JP2015108080A - 樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)ポリカーボネート樹脂(A成分)1〜99重量部および(B)ポリアリーレンスルフィド樹脂(B成分)99〜1重量部よりなる樹脂成分100重量部に対し、(C)熱伝導性フィラー(C成分)を20〜70重量部含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物の総塩素含有量が550ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が30ppm以下であることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明の好適な態様の1つは、(2)B成分が、総塩素含有量が550ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が30ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする上記構成1の樹脂組成物である。
本発明の好適な態様の1つは、(3)B成分が、総塩素含有量が50ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が8ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする上記構成1または2の樹脂組成物である。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明のA成分で使用されるポリカーボネート樹脂は、通常使用されるビスフェノールA型ポリカーボネート以外にも、他の二価フェノールを用いて重合された、高耐熱性または低吸水率の各種のポリカーボネート樹脂であってもよい。ポリカーボネート樹脂はいかなる製造方法によって製造されたものでもよく、界面重縮合の場合は通常一価フェノール類の末端停止剤が使用される。ポリカーボネート樹脂はまた3官能フェノール類を重合させた分岐ポリカーボネート樹脂であってもよく、更に脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸、または二価の脂肪族または脂環族アルコールを共重合させた共重合ポリカーボネートであってもよい。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは1.3×104〜4.0×104、より好ましくは1.5×104〜3.8×104である。芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液から20℃で求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。かかるポリカーボネート樹脂の詳細については、特開2002−129003号公報に記載されている。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
(1)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称)成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつ9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称)成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、ビスフェノールA成分が10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCF成分が5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPM成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつ1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。これらの特殊なポリカーボネートは、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型のポリカーボネートと混合して使用することもできる。これらの特殊なポリカーボネートの製法および特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報および特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。さらにポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
A成分の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部中、1〜99重量部であり、5〜95重量部が好ましく、5〜30重量部および70〜95重量部がより好ましい。5〜30重量部の場合には、よりポリアリーレンスルフィド樹脂の優れた特性を生かした樹脂設計が可能であり、一方、70〜95重量部の場合はよりポリカーボネート樹脂の優れた特性を生かした樹脂設計が可能となる。1重量部未満ではポリカーボネート樹脂の特徴が発現されず耐衝撃性が低下する。99重量部より多いとポリアリーレンスルフィド樹脂の特徴が発現されず成形性が悪化する。
本発明のB成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂としては、ポリアリーレンスルフィドと称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂としては、その構成単位として、例えばp−フェニレンスルフィド単位、m−フェニレンスルフィド単位、o−フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、分岐構造含有フェニレンスルフィド単位、等よりなるものを挙げることができ、その中でも、p−フェニレンスルフィド単位を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましく、さらに、ポリ(p−フェニレンスルフィド)がより好ましい。
本発明のB成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂の総ナトリウム含有量は、好ましくは30ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは8ppm以下である。30ppmを超える場合には、成形加工時にポリカーボネート樹脂が分解し、期待される特性が出ないばかりか、顕著な場合にはペレット化が不可能となる。
ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではなく、既知の方法で重合されるが、特に好適な重合方法としては、米国登録特許第4,746,758号および第4,786,713号記載された製造方法が挙げられる。この製造方法は、ジヨードアリール化合物と固体硫黄を、極性溶媒なしに直接加熱して重合させる方法である。
この重合方法を使うことにより、実質的に塩素含有量およびナトリウム含有量を低減させる必要が無く、コストパフォーマンスに優れたポリアリーレンスルフィド樹脂を得ることができる。
また本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂は、その他の重合方法によって得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を含んでいてもよい。
本発明のC成分で使用される熱伝導性フィラーは高熱伝導性を付与するためのフィラーであり、25℃における熱伝導率が、好ましくは10W/mK以上、より好ましくは40W/mK以上、更に好ましくは100W/mK以上である。熱伝導性フィラーの種類は特に限定されるものではないが、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填剤を使用することができる。繊維状、板状充填剤としては、炭素繊維、ワラステナイト、タルク、マイカ、金属フレーク(銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫など)、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、黒鉛などが挙げられる。粉末状、粒状充填剤としては、カーボン粉末、金属粉(銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫など)、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素およびシリカなどが挙げられる。これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。
