JP2015108080A - 樹脂組成物 - Google Patents

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正人 本城
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Abstract

【課題】難燃性、耐熱性、成形性および耐衝撃性に優れ、かつ、熱伝導性に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリカーボネート樹脂(A成分)1〜99重量部および(B)ポリアリーレンスルフィド樹脂(B成分)99〜1重量部よりなる樹脂成分100重量部に対し、(C)熱伝導性フィラー(C成分)を20〜70重量部含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物の総塩素含有量が550ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が30ppm以下であることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、総塩素含有量および総ナトリウム含有量を低減したポリカーボネート樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂および熱伝導性フィラーよりなる樹脂組成物であって、難燃性、耐熱性、成形性および耐衝撃性に優れ、かつ熱伝導性に優れた樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂は、その製造、成形の容易さのため、あらゆる産業において広く用いられている。特に、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、一般に優れた耐熱性や耐衝撃性を有し、電子機器、機械、自動車などに幅広く使用されている。特に近年、LED照明用途においては、LEDの寿命の低下や輝度の低下を抑制するために、発生する熱を効率的に外部へ放散させる放熱対策が非常に重要な課題となっている。通常、LED照明の熱を拡散させるには、熱伝導性の良い金属やセラミックス系の材料を使用する方法、金属製のヒートシンクや放熱ファンを利用して熱源から熱を放散させる方法が用いられている。しかしながら、金属製の放熱部材では比重が重い、製造コストが高い等といった問題を抱えており、さらなるLED照明の市場発展のためには、射出成形可能な熱伝導性樹脂組成物の要求が非常に高い。
これらの熱伝導性を要求される樹脂組成物の熱伝導性を向上させる方法として、熱伝導性の高い炭素系材料を高分子材料に充填させた熱伝導性樹脂材料が提案されている。例えば、樹脂に黒鉛化炭素繊維を添加する方法(特許文献1)、熱可塑性樹脂に鱗片状黒鉛を添加する方法(特許文献2)が公知であるが、難燃性の低下や成形性の低下など様々な課題があった。
一方、難燃性を維持したまま熱伝導性を向上させる方法として、ポリカーボネート樹脂にリン系の難燃剤と窒化ホウ素を添加する方法(特許文献3)が知られているが、難燃性と成形性は向上しているものの、耐熱性が不十分であり、好ましくない。また、ポリアリーレンスルフィド樹脂に熱伝導性フィラーを添加する方法(特許文献4〜5)が知られているが、機械強度が不十分であり、優れた特性を発現するには至っていない。
特開2002−88250号公報 特開2009−161582号公報 特開2012−188579号公報 特開2004−182983号公報 特開2008−285511号公報
本発明の目的は、難燃性、耐熱性、成形性および耐衝撃性に優れ、かつ、熱伝導性に優れた樹脂組成物を提供することである。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂および熱伝導性フィラーよりなる樹脂組成物の総塩素含有量および総ナトリウム含有量を低減することにより、ポリアリーレンスルフィド樹脂が有する優れた難燃性、耐熱性を保持しつつ、成形加工時のポリカーボネート樹脂の分解を抑制し、ポリカーボネート樹脂が有する優れた靭性、衝撃強度を併せ持ち、かつ、熱伝導性に優れた樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
具体的には、上記課題は、(1)(A)ポリカーボネート樹脂1〜99重量部(A成分)および(B)ポリアリーレンスルフィド樹脂(B成分)99〜1重量部よりなる樹脂成分100重量部に対し、(C)熱伝導性フィラー(C成分)20〜70重量部を含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物の総塩素含有量が550ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が30ppm以下であることを特徴とする樹脂組成物により達成される。
本発明の好適な態様の1つは、(2)B成分が、総塩素含有量が550ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が30ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする上記構成1の樹脂組成物である。
本発明の好適な態様の1つは、(3)B成分が、総塩素含有量が50ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が8ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする上記構成1または2の樹脂組成物である。
