JP5514087B2 - 可動ホーム柵 - Google Patents

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Description

本発明は、ホームの縁に沿って配置されたホームドアを開閉駆動する戸袋部を備えた腰高式の可動ホーム柵に関する。
従来、ホームの縁に沿って配置された開閉式のホームドア(乗降扉、可動柵などとも呼ばれる)により、乗客がホームから線路側へ転落するのを防止したり、入線する電車との接触を防止する可動ホーム柵、プラットホームドア装置などと呼ばれるものが知られるところである。
一般的には、入線した電車への乗り降り時にホームドアを収容する戸袋部がホームに立設される。ホームドアの開口部面積をできるだけ広く使用できるように、またホームでの通行面積をできるだけ広く取れるように、いかにホームドアをスペース効率良く戸袋部に収納できるかが技術的課題の1つとなる。勿論、戸袋部に相当する部分の小型化も重要である。
中には、プラットホーム上にホームドアの支持部材を2つ立設すると共に、支持部材をホームドアで覆うように構成することで、2つの支持部材を2枚のホームドアの内部に収納する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、ホームドアを収容する内部空間を構成せず、それでいて外から支持部材が丸見えにならないように工夫することで、設置スペースの小型化を図ることができる。
特開2006−142887号公報
さて、可動ホーム柵は定期的にメンテナンスが行われており、戸袋部をできるだけ小さくしたい要望があったとしても、構成要素の配置や各構成要素の形状等が複雑になりメンテナンス作業がし難くなるのは望ましくない。
本発明はこうした事情を鑑みて為されたものであり、本発明の目的は可動ホーム柵の設置スペースをできるだけ小さくする一方で、高いメンテナンス性を維持した可動ホーム柵を実現することである。
上記課題を解決するための第1の形態は、左右の乗降扉(例えば、図1の右のホームドア20R、左のホームドア20L)をホーム側から見て前後に重ねて収容し、左右方向に開閉駆動する戸袋部を備えた腰高式の可動ホーム柵であって、
ホーム側へ開口するメンテナンス開口部(例えば、図1のメンテナンスハッチ101、図6のメンテナンス開口部103)と、
前記戸袋部内の略同じ高さに設けられた、前記乗降扉を支持し左右方向にそれぞれ案内する2つのガイド部材(例えば、図6、図7の右ドアガイド部120、左ドアガイド部130)と、を備え、
前記ホーム側から見て手前方のガイド部材(例えば、図6、図7の右ドアガイド部120)は手前方の乗降扉(例えば、図7、図9の右のホームドア20R)の手前側に設けられ、奥方のガイド部材(例えば、図7、図9の左ドアガイド部130)は手前方の乗降扉と奥方の乗降扉(例えば、図7、図9の左のホームドア20L)との間に設けられ、前記メンテナンス開口部を開口することで前記左右の乗降扉の支持状態を目視可能なことを特徴とする可動ホーム柵である。
第1の形態によれば、左右の乗降扉を支持し左右方向にそれぞれ案内する2つのガイド部材は、戸袋部内に内蔵する要素としては比較的大型で場所を要する。その2つをホーム側から見て前後に重ねるように戸袋部内の略同じ高さに設け、更に、メンテナンス開口部を開口することでそれら左右の乗降扉の支持状態を目視可能な状況にすることで、戸袋部の厚みを抑え、且つ高さ方向におけるガイド部材の収容空間を半分にすることができる。
よって、良好なメンテナンス性を備えた小型の戸袋部を実現することができる。
第2の形態は、前記手前方のガイド部材の高さを調整する手前方調整部(例えば、図6、図13の調整ボルト125)と、前記奥方のガイド部材の高さを調整する奥方調整部(例えば、図6、図14の調整ボルト135)とを高さ違いに備え、
前記メンテナンス開口部から前記手前方調整部及び前記奥方調整部の双方が調整可能である第1の形態の可動ホーム柵である。
第2の形態によれば、第1の形態のホーム柵と同様の効果が得られるとともに、メンテナンス開口部から手前方調整部及び奥方調整部の双方に対して容易にメンテナンス作業が可能となるので、更にメンテナンス性が向上する。
