JP5514532B2 - 摺動部品、摺動部品成形用の樹脂組成物及び摺動部品を備えたスピンドルモータ - Google Patents

摺動部品、摺動部品成形用の樹脂組成物及び摺動部品を備えたスピンドルモータ Download PDF

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Description

本発明は、軸受等の摺動部を構成する摺動部品と、射出成形により所要の摺動部品を成形するために用いられる樹脂組成物と、摺動部品を有する軸受機構を備えたスピンドルモータとに関する。
ハードディスク駆動装置等の記録ディスク駆動装置には、記録ディスクの駆動源としてスピンドルモータが備えられており、このスピンドルモータの軸受機構には、シャフトとの間に形成されるラジアル間隙及びスラスト間隙に潤滑油が充填される流体動圧軸受が採用されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
特許文献1には、このようなスピンドルモータの軸受機構として、シャフト、シャフトが挿入される円筒状のスリーブ、スリーブが挿入される有底円筒状のスリーブハウジング、スリーブの開口側に配置される環状のシール部材、及び、スリーブハウジングの内底面に配置されたスラスト部材を備え、スリーブが多孔質の焼結金属をもって形成され、スラスト部材が低摩擦性の合成樹脂材料をもって形成されたものが開示されている。また、この特許文献1には、スリーブハウジング自体を低摩擦性の合成樹脂材料をもって形成し、スラスト部材を省略した軸受機構も開示されている。
特許文献2には、特許文献1に開示された軸受機構のスリーブに対応する部分、スリーブハウジングに対応する部分、及び、スラスト部材に相当する部分を低摩擦性の合成樹脂材料をもって一体に形成した軸受機構が開示されている。また、この特許文献2には、低摩擦性の合成樹脂材料として、ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、本願明細書及び図面では、これを「PPS樹脂」と略称する。)樹脂を用いる技術も開示されている。
特許文献3には、回転体と固定体のうち、少なくとも軸受隙間を介して対向する部分を、PPS樹脂をベース樹脂とし、これに炭素繊維、カーボンブラック及び無機化合物等の充填物を充填した樹脂組成物にて形成する技術が開示されている。
特開2009−156360号公報 特開2009−017635号公報 特開2007−085448号公報
ところで、記録ディスク駆動装置に備えられるスピンドルモータには、より一層の記録密度の向上とディスクの高速回転化を図るため、高速回転性能に優れることが求められる。このため、シャフトのラジアル軸受面及びスラスト軸受面を構成する摺動部材には、基本的性能として高い寸法精度と耐摩耗性とを有していることが求められるが、近年においては、情報機器の低価格化の傾向に伴い、低コストであることも強く求められる。また、樹脂材料や樹脂組成物からなる摺動部品であって、電子装置や電気装置に使用されるものについては、回路の劣化を抑制するため、樹脂中のハロゲン含有率が900ppm以下のものを用いることが、日本電子回路工業会や電子機器技術評議会により推奨されている。なお、このような技術的課題は、記録ディスク駆動装置用のスピンドルモータのみならず、他の部品と高速度で摺動する摺動部品を備えた全ての装置について解決が求められる。
上述のように、特許文献2には、PPS樹脂を用いて摺動部材を成形する技術が開示され、特許文献3には、PPS樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物を用いて摺動部材を成形する技術が開示されている。PPS樹脂は、特許文献2,3にも記載されているように、耐摩耗材料のベース素材として有利であるが、その重合工程で発生する副生成物であるハロゲン化合物が樹脂中に少なからず残留している。PPS樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物は、PPS樹脂を単体で用いる場合に比べて、摺動部材の耐摩耗性を高めることができ、かつハロゲン含有率を低減できる点で有利である。
