JP5512412B2 - 開放型温風暖房機 - Google Patents

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Description

本発明は、筺体の内部で燃料ガスを燃焼させ、その燃焼排気を空気で希釈することによって得られた温風を、筺体に設けた吹出し口から吹き出して部屋内の暖房を行う開放型温風暖房機に関する。
筺体に設けた吹出し口から温風を吹き出すことによって部屋内の暖房を行う開放型温風暖房機が広く知られている。この開放型温風暖房機では、燃料ガスを燃焼させるバーナーや、温風を吹き出すための温風ファンを内蔵しており、次のようにして温風を生成している。先ず、温風ファンを回転させて開放型温風暖房機の内部に空気を吸い込んで、その空気の一部を燃料ガスと混合してバーナーで燃焼させる。そして、吸い込んだ残りの空気でバーナーの燃焼排気を希釈することによって適切な温度まで冷却する。こうして得られた暖かい空気を、温風として吹出し口から吹き出している。このように開放型温風暖房機は、結果的にはバーナーの燃焼排気を部屋内に排出することになるので、燃焼排気に含まれる有害成分(一酸化炭素や窒素酸化物など)によって部屋内の空気が汚染される虞がある。
そこで開放型温風暖房機では、燃焼排気に含まれる有害成分の濃度を低減するために、燃焼方式に関する種々の改良が行われている(例えば、特許文献1、特許文献2など)。あるいは、部屋の空気に含まれる有害成分の濃度を精度良く検出可能とすることで、部屋内の汚染が進むことを防止しようとする技術も提案されている(特許文献3)。このように開放型温風暖房機には、燃焼排気中の有害成分濃度を抑制しようとする要請が存在するが、その一方で、開放型温風暖房機は部屋内に設置して用いられることから、装置の大きさをできるだけ小型化したいという要請も常に存在している。
特開平10−318537号公報 特開2006−275360号公報 特開2008−309346号公報
しかし、燃焼排気に含まれる有害成分濃度の低減と、開放型温風暖房機の小型化とを両立させることは容易ではないという問題があった。これは次のような事情による。先ず、燃焼排気中の有害成分の濃度を低減するためには、燃料ガスの燃焼状態を精度良く制御しなければならない。そのためには、燃焼状態に大きな影響を与えるパラメーターである空燃比(空気と燃料ガスとの割合)が局所的に変動することがないように、燃料ガスと空気とを十分に混合しておく必要がある。ところが、燃料ガスと空気とを十分に混合するためには、それらの混合を行う部分である混合管に十分な長さが必要となる。特に、短時間に多量の燃料ガスを燃焼させる高負荷燃焼を行うためには、多量の燃料ガスと空気とを十分に混合しなければならないので、混合管の長さだけでなく、混合管のサイズ自体が大きくなってしまい、結果として開放型温風暖房機が大型化してしまう。以上のような理由から、燃焼排気中の有害成分濃度を低く抑えながら、同時に、開放型温風暖房機の小型化を図ることは容易ではないという問題があった。
この発明は、従来の技術が有する上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、燃焼排気中の有害成分濃度を低く抑えながら、同時に小型化することも可能な開放型温風暖房機を提供することを目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の開放型温風暖房機は次の構成を採用した。すなわち、
筺体の内部に搭載されたバーナーを用いて燃料ガスを燃焼させ、得られた燃焼排気を、該筺体の外部から取り込んだ空気で希釈した後、該筺体に設けた吹出し口から温風として吹き出す開放型温風暖房機において、
前記筐体の内部に空気を取り込むための少なくとも一つの空気取入口と、
前記バーナーからの前記燃焼排気と、該燃焼排気を希釈するための前記空気取入口から取り込まれた希釈空気とを吸引して、前記吹出し口から前記温風として吹き出す温風ファンと、
前記温風ファンとは別体に設けられ、前記空気取入口から取り込まれた空気の一部を、前記燃料ガスを燃焼させるための空気として前記バーナーに供給する燃焼ファンと
を備えることを特徴とする。
このような構成を有する本発明の開放型温風暖房機においては、筐体の内部に空気を取り込む少なくとも一つの空気取入口と、希釈空気とバーナーからの燃焼排気とを吸引して温風を吹き出す温風ファンとに加えて、空気取入口から取り込まれた空気の一部をバーナーに供給する燃焼ファンを備えている。このため、温風ファンは、バーナーから出た燃焼排気と希釈空気とを吸引するだけの能力があればよく、バーナーで燃料ガスを燃焼させるための空気を吸い込むまでの能力は不要となる。また、バーナーで燃料ガスを燃焼させるための空気(燃焼用の空気)と、バーナーから出た燃焼排気を希釈するための空気(希釈用の空気)とを、温風ファンで同時に吸引しようとすると、途中でバーナーという比較的抵抗の大きい箇所を通過しなければならない燃焼用の空気は、希釈用の空気に対して不足しがちとなる。このため、希釈用の空気の通路に何らかの抵抗を設けなければならなくなって、ますます大きな能力の温風ファンが必要となる。本発明の開放型温風暖房機では、燃焼ファンを用いて燃焼用の空気を供給することができるので、その分だけ温風ファンの負担を軽減することが可能となり、加えて、希釈用の空気の通路抵抗を増加させる必要もない。その結果、温風ファンを小型化することが可能となり、燃焼ファンを搭載しているにも拘わらず、全体としてみれば開放型温風暖房機を小型化することが可能となる。また、燃焼ファンを用いてバーナーに空気を供給すれば、燃料ガスに合わせて適切な分量の空気を供給することができ、更に燃料ガスと空気との混合も促進することができるので、燃焼排気中の有害成分の濃度が増加することもない。