第3の形態は、前記ガイド部材によって前記乗降扉が支持された状態で、前記手前方調整部及び前記奥方調整部の調整が可能である第2の形態の可動ホーム柵である。
第3の形態によれば、第2の形態の可動ホーム柵と同様の効果が得られるとともに、乗降扉を支持したまま、つまりは使用形態に最適なように調整できる。
第4の形態は、前記奥方のガイド部材の高さ方向の幅を、前記手前方のガイド部材の高さ方向の幅よりも広げる拡幅部(例えば、図14のサブホルダ136)を備え、
前記奥方調整部は前記拡幅部の高さを調整することで前記奥方のガイド部材の高さを調整し、前記手前方調整部及び前記奥方調整部それぞれが前記メンテナンス開口部側から側面視可能である第2又は第3の形態の可動ホーム柵である。
第4の形態によれば、第2又は第3の形態の可動ホーム柵と同様の効果が得られるとともに、拡幅部により奥方調整部と手前方調整部を高さ違いの場所に配置して、それぞれへのメンテナンス作業のスペースを確保できる。
第5の形態は、前記手前方調整部及び前記奥方調整部が、調整対象のガイド部材の左右端部それぞれに設けられており、手前方の乗降扉の全閉時に、当該乗降扉の出入口寄りの奥方調整部が前記メンテナンス開口部側から側面視可能となるように、当該手前方の乗降扉の形状及び/又は当該奥方調整部の配置位置が定められてなる、第2〜第4の何れかの形態の可動ホーム柵である。
第5の形態によれば、第2〜第4の何れかの形態の可動ホーム柵と同様の効果が得られるとともに、手前方の乗降扉の全閉時に、奥方調整部が手前方の乗降扉の影になってメンテナンスできなくなることを防ぐ。よって、よりメンテナンス性を向上させることができる。
第6の形態は、前記乗降扉が、戸尻側に張り出した張り出し部(例えば、図16のスライダ取付部26)を有し、前記張り出し部には、前記ガイド部材に支持される被支持部(図16のスライダ28)が設けられ、前記乗降扉の全閉時に前記戸袋部内に前記張り出し部が残存して当該乗降扉が支持される、第1〜第5の何れかの形態の可動ホーム柵である。
第6の形態によれば、第1〜第5の形態の何れかの可動ホーム柵と同様の効果が得られるとともに、乗降扉全閉時にメンテナンス開口部を開くと目前にメンテナンスするべき対象がそろうことになるので作業性が向上する。
第7の形態は、前記ガイド部材が、前記戸袋部内の上部に設けられてなる第1〜第6の何れかの形態の可動ホーム柵である。
第7の形態によれば、第1〜第6の形態の何れかと同様の効果が得られるとともに、乗降扉を強度的に有利に支持することができる。よって、乗降扉の支持に係る構成要素をより小型化・軽量化できる。
第8の形態は、前記乗降扉の下端が前後方向へ振れるのを抑制する振れ抑制部(例えば、図9のガイドローラ34、ドア振れ止め108)を備える第7の形態の可動ホーム柵である。
第8の形態によれば、第7の形態と同様の効果が得られるとともに、乗降扉の下端が振れるのを抑制できる。
本発明を適用した第1実施形態の使用形態を示す正面図。 ホームドアの支持・案内構造と駆動構造のレイアウトの例を示す概念図。 シミュレーションしたホームドアの内部構造の例を示す図であって、(1)上部で支持されるタイプのホームドアの例、(2)高さ中央付近で支持されるタイプのホームドアの例を示す。 上部で支持されるタイプのホームドアを用いたシミュレーション結果を示す応力分布図。 高さ中央付近で支持されるタイプのホームドアを用いたシミュレーション結果を示す応力分布図。 可動ホーム柵の構成例を示す閉状態の正面図であって、ホーム側正面に着脱自在或いは開閉自在に設けられるメンテナンスハッチの図示を省略したメンテナンス開口部が開かれた状態の正面図。 図6におけるA−A断面図。 図6におけるB−B断面図。 図6におけるC−C断面図。 可動ホーム柵の構成例を示す開状態の正面図であって、ホーム側正面に着脱自在或いは開閉自在に設けられるメンテナンスハッチの図示を省略したメンテナンス開口部が開かれた状態の正面図。 図10におけるD−D断面図。 図10におけるE−E断面図。 右のホームドアの支持構造の構成例を示す図であって、(1)正面図、(2)上面図、(3)F−F断面図。 左のホームドアの支持構造の構成例を示す図であって、(1)正面図、(2)上面図、(3)G−G断面図。 駆動機構部の構成例を示す図であって、(1)左ドア駆動機構部の正面図、(2)右ドア駆動機構部の正面図。 ホームドアの構成例を示す図であって、(1)正面側の外装板の一部をカット表記した右のホームドアの正面図、(2)正面側の外装板を表記した左のホームドアの正面図。