しかしながら、特許文献3に記載の摺動部品は、PPS樹脂に充填される繊維状充填物として、高価な炭素繊維のみを用いているので、高コストであり、低コスト化の要求に応じることが難しい。また、特許文献3に記載の技術は、耐摩耗性の改善のみを目的としたものであり、摺動部品中のハロゲン含有率を日本電子回路工業会や電子機器技術評議会で推奨する900ppm以下にすることについては、何ら考慮されていない。
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐摩耗性に優れると共に安価にしてハロゲン含有率の低い摺動部品を提供すること、この摺動部品を成形するための樹脂組成物を提供すること、及び摺動部品を軸受機構に備えたスピンドルモータを提供することにある。
本発明は、上述の技術的課題を解決するため、摺動部品に関しては、PPS樹脂中に充填物を分散させた樹脂組成物により形成された摺動部品において、前記PPS樹脂として、ハロゲン含有率が1800ppm〜2500ppmのものを用い、前記樹脂組成物は、前記充填物として少なくとも炭素繊維とガラス繊維の双方を含み、前記充填物の添加量は合計で50〜64質量%であり、前記充填物が添加された前記樹脂組成物中の理論ハロゲン量を900ppm以下とするという構成にした。
また本発明は、摺動部品に関して、前記樹脂組成物は、前記充填物であるポリアクリロニトリル系(以下、本願明細書及び図面では、これを「PAN系」と略称する。)炭素繊維とガラス繊維とを、合計で30〜50質量%含有しているという構成にした。
また本発明は、摺動部品に関して、前記樹脂組成物は、10〜30質量%のポリアクリロニトリル系炭素繊維と、20〜40質量%のガラス繊維とを含有しているという構成にした。
また本発明は、摺動部品に関して、前記樹脂組成物は、前記充填物として、さらに無機フィラーを4〜20質量%含有しているという構成にした。
また本発明は、摺動部品に関して、前記無機フィラーは、マイカ及びチタン酸カリウム繊維のうちの、少なくともいずれか一方であるという構成にした。
一方、樹脂組成物に関して、本発明は、PPS樹脂中に充填物を分散させた樹脂組成物であって、前記PPS樹脂として、ハロゲン含有率が1800ppm〜2500ppmのものを用い、前記充填物として少なくとも炭素繊維とガラス繊維の双方を含み、前記充填物の添加量は合計で50〜64質量%であり、前記充填物が添加された前記樹脂組成物中の理論ハロゲン量が900ppm以下であるという構成にした。
更に、スピンドルモータに関して、本発明は、固定組立体であるステータ部と、回転組立体であるロータ部と、シャフトを含む軸受機構とを備えたスピンドルモータにおいて、前記軸受機構は、前記シャフトと摺動する摺動部品を有しており、該摺動部品が請求項1から請求項5のいずれかに記載の摺動部品であるという構成にした。
また本発明は、スピンドルモータに関して、前記摺動部品は、スラストプレート、スリーブ及びスリーブハウジングの少なくとも1つであるという構成にした。
本発明の摺動部品及び樹脂組成物は、PPS樹脂中に50〜64質量%の充填物を分散してなるので、ハロゲン含有率が1800ppm〜2500ppmのPPS樹脂を用いて、摺動部品及び樹脂組成物中に含まれる理論上のハロゲン含有率を900ppm以下にすることができる。また、PPS樹脂中に、充填物として、炭素繊維とガラス繊維の双方を充填するので、高価な炭素繊維の一部をガラス繊維で置き換えることができ、摺動部品及び樹脂組成物を低コスト化することができる。一方、本発明のスピンドルモータは、軸受機構に備えられる摺動部品として、PPS樹脂中に充填物を分散させた樹脂組成物であって、充填物として少なくとも炭素繊維とガラス繊維の双方を含み、これら充填物の添加量は合計で50〜64質量%であり、樹脂組成物中のハロゲン含有率が900ppm以下である樹脂組成物からなるものを用いたので、低コストに製造でき、かつ耐久性を高めることができる。