以下、本発明の詳細について説明する。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明のA成分で使用されるポリカーボネート樹脂は、通常使用されるビスフェノールA型ポリカーボネート以外にも、他の二価フェノールを用いて重合された、高耐熱性または低吸水率の各種のポリカーボネート樹脂であってもよい。ポリカーボネート樹脂はいかなる製造方法によって製造されたものでもよく、界面重縮合の場合は通常一価フェノール類の末端停止剤が使用される。ポリカーボネート樹脂はまた3官能フェノール類を重合させた分岐ポリカーボネート樹脂であってもよく、更に脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸、または二価の脂肪族または脂環族アルコールを共重合させた共重合ポリカーボネートであってもよい。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは1.3×10〜4.0×10、より好ましくは1.5×10〜3.8×10である。芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液から20℃で求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。かかるポリカーボネート樹脂の詳細については、特開2002−129003号公報に記載されている。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
他の二価フェノールを用いて重合された、高耐熱性または低吸水率の各種のポリカーボネート樹脂の具体例としては、下記のものが好適に例示される。
(1)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称)成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつ9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称)成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、ビスフェノールA成分が10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCF成分が5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPM成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつ1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。これらの特殊なポリカーボネートは、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型のポリカーボネートと混合して使用することもできる。これらの特殊なポリカーボネートの製法および特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報および特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。さらにポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
ポリカーボネート樹脂はバージン原料のみならず、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂を利用することが可能である。その使用済みの製品としては、水ボトルに代表される容器、光学ディスクおよび自動車ヘッドランプなどが例示される。
A成分の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部中、1〜99重量部であり、5〜95重量部が好ましく、5〜30重量部および70〜95重量部がより好ましい。5〜30重量部の場合には、よりポリアリーレンスルフィド樹脂の優れた特性を生かした樹脂設計が可能であり、一方、70〜95重量部の場合はよりポリカーボネート樹脂の優れた特性を生かした樹脂設計が可能となる。1重量部未満ではポリカーボネート樹脂の特徴が発現されず耐衝撃性が低下する。99重量部より多いとポリアリーレンスルフィド樹脂の特徴が発現されず成形性が悪化する。
(B成分:ポリアリーレンスルフィド樹脂)
本発明のB成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂としては、ポリアリーレンスルフィドと称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂としては、その構成単位として、例えばp−フェニレンスルフィド単位、m−フェニレンスルフィド単位、o−フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、分岐構造含有フェニレンスルフィド単位、等よりなるものを挙げることができ、その中でも、p−フェニレンスルフィド単位を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましく、さらに、ポリ(p−フェニレンスルフィド)がより好ましい。
本発明のB成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂の総塩素含有量は、好ましくは550ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下である。総塩素含有量が550ppmを超える場合には、成形加工時にポリカーボネート樹脂が分解し、期待される特性が出ないばかりか、顕著な場合にはペレット化が不可能となる。
本発明のB成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂の総ナトリウム含有量は、好ましくは30ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは8ppm以下である。30ppmを超える場合には、成形加工時にポリカーボネート樹脂が分解し、期待される特性が出ないばかりか、顕著な場合にはペレット化が不可能となる。
ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではなく、既知の方法で重合されるが、特に好適な重合方法としては、米国登録特許第4,746,758号および第4,786,713号記載された製造方法が挙げられる。この製造方法は、ジヨードアリール化合物と固体硫黄を、極性溶媒なしに直接加熱して重合させる方法である。
