JP5891016B2 - 高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、高熱伝導性と、良好な押出成形性やブロー成形性とを併せ持ち、かつ衝撃強度などの良好な実用物性をも兼ね備えた、高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物に関する。
樹脂組成物をLED照明部材、パソコンやディスプレーの筐体、電子デバイス材料、自動車の内外装、など種々の用途に使用する際、プラスチックは金属材料など無機物と比較して熱伝導性が低いため、発生する熱を逃がしづらいことが問題になる。このような課題を解決するため、高熱伝導性無機物を大量に樹脂中に配合することで、高熱伝導性樹脂組成物を得ようとする試みが広くなされている。これらのなかでも、ポリカーボネート系樹脂と熱可塑性ポリエステル系樹脂とのアロイをベースにした高熱伝導性樹脂組成物は、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性、耐薬品性を併せ持った特性から、種々の提案されている。
例えば特許文献1では、ポリエチレンテレフタレート樹脂(主としてポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂等とのアロイ)に、炭素繊維等の無機物を配合してなる熱伝導性樹脂組成物が報告されている。また特許文献2では、ポリエチレンテレフタレート樹脂(主としてポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂等とのアロイ)に、熱伝導性かつ電気絶縁性の無機物を配合してなる、射出成形性良好な熱伝導性樹脂組成物が報告されている。
一方で、ブロー成形や押出成形に適するようポリエチレンテレフタレート樹脂(主としてポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂等とのアロイ)を変性する方法についても種々の研究例があり、例えば特許文献3では、ポリエチレンテレフタレート樹脂(主としてポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂等とのアロイ)に、分子内にエポキシ基を3個以上有するオレフィン系樹脂及びフッ素系樹脂を添加することで、ブロー成形性が改善されることが示されている。また特許文献4では、ポリエチレンテレフタレート樹脂(主としてポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂等とのアロイ)に、エポキシ基を2個以上有する化合物を添加することで、同様の効果を得ている。さらに特許文献5では、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂等とのアロイに、分子内にカルボキシル基又はそのエステル形成性誘導体基を3個以上有する化合物及びその酸無水物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することで、同様の効果を得ている。特許文献6では、ポリカーボネート樹脂と、分岐成分を共重合したポリエステルからなる組成物が、ブロー成形に適していることが示されている。
特開2005−298552号公報 WO2007/066711号公報 特開平11−116782号公報 特開平10−120891号公報 特開平09−279011号公報 特開平09−221588号公報
特許文献2に示されるような手法を用いることで、射出成形性に優れた高熱伝導性樹脂組成物が得られるようにはなっているが、一方で当該樹脂組成物を押出成形やブロー成形など、射出成形と異なる成形加工方法で成形加工しようとすると、ポリカーボネート系樹脂及び熱可塑性ポリエステル系樹脂がいずれも溶融張力が低い樹脂であることに起因し、良好な成形加工が困難であるという課題を有している。
一方で、特許文献3〜6に示されるような手法をそのまま特許文献2の技術に適用するのも容易ではなかった。
本発明者は、熱可塑性ポリエステル系樹脂/電気絶縁性を示す高熱伝導性無機化合物(特にポリカーボネート系樹脂/熱可塑性ポリエステル系樹脂/電気絶縁性を示す高熱伝導性無機化合物)よりなる樹脂組成物の押出成形性やブロー成形性を改良するため鋭意検討を実施した結果、特定の化合物を添加することで容易にその効果が得られることを見出し本発明にいたった。
すなわち本発明は、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)、単体での熱伝導率が5W/m・K以上を示す高熱伝導性無機化合物(C)、カルボジイミド化合物(D)、よりなることを特徴とする、高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項1)であり、ポリカーボネート系樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)、単体での熱伝導率が5W/m・K以上を示す高熱伝導性無機化合物(C)、カルボジイミド化合物(D)、よりなることを特徴とする、高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項2)であり、カルボジイミド化合物(D)が、数平均分子量が1000以上の高分子量カルボジイミド化合物であることを特徴とする、請求項1または2記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物(請求項3)である。
また本発明は、押出成形またはブロー成形により、上記請求項1に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物を成形することを特徴とする、成形体の製造方法(請求項4)である。
