JP5515605B2 - アームレスト - Google Patents

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本発明は、アームレストに関する。
従来、側突対応可能な車両用ドアトリムとして、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。このものは、ドアトリム本体の中央部において車両前後方向に延びるアームレストを備え、このアームレストの天面部分には、切欠溝が形成されている。この車両用ドアトリムによると、切欠溝を設けたことでアームレストの天面部分の剛性が低減し、側突時に切欠溝が変形することにより衝撃を緩和することができる。
特開平9−66740号公報
しかしながら、アームレストの天面部分は、ひじを載せた際に変形しない程度の剛性が必要とされている。これは、ひじを載せた際に天面部分が撓み、場合によってはアームレストが変形することにより、ひじ掛け機能を損なうことを防ぐためである。とはいうものの、側突時の衝撃吸収性能を向上させるためには、何らかの方法で天面部分を弱体化しなくてはならず、その結果、天面部分の剛性が低減してしまう。このようにアームレストにおいて、側突時における衝撃吸収性能を向上させる課題と、天面部分の剛性を確保する課題とは相容れないものであって、その両立は困難である。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、側突時における衝撃吸収性能を向上させつつも天面部分の剛性を確保することを目的とする。
本発明は、側突対応可能な車両用ドアトリムのアームレストであって、ひじを載せるための天面部分を備え、天面部分には、車両前後方向に沿って複数の孔が形成され、天面部分において複数の孔と隣り合う位置には、補強リブが突出して設けられており、車両側突時には複数の孔を起点として天面部分が変形するようになっている構成としたところに特徴を有する。
このような構成によると、側突時にアームレストの天面部分が複数の孔を起点として変形するため、衝撃吸収性能を向上させることができる。さらに、天面部分において複数の孔と隣り合う位置に補強リブを設けたから、天面部分にひじを載せた際にその天面部分が孔付近で撓み変形しない程度の剛性を確保することができる。
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
補強リブは、複数の孔よりも車室外側に配置されている構成としてもよい。
リブが複数の孔よりも車室内側に配置されている場合、リブがアームレストの側面部分(車室内側面部分)と接近する配置となり、側突時にリブが側面部分と干渉する可能性がある。その点、上記構成によると、リブを複数の孔よりも車室外側に配置したから、リブが側面部分から離れた配置となり、側突時にリブがアームレストの側面部分と干渉することはない。
複数の孔は、長孔をその長手方向に沿って複数並べて配置したものである構成としてもよい。
このような構成によると、長孔自身が側突時における天面部分の折り曲げ縁の一部として構成されやすくなり、複数の孔を起点とした変形動作を安定して行うことができる。また、天面部分を成形する成形型の構成を簡素化することができる。すなわち、長孔にすることで孔数が少なくなるため、成形型において長孔を成形する突部の数を少なくできる。
本発明によれば、側突時における衝撃吸収性能を向上させつつも天面部分の剛性を確保することができる。
実施形態におけるアームレストの表面を示した斜視図 アームレストの裏面を示した斜視図 図1におけるA−A線断面図
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図3の図面を参照しながら説明する。本実施形態におけるアームレスト10は車両用ドアトリム20において車室内側に膨出する形態で設けられており、図1に示すように、車両前後方向に長い形状をなしている。アームレスト10は、詳細には図3に示すように、車両用ドアトリム20に開口する取付口21に対して隙間のない状態で取り付け固定されている。
車両用ドアトリム20はドアトリム基材22を有し、このドアトリム基材22の表面に、ドアトリム表皮材23が貼着されている。一方、アームレスト10はアームレスト基材13を有し、アームレスト基材13の表面に、アームレスト表皮材30が貼着されている。このアームレスト表皮材30は、アームレスト基材13の外周縁において内側に折り返されている。この折り返し部分がドアトリム表皮材23に押し当てられた状態で、アームレスト基材13がクリップやねじ止めなどの固定手段によってドアトリム基材22もしくはドアパネル(図示せず)に固定されている。これにより、ドアトリム表皮材23とアームレスト表皮材30との間で異音や隙間が発生しないようになっている。