また、上述した本発明の開放型温風暖房機においては、バーナーで燃焼する燃料ガスの火炎温度を検出し、検出した火炎温度に基づいて燃焼ファンを制御するようにしてもよい。たとえば、検出した火炎温度が目標温度よりも高い場合には、燃焼ファンの回転速度を増加させ、逆に火炎温度が目標温度よりも低い場合には、燃焼ファンの回転速度を低下させるようにしても良い。
こうすれば、燃料ガスの火炎温度が適切に保たれるように、燃焼ファンを制御することができる。特に、検出した火炎温度と目標温度との大小関係に基づいて燃焼ファンの回転速度を制御することとすれば、燃焼ファンの動作を簡単に制御することができる。このため、燃焼ファンが搭載されたことによって開放型温風暖房機の制御が複雑になることを最小限に抑制することが可能となる。
また、上述した本発明の開放型温風暖房機においては、燃焼ファンとバーナーとを空気供給通路で接続し、この空気供給通路の途中から、空気の流れと交差する方向に燃料ガスを供給するようにしても良い。
こうすれば、燃料ガスの供給量が少ないときは、空気供給通路内をゆっくりと流れる空気を横切るようにして燃料ガスが供給されるので、空気供給通路の広い範囲で速やかに燃料ガスと空気とを混合させることができる。また、燃料ガスの供給量が多いときは、勢い良く吹き出された燃料ガスが空気の流れを横切って、空気供給通路の内壁面に衝突した後、周囲に拡散するので、燃料ガスと空気とを速やかに混合させることができる。その結果、燃料ガスと空気とを十分に混合させた状態でバーナーに供給することができるので、燃料ガスを安定して燃焼させることが可能となる。
更に、上記のように、空気供給通路の途中から燃料ガスを供給する本発明の開放型温風暖房機においては、燃料ガスを供給する位置よりも下流側で、空気供給通路の通路面積を絞っておいても良い。
こうすれば、空気供給通路に供給された燃料ガスと空気との混合を、通路面積が絞られた部分で更に促進することができる。このため、たとえ空気供給通路の長さが十分に取れない場合でも、燃料ガスと空気とを十分に混合させた状態でバーナーに供給することができ、その結果、燃焼排気中の有害成分濃度を増加させることなく、より一層、開放型温風暖房機を小型化することが可能となる。
本実施例の開放型温風暖房機10の内部構造を示す説明図である。 本実施例のバーナー筺300の内部構造を示した説明図である。 本実施例の開放型温風暖房機10の断面を取ることによって、温風を吹き出す動作を示した説明図である。 開放型温風暖房機10の内部の空気の流れを概念的に示した説明図である。 従来の開放型温風暖房機に搭載された上部本体筺210を示した説明図である。 従来の開放型温風暖房機が温風を吹き出す動作を示した説明図である。 本実施例の開放型温風暖房機10に搭載されているバーナー部310およびバーナー口302の内部構造を示す断面図である。 バーナー口302の側面から燃料ガスを吹き出すことで低負荷時の燃焼を安定させることが可能な理由を示す説明図である。 本実施例の開放型温風暖房機10が燃焼ファン400を制御する方法を示した説明図である。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.開放型温風暖房機の構造概要:
B.本実施例の開放型温風暖房機が小型化可能な理由:
C.バーナー部の内部構造:
D.燃焼ファンの回転速度制御:
A.開放型温風暖房機の構造概要 :
図1は、本実施例の開放型温風暖房機10の大まかな内部構造を示す説明図である。図示されるように開放型温風暖房機10は、外形形状をなす外筺100の内部に、金属板によって形成された本体筺200や、燃焼ファン400や、電磁弁ユニット500などが収容されて構成されている。また、本体筺200は、大まかに言うと上部本体筺210および下部本体筺220の二つの部分から構成されており、上部本体筺210には、燃料ガスを燃焼させるためのバーナー筺300が収納され、下部本体筺220には、温風を吹き出すための温風ファン222が収納されている。
このうち、上部本体筺210は、下面が開口した箱形状に形成されており、背面側(バーナー筺300の向こう側)には、後述する空気取入口212が大きく開口している。また、バーナー筺300からは通路形状のバーナー口302が突設されており、このバーナー口302は上部本体筺210の外部まで延設されるとともに、その先端には燃焼ファン400が取り付けられている。従って、このバーナー口302は、本発明における「空気供給通路」に該当する。更に、通路形状のバーナー口302が上部本体筺210と燃焼ファン400とを連結している部分には、側面側から燃料ガス供給管502が接続されており、電磁弁ユニット500からの燃料ガスが燃料ガス供給管502を介して、バーナー口302の内部に供給されるようになっている。
一方の下部本体筺220は、上面が開口した箱形状に形成されており、手前側の面(開放型温風暖房機10の正面側の面)の下方部分には、横長の大きな吹出し口224が設けられている。また、下部本体筺220の側面には、温風ファン222を回転させるためのファンモーター226も取り付けられている。そして、上部本体筺210と下部本体筺220とは、互いの開口を付き合わせた状態で、溶接あるいはネジ止めなどによって一体に構成されている。このため、下部本体筺220に収納されたファンモーター226を回転させると、上部本体筺210の背面側に設けられた空気取入口212から空気が吸い込まれて、上部本体筺210および下部本体筺220の内部を下降した後、下部本体筺220の前面側に設けられた吹出し口224から排出されるように構成されている。
