JP5514642B2 - 砥石及びその砥粒への逃げ面成形方法 - Google Patents
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Description
研削する際、切り込み深さや砥石周速等を変えることで、僅かな逃げ角を有する逃げ面106、107が形成される。
砥粒102の加工及び砥粒103の加工をそれぞれ行い、逃げ面106、107を成形することも考えられる。しかし、砥粒103と砥粒104が接近していると、逃げ面を成形するためのツルーイング砥石が隣接する砥粒に接触し、逃げ面加工の制御ができない。
ツルーイング砥石116が砥粒114に接触する位置に、ツルーイング砥石116を配置する。
ツルーイング砥石116を矢印(3)のように回転させながら、位置決め固定された回転工具112に対してツルーイング砥石116の半径方向の線118が回転工具112の中心線115に対して所定角度θ傾くように接近させ接触させる事で砥粒114に逃げ面が形成される。その後回転工具112を所定角度(図11では90°)回転させた後再度位置決め固定し回転工具112の円周上の全ての母材113上に整列配置した砥粒114に対して順次逃げ面が成形される。
そこで、容易な方法によって均一で高精度な逃げ面を成形する技術が求められている。
加えて、従来のツルーイングでは、法線上の砥粒が、法線と直角に交わる平面と平行にフラットに面付けされる。この点、本発明では、回転工具の法線上からオフセットされた状態でツルーイングにより面付けされた砥粒を、回転工具の法線上に位置するように元の位置に位置替えすることで、砥粒に逃げ面が付いている。すなわち、位置決め精度や、再現精度が向上させ、容易な方法で複数の砥粒に均一な逃げ角を有する逃げ面を成形できる。
さらに、回転工具を高速回転させることで、回転工具の円周上に設けられた複数の砥粒全てに、均一で高精度な逃げ面を短時間で成形することができる。
さらに、砥石を反転させるだけなので、砥石を回転工具に固定する工程の工数の低減を図ることができる。
図1に示されるように、砥石10を収納する砥石ポケット12が、円柱状の回転工具13の円周上に設けられている。砥石ポケット12に、被加工物を研削する砥石10が固定されている。
砥粒19に逃げ面20を付ける工程では、砥粒19は、回転工具13の法線14からL1だけオフセットした位置に砥粒の中心を通る線17が一致するように配置されている。
砥粒19に逃げ面20を付けるためのツルーイング砥石21を砥粒に接触させ、ツルーイング砥石21を矢印(5)のように回転させると共に回転工具13を矢印(6)のように回転させることで、砥粒19に逃げ面20が作られる。
逃げ面を付ける工程の際、砥粒19を回転工具13の法線14よりも図左側に距離L1だけオフセットした位置に配置するので、回転工具13を矢印(6)のように高速回転させることで、回転工具13の円周上に設けられた複数の砥粒19全てに、均一で高精度な逃げ面20を短時間で成形することができる。
図2に示されるように、ツルーイング砥石21は、成形装置23の回転軸24に固定されている。また、回転工具13は回転軸に取り外し可能に設けられており、回転工具13の円周上に砥石10を収納する砥石ポケット12が設けられている。そして、砥石10は、砥石ポケット12に固定具25により固定されている。
なお、実施例では、砥粒結合部18と本体部28を別部品として説明したが、砥粒接合部18と本体部28が一体となった部品であっても差し支えない。砥粒接合部18と本体部28が一体となった部品と場合は、一体となった部品を砥粒接合部18とする。そして、砥石10は、回転軸の軸線26に沿って延びて砥粒19が接合される砥粒接合部18と、回転軸の軸線26に平行に一列に並べられた形態で砥粒接合部18に接合されている砥粒19と、砥粒接合部18を回転工具13に固定する固定具25と、砥粒接合部18に設けられ固定具25を通す固定用穴27と、からなるものとする。
図4は、図3における砥粒19とツルーイング砥石21の接触部の拡大図である。
図4に示されるように、砥粒19はツルーイング砥石21に対して斜めに接触し、ツルーイング砥石21の径は砥粒19に対して十分に大きいので、接触面20は、平面となり、砥粒19に斜めの平滑面20(逃げ面20)が形成される。その結果、回転工具13の円周上に配置された複数の砥石10の砥粒19に略同一で高精度の逃げ面20を一度に形成することができる。
図5(a)に示されるように、固定具25を外し、砥石10を矢印(11)のように前後方向に反転させる。固定具25を外す前は、図5(b)に示されるように、砥粒19は回転工具13の法線14から距離L1だけオフセットされた位置にある。
図7(a)に示されるように、砥石10の本体部28に設けられた固定用穴27は長穴である。