アームレスト10は、ひじを載せるための天面部分11と、車室内側に面した側面部分12とを備えて構成されている。天面部分11は、ほぼ車幅方向に延出する面を有しており、側面部分12は、ほぼ上下方向に延出する面を有している。アームレスト10は、天面部分11の車室内側端部と側面部分12の上端部とが連なる形態をなしている。これにより、アームレスト10は、全体として略L字状をなして車両用ドアトリム20から車室内側に膨出する形態をなしている。
天面部分11は、アームレスト基材13と、このアームレスト基材13の上面に配置されたパッド40と、このパッド40の上面に配置されたアームレスト表皮材30とを備えて構成されている。パッド40は可撓性を有するスポンジ材やゴム材などによって構成されており、アームレスト基材13とアームレスト表皮材30との間に挟持されている。これにより、着座者が天面部分11にひじを載せた際にひじを受けるようにしてパッド40が撓み変形し、心地よいクッション性を得ることができるようになっている。これに対して側面部分12は、パッド40を備えておらず、アームレスト基材13の車室内側面にアームレスト表皮材30が直接配置された構成とされている。
天面部分11におけるアームレスト表皮材30の車室外側部は、アームレスト基材13の車室外側部にて下方に折り返されて巻き付け固定されている。一方、アームレスト基材13の車室内側部は、側面部分12におけるアームレスト表皮材30の上端折り返し部分とアームレスト基材13との間に挟み込まれている。
側面部分12の上端部は、前記したように、車室外側に折り返されて密着曲げされている。また、アームレスト基材13において側面部分12の上端折り返し部分と対応する位置は、車室外側に凹んでいる。この凹みの深さは、圧縮状態におけるアームレスト表皮材30の厚みとほぼ同じとされている。一方、側面部分12の下端部は、アームレスト基材13の下端部にて車室外側に折り返されて巻き付け固定されている。
取付口21の開口縁部には、フランジ部24が車幅方向に張り出し形成されている。側面部分12の下端部は、図3における図示左側のフランジ部24に接触しており、このフランジ部24で天面部分11からの荷重を受ける構成とされている。一方、天面部分11におけるアームレスト基材13の車室外側部には、複数の支持突部14が下方に突出して形成されている。複数の支持突部14は、図2に示すように、車両前後方向に沿って間欠的に配置されている。複数の支持突部14は、図3における図示右側のフランジ部24に接触している。これにより、図示右側のフランジ部24は、図示左側のフランジ部24とともに天面部分11からの荷重を受ける構成とされている。
さて、本実施形態のアームレスト10は複数の長孔15を有しており、側突時に複数の長孔15を折り曲げ縁としてこの折り曲げ縁が上方に突き出る形態で変形可能とされている。複数の長孔15は、図2に示すように、天面部分11のほぼ全域に亘って配置され、アームレスト基材13の車幅方向略中央にて車両前後方向に並んで設けられている。各長孔15は、車両前後方向に延びる長方形状をなしている。各長孔15の間隔は、各長孔15の長手寸法よりも短めとされている。なお、アームレスト基材13の上面には、パッド40を介してアームレスト表皮材30が配置されているため、アームレスト表皮材30を上から触った場合でも、長孔15の存在を認識できないようになっている。
ところで、長孔15を設けた場合、長孔15の数だけ天面部分11の樹脂量が低減し、天面部分11の剛性が低下する。このため、天面部分11にひじを載せると、天面部分11が下方に撓んでしまい、アームレスト10の品質が低下することになる。つまり、アームレスト10に求められる品質は、着座者のひじを受けるとともに、天面部分11を下方に撓ませることなく側突時の衝撃吸収性能を向上させることである。
そこで本実施形態では、図2に示すように、天面部分11の裏面において複数の長孔15と隣り合う位置に補強リブ16を設けている。この補強リブ16は、アームレスト基材13の裏面と一体に成形されており、天面部分11のほぼ全域において車両前後方向に延びて設けられている。これにより、天面部分11におけるアームレスト基材13の剛性が増し、天面部分11にひじを載せた際にその天面部分11が下方に撓むことを規制できる。
特に長孔15は、車両前後方向に延びる形態をなし、かつ、この方向に並んで配置されているため、側突時における折り曲げ縁も車両前後方向に延びる形態で形成されやすくなる。したがって、側突時における変形動作を制御しやすくなる。また、補強リブ16は、複数の長孔15よりも車室外側に配置されている。これにより、側突時に補強リブ16が側面部分12と干渉することを回避できる。