図2は、本実施例のバーナー筺300の大まかな内部構造を示した説明図である。図示されるように、バーナー筺300の内部には、略U字型断面に形成された金属製の細長いバーナー本体306や、バーナー本体306に上方から嵌め込まれたセラミックス製の燃焼板308などが設けられている。また、これらは、上面が開口した金属ケース304内に収容されている。尚、以下では、バーナー本体306と燃焼板308とをまとめて、バーナー部310と呼ぶことがあるものとする。燃焼板308には、小さな貫通穴(炎孔)が複数形成されている。また、燃焼板308の上側表面から若干の距離を隔てた箇所には、側方から金属ケース304を貫通した状態で熱電対312が設けられている。
更に、バーナー本体306からは、前述したバーナー口302がバーナー筺300および上部本体筺210の外部まで突設されて、燃焼ファン400に接続されている。このため、燃焼ファン400を回転させながら、燃料ガス供給管502からバーナー口302に燃料ガスを供給すると、燃焼ファン400からの空気と燃料ガス供給管502からの燃料ガスとが互いに混合しながらバーナー口302を通ってバーナー本体306に供給され、その後、燃焼板308に設けられた複数の貫通穴(炎孔)から流出する。
こうして複数の貫通穴(炎孔)から流出する混合ガスに、図示しない点火装置で点火する。こうすると、燃焼板308の上面側で燃料ガスを燃焼させることが可能となる。このとき燃焼板308は、いわゆる保炎器として機能して、燃焼板308の上面側で安定して火炎を保持しておくことが可能となる。また、燃焼によって生成された燃焼排気は、金属ケース304の上面側に設けられた開口部から排出されていく。
図3は、開放型温風暖房機10の断面を取ることによって、開放型温風暖房機10が温風を吹き出す動作を示した説明図である。図1を用いて前述したように、外筺100の内部には、上部本体筺210と下部本体筺220とから構成される本体筺200が設けられており、上部本体筺210の内部にはバーナー筺300が収納され、下部本体筺220の内部には温風ファン222が収納されている。また、下部本体筺220の前面側には吹出し口224が設けられており、上部本体筺210の背面側には、大きな空気取入口212が設けられている。更に、空気取入口212が設けられた部分では、外筺100の対応する部分も大きく開口しており、ここに細かい網目状の防塵フィルター102が設けられている。また、本体筺200の上方の外筺100との隙間には、開放型温風暖房機10の全体の動作を制御する制御部110が搭載されている。
図中に示した白抜きの矢印は、温風ファン222を回転させることによって、外部から取り込まれた空気の流れを表している。図示されるように、外部の空気は、防塵フィルター102によって細かい埃などが取り除かれた後、空気取入口212から上部本体筺210の内部に流入する。前述したように上部本体筺210の中にはバーナー筺300が搭載されているので、空気取入口212から流入した空気は、バーナー筺300を避けるようにして上方に迂回した後、バーナー筺300の前面側に回り込む。そして、今度はバーナー筺300の前面側と上部本体筺210との間の空間を下降して、下部本体筺220に設けられた温風ファン222に吸い込まれていく。また、空気取入口212から流入した空気の一部は、バーナー筺300の下方を通って、直接、温風ファン222に吸い込まれる。
このように温風ファン222を回転させることによって、本体筺200の内部に空気の流れを形成した状態で、バーナー筺300の内部のバーナー部310で燃料ガスを燃焼させる。すると、バーナー筺300から上方に排出された燃焼排気は、本体筺200内を流れる空気によって希釈されながら、バーナー筺300の前面側と上部本体筺210との間の空間を下降して温風ファン222に吸い込まれていく。図3には、燃焼排気の流れが黒塗りの矢印によって表されている。こうして空気によって希釈された燃焼排気は、更に、空気取入口212からバーナー筺300の下方を通過して流入した冷たい空気によって希釈される。その後、下部本体筺220の吹出し口224から温風として吹き出され、最終的には、外筺100の前面に設けられた図示しない温風口から、開放型温風暖房機10の外部に排出される。図3中では、吹出し口224から温風が吹き出される様子が、斜線を付した矢印によって表されている。
以上に説明したように、本実施例の開放型温風暖房機10は、温風を吹き出すための温風ファン222とは別に、バーナー部310に燃焼用の空気を供給する燃焼ファン400を搭載している。そして、その結果として、開放型温風暖房機10を小型化することが可能となっている。以下、この理由について詳しく説明する。
B.本実施例の開放型温風暖房機が小型化可能な理由 :
図4は、本実施例の開放型温風暖房機10の内部での空気の流れを概念的に示した説明図である。図中では、外筺100を一つの通路に見立てて、防塵フィルター102から流入した空気が、温風となって吹出し口224から排出される様子が示されている。前述したように温風ファン222を回転させると、防塵フィルター102から外筺100の内部に空気が流入する。流入した空気の一部は燃焼ファン400によってバーナー筺300の内部のバーナー部310に供給された後、燃焼排気として外筺100に排出される。図中では、バーナー筺300からの燃焼排気は、黒塗りの矢印で示されている。この燃焼排気は、防塵フィルター102から流入した空気の中で燃焼に使われなかった空気によって希釈され、吹出し口224から温風として排出される。

