JP5512446B2 - 電池パック - Google Patents
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Description
図6に示すように、従来技術に係る電池パックは、それぞれが円筒形の外観形状を有する複数の素電池921を備え、これらが樹脂材料などからなる電池ホルダ922に収納され、リード板923で電気的接続がなされている。そして、このように構成されたコアパックが、ケース910に収納され、ケース910の開口が蓋911で閉じられ、さらに蓋911の上に基板ホルダ912が載置されて電池パックが構成されている。
ところで、電池パックにおける複数の素電池の内、一本の素電池について、アブユースや外部からの作用などにより以上発熱を生じた場合に、その影響がパッケージ内の複数の素電池に波及してしまうという、所謂、熱連鎖の問題がある。
本発明に係る電池パックは、複数の円筒形素電池を有し、複数の円筒形素電池は、外周面同士が互いに当接する状態あるいは1.0[mm]以下の隙間を以って近接する状態で配置されている。そして、複数の円筒形電池における外周面同士の間の領域の全部を埋めて、当該外周面と密着する状態でポッティング樹脂部が充填形成されている、ことを特徴とする。
また、本発明に係る電池パックでは、複数の円筒形素電池における外周面同士の間の領域には、当該外周面と密着する状態でポッティング樹脂部が充填形成されている。このため、上記従来技術に係る電池パックで、隣接する円筒形素電池間に電池ホルダを介挿させる場合に比べて、ポッティング樹脂部を充填形成する本発明に係る電池パックの場合には、円筒形素電池の外周面とポッティング樹脂部との密着性が高く、間に空気層が残り難い。よって、円筒形素電池で発生した熱が効率よくポッティング樹脂部へと伝達される。
従って、本発明に係る電池パックは、熱連鎖を効果的に防止できるとともに、高いエネルギ密度を有する。
本発明に係る電池パックでは、一例として、次のようなバリエーションを採用することができる。
本発明に係る電池パックでは、上記構成において、複数の円筒形素電池が、外周面同士が互いに当接する状態で配置されている、という構成を採用することができる。このように、隣接する円筒形素電池の外周面同士を当接することにすれば、隙間をあけて配置する場合に比べて、さらに高いエネルギ効率を実現することができる。
1.電池パック1の構成
本実施の形態に係る電池パック1の外観構成について、図1および図2を用い説明する。
蓋11の外縁部分からは、8つのリード板22〜29の各一部が延出され、基板ホルダ12の上部で内側に向けてL字状に曲折加工されている。
コアパック20は、素電池群21と、それらを電気的に接続する8つのリード板22〜29とを有し構成されている。
電池パック1においては、各リード板22〜29のZ軸方向上側の先端部分の一部が、蓋11の外縁に設けられた孔を挿通して延出されるようになっている(図1を参照)。
電池パック1に含まれる素電池群21の構成について、図3を用い説明する。図3は、素電池群21を図2におけるY軸方向の手前側から見た模式図である。
図3に示すように、本実施の形態に係る電池パック1の素電池群21は、28本の素電池211〜238を備える。素電池211〜238の各々は、円筒形の外観形状を有し、例えば、リチウム二次電池である。
(i)例えば、作業台上にケース10に相当するジグを構成し、これに素電池211〜238を取り付けて、俵積み状に固定する。
(ii)次に、素電池211〜238の外周面同士の間の隙間部分に、ポッティング樹脂部239を構成するための材料を含むポッティング液を注入する。
3.優位性
本実施の形態に係る電池パック1では、28本の素電池(円筒形リチウム二次電池)211〜238について、外周面同士が互いに当接する状態で配置され、その状態でケース10に内部に収納されているので、素電池211〜238の互いの間での無駄なスペースがなく、高いエネルギ密度を有する。
以上より、本実施の形態に係る電池パック1は、熱連鎖を効果的に防止できるとともに、高いエネルギ密度を有する。
4.確認実験
以下では、効果を確認するために行った実験の結果について、説明する。
素電池間の間隔および介挿部材と熱連鎖の発生との関係について、8種類のサンプルを作製し、確認試験を行った。
(i)サンプルNo.1;図4(a)に示すように、9本の素電池を格子状に配置し、間には部材を介挿させなかった。即ち、素電池間には空気層が介挿されていることになる。そして、素電池間の間隔を1.0[mm]とした。
(iii)サンプルNo.3;図4(b)に示すように、5本の素電池をちどり状に配置し、間には従来技術に係る電池パックで用いられているのと同様の、樹脂性の電池ホルダを介挿させた。電池ホルダは、例えば、ポリカーボネートから構成されている。また、素電池間の間隔を1.0[mm]とした。
(v)サンプルNo.5;図4(c)に示すように、9本の素電池を格子状に配置し、間にはポッティング樹脂を硬化させたポッティング樹脂部を介挿させた。そして、図4(c)とは少し異なるが、隣接する素電池の外周面同士を当接(間隔を0[mm])させた。