記録ディスク駆動装置に適用されるスピンドルモータの一例を示す断面図である。 スピンドルモータに備えられる軸受機構の第1例を示す断面図である。 スピンドルモータに備えられる軸受機構の第2例を示す断面図である。 スピンドルモータに備えられる軸受機構の第3例を示す断面図である。 実施例に係る樹脂組成物の組成と、比較例に係る樹脂組成物の組成とを比較して示す表図である。 実施例に係る摺動部品及び樹脂組成物の特性と、比較例に係る摺動部品及び樹脂組成物の特性とを比較して示す表図である。
まず、本発明に係る摺動部品及び樹脂組成物の説明に先立ち、これらが適用される記録ディスク駆動装置用のスピンドルモータと、これに備えられる軸受機構の構成について説明する。
図1に示すように、本例のスピンドルモータ10は、アウタロータ型のモータであり、固定組立体であるステータ部2と、回転組立体であるロータ部3と、軸受機構4とを備える。軸受機構4にはシャフト41が備えられており、このシャフト41の上端部413に取り付けられたロータ部3は、軸受機構4を介してモータ10の中心軸J1を中心にステータ部2に対して回転可能に支持される。以下、中心軸J1に沿ってロータ部3側を上側、ステータ部2側を下側として説明するが、中心軸J1は必ずしも重力方向と一致する必要はない。なお、図中の符号11は、ロータ部3により回転駆動される記録ディスクを示している。
ロータ部3は、ステンレス鋼等により形成されてロータ部3の本体となるロータハブ31と、これに取り付けられた界磁用磁石32とを備え、ロータハブ31は、シャフト41の上端部413に取り付けられた略円板状の円板部311と、円板部311の外周から下側に突出する略円筒状のヨーク312を備える。界磁用磁石32は、ヨーク312の内側面に取り付けられる。
ステータ部2は、中央に略円筒状のホルダ211を有するベースブラケット21と、ホルダ211の周囲に取り付けられた電機子22とを備え、ホルダ211には後述する軸受機構4の有底円筒状のスリーブハウジング43が挿入されて固定される。電機子22は、径方向において界磁用磁石32と対向し、界磁用磁石32との間でシャフト41を回転駆動する回転力を発生する。
軸受機構4は、図2に示すように、シャフト41、シャフト41が挿入される円筒状のスリーブ42、スリーブ42が挿入される略有底円筒状のスリーブハウジング43、スリーブ42の上側に配置される環状のシール部材44、及び、スリーブハウジング43の内底面に配置されたスラスト部材45を備える。スリーブ42は焼結金属により形成された多孔質部材であり、スリーブハウジング43およびシール部材44はスリーブ42に含浸された潤滑油を保持する役割を果たす。
中心軸J1と同心に配置された円柱状のシャフト41は、上端部がスリーブハウジング43から上方に突出しており、このスリーブハウジング43から上方に突出したシャフト41の上端部に、ロータ部3を構成する略円板状の円板部311が圧入等により取り付けられる。シャフト41の下端部411は、下方に(即ち、スラスト部材45に向かって)凸である球面状となっており、この下端部411の近傍の外周面には、中心軸J1を中心とする環状の抜止部材412が取り付けられる。スリーブ42は、外側面がスリーブハウジング43内に固定され、スリーブ42の内側面は潤滑油を介してシャフト41を径方向に支持し、スリーブ42の下面421は、シャフト41に取り付けられた抜止部材412の上面4121と対向する。抜止部材412の上面4121とスリーブ42の下面421との間には、シャフト41がスリーブハウジング43に対して軸方向に移動可能な幅に対応する10〜40μmのアキシャル間隙46が形成され、シャフト41が上方に移動しても抜止部材412の上面4121とスリーブ42の下面421とが当接することによりシャフト41がスリーブ42から抜けることが防止される。
スリーブハウジング43は、円筒状の側部431及び略皿状の底部432を有し、バネ鋼である板部材のプレス加工にて連続した1つの部材として形成される。底部432は、側部431の下端部から中心軸J1に向かって内側に広がる略環状の段差部4321と、上端部が段差部4321の内縁と連続する有底円筒状のスラスト部材保持部4322を有する。