結局、本実施例の開放型温風暖房機10では、防塵フィルター102から流入した空気のうち、燃焼ファン400によって取り込まれた空気(図中で「A」と表示)が燃焼用に使用され、残りの空気(図中で「B」と表示)は燃焼排気の希釈用に使用されるようになっている。ところが、燃焼ファン400を搭載していない従来の開放型温風暖房機では、事情は大きく異なったものとなる。そして、このことが、本実施例の開放型温風暖房機10の小型化を可能とする大きな要因となっている。以下では、この理由を説明する準備として、燃焼ファン400を搭載していない従来の開放型温風暖房機が温風を吹き出す動作について簡単に説明する。
図5は、従来の開放型温風暖房機に搭載された上部本体筺210を示した説明図である。尚、燃焼ファン400を搭載しない従来の開放型温風暖房機においても、下部本体筺220等、その他の部分の構造は、本実施例の開放型温風暖房機10と基本的に同じであるため、これらについての説明は省略する。図5に示されるように、従来の開放型温風暖房機では、バーナー口302の代わりに、ラッパ状に開口した取入口902が上部本体筺210から突設されている。この取入口902の末狭まりとなった側の端部は、バーナー筺900の内部に搭載されたバーナー本体(図示は省略)に連通している。また、末広がりとなった側の端部の中心には、燃料ガス供給管502が若干差し込まれた状態で設けられている。更に、従来の開放型温風暖房機では、バーナー筺900の奥側(上部本体筺210の空気取入口212が設けられている側)に、二次空気を取り入れるための開口部(図示は省略)が設けられている。
図6は、従来の開放型温風暖房機90の断面を取ることによって、開放型温風暖房機90が温風を吹き出す動作を示した説明図である。従来の開放型温風暖房機90においても、温風ファン222を回転させると、空気取入口212から本体筺200に空気が流入する。図6においても、前述した図3と同様に、空気の流れは白抜きの矢印によって表されている。
また、従来の開放型温風暖房機90には燃焼ファン400が搭載されていないので、燃焼用の空気は、次のようなメカニズムでバーナー筺900に供給される。先ず、温風ファン222を回転させると吹出し口224から空気が吹き出される結果、本体筺200の内部は、本体筺200の外側に対して僅かに負圧となる。また、図5に示したように、従来の開放型温風暖房機90には、バーナー筺900から本体筺200の外側に向けて開口する取入口902が設けられているので、この取入口902からバーナー筺900の内部のバーナー本体に向かって、少しずつ空気が流入する。更に、取入口902はラッパ状に開口しているので、燃料ガス供給管502から燃料ガスを供給すると、燃料ガスはエジェクター効果によって周囲の空気を巻き込みながら、取入口902からバーナー本体に流入する。そして、バーナー本体の内部では、このようにして供給された燃料ガスと空気とが混合して混合ガスが形成され、この混合ガスが、バーナー本体の上部に設けられた燃焼板で燃焼する。
また、図5を用いて前述したように、バーナー筺900には、空気取入口212に面した側に、二次空気を取り入れるための開口部904が設けられている。従って、この開口部904からもバーナー筺900の内部に空気が流入する。そして、この空気は、バーナー筺900の内側を通って、燃焼板の周囲から二次空気として火炎に供給される。こうして二次空気を供給することで、火炎中の一酸化炭素や未燃の燃料ガス成分などの燃焼を促進して、燃焼排気中の有害成分の濃度を減少させることができる。そして、生成された燃焼排気は、バーナー筺900から上方に向けて排出され、本体筺200内を流れる空気によって希釈されながら、本体筺200の内部を下降して温風ファン222に吸い込まれていく。
図6においても、前述した図3と同様に、燃焼排気の流れは黒塗りの矢印によって表されている。そして、バーナー筺900からの燃焼排気と、空気取入口212から吸い込まれた空気(希釈空気)とは、温風ファン222によって完全に撹拌された状態で、温風として吹出し口224から吹き出される。図6においても、吹出し口224から温風が吹き出される様子が、斜線を付した矢印によって表されている。
以上の説明から明らかなように、燃焼ファン400を搭載しない従来の開放型温風暖房機90では、燃焼用に用いられる空気(図4中で「A」と表示した空気に対応)と、希釈用に用いられる空気(図4中で「B」と表示した空気に対応)との割合が、燃焼用の空気が通る通路の通路抵抗と、希釈用の空気が通る通路の通路抵抗との相対的な大小関係によって決定される。ここで、燃焼用の空気は、一旦、バーナー筺900の内部を通過しなければならないのに対して、希釈用の空気はバーナー筺900のような大きな抵抗となる部分を通過しない。このため、どうしても燃焼用の空気が通る側の通路抵抗が大きくなって、燃焼用の空気(図4中で「A」と表示した空気に対応)が不足気味となる。燃焼用の空気が不足すると、燃焼排気に含まれる一酸化炭素などの有害成分の濃度が増加してしまうので、これを回避するためには、希釈用の空気(図4中で「B」と表示した空気に対応)が通る通路の抵抗を増やさなければならない。結局、従来の開放型温風暖房機90では、燃焼用の空気が通る側の通路抵抗に合わせて、希釈用の空気が通る通路に絞りを設けるなどして通路抵抗を上げることにより、本体筺200全体の通路抵抗をわざわざ増加させた状態で使用していることになる。その結果、大きな温風ファン222が必要となり、温風ファン222を回転させるためのファンモーター226も大型化して、最終的には開放型温風暖房機90が大きくなってしまう。