ここで、側面部分12との干渉を回避するという観点からは、補強リブ16を側面部分12から最も離れた位置に配置することが理想的である。しかし、補強リブ16を複数の長孔15から離れた位置に配置してしまうと、複数の長孔15を設けたことによる剛性低下を補強しにくくなってしまう。つまり、複数の長孔15を設けたことによる剛性低下を補強するのであれば、できるだけ複数の長孔15に近づけて配置したほうがよい。こうした理由により補強リブ16は、複数の長孔15と隣り合う位置で、かつ、複数の長孔15よりも車室外側に配置されているのである。その結果、側突時における衝撃吸収性能を向上させる課題と、天面部分11の剛性を確保する課題とを共に実現可能としている。
本実施形態は以上のような構成であって、続いてその作用を説明する。側突時においては、ドアパネルが車両用ドアトリム20側に押し込まれ、これに伴ってアームレスト10が着座者に接触することにより、アームレスト10が変形することになる。このとき、アームレスト10は、複数の長孔15の並び方向に形成される折り曲げ縁を起点として上方に折れ曲がる。この折り曲げ縁においては、長孔15を設けた数だけ樹脂量が低減し、剛性が低下しているため、低い荷重でアームレスト10が変形し、高い衝撃吸収性能を発揮できる。
一方、通常時においては、着座者がひじをアームレスト10の天面部分11に載せる動作が頻繁に行われ、その都度、補強リブ16が踏ん張ることにより天面部分11の撓み変形を規制できる。したがって、通常時にはアームレスト10としての機能を保持しつつ、側突時には高い衝撃吸収性能を発揮できる。
なお、アームレスト基材13を樹脂成形する際には、長孔15の部分を容易に脱型することができる。すなわち、長孔15の場合、この長孔15よりも短い孔で折り曲げ縁を構成するよりも孔数を少なくでき、成形型の構成が簡素化される結果、長孔15部分の脱型が容易になる。
以上のように本実施形態では、天面部分11に複数の長孔15を設けるとともに、複数の長孔15に隣り合う位置に補強リブ16を設けたから、側突時における衝撃吸収性能を向上させつつも天面部分11の剛性を確保することができる。また、補強リブ16を複数の長孔15よりも車室外側に配置したから、補強リブ16と側面部分12との干渉を回避できる。さらに、複数の長孔15をその長手方向に並べて配置したから、複数の長孔15自身が折り曲げ縁の一部として構成されやすくなり、天面部分11の変形動作を安定して行うことが可能になる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では天面部分11と側面部分12とを備えたアームレスト10としているものの、本発明によると、天面部分11だけでアームレストを構成してもよく、側面部分を車両用ドアトリム20に設けてもよい。
(2)上記実施形態では一つの補強リブ16を備えたアームレスト10としているものの、本発明によると、複数のリブを車両前後方向に並べて配置することにより補強リブを構成してもよい。
(3)上記実施形態では長孔15をその長手方向に沿って複数並べて配置しているものの、本発明によると、孔の形状は限定されず、角穴でも円孔でもよい。また、長孔を車幅方向に延びる形態で配置し、この長孔を車両前後方向に沿って配置してもよい。
(4)上記実施形態では複数の長孔15を折り曲げ縁として天面部分11が上方に折れ曲がるものを例示しているものの、本発明によると、複数の長孔15を折り曲げ縁として天面部分11が下方に折れ曲がるようにしてもよい。
10…アームレスト
11…天面部分
15…長孔
16…補強リブ

Claims (2)

  1. 側突対応可能な車両用ドアトリムのアームレストであって、
    ひじを載せるための天面部分と、
    前記天面部分における車室内側の端部から下方に延びる側面部分と、を備え、
    前記天面部分には、車両前後方向に沿って線状に延びるように配列された複数の孔が形成され、前記天面部分において前記複数の孔と隣り合う位置には、補強リブが突出して設けられており、車両側突時には前記複数の孔を起点として前記天面部分が変形するようになっており、
    前記補強リブは、前記複数の孔の配列方向に沿って延びる線状をなしており、前記複数の孔に隣り合う位置で、かつ、前記複数の孔よりも車室外側となる位置に配置されていることを特徴とするアームレスト。
  2. 前記複数の孔は、長孔をその長手方向に沿って複数並べて配置したものであることを特徴とする請求項1に記載のアームレスト。
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