iを通って、低圧側である作動油室5b,5dに逃げる。これにより、舵取機にかかる衝撃荷重が緩和される。逆に、作動油室5b,5dの側に異常に高い油圧が発生すれば、その油圧は、作動油室5b,5dから他方の油路3iと他方の流出入孔10bとを通って他方の防衝弁8dを作動せしめ、他方の防衝弁8dから一方の流出入孔10aへ流出し、一方の油路3hを通って、低圧側である作動油室5a,5cに逃げる。これにより、舵取機にかかる衝撃荷重が緩和される。
また、上記防衝弁ブロック10の一方の流出入孔10aに一方の分岐油路10cを設け、この分岐油路10cの終端部から立上油路10eを設けて、その端部に一方の逆止弁10gの入口を接続している。また、他方の流出入孔10bに他方の分岐油路10dを設け、この分岐油路10dの終端部から立上油路10fを設けて、その端部に他方の逆止弁10hの入口を接続している。また、防衝弁ブロック10内において、一方の逆止弁10gの出口と他方の逆止弁10hの出口とを連通油路10iで連通し、さらに、上記連通油路10iと防衝弁ブロック10の下面に形成された圧油抽出口10kとをブロック側給油通路10jで連通している。
図21,図22に示すように、ローター2の上部端面2kに円環状の上部リング溝11aを設け、この上部リング溝11aと防衝弁ブロック10の圧油抽出口10kとを連通するように、トップカバー3にカバー側給油通路12aを穿孔する。これにより、上記連通油路10iと上部リング溝11aとはブロック側およびカバー側給油通路10j,12aと圧油抽出口10kとを介して連通している。また、上記上部リング溝11aは、ローター2のバランス孔2mの上端部に連通するとともに、トップカバー3に設けられた上部リングスリット3aの内周側端縁部にも連通する。
また、図23に示すように、ローター2の下部端面21に円環状の下部リング溝11cを設け、この下部リング溝11cは、ローター2のバランス孔2mの下端部に連通するとともに、ハウジング1の内底面に設けられた下部リングスリット1eの内周側端縁部にも連通する。
また、図24に示すように、ローター2の本体とベーン2dとを貫通してシーリング油孔11bが形成されている。上記シーリング油孔11bの上端開口は上記上部リング溝11aに連通し、他端開口はベーン2dの縦スリット2iの底面に連通している。
さらに、図20〜図21に示すように、上記防衝弁ブロック10には、シーリング油導入手段が設けられている。
上記シーリング油導入手段は、シーリング油流入口13aとシーリング油逆止弁13bとシーリング油路13cとシーリング油連通油路13dとで構成されている。すなわち、上記シーリング油流入口13aは防衝弁ブロック10の一方の側面に設けられ、シーリング油逆止弁13bは防衝弁ブロック10の他方の側面に設けられている。上記シーリング油路13cはシーリング油流入口13aからシーリング油逆止弁13bの入口(流入)側に至るように設けられている。上記シーリング油連通油路13dはシーリング油逆止弁13bの出口(流出)側と上記連通油路10iの他端部とに連通して設けられている。
上記のように、上部リング溝11aに導かれたシーリング油は、図22に示すように、トップカバー3に設けられた上部リングスリット3aの内周側端縁部にも連通し、そして、上部リングシール3bの内周側側面を通って上部リングシール3bの背面3eに作用する。
上部リングシール3bの背面3eに導かれたシーリング油は、さらに、トップカバー3に設けられた油孔3jを通って、ハウジングセグメント1bの縦シール1dの背面1mに作用する。
さらに、図22〜図23に示すように、上部リング溝llaからローター2のバランス孔2mを通って下部リング溝llcに導かれたシーリング油は、ハウジング1に設けられた下部リングスリット1eの内周側端縁部にも連通し、そして、下部リングシール1fの内周側側面を通って下部リングシール1fの背面1nに作用する。
特開2003−161371 特開2008−037187
上記の従来形式では、ベーン2dは運動体であるために、高圧側となる作動油室(5a,5c又は5b,5d)から圧油をベーン2dの各シール2f,2h,2jの各背面2s,2t,2uに導く手段として、図14に示すように圧力バルブ6を用いざるを得なかった。しかし、高圧の作動油がボール弁体6eを弁座6dに押し付けて逆止作用を行わせる際、その作用が圧力バルブ6のバルブ本体6aに衝撃を与え、それが繰り返されることによって、圧力バルブ6を油室連通孔2y内に螺合しているねじ部6gに緩みが生じ、遂には圧力バルブ6が油室連通孔2yから作動油室5a〜5d内に脱落して、舵取機が作動不能に陥るという問題があった。また、上記圧力バルブ6の脱落が作動油室5a〜5d内であるため、舵取機を分解して開放してみないと脱落を確認できないという問題があった。
さらに、圧力バルブ6の出口孔6c、作用孔2zとローターベーン2dの縦シール2jの背面2uとの間の空間は、両ボール弁体6eの逆止作用および縦シール2jのスカート部2xのシーリング作用により閉ざされた、小容積の空間であることから、作動油壷5a、5b、5c、5dの高圧となった作動油室(特に、衝撃荷重により高圧となった作動油)が、この閉ざされた空間に蓄圧され、従って、縦シール2jのシール面2rには、シール面2rにとっては苛酷な高い面圧が常時加わることになり易い。このため、シール面2rにおいて、潤滑油膜の形成が妨げられ、摩擦が増大し、摩耗が促進され易いという問題があった。
また、高圧側となる作動油室(5a,5c又は5b,5d)から圧油を各シール1d,1f,2f,2h,2j,3bの各背面1m,1n,2s,2u,3eに導入することによって、各シール面1g,1k,2p,2q,2r,3cを相手側の面に押し付けてシーリング性を与えているが、舵取機が無負荷あるいは低負荷である場合、作動油室(5a,5c又は5b,5d)に十分な油圧が発生していないため、各シール面1g,1k,2p,2q,2r,3cに発生する押付力が不足し、十分なシーリング性が得られず、作動油室5a〜5d内の作動油が漏洩し易くなるといった問題がある。従って、舵が命令された所定の角度位置を保つことができず、いわゆるクリーピング現象を生じて舵が流れることになる。すると、追従装置により舵取機は舵が流れた分を修正するように作動する。このようにして、舵を所定の位置に保つために、舵取機は絶えず修正作動を繰り返さねばならず、これは、作動の面からも、磨耗の面からも好ましくなかった。
尚、この問題を軽減するために、シーリングの直線長さが長くて影響を受ける度合いが大きいベーン2dの縦シール2jとセグメント1bの縦シール1dに対して、各縦シール2j,1dの各背面1m,2uとスリット1c,2iとの間の空間にそれぞれ波板ばね7を装入して、作動油室5a〜5dに十分な油圧が発生していなくても、上記波板ばね7の反発力によって各シール面1k,2rに初期面圧を与えられるようにしている。
しかしながら、各縦シール1d,2jのシール面1k,2rが磨耗した場合、各縦シール2j,1dの各背面1m,2uとスリット1c,2iとの間の間隔が増大し、波板ばね7のばね力(押圧力)が低下する。特に、波板ばね7にはばね定数の大きいものを用いているため、上記間隔の増大に対する波板ばね7のばね力の低下の度合が大きい。したがって、各縦シール1d,2jのシール面1k,2rの磨耗の進行とともに波板ばね7のばね力が急激に低下し、シール面1k,2rを相手面に押し付ける押圧力が不足し、作動油室(5a,5c又は5b,5d)に十分な油圧が発生していない時の、波板ばね7による各縦シール1d,2jのシーリング効果が小さくなってしまうという問題がある。これにより、作動油室間の作動油の漏洩量が多くなり、舵取機は舵角の修正作動を頻繁に繰り返さなければならなくなる。
