JP5512920B2 - 高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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本発明は、冷却固化が速いため射出成形が困難であるという高熱伝導性樹脂の課題を画期的に改良した、高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物に関する。さらには、地球上の二酸化炭素を積極的に固定化して得られ、地球温暖化防止に期待がもたれる植物由来の生分解性ポリマーを含む高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物及びそれを使用した成形体に関する。更に詳しくは生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂であるポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体、及び高熱伝導性無機化合物からなる、高熱伝導性と優れた成形加工性とを併せ持った樹脂組成物及び成形体に関する。
熱可塑性樹脂組成物をパソコンやディスプレーの筐体、電子デバイス材料、自動車の内外装、など種々の用途に使用する際、プラスチックは金属材料など無機物と比較して熱伝導性が低いため、発生する熱を逃がしづらいことが問題になることがある。このような課題を解決するため、高熱伝導性無機物を大量に熱可塑性樹脂中に配合することで、高熱伝導性樹脂組成物を得ようとする試みが広くなされている。高熱伝導性無機化合物としては、グラファイト、炭素繊維、アルミナ、窒化ホウ素、などの高熱伝導性無機物を、通常は30体積%以上、さらには50体積%以上もの高含有量で樹脂中に配合する必要がある。
しかしながら、高熱伝導性熱可塑性樹脂を通常良く用いられる射出成形法で成形しようとすると、その高熱伝導性が故に金型内に流入した樹脂が高速に冷却固化してしまい、金型内のゲート部が固化した後は全く型内に樹脂を流入させることができなくなるという課題がある。これを解決するためには、高熱伝導性熱可塑性樹脂を射出成形する際には、ホットランナーと特殊形状のゲートの組み合わせなど特殊な金型が必要となり、汎用金型での成形が不可能であることが普及の妨げとなっている。
一方で近年プラスチックが多量に使用・廃棄されるにつれ、プラスチック廃棄物の問題を解決するものとして、生分解性プラスチックの開発が盛んになっている。また、これら生分解性プラスチックの中でも植物由来のものは、空気中の二酸化炭素を吸収固定化して生産されたものであるため、これら植物由来の生分解性プラスチックを燃焼等により廃棄した際に出る二酸化炭素はもともと空気中にあったもので、大気中の二酸化炭素は増加しない。このことをカーボンニュートラルと称し、地球温暖化防止に効果があることから重要視されている。
これら課題に対応する樹脂として、地球上の二酸化炭素を積極的に固定化して得られる植物由来の生分解性ポリマーである一般式(1):[−CHR−CH−CO−O−](式中、RはC2n+1で表されるアルキル基を表し、n=1〜15の整数である。)で示される(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(以下PHBHと略す)が有望であり、現在鋭意研究開発が進められている。しかしながら、PHBHはその組成によっては結晶化速度が非常に遅くなるため、射出成形法にて通常の金型で成形しようとすると、固化速度が非常に遅くなり、金型内で樹脂が完全に固化して取り出されるまでに非常に長時間を要するので、成形サイクルが長くなり成形時の生産性が低くなるという課題があった。
PHBHの結晶化速度を速める検討として、例えば特許文献1では木粉などの結晶核剤を添加する方法が示されているが、さらなる速度向上が求められている。
特開2006−45366号公報
本発明は上記現状に鑑み、高熱伝導性熱可塑性樹脂の金型内冷却時の固化速度を大幅に遅くすることで、汎用射出成形用金型でも高熱伝導性熱可塑性樹脂の成形を可能にすることにある。
本発明者は、PHBHが有する固化速度が遅いという特性を有効に活用することで、高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物の金型内冷却時の固化速度を大幅に遅延させうることを見出した。さらには本樹脂組成物が、生分解性やカーボンニュートラルなど、優れた環境適合性をも合わせ持っていることを見出し、本発明にいたった。
すなわち本発明は、
一般式(1):[−CHR−CH−CO−O−](式中、RはC2n+1で表されるアルキル基を表し、n=1〜15の整数である。)で示される繰り返し単位からなる(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)に対して、単体での熱伝導率が10/m・K以上の高熱伝導性無機化合物(B)を含有し、かつ得られる熱可塑性樹脂組成物の熱伝導率が0.8W/mK以上であることを特徴とする、高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項1)であり、
前記(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)が、生分解性であることを特徴とする、請求項1記載の樹脂組成物(請求項2)であり、
前記(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)が、(3−ヒドロキシブチレート)繰り返し単位および(3−ヒドロキシヘキサノエート)繰り返し単位からなるポリ[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)]共重合体であることを特徴とする、請求項1または2記載の樹脂組成物(請求項3)であり、
前記(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)の重量平均分子量Mwが30万〜300万であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項4)であり、
