JP6495683B2 - 絶縁熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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(A成分:ポリカーボネート系樹脂)
本発明において使用されるポリカーボネート系樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
例えば、2価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
(1)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃であるポリカーボネート、あるいは
(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%であるポリカーボネート。
前記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によって芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環式を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環式を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。また、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
また、特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造単位が生ずる場合があるが、かかる分岐構造単位量についても、2価フェノールから誘導される構成単位との合計100モル%中、好ましくは0.001〜1モル%、より好ましくは0.005〜0.9モル%、さらに好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。なお、かかる分岐構造の割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
本発明の樹脂組成物を製造するにあたり、ポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量(M)は、特に限定されないが、好ましくは1×104〜5×104であり、より好ましくは1.4×104〜3×104、さらに好ましくは1.4×104〜2.4×104である。
粘度平均分子量が1×104未満のポリカーボネート系樹脂では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が5×104を超える芳香族ポリカーボネート樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
上記一般式(3)で表されるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンとしては、例えば下記に示すような化合物が好適に用いられる。
本発明において、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)は1種のみを用いてもよく、また、2種以上を用いてもよい。
また、本発明の妨げにならない範囲で、上記二価フェノール(I)、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)以外の他のコモノマーを共重合体の全重量に対して10重量%以下の範囲で併用することもできる。
二価フェノール(I)のオリゴマーを生成するにあたり、本発明の方法に用いられる二価フェノール(I)の全量を一度にオリゴマーにしてもよく、又は、その一部を後添加モノマーとして後段の界面重縮合反応に反応原料として添加してもよい。後添加モノマーとは、後段の重縮合反応を速やかに進行させるために加えるものであり、必要のない場合には敢えて加える必要はない。
このオリゴマー生成反応の方式は特に限定はされないが、通常、酸結合剤の存在下、溶媒中で行う方式が好適である。
炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。また、ホスゲン等のガス状の炭酸エステル形成性化合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法が好適に採用できる。
前記溶媒としては、公知のポリカーボネートの製造に使用されるものなど各種の反応に不活性な溶媒を1種単独であるいは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例としては、例えば、キシレン等の炭化水素溶媒、塩化メチレン、クロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。特に塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒が好適に用いられる。
かかる重合反応においては、末端停止剤或いは分子量調節剤が通常使用される。末端停止剤としては一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、通常のフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、トリブロモフェノールなどの他に、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、ヒドロキシフェニルアルキル酸エステル、アルキルエーテルフェノールなどが例示される。その使用量は用いる全ての二価フェノール系化合物100モルに対して、100〜0.5モル、好ましくは50〜2モルの範囲であり、二種以上の化合物を併用することも当然に可能である。
重縮合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミン又は第四級アンモニウム塩などの触媒を添加してもよい。