また、各縦シール2j,1dの各背面1m,2uとスリット1c,2iとの間の空間にそれぞれ波板ばね7を挿入した際、波板ばね7を上記空間内で固定することは困難であり、波板ばね7は、自由状態で装着され、ばね力によって位置を保持している。したがって、各縦シール1d,2jのシール面1k,2rが磨耗した場合、ばね力による位置保持が弱まり、波板ばね7の位置が変動して各シール面1k,2rの接触が不均等になり、シーリング性能のばらつきや各シール面1k,2rの偏磨耗をもたらすといった問題があった。
また、ベーン2dの縦シール2jと上部および下部横シール2f,2h、セグメント1bの縦シール1d、および上下部リングシール3b,1fはそれぞれ、樹脂ゴム材料で作られているため、作動油中に含まれている添加剤により化学的に組成変化を起こして脆化し、破損する場合がある。この場合、上記各シール1d,1f,2f,2h,2j,3bが破損したことを外部から迅速且つ確実に察知することは困難であるといった問題があった。
また、特許文献2においては、舵取機の負荷が小さく作動油室5a、5b、5c、5dの作動油に油圧が発生しないときにも各シールのシール面に必要な最低限の押圧力を与えるために、各シールの背面に導かれる油圧は制御用油圧と同じ大きさの油圧になる。
従来、波板ばね7により与えられていたシール面の必要最低限の押圧力は、一般に1〜2kg/cmであるのに対して、制御用に必要な油圧は一般に5〜10kg/cmである。
従って、シール面には、必要とされる押圧力を大きく超える押圧力が常時作用することになる。このことは、シール面における潤滑油膜の形成を妨げ、シール面の摩擦を増大させ、シール面の摩耗を促進させ易いという問題があった。
本発明は、シールのシーリング用油圧を作動油室から抽出する圧力バルブ、および、シール面に必要最低限の押圧力を与えるシール背面の波板ばねの設置を不要にしながら、シーリング用油圧を抽出する作動油室に油圧が存在しない場合でも、あるいは、負圧になった場合でも、また更に、シール面が磨耗した場合であっても、常時、シール面に必要最低限以上にはならない一定の押圧力を与えて安定したシーリング効果を維持することができ、また、シールが破損した場合、シールの破損を外部から迅速且つ確実に察知することも可能なロータリーベーン式舵取機のシーリング装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のロータリーベーン式舵取機のシーリング装置は、舵軸に嵌合装着するローターと、ローターを収納してローターの周囲に油室用空間を形成するハウジングと、ハウジングの上部開口に配置する環状のトップカバーとを有し、ローターの外周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のベーンを配置し、ハウジングの内周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のセグメントを配置し、ベーンとセグメントによって上記油室用空間を複数の作動油室に区画し、上記複数の作動油室は、供給された圧油によってローターを左右一方向へ回転させる第1グループの作動油室と左右他方向へ回転させる第2グループの作動油室との2つのグループから成り、ローターの各ベーンに、トップカバーの裏面およびハウジングの内周面と内底面にそれぞれ対向するように、その半径方向先端面と上下両端面とに縦および横スリットを形成し、縦スリットに、ハウジングの内周面に摺接する縦シールを挿入し、上部横スリットに、トップカバーの裏面に摺接する上部横シールを挿入し、下部横スリットに、ハウジングの内底面に摺接する下部横シールを挿入し、上記各シールを弾性材料で形成し、縦シールの背面を上部および下部横シールの背面に連通し、摺動面に接触面圧を与えるように縦シールの背面に圧油を作用させ、第1グループの作動油室に連通する一方の流出入孔と、第2グループの作動油室に連通する他方の流出入孔と、衝撃負荷時に、一方の流出入孔から流入した圧油を他方の流出入孔へ流出する一方の防衝弁と、他方の流出入孔から流入した圧油を一方の流出入孔へ流出する他方の防衝弁とを備えた防衝弁ブロックが配置されたロータリーベーン式舵取機であって、
トップカバーは、ローターの上部端面に対向する部位に形成された上部リングスリット内に、環状の上部リングシールを保持し、ハウジングは、ローターの下部端面に対向する部位に形成された下部リングスリット内に、環状の下部リングシールを保持し、ローターに、上部リングシールよりも径方向内側の上部端面と下部リングシールよりも径方向内側の下部端面とに連通するバランス孔が形成され、上記一方の流出入孔から分岐した一方の分岐油路に一方の逆止弁の入口が接続され、他方の流出入孔から分岐した他方の分岐油路に他方の逆止弁の入口が接続され、両逆止弁の出口を連通する連通油路が防衝弁ブロックに設けられ、上記防衝弁ブロックの連通油路とローターの上部端面に設けた円環状の上部リング溝とを連通する給油通路が防衝弁ブロックとトップカバーとにわたり設けられ、上部リング溝とベーンの縦スリットの底面とを連通するシーリング油孔がローターからベーンを通って設けられ、上記上部リング溝は、上記上部リングシールの内周側面と背面とに連通するとともに、上記バランス孔を介して、上記下部リングシールの内周側面と背面とに連通し、作動油室に作動油を供給する油圧回路に、油圧ポンプから吐出された作動油の供給先を第1グループの作動油室と第2グループの作動油室とのいずれかに切り換える方向切換弁と、この方向切換弁の切り換えを制御する制御油圧を制御油圧ラインから方向切換弁の電磁パイロット弁へ供給する制御油圧ポンプとが設けられ、上記防衝弁ブロックに、シーリング油流入口と、シーリング油逆止弁と、シーリング油流入口とシーリング油逆止弁の入口側とに連通するシーリング油路と、シーリング油逆止弁の出口側と連通油路とに連通するシーリング油連通油路とが設けられたロータリーベーン式舵取機において、
制御油圧ポンプの吐出口から方向切換弁を制御する電磁パイロット弁に至る制御油圧ラインに分岐ラインを設け、分岐ラインに制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁とを直列に設け、シーリング油スピル弁の出口ラインをタンク戻り油ラインに接続し、制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁との間の中間ラインからシーリング油圧ラインを分岐し、シーリング油圧ラインを防衝弁ブロックのシーリング油流入口に接続したことを特徴とする。