図1は、本発明を適用した第1実施形態の使用形態を示す正面図である。本実施形態の可動ホーム柵10は、左右2枚のホームドア20R,20Lを、一つの戸袋部100にホーム側から見て前後に重ねて収納する自動開閉式の柵である。
可動ホーム柵10は、プラットホーム2の軌道寄り端部に沿って複数配列される。
可動ホーム柵10は、入線した電車4への乗降タイミング以外は、左右のホームドア20R,20Lを閉じ、乗客がホームから転落したり入線する電車4との接触を防止する「閉状態」となる。そして、乗降開始前に(図中、白矢印で示す方向へスライドさせて)ホームドア20R,20Lを戸袋部100に収納し、乗車口6の前に乗降用開口部8を形成する「開状態」となる。乗降終了後、乗降用開口部8を閉じ、(図中、白矢印で示すのと反対方向へスライドさせて)ホームドア20R,20Lを再び戸袋部100に収納して「閉状態」にもどる。電車4への乗り降りの都度、これが繰り返される。
鉄道各社で相互乗り入れが通常化した今日、同じプラットホーム2にも複数の種類の電車が入線することになる。プラットホーム2に対する乗降扉6の相対位置が電車4の種類によって異なるので、乗降用開口部8を広く設けることで乗降扉6の相対位置の違いを許容する必要がある。こうした一つの戸袋部100に2つのホームドア20R,20Lを収容するレイアウトは、乗降用開口部8を広く設ける観点、更には限られプラットホーム2をより広く使うための工夫として大変有効と言える。
[レイアウトの考え方の説明]
次に、可動ホーム柵10、特に戸袋部100に収納されるホームドア20R,20Lの支持・案内構造と駆動構造のレイアウトの考え方について述べる。
可動ホーム柵10は、定期的なメンテナンスが必要である。メンテナンスハッチ101をどこに設けるかは、ホームドア20R,20Lの支持・案内構造と駆動構造のレイアウトによって決まると言っても過言ではない。メンテナンスハッチ101が複数必要な構成では、メンテナンス作業の都度、戸袋部100の裏に回ったり正面に戻ったりを繰り返すことにもなり作業効率は悪くなる。メンテナンスハッチ101をホーム側正面の1箇所に集約し、メンテナンス作業員がホーム側正面から必要なメンテナンス作業をできるようにレイアウトするのが好適である。
そこで、本実施形態の戸袋部100では、メンテナンスの対象となるホームドア20R,20Lの支持・案内・駆動に関する主要構造を、戸袋部内に異なる高さで並列配置することで、メンテナンスハッチ101を開けるだけで、支持・案内・駆動何れの構造に対しても正面からメンテナンス作業できるようにする。
図2は、ホームドア20R,20Lの支持・案内構造と駆動構造のレイアウトの例を示す概念図であって、メンテナンスハッチ101を省略して示している。
戸袋部100の大型化を回避しつつメンテナンス対象をできるだけ少なくする観点から、支持・案内構造12R,12Lはホームドア20R,20Lでそれぞれ一つとする。すると、メンテナンス作業の対象となる構造は、左右のホームドア20R,20Lの支持・案内構造12R,12L、駆動構造14R、14L、及び可動ホーム柵10を統合的に制御するための制御装置16の合計5要素である。
これらの要素を戸袋部100の内部に高さ違いに並列配置する場合、先ずは図2(1)に示すように、これらの各要素をそれぞれ5段に分けるレイアウトが考えられる。
しかし、本実施形態では、次の理由によりこのレイアウトを採用しない。
1つ目の理由は、このレイアウトでは、右のホームドア20Rや左のホームドア20Lの支持構造が左右で別々にならざるを得ない。そのため、支持・案内構造12Rと12Lとで設計要件が異なり、ホームドア20Rと20Lとでも設計要件が異なる。このことは、左右それぞれにおいて専用のパーツを用意する必要等が生じるためである。