これに対して、本実施例の開放型温風暖房機10では、温風ファン222とは別に燃焼ファン400が搭載されており、燃焼に使用される空気は、燃焼ファン400からバーナー部310に供給されている。このため、たとえ燃焼用の空気が不足気味になっても、燃焼ファン400の回転速度を上げるなどして、燃焼ファン400が取り込む空気量を増やせば良いので、従来の開放型温風暖房機90のように希釈用の空気の通路抵抗を増やす必要がない。その結果、本実施例の開放型温風暖房機10では、温風ファン222およびファンモーター226を小さくすることができるので、開放型温風暖房機10を小型化することが可能となる。
すなわち、本来は、温風ファン222で空気を吸い込むだけで、吸い込んだ空気と燃料ガスと混合させて燃焼させることが可能であるにも拘わらず(図6を参照のこと)、本実施例の開放型温風暖房機10では、敢えて、燃焼用の空気を取り込むための燃焼ファン400を追加することで、本体筺200の内部での空気の流れをより合理的な流れに変更し、その結果として、開放型温風暖房機10の小型化を実現可能としているのである。これが、温風ファン222とは別に燃焼ファン400を搭載することで、開放型温風暖房機10を小型化することが可能な第1の理由である。
また、燃焼ファン400を搭載すると、本体筺200の内部の空気の流れを合理化するだけでなく、以下に説明するように、バーナーの燃焼能力を向上させることができる。従って、同じ燃焼能力を実現するのであれば、バーナー自体の大きさも小さくすることが可能であり、その結果、開放型温風暖房機10を小型化することが可能となる。これが、燃焼ファン400を搭載することで、開放型温風暖房機10を小型化することが可能な第2の理由である。以下、この点について詳しく説明する。
先ず、図5を用いて前述したように、燃焼ファン400を搭載していない従来の開放型温風暖房機90では、バーナー筺900に収容されたバーナー本体から上部本体筺210の外側に向けて、ラッパ状に開口した取入口902が設けられている。そして、温風ファン222が回転することによって取入口902に発生した僅かな負圧と、燃料ガス供給管502から燃料ガスを噴射したときのエジェクター効果とによって、取入口902からバーナー本体へと空気が吸い込まれる。ここで、取入口902に発生する負圧も、燃料ガスの噴射によって得られるエジェクター効果も、それほど大きなものではないから、取入口902に供給可能な空気量には限界がある。従って、燃料ガス供給管502からの燃料ガスの供給量も、あまり増やすことができない。その結果、単位時間あたりに燃焼させることが可能な燃料ガスが制限されてしまうので、一般的に、従来の開放型温風暖房機90では高負荷運転が難しい。
また、取入口902の負圧によって吸い込まれる空気量も、燃料ガス供給管502から噴射される燃料ガス量もそれほど多くはないから、取入口902からバーナー本体に流入する空気および燃料ガスの流れは、比較的静かな流れとなっている。このため、従来の開放型温風暖房機90では、バーナー本体で空気と燃料ガスとが混合するためにある程度の時間が必要となり、その結果、単位時間あたりに燃焼させることが可能な燃料ガス量が、更に制限されてしまう。
これに対して本実施例の開放型温風暖房機10では、燃焼ファン400を搭載しているので、たとえば燃焼ファン400の回転速度を上げるだけで、燃焼用の空気の供給量を増やすことができる。このため、多量の燃料ガスを供給する必要がある場合でも、それに応じて空気の供給量を増やすことで、空気と燃料ガスとの空燃比が常に適切な値に保つことができ、その結果、短時間に多量の燃料ガスを燃焼させることが可能である。
加えて、本実施例の開放型温風暖房機10では、燃焼ファン400を用いて空気を押し込んでいるので、バーナー口302およびバーナー本体306を流れる空気(および燃料ガス)の流速を大きくすることができる。たとえば、バーナー口302やバーナー本体306の通路面積を小さくしても、燃焼ファン400を用いて空気(および燃料ガス)を押し込むことができるので、空気や燃料ガスの供給量が減少することがなく、その代わりに流速が増加する。このため、バーナー口302やバーナー本体306でのレイノルズ数が増加して空気と燃料ガスとが速やかに混合することとなる。その結果、多量の燃料ガスが供給され、それに伴って多量の空気が燃焼ファン400で押し込まれた場合でも、それらを速やかに混合して燃焼させることが可能となる。
これに対して、燃焼ファン400を備えない従来の開放型温風暖房機90では、取入口902やバーナー本体の通路面積を小さくすると、通路抵抗が増加して流入する空気量が減少し、供給可能な燃料ガス量も減少させなければならなくなる。このため、通路面積を小さくしてもレイノルズ数を増加させて空気と燃料ガスとの混合をすることはできない。このことからも明らかなように、上述した効果(レイノルズ数を大きめの値に設定しておくことで、空気と燃料ガスとの混合を促進する効果)は、燃焼ファン400を用いて空気を供給することによって初めて得られる効果ということができる。
このように、本実施例の開放型温風暖房機10では、温風ファン222とは別に燃焼ファン400を搭載しているので、単位時間に多量の空気および燃料ガスをバーナー部310に供給することができ、しかも、それら空気と燃料ガスとを速やかに混合させることができる。その結果、同じ大きさであればバーナーの燃焼能力を大きく向上させることが可能となり、また逆に、同じ燃焼能力であれば、バーナー部310自体の大きさを小型化することが可能となる。以上が、温風ファン222とは別に燃焼ファン400を搭載することで、開放型温風暖房機10を小型化することが可能な第2の理由である。