本発明の方法を用いることにより、高熱伝導性、高耐熱性、電気絶縁性、を兼ね備え、なおかつ押出成形性やブロー成形性良好な高熱伝導性樹脂組成物を得ることができる。
このようにして得られた複合材料は、樹脂フィルム、樹脂成形品、樹脂発泡体、塗料やコーティング剤、などさまざまな形態で、電子材料、磁性材料、触媒材料、構造体材料、光学材料、医療材料、自動車材料、建築材料、等の各種の用途に幅広く用いることが可能である。本発明で得られた高分子材料は、現在広く用いられているブロー成形機や押出成形機等の一般的なプラスチック用成形機が使用可能であるため、複雑な形状を有する製品への成形も容易である。特に成形加工性、耐衝撃性、耐薬品性、熱伝導性、などの重要な諸特性のバランスに優れていることから、発熱源を内部に有する照明、ディスプレー、コンピューターなどの筐体用樹脂として、非常に有用である。
実施例1のダイス出口及びサイジングダイスの出入り口形状
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)、高熱伝導性無機化合物(C)、分子内にカルボキシル基又はそのエステル形成性誘導体基を3個以上有する化合物及びその酸無水物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機化合物(D)、の三成分を必須とするものであり、必要に応じポリカーボネート系樹脂(A)、を併用するものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合される熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)は、2価以上のカルボン酸化合物と、2価以上のアルコール及び/又はフェノール化合物とを公知の方法で重縮合することにより得られる熱可塑性ポリエステルである。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
2価以上のカルボン酸化合物としては特に限定されず、例えば、炭素数8〜22の2価以上の芳香族カルボン酸、これらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。具体的には、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸等のフタル酸;ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4−4′−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボン酸、これらのエステル形成能を有する誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、取り扱い易さ、反応の容易さ、得られる樹脂組成物の物性等の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸又はナフタレンジカルボン酸が好ましい。
2価以上のアルコール及び/又はフェノール化合物としては特に限定されず、例えば、炭素数2〜15の脂肪族化合物、炭素数6〜20の脂環式化合物、炭素数6〜40の芳香族化合物であって分子内に2個以上の水酸基を有する化合物、これらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール、これらのエステル形成能を有する誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、取り扱い易さ、反応の容易さ、得られる樹脂組成物の物性等の観点から、エチレングリコール、ブタンジオール又はシクロヘキサンジメタノールが好ましい。
熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)は、上述のカルボン酸化合物並びにアルコール及び/又はフェノール化合物に加えて、所望の特性を損なわない範囲で、公知の共重合可能な化合物を共重合して得られたものであってもよい。このような共重合可能な化合物としては特に限定されず、例えば、炭素数4〜12の2価以上の脂肪族カルボン酸、炭素数8〜15の2価以上の脂環式カルボン酸、これらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。具体的には、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸又はそのエステル形成能を有する誘導体等が挙げられる。その他にも、p−ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸又はそのエステル形成性誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステル等も挙げられる。
また熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)は、ポリアルキレングリコール単位を高分子鎖中に一部共重合させることにより得られた熱可塑性ポリエステル系樹脂であってもよい。このようなポリアルキレングリコールとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ビスフェノールA共重合ポリエチレンオキシド付加重合体、同プロピレンオキシド付加重合体、同テトラヒドロフラン付加重合体、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)における上述のような共重合成分の使用量としては、通常、20重量%以下であり、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)は、得られる樹脂組成物の物性バランス(例えば成形加工性)に優れることから、アルキレンテレフタレート単位を80重量%以上含有するポリアルキレンテレフタレートであることが好ましい。より好ましくは同単位を85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有するポリアルキレンテレフタレートである。
熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)は、フェノール/テトラクロロエタン=1/1(重量比)混合溶媒中、25℃で測定したときの対数粘度(IV)が0.30〜2.00dl/g以上であることが好ましい。対数粘度が0.30未満では、成形品の難燃性や機械的強度が不充分である場合が多く、2.00dl/gを超えると成形流動性が低下する傾向がある。より好ましくは0.40〜1.80dl/gであり、更に好ましくは0.50〜1.60dl/gである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されない。例えば、共重合成分やモル比が異なるもの、分子量が異なるもの等を任意に組み合わせることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合するポリカーボネート系樹脂(A)は、例えば2価以上のフェノール化合物と、ホスゲン又は炭酸ジエステルとを公知の方法で重合させて得られるポリカーボネートである。
2価のフェノール化合物としては特に限定されず、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジヒドロキシジアリールアルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン等のジヒドロキシジアリールシクロアルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン等のジヒドロキシジアリールケトン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4′−ジヒロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニル類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のジヒドロキシアリールフルオレン類;ヒドロキノン、レゾルシノール、メチルヒドロキノン等のジヒドロキシベンゼン類;1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、ビスフェノールAが好適である。炭酸ジエステルとしては特に限定されず、例えば、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート;ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネート系樹脂(A)は、直鎖状のポリカーボネートに限定されず、分岐状のポリカーボネートであってもよい。この分岐状ポリカーボネートを得るために用いられる分岐剤としては特に限定されず、例えば、フロログルシン、メリト酸、トリメリト酸、トリメリト酸クロリド、無水トリメリト酸、没食子酸、没食子酸n−プロピル、プロトカテク酸、ピロメリト酸、ピロメリト酸二無水物、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、レゾルシンアルデヒド、1,3−ビス(o−クレゾール)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4′−トリヒドロキシフェニルエーテル、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシフェニルエーテル、2,4,4′−トリヒドロキシジフェニル−2−プロパン、2,2′−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニルメタン、2,4,4′−トリヒドロキシジフェニルメタン、1−〔α−メチル−α−(4′−ジヒドロキシフェニル)エチル〕−3−〔α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1−〔α−メチル−α−(4′−ジヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5′−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス〔4,4−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、2,6−ビス(2′−ヒドロキシ−5′−イソプロピルベンジル)−4−イソプロピルフェノール、ビス〔2−ヒドロキシ−3−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルベンジル)−5−メチルフェニル〕メタン、ビス〔2−ヒドロキシ−3−(2′−ヒドロキシ−5′−イソプロピルベンジル)−5−メチルフェニル〕メタン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2′,4′,7−トリヒドロキシフラバン、2,4,4−トリメチル−2′,4′,7−トリヒドロキシフラバン、1,3−ビス(2′,4′−ジヒドロキシフェニルイソプロピル)ベンゼン、トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−アミル−s−トリアジン等が挙げられる。