前記[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)]共重合体の繰り返し単位の構成比が、(3−ヒドロキシブチレート)単位/(3−ヒドロキシヘキサノエート)単位=99/1〜80/20(mol/mol)で表されることを特徴とする、請求項3記載の樹脂組成物(請求項5)であり、
(B)が、グラファイト、導電性金属粉、軟磁性フェライト、炭素繊維、導電性金属繊維、からなる群より選ばれる1種以上の高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする、請求項1〜5いずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項6)であり、
(B)が、単体での熱伝導率が20W/m・K以上の電気絶縁性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする、請求項1〜5いずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項7)であり、
(B)が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、ダイヤモンド、からなる群より選ばれる1種以上の高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする、請求項1〜5または7いずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項8)であり、
(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)/高熱伝導性無機化合物(B)の組成物中での(A)/(B)体積比が、5/95〜95/5の範囲であることを特徴とする、請求項1〜8いずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項9)であり、
請求項1〜9いずれか1項に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物を射出成形して作成された、高熱伝導性成形体(請求項10)である。
本発明の方法を用いることにより、高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物の金型内冷却時の固化速度を遅延させることで、射出成形時の成形加工性を大幅に改良することに成功した。さらに本樹脂組成物は、生分解性やカーボンニュートラルなど、優れた環境適合性をも合わせ持っている。
このようにして得られた複合材料は、樹脂フィルム、樹脂成形品、樹脂発泡体、塗料やコーティング剤、などさまざまな形態で、電子材料、磁性材料、触媒材料、構造体材料、光学材料、医療材料、自動車材料、建築材料、等の各種の用途に幅広く用いることが可能である。本発明で得られた高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物は、現在広く用いられている射出成形機や押出成形機等の一般的なプラスチック用成形機が使用可能であるため、複雑な形状を有する製品への成形も容易である。特に優れた成形加工性、高熱伝導性、植物由来、という優れた特性を併せ持つことから、発熱源を内部に有する携帯電話、ディスプレー、コンピューターなどの筐体用樹脂として、非常に有用である。
本発明における熱可塑性樹脂としては、嫌気性下で分解する性質や、耐湿性に優れる点、高分子量化が可能である点から、一般式(1):[−CHR−CH−CO−O−](式中、RはC2n+1で表されるアルキル基を表し、n=1〜15の整数である。)で示される繰り返し単位からなる(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)が用いられる。
本発明における(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体の代表例としては、例えば、(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)共重合体、(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシオクタノエート)共重合体、(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシデカノエート)共重合体等が挙げられる。この中でも、[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)]共重合体が好ましく、微生物によって生産される共重合体がより好ましい。必要に応じて、更に、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸またはポリカプロラクトンの他に、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体としての、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートまたはポリブチレンサクシネートあるいはそれらの共重合体などの脂肪族ポリエステルを1種又は2種以上添加することができる。
ここで、[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)]共重合体とは、3−ヒドロキシブチレート及び3−ヒドロキシヘキサノエートを主成分とする共重合体の総称として用いるものである。該共重合体は、3−ヒドロキシブチレート及び3−ヒドロキシヘキサノエートを主成分とするものである限り、上述のような他の単量体成分を含んでもよい。また、上記共重合体を得るための重合方法は特に限定されず、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合等のいずれの共重合方法を適用してもよいが、得られる共重合体の物性を制御しやすいことから、ブロック共重合体よりもランダム共重合体を得る方が好ましい。