かかる重合反応の反応時間は、好ましくは30分以上、更に好ましくは50分以上である。所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。
場合により、得られたポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂に適宜物理的処理(混合、分画など)及び/又は化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所望の還元粘度[ηSP/c]のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂として取得することもできる。
A成分の含有量はA成分、B成分およびC成分の合計100重量%中、50〜80重量%であり、55〜75重量%が好ましく、60〜70重量%がより好ましい。A成分の割合が50重量%未満であると押出加工性悪く、機械的強度が低下する。また80重量%より多いと熱伝導性が低下する。
窒化ホウ素は立方晶窒化ホウ素、六方晶窒化ホウ素等が挙げられ、六方晶窒化ホウ素が好ましい。また、窒化ホウ素には、球状、鱗片状、およびそれらの凝集体などがあり、本発明にはいずれも使用することができる。なかでも鱗片状、鱗片状の凝集体を用いるとより熱伝導性の良好な組成物が得られるとともに機械物性等が良好となるので好ましい。窒化ホウ素の平均粒径(D50)はレーザー回折・散乱法にて測定した数値にて1〜100μmが好ましく。5〜50μmがより好ましい。平均粒径が1μm未満では樹脂組成物製造時の押出安定性が悪く生産性が低下する場合があり好ましくない。平均粒径が100μmを超えると成形品表面の外観が悪くなる場合があり好ましくない。
B成分の含有量はA成分、B成分およびC成分の合計100重量%中、15〜25重量%であり、17〜23重量%が好ましく、18〜22重量%がより好ましい。B成分の割合が15重量%未満の場合には曲げ弾性率が低いうえ、熱伝導性が低く、25重量%を超えると押出加工性が低下するうえ、熱伝導性におけるC成分との相乗効果が発現しない。
本発明の樹脂組成物はタルクおよび/またはウォラストナイトを含有する。
(タルク)
本発明におけるタルクとは、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO2・3MgO・2H2Oで表され、通常層状構造を持った鱗片状の粒子であり、また組成的にはSiO2を56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、H2O約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFe2O3が0.03〜1.2重量%、Al2O3が0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、K2Oが0.2重量%以下、Na2Oが0.2重量%以下などを含有している。タルクの粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定される平均粒径サイズ(D50)が1〜15μm(より好ましくは1〜10μm、更に好ましくは.2〜8μm、特に好ましくは3〜7μm)の範囲であることが好ましい。平均粒径が1μm未満では樹脂組成物製造時の生産性が低下する場合があり好ましくない。平均粒径が15μmを超えるとB成分の窒化ホウ素との熱伝導性の相乗効果が低くなる場合があり好ましくない。
さらにタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の樹脂組成物中に混入させない点で好ましい。
ウォラストナイトのレーザー回折・散乱法により測定される平均粒子サイズ(D50)は、1〜20μm(より好ましくは1〜15μm、更に好ましくは3〜15μm、特に好ましくは4〜10μm)の範囲であることが好ましい。平均粒径が1μm未満では樹脂組成物製造時の生産性が低下する場合があり好ましくない。平均粒径が20μmを超えるとB成分の窒化ホウ素との熱伝導性の相乗効果が低くなる場合があり好ましくない。本発明のウォラストナイトは、その元来有する白色度を十分に樹脂組成物に反映させるため、原料鉱石中に混入する鉄分並びに原料鉱石を粉砕する際に機器の摩耗により混入する鉄分を磁選機によって極力取り除くことが好ましい。かかる磁選機処理によりウォラストナイト中の鉄の含有量はFe2O3に換算して、0.5重量%以下であることが好ましい。
C成分の含有量はA成分、B成分およびC成分の合計100重量%中、5〜25重量%であり、8〜22重量%が好ましく、10〜20重量%がより好ましい。C成分の割合が5重量%未満の場合には、曲げ弾性率が低下するうえ熱伝導性におけるB成分との相乗効果が発現せず、25重量%を超えると、押出性が悪いうえ熱伝導性における相乗効果が発現しなくなる。
本発明の樹脂組成物はD成分として下記一般式(5)で表される有機シラン化合物を含有することができる。
また上記一般式(5)においてXは、取り扱い性や反応性の点から、メトキシ基およびエトキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好ましい。一方でR2における炭素数が多いほど(鎖長が長いほど)、芳香族ポリカーボネート樹脂に対する非親和性は高くなる傾向にある。しかしながらR2の炭素数が多いほどそれ自体の熱安定性が低下して色相が悪化する傾向にある。したがってR2の炭素数は、好適には4〜18であり、より好適には4〜10である。
本発明の樹脂組成物は、E成分として酸変性オレフィンワックスを含有することができる。酸変性オレフィンワックスとしては、カルボキシル基および/またはその誘導体基を有するオレフィン系ワックスが好ましく使用される。カルボキシル基誘導体としては、カルボン酸無水物基、カルボン酸の金属塩、カルボン酸のアルキルエステルまたはアリールエステル等が挙げられる。このカルボキシル基および/またはその誘導体基は、このオレフィン系ワックスのどの部分に結合してもよく、またその濃度は特に限定されないが、該オレフィン系ワックス1g当り0.1〜6meq/gの範囲が好ましい。0.1meq/gより少なくなると剛性および耐衝撃性の改良が不十分となり、6meq/gより多くなると該オレフィン系ワックス自身の熱安定性が悪化し好ましくない。かかるオレフィン系ワックスの市販品としては、例えばダイヤカルナ−DC30M(三菱化学(株)製)、Licolub CE 2 TP(クラリアント(株)製)、ハイワックス酸処理タイプの2203A、1105A(三井石油化学工業(株)製)、ダウケミカル(株)製EXL3808および酸化パラフィン(日本精蝋(株)製)等が挙げられる。本発明において、オレフィン系ワックスは単独あるいは2種以上の混合物として使用できる。