場合によっては、ポリカーボネート系樹脂(A)は、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部とからなるポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体であってもよい。この際、ポリオルガノシロキサン部の重合度は5以上であることが好ましい。
更にポリカーボネート系樹脂(A)は、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の直鎖状脂肪族二価カルボン酸を共重合させることにより得られるポリカーボネート系共重合体であってもよい。
ポリカーボネート系樹脂(A)を重合する際に用いる末端停止剤としては、公知のものを各種使用することができる。具体的には、フェノール、p−クレゾール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、ノニルフェノール等の一価フェノール等が挙げられる。
難燃性を必要とする場合には、ポリカーボネート系樹脂(A)は、リン化合物とのポリカーボネート系共重合体であってもよいし、リン系化合物で末端封止したポリカーボネート系樹脂であってもよい。また、耐候性を高めるためには、ベンゾトリアゾール基を有する二価フェノールとのポリカーボネート系共重合体であってもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合されるポリカーボネート系樹脂(A)の粘度平均分子量は、10000〜60000であることが好ましい。10000未満の場合、得られる樹脂組成物の強度や耐熱性等が不充分である場合が多い。一方60000を超えると、成形加工性が不充分である場合が多い。より好ましくは15000〜45000であり、更に好ましくは18000〜35000である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ポリカーボネート系樹脂(A)は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されない。例えば、モノマー単位が異なるもの、共重合モル比が異なるもの、分子量が異なるもの等を任意に組み合わせることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)単体で、あるいはポリカーボネート系樹脂(A)と熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)との併用で、その効果を発揮するものである。ポリカーボネート系樹脂(A)と熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)とを併用する場合に、その比率[(A)/(B)]は、体積比で、0/100〜85/15の範囲が好ましいが、さらに好ましくは15/85〜85/15の範囲である。15/85未満の場合でも、高熱伝導率を有しながら、押出成形性やブロー成形性にも優れた熱可塑性樹脂組成物をえることができるが、15/85以上とすることでさらに寸法安定性や耐衝撃性等を改善する効果がある。一方85/15を超えると、得られる成形品の熱安定性や耐溶剤性等が低下する傾向がある。
単体での熱伝導率が5W/m・K以上を示す高熱伝導性無機化合物(C)としては、公知の高熱伝導性無機化合物を広く使用できる。高熱伝導性無機化合物(C)単体での熱伝導率が5W/m・K未満では、組成物の熱伝導率を向上させる効果に劣るため好ましくない。(C)単体での熱伝導率は、好ましくは12W/m・K以上、さらに好ましくは15W/m・K以上、最も好ましくは20W/m・K以上、特に好ましくは30W/m・K以上のものが用いられる。高熱伝導性無機化合物(C)単体での熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、一般的には3000W/m・K以下、さらには2500W/m・K以下、のものが好ましく用いられる。
成形体として特に電気絶縁性が要求されない用途に用いる場合には、導電性の高熱伝導性無機化合物としては金属系化合物や導電性炭素化合物等を用いることができる。導電性炭素化合物としては、熱伝導性に優れることから、グラファイト、炭素繊維をあげることができる。金属系化合物としては、導電性金属粉、導電性金属繊維、フェライト類、金属酸化物、等の高熱伝導性無機化合物を好ましく用いることができる。導電性金属粉としては各種金属を微粒子化した導電性金属粉、導電性金属繊維としては各種金属を繊維状に加工した導電性金属繊維、フェライト類としては軟磁性フェライト等の各種フェライト類、金属酸化物としては酸化亜鉛、等の金属酸化物、等の高熱伝導性無機化合物があげられる。
中でも、グラファイト、導電性金属粉、軟磁性フェライト、炭素繊維、導電性金属繊維、酸化亜鉛、からなる群より選ばれる1種以上の導電性の高熱伝導性無機化合物が好ましい。
成形体として電気絶縁性が要求される用途に用いる場合には、高熱伝導性無機化合物としては電気絶縁性を示す化合物が好ましく用いられる。電気絶縁性とは具体的には、電気抵抗率1Ω・cm以上のものを示すこととするが、好ましくは10Ω・cm以上、より好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1010Ω・cm以上、最も好ましくは1013Ω・cm以上のものを用いるのが好ましい。電気抵抗率の上限には特に制限は無いが、一般的には1018Ω・cm以下である。本発明の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の電気絶縁性も上記範囲にあることが好ましい。