尚、上述したように、燃焼ファン400を搭載することでバーナー部310を小型化することが可能となるが、これに限らず、燃焼ファン400の搭載によってバーナーの他の性能も向上させることも可能となる。以下、この点について簡単に説明する。
先ず、上述したように燃焼ファン400を搭載すれば、小さなバーナー部310に多量の燃料ガスと空気とを押し込んで高負荷燃焼させることが可能となる。その一方で、バーナー部310は、常に高負荷燃焼が要求されるわけではなく、少量の燃料ガスを少しずつ燃焼させること(低負荷燃焼)が望まれる場合もある。この場合、燃料ガスや空気の流れはたいへん静かなものになるから、燃料ガスおよび空気を十分に混合させることが困難となる。ところが、燃焼ファン400を搭載することでバーナー部310が小型化されていれば、少量の燃料ガスおよび空気でも、それらを適切に混合させて燃焼させることができる。このため、燃焼ファン400を搭載することで、バーナーの燃焼可能範囲を高負荷側だけでなく低負荷側にも拡大して、いわゆるTDR(絞り比)を拡大することが可能となる。
また、燃焼ファン400を用いて燃焼用の空気を供給しているので、燃料ガスの供給量に合わせて燃焼ファン400の運転状態を制御することで、燃料ガスと空気との空燃比を、正確に制御することが可能となる。このため、燃焼排気に含まれる有害成分(一酸化炭素や窒素酸化物など)の濃度が最も低くなるような空燃比に制御することで、燃焼排気中の有害成分濃度も抑制することが可能となる。
以上では、温風ファン222とは別に燃焼ファン400を搭載したことによって、開放型温風暖房機10を小型化することが可能な理由について説明したが、本実施例の開放型温風暖房機10では、バーナー部310の内部構造や、燃焼ファン400の制御方法にも工夫を加えることで、より一層の開放型温風暖房機10の小型化を実現している。以下、この点について説明する。
C.バーナー部の内部構造 :
図7は、本実施例の開放型温風暖房機10に搭載されているバーナー部310およびバーナー口302の内部構造を示す断面図である。また、図中に示した白抜きの矢印は、燃焼ファン400によって供給される空気の流れを表しており、図中に示した黒塗りの矢印は、燃料ガスの流れを表している。更に、図中に斜線を付して示した矢印は、空気と燃料ガスとが混合した混合ガスの流れを表している。
前述したようにバーナー口302は、筒状の通路形状に形成されており、一端側はバーナー本体306に連通するとともに、他端側は燃焼ファン400に接続されている。また、バーナー口302の側面には、燃料ガスを吹き出す噴射ノズル504が設けられており、この噴射ノズル504に燃料ガス供給管502が接続されている。更に、バーナー口302がバーナー本体306に連通する部分では、通路面積が一旦絞られた形状となっている。
また、バーナー本体306は、略U字型断面のバスタブ形状に形成されており、上方からはセラミックス製の燃焼板308が嵌め込まれている。燃焼板308には、小さな貫通穴の炎孔314が複数形成されている。また、バーナー本体306と燃焼板308とによって囲まれた空間は、仕切板316によって上下二つに仕切られている。
本実施例の開放型温風暖房機10は、バーナー部310およびバーナー口302がこのような構造となっているので、多量の空気および燃料ガスを、より一層速やかに混合することが可能である。先ず、本実施例の開放型温風暖房機10では、燃料ガスを吹き出す噴射ノズル504がバーナー口302の側面に設けられているため、バーナー口302を通過する空気の流れに対して、横方向から燃料ガスが吹き出すことになる。このため、多量の燃料ガスが吹き出される場合には、勢い良く吹き出された燃料ガスが、バーナー口302の向かい側の内壁面に衝突して周囲に拡散する。また、多量の燃料ガスが供給される場合には、空気も多量に供給されるから、バーナー口302の内部では、燃料ガスと空気とが激しく乱れて流れる状態となっている。このため、バーナー口302の内壁面に衝突した燃料ガスは、周囲に拡散すると同時に空気と速やかに混合する。
加えて、バーナー口302がバーナー本体306に連通する部分では、通路面積が急に小さくなっているので、バーナー口302の内壁面に沿って流れてきた混合ガスは、この部分に来ると、通路の中央に向けて急に流れの向きが変えられる。このため、たとえ、噴射ノズル504が設けられた側(図7では下側)の内壁面付近と、燃料ガスが衝突した側(図7では上側)の内壁面付近とで、燃料ガスの濃度に若干の違いが生じた場合でも、バーナー口302とバーナー本体306との連通部分で、それらの混合ガスが混ぜ合わされて、より均一な混合ガスを得ることができる。
また、図7に示したように、バーナー本体306の内部を仕切る仕切板316は、下向きに段差が設けられている。このため、バーナー口302からバーナー本体306に流入した混合ガスは、仕切板316の段差に衝突し、下向きに流れの向きが変えられて、更にバーナー本体306の底部に衝突する。このように、本実施例のバーナー部310では、バーナー口302からバーナー本体306に混合ガスが流入した後も、仕切板316やバーナー本体306に衝突して更に混合が促進されるので、多量の燃料ガスおよび空気が供給された場合でも、それらを短時間で完全に混合することができる。その結果、より一層の高負荷燃焼が可能となり、その分だけバーナー部310を小型化することが可能となっている。
以上のように、本実施例の開放型温風暖房機10では、バーナー口302の側面から内部に向けて燃料ガスを吹き出す構造が採用されており、このため、高負荷燃焼を安定して行うことが可能となる。しかし、この構造を採用すると、高負荷時の燃焼を安定させるだけでなく、低負荷時の燃焼も安定させて、いわゆるTDR(絞り比)を拡大する効果も得ることができる。これは次のような理由による。