本発明における[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)]共重合体の繰り返し単位の構成比としては、(3−ヒドロキシブチレート)単位/(3−ヒドロキシヘキサノエート)単位=99/1〜80/20(mol/mol)であることが好ましく、98/2〜82/18(mol/mol)であることがより好ましく、97/3〜85/15(mol/mol)であることがさらに好ましい。なお、[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)]共重合体の繰り返し単位の構成比に関しては、HH比率と略する場合がある。
本発明の(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量で30万〜300万であることが好ましく、40万〜250万であることがより好ましく、50万〜200万であることが更に好ましい。(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体の重量平均分子量が30万未満では、強度などの機械的特性が不十分である場合があり、300万を超えると、成形性が劣る場合がある。
なお、(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体の重量平均分子量の測定方法は特に限定されないが、一例としては、クロロホルムを移動相として、システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムに、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いることにより、本発明の樹脂組成物のポリスチレン換算での分子量として求めることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)以外の各種熱可塑性樹脂をさらに用いることができる。(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体以外の熱可塑性樹脂は、合成樹脂であっても自然界に存在する樹脂であっても良い。
(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体以外の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレンなどの芳香族ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリルなどのシアン化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニルなどの塩素系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のポリメタアクリル酸エステル系樹脂やポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンや環状ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂及びこれらの誘導体樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂やポリアクリル酸系樹脂及びこれらの金属塩系樹脂、ポリ共役ジエン系樹脂、マレイン酸やフマル酸及びこれらの誘導体を重合して得られるポリマー、マレイミド系化合物を重合して得られるポリマー、非晶性半芳香族ポリエステルや非晶性全芳香族ポリエステルなどの非晶性ポリエステル系樹脂、結晶性半芳香族ポリエステルや結晶性全芳香族ポリエステルなどの結晶性ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリアミドや脂肪族−芳香族ポリアミドや全芳香族ポリアミドなどのポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアルキレンオキシド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、フェノキシ系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、液晶ポリマー、及びこれら例示されたポリマーのランダム・ブロック・グラフト共重合体、などが挙げられる。これら(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体以外の熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上の複数を組み合わせて用いることができる。2種以上の樹脂を組み合わせて用いる場合には、必要に応じて相溶化剤などを添加して用いることもできる。これら(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体以外の熱可塑性樹脂は、目的に応じて適宜使い分ければよい。
これら(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体以外の熱可塑性樹脂の中でも、樹脂の一部あるいは全部が結晶性あるいは液晶性を有する熱可塑性樹脂であることが、得られた樹脂組成物の熱伝導率が高くなる傾向がある点や、無機化合物(B)を樹脂中に含有させることが容易である点から好ましい。これら結晶性あるいは液晶性を有する熱可塑性樹脂は、樹脂全体が結晶性であっても、ブロックあるいはグラフト共重合体樹脂の分子中における特定ブロックのみが結晶性や液晶性であるなど樹脂の一部のみが結晶性あるいは液晶性であっても良い。樹脂の結晶化度には特に制限はない。また(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体以外の熱可塑性樹脂として、非晶性樹脂と結晶性あるいは液晶性樹脂とのポリマーアロイを用いることもできる。樹脂の結晶化度には特に制限はない。