高熱伝導性無機化合物のうち、電気絶縁性を示す電気絶縁性高熱伝導性無機化合物としては金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属炭酸塩、絶縁性炭素材料、金属水酸化物、を例示することができる。金属酸化物としては酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅をあげることができる。金属窒化物としては窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素をあげることができる。
金属炭化物としては炭化ケイ素を、金属炭酸塩としては炭酸マグネシウムを、絶縁性炭素材料としてはダイヤモンドを、金属水酸化物としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムをあげることができる。
中でも、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、ダイヤモンド、からなる群より選ばれる1種以上の電気絶縁性高熱伝導性無機化合物が好ましい。これらは単独あるいは複数種類を組み合わせて用いることができる。
高熱伝導性無機化合物の形状については、種々の形状のものを適応可能である。例えば粒子状、微粒子状、ナノ粒子、凝集粒子状、チューブ状、ナノチューブ状、ワイヤ状、ロッド状、針状、板状、不定形、ラグビーボール状、六面体状、大粒子と微小粒子とが複合化した複合粒子状、液体、等種々の形状を例示することができる。またこれら高熱伝導性無機化合物は天然物であってもよいし、合成されたものであってもよい。天然物の場合、産地等には特に限定はなく、適宜選択することができる。これら高熱伝導性無機化合物は、1種類のみを単独で用いてもよいし、形状、平均粒子径、種類、表面処理剤等が異なる2種以上を併用してもよい。
これら高熱伝導性無機化合物は、樹脂と無機化合物との界面の接着性を高めたり、作業性を容易にしたりするため、表面処理剤で表面処理がなされたものであってもよい。表面処理剤としては特に限定されず、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、等従来公知のものを使用することができる。中でもエポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、及び、アミノシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、ポリオキシエチレンシラン、等が樹脂の物性を低下させることが少ないため好ましい。無機化合物の表面処理方法としては特に限定されず、通常の処理方法を利用できる。
本発明に用いられる(D)カルボジイミド化合物とは、分子内に少なくともひとつの(−N=C=N−)で表されるカルボジイミド基を有する化合物であり、例えば適当な触媒の存在下に、有機イソシアネートを加熱し、脱炭酸反応で製造できる。カルボジイミド化合物の例としては、ジフェニルカルボジイミド、ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジオクチルデシルカルボジイミド、ジ−o−トリイルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、ジ−p−トリイルカルボジイミド、ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、ジ−p−クロルフェニルカルボジイミド、ジ−o−クロルフェニルカルボジイミド、ジ−3,4−ジクロルフェニルカルボジイミド、ジ−2,5−ジクロルフェニルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−o−トリイルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−p−クロルフェニルカルボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジ−シクロヘキシルカルボジイミドなどのモノまたはジカルボジイミド化合物、ポリ(1,6−ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンカルボジイミド)などのポリカルボジイミド、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)などの芳香族ポリカルボジイミドなどが挙げられる。中でも数平均分子量が1000以上の高分子量カルボジイミド化合物が、ブロー成形性や押出成形性の改善効果に優れるため好ましい。市販品としてはラインケミー社のスタバクゾールP、スタバクゾールP−400、(登録商標)などが挙げられる。該カルボジイミド化合物は、単独あるいは2種以上混合して用いられる。
(D)成分の添加量は、前記(B)(C)の合計100重量部、または前記(A)(B)(C)の合計100重量部に対し、0.01〜15重量部、好ましくは0.05〜10重量部、さらに好ましくは0.08〜7重量部、最も好ましくは0.1〜4重量部である。添加量が0.01重量部未満では成形性、耐衝撃性、耐溶剤性、等の改良効果が小さく、15重量部を超えると成形加工が困難となる傾向がある。
本発明の樹脂組成物には、前記の高熱伝導性無機化合物以外にも、その目的に応じて公知の無機充填剤を広く使用できる。
高熱伝導性無機化合物以外の無機充填剤としては、例えばケイソウ土粉;塩基性ケイ酸マグネシウム;焼成クレイ;微粉末シリカ;石英粉末;結晶シリカ;カオリン;タルク;三酸化アンチモン;微粉末マイカ;二硫化モリブデン;ロックウール;セラミック繊維;アスベストなどの無機質繊維;およびガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスクロス、溶融シリカ等ガラス製充填剤が挙げられる。