また、本発明のロータリーベーン式舵取機のシーリング装置において、制御油圧ポンプの吐出口から方向切換弁を制御する電磁パイロット弁に至る制御油圧ラインに分岐ラインを設け、分岐ラインに第1制御油圧調整弁と第2制御油圧調整弁とを並列して設け、第1制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁とを直列に設け、シーリング油スピル弁の出口ラインをタンク戻り油ラインに接続し、第1制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁との間の中間ラインからシーリング油圧ラインを分岐し、第2制御油圧調整弁の出口ラインをタンク戻り油ラインに接続し、シーリング油圧の喪失を検知することによって第1制御油圧調整弁を第2制御油圧調整弁に切換えるようにした切換弁を第1制御油圧調整弁と第2制御油圧調整弁との入口側に設けたことを特徴とする。
さらに、本発明のロータリーベーン式舵取機のシーリング装置は、舵軸に嵌合装着するローターと、ローターを収納してローターの周囲に油室用空間を形成するハウジングと、ハウジングの上部開口に配置する環状のトップカバーとを有し、ローターの外周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のベーンを配置し、ハウジングの内周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のセグメントを配置し、ベーンとセグメントによって上記油室用空間を複数の作動油室に区画し、上記複数の作動油室は、供給された圧油によってローターを左右一方向へ回転させる第1グループの作動油室と左右他方向へ回転させる第2グループの作動油室との2つのグループから成り、ローターの各ベーンに、トップカバーの裏面およびハウジングの内周面と内底面にそれぞれ対向するように、その半径方向先端面と上下両端面とに縦および横スリットを形成し、縦スリットに、ハウジングの内周面に摺接する縦シールを挿入し、上部横スリットに、トップカバーの裏面に摺接する上部横シールを挿入し、下部横スリットに、ハウジングの内底面に摺接する下部横シールを挿入し、上記各シールを弾性材料で形成し、縦シールの背面を上部および下部横シールの背面に連通し、摺動面に接触面圧を与えるように縦シールの背面に圧油を作用させ、第1グループの作動油室に連通する一方の流出入孔と、第2グループの作動油室に連通する他方の流出入孔と、衝撃負荷時に一方の流出入孔から流入した圧油を他方の流出入孔へ流出する一方の防衝弁と、他方の流出入孔から流入した圧油を一方の流出入孔へ流出する他方の防衝弁とを備えた防衝弁ブロックが配置されたロータリーベーン式舵取機であって、
トップカバーは、ローターの上部端面に対向する部位に形成された上部リングスリット内に、環状の上部リングシールを保持し、ハウジングは、ローターの下部端面に対向する部位に形成された下部リングスリット内に、環状の下部リングシールを保持し、ローターに、上部リングシールよりも径方向内側の上部端面と下部リングシールよりも径方向内側の下部端面とに連通するバランス孔が形成され、上記一方の流出入孔から分岐した一方の分岐油路に一方の逆止弁の入口が接続され、他方の流出入孔から分岐した他方の分岐油路に他方の逆止弁の入口が接続され、両逆止弁の出口を連通する連通油路が防衝弁ブロックに設けられ、上記防衝弁ブロックの連通油路とローターの上部端面に設けた円環状の上部リング溝とを連通する給油通路が防衝弁ブロックとトップカバーとにわたり設けられ、上部リング溝とベーンの縦スリットの底面とを連通するシーリング油孔がローターからベーンを通って設けられ、上記上部リング溝は、上記上部リングシールの内周側面と背面とに連通するとともに、上記バランス孔を介して、上記下部リングシールの内周側面と背面とに連通し、作動油室に作動油を供給する油圧回路に、油圧ポンプから吐出された作動油の供給先を第1グループの作動油室と第2グループの作動油室とのいずれかに切り換える方向切換弁と、この方向切換弁から油タンクへの戻り油ラインとが設けられ、上記方向切換弁の切り換えを制御する制御油圧を上記油圧ポンプの吐出口側から方向切換弁の電磁パイロット弁へ供給するように構成し、上記戻り油ラインに圧力調整弁を設け、上記防衝弁ブロックに、シーリング油流入口と、シーリング油逆止弁と、シーリング油流入口とシーリング油逆止弁の入口側とに連通するシーリング油路と、シーリング油逆止弁の出口側と連通油路とに連通するシーリング油連通油路とが設けられたロータリーベーン式舵取機において、
方向切換弁から油タンクへの戻り油ラインに、制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁とを直列に設け、・制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁との間の戻り油ラインからシーリング油圧ラインを分岐し、シーリング油圧ラインを防衝弁ブロックのシーリング油流入口に接続したことを特徴とする。
また、本発明のロータリーベーン式舵取機のシーリング装置において、方向切換弁から油タンクへの戻り油ラインに第1制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁とを直列に設け、第1制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁との間の戻り油ラインからシーリング油圧ラインを分岐し、シーリング油圧ラインを防衝弁ブロックのシーリング油流入口に接続し、第1制御油圧調整弁と並列して第2制御油圧調整弁を設け、第2制御油圧調整弁の出口ラインをタンク戻り油ラインに接続し、シーリング油圧の喪失を検知することによって第1制御油圧調整弁を第2制御油圧調整弁に切換えるようにした切換弁を第1制御油圧調整弁と第2制御油圧調整弁との入口側に設けたことを特徴とする。
本発明のロータリーベーン式舵取機によると、制御油のラインから分岐して、あるいは、作動油の方向切換弁から油タンクへの戻り油ラインから分岐して、各シールの背面に導かれるシーリング油は、常時、シーリング油スピル弁から油タンクに溢流しているので、各シールの背面には、シーリング油スピル弁の圧力調整作用により規定されるところの、制御用の油圧より低い、シール面に対する必要最低限以上にはならない所定で一定の押圧力を与え得るような油圧に保たれたシーリング油を作用させることができる。
従って、シーリング油圧ラインと並行して設けられている、作動油室からシーリング用の油圧として抽出する作動油が無負荷に伴い油圧が存在しなくなった場合でも、あるいは、作動油室の油圧が負圧になった場合でも、シール面に対して所定で一定の必要最小限の押圧力を与えて、安定したシーリング効果を維持することができる。その場合、シール面に対する押圧力が必要最小限の押圧力を超えることがない。従って、シール面の摩擦および摩耗が最小限に抑えられる。また更に、シール面が摩耗した場合でも、波板ばねによる場合とは違って、その効果は常に一定である。
さらに、シール背面空間は、従来圧力バルブによる場合におけるような、小容積の閉ざされた空間ではなくなる。このため、蓄圧により高圧の作動油が常時シール背面に作用してシール面の潤滑油膜を破壊することがなく、潤滑油膜の破壊によりシール面の摩擦と摩耗とが促進されるようなことはなくなる。また、圧力バルブを無くすることができるので、それが機内に脱落する可能性を取り除くことができる。