(vii)サンプルNo.7;素電池の配置、および素電池間にポッティング樹脂部が介挿される点は、サンプルNo.5,6と同じである。相違点は、素電池間の間隔を1.0[mm]とした点である。
試験は、各サンプルNo.1〜8について、#1セル(素電池)に対して、熱暴走を発生させて燃焼させたときの、他の素電池に類焼があったか否かを確認するものとした。なお、No.5,6のサンプルについては、#1セル(素電池)で燃焼しなかったので、#2セル(素電池)を熱暴走させることにより燃焼させた。結果を、表1に示す。
表1に示すように、No.1およびNo.3のサンプルでは、全セルが類焼した。その他のサンプルでは、類焼は認められなかった。これより、熱連鎖の防止という観点からは、セル間に空気層が介在する場合、および樹脂製の電池ホルダを介挿させる場合、素電池間の間隔を少なくとも1.5[mm]確保する必要があることが分かる。
素電池の配置形態とポッティング樹脂部の形成領域について、4種類のサンプルを作製し、確認試験を行った。
(i)サンプルNo.11;図5(a)に示すように、9本の素電池を格子状に配置し、これらをケースに収納した後、ケース内全体にポッティング樹脂部を充填形成した。
(iii)サンプルNo.13;図5(c)に示すように、9本の素電池を、所謂、俵積み状(ちどり状)に配置し、これらをケースに収納した後、隣接する素電池の外周面同士の間にだけポッティング樹脂部を充填形成した。
試験は、各サンプルNo.11〜14について、#1セル(素電池)で熱暴走させることにより燃焼させたときの、他の素電池に類焼があったか否かを確認するものとした。なお、No.11のサンプルについては、#1セルで燃焼しなかったので、#2セル(素電池)で熱暴走を発生させることにより燃焼させた。結果を、表2に示す。
表2に示すように、No.13のサンプルを除き、類焼はなかった。また、No.13のサンプルでは、結果的に類焼が認められたものの、酸素供給状態でケースが燃焼したことで全セルが類焼したものであり、熱連鎖に起因するものはないと考えられる。
以上より、エネルギ効率の向上と熱連鎖の防止との両観点から、複数の素電池を俵積み状(ちどり状)に配置するとともに、少なくとも隣接する素電池の外周面同士の間の隙間部分にポッティング樹脂部を充填形成すればよいことが確認できた。
上記実施の形態は、本発明の構成及び作用・効果を分かりやすく説明するために採用した一例であって、本発明は、その本質的部分を除き、上記実施の形態に何ら限定を受けるものではない。例えば、図2および図3に示すように、上記実施の形態では、28本の素電池を備える構成を採用したが、素電池の本数は、これに限定されず、27本以下であっても、逆に、29本以上であってもよい。
また、上記では、ポッティング樹脂部239の形成について、ケース10に収納する前にポッティング樹脂部239を充填形成しておく形態を一例として採用したが、本発明では、これに限定を受けず、種々の形成方法を使用することができる。例えば、複数の素電池をリード板で接合し、これをケース内に収納した後に、ポッティング液を注入して硬化させるということでもポッティング樹脂部の形成が可能である。
10.ケース
11.蓋
12.基板ホルダ
20.コアパック
21.素電池群
22〜29.リード板
211〜238.素電池
239.ポッティング樹脂部
Claims (7)
- 複数の円筒形素電池を有する電池パックであって、
前記複数の円筒形素電池は、外周面同士が互いに当接する状態あるいは1.0mm以下の隙間を以って近接する状態で配置されており、
前記複数の円筒形電池における外周面同士の間の領域の全部を埋めて、当該外周面と密着する状態でポッティング樹脂部が充填形成されている
ことを特徴とする電池パック。 - 前記ポッティング樹脂部は、前記複数の円筒形素電池の各外周面の10%以上の領域を被覆している
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。 - 前記複数の円筒形素電池は、これらを端面側から見るとき、俵積み状となるように配置されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池パック。 - 前記複数の円筒形素電池は、外周面同士が互いに当接する状態で配置されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の電池パック。 - 前記ポッティング樹脂部は、シリコーン系またはエポキシ系またはウレタン系のポッティング樹脂材料から構成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の電池パック。 - 前記ポッティング樹脂部は、0.3W/m・K以上の熱伝導率を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の電池パック。 - 前記円筒形素電池は、リチウム二次電池である
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の電池パック。
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