本発明の樹脂組成物は、F成分としてドリップ防止剤を含有することができる。このドリップ防止剤の含有により、成形品の物性を損なうことなく、良好な難燃性を達成することができる。
F成分のドリップ防止剤としては、フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーを挙げることができ、かかるポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、など)、米国特許第4379910号公報に示されるような部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート樹脂などを挙げることができる。中でも好ましくはポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)である。
かかるフィブリル形成能を有するPTFEの市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)のテフロン(登録商標)6J、ダイキン工業(株)のポリフロンMPA FA500HおよびF−201Lなどを挙げることができる。PTFEの水性分散液の市販品としては、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業(株)製のフルオンD−1およびD−2、三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)30Jなどを代表として挙げることができる。
混合形態におけるPTFEの割合としては、PTFE混合物100重量%中、PTFEが1〜60重量%が好ましく、より好ましくは5〜55重量%である。PTFEの割合がかかる範囲にある場合は、PTFEの良好な分散性を達成することができる。
本発明のポリテトラフルオロエチレン系混合体の製造工程には、開始剤の存在下でスチレン系単量体及びアクリル単量体からなるグループより選ばれた1つ以上の単量体を含むコーティング層を分岐状ポリテトラフルオロエチレンの外部に形成するステップが含まれる。さらに、前記コーティング層形成のステップ後に残存水分含量を0.5重量%以下、好ましくは0.2〜0.4重量%、より好ましくは0.1〜0.3重量%となるように乾燥させるステップを含むことが好ましい。乾燥のステップは、例えば、熱風乾燥又は真空乾燥方法のような当業界に公知にされた方法を用いて行うことができる。
まず、反応器中に水および分岐状ポリテトラフルオロエチレンディスパージョン(固形濃度:60%、ポリテトラフルオロエチレン粒子径:0.15〜0.3μm)を入れた後、攪拌しながらアクリルモノマー、スチレンモノマーおよび水溶性開始剤としてクメンハイドロパーオキサイドを添加し80〜90℃にて9時間反応を行なった。反応終了後、遠心分離機にて30分間遠心分離を行うことにより水分を除去し、ペースト状の生成物を得た。その後、生成物のペーストを熱風乾燥機にて80〜100℃にて8時間乾燥した。その後、かかる乾燥した生成物の粉砕を行い本発明のポリテトラフルオロエチレン系混合体を得た。
また、本発明の組成物は必要に応じて種々の特開2012−188579号公報に記載の公知の添加剤を添加することができ、各種添加剤の好ましい割合としては、A成分、B成分およびC成分の合計100重量部に対して、難燃剤は0.01〜15重量部、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、離型剤および帯電防止剤などは0.01〜5重量部、無機(酸化チタンなど)および/または有機系着色剤は0.01〜5重量部である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜C成分および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。各成分の一部を予備混合する方法としては例えば、A成分以外の成分を予め予備混合した後、A成分の熱可塑性樹脂に混合または押出機に直接供給する方法が挙げられる。
押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
本発明における樹脂組成物は、通常上述の方法で得られたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
また本発明における樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
(絶縁熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物の評価)
(i)熱伝導率
下記の方法で得られた引張りダンベル片(ISO規格ISO527−1および2準拠)の中央部分を所定の大きさ(10mm×10mm×3mmt)に切削し、レーザーフラッシュ装置(NETZSCH社製キセノンレーザーフラッシュアナライザLFA447型)を使用して、サンプルの流動方向の熱拡散率を測定し、熱伝導率を算出した。
(ii)荷重たわみ温度
下記の方法で得られたISO曲げ試験片を用いISO75−1および2に従い、1.80MPaの荷重で荷重たわみ温度を測定した。
(iii)シャルピー衝撃強度
下記の方法で得られたISO曲げ試験片を用いISO 179に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度の測定を実施した。
(iv)曲げ弾性率
下記の方法で得られたISO曲げ試験片を用い、ISO 178に従い、曲げ弾性率の測定を実施した。
(v)表面抵抗