2つ目の理由は、メンテナンス性の問題である。電車を待つ乗客がホームドア20R,20Lに誤ってぶつかってもプラットホーム2へ転落しないようにという安全性の観点や電車入線時の風圧等を考慮して、閉状態において軌道方向(ホーム側から見て前後方向)への荷重に耐えるようにホームドア20R,20Lを支持する必要がある。そのため、支持・案内構造12R,12Lは、比較的大きくなる。
図2(1)のレイアウトでは、支持・案内構造12R,12Lをそれぞれ1段として高さ違いに配置しているため、上述した5要素の高さ方向の間隔が窮屈となり、メンテナンス時の工具スペースなどを確保するのが難しい。勿論、戸袋部100自体をより高い大きさとすれば、各要素間に十分な距離を持たせて段違いに収容することができるが、ホーム上の乗降客への圧迫感軽減の観点や美観の観点からするとできれば避けたい対処方法である。
そこで、図2(2)や図2(3)のように、支持案内構造12R、12Lをほぼ同じ高さに配置することで、戸袋部100の内部空間を有効に利用し、工具スペースなどを確保しつつ駆動構造14R,14Lや制御装置16を配置できるようにする。
ここで考慮すべきは、支持・案内構造12R,12Lを戸袋部100のどの高さに設けるかである。本実施形態では、強度的な観点に立ち、閉状態のホームドア20R,20Lへホームから見て前後方向への荷重がかかった場合をシミュレーションし、荷重を効果的に受け止めることができる高さを選択した。
図3は、シミュレーションしたホームドアの内部構造の例を示す図であって、正面の化粧板(外装板)を透視した図である。
ホームドア20A,20Bは、パネルの外形を形づくるドアフレーム22の左右に渡る補強梁23を有し、上下に渡る補強支柱24を有する。そして、これらに連結するようにして、戸袋部100の支持・案内構造12R,12Lと係合するスライダ25(被支持部)を取り付けるスライダ取付部26が、ドアフレーム22より外(戸尻側)に張り出すようにして延設される。尚、戸袋部100の駆動構造14R,14Lとは、クランプ取付部30に設けたクランプ29とで係合するものとする。
そして、ホームドア20Aは、補強梁23及びスライダ取付部26がドアの上部に設けられ、別のホームドア20Bでは補強梁23及びスライダ取付部26がドアの高さ方向中央寄りに設けられている。シミュレーションでは、これら各ドアの上部にホーム側から軌道側(図3では図の奥方向)へ押す荷重を設定する。
図4は、ホームドア20Aを用いたシミュレーション結果を示す応力分布図である。図5は、ホームドア20Bを用いたシミュレーション結果を示す応力分布図である。
これらの図で明らかなように、補強梁23及びスライダ取付部26がドアの上部に設けられたホームドア20Aでは、補強梁23とドアフレーム22の結合部分と、スライダ取付部26とドアフレーム22の結合部分と、に僅かに応力が集中するだけである(図4の白矢印参照)。一方、補強梁23及びスライダ取付部26がドアの中央寄りに設けられたホームドア20Bでは、補強梁23とドアフレーム22の結合部分と、スライダ取付部26とドアフレーム22の結合部分とは勿論、その他の複数箇所に高い応力が発生する(図5の白矢印参照)。
補強梁23及びスライダ取付部26を、ドアの中央よりも更に下方に配置した場合、図5と同様に図4の結果よりも高い応力が発生する箇所が増えたり、応力そのものが更に高くなるであろうことが容易に想像される。
よって、これらのシミュレーション結果から、支持・案内構造12R,12Lを戸袋部100の出来るだけ上部に設けることとする。この結果、補強梁23及びスライダ取付部26がドアの上部に設けた方が強度的に有利であり、ホームドアを軽くできる。ひいては支持・案内構造12R、12Lの強度要件も低く抑えられるので、可動ホーム柵10全体の重量と製造コストを下げ、小型化に貢献できる。
[構成の詳細な説明]
では次に、本実施形態における可動ホーム柵10の詳細な構成について説明する。
図6は、可動ホーム柵10の構成例を示す閉状態の正面図であって、ホーム側正面に着脱自在或いは開閉自在に設けられるメンテナンスハッチ101の図示を省略し、メンテナンス開口部103が開かれた状態の正面図である。図7、図8、図9は、それぞれ図6におけるA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図である。