スラスト部材45は、PPS樹脂中に充填物を分散してなる樹脂組成物をもって略円板状に形成されており、上面(シャフト41との対向面)には、シャフト41の下端部411に形成された球面とほぼ同等の曲率を有する球面状の凹部が形成されている。このスラスト部材45は、スリーブハウジング43のスラスト部材保持部4322内に配置され、シャフト41のスラスト方向の力を受けるピボット軸受として機能する。
次に、記録ディスク駆動装置用スピンドルモータに備えられる軸受機構の他の構成例について説明する。図1及び図2の例においては、金属材料を用いて有底円筒状のスリーブハウジング43を形成し、このスリーブハウジング43の底部にPPS樹脂中に充填物を分散してなる樹脂組成物をもって形成されたスラスト部材45を配置したが、図3の例においては、スリーブハウジング43自体をPPS樹脂中に充填物を分散してなる樹脂組成物をもって形成し、スラスト部材45に相当する部材を省略している。また、図4の例においては、スリーブ42及びスリーブハウジング43に相当する部分をPPS樹脂中に充填物を分散してなる樹脂組成物をもって一体に形成し、スリーブ42及びスラスト部材45に相当する部材を省略している。本願明細書においては、これらPPS樹脂中に充填物を分散してなる樹脂組成物をもって形成された部品を、「摺動部品」という。摺動部品は、一般的には射出成形により製造されるが、切削その他の加工法により製造することも勿論可能である。
以下、本発明に係る摺動部品及び樹脂組成物の実施形態について説明する。
言うまでもなく、摺動部品には、動摩擦係数が小さいこと、耐摩耗性に優れること、流動性が高く成形加工性に優れること、及び低コストであることが求められる。また、これに加えて、電子装置や電気装置に適用される摺動部品については、回路の劣化を防止又は抑制するため、塩素や臭素等のハロゲン含有率が低いことが求められる。ハロゲン含有率については、900ppm以下であることが、日本電子回路工業会や電子機器技術評議会により推奨されている。
実施形態に係る摺動部品は、PPS樹脂中に、少なくとも炭素繊維(本願図面では、これを「CF」と表記する。)とガラス繊維(本願図面では、これを「GF」と表記する。)の双方を含む充填物を、合計で50〜64質量%分散してなる樹脂組成物をもって成形される。
ハロゲン含有率が1800ppm以下のPPS樹脂を用いる場合には、PPS樹脂中に50質量%以上の充填物を添加することにより、摺動部品中に含まれる理論ハロゲン量(PPS樹脂中のハロゲン含有量×充填物の充填率)を、日本電子回路工業会や電子機器技術評議会が推奨する900ppm以下にすることができる。また、ハロゲン含有率が2500ppm以下のPPS樹脂を用いる場合には、PPS樹脂中に64質量%以上の充填物を添加することにより、摺動部品中に含まれる理論ハロゲン量を、900ppm以下にすることができる。一方、PPS樹脂中に添加される充填物の充填率が64質量%を超えると、樹脂組成物の流動性が低下して、成形品の成形加工性が害されるが、充填物の充填量を64質量%以下にすることにより、良好な成形加工性を維持することができる。また、ガラス繊維は、炭素繊維に比べて安価であるので、PPS樹脂中に充填物として炭素繊維とガラス繊維とを添加することにより、ガラス繊維に置き換えられた炭素繊維の分だけ、摺動部品を低コスト化することができる。勿論、強度、弾性率、クリープ特性及び疲労特性などの機械特性並びに精密成形性に優れたPPS樹脂の母相中に、強度を高めるための炭素繊維及びガラス繊維を適量添加したので、所要の耐摩耗性及び動摩擦係数を有する。
炭素繊維には、アクリル長繊維を原料とするPAN系と、石炭タールや石油ピッチを原料とするピッチ系とがあるが、高強度にして耐摩耗性に優れることから、PAN系の炭素繊維を用いることが特に望ましい。
また、ガラス繊維としては、成形品の寸法安定性及び引張強度などを向上する効果があることから、長さ方向に対して垂直な面で切断したときの断面形状が円形〔異形比(断面の縦横比)が1〕のものよりも、異形比が1を超えるものを用いることが特に望ましい。