樹脂の一部あるいは全部が結晶性あるいは液晶性を有する(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体以外の熱可塑性樹脂の中には、結晶化させることが可能であっても、単独で用いたり特性の成形加工条件で成形したりすることにより場合によっては非晶性を示す樹脂もある。このような樹脂を用いる場合には、無機化合物(B)の添加量や添加方法を調整したり、延伸処理や後結晶化処理をするなど成形加工方法を工夫したりすることにより、樹脂の一部あるいは全体を結晶化させることができる場合もある。
結晶性あるいは液晶性を有する熱可塑性樹脂の中でも好ましい樹脂として、結晶性ポリエステル系樹脂、結晶性ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、液晶ポリマー、結晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系ブロック共重合体、等を例示することができるが、これらに限らず各種の結晶性樹脂や液晶性樹脂を用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合する、単体での熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導性無機化合物(B)は、単体での熱伝導率が10W/m・K以上のものを用いることができる。10W/m・K未満では、組成物の熱伝導率を向上させる効果に劣るため好ましくない。単体での熱伝導率は、好ましくは12W/m・K以上、さらに好ましくは15W/m・K以上、最も好ましくは20W/m・K以上、特に好ましくは30W/m・K以上のものが用いられる。高熱伝導性無機化合物(B)単体での熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、一般的には3000W/m・K以下、さらには2500W/m・K以下、のものが好ましく用いられる。
組成物として特に電気絶縁性が要求されない用途に用いる場合には、高熱伝導性無機化合物(B)としては金属系化合物や導電性炭素化号物などが好ましく用いられる。これらの中でも、熱伝導性に優れることから、グラファイト、炭素繊維、などの導電性炭素材料、各種金属を微粒子化した導電性金属粉、各種金属を繊維状に加工した導電性金属繊維、各種フェライト類、酸化亜鉛、などの金属酸化物、を好ましく用いることができる。
組成物として電気絶縁性が要求される用途に用いる場合には、高熱伝導性無機化合物(B)としては電気絶縁性を示す化合物が好ましく用いられる。電気絶縁性とは具体的には、電気抵抗率1Ω・cm以上のものを示すこととするが、好ましくは10Ω・cm以上、より好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1010Ω・cm以上、最も好ましくは1013Ω・cm以上のものを用いるのが好ましい。電気抵抗率の上限には特に制限は無いが、一般的には1018Ω・cm以下である。本発明の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の電気絶縁性も上記範囲にあることが好ましい。
高熱伝導性無機化合物(B)のうち、電気絶縁性を示す化合物としては具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅、等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、ダイヤモンド、等の絶縁性炭素材料、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等の金属水酸化物、を例示することができる。
中でも電気絶縁性に優れることから、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、等の金属酸化物、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等の金属水酸化物、ダイヤモンド、等の絶縁性炭素材料、をより好ましく用いることができる。これらは単独あるいは複数種類を組み合わせて用いることができる。
高熱伝導性無機化合物(B)の形状については、種々の形状のものを適応可能である。例えば粒子状、微粒子状、ナノ粒子、凝集粒子状、チューブ状、ナノチューブ状、ワイヤ状、ロッド状、針状、板状、不定形、ラグビーボール状、六面体状、大粒子と微小粒子とが複合化した複合粒子状、液体、など種々の形状を例示することができる。またこれら高熱伝導性無機化合物(B)は天然物であってもよいし、合成されたものであってもよい。天然物の場合、産地等には特に限定はなく、適宜選択することができる。これら高熱伝導性無機化合物(B)は、1種類のみを単独で用いてもよいし、形状、平均粒子径、種類、表面処理剤等が異なる2種以上を併用してもよい。
これら高熱伝導性無機化合物(B)は、樹脂と無機化合物との界面の接着性を高めたり、作業性を容易にしたりするため、シラン処理剤等の各種表面処理剤で表面処理がなされたものであってもよい。表面処理剤としては特に限定されず、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、等従来公知のものを使用することができる。中でもエポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、及び、アミノシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、ポリオキシエチレンシラン、等が樹脂の物性を低下させることが少ないため好ましい。無機化合物の表面処理方法としては特に限定されず、通常の処理方法を利用できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)と高熱伝導性無機化合物(B)の使用量は、(A)/(B)体積比が5/95〜95/5となるよう含有することが好ましい。