また、図10は可動ホーム柵10の構成例を示す開状態の透視正面図であって、ホーム側正面に着脱自在或いは開閉自在に設けられるメンテナンスハッチ101の図示を省略し、メンテナンス開口部103が開かれた状態の正面図である。図11及び図12は、それぞれ図10におけるD−D断面図、E−E断面図である。
本実施形態の可動ホーム柵10は、戸袋部100と、右のホームドア20Rと、左のホームドア20Lとを備える。
戸袋部100は、プラットホーム2の上面に固定された台座102の上に、4本の支柱を左右同士で連結したフレーム104を外装板106で覆い、内部には、右ドアガイド部120と、左ドアガイド部130と、右ドア駆動機構部180と、左ドア駆動機構部160と、ドアの開閉制御を電子・電気制御するための制御装置190とを備える。尚、制御装置190については、公知の同様の装置を適宜利用することができるので、ここでの詳細な説明は省略する。
外装板106の左右側面には、ホームドア20R,20Lが開閉運動時に挿通できる開口部がそれぞれ設けられており、正面には着脱式又は開閉式のメンテナンス用ハッチ101(図7,図8参照)が設けられている。
戸袋部100の内部空間の上部手前側には、右のホームドア20Rの支持・案内構造である右ドアガイド部120が、右ドアガイドホルダ124を介してフレーム104に固定されている。また、同じようにして、内部空間の上部奥側に、左のホームドア20Lの支持・案内構造である左ドアガイド部130が、左ドアガイドホルダ134を介してフレーム104に固定されている。
右ドアガイド部120と、左ドアガイド部130は、同じ高さに設置されており、ホーム側正面からみると左ドアガイド部130に右ドアガイド部120が重なって見えることになる。ホーム側から見ると、右ドアガイド部120より後に右のホームドア20R、その後に左ドアガイド部130、4つのうち最も後に左のホームドア20Lが配置される。
尚、ここで言う「同じ高さ」は、厳密に高低差の無い状態を含むのは勿論であるが、若干の高低差を許容する。その許容量は、前述のシミュレーションにおいて、左右のホームドア20R,20Lを案内・支持するための構造に与える負荷が大きく異ならない範囲であり、後述する高さ位置の調整量の範囲内とする。然して、より正確に表現すると「略同じ高さ」に設置されていることとなる。
これらの支持・案内構造について具体的に説明する。
図13は、右ドアガイド部120及びその右ドアガイドホルダ124の構成例を示す図であって、(1)正面図、(2)上面図、(3)(1)のF−F断面における分解図に相当する。
右ドアガイド部120は、右のホームドア20Rの開閉動作の案内機能を果たす。
具体的には、右ドアガイド部120は、左右に横長のガイド板120aの背面に、リニアレール120bが固定されている。このリニアレール120bは、右のホームドア20Rに取り付けたスライダ28(図16参照)と係合して、直動案内機構を構成する。
ガイド板120aの左右端部には、縦方向に長尺な長孔120d(図13(3)参照)が設けられており、右ドアガイドホルダ124の基部124aの正面に形成された垂直な取付面124dに対して固定ボルト121により固定される。勿論、固定ボルト121のボルトヘッドは戸袋部100の正面側に向いている。
右ドアガイドホルダ124は、右ドアガイド部120をフレーム104に連結・支持するとともに、同ガイド部の高さを調整する調整部(本実施形態のレイアウトにおける手前方調整部)としての機能を担う。
具体的には、右ドアガイドホルダ124の基部124aが、フレーム104にボルト締めや溶接により固定されている。この基部124aの下端には、調整ボルト支持片124bが延設されている。調整ボルト支持片124bには、調整ボルト125が先端を右ドアガイド部120の下端に当てるようにして螺合されている。
つまり、固定ボルト121を僅かに緩めた後に、調整ボルト125を回すことで右ドアガイド部120を所望する高さに合わせ、固定ボルト121を増し締めして調整後の高さで固定することができる。長孔120dの縦方向の長さが右ドアガイド部120の高さ位置の調整範囲となる。
図14は、左ドアガイド部130及びその左ドアガイドホルダ134の構成例を示す図であって、(1)正面図、(2)上面図、(3)(1)のG−G断面における分解図に相当する。