樹脂組成物中の炭素繊維とガラス繊維の含有率は、合計で30〜50質量%とすることが望ましい。30質量%を下回ると、他の充填物の含有率が過大になり過ぎて摺動部品の耐摩耗性及び機械強度が不足し、50質量%を超えると、樹脂組成物の流動性が低下して成形品の成形加工性が害されるからである。また、樹脂組成物中のガラス繊維の含有率は、実効性のある摺動部材の低コスト化を実現するため、樹脂組成物中の炭素繊維の含有率よりも高くすることが望ましい。このことから、樹脂組成物中の炭素繊維の含有率を10〜30質量%とし、ガラス繊維の含有率を20〜40質量%とする。
さらに、PPS樹脂の母相中には、炭素繊維及びガラス繊維と共に、他の充填物を添加することも可能である。他の充填物としては、成形加工性を高めるマイカ又はチタン酸カリウム繊維などの無機物や、耐衝撃性を高めるグリシジルメタクリレートなどの有機物を挙げることができる。無機物の含有率は4〜20質量%、有機物の含有率は0〜2質量%とすることが望ましい。無機物の含有率が4質量%を下回ると、樹脂組成物の流動性が不足し、20質量%を超えると、炭素繊維及びガラス繊維の充填量が不足して、耐摩耗性及び機械強度が害されるからである。
図5に、実施例1−9に係る樹脂組成物の組成と比較例1−7に係る樹脂組成物の組成とを示す。また、図6に、各実施例及び各比較例に係る摺動部品及び樹脂組成物の特性を示す。これらの各実施例及び各比較例においては、PPS樹脂として大日本インキ化学工業株式会社製のリニア型PPS樹脂LC−5G(溶融温度310℃、せん断速度10−1における溶融粘度280Pa・s、ハロゲン含有率1800ppm)を用い、炭素繊維として東邦テナックス株式会社製のPAN系炭素繊維HM35−C6S(繊維径;7μm、平均繊維長;6mm、引張り強さ;3240MPa)を用い、ガラス繊維として日東紡績株式会社製のCSG 3PA−820(カット長3mm、異形比4)を用いた。また、マイカとして、山田雲母工業所のAB−25Sを用い、チタン酸カリウム繊維として、大塚化学株式会社のティスモ(登録商標)Dを用いた。
実施例1−9及び比較例1−7に係る摺動部品及び樹脂組成物の特性評価は、図6に示すように、摩耗量、動摩擦係数、成形加工性(流動性)、樹脂組成物中の理論塩素量及びコストについて行った。動摩擦係数については、高千穂精機株式会社製のボールオンディスク式摩耗試験機μ3000を用いて測定した。試験条件は、試料が一辺の長さが35mmで厚みが3.5mmの方形の試験片、試験球の直径が3mm、試験球の押圧位置が試験片の回転中心から半径10mmの位置、試験荷重(試験片の表面に対する試験球の押し付け圧力)が5Nとし、試験片を500rpmで10分間回転駆動したときの値を測定した。摩擦量については、動摩擦係数の測定試験が行われた試験片の表面についた試験球の押圧痕の深さを、株式会社東京精密の表面粗さ測定機SURFCOM130Aで測定した。成形加工性については、直径が8.0mmで厚みが1.0mmのスラスト部材45(図1及び図2参照)を射出成形し、外観に欠陥があるか否かを目視で評価した。理論塩素量については、使用するPPS樹脂の塩素含有量と充填物の充填率とから算出した。また、コストは、最も高価な比較例1に係る樹脂組成物のコストとの比較にて示した。
また、各評価項目についての良否の判定は、以下の基準によった。即ち、摩耗量については、10μm以下を良品、10μmを超えるものを不良品とした。動摩擦係数については、0.3以下を良品、0.3を超えるものを不良品とした。成形加工性(流動性)については、外観不良が認められないものを良品(○印)、外観不良があるものを不良品(×印)とした。樹脂組成物中の理論塩素量については、日本電子回路工業会及び電子機器技術評議会の推奨値である900ppm以下のものを良品、900ppmを超えるものを不良品とした。また、コストについては、比較例1に係る樹脂組成物に比べて、25%以上コストダウンできるものを良品、コストダウンの効果が25%に満たないものを不良品とした。
