JP5516338B2 - チキソ性室温硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Description
なお、本発明に関連する従来技術として、下記文献が挙げられる。
〔請求項1〕
(a)1分子中に少なくとも2個のエステル基を有し、かつ主鎖中に2価のパーフルオロアルキルエーテル構造を有する下記一般式(1)で表される数平均分子量3,000〜100,000である直鎖状フルオロポリエーテル化合物; 100質量部、
ROOC−Rf−COOR’ (1)
(式中、Rfは下記一般式(i)〜(iv)で表される2価のパーフルオロアルキルエーテル構造から選ばれるものであり、R及びR’は同一又は異種の、炭素数1〜8の非置換又は置換の1価炭化水素基である。)
(b)1分子中にアミノ基を少なくとも3個含有するシロキサンポリマー;
(b)成分中のアミノ基の合計量/(a)成分中のエステル基の合計量
=1.0〜10.0(モル比)となる量、
(c)BET比表面積が50m2/g以上で、かつジメチルポリシロキサンにより表面が疎水化処理されたシリカ系充填剤; 2〜50質量部
を含有してなることを特徴とするチキソ性室温硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
〔請求項2〕
(b)成分が、下記一般式(v)〜(viii)で表されるアミノ基含有シロキサンポリマーから選ばれるものである請求項1に記載の組成物。
〔請求項3〕
請求項1又は2に記載の組成物を硬化させることにより得られる硬化物。
(a)直鎖状フルオロポリエーテル化合物
(a)成分の直鎖状フルオロポリエーテル化合物は、本発明の組成物の主剤(ベースポリマー)であり、1分子中に少なくとも2個のエステル基を、好ましくは分子鎖の末端にそれぞれ有し、より好ましくは分子鎖両末端にそれぞれ1個ずつ有し、かつ主鎖中に2価のパーフルオロアルキルエーテル構造を有するもので、数平均分子量が3,000〜100,000の範囲のものである。
ROOC−Rf−COOR’ (1)
(式中、Rfは下記一般式(i)〜(iv)で表される2価のパーフルオロアルキルエーテル構造から選ばれるものであり、R及びR’は同一でも異なってよく、炭素数1〜8の非置換又は置換の1価炭化水素基である。)
(式中、p及びqはそれぞれ1〜300の整数、好ましくは5〜200の整数、より好ましくは10〜150の整数であって、かつpとqの和の平均は、2〜600、好ましくは10〜300、より好ましくは20〜200である。また、rは0〜6の整数、好ましくは0〜4の整数、tは2又は3である。)
(式中、uは1〜450の整数、好ましくは20〜200の整数、vは1〜150の整数、好ましくは5〜50の整数、tは上記と同じである。)
−CtF2t(OCF2CF2)x(OCF2)yOCtF2t− (iii)
(式中、xは1〜650の整数、好ましくは20〜300の整数、yは1〜200の整数、好ましくは5〜50の整数、tは上記と同じである。)
(式中、wはそれぞれ独立に1〜350の整数、好ましくは10〜150の整数、zはそれぞれ独立に1〜100の整数、好ましくは3〜25の整数、r,tはそれぞれ上記と同じである。)
(式中、m及びnはそれぞれ1〜300の整数、m+n=20〜600の整数、i、j、k及びlはi+j+k+l=20〜850を満足する1以上の整数を示す。)
この(a)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
次に、(b)成分の1分子中にアミノ基を少なくとも3個含有するシロキサンポリマーは、上記(a)成分の架橋剤、鎖長延長剤として作用するものである。(b)成分は、1分子中にアミノ基を少なくとも3個含有するシロキサンポリマー(即ち、アミノ基含有オルガノポリシロキサン)であれば特に制限されるものではない。
(式中、aは1〜10の整数、好ましくは4〜6の整数である。)
(式中、bは1〜200の整数、好ましくは1〜100の整数、より好ましくは2〜30の整数、cは1〜3の整数である。)
F−(CF2O)d−(CF2CF2O)e−CF2−
(式中、d及びeはそれぞれ1〜50の整数、好ましくは1〜20の整数である。)
CaF2a+1−COOC2H5
(式中、aは1〜10の整数、好ましくは4〜6の整数である。)
(式中、bは1〜200の整数、好ましくは1〜100の整数、より好ましくは2〜30の整数、cは1〜3の整数である。)
F−(CF2O)d−(CF2CF2O)e−CF2−COOCH3
(式中、d及びeはそれぞれ1〜50の整数、好ましくは1〜20の整数である。)
(式中、gは3〜50の整数、好ましくは3〜20の整数、hは1〜50の整数、好ましくは1〜10の整数、g+h=4〜100、好ましくは5〜50、より好ましくは6〜30の整数、b’は0又は1〜200の整数、好ましくは1〜100の整数、より好ましくは1〜30の整数である。)