左ドアガイド部130は、左のホームドア20Lの開閉動作の案内機能を果たす。
具体的には、左ドアガイド部130は、左右に横長のガイド板130aの背面に、リニアレール130bが固定されている。このリニアレール130bは、左のホームドア20Lに取り付けられるスライダと係合して、直動案内機構を構成する。
ガイド板130aは、サブホルダ136を介して左ドアガイドホルダ134に固定される。
具体的には、ガイド板130aの左右端部には、ボルト孔130c(図14(3)参照)が設けられている。
サブホルダ136は、ガイド板130aを嵌着するガイド板嵌め込み溝部136aが設けられガイド板130aの縦幅よりも長い縦長の板材であって、その上下に縦に長い長孔136bが設けられている。
ガイド板130aは、固定ボルト133によりサブホルダ136のガイド板嵌め込み溝部136aに固定される。そして、サブホルダ136自体は、左ドアガイドホルダ134の基部134aの正面に形成された垂直な取付面134dに対して固定ボルト131により固定される。勿論、固定ボルト131のボルトヘッドは戸袋部100の正面側に向いている。
左ドアガイドホルダ134は、サブホルダ136を備え、左ドアガイド部130をフレーム104に連結・支持するとともに、同ガイド部の高さを調整する調整部(本実施形態のレイアウトにおける奥方調整部)としての機能を担う。換言すると、サブホルダ136は、奥方のガイド部材(この場合左ドアガイド部130)の高さ方向の幅を、手前方のガイド部材の高さ方向の幅よりも広げる拡幅部として機能する。
具体的には、左ドアガイドホルダ134の基部134aが、右ドアガイドホルダ124のちょうど後ろ側の位置でフレーム104にボルト締めや溶接により固定されている。この基部134aの下端には、調整ボルト支持片134bが延設されている。調整ボルト支持片134bは、ホーム側正面から見ると、右ドアガイドホルダ124の調整ボルト支持片124bよりも下方で、且つ左右方向にも異なる位置に設けられている。そして、当該調整ボルト支持片134bには、調整ボルト135が先端をサブホルダ136の下端に当てるようにして螺合されている。
つまり、固定ボルト131を僅かに緩めた後に、調整ボルト135を回すことで左ドアガイド部130を所望する高さに合わせ、固定ボルト131を増し締めして調整後の高さで固定することができる。長孔136dの縦方向の長さが左ドアガイド部130の高さ位置の調整範囲となる。
ここで、ホーム側正面から見て、右ドアガイド部120の高さを調整する調整ボルト125と、左ドアガイド部130の高さを調整する調整ボルト135との相対位置を見ると、図6に示すように、これら二つの調整ボルトは十分離されて高さ違いに配置されていることになる。よって、メンテナンス時に、影に隠れた側の調整ボルトを、例えば手首をひねるようにして奥に工具を入れて回すなどといった煩わしいこと無しに、これら調整ボルトそれぞれに対して容易に調整操作ができるようになっている。
図15は、本実施形態における駆動機構の構成例を示す図であって、(1)左のホームドア20L用の左ドア駆動機構部160、(2)右のホームドア20Rの右ドア駆動機構部180、をそれぞれ示している。
本実施形態では、ホームドア20R,20Lを開閉するための駆動機構として、タイミングベルトを用いる。戸袋部100内には、左ドア駆動機構部160が、右ガイドドア部120や左ドアガイド部130の下で左のホームドア20Lの手前側に配置され、更にその下位置に右ドア駆動機構部180が配置される。また、右ドア駆動機構部180は、左ドア駆動機構部160及び右のホームドア20Rより手前側に配置される(図9参照)。
具体的には、左ドア駆動機構部160は、戸袋部100の右のフレーム104にモータステー161で固定されたドア開閉モータ163(駆動プーリ162と一体型)と、左のフレーム104にプーリステー164で枢支された従動プーリ165と、これら両プーリの間に張設された歯付ベルト167を備える。
ドア開閉モータ163は、制御装置190(図6参照)によって回転駆動制御される。