これら充填剤を用いることで、例えば熱伝導性、機械強度、または耐摩耗性など樹脂組成物を応用する上で好ましい特性を向上させることが可能となる。さらに必要に応じて紙、パルプ、木料;ポリアミド繊維、アラミド繊維、ボロン繊維などの合成繊維;ポリオレフィン粉末等の樹脂粉末;などの有機充填剤を併用して配合することができる。
本発明の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物に含まれる、非繊維状無機充填剤(例えば六方晶窒化ホウ素粉末)と無機質繊維(例えばガラス繊維)の体積比は、通常100/0〜20/80であるが、好ましくは100/0〜35/65、より好ましくは90/10〜50/50である。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果の発揮を失わない範囲で、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、液晶ポリマー、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂等いかなる公知の樹脂も含有させて構わない。好ましい樹脂の具体例として、液晶ポリマー、ナイロン6、ナイロン6,6、MBS樹脂、MB樹脂、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、オレフィン系弾性樹脂、等が挙げられる。これら樹脂を併用する場合その使用量は、通常樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、0〜10000重量部の範囲が例示でき好ましい。
本発明の樹脂材料には、上記樹脂や充填剤以外の添加剤として、さらに目的に応じて他のいかなる成分、例えば、補強剤、増粘剤、離型剤、カップリング剤、難燃剤、耐炎剤、顔料、着色剤、その他の助剤等を本発明の効果を失わない範囲で、添加することができる。これらの添加剤の使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、合計で0〜200重量部の範囲であることが好ましい。
本発明の組成物の製造方法としては特に限定されるものではない。例えば、上述した成分や添加剤等を乾燥させた後、単軸、2軸等の押出機のような溶融混練機にて溶融混練することにより製造することができる。また、配合成分が液体である場合は、液体供給ポンプ等を用いて溶融混練機に途中添加して製造することもできる。
本発明の組成物は、その優れた熱伝導性と成形品外観とから、高熱伝導性押出成形品や高熱伝導性プロー成形品として好適に使用可能であり、成形加工方法としては押出成形やブロー成形が適している。
使用形態としては、樹脂フィルム、樹脂成形品、樹脂発泡体、塗料やコーティング剤、等さまざまな形態を例示することができる。成形加工法としては例えば、射出成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カレンダー成形、ブロー成形、等が利用できる。
本発明で得られた高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物は押出成形性に優れるため、現在広く用いられている押出成形機が使用可能であり、異型形状を有する長尺製品、シートやフィルム形状への連続成形、などであっても成形が容易である。またブロー成形性にも優れるため、現在広く用いられているブロー成形機が使用可能であり、中空の三次元形状を有する製品などであっても成形が容易である。
本発明において、製品として用いられる成形体を押出成形により得る際の、シリンダー温度は、通常、240〜320℃で、好ましくは255〜295℃である。この際のダイス温度は、通常、40〜300℃で、好ましくは80〜290℃である。
また本発明において、製品として用いられる成形体をブロー成形により得る際の、パリソン温度は、通常、240〜320℃で、好ましくは255〜295℃である。この際の金型温度は、通常、40〜180℃で、好ましくは60〜150℃である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電子材料、磁性材料、触媒材料、構造体材料、光学材料、医療材料、自動車材料、建築材料、等の各種の用途に幅広く用いることが可能である。特に優れた成形品外観、高熱伝導性、という優れた特性を併せ持つことから、放熱・伝熱用の樹脂材料として、非常に有用である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、LED照明などの照明部材、家電、OA機器部品、AV機器部品、自動車内外装部品、等の射出成形品等に好適に使用することができる。特に多くの熱を発する家電製品やOA機器において、外装材料として好適に用いることができる。さらには発熱源を内部に有するがファン等による強制冷却が困難な電子機器において、内部で発生する熱を外部へ放熱するために、これらの機器の外装材として好適に用いられる。
これらの中でも好ましい装置として、ノートパソコンなどの携帯型コンピューター、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯型音楽プレーヤー、携帯型TV/ビデオ機器、携帯型ビデオカメラ、等の小型あるいは携帯型電子機器類の筐体、ハウジング、外装材用樹脂として非常に有用である。また自動車や電車等におけるバッテリー周辺用樹脂、家電機器の携帯バッテリー用樹脂、ブレーカー等の配電部品用樹脂、モーター等の封止用材料、としても非常に有用に用いることができる。
本発明の押出成形用高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物は従来良く知られている組成物に比べて、高熱伝導性無機物の配合量を減らすことができるため成形加工性が良好であり、上記の用途における基板などの部品あるいは筐体用として有用な特性を有するものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[評価方法]