3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)の使用量が多いほど、得られる成形品の耐衝撃性、表面性、成形加工性が向上し、溶融混練時の樹脂との混練が容易になる傾向がある、という観点から、体積比の下限は好ましくは10/90以上、より好ましくは15/85以上、最も好ましくは20/80以上である。また(B)化合物が多いほど熱伝導率が向上する傾向があり好ましいという観点から、体積比の上限は好ましくは80/20以下、より好ましくは75/25以下、さらに好ましくは70/30以下、最も好ましくは65/35以下である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、樹脂組成物の耐熱性や機械的強度をより高めるため、本発明の特徴を損なわない範囲で(B)以外の無機化合物を更に添加することができる。このような無機化合物としては特に限定ない。但しこれら無機化合物を添加すると、熱伝導率に影響をおよぼす場合があるため、添加量などには注意が必要である。これら無機化合物も表面処理がなされていてもよい。これらを使用する場合、その添加量は、(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)100重量部に対して、100重量以下であることが好ましい。添加量が100重量部を超えると、耐衝撃性が低下するうえ、成形加工性が低下する場合もある。好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下である。また、これら無機化合物の添加量が増加するとともに、成形品の表面性や寸法安定性が悪化する傾向が見られるため、これらの特性が重視される場合には、無機化合物の添加量をできるだけ少なくすることが好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物をより高性能なものにするため、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤等の熱安定剤等を、単独又は2種類以上を組み合わせて添加することが好ましい。更に必要に応じて、一般に良く知られている、安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤、リン系以外の難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤等を、単独又は2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては特に限定されるものではない。例えば、上述した成分や添加剤等を乾燥させた後、単軸、2軸等の押出機のような溶融混練機にて溶融混練することにより製造することができる。また、配合成分が液体である場合は、液体供給ポンプ等を用いて溶融混練機に途中添加して製造することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工法としては特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カレンダー成形等が利用できる。これらの中でも成形サイクルが短く生産効率に優れること、本組成物が射出成形時の流動性が良好であるという特性を有していること、などから、射出成形法により射出成形することが好ましい。
本願発明の組成物は、実施例でも示すとおり良好な熱伝導性を示し、0.8W/m・K以上、好ましくは1W/m・K以上、さらに好ましくは1.3W/m・K以上の成形体を得ることが可能である。
本発明の樹脂組成物においては、必要に応じ造核剤などの結晶化促進剤を添加することにより、成形性をさらに改善することができる。
本発明において用いられる結晶化促進剤としては、例えば、高級脂肪酸アミド、尿素誘導体、ソルビトール系化合物、高級脂肪酸塩、芳香族脂肪酸塩等が挙げられ、これらは1種又は2種以上用いることができる。なかでも結晶化促進剤としての効果が高いことから、高級脂肪酸アミド、尿素誘導体、ソルビトール系化合物が好ましい。
上記高級脂肪酸アミドとしては、例えば、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、N−ステアリルベヘン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、p−フェニレンビスステアリン酸アミド、エチレンジアミンとステアリン酸とセバシン酸の重縮合物等が挙げられ、特にベヘン酸アミドが好ましい。
上記尿素誘導体としては、ビス(ステアリルウレイド)ヘキサン、4,4’−ビス(3−メチルウレイド)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(3−シクロヘキシルウレイド)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(3−シクロヘキシルウレイド)ジシクロヘキシルメタン、4,4’−ビス(3−フェニルウレイド)ジシクロヘキシルメタン、ビス(3−メチルシクロヘキシルウレイド)ヘキサン、4,4’−ビス(3−デシルウレイド)ジフェニルメタン、N−オクチル−N’−フェニルウレア、N,N’−ジフェニルウレア、N−トリル−N’−シクロヘキシルウレア、N,N’−ジシクロヘキシルウレア、N−フェニル−N’−トリブロモフェニルウレア、N−フェニル−N’−トリルウレア、N−シクロヘキシル−N’−フェニルウレア等が例示され、特にビス(ステアリルウレイド)ヘキサンが好ましい。
上記ソルビトール系化合物としては、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール 、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール 、1,3,2,4−ジ(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール 、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、及び1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトール 等が挙げられる。これらの中で、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトールが好ましい。