また、制御油のラインから分岐して、あるいは、作動油の、方向切換弁から油タンクへの戻り油ラインから分岐して、各シールの背面に導かれた、シーリング油が、万一のシーールの破損等により、油タンクに連通して油圧を失った場合、その油圧の喪失を検知した切換弁が、シーリング油を創り出すための第1制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁のラインを遮断するとともに、制御用油圧を創り出すだけのための第2制御油圧調整弁のラインに切り換えるので、万一のシールの破損等によるシーリング油圧の喪失の場合でも、所定の高さの制御用油圧を確保することが出来る。
また、切換弁が第2制御油圧調整弁のポジションに切り換ったことをもって、シールに破損等の異常が発生したことを外部から察知することが出来る。
本発明の第1の実施の形態におけるロータリーベーン式舵取機のシーリング装置の油圧回路図 本発明の第2の実施の形態におけるロータリーベーン式舵取機のシーリング装置の油圧回路図 本発明の第3の実施の形態におけるロータリーベーン式舵取機のシーリング装置の油圧回路図 本発明の第4の実施の形態におけるロータリーベーン式舵取機のシーリング装置の油圧回路図 従来のロータリーベーン式舵取機の全体縦断面図であり、図7におけるa−a矢視縦断面 同、ロータリーベーン式舵取機の部分断面全体鳥瞰図 同、ロータリーベーン式舵取機の全体水平断面図 同、ロータリーベーン式舵取機のローターベーンの縦および横シールとハウジングセグメントの縦シールとの自由状態での水平断面図 同、ロータリーベーン式舵取機のリングシールの自由状態での縦断面図 同、ロータリーベーン式舵取機のローターベーンの上部横シールと縦シールの連接部を示すベーンの斜視図 図10におけるb−b矢視断面図 図11におけるc−c矢視断面図 図11におけるd−d矢視断面図 同、ロータリーベーン式舵取機のローターベーンの縦シールへの圧力バルブによるシーリング油の供給を説明する水平断面図 同、ロータリーベーン式舵取機のハウジングセグメントの縦シールへの圧力バルブによるシーリング油の供給を説明する水平断面図 同、ロータリーベーン式舵取機の図5におけるC部の詳細拡大縦断面図 同、ロータリーベーン式舵取機の制御油圧ポンプを設けた場合の油圧回路図 同、ロータリーベーン式舵取機の制御用の油圧ポンプを設けない場合の油圧回路図 同、ロータリーベーン式舵取機の防衝弁ブロックの縦断面図であり、図20におけるe−e矢視断面図 同、ロータリーベーン式舵取機の防衝弁ブロックの上面図 同、ロータリーベーン式舵取機の防衝弁ブロックの縦断面図であり、図20におけるf−f矢視断面図 同、ロータリーベーン式舵取機の上部リングシールおよびハウジングセグメント縦シールへのシーリング油の供給を説明する縦断面図 同、ロータリーベーン式舵取機の下部リングシールへのシーリング油の供給を説明する縦断面図 同、ロータリーベーン式舵取機のローターベーンの縦シールへのシーリング油の供給を説明する縦断面図
以下、本発明の第1の実施の形態を図1に基づいて説明する。尚、先に図5〜図24において説明した従来のものと基本的に同様の作用を行う部材については、同一番号を付して説明を省略する。以下の第2〜第4の実施の形態の説明においても同じである。
図1に示すように、ロータリーベーン式舵取機の作動油室5a〜5dに与える作動油の方向を切り換えるための方向切換弁9bを作動させるために必要な制御油圧は、油圧ポンプ9aに同軸に設けた制御油圧ポンプ9gから制御油圧ライン9iと電磁パイロット弁9cとを通って供給される。制御油圧ライン9iから分岐ライン51aを分岐しており、分岐ライン51aには、制御油圧調整弁51bとシーリング油スピル弁51cとを直列に設ける。シーリング油スピル弁51cの出口ラインは油タンクへの戻り油ライン9Lに接続する。分岐ライン51aにおける制御油圧調整弁51bとシーリング油スピル弁51cとの間の中間ライン51dからシーリング油圧ライン51eを分岐し、シーリング油圧ライン51eを防衝弁ブロック10のシーリング油流入口13aに接続する。
制御油圧ライン9iの油圧の高さは、制御油圧ライン9iの油が制御油圧調整弁51bとシーリング油スピル弁51cを通って油タンク9fにリリーフする抵抗によって規定される。シーリング油圧ライン51eの油圧の高さは、シーリング油圧ライン51eの油がシーリング油スピル弁51cを通って油タンク9fにリリーフする抵抗によって規定される。
而して、シーリング油スピル弁51cに設ける抵抗は、シーリング油圧ライン51eの油がシールのシーリングのための必要最低限の油圧になるような、シーリング油圧ライン51eの油の油タンク9fへのリリーフ量を与える大きさである。また、制御油圧調整弁51bに設ける抵抗は、シーリング油スピル弁51cの抵抗と合せて、制御油圧ライン9iの油が方向切換弁9bを制御するための必要な油圧になるような、制御油圧ライン9iの油の油タンク9fへのリリーフ量を与える大きさである。
なお、制御油圧ポンプ9gの吐出量は、方向切換弁9bを作動させるのに必要な油量と、制御油圧調整弁51bおよびシーリング油スピル弁51cから常時油タンク9fに溢流させる油量との合計量である。
以下、上記した構成における作用と効果を説明する。
作用
図1に示すように、制御油圧ポンプ9gから吐出された油は、電磁パイロット弁9cを経て、方向切換弁9bに至るとともに、分岐ライン51aの中間ライン51dからシーリング用逆止弁13bを経て各シールの背面に至る。
而して、各シールの背面の空間は閉ざされた空間であるため、シーリング油圧ライン51e内に油の流れはなく、また、方向切換弁9bが中立位置にあるときは、電磁パイロット弁9cに至る制御油圧ライン9i内に油の流れはない。従って、制御油圧ポンプ9gから吐出された油の全量が分岐ライン51aから、制御油圧調整弁51bおよびシーリング油スピル弁51cを通って油タンク9fに溢流する。
この状態において、シーリング油圧ライン51eの油圧は、シーリング油スピル弁51cの抵抗によって規定される油圧になる。この油圧は、シーリング油圧ライン51eと並行して設けられている、作動油室5a〜5dからシーリング用の油圧として抽出する作動油が無負荷に伴い油圧が存在しなくなった場合でも、あるいは、作動油室5a〜5dの油圧が負圧になった場合でも、シール面に対して所定で一定の必要最小限の押圧力を与えられる高さであり、シールの条件によって異なるが、一般に1〜2kg/cmである。そして、いかなる作動状態の変化においても、この油圧の高さを超えることはない。
また、制御油圧ライン9iの油圧は、制御油圧調整弁51bとシーリング油スピル弁51cとを合せた抵抗によって規定される油圧になる。この油圧は、制御装置の条件により異なるが、一般に5〜10kg/cmである。
効果
シーリング油圧ライン51eと並行して設けられている、作動油室5a〜5dからシーリング用の油圧として抽出する作動油が無負荷に伴い油圧が存在しなくなった場合でも、あるいは、作動油室の油圧が負圧になった場合でも、シール面に対して所定の必要最小限の押圧力を与えて、安定したシーリング効果を維持することができる。その場合、シール面に対する押圧力が必要最小限の押圧力を超えることがない。従って、シール面の摩擦および摩耗が最小限に抑えられる。また更に、シール面が摩耗した場合でも、波板ばね7による場合とは違って、その効果は常に一定である。
さらに、シール背面空間は、従来圧力バルブ6による場合におけるような、小容積の閉ざされた空間ではなくなる。このため、蓄圧により高圧の作動油が常時シール背面に作用してシール面の潤滑油膜を破壊することはなく、潤滑油膜の破壊によりシール面の摩擦と摩耗とが促進されるようなことはなくなる。