プーリステー164は、従動プーリ165を枢支するスライドステー164bを、ベースステー164aに対して左右方向にスライド自在に備える。ベースステー164aには調整ボルト166が螺合されており、その先端がスライドステー164bの端面に当接することでベースステー164aに対するスライドステー164bの左右位置を微調整可能にしている。つまり、歯付ベルト167の張りを調整することができる。
また、モータステー161と、プーリステー164は、左のホームドア20Lのストッパー33(図16参照)と開状態/閉状態でそれぞれ何れかに当接するストッパー受け部161c、164cをそれぞれ有する。これらば、それぞれ左のホームドア20Lの収納位置又はドア突出位置を規制する。
左ドア駆動機構部160は、基本的には右ドア駆動機構部180と同様の構成を有する。但し、各要素の配置関係が右ドア駆動機構部180と左右反転している。また、モータステー161とプーリステー164は、右のホームドア20Rのストッパー33(図16参照)と閉状態/開状態でそれぞれ何れかに当接するストッパー受け部161c、164cをそれぞれ有する。これらば、それぞれ右のホームドア20Rの収納位置又はドア突出位置を規制するものとする。
次に、ホームドア20R,20Lの構造について説明する。
図16は、本実施形態におけるホームドア20R,20Lの構成例を示す図であって、(1)正面側の外装板の一部をカット表記した右のホームドア20Rの正面図、(2)正面側の外装板を表記した左のホームドア20Lの正面図に相当する。
右のホームドア20Rは、正面視矩形のドアフレーム22の内側上部に、補強梁23を左右に渡し、上下に補強支柱24を取り付けてその骨格を成す。そして、ドアフレーム22の正面側と背面側にそれぞれ外装板25を取り付け、パネル状のドアの主たる外形を形成する。
ドアフレーム22の戸袋部100に収容される戸尻側(図16(1)の左側)には、ドアフレーム22の左端及び補強梁23並びに補強支柱24に連結するようにして、スライダ取付部26がドアフレーム22より横方向へ張り出し、突設される。スライダ取付部26の正面側には、戸袋部100に内蔵される右ドアガイド部120のリニアレール(ガイドレール)120bと係合しその被支持部となるスライダ28が取り付けられている。
また、ドアフレーム22の戸袋部100に収容される側、スライダ取付部26よりも下方に、クランプ取付部30が突設されている。このクランプ取付部30には、右ドア駆動機構部180の歯付ベルト167(図15参照)を挟むクランプ32と、ストッパー受け部161c,164cと当接してドアの収納位置、突出位置を規制するストッパー33と、が取り付けられる。
また、ドアフレーム22の戸袋部100に収容される側の下面には、ガイドローラ34が固定される。ガイドローラ34は、ドア閉状態において、戸袋部100のフレーム104に取り付けられているドア振れ止め108に嵌入・係合し、ドアの振れを抑制する。
そして、本実施形態の右のホームドア20Rは、スライダ取付部26と、クランプ取付部30とが突設されることにより、当該ホームドアの収納側側面に、正面視略コの字型の切欠部36を形成している(図16参照)。この切欠部36は、図6に示すように、閉状態にしてメンテナンス作業する際に、左ドアガイドホルダ134の調整ボルト135と、左ドア駆動機構部160の駆動プーリ162とが、右のホームドア20Rに隠れてしまわないように、メンテナンス用の空間を確保する。
左のホームドア20Lは、切欠部36を省略した以外は基本的には右のホームドア20Rと同じで、左右の配置が反対になっている。
本実施形態によれば、戸袋部100に内蔵する要素のうち、比較的大きくなるホームドアのガイド部を接地面からほぼ同じ高さとし、ホーム側に開口するメンテナンス開口部から重なって見えるように配置する。これにより、戸袋部100の内部スペースを有効に活用して、ガイド部と駆動機構部と制御装置とをメンテナンス用の作業スペースを確保しつつ段違いに配置することができる。よって、良好なメンテナンス性を有した小型の戸袋部100を実現できる。
また、右ドアガイド部120及び左ドアガイド部130の高さを調整する調整ボルト125,135を高さ違いに配置し、メンテナンス開口部103の正面から両方が一度に見えるように、一度に調整作業ができるようにしたので、更にメンテナンス性を高めている。