図6から明らかなように、比較例1に係る樹脂組成物は、成形加工性及びコストについて、評価基準に達していない。比較例2に係る樹脂組成物は、理論塩素量及びコストについて、評価基準に達していない。比較例3に係る樹脂組成物は、動摩擦係数及び理論塩素量について、評価基準に達していない。比較例4に係る樹脂組成物は、摩耗量及び理論塩素量について、評価基準に達していない。比較例5に係る樹脂組成物は、摩耗量、理論塩素量及びコストについて、評価基準に達していない。比較例6,7に係る樹脂組成物は、摩耗量及びコストについて、評価基準に達していない。
これに対して、実施例1−9に係る樹脂組成物は、全ての評価基準を満たしており、本発明に係る摺動部品の原材料として適していることが分かる。
なお、本実施形態においては、記録ディスク駆動装置用スピンドルモータの軸受機構に備えられる摺動部材を例にとって説明したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、他の任意の摺動部に適用される摺動部材に適用することができる。
本発明は、モータ類の軸受機構に備えられる摺動部品に利用できる。
10 スピンドルモータ
11 記録ディスク
2 ステータ部
21 ベースブラケット
211 ホルダ
22 電機子
3 ロータ部
31 ロータハブ
311 円板部
312 ヨーク
32 界磁用磁石
4 軸受機構
41 シャフト
411 シャフトの下端部
412 抜止部材
43 スリーブハウジング
44 シール部材
45 スラスト部材
46 アキシャル間隙

Claims (8)

  1. ポリフェニレンサルファイド樹脂中に充填物を分散させた樹脂組成物により形成された摺動部品において、
    前記ポリフェニレンサルファイド樹脂として、ハロゲン含有率が1800ppm〜2500ppmのものを用い、前記樹脂組成物は、前記充填物として少なくとも炭素繊維とガラス繊維の双方を含み、前記充填物の添加量は合計で50〜64質量%であり、前記充填物が添加された前記樹脂組成物中の理論ハロゲン量を900ppm以下としたことを特徴とする摺動部品。
  2. 前記樹脂組成物は、前記充填物であるポリアクリロニトリル系炭素繊維とガラス繊維とを合計で30〜50質量%含有していることを特徴とする請求項1に記載の摺動部品。
  3. 前記樹脂組成物は、10〜30質量%のポリアクリロニトリル系炭素繊維と、20〜40質量%のガラス繊維とを含有していることを特徴とする請求項2に記載の摺動部品。
  4. 前記樹脂組成物は、前記充填物として、さらに無機フィラーを4〜20質量%含有していることを特徴とする請求項1に記載の摺動部品。
  5. 前記無機フィラーは、マイカ及びチタン酸カリウム繊維のうちの、少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項4に記載の摺動部品。
  6. ポリフェニレンサルファイド樹脂中に充填物を分散させた樹脂組成物であって、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂として、ハロゲン含有率が1800ppm〜2500ppmのものを用い、前記充填物として少なくとも炭素繊維とガラス繊維の双方を含み、前記充填物の添加量は合計で50〜64質量%であり、前記充填物が添加された前記樹脂組成物中の理論ハロゲン量が900ppm以下であることを特徴とする樹脂組成物。
  7. 固定組立体であるステータ部と、回転組立体であるロータ部と、シャフトを含む軸受機構とを備えたスピンドルモータにおいて、
    前記軸受機構は、前記シャフトと摺動する摺動部品を有しており、該摺動部品が請求項1から請求項5のいずれかに記載の摺動部品であることを特徴とするスピンドルモータ。
  8. 前記摺動部品は、スラストプレート、スリーブ及びスリーブハウジングの少なくとも1つであることを特徴とする請求項7に記載のスピンドルモータ。
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