また、圧力バルブ6を無くすることができるので、それが機内に脱落する可能性を取り除くことができる。
次に、本発明の2の実施の形態を図2に基づいて説明する。この形態においては、作動油室5a〜5dに与える作動油の方向を切り換えるための方向切換弁9bを作動させるのに必要な制御油圧、および、シールのシーリングに必要なシーリング油圧は、第1の実施の形態におけるような制御油圧ポンプ9gを設けて、それから供給する代わりに、次の手段によって得られるように構成する。
すなわち、図2に示すように、油圧ポンプ9aから吐出された作動油が方向切換弁9bを出た規定油圧ライン9jに、制御油圧調整弁52aとシーリング油スピル弁52bとを直列に設け、シーリング油スピル弁52bの出口ラインを作動油の油タンク9fへの戻り油ライン9Lに接続する。制御油圧調整弁52aとシーリング油スピル弁52bとの間の中間ライン52cからシーリング油圧ライン52dを分岐し、シーリング油圧ライン52dを防衝弁ブロック10のシーリング油流入口13aに接続する。油圧ポンプ9aの吐出ラインから制御油圧ライン52eを分岐し、このライン52eを、電磁パイロット弁9cを経て、方向切換弁9bに導く。
油圧ポンプ9aの吐出油圧には、次の手段によって、最低油圧が設定され、それが制御油圧ライン52eを通って制御用油圧となる。すなわち、油圧ポンプ9aから吐出された作動油が方向切換弁9bを出た規定油圧ライン9jを経て、油タンク9fへ戻される戻り油ライン9Lを通るラインにおいて、制御油圧調整弁52aとシーリング油スピル弁52bとを通ることによる抵抗によって、作動条件にかかわりなく、油圧ポンプ9aから吐出された作動油、すなわち、制御油圧ライン52eに最低油圧を発生せしめる。かつ、制御油圧調整弁52aとシーリング油スピル弁52bとの間の中間ライン52cから分岐されるシーリング油圧ライン52dの油圧は、作動条件にかかわりなく、シーリング油スピル弁52bの抵抗により規定される。
而して、シーリング油スピル弁52bに設ける抵抗は、油圧ポンプ9aから吐出され、方向切換弁9bを経て油タンク9fへ戻される作動油において、シーリング油スピル弁52bに設けた抵抗によって創出されるシーリング油圧ライン52dの油圧が、シールのシーリングのための必要最低限の油圧になるようなものである。
また、制御油圧調整弁52aに設ける抵抗は、次のようなものである。すなわち、制御油圧調整弁52aの抵抗とシーリング油スピル弁52bの抵抗とを合せた抵抗によって、油圧ポンプ9aから吐出された作動油のライン、すなわち、制御油圧ライン52eに創出される油圧が、方向切換弁9bを制御するために必要な油圧になるようなものである。
以下、上記した構成における作用と効果を説明する。
作用
図2に示すように、油圧ポンプ9aから吐出され、規定油圧ライン9jから戻り油ライン9Lを経て油タンク9fに戻る作動油のラインにおいて、制御油圧調整弁52aとシーリング油スピル弁52bとの間の中間ライン52cから分岐されるシーリング油圧ライン52dの作動油は、防衝弁ブロック10のシーリング油流入口13aから、シーリング用逆止弁13bを経て各シールの背面に至る。
而して、各シールの背面の空間は閉ざされた空間であるため、シーリング油圧ライン52d内に油の流れはなく、また、方向切換弁9bが中立位置にあるときは、電磁パイロット弁9cに至る制御油圧ライン52e内に油の流れはない。従って、油圧ポンプ9aから吐出された油の全量が、規定油圧ライン9jから制御油圧調整弁52aとシーリング油スピル弁52bとを通って、戻り油ライン9Lに、そして、油タンク9fに戻る。
この状態において、シーリング油圧ライン52dの油圧は、シーリング油スピル弁52bの抵抗によって規定される油圧になる。この油圧は、シーリング油圧ライン52dと並行して設けられている、作動油室5a〜5dからシーリング用の油圧として抽出する作動油が無負荷に伴い油圧が存在しなくなった場合でも、あるいは、作動油室5a〜5dの油圧が負圧になった場合でも、シール面に対して所定の必要最小限の押圧力を与えられる高さであり、シールの条件によって異なるが、一般に1〜2kg/cmである。そして、いかなる作動状態の変化においても、この油圧の高さを超えることはない。
また、制御油圧ライン52eの油圧は、制御油圧調整弁52aとシーリング油スピル弁52bとを合せた抵抗によって規定される油圧になる。この油圧は、制御装置の条件により異なるが、一般に5〜10kg/cmである。
効果
シーリング油圧ライン51dと並行して設けられている、作動油室5a〜5dからシーリング用の油圧として抽出する作動油が無負荷に伴い油圧が存在しなくなった場合でも、あるいは、作動油室の油圧が負圧になった場合でも、シール面に対して所定の必要最小限の押圧力を与えて、安定したシーリング効果を維持することができる。その場合、シール面に対する押圧力が必要最小限の押圧力を超えることがない。従って、シール面の摩擦および摩耗が最小限に抑えられる。また更に、シール面が摩耗した場合でも、波板ばね7による場合とは違って、その効果は常に一定である。
さらに、シール背面空間は、従来圧力バルブ6による場合におけるような、小容積の閉ざされた空間ではなくなる。このため、蓄圧により高圧の作動油が常時シール背面に作用してシール面の潤滑油膜を破壊することがなく、潤滑油膜の破壊によりシール面の摩擦と摩耗とが促進されるようなことはなくなる。
また、圧力バルブ6を無くすることができるので、それが機内に脱落する可能性を取り除くことができる。
次に、本発明の第3の実施の形態を図3に基づいて説明する。図3に示すように、ロータリーベーン式舵取機の作動油室5a〜5dに与える作動油の方向を切り換えるための方向切換弁9bを作動させるために必要な制御油圧は、油圧ポンプ9aに同軸に設けた制御油圧ポンプ9gから制御油圧ライン9iと電磁パイロット弁9cとを通って供給される。制御油圧ライン9iから分岐ライン53aを分岐しており、分岐ライン53aには、第1制御油圧調整弁53bと第2制御油圧調整弁53cとを並列して設ける。第1制御油圧調整弁53bとシーリング油スピル弁53dとを直列に設ける。シーリング油スピル弁53dの出口ラインをタンクへの戻り油ライン9Lに接続する。第1制御油圧調整弁53bとシーリング油スピル弁53dとの間の中間ライン53eからシーリング油圧ライン53fを分岐し、シーリング油圧ライン53fを防衝弁ブロック10のシーリング油流入口13aに接続する。
第2制御油圧調整弁53cの出口ラインをタンクへの戻り油ライン9Lに接続する。切換弁53gを第1制御油圧調整弁53bと第2制御油圧調整弁53cとの入口側に設け、シーリング油圧ライン53fの油圧の喪失を検知することによって第1制御油圧調整弁53bを第2制御油圧調整弁53cに切換えるようにする。
制御油圧ライン9iの油圧の高さは、制御油圧ライン9iの油が第1制御油圧調整弁53bとシーリング油スピル弁53dとを通って、あるいは、第2制御油圧調整弁53cを通って、油タンク9fにリリーフする抵抗によって、規定される。シーリング油圧ライン53fの油圧の高さは、シーリング油圧ライン53fの油がシーリング油スピル弁53dを通って油タンク9fにリリーフする抵抗によって規定される。