図8は、バーナー口302の側面から内部に向けて燃料ガスを吹き出すことで、低負荷時の燃焼を安定させることが可能な理由を示す説明図である。図7を用いて前述した高負荷燃焼時には、燃料ガスを勢い良く吹き出してバーナー口302の向こう側の内壁面に衝突させることで、燃料ガスと空気との混合を促進していた。これに対して低負荷燃焼時は、燃料ガスを吹き出す勢いが弱いので、噴射ノズル504から吹き出した燃料ガスが、空気の流れを突っ切って向こう側の内壁面に衝突することはない。その代わり、吹き出された燃料ガスは、横方向から来る空気によって少しずつ剥ぎ取られながら、空気の流れを横切るようにして進むことになる(尚、実際には、燃料ガスの流れ全体が、空気によって少しずつ押し流されることになるが、ここでは、空気の流れを横切る成分にのみ着目し、空気によって押し流される成分については無視している)。
図8には、噴射ノズル504から吹き出された燃料ガスが、途中で少しずつ剥ぎ取られながら、空気の流れを横切るようにして進む様子が概念的に示されている。もちろん、燃料ガスの勢いが空気の流れに対して弱ければ、燃料ガスは途中までしか進むことができないが、噴射ノズル504の内径を適切に設定しておけば、吹き出した燃料ガスが、向こう側の内壁面近くまで到達するようにすることができる。そして、こうすれば、燃料ガスを吹き出す勢いを利用して、バーナー口302の内部を流れる広い範囲の空気に燃料ガスを拡散させることができるので、たとえ燃料ガスおよび空気の流速が小さい場合でも、燃料ガスと空気とを速やかに混合させることが可能となる。
以上に説明したように、空気の流れに対して横方向から燃料ガスを吹き出す構造を採用すると、少量の燃料ガスしか吹き出さない場合でも、吹き出す燃料ガスの勢いを利用して、空気と燃料ガスとを効率よく混合させ、その結果、低負荷時の燃焼を安定させることが可能となる。更に、多量の燃料ガスを吹き出す場合には、図7を用いて前述したメカニズムによって、燃料ガスと空気とを速やかに混合させることができるので、高負荷時の燃料も安定させることができる。その結果、いわゆるTDRを大幅に拡大することが可能となる。
D.燃焼ファンの回転速度制御 :
上述のように本実施例の開放型温風暖房機10では、温風ファン222とは別に燃焼ファン400を搭載することで、燃焼排気に含まれる有害成分(一酸化炭素や窒素酸化物など)の濃度を低い値に抑制したまま、開放型温風暖房機10を小型化し、更には、TDR(絞り比)を拡大することができるという優れた効果を得ることができる。もっとも、こうした効果が得られるためには、燃焼ファン400を適切に制御することが前提となる。そこで最後に、本実施例の開放型温風暖房機10が燃焼ファン400を制御する方法について説明しておく。
図9は、本実施例の開放型温風暖房機10が燃焼ファン400を制御する方法を示した説明図である。図9(a)には、燃焼ファン400を制御する様子が概念的に示されており、図9(b)には、燃焼ファン400を制御する原理が示されている。図2を用いて前述したように、本実施例の開放型温風暖房機10では、燃焼板308の直ぐ上の位置に熱電対312が設けられており、この熱電対312によって、炎孔314から吹き上がる火炎の温度(火炎温度)を検出することが可能となっている。熱電対312で検出された火炎温度は、開放型温風暖房機10の動作を制御する制御部110に出力される。すると制御部110は、火炎温度が目標温度となるように、燃焼ファン400の回転速度を制御する。たとえば、熱電対312で検出された火炎温度が目標温度より高い場合には、燃焼ファン400の回転速度を増加させる。逆に、検出された火炎温度が目標温度より低い場合には燃焼ファン400の回転速度を減少させる。こうすれば、燃料ガスの供給量に応じて常に適切な分量の空気が供給されるように、燃焼ファン400を制御することが可能となる。こうしたことが可能となる理由について、図9(b)を用いて説明する。
一般に、燃料ガスと空気との混合ガスを燃焼させたときに火炎温度が最も高くなるのは、燃料ガスがちょうど燃え切るような比率で、燃料ガスと空気とが混合している場合である。これは、空気の比率が小さいと、燃料ガスの一部が燃え残ってしまうので発熱量が小さくなり、逆に空気の比率が大きいと、燃料ガスが完全に燃焼しても、それによって温められる空気が増えるので火炎温度が上がらないためである。図9(b)には、燃料ガスに対する空気の比率(空気過剰率と呼ばれる)と、火炎温度との関係が示されている。図示されるように、混合ガスの火炎温度は、燃料ガスに対して空気がちょうど良い割合で混合した場合(すなわち、空気過剰率が「1.0」の場合)に最も高くなる。また、燃料ガスに対して空気が不足気味になると(すなわち、空気過剰率が「1.0」より小さくなると)、火炎温度が低下する。上述したように、この状態は燃料ガスが十分に燃えていない状態であるから、未燃成分である一酸化炭素の濃度が増加する。
また、燃料ガスに対して空気が過剰な場合(すなわち、空気過剰率が「1.0」より小さくなる場合)にも、火炎温度が低下する。上述したようにこの状態は、燃料ガスは完全に燃焼しているが、それによって温められる空気の比率が増えたために温度が十分に上昇しない状態に相当する。従って、空気が過剰になるにつれて(すなわち、空気過剰率が「1.0」より大きくなるにつれて)火炎温度は低くなる。尚、火炎温度が低くても燃料ガスは完全に燃焼しているので、一酸化炭素が排出されることは殆どない。更に、空気過剰率が大きくなるほど火炎温度が低下するので、それに伴って、窒素酸化物の濃度も低くなっていく。このことから、空気が過剰な状態で燃焼させることができれば、燃料ガスを完全に燃焼させて十分な発熱量を発生させることができ、それでいながら、一酸化炭素や窒素酸化物などの有害成分の濃度も抑制することができるので理想的である。