前記製造方法はヨウ化工程および重合工程を含む。前記ヨウ化工程ではアリール化合物をヨードと反応させて、ジヨードアリール化合物を得て、続く重合工程で、ニトロ化合物触媒でジヨードアリール化合物を固体硫黄と重合反応させてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する。ヨードはこの工程で気体状で発生し、これを回収して再びヨウ化工程に用いられる。実質的にヨードは触媒である。
この重合方法を使うことにより、実質的に塩素含有量およびナトリウム含有量を低減させる必要が無く、コストパフォーマンスに優れたポリアリーレンスルフィド樹脂を得ることができる。
また本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂は、その他の重合方法によって得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を含んでいてもよい。
(C成分:熱伝導性フィラー)
本発明のC成分で使用される熱伝導性フィラーは高熱伝導性を付与するためのフィラーであり、25℃における熱伝導率が、好ましくは10W/mK以上、より好ましくは40W/mK以上、更に好ましくは100W/mK以上である。熱伝導性フィラーの種類は特に限定されるものではないが、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填剤を使用することができる。繊維状、板状充填剤としては、炭素繊維、ワラステナイト、タルク、マイカ、金属フレーク(銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫など)、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、黒鉛などが挙げられる。粉末状、粒状充填剤としては、カーボン粉末、金属粉(銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫など)、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素およびシリカなどが挙げられる。これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。
また、これら充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、およびエポキシ化合物などのカップリング剤および膨潤性の層状珪酸塩では有機化オニウムイオンで予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
C成分の含有量は、樹脂成分100重量部に対し、20〜70重量部であり、好ましくは20〜50重量部、さらに好ましくは20〜40重量部である。C成分の含有量が20重量部未満では熱伝導性、難燃性が劣り、70重量部を超えると難燃性、耐衝撃性、成形加工性が低下する。
(その他成分)
本発明における樹脂組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で、エラストマー成分を含むことができる。好適なエラストマー成分としては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)およびシリコーン・アクリル複合ゴム系グラフト共重合体などのコア−シェルグラフト共重合体樹脂、あるいはシリコーン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。
本発明における樹脂組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂を含むことができる。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂などに代表される汎用プラスチックス、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)等に代表されるエンジニアリングプラスチックス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、などのいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックスと呼ばれるものを挙げることができる。
本発明における樹脂組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、リン酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
(樹脂組成物の製造)
本発明の樹脂組成物は上記各成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。好ましくは2軸押出機による溶融混練が好ましく、必要に応じて、任意の成分をサイドフィーダー等を用いて第2供給口より、溶融混合された他の成分中に供給することが好ましい。
上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。得られたペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.5mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜4mmである。
本発明の樹脂組成物の総塩素含有量は550ppm以下であり、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下である。総塩素含有量が550ppmを超えると、成形加工時にポリカーボネート樹脂が分解し、期待される特性が出ないばかりか、顕著な場合にはペレット化が不可能となる。また総ナトリウム含有量は30ppm以下であり、好ましくは10ppm以下、より好ましくは8ppm以下である。総ナトリウム量が30ppmを超える場合も、同様にポリカーボネート樹脂が分解し、難燃性、耐衝撃性、耐熱性が低下し、顕著な場合にはペレット化が不可能となる。なお、総塩素含有量はイオンクロマトグラフ法(IC法)により、総ナトリウム含有量はICP発光分析法(ICP−AES法)により測定した。