JIS規格のJIS K6911に従って、作成された150mm×150mm×2mmtの試験片を用いて、500Vを電極間に印加し、1分後の抵抗値を測定した。
(vi)難燃性
下記の方法で得られたUL試験片を用いて、UL94に従い、厚み2.0mmにおけるV(垂直燃焼試験)試験を実施した。
(vii)押出加工性
押出時の安定性に関して以下の基準で評価を実施した。
押出時のストランドが極めて安定している:◎
押出時のストランドが安定している:○
押出時のストランドがやや不安定であるが、ペレット化は可能:△
押出時のストランドが安定せず、ペレット化が困難:×
表1〜表3に示す組成で、C成分のうちウォラストナイト、およびA成分のポリカーボネート系樹脂のうちL−1225Yを除く成分からなる混合物を押出機の第1供給口から供給した。かかる混合物はV型ブレンダーで混合して得た。C成分のウォラストナイトおよびポリカーボネート樹脂L−1225Yは、第2供給口からサイドフィーダーを用いて供給した。押出は径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30α−38.5BW−3V)を使用し、スクリュー回転数230rpm、吐出量25kg/h、ベントの真空度3kPaで溶融混練しペレットを得た。なお、押出温度については、第1供給口からダイス部分まで270℃で実施した。
得られたペレットの一部は、100℃で6時間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度70℃にて評価用の引張りダンベル片(ISO527−1および2準拠)、ISO曲げ試験片(ISO178およびISO179準拠))、ISOシャルピー衝撃試験片(ISO179に準拠)、表面抵抗測定用角板150mm×150mm×2mmtおよびUL試験片を成形した。
(A成分)
A−1:芳香族ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量22,400のポリカーボネート樹脂粉末、帝人(株)製 パンライトL−1225WP(製品名))
A−2:芳香族ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量22,200のポリカーボネート樹脂ペレット、帝人(株)製 パンライトL−1225Y(製品名))
(B成分)
B−1:窒化ホウ素(鱗片状凝集体 CF600(製品名)板状混合凝集体 レーザー回折・散乱法により測定される平均粒子サイズ(D50):16μm 粒度分布:D10/D90=6/55μm、表面積:8m2/g、かさ密度:0.47g/cm3)
B−2:窒化ホウ素(モメンティブ製 PT110(製品名)、板状 レーザー回折・散乱法により測定される平均粒子サイズ(D50):45μm 粒度分布:D10/D90=20/80μm、表面積:0.6m2/g、かさ密度:0.7g/cm3)
(C成分)
C−1:タルク((株)勝光山鉱業所製;ビクトリライトTK−RC(商品名)、レーザー回折・散乱法により測定される平均粒子サイズ(D50)4.7μmのタルクをかさ密度0.7〜0.8g/cm3に脱気圧縮したタルク、白色度:92%、Ig.Loss(強熱減量割合:JIS M8855に準拠):5.83%、pH=9.5)
C−2:タルク((株)勝光山鉱業所製;ビクトリライトSG−A(商品名)、レーザー回折・散乱法により測定される平均粒子サイズ(D50)21.6μmのタルク 白色度:96%、Ig.Loss(強熱減量割合:JIS M8855に準拠):5.82%、pH=9.8)
C−3:ウォラストナイト(大連環球鉱産集団製:H−1250F(商品名)、レーザー回折・散乱法により測定される平均粒子サイズ(D50)7.7μm、白色度:96%、
Ig.Loss(強熱減量割合:JIS M8855に準拠):0.105%、pH=9.35)
(D成分)
D−1:デシルトリメトキシシラン(信越化学工業社(株)製 KBM−3103)
(E成分)
E−1:α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス(三菱化学(株)製;ダイヤカルナ30M(商品名))
(F成分)
F−1:PTFE(ダイキン工業(株)製 ポリフロンMPA FA500H(商品名)
(その他の成分)
熱安定剤:トリフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製)
着色剤:二酸化チタン(石原産業(株)製タイペークPC−3(商品名)、平均粒子径が0.21μm、二酸化チタン顔料中のTiO2量が約93重量%であり、無機表面被覆剤として約2.5重量%のAl2O3および約1.5重量%のSiO2を含有し、約2重量%のポリメチル水素シロキサンで更に表面処理された二酸化チタン顔料)
難燃剤:リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業(株)製 PX−200)
Claims (3)
- (A)ポリカーボネート系樹脂(A成分)50〜80重量%、(B)窒化ホウ素(B成分)15〜25重量%並びに(C)タルクおよび/またはウォラストナイト(C成分)5〜25重量%からなる樹脂組成物100重量部あたり(D)下記式(5)で示される有機シラン化合物(D成分)を0.01〜3重量部含有する絶縁熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物。
- タルクのレーザー回折・散乱法により測定される平均粒子サイズ(D50)平均粒子径が1〜15μmであり、ウォラストナイトのレーザー回折・散乱法により測定される平均粒子サイズ(D50)が1〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の絶縁熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物。
- (E)酸変性オレフィンワックス(E成分)をA成分、B成分およびC成分の合計100重量部あたり0.01〜3重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物。
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