また、メンテナンス作業する際、閉状態の右のホームドア20Rの背後に、左ドアガイド部130の調整ボルト135や、左ドア駆動機構部160の駆動プーリ162等が隠れてしまわないように、右のホームドア20Rに切欠部36が設けられ、また切欠部36から調整ボルト135や駆動プーリ162が見えるように設定されている。よって、メンテナンス性を一層向上させている。
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明の適用形態はこれらに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない限りにおいて適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
例えば、切欠部36は、切り欠きではなく窓であっても良い。また、左ドア駆動機構部160の駆動プーリ162の配置位置の工夫によって、切欠部36を省略する構成としても良い。
10 可動ホーム柵
20R 右のホームドア
20L 左のホームドア
28 スライダ
32 クランプ
34 ガイドローラ
36 切欠部
100 戸袋部
108 ドア振れ止め
120 右ドアガイド部
125 調整ボルト
130 左ドアガイド部
135 調整ボルト
136 サブホルダ
160 左ドア駆動機構部
180 右ドア駆動機構部
190 制御装置

Claims (8)

  1. 左右の乗降扉をホーム側から見て前後に重ねて収容し、左右方向に開閉駆動する戸袋部を備えた腰高式の可動ホーム柵であって、
    ホーム側へ開口するメンテナンス開口部と、
    前記戸袋部内の略同じ高さに設けられた、前記乗降扉を支持し左右方向にそれぞれ案内する2つのガイド部材と、
    を備え、前記ホーム側から見て手前方のガイド部材は手前方の乗降扉の手前側に設けられ、奥方のガイド部材は手前方の乗降扉と奥方の乗降扉との間に設けられ、前記メンテナンス開口部を開口することで前記左右の乗降扉の支持状態を目視可能なことを特徴とする可動ホーム柵。
  2. 前記手前方のガイド部材の高さを調整する手前方調整部と、前記奥方のガイド部材の高さを調整する奥方調整部とを高さ違いに備え、
    前記メンテナンス開口部から前記手前方調整部及び前記奥方調整部の双方が調整可能である
    請求項1に記載の可動ホーム柵。
  3. 前記ガイド部材によって前記乗降扉が支持された状態で、前記手前方調整部及び前記奥方調整部の調整が可能である、
    請求項2に記載の可動ホーム柵。
  4. 前記奥方のガイド部材の高さ方向の幅を、前記手前方のガイド部材の高さ方向の幅よりも広げる拡幅部を備え、
    前記奥方調整部は前記拡幅部の高さを調整することで前記奥方のガイド部材の高さを調整し、前記手前方調整部及び前記奥方調整部それぞれが前記メンテナンス開口部側から側面視可能である、
    請求項2又は3に記載の可動ホーム柵。
  5. 前記手前方調整部及び前記奥方調整部は、調整対象のガイド部材の左右端部それぞれに設けられており、
    手前方の乗降扉の全閉時に、当該乗降扉の出入口寄りの奥方調整部が前記メンテナンス開口部側から側面視可能となるように、当該手前方の乗降扉の形状及び/又は当該奥方調整部の配置位置が定められてなる、
    請求項2〜4の何れか一項に記載の可動ホーム柵。
  6. 前記乗降扉は、戸尻側に張り出した張り出し部を有し、
    前記張り出し部には、前記ガイド部材に支持される被支持部が設けられ、前記乗降扉の全閉時に前記戸袋部内に前記張り出し部が残存して当該乗降扉が支持される、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の可動ホーム柵。
  7. 前記ガイド部材は、前記戸袋部内の上部に設けられてなる
    請求項1〜6の何れか一項に記載の可動ホーム柵。
  8. 前記乗降扉の下端が前後方向へ振れるのを抑制する振れ抑制部を備える
    請求項7に記載の可動ホーム柵。
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