(式中、gは3〜50の整数、好ましくは3〜20の整数、hは1〜50の整数、好ましくは1〜10の整数、g+h=4〜100、好ましくは5〜50、より好ましくは6〜30の整数、a’は1〜10の整数、好ましくは4〜6の整数である。)
(b)成分の配合量は、通常(a)成分中に含まれるメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基等のエステル基の合計量(モル)に対する(b)成分中のアミノ基の合計量(モル)の比が、1.0〜10.0(モル比)、好ましくは1.0〜5.0(モル比)、より好ましくは2.0〜4.0(モル比)を供給する量が好適である。かかるモル比が少なすぎると架橋度合いが不十分となり、機械的強度に劣る問題があり、多すぎると鎖長延長が優先し硬化が不十分となり、満足する硬化物物性が得られない。
(c)成分のBET比表面積が50m2/g以上で、かつジメチルポリシロキサンにより表面が疎水化処理されたシリカ系充填剤(又はシリカフィラー)は、上記(a)成分と(b)成分よりなる室温硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物に良好なチキソ性を付与することを目的として添加されるものであり、BET比表面積が50m2/g以上、通常、50〜400m2/g、好ましくは80〜400m2/g、より好ましくは100〜350m2/g程度の微粉末シリカフィラーであり、その表面がジメチルポリシロキサン(いわゆるジメチルシリコーンオイル又はジメチコーン)により疎水化処理された疎水性シリカ系充填剤である。
上記BET比表面積が50m2/g未満ではフルオロポリエーテル系ゴム硬化物に十分な機械的強度を付与することが困難である。
(c)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して2〜50質量部、好ましくは4〜10質量部である。(c)成分の配合量がこれより少なくなると、良好なチキソ性を付与することができず、逆に多くなると粘度が増大し作業性に劣る。
本発明の組成物には、上記(a)、(b)及び(c)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の各種充填剤、添加剤を配合することができる。このような成分として、具体的には、粉末状モレキュラーシーブ等の脱水剤や、酸化鉄、酸化セリウム、カーボンブラック等の顔料、着色剤、染料、酸化防止剤、また粘度調整剤として一部又は全てがフッ素変性されたオイル状化合物等が挙げられる。
本発明の組成物は、従来公知の方法により調製することができ、前記(c)成分を充填した(a)成分と(b)成分の2液タイプとして構成し、使用にあたってこれらを混合するようにしてもよい。この場合、(a)成分と(b)成分の何れか一方の成分に(c)成分を必要量充填しても、両方の成分に(c)成分の必要量を分けて充填してもよい。
本発明の組成物は、種々の用途に利用することができる。即ち、本発明の組成物は、フッ素含有率が高いため、耐溶剤性、耐薬品性に優れ、また透湿性も低く、低表面エネルギーを有するため、離型性、撥水性に優れており、よって耐油性が要求される自動車用ゴム部品、具体的には自動車用ダイヤフラム類、バルブ類、あるいはシール材など、化学プラント用ゴム部品、具体的にはポンプ用ダイヤフラム、バルブ類、ホース類、パッキン類、オイルシール、ガスケット、タンク配管補修用シール材などのシール材など、インクジェットプリンタ用ゴム部品、半導体製造ライン用ゴム部品、具体的には薬品が接触する機器用のダイヤフラム、弁、パッキン、ガスケットなどのシール材など、低摩擦耐磨耗性が要求されるバルブなど、分析、理化学機器用ゴム部品、具体的にはポンプ用ダイヤフラム、弁、シール部品(パッキンなど)、医療機器用ゴム部品、具体的にはポンプ、バルブ、ジョイントなど、また、テント膜材料、シーラント、成型部品、押し出し部品、被覆材、複写機ロール材料、電気用防湿コーティング材、センサー用ポッティング材、燃料電池用シール材、工作機器用シール材、積層ゴム布などに有用である。
下記式(2)で表されるポリマー(粘度7.8Pa・s、数平均分子量15,700)100質量部と充填剤に炭酸カルシウム(品名 カーレックス300:丸尾カルシウム(株)社製商品名)40質量部の配合比でプラネタリーミキサーに投入後、1時間混練りを行なった。次いで、100℃で1時間混合減圧(−65〜−75cmHg)熱処理し、冷却してベースコンパウンドの製造を行なった。
(m+n≒90)
下記式(3)で示されるフッ素変性アミノ基含有シロキサンポリマー(粘度102Pa・s、数平均分子量3,600)11.0質量部と粉末状モレキュラーシーブ4A(MERCK社製)0.6質量部の配合比でプラネタリーミキサーに投入後、15分間混練りを行なった。次いで室温中で30分間減圧混合(−65〜−75cmHg)し、架橋剤コンパウンドの製造を行なった。