本発明の樹脂組成物における結晶化促進剤の使用量は、(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)100重量部に対し、成形性の点から、0.01〜5重量部が好ましく、0.03〜4重量部がより好ましく、0.05〜3重量部がさらに好ましい。0.01重量部未満では、結晶化促進剤としての効果が不足する可能性があり、また、5重量部を超えると、効果が飽和する可能性があることから経済的に好ましくなく、外観や物性が損なわれる可能性がある。
本発明の高熱伝導性樹脂組成物は、家電、OA機器部品、AV機器部品、自動車内外装部品、等の射出成形品等に好適に使用することができる。特に多くの熱を発する家電製品やOA機器において、外装材料として好適に用いることができる。
さらには発熱源を内部に有するがファン等による強制冷却が困難な電子機器において、内部で発生する熱を外部へ放熱するために、これらの機器の外装材として好適に用いられる。これらの中でも好ましい装置として、ノートパソコンなどの携帯型コンピューター、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯型音楽プレーヤー、携帯型TV/ビデオ機器、携帯型ビデオカメラ、等の小型あるいは携帯型電子機器類の筐体、ハウジング、外装材用樹脂として非常に有用である。また自動車や電車等におけるバッテリー周辺用樹脂、家電機器の携帯バッテリー用樹脂、ブレーカー等の配電部品用樹脂、モーター等の封止用材料、としても非常に有用に用いることができる。
本発明の高熱伝導性樹脂組成物は従来良く知られている組成物に比べて、成形加工性、耐衝撃性、さらには得られる成形体の表面性が良好であり、上記の用途における部品あるいは筐体用として有用な特性を有するものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
次に、本発明の組成物およびその成形品について、実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。
本発明で使用した原材料は以下のとおりである。
(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)
(PHBH−1):[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)](HH比率=12%、Mw=50万)
(PHBH−2):[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)](HH比率=7%、Mw=50万)
(PHBH−3):[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)](HH比率=4%、Mw=50万)
なお、PHBHは、微生物として、Alcaligenes eutrophusにAeromonas caviae由来のPHA合成酵素遺伝子を導入したAlcaligenes eutrophus AC32(J.Bacteriol.,179,4821(1997))を用いて、原料、培養条件を適宜調整して生産されたPHBHで、HH比率が12mol%(PHBH−1)、7mol%(PHBH−2)、4mol%(PHBH−3)であり、Mw(重量平均分子量)がそれぞれ約50万のものを使用した。
ここでHH比率とは、(3−ヒドロキシブチレート)単位+(3−ヒドロキシヘキサノエート)単位に対する、(3−ヒドロキシヘキサノエート)単位のモル比であり、NMRによる測定から算出される。
(実施例1)
(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)である(PHBH―1)100重量部に、フェノール系安定剤であるAO−60((株)ADEKA製)0.2重量部、を混合したものを準備した(原料1)。別途、高熱伝導性無機化合物(B)である真球状アルミナ粉末(電気化学工業(株)製DAW−03、単体での熱伝導率35W/m・K、体積平均粒子径3μm、電気絶縁性、体積固有抵抗1016Ω・cm)(FIL−1)100重量部、信越化学製エポキシシランであるKBM−303を1重量部、エタノール5重量部、をスーパーフローターにて混合し、5分間撹拌した後、80℃にて4時間乾燥したものを準備した。(原料2)。
原料1、原料2、をヘンシェルミキサーにて、(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)、高熱伝導性無機化合物(B)、を体積比で(A)/(B)=40/60となるよう混合した後、テクノベル製KZW15−45同方向噛み合い型二軸押出機のスクリュー根本付近に設けられたホッパーより投入した。設定温度は供給口近傍が100℃で、順次設定温度を上昇させ、スクリュー先端部を135℃に設定した。本条件にて評価用サンプルペレットを得た。
(実施例2〜14、比較例1〜3)
配合原料の種類や量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、評価用サンプルペレットを得た。但し樹脂にポリアミド6樹脂を用いた比較例については、押出機温度を280℃に設定している。
実施例及び比較例に用いた原料は、下記の通りである。
高熱伝導性無機化合物(B)
(FIL−2):真球状アルミナ粉末(電気化学工業(株)製ASFP−20、単体での熱伝導率32W/m・K、体積平均粒子径300nm、電気絶縁性、体積固有抵抗1016Ω・cm)
(FIL−3):窒化ホウ素粉末(水島合金鉄(株)製HP−40、単体での熱伝導率60W/m・K、体積平均粒子径7.0μm、電気絶縁性、体積固有抵抗1014Ω・cm)