(成形品について)
本発明の樹脂組成物を用いてなる成形品は、上記の如く製造されたペレットを成形して得ることができる。好適には、射出成形、押出し成形により得られる。射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、多色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形等を挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。また押出成形では、各種異形押出成形品、シート、フィルム等が得られる。シート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法等も使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形等により成形品とすることも可能である。
本発明の樹脂組成物は、総塩素含有量および総ナトリウム含有量を低減したポリカーボネート樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂および熱伝導性フィラーよりなる樹脂組成物であって、難燃性、耐熱性、成形性、耐衝撃性に優れ、かつ、熱伝導性に優れた樹脂組成物である。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、OA機器分野、電気電子機器分野などの各種工業用途に極めて有用であり、OA機器および電気電子機器のハウジングおよびシャーシ成形品に対応した良好な特性を満足するものであり、特に、LSI、CPU、LEDランプ、レーザープリンタの定着器などの発熱源を有する製品の成形品に有用である。具体的にはデスクトップパソコン、ノートパソコン、ゲーム機(家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、パチンコ、およびスロットマシーンなど)、ディスプレー装置(CRT、液晶、プラズマ、プロジェクタ、および有機ELなど)、並びにプリンター、コピー機、スキャナーおよびファックス(これらの複合機を含む)などのハウジングおよびシャーシ成形品において好適である。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その他幅広い用途に有用であり、例えば、携帯情報端末(いわゆるPDA)、携帯電話、携帯書籍(辞書類等)、電子書籍、携帯テレビ、記録媒体(CD、MD、DVD、次世代高密度ディスク、ハードディスクなど)のドライブ、記録媒体(ICカード、スマートメディア、メモリースティックなど)の読取装置、光学カメラ、デジタルカメラ、パラボラアンテナ、電動工具、VTR、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、照明機器(LED照明等)、冷蔵庫、エアコン、空気清浄機、マイナスイオン発生器、およびタイプライターなどを挙げることができ、これらのハウジング成形品やその他の部品に本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成された樹脂製品を使用することができる。またその他の樹脂製品としては、ランプリフレクター、ランプハウジング、インストルメンタルパネル、センターコンソールパネル、ディフレクター部品、カーナビケーション部品、カーオーディオビジュアル部品、オートモバイルコンピューター部品などの車両用部品を挙げることができる。以上から明らかなように本発明の奏する工業的効果は極めて大である。
以下、この発明の実施例および比較例につき説明するが、この発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
実施例および比較例は、表1および表2記載の各成分を表記載の配合割合で、径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30XSST)を使用し、A成分を計量器((株)クボタ製CEW)上に設けられた攪拌羽根式の供給機を用いて、スクリュー根元の第1投入口に供給し、かかるフィーダーを通して押出機へ供給した。その際、その他の成分などの単独ではブレンドし難い添加剤は、A成分の一部をドライブレンドして、パウダーで希釈された添加剤のマスターバッチを作成し、その後、A成分とのブレンドを行った。B成分は計量器((株)クボタ製CEV)上に設けられた振動式の供給機を用いて第1投入口から供給し、C成分は同じく計量器((株)クボタ製CEW)上に設けられた攪拌羽根式の供給機を用いて所定の割合となるよう第1投入口に供給し、かかるフィーダーを通して押出機へ供給した。押出条件は、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時、およびベント減圧度3KPaとし、押出を行った。押出された樹脂はストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化した。なお比較例2はストランドが激しく暴れ、ペレット化が不可能であったため以下の評価を実施できなかった。
このペレットを120℃で6時間乾燥した後、射出成形機[FANUC(株)製T−150D]によりシリンダー温度300℃、金型温度130℃で各種評価用の試験片を成形した。これらの成形品を用いて各特性を測定した。それらの結果を表1および表2に示す。
[ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量]
ペレットから塩化メチレンにてポリカーボネート樹脂を抽出し、明細書記載の方法で粘度平均分子量を測定した。A成分として使用したPCの粘度平均分子量(22400)と測定した粘度平均分子量の差が2000以下のものを○、2000より大きいものを×とした。