逃げ面を付ける工程では、図7(b)に示されるように、砥粒19は回転工具13の法線14からオフセットされた位置にある。ツルーイング砥石21を矢印(14)のように回転させると共に回転工具13を矢印(15)のように回転させることで、図4の拡大図に示すように、砥粒19に逃げ面20が付けられる。砥粒19はツルーイング砥石21に対して斜めに接触し、ツルーイング砥石21の径は砥粒19に対して十分に大きいので、接触面20は、平面となり、砥粒19に斜めの平滑面20(逃げ面20)が形成される。その結果、回転工具13の円周上に配置された複数の砥石10の砥粒19に略同一で高精度の逃げ面20を一度に形成することができる。
図7(b)に示されるように、砥石ポケット12の端部32と砥石10の間にスペーサ33を配置し、固定具25で砥石10を回転工具13に固定する。その結果、斜めの平滑面20(逃げ面20)が形成された砥粒19を、スライドさせて、法線14上に配置することで、被加工物に対して逃げ角を有する逃げ面20をもった状態で研削することができる。
研削時は、図7(d)に示されるように、回転工具13を矢印(17)の向きに回転させる。この際、砥石10は回転工具13の回転方向と反対の方向に抵抗を受けるがスペーサ33があるので、砥石10の位置がずれることはない。
図8(a)は固定用穴27が長穴27の場合を説明する図である。固定用穴27は、一列に並べられた砥粒の中心を通る線17に直交する長穴27である。固定具(図7、符号25)を緩め、砥石10を回転工具(図7、符号13)に対してスライドさせ、固定具25により固定することで、ツルーイングする位置と被加工物を切削する位置とを位置替えすることができる。
図8(b)は固定用穴27が複数の穴27の場合を説明する図である。固定用穴27は、一列に並べられた砥粒の中心を通る線17に直交する方向に直列に並んでいる複数の穴27である。固定具25を外し、砥石10を回転工具(図7、符号13)に対してスライドさせ、固定具25異なる固定用穴27に挿通させて固定することで、ツルーイングする位置と被加工物を切削する位置とを位置替えすることができる。
図9(b)は固定用穴27が複数の穴27の場合を説明する図である。固定用穴27は、一列に並べられた砥粒の中心を通る線17に直交する方向に直列に並んでいる複数の穴27である。複数の穴の並び方向中心が、一列に並べられた砥粒の中心を通る線38から一定距離オフセットしている。固定具25を外し、砥石10を回転工具(図7、符号13)に対してスライドさせ、固定具25異なる固定用穴27に挿通させて固定することで、ツルーイングする位置と被加工物を切削する位置とを位置替えすることができる。また、固定具25を取り外し、回転工具13に対して砥石10を前後方向に反転させて固定具25で固定することで、ツルーイングする位置と被加工物を切削する位置とを位置替えすることもできる。
上記の図2、7に示されるように、回転軸に設けられた円柱状の回転工具13に形成されている少なくとも1個の砥石ポケット12に取り付けられる砥石10において、この砥石10は、回転軸の軸線26に沿って延びて砥粒19が接合される砥粒接合部18と、回転軸の軸線26に平行に一列に並べられた形態で砥粒接合部18に接合されている砥粒19と、砥粒接合部18を回転工具13に固定する固定具25と、砥粒接合部18に設けられ固定具25を通す固定用穴27と、からなり、砥粒19が回転工具13の法線14上位置からこの法線14よりオフセットした位置へ、位置替えできるように固定用穴27が形成されている。
加えて、従来のツルーイングでは、法線上の砥粒19が、法線14と直角に交わる平面と平行にフラットに面付けされる。この点、本発明では、回転工具13の法線14上からオフセットされた状態でツルーイングにより面付けされた砥粒19を、回転工具13の法線14上に位置するように元の位置に位置替えすることで、砥粒19に逃げ面20が付いている。すなわち、位置決め精度や、再現精度が向上させ、容易な方法で複数の砥粒19に均一な逃げ角を有する逃げ面20を成形できる。
さらに、回転工具13を高速回転させることで、回転工具13の円周上に設けられた複数の砥粒19全てに、均一で高精度な逃げ面20を短時間で成形することができる。
この構成により、回転工具13から砥石10を外し、前後に反転させるだけなので、容易に砥粒19を回転工具19の法線14上からオフセットされた位置に位置替えすることができる。
この構成により、固定具25を緩めた状態で、砥石10をスライドさせるので、容易に砥粒19を回転工具13の法線14上からオフセットされた位置に位置替えすることができる。
この構成により、回転工具13から砥石10を外し前後に反転させる方法でも、固定具25を緩めた状態で砥石10をスライドさせる方法でも、容易に砥粒19を回転工具13の法線14上からオフセットされた位置に位置替えすることができる。
この構成により、回転工具13から砥石10を外して位置をスライドさせ、異なる穴27に固定具25を挿通して砥石10を固定するだけであるので、容易に砥粒19を回転工具13の法線14上からオフセットされた位置に位置替えすることができる。