C成分の含有量は、樹脂成分100重量部に対し、20〜70重量部であり、好ましくは20〜50重量部、さらに好ましくは20〜40重量部である。C成分の含有量が20重量部未満では熱伝導性、難燃性が劣り、70重量部を超えると難燃性、耐衝撃性、成形加工性が低下する。
本発明における樹脂組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で、エラストマー成分を含むことができる。好適なエラストマー成分としては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)およびシリコーン・アクリル複合ゴム系グラフト共重合体などのコア−シェルグラフト共重合体樹脂、あるいはシリコーン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は上記各成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。好ましくは2軸押出機による溶融混練が好ましく、必要に応じて、任意の成分をサイドフィーダー等を用いて第2供給口より、溶融混合された他の成分中に供給することが好ましい。
本発明の樹脂組成物を用いてなる成形品は、上記の如く製造されたペレットを成形して得ることができる。好適には、射出成形、押出し成形により得られる。射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、多色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形等を挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。また押出成形では、各種異形押出成形品、シート、フィルム等が得られる。シート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法等も使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形等により成形品とすることも可能である。
このペレットを120℃で6時間乾燥した後、射出成形機[FANUC(株)製T−150D]によりシリンダー温度300℃、金型温度130℃で各種評価用の試験片を成形した。これらの成形品を用いて各特性を測定した。それらの結果を表1および表2に示す。
ペレットから塩化メチレンにてポリカーボネート樹脂を抽出し、明細書記載の方法で粘度平均分子量を測定した。A成分として使用したPCの粘度平均分子量(22400)と測定した粘度平均分子量の差が2000以下のものを○、2000より大きいものを×とした。
総塩素含有量はペレットをAr/O2気流中にて900℃にて燃焼処理し、発生したガスを吸収液に吸収させ、イオンクロマトグラフ法(IC法)により定量した。
総ナトリウム含有量はペレットに硫酸を添加して灰化後、硫酸水素カリウムで融解、希硝酸に溶解させ純水で定容した後、ICP発光分析法(ICP−AES法)により定量分析を行った。測定装置はバリアン製、ICP−AES VISTA−MPXを使用した。
厚み4mmの試験片から3mm×10mmの短冊状にサンプルを切り出し、横に並べて一体化させ、NETZSCH社製LFA−447を用いて面内方向の熱伝導率を求めた。
米国アンダーライターラボラトリー社の定める方法(UL94)により、試験片厚さ2.0mmにおける垂直燃焼試験を実施して評価した。なお、V−0、V−1、V−2 のいずれの判定にもあてはまらないものについてはnot Vと表記した。
ISO規格のISO179−1および2に従って作成された厚み4mmの試験片を用い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度を測定した。
ISO規格のISO75−1および2に従って作成された厚み4mmの試験片を用い、
0.45MPaの荷重で荷重たわみ温度を測定した。
シリンダー温度300℃、金型温度70℃、射出圧力118MPaでアルキメデス型スパイラルフロー(厚さ2mm、幅8mm)により流動長を測定した。薄肉成形性の目安としては15cm以上あれば良好である。15cmより大きい場合を○、15cm〜10cmを△、10cm未満を×とした。
PC 1:直鎖PC(帝人製、粘度平均分子量22400、総塩素含有量60ppm、総ナトリウム含有量1ppm未満)
PC 2:直鎖PC(帝人製、粘度平均分子量22400、総塩素含有量800ppm、総ナトリウム含有量1ppm未満)
PPS 1:以下の製造方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法]
パラ−ジヨードベンゼン(p−diiodobenzene、pDIB)300.0gと固体硫黄29.15gと重合禁止剤として4−ヨードビフェニル(4−iodobiphenyl)1.48gの混合物を180℃で溶融させた。前記溶融混合物を、温度220℃および圧力350Torr(46.7kPa)で1時間、温度230℃および圧力200Torr(26.7kPa)で2時間、温度250℃および圧力120Torr(16.0kPa)で1時間、圧力を60Torr(8.0kPa)に下げて1時間、温度を280℃に上げて1時間、圧力を10Torr(1.3kPa)に下げて1時間、温度300℃および圧力1Torr(0.13kPa)以下で4時間の総計11時間重合反応させてポリフェニレンスルフィド樹脂を製造した。総塩素含有量は20ppm以下(検出限界以下)、総ナトリウム含有量は7ppmであった。
PPS 2:ポリフェニレンスルフィド樹脂(DIC製 DIC−PPS MA−505、総塩素含有量2200ppm、総ナトリウム含有量160ppm)
PPS 3:PPS 1 80wt%およびPPS 2 20wt%を上記2軸押出し機にて溶融混練しポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。総塩素含有量は330ppm、総ナトリウム含有量は26ppmであった。
PPS 4:PPS 1 60wt%およびPPS 2 40wt%を上記2軸押出し機にて溶融混練しポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。総塩素量は870ppm、総ナトリウム含有量は67ppmであった。
熱伝導性フィラー C−1:天然膨張黒鉛((株)丸豊鋳材製作所製 CS−F400R)
熱伝導性フィラー C−2:窒化ホウ素(サンゴバン(株)製 PCTP30)
その他成分 1:リン系安定剤(大八化学工業(株)製:TMP トリメチルホスフェート)
その他成分 2:ペンタエリスリトールテトラステアレート(コグニスジャパン(株)製:ロキシオールVPG861)
Claims (5)
- (A)ポリカーボネート樹脂(A成分)1〜99重量部および(B)ポリアリーレンスルフィド樹脂(B成分)99〜1重量部よりなる樹脂成分100重量部に対し、(C)熱伝導性フィラー(C成分)を20〜70重量部含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物の総塩素含有量が550ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が30ppm以下であることを特徴とする樹脂組成物。
- B成分が、総塩素含有量が550ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が30ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- B成分が、総塩素含有量が50ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が8ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- B成分が、ジヨードアリール化合物と固体硫黄を、極性溶媒なしに直接加熱して重合させる方法よって得られるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- C成分が、黒鉛および窒化ホウ素からなる群より選ばれる1種以上の熱伝導性フィラーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
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