もっとも、あまりに空気が過剰になると、炎孔314から火炎が浮き上がって、いわゆる「火炎のリフト」と呼ばれる現象が発生する。この現象は、空気が過剰になり過ぎて(燃料ガスの濃度が低くなり過ぎて)燃焼速度が低下したために、炎孔314から吹き出す混合ガスに火炎が押し流される現象である。そして、リフトの程度が大きくなると火炎が吹き消えてしまう虞が生じる。本実施例の開放型温風暖房機10では、燃焼板308の上側表面から比較的近い位置で火炎温度を検出しているので、火炎のリフトが発生すると、火炎ではなく混合ガスの温度を検出することになって、熱電対312で検出される温度が急激に低下する。図9(b)には、リフトの発生によって、熱電対312の検出温度が急激に低下する様子が示されている。
従って、図9(b)に示したように、火炎のリフトが発生する温度よりも若干の余裕を持たせた温度に目標温度を設定しておき、熱電対312で検出される温度が目標温度となるように、燃焼ファン400の回転速度を制御してやれば、常に理想的な空気過剰率で燃料ガスを燃焼させることが可能となる。たとえば、熱電対312の検出温度が目標温度よりも高い場合は、もう少し空気過剰率を増加させることができるものと判断して、燃焼ファン400の回転速度を増加させる。逆に、熱電対312の検出温度が目標温度よりも低い場合は、火炎のリフトを回避するために、空気過剰率を少し減少させる必要があるものと判断して、燃焼ファン400の回転速度を減少させる。このようにして燃焼ファン400の回転速度を制御してやれば、たとえ何らかの理由で燃料ガスの供給量が変動しても、空気過剰率を常に理想的な範囲に保っておくことが可能となる。加えて、制御自体も極めて簡単なので、燃焼ファン400の制御が追加されても、開放型温風暖房機10全体を制御する制御部110の制御負荷を最小限に抑制することが可能となる。
以上、本実施例の開放型温風暖房機10について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
たとえば、以上に説明した実施例では、燃焼ファン400からバーナー部310に供給される燃焼用の空気も、燃焼排気を希釈する希釈用の空気も、外筺100に設けられた防塵フィルター102から温風ファン222で吸い込まれるものとして説明した。しかし、燃焼ファン400が空気を取り入れるための専用の取入口を外筺100に設けておき、ここから取り込んだ空気を、燃焼ファン400を使ってバーナー部310に供給するようにしても良い。
また、上述した実施例では、燃焼ファン400からバーナー部310に供給された空気は、全ての空気が燃料ガスと混合された後に燃焼するものとして説明した。しかし、燃焼ファン400からの空気の一部を燃料ガスと混合して燃焼させ、残りの空気は二次空気として燃焼排気中に供給するようにしても良い。
10…開放型温風暖房機、 90…開放型温風暖房機、 100…外筺、
102…防塵フィルター、 110…制御部、 200…本体筺、
210…上部本体筺、 212…空気取入口、 220…下部本体筺、
222…温風ファン、 224…吹出し口、 226…ファンモーター、
300…バーナー筺、 302…バーナー口、 304…金属ケース、
306…バーナー本体、 308…燃焼板、 310…バーナー部、
312…熱電対、 314…炎孔、 316…仕切板、
400…燃焼ファン、 500…電磁弁ユニット、 502…燃料ガス供給管、
504…噴射ノズル、 900…バーナー筺、 902…取入口、
904…開口部

Claims (4)

  1. 筺体の内部に搭載されたバーナーを用いて燃料ガスを燃焼させ、得られた燃焼排気を、該筺体の外部から取り込んだ空気で希釈した後、該筺体に設けた吹出し口から温風として吹き出す開放型温風暖房機において、
    前記筐体の内部に空気を取り込むための少なくとも一つの空気取入口と、
    前記バーナーからの前記燃焼排気と、該燃焼排気を希釈するための前記空気取入口から取り込まれた希釈空気とを吸引して、前記吹出し口から前記温風として吹き出す温風ファンと、
    前記温風ファンとは別体に設けられ、前記空気取入口から取り込まれた空気の一部を、前記燃料ガスを燃焼させるための空気として前記バーナーに供給する燃焼ファンと
    を備えることを特徴とする開放型温風暖房機。
  2. 請求項1に記載の開放型温風暖房機において、
    前記バーナーで燃焼する前記燃料ガスの火炎温度を検出する火炎温度検出手段と、
    前記検出した火炎温度に基づいて前記燃焼ファンの動作を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする開放型温風暖房機。
  3. 請求項1または請求項2に記載の開放型温風暖房機において、
    前記燃焼ファンと前記バーナーとは、該燃焼ファンからの空気を供給するための空気供給通路によって接続されており、
    前記燃料ガスは、前記空気供給通路内を流れる空気に対して、該空気供給通路の途中から、該空気の流れと交差する方向に供給されることを特徴とする開放型温風暖房機。
  4. 請求項3に記載の開放型温風暖房機において、
    前記空気供給通路は、前記燃料ガスが供給される位置よりも下流側で、通路面積が絞られていることを特徴とする開放型温風暖房機。
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