上記ベースコンパウンド140質量部に、表面ジメチルポリシロキサン処理ヒュームドシリカ(品名 CAB−O−SIL TS−720:CABOT社製商品名、BET比表面積;100m2/g)4.6質量部を配合し、また上記架橋剤コンパウンド11.6質量部に、同様に上記の表面ジメチルポリシロキサン処理ヒュームドシリカ(品名 CAB−O−SIL TS−720)0.8質量部を配合し、ベース/架橋剤=144.6質量部/12.4質量部(アミノ基/メチルエステル基=3.0(モル比)となる量)の比率にて均一に混合し、下記に示す液垂れ性試験や各種物性評価等を実施した。
上記ベースコンパウンドと上記架橋剤コンパウンドを、ベース/架橋剤=140.0質量部/11.6質量部(アミノ基/メチルエステル基=3.0(モル比)となる量)の比率にて均一に混合し、下記に示す液垂れ性試験や各種物性評価等を実施した。
上記ベースコンパウンド140質量部に、表面をメチル基で疎水化処理したヒュームドシリカ(品名 AEROSIL R972:日本アエロジル(株)製商品名)5.0質量部を配合し、上記架橋剤コンパウンド11.6質量部に、同様に上記の表面をメチル基で疎水化処理したヒュームドシリカ(AEROSIL R972)0.8質量部を配合し、ベース/架橋剤=145.0質量部/12.4質量部(アミノ基/メチルエステル基=3.0(モル比)となる量)の比率にて均一に混合し、下記に示す液垂れ性試験を実施した。
上記、実施例及び比較例より得られた硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物を5g計り取り、地面に対して90°に直立したテトラフルオロエチレン製の板上に載せ、室温中で1分後の液垂れ性より評価を行なった。その結果を表1に示す。
本発明の実施例1の組成物では、良好なチキソ性が得られた。また、表面をメチル基で疎水化処理したフュームドシリカを加えた比較例2の組成物では、充分なチキソ性が得られなかった。
前記、実施例1と比較例1より得られる硬化性組成物を厚さ2mmのシート状に成形し、室温(23.5℃)中で1週間静置後、硬化物を得た。この硬化物サンプルにて、JIS K6251、6253に準じてゴム物性を測定した。その結果を表2に示す。
前記、実施例1と比較例1より得られる硬化性組成物を用い、以下のように引張せん断接着試験片を準備し、JIS K6850に準じて引張せん断接着試験を実施した。
各種基材(Al、Fe、SUS304)の表面をメチルエチルケトンを溶剤として脱脂・洗浄し、風乾の後、3種のプライマー(品名 Chemlok 5150、Chemlok AP−133、Chemlok Y−4310:ロード・ファー・イースト Inc.製商品名)をそれぞれの基板に刷毛塗りし、30分風乾の後、硬化性組成物を1mm厚に成形し、室温(23.5℃)中で1週間静置後にせん断接着試験を実施した。その結果を表3に示す。
前記、実施例1と比較例1で得られた硬化性組成物を、室温(23.5℃)中で1週間静置した後、得られた硬化物を用いてDSC測定によりガラス転移点(Tg)を見積もった。その結果、いずれもTg=−54℃であることが確認された。
前記、実施例1と比較例1で得られた硬化性組成物を、室温(23.5℃)中で1週間静置した後に得られた硬化物を用い、JIS K6258に準じて各種有機溶剤に対する浸漬試験を実施し、耐溶剤膨潤性を評価した。その結果を表4に示す。
本発明の実施例で得られた硬化性組成物が、従来の未硬化時に流動性を有する室温硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物と同等の硬化特性、硬化後物性を有することが確認された。
Claims (3)
- (a)1分子中に少なくとも2個のエステル基を有し、かつ主鎖中に2価のパーフルオロアルキルエーテル構造を有する下記一般式(1)で表される数平均分子量3,000〜100,000である直鎖状フルオロポリエーテル化合物; 100質量部、
ROOC−Rf−COOR’ (1)
(式中、Rfは下記一般式(i)〜(iv)で表される2価のパーフルオロアルキルエーテル構造から選ばれるものであり、R及びR’は同一又は異種の、炭素数1〜8の非置換又は置換の1価炭化水素基である。)
(b)1分子中にアミノ基を少なくとも3個含有するシロキサンポリマー;
(b)成分中のアミノ基の合計量/(a)成分中のエステル基の合計量
=1.0〜10.0(モル比)となる量、
(c)BET比表面積が50m2/g以上で、かつジメチルポリシロキサンにより表面が疎水化処理されたシリカ系充填剤; 2〜50質量部
を含有してなることを特徴とするチキソ性室温硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。 - 請求項1又は2に記載の組成物を硬化させることにより得られる硬化物。
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