[樹脂組成物の総塩素含有量]
総塩素含有量はペレットをAr/O気流中にて900℃にて燃焼処理し、発生したガスを吸収液に吸収させ、イオンクロマトグラフ法(IC法)により定量した。
[樹脂組成物の総ナトリウム含有量]
総ナトリウム含有量はペレットに硫酸を添加して灰化後、硫酸水素カリウムで融解、希硝酸に溶解させ純水で定容した後、ICP発光分析法(ICP−AES法)により定量分析を行った。測定装置はバリアン製、ICP−AES VISTA−MPXを使用した。
[熱伝導率]
厚み4mmの試験片から3mm×10mmの短冊状にサンプルを切り出し、横に並べて一体化させ、NETZSCH社製LFA−447を用いて面内方向の熱伝導率を求めた。
[難燃性]
米国アンダーライターラボラトリー社の定める方法(UL94)により、試験片厚さ2.0mmにおける垂直燃焼試験を実施して評価した。なお、V−0、V−1、V−2 のいずれの判定にもあてはまらないものについてはnot Vと表記した。
[耐衝撃強度]
ISO規格のISO179−1および2に従って作成された厚み4mmの試験片を用い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度を測定した。
[荷重たわみ温度]
ISO規格のISO75−1および2に従って作成された厚み4mmの試験片を用い、
0.45MPaの荷重で荷重たわみ温度を測定した。
[成形性]
シリンダー温度300℃、金型温度70℃、射出圧力118MPaでアルキメデス型スパイラルフロー(厚さ2mm、幅8mm)により流動長を測定した。薄肉成形性の目安としては15cm以上あれば良好である。15cmより大きい場合を○、15cm〜10cmを△、10cm未満を×とした。
<A成分>
PC 1:直鎖PC(帝人製、粘度平均分子量22400、総塩素含有量60ppm、総ナトリウム含有量1ppm未満)
PC 2:直鎖PC(帝人製、粘度平均分子量22400、総塩素含有量800ppm、総ナトリウム含有量1ppm未満)
<B成分>
PPS 1:以下の製造方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法]
パラ−ジヨードベンゼン(p−diiodobenzene、pDIB)300.0gと固体硫黄29.15gと重合禁止剤として4−ヨードビフェニル(4−iodobiphenyl)1.48gの混合物を180℃で溶融させた。前記溶融混合物を、温度220℃および圧力350Torr(46.7kPa)で1時間、温度230℃および圧力200Torr(26.7kPa)で2時間、温度250℃および圧力120Torr(16.0kPa)で1時間、圧力を60Torr(8.0kPa)に下げて1時間、温度を280℃に上げて1時間、圧力を10Torr(1.3kPa)に下げて1時間、温度300℃および圧力1Torr(0.13kPa)以下で4時間の総計11時間重合反応させてポリフェニレンスルフィド樹脂を製造した。総塩素含有量は20ppm以下(検出限界以下)、総ナトリウム含有量は7ppmであった。
PPS 2:ポリフェニレンスルフィド樹脂(DIC製 DIC−PPS MA−505、総塩素含有量2200ppm、総ナトリウム含有量160ppm)
PPS 3:PPS 1 80wt%およびPPS 2 20wt%を上記2軸押出し機にて溶融混練しポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。総塩素含有量は330ppm、総ナトリウム含有量は26ppmであった。
PPS 4:PPS 1 60wt%およびPPS 2 40wt%を上記2軸押出し機にて溶融混練しポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。総塩素量は870ppm、総ナトリウム含有量は67ppmであった。
<C成分>
熱伝導性フィラー C−1:天然膨張黒鉛((株)丸豊鋳材製作所製 CS−F400R)
熱伝導性フィラー C−2:窒化ホウ素(サンゴバン(株)製 PCTP30)
<その他成分>
その他成分 1:リン系安定剤(大八化学工業(株)製:TMP トリメチルホスフェート)
その他成分 2:ペンタエリスリトールテトラステアレート(コグニスジャパン(株)製:ロキシオールVPG861)
Figure 2015108080
Figure 2015108080

Claims (5)

  1. (A)ポリカーボネート樹脂(A成分)1〜99重量部および(B)ポリアリーレンスルフィド樹脂(B成分)99〜1重量部よりなる樹脂成分100重量部に対し、(C)熱伝導性フィラー(C成分)を20〜70重量部含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物の総塩素含有量が550ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が30ppm以下であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. B成分が、総塩素含有量が550ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が30ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. B成分が、総塩素含有量が50ppm以下であり、かつ総ナトリウム含有量が8ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. B成分が、ジヨードアリール化合物と固体硫黄を、極性溶媒なしに直接加熱して重合させる方法よって得られるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. C成分が、黒鉛および窒化ホウ素からなる群より選ばれる1種以上の熱伝導性フィラーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
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