而して、シーリング油スピル弁53dに設ける抵抗は、シーリング油圧ライン53fの油がシールをシーリングするための必要最低限の油圧になるような、シーリング油圧ライン53fの油の油タンク9fへのリリーフ量を与える大きさである。
また、第1制御油圧調整弁53bに設ける抵抗は、シーリング油スピル弁53dの抵抗と合せて、制御油圧ライン9iの油が方向切換弁9bを制御するための必要な油圧になるような、制御油圧ライン9iの油の油タンク9fへのリリーフ量を与える大きさである。また、第2制御油圧調整弁53cに設ける抵抗は、分岐ライン53aが第2制御油圧調整弁53cのラインに切り換えられた時、制御油圧ライン9iの油が方向切換弁9bを制御するための必要な油圧になるような、制御油圧ライン9iの油の油タンク9fへのリリーフ量を与える大きさである。
なお、制御油圧ポンプ9gの吐出量は、方向切換弁9bを作動させるのに必要な油量と、第1制御油圧調整弁53bおよびシーリング油スピル弁53dから常時油タンク9fに溢流させる油量との合計量である。
以下、上記した構成における作用と効果を説明する。
作用
図3に示すように、制御油圧ポンプ9gから吐出された油は、電磁パイロット弁9cを経て、方向切換弁9bに至るとともに、分岐ライン53aの中間ライン53eからシーリング用逆止弁13bを経て各シールの背面に至る。
而して、各シ一ルの背面の空間は閉ざされた空間であるため、シーリング油圧ライン53f内に油の流れはなく、また、方向切換弁9bが中立位置にあるときは、電磁パイロット弁9Cに至る制御油圧ライン9i内に油の流れはない。従って、制御油圧ポンプ9gから吐出された油の全量が分岐ライン53aから、第1制御油圧調整弁53bおよびシーリング油スピル弁53dを通って油タンク9fに溢流する。
この状態において、シーリング油圧ライン53fの油圧は、シーリング油スピル弁53dの抵抗によって規定される油圧になる。この油圧は、シーリング油圧ライン53fと並行して設けられている、作動油室5a〜5dからシーリング用の油圧として抽出する作動油が無負荷に伴い油圧が存在しなくなった場合でも、あるいは、作動油室5a〜5dの油圧が負圧になった場合でも、シール面に対して一定の必要最小限の押圧力を与えられる高さであり、シールの条件によって異なるが、一般に1〜2kg/cmである。そして、いかなる作動状態の変化においても、この油圧の高さを超えることはない。
また、制御油圧ライン9iの油圧は、第1制御油圧調整弁53bとシーリング油スピル弁53dとを合せた抵抗によって規定される油圧になる。あるいは、切換弁53gにより分岐ライン53aが第2制御油圧調整弁53cのラインに切り換えられた場合は、第2制御油圧調整弁53cのみの抵抗によって規定される油圧になる。これらの油圧は、制御装置の条件により異なるが、一般に5〜10kg/cmである。
上記の状態において、万一のシールの破損等により、シール背面に導かれたシーリング油が油タンクに連通して油圧を失った場合、その油圧の喪失を切換弁53gが検知して、分岐ライン53aの第1制御油圧調整弁53bとシーリング油スピル弁53dとのラインを遮断し、第2制御油圧調整弁53cのラインに切り換えて、制御用の油圧を確保する。この切換弁53gの切換が行われたことを感知することで、シールに異常が発生したことを外部から察知することができる。
効果
シーリング油圧ライン53fと並行して設けられている、作動油室5a〜5dからシーリング用の油圧として抽出する作動油が無負荷に伴い油圧が存在しなくなった場合でも、あるいは、作動油室の油圧が負圧になった場合でも、シール面に対して所定の必要最小限の押圧力を与えて、安定したシーリング効果を維持することができる。その場合、シール面に対する押圧力が必要最小限の押圧力を超えることがない。従って、シール面の摩擦および摩耗が最小限に抑えられる。また更に、シール面が摩耗した場合でも、波板ばね7による場合とは違って、その効果は常に一定である。
さらに、シール背面空間は、従来圧力バルブ6による場合におけるような、小容積の閉ざされた空間ではなくなる。このため、蓄圧により高圧の作動油が常時シール背面に作用してシール面の潤滑油膜を破壊することはなく、潤滑油膜の破壊によりシール面の摩擦と摩耗とが促進されるようなことはなくなる。
また、圧力バルブ6を無くすることができるので、それが機内に脱落する可能性を取り除くことができる。
さらに、切換弁53gが第2制御油圧調整弁53cのポジションに切り換ったことをもって、シールに破損等の異常が発生したことを外部から察知することが出来る。
次に、本発明の第4の実施の形態を図4に基づいて説明する。図4に示すように、油圧ポンプ9aから吐出された作動油が方向切換弁9bを出た規定油圧ライン9jに、第1制御油圧調整弁54aとシーリング油スピル弁54bとを直列に設け、シーリング油スピル弁54bの出口ラインを作動油の油タンク9fへの戻り油ライン9Lに接続する。第1制御油圧調整弁54aとシーリング油スピル弁54bとの間の中間ライン54cからシーリング油圧ライン54dを分岐し、シーリング油圧ライン54dを防衝弁ブロック10のシーリング油流入口13aに接続する。作動油が方向切換弁9bを出た規定油圧ライン9jに、第1制御油圧調整弁54aと並列に第2制御油圧調整弁54fを設け、第2制御油圧調整弁54fの出口ラインを油タンク9fへの戻り油ライン9Lにi接続する。切換弁54gを第1制御油圧調整弁54aと第2制御油圧調整弁54fとの入口側に設け、シーリング油圧ライン54dの油圧の喪失を検知することによって第1制御油圧調整弁54aを第2制御油圧調整弁54fに切換えるようにする。油圧ポンプ9aの吐出ラインから制御油圧ライン54eを分岐し、このライン54eを、電磁パイロット弁9cを経て、方向切換弁9bに導く。
油圧ポンプ9aの吐出油圧には、次の手段によって、最低油圧が設定され、それが制御油圧ライン54eを通って制御用油圧となる。すなわち、油圧ポンプ9aから吐出された作動油が、方向切換弁9bを出た規定油圧ライン9fを経て、油タンク9fへ戻される戻り油ライン9Lを通るラインにおいて、第1制御油圧調整弁54aとシーリング油スピル弁54bとを通ることによる抵抗によって、作動条件にかかわりなく、油圧ポンプ9aから吐出された作動油、すなわち、制御油圧ライン54eに最低油圧を発生せしめる。かつ、第1制御油圧調整弁54aとシーリング油スピル弁54bとの間の中間ライン54cから分岐されるシーリング油圧ライン54dの油圧は、作動条件にかかわりなく、シーリング油スピル弁54bの抵抗により規定される。
而して、シーリング油スピル弁54bに設ける抵抗は、油圧ポンプ9aから吐出され、方向切換弁9bを経て油タンク9fへ戻される作動油において、シーリング油スピル弁54bに設けた抵抗によって創出されるシーリング油圧ライン54dの油圧が、シールのシーリングのための必要最低限の油圧になるようなものである。
また、第1制御油圧調整弁54aに設ける抵抗は、次のようなものである。すなわち、第1制御油圧調整弁54aの抵抗とシーリング油スピル弁54bの抵抗とを合せた抵抗によって、油圧ポンプ9aから吐出された作動油のライン、すなわち、制御油圧ライン54eに創出される油圧が、方向切換弁9bを制御するために必要な油圧になるようなものである。
また、第2制御油圧調整弁54fに設ける抵抗は、第1制御油圧調整弁54aの抵抗とシーリング油スピル弁54bの抵抗とを合せた抵抗に等しいものであり、第2制御油圧調整弁54f単独でもって、油圧ポンプ9aから吐出された作動油のライン、すなわち、制御油圧ライン54eに創出される油圧を、方向切換弁9bを制御するために必要な油圧にできるものである。