[熱伝導率] : 得られた押出成形品やブロー成形品から30mm角×3.0mm厚みの板柱状試験片を2個切り出し、京都電子工業製ホットディスク法熱伝導率測定装置で4φのセンサーにて熱伝導率を測定した。
[成形品外観] : 得られた押出成形品表面における凹凸やフィラー浮きなどの外観不良を目視にて観察し、以下の基準で評価した。◎:外観非常に良好、○:外観良好、△:一部外観不良が見られるがほぼ良好、×:外観不良。
(実施例1)
熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)として三菱化学(株)製のポリエチレンテレフタレート樹脂であるPBK−2(B−1)を用いた。(B−1)100重量部に対して、ラインケミージャパン(株)社製スタバクゾールP(以下D−1と略す。)を0.5重量部、並びに、安定剤としてアデカスタブAO−60及びアデカスタブAO−412S(いずれも(株)ADEKA製商品名)各0.2重量部をスーパーフローターにて混合した(原料1)。
別途高熱伝導性無機化合物(C)として六方晶窒化ホウ素粉末(電気化学工業(株)製SGP、単体での熱伝導率が60W/m・K、体積平均粒子径21.0μm、電気絶縁性)(C−1)と、その他充填剤としてガラス繊維(日本電気硝子(株)製T−187H/PL)(GF−1)とを用い、両者を体積比で(C−1)/(GF−1)=35/15となるよう混合した(原料2)。
原料1を、日本製鋼所製TEX44同方向噛み合い型二軸押出機のスクリュー根本付近に設けられた第一供給口であるホッパーより投入した。第二供給口の手前位置に、スクリューに角度90℃のニーディングディスクを挿入し、ニーディングディスク部が終了した位置に、大気圧に開放されたベント口を設けた。ベント口のすぐ隣にサイドフィーダーを設置し、サイドフィーダーにて第二供給口より原料2を強制圧入した。両供給口からの供給量を制御することにより、原料1と原料2とが体積比率で45/55となるよう混合した。
第二供給口とスクリュー先端との中間部に、減圧ポンプに接続された減圧ベント口を設けた。スクリュー回転数150rpm、時間あたり吐出量を50kg/hrに設定した。設定温度は第一供給口近傍が100℃で、順次設定温度を上昇させ、ニーディングディスク部手前を270℃に設定した。ニーディングディスク部から大気圧開放ベント口までを270℃に、大気圧開放ベント口から第二供給口までを275℃に、第二供給口からスクリュー先端部までを270℃に設定した。本条件にて成形用高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた組成物を130℃で4時間乾燥後、大阪精機工作製40mm単軸押出機10VSE−40−28Vを用いて押出成形を実施した。成形条件は、シリンダー温度270℃、ダイス温度255℃に設定し、ダイスより出てきた樹脂をダイスから5cm離した場所に設置したサイジングダイス(設定温度120℃)を通した後に引取りを行い押出加工を実施したところ、押出成形性は概ね良好であった。ダイス出口及びサイジングダイスの出入り口形状を図1に示す。
得られた成形品の熱伝導率を評価した結果、押出成形品外観:○、熱伝導率:3.2W/mK、であった。
得られた組成物をプラコー株式会社製のDA−50型ブロー成形機で60mm×60mm×100mm、平均肉厚2.5mmの四角柱状中空成形体をブロー成形した。成形条件は、パリソン温度約270℃、射出速度(指数)150、スクリュー回転数60rpm、ブロー圧0.59MPa(窒素)、冷却時間100秒、金型温度120℃に設定したところ、ブロー成形性は概ね良好であった。成形品を評価した結果、ブロー成形品外観:○、熱伝導率:3.2W/mK、であった。
(実施例2)
ポリカーボネート系樹脂(A)として、出光興産(株)製ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂である、タフロンA−2200(A−1)を、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)として三菱化学(株)製のポリエチレンテレフタレート樹脂であるPBK−2(B−1)を用い、両者を体積比で(A−1)/(B−1)=30/20となるよう混合した。両者の合計100重量部に対して、(D)化合物として、ラインケミージャパン(株)社製スタバクゾールP(以下D−1と略す。)を0.5重量部、並びに、安定剤としてアデカスタブAO−60及びアデカスタブHP−10(いずれも(株)ADEKA製商品名)各0.2重量部をスーパーフローターにて混合した(原料1)。
別途高熱伝導性無機化合物(C)として六方晶窒化ホウ素粉末(電気化学工業(株)製SGP、単体での熱伝導率が60W/m・K、体積平均粒子径21.0μm、電気絶縁性)(C−1)と、その他充填剤としてガラス繊維(日本電気硝子(株)製T−187H/PL)(GF−1)とを用い、両者を体積比で(C−1)/(GF−1)=30/20となるよう混合した(原料2)。
原料1を、日本製鋼所製TEX44同方向噛み合い型二軸押出機のスクリュー根本付近に設けられた第一供給口であるホッパーより投入した。第二供給口の手前位置に、スクリューに角度90℃のニーディングディスクを挿入し、ニーディングディスク部が終了した位置に、大気圧に開放されたベント口を設けた。ベント口のすぐ隣にサイドフィーダーを設置し、サイドフィーダーにて第二供給口より原料2を強制圧入した。両供給口からの供給量を制御することにより、原料1と原料2とが体積比率で1/1となるよう混合した。