(FIL−4):球状化無水炭酸マグネシウム粉末(神島化学(株)製MSLをビーズミルで処理し球状化したもの、単体での熱伝導率40W/m・K、体積平均粒子径7.0μm、電気絶縁性、体積固有抵抗1016Ω・cm)
(FIL−5):水酸化アルミニウム粉末(日本軽金属(株)製BF−083、単体での熱伝導率30W/m・K、体積平均粒子径8.0μm、電気絶縁性、体積固有抵抗1016Ω・cm)
(FIL−6):天然鱗片状黒鉛粉末(中越黒鉛(株)製BF−250A、単体での熱伝導率1200W/m・K、体積平均粒子径250.0μm、導電性)
(FIL−7):炭素繊維(東レ(株)製M60JB−6000、単体での熱伝導率250W/m・K、繊度206TEX、導電性)
その他樹脂:
(RES−1):ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製レイシアH440)
(RES−2):ポリアミド6樹脂(ユニチカ(株)製ユニチカナイロン6 A1020BRL)
結晶化促進剤
ベヘン酸アミド:(CRODA JAPAN社製、Incroslip B)
[試験片成形]
得られた各サンプルペレットを乾燥した後、射出成形機にて120mm×120mm×厚み3.2mmの平板を成形した。
[熱伝導率]
厚み3.2mm平板にて、京都電子工業製ホットディスク法熱伝導率測定装置で4φのセンサーを用い、熱伝導率を算出した。
[密度]
厚み3.2mm平板を3cm×3cm角に切り出し、水中置換法にて密度を測定した。
[電気絶縁性]
厚み3.2mmの平板を用いて、ASTM D−257に従い体積固有抵抗値を測定した。抵抗値が低すぎて測定できない場合は「導電」と表示した。
[薄肉成形性]
射出成形機にて、試験片の短辺側にゲートサイズ4mm×0.8mmサイズで設置されたゲートを通じて、128mm×12.8mm×厚み0.8mmのバー形状試験片を成形し、試験片がショートショットとならずにフル充填した際の成形機設定樹脂温度を測定することで、薄肉成形性を評価した。設定樹脂温度を樹脂の分解開始温度以上に上げても成形不可能であった場合は、「不可」と表示した。
[生分解性]
厚み3.2mmの平板を長さ115mm×幅25mm×厚み3.2mmのダンベル状に切り出し、深さ10cmの土中に埋めて6か月後、形状変化を観察し、分解性を以下の基準で評価した。
○:形状が確認できないほど分解
△:かなりの部分が分解されているが、形状は確認できる
×:ほとんど形状に変化なく、分解していない

それぞれの配合および結果を表1に示す。表1より、本特許の範囲外の組成物と比べ、本特許の組成物は成形流動性に優れた高熱伝導率の樹脂組成物が得られることがわかる。
Figure 0005512920
以上から本発明の熱可塑性樹脂組成物は、高熱伝導性でありながら、射出成形時の成形流動性も非常に優れている。さらには生分解性やカーボンニュートラルなどの環境適合性をも兼ね備えた、高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物が得られることが分かる。このような組成物は電気・電子工業分野、自動車分野、などさまざまな状況で熱対策素材として用いることが可能で、かつプラスチック廃棄物の問題を解決しうるなど環境面にも貢献できることから、工業的に有用である。

Claims (6)

  1. 一般式(1):[−CHR−CH−CO−O−](式中、RはC2n+1で表されるアルキル基を表し、n=1〜15の整数である。)で示される繰り返し単位からなる(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)(ただし、(メタ)アクリル酸エステル化合物により架橋されているものを除く)に対して、単体での熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導性無機化合物(B)を含有し、かつ得られる熱可塑性樹脂組成物の熱伝導率が0.8W/m・K以上であることを特徴とする、射出成形用高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物であって、
    (3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)と高熱伝導性無機化合物(B)の組成物中での(A)/(B)体積比が、20/80〜95/5の範囲であり、
    高熱伝導性無機化合物(B)が、窒化ホウ素である
    射出成形用高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)が、生分解性であることを特徴とする、請求項1記載の射出成形用高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)が、(3−ヒドロキシブチレート)繰り返し単位および(3−ヒドロキシヘキサノエート)繰り返し単位からなるポリ[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)]共重合体であることを特徴とする、請求項1または2記載の射出成形用高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体(A)の重量平均分子量Mwが30万〜300万であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載の射出成形用高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)]共重合体の繰り返し単位の構成比が、(3−ヒドロキシブチレート)単位/(3−ヒドロキシヘキサノエート)単位=99/1〜80/20(mol/mol)で表されることを特徴とする、請求項3記載の射出成形用高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載の射出成形用高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物を射出成形して作成された、高熱伝導性成形体。
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