以下、上記した構成における作用と効果を説明する。
作用
図4に示すように、油圧ポンプ9aから吐出され、規定油圧ライン9fから戻り油ライン9Lを経て油タンク9fに戻る作動油のラインにおいて、第1制御油圧調整弁54aとシーリング油スピル弁54bとの間の中間ライン54cから分岐されるシーリング油圧ライン54dの作動油は、防衝弁ブロック10のシーリング油流入口13aからシーリング用逆止弁13bを経て各シールの背面に至る。
而して、各シールの背面の空間は閉ざされた空間であるため、シーリング油圧ライン54d内に油の流れはなく、また、方向切換弁9bが中立位置にあるときは、電磁パイロット弁9cに至る制御油圧ライン54e内に油の流れはない。従って、油圧ポンプ9aから吐出された油の全量が、規定油圧ライン9jから第1制御油圧調整弁54aとシーリング油スピル弁54bとを通って、戻り油ライン9Lに、そして、油タンク9fに戻る。
この状態において、シーリング油圧ライン54dの油圧は、シーリング油スピル弁54bの抵抗によって規定される油圧になる。この油圧は、シーリング油圧ライン54dと並行して設けられている作動油室5a〜5dからシーリング用の油圧として抽出する作動油が無負荷に伴い油圧が存在しなくなった場合でも、あるいは、作動油室5a〜5dの油圧が負圧になった場合でも、シール面に対して所定の必要最小限の押圧力を与えられる高さであり、シールの条件によって異なるが、一般に1〜2kg/cmである。そして、いかなる作動状態の変化においても、この油圧の高さを超えることはない。
また、制御油圧ライン9iの油圧は、第1制御油圧調整弁54aとシーリング油スピル弁54bとを合せた抵抗によって規定される油圧になる。あるいは、切換弁54gにより規定油圧ライン9jが第2制御油圧調整弁54fのラインに切り換えられた場合は、第2制御油圧調整弁54fのみの抵抗によって規定される油圧になる。これらの油圧は、制御装置の条件により異なるが、一般に5〜10kg/cmである。
上記の状態において、万一のシールの破損等により、シール背面に導かれたシーリング油が油タンクに連通して油圧を失った場合、その油圧の喪失を切換弁54gが検知して、規定油圧ライン9jの第1制御油圧調整弁54aとシーリング油スピル弁54bとのラインを遮断し、第2制御油圧調整弁54fのラインに切り換えて、制御用の油圧を確保する。この切換弁54gの切換が行われたことを感知することで、シールに異常が発生したことを外部から察知することができる。
効果
シーリング油圧ライン54dと並行して設けられている作動油室5a〜5dからシーリング用の油圧として抽出する作動油が無負荷に伴い油圧が存在しなくなった場合でも、あるいは、作動油室の油圧が負圧になった場合でも、シール面に対して所定の必要最小限の押圧力を与えて、安定したシーリング効果を維持することができる。その場合、シール面に対する押圧力が必要最小限の押圧力を超えることがない。従って、シール面の摩擦および摩耗が最小限に抑えられる。また更に、シール面が摩耗した場合でも、波板ばね7による場合とは違って、その効果は常に一定である。
さらに、シール背面空間は、従来圧力バルブ6による場合におけるような、小容積の閉ざされた空間ではなくなる。このため、蓄圧により高圧の作動油が常時シール背面に作用してシール面の潤滑油膜を破壊することがなく、潤滑油膜の破壊によりシール面の摩擦と摩耗とが促進されるようなことはなくなる。
また、圧カバルブ6を無くすることができるので、それが機内に脱落する可能性を取り除くことができる。
さらに、切換弁54gが第2制御油圧調整弁54fのポジションに切り換ったことをもって、シールに破損等の異常が発生したことを外部から察知することが出来る。
51a 分岐ライン
51b 制御油圧調整弁
51c シーリング油スピル弁
51d 中間ライン
51e シーリング油圧ライン
52a 制御油圧調整弁
52b シーリング油スピル弁
52c 中間ライン
52d シーリング油圧ライン
52e 制御油圧ライン
53a 分岐ライン
53b 第1制御油圧調整弁
53c 第2制御油圧調整弁
53d シーリング油スピル弁
53e 中間ライン
53f シーリング油圧ライン
53g 切換弁
54a 第1制御油圧調整弁
54b シーリング油スピル弁
54c 中間ライン
54d シーリング油圧ライン
54e 制御油圧ライン
54f 第2制御油圧調整弁
54g 切換弁

Claims (4)

  1. 舵軸に嵌合装着するローターと、ローターを収納してローターの周囲に油室用空間を形成するハウジングと、ハウジングの上部開口に配置する環状のトップカバーとを有し、ローターの外周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のベーンを配置し、ハウジングの内周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のセグメントを配置し、ベーンとセグメントによって上記油室用空間を複数の作動油室に区画し、上記複数の作動油室は、供給された圧油によってローターを左右一方向へ回転させる第1グループの作動油室と左右他方向へ回転させる第2グループの作動油室との2つのグループから成り、ローターの各ベーンに、トップカバーの裏面およびハウジングの内周面と内底面にそれぞれ対向するように、その半径方向先端面と上下両端面とに縦および横スリットを形成し、縦スリットに、ハウジングの内周面に摺接する縦シールを挿入し、上部横スリットに、トップカバーの裏面に摺接する上部横シールを挿入し、下部横スリットに、ハウジングの内底面に摺接する下部横シールを挿入し、上記各シールを弾性材料で形成し、縦シールの背面を上部および下部横シールの背面に連通し、摺動面に接触面圧を与えるように縦シールの背面に圧油を作用させ、第1グループの作動油室に連通する一方の流出入孔と、第2グループの作動油室に連通する他方の流出入孔と、衝撃負荷時に、一方の流出入孔から流入した圧油を他方の流出入孔へ流出する一方の防衝弁と、他方の流出入孔から流入した圧油を一方の流出入孔へ流出する他方の防衝弁とを備えた防衝弁ブロックが配置されたロータリーベーン式舵取機であって、
    トップカバーは、ローターの上部端面に対向する部位に形成された上部リングスリット内に、環状の上部リングシールを保持し、ハウジングは、ローターの下部端面に対向する部位に形成された下部リングスリット内に、環状の下部リングシールを保持し、ローターに、上部リングシールよりも径方向内側の上部端面と下部リングシールよりも径方向内側の下部端面とに連通するバランス孔が形成され、上記一方の流出入孔から分岐した一方の分岐油路に一方の逆止弁の入口が接続され、他方の流出入孔から分岐した他方の分岐油路に他方の逆止弁の入口が接続され、両逆止弁の出口を連通する連通油路が防衝弁ブロックに設けられ、上記防衝弁ブロックの連通油路とローターの上部端面に設けた円環状の上部リング溝とを連通する給油通路が防衝弁ブロックとトップカバーとにわたり設けられ、上部リング溝とベーンの縦スリットの底面とを連通するシーリング油孔がローターからベーンを通って設けられ、上記上部リング溝は、上記上部リングシールの内周側面と背面とに連通するとともに、上記バランス孔を介して、上記下部リングシールの内周側面と背面とに連通し、作動油室に作動油を供給する油圧回路に、油圧ポンプから吐出された作動油の供給先を第1グループの作動油室と第2グループの作動油室とのいずれかに切り換える方向切換弁と、この方向切換弁の切り換えを制御する制御油圧を制御油圧ラインから方向切換弁の電磁パイロット弁へ供給する制御油圧ポンプとが設けられ、上記防衝弁ブロックに、シーリング油流入口と、シーリング油逆止弁と、シーリング油流入口とシーリング油逆止弁の入口側とに連通するシーリング油路と、シーリング油逆止弁の出口側と連通油路とに連通するシーリング油連通油路とが設けられたロータリーベーン式舵取機において、