この構成により、回転工具13から砥石10を外し前後に反転させる方法でも、回転工具13から砥石10を外して位置をスライドさせ異なる穴27に固定具25を挿通して砥石10を固定する方法でも、容易に砥粒19を回転工具13の法線14上からオフセットされた位置に位置替えすることができる。
さらに、砥石10を切削に供するときの砥石定位置から平行移動によりオフセットするだけであるので、容易にツルーイングを行うことができる。
この構成により、特別な付帯設備が必要ないので、設備のコストダウンを図ることができる。さらに、砥石10を反転させるだけなので、砥石10を回転工具13に固定する工程の工数の低減を図ることができる。
Claims (8)
- 回転軸に設けられた円柱状の回転工具に形成されている少なくとも1個の砥石ポケットに取り付けられる砥石において、
この砥石は、前記回転軸の軸線に沿って延びて砥粒が接合される砥粒接合部と、前記回転軸の軸線に平行に一列に並べられた形態で前記砥粒接合部に接合されている前記砥粒と、前記砥粒接合部を前記回転工具に固定する固定具と、前記砥粒接合部に設けられ前記固定具を通す固定用穴と、からなり、
前記砥粒の全てに同一な所定の角度の逃げ角を有する逃げ面が形成されており、
前記砥粒が前記回転工具の法線上位置からこの法線よりオフセットした位置へ、位置替えできるように前記固定用穴が形成されていることを特徴とする砥石。 - 前記一列に並べられた前記砥粒の中心を通る線から一定距離オフセットした所に引かれたオフセット線上に、前記固定用穴が設けられていることを特徴とする請求項1記載の砥石。
- 前記固定用穴は、前記一列に並べられた前記砥粒の中心を通る線に直交する方向に延びる長穴であることを特徴とする請求項1記載の砥石。
- 前記長穴の長さ方向中心が、前記一列に並べられた前記砥粒の中心を通る線から一定距離オフセットしていることを特徴とする請求項3記載の砥石。
- 前記固定用穴は、前記一列に並べられた前記砥粒の中心を通る線に直交する方向に直列に並んでいる複数の穴であることを特徴とする請求項1記載の砥石。
- 前記複数の穴の並び方向中心が、前記一列に並べられた前記砥粒の中心を通る線から一定距離オフセットしていることを特徴とする請求項5記載の砥石。
- 回転軸に設けられた円柱状の回転工具に形成されている少なくとも1個の砥石ポケットに取り付けられる砥石であって、
この砥石は、前記回転軸の軸線に沿って延びて砥粒が接合される砥粒接合部と、前記回転軸の軸線に平行に一列に並べられた形態で前記砥粒接合部に接合されている前記砥粒と、前記砥粒接合部を前記回転工具に固定する固定具と、前記砥粒接合部に設けられ前記固定具を通す固定用穴と、からなり、
前記砥粒が前記回転工具の法線上位置からこの法線よりオフセットした位置へ、位置替えできるように前記固定用穴が形成され、
前記固定用穴は、前記一列に並べられた前記砥粒の中心を通る線に直交する方向に延びる長穴であり、
前記長穴の長さ方向中心が、前記一列に並べられた前記砥粒の中心を通る線から一定距離オフセットしている砥石を準備する工程と、
前記砥石を切削に供するときの砥石定位置から平行移動によりオフセットした位置に、前記砥石を移動し前記回転工具に固定する工程と、
ツルーイング砥石で、前記砥粒の全てに同一な所定の角度の逃げ角を有する逃げ面を付ける工程と、
前記砥石定位置へ前記砥石を付け替える工程と、からなることを特徴とする砥石を用いた砥粒の逃げ面成形方法。 - 回転軸に設けられた円柱状の回転工具に形成されている少なくとも1個の砥石ポケットに取り付けられる砥石であって、
この砥石は、前記回転軸の軸線に沿って延びて砥粒が接合される砥粒接合部と、前記回転軸の軸線に平行に一列に並べられた形態で前記砥粒接合部に接合されている前記砥粒と、前記砥粒接合部を前記回転工具に固定する固定具と、前記砥粒接合部に設けられ前記固定具を通す固定用穴と、からなり、
前記砥粒が前記回転工具の法線上位置からこの法線よりオフセットした位置へ、位置替えできるように前記固定用穴が形成され、
前記固定用穴は、前記一列に並べられた前記砥粒の中心を通る線に直交する方向に直列に並んでいる複数の穴であり、
前記複数の穴の並び方向中心が、前記一列に並べられた前記砥粒の中心を通る線から一定距離オフセットしている砥石を準備する工程と、
前記砥石を切削に供するときの砥石定位置からオフセットした位置に、前記砥石を前後方向に反転させて前記回転工具に固定する工程と、
ツルーイング砥石で、前記砥粒の全てに同一な所定の角度の逃げ角を有する逃げ面を付ける工程と、
前記砥石定位置へ前記砥石を付け替える工程と、からなることを特徴とする砥石を用いた砥粒の逃げ面成形方法。
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