第二供給口とスクリュー先端との中間部に、減圧ポンプに接続された減圧ベント口を設けた。スクリュー回転数150rpm、時間あたり吐出量を50kg/hrに設定した。設定温度は第一供給口近傍が100℃で、順次設定温度を上昇させ、ニーディングディスク部手前を270℃に設定した。ニーディングディスク部から大気圧開放ベント口までを270℃に、大気圧開放ベント口から第二供給口までを275℃に、第二供給口からスクリュー先端部までを270℃に設定した。本条件にて成形用高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた組成物を130℃で4時間乾燥後、大阪精機工作製40mm単軸押出機10VSE−40−28Vを用いて押出成形を実施した。成形条件は、シリンダー温度260℃、ダイス温度245℃に設定し、ダイスより出てきた樹脂をダイスから5cm離した場所に設置したサイジングダイス(設定温度90℃)を通した後に引取りを行い押出加工を実施したところ、押出成形性は良好であった。ダイス出口及びサイジングダイスの出入り口形状を図1に示す。
得られた成形品の熱伝導率を評価した結果、押出成形品外観:◎、熱伝導率:1.5W/mK、であった。
得られた組成物をプラコー株式会社製のDA−50型ブロー成形機で60mm×60mm×100mm、平均肉厚2.5mmの四角柱状中空成形体をブロー成形した。成形条件は、パリソン温度約260℃、射出速度(指数)150、スクリュー回転数60rpm、ブロー圧0.59MPa(窒素)、冷却時間100秒、金型温度90℃に設定したところ、ブロー成形性は良好であった。成形品を評価した結果、ブロー成形品外観:◎、熱伝導率:1.5W/mK、であった。
(実施例3)
(D−1)の代わりに、(D−2)ラインケミージャパン(株)社製スタバクゾールP−400を用いた以外は実施例2と同様に評価を行った。結果、押出成形性:良好、押出成形品外観:◎、熱伝導率:1.4W/mK、ブロー成形性:良好、ブロー成形品外観:◎、熱伝導率:1.4W/mK、であった。
(実施例4)
(A−1)の代わりに、(A−2):ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂である、タフロンA−2500)を用いた以外は実施例2と同様に評価を行った。結果、押出成形性:良好、押出成形品外観:◎、熱伝導率:1.5W/mK、ブロー成形性:良好、ブロー成形品外観:◎、熱伝導率:1.5W/mK、であった。
(実施例5)
(B−1)の代わりに、(B−2):対数粘度0.85(25℃、dl/g、フェノール/テトラクロロエタン=1/1(重量比))のポリブチレンテレフタレート樹脂を用いた以外は実施例2と同様に評価を行った。結果、押出成形性:良好、押出成形品外観:◎、熱伝導率:1.6W/mK、ブロー成形性:良好、ブロー成形品外観:◎、熱伝導率:1.6W/mK、であった。
(実施例6)
(C−1)の代わりに、(C−2):丸み状アルミナ粉末(昭和電工(株)製AS−40、単体での熱伝導率36W/m・K、体積平均粒子径20μm、電気絶縁性)を用いた以外は実施例2と同様に評価を行った。結果、押出成形性:良好、押出成形品外観:◎、熱伝導率:1.1W/mK、ブロー成形性:良好、ブロー成形品外観:◎、熱伝導率:1.1W/mK、であった。
(実施例7)
(C−1)の代わりに、(C−3):窒化ホウ素粉末(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製PT−110、単体での熱伝導率80W/m・K、体積平均粒子径36μm、電気絶縁性)を用いた以外は実施例2と同様に評価を行った。結果、押出成形性:良好、押出成形品外観:◎、熱伝導率:1.8W/mK、ブロー成形性:良好、ブロー成形品外観:◎、熱伝導率:1.8W/mK、であった。
(比較例1)
(D−1)を添加しなかった以外は実施例2と同様に評価を行った。結果、押出成形性:不良、押出成形品外観:×、熱伝導率:1.5W/mK、ブロー成形性:不良、ブロー成形品外観:×、熱伝導率:1.5W/mK、であった。
以上から本発明の熱可塑性樹脂組成物は、諸物性と熱伝導率とのバランスに優れた高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物が得られ、かつ押出成形性やブロー成形性に優れることが分かる。
(比較例2)
(C−1)を添加しなかった以外は実施例2と同様に評価を行った。結果、押出成形性:良好、押出成形品外観:◎、熱伝導率:0.2W/mK、ブロー成形性:良好、ブロー成形品外観:◎○、熱伝導率:0.2W/mK、となり、熱伝導率は汎用の樹脂とほぼ同等であった。
以上から本発明の熱可塑性樹脂組成物は、諸物性と熱伝導率とのバランスに優れた高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物が得られ、かつ押出成形性やブロー成形性に優れることが分かる。

Claims (3)

  1. ポリカーボネート系樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)、単体での熱伝導率が5W/m・K以上を示す高熱伝導性無機化合物(C)、カルボジイミド化合物(D)よりなることを特徴とする、高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
  2. カルボジイミド化合物(D)が、数平均分子量が1000以上の高分子量カルボジイミド化合物であることを特徴とする、請求項1記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 押出成形またはブロー成形により、請求項1に記載の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物を成形することを特徴とする、成形体の製造方法。
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