    制御油圧ポンプの吐出口から方向切換弁を制御する電磁パイロット弁に至る制御油圧ラインに分岐ラインを設け、分岐ラインに制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁とを直列に設け、シーリング油スピル弁の出口ラインをタンク戻り油ラインに接続し、制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁との間の中間ラインからシーリング油圧ラインを分岐し、シーリング油圧ラインを防衝弁ブロックのシーリング油流入口に接続したことを特徴とするロータリーベーン式舵取機のシーリング装置。
  2. 制御油圧ポンプの吐出口から方向切換弁を制御する電磁パイロット弁に至る制御油圧ラインに分岐ラインを設け、分岐ラインに第1制御油圧調整弁と第2制御油圧調整弁とを並列して設け、第1制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁とを直列に設け、シーリング油スピル弁の出口ラインをタンク戻り油ラインに接続し、第1制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁との間の中間ラインからシーリング油圧ラインを分岐し、第2制御油圧調整弁の出口ラインをタンク戻り油ラインに接続し、シーリング油圧の喪失を検知することによって第1制御油圧調整弁を第2制御油圧調整弁に切換えるようにした切換弁を第1制御油圧調整弁と第2制御油圧調整弁との入口側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のロータリーベーン式舵取機のシーリング装置。
  3. 舵軸に嵌合装着するローターと、ローターを収納してローターの周囲に油室用空間を形成するハウジングと、ハウジングの上部開口に配置する環状のトップカバーとを有し、ローターの外周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のベーンを配置し、ハウジングの内周面の周方向に沿った等間隔の位置に複数のセグメントを配置し、ベーンとセグメントによって上記油室用空間を複数の作動油室に区画し、上記複数の作動油室は、供給された圧油によってローターを左右一方向へ回転させる第1グループの作動油室と左右他方向へ回転させる第2グループの作動油室との2つのグループから成り、ローターの各ベーンに、トップカバーの裏面およびハウジングの内周面と内底面にそれぞれ対向するように、その半径方向先端面と上下両端面とに縦および横スリットを形成し、縦スリットに、ハウジングの内周面に摺接する縦シールを挿入し、上部横スリットに、トップカバーの裏面に摺接する上部横シールを挿入し、下部横スリットに、ハウジングの内底面に摺接する下部横シールを挿入し、上記各シールを弾性材料で形成し、縦シールの背面を上部および下部横シールの背面に連通し、摺動面に接触面圧を与えるように縦シールの背面に圧油を作用させ、第1グループの作動油室に連通する一方の流出入孔と、第2グループの作動油室に連通する他方の流出入孔と、衝撃負荷時に、一方の流出入孔から流入した圧油を他方の流出入孔へ流出する一方の防衝弁と、他方の流出入孔から流入した圧油を一方の流出入孔へ流出する他方の防衝弁とを備えた防衝弁ブロックが配置されたロータリーベーン式舵取機であって、
    トップカバーは、ローターの上部端面に対向する部位に形成された上部リングスリット内に、環状の上部リングシールを保持し、ハウジングは、ローターの下部端面に対向する部位に形成された下部リングスリット内に、環状の下部リングシールを保持し、ローターに、上部リングシールよりも径方向内側の上部端面と下部リングシールよりも径方向内側の下部端面とに連通するバランス孔が形成され、上記一方の流出入孔から分岐した一方の分岐油路に一方の逆止弁の入口が接続され、他方の流出入孔から分岐した他方の分岐油路に他方の逆止弁の入口が接続され、両逆止弁の出口を連通する連通油路が防衝弁ブロックに設けられ、上記防衝弁ブロックの連通油路とローターの上部端面に設けた円環状の上部リング溝とを連通する給油通路が防衝弁ブロックとトップカバーとにわたり設けられ、上部リング溝とベーンの縦スリットの底面とを連通するシーリング油孔がローターからベーンを通って設けられ、上記上部リング溝は、上記上部リングシールの内周側面と背面とに連通するとともに、上記バランス孔を介して、上記下部リングシールの内周側面と背面とに連通し、作動油室に作動油を供給する油圧回路に、油圧ポンプから吐出された作動油の供給先を第1グループの作動油室と第2グループの作動油室とのいずれかに切り換える方向切換弁と、この方向切換弁から油タンクへの戻り油ラインとが設けられ、上記方向切換弁の切り換えを制御する制御油圧を上記油圧ポンプの吐出口側から方向切換弁の電磁パイロット弁へ供給するように構成し、上記戻り油ラインに圧力調整弁を設け、上記防衝弁ブロックに、シーリング油流入口と、シーリング油逆止弁と、シーリング油流入口とシーリング油逆止弁の入口側とに連通するシーリング油路と、シーリング油逆止弁の出口側と連通油路とに連通するシーリング油連通油路とが設けられたロータリーベーン式舵取機において、
    方向切換弁から油タンクへの戻り油ラインに、制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁とを直列に設け、制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁との間の戻り油ラインからシーリング油圧ラインを分岐し、シーリング油圧ラインを防衝弁ブロックのシーリング油流入口に接続したことを特徴とするロータリーベーン式舵取機のシーリング装置。
  4. 方向切換弁から油タンクへの戻り油ラインに第1制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁とを直列に設け、第1制御油圧調整弁とシーリング油スピル弁との間の戻り油ラインからシーリング油圧ラインを分岐し、シーリング油圧ラインを防衝弁ブロックのシーリング油流入口に接続し、第1制御油圧調整弁と並列して第2制御油圧調整弁を設け、第2制御油圧調整弁の出口ラインをタンク戻り油ラインに接続し、シーリング油圧の喪失を検知することによって第1制御油圧調整弁を第2制御油圧調整弁に切換えるようにした切換弁を第1制御油圧調整弁と第2制御油圧調整弁との入口側に設けたことを特徴とする請求項3に記載のロータリーベーン式舵取機のシーリング装置。
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