JP5511716B2 - 渦電流探傷装置および渦電流探傷方法 - Google Patents
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Description
前記データパターン生成手段で得られる圧縮データのうち少なくとも一つのデータと、前記被検査体に作用させる交流磁場の試験周波数と同一の正弦波或いは余弦波の参照波形とを演算する演算手段と、前記演算手段の結果より、渦電流探傷信号Xの信号或いはY信号を決定する信号抽出手段とを備え、前記離散ウェーブレット変換には、ドビュッシー二次の基底関数を用い、前記振幅・位相情報抽出手段における前記信号抽出手段では、少なくとも前記演算手段の演算結果の第一データ要素を用いるものとする。
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る渦電流探傷装置の全体構成を示す機能ブロック図であり、図2は渦電流プローブの構成および探傷試験時の被検査体との位置関係を概略的に示す図である。
図2に示すように、渦電流プローブ1は、励磁電源6から供給される励磁電流を用いて交流磁束を発生する励磁コイル7と、その交流磁束によって金属材料などの被検査体100に発生する渦電流により生じる磁場の検出を行う磁場検出素子8とを備えている。渦電流プローブ1は、探傷試験時に励磁コイル7に交流の励磁電流を供給して交流磁束を生成し、励磁コイル7を金属材料などの被検査体100に接近させることによって被検査体100に渦電流を発生させ、この渦電流により発生する磁場を磁場検出素子8により検出信号として取得する。図3は、励磁電源6により励磁コイル7に供給される励磁電流の波形(励磁電流波形17)の一例を模式的に示す図であり、縦軸に励磁電流の値を、横軸に時間をそれぞれ示している。また、図4は図2に示すような配置の場合において、図3に示した励磁電流を供給したときの磁場検出素子8により検出される磁場の波形(磁場検出波形18)の一例を模式的に示す図であり、縦軸に検出電圧を、横軸に時間をそれぞれ示している。
アナログ−ディジタル(A/D)変換器2は、渦電流プローブ1の磁場検出素子8により検出された磁場の検出信号をアナログ信号からディジタル信号に変換する(A/D変換する)ものであり、ディジタル信号に変換した検出信号を後段のデータ変換部3に送る。図5は、磁場検出波形18をA/D変換器2によりディジタルサンプリングした結果の波形データ(ディジタル波形19)の一例を示す図であり、図3と同様に、縦軸に電圧を、横軸に時間をそれぞれ示している。A/D変換器2によって、検出信号をサンプリングしてディジタルの波形データとすることにより、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)やフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などディジタル信号を高速に処理することができる電子回路を用いることが有効となり、探傷検査における信号処理を高速に行うことが可能となる。なお、A/D変換器2のサンプリング周波数は、磁場検出波形18の最大周波数に対して十分高い周波数である。
データ変換部3は、A/D変換器2からの検出信号に圧縮処理(後に詳述)を施して後段の振幅・位相情報抽出部4に出力するものであり、データパターン生成部9、メモリ10、圧縮データ生成部11、及び、入力部12,13を備えている。
入力部12,13は、オペレータがメモリ10や圧縮データ生成部11にデータの圧縮率やノイズ信号の設定などを入力するものであり、例えは、キーボードやマウス、表示部5に表示されるGUI(Graphical User Interface)などが挙げられる。
メモリ10は、データパターン生成部9で生成するデータパターンの元となる1つ以上の基底関数を記憶しており、入力部12によるオペレータからの指示に基づいて、その基底関数の情報をデータパターン生成部9に送る。
データパターン生成部9は、圧縮データ生成部11での処理に用いるデータパターンを生成するものである。
圧縮データ生成部11は、データパターン生成部9で生成されたデータパターンに基づいて、A/D変換器2からのディジタルデータに変換処理を施すものである。
離散ウェーブレット変換の性質として変換行列Wは、直交性をもっており、圧縮データを再生するには、次の(式2)を実行すればよい。
ここで、上記(式2)における変換行列WTは、変換行列Wの転置であると同時に逆行列であるため、圧縮データが再生できる。
振幅・位相情報抽出部4は、検出信号波形データ変換手段でデータ圧縮されたデータに基づき演算し、検出信号のX信号及びY信号を取得するものであり、X信号を決定するX信号抽出部14と、Y信号を決定するY信号抽出部15とで構成されている。
X信号抽出部14は、演算部141、参照波形記憶部142、及び信号抽出部143から構成されている。以下、X信号抽出部14における処理について図8〜図11を参照しつつ説明する。
参照波形記憶部142は、演算部141での演算に用いる参照波形(図9参照)を記憶するものである。参照波形記憶部142に記憶されている参照波形は、X信号として抽出したい周波数と同一の正弦波である。
演算部141は、データ変換部3からの圧縮データ(図8参照)と参照波形記憶部142からの参照波形(図9参照)とを乗算演算するものである。図10は、図8に示した圧縮データと図9に示した参照波形との乗算演算結果を示している。
信号抽出部141は、オペレータが入力部16により指示したX信号抽出方法(本例では積分演算)に基づき、X信号(図11参照)を抽出する。
これは、検出信号と参照信号を乗算した結果に対してデータ圧縮(データ変換)したものと、初めに検出信号を圧縮(変換)しておき、その後参照信号を乗算演算した結果は等価であることを示している。圧縮データ(図8参照)を構成する要素値は、図10に示した演算結果データも図7に示した場合と同様に、データ列の先頭付近の点線で囲む範囲20に大きな値を示しており、それ以外の領域ではほぼ零になっている。これは、データ列の先頭付近の範囲20のみの演算で、波形数周期分のデータの演算を近似して求めることができることを意味している。
Y信号抽出部15は、演算部151、参照波形記憶部152、及び信号抽出部153から構成されている。Y信号抽出部15において、X信号抽出部14との相違点は、参照波形記憶部152に記憶されている参照波形の位相が、参照波形記憶部142に記憶されている参照波形(図9参照)の位相と異なる点である。たとえば、参照波形記憶部142の参照波形が試験周波数と同一の正弦波であるとすれば、参照波形記憶部152の参照波形は、参照波形記憶部142の参照波形に対して位相が90度異なる余弦波である。なお、その他の構成は、X信号抽出部14と同様の構成を有しており、説明を省略する。
入力部16は、X信号抽出方法及びY信号抽出方法を信号抽出部143,153に指示するものであり、入力部12,13と兼用であっても良い。
図12に示すように、表示部5は、振幅・位相情報抽出部4で算出されたX信号及びY信号の表示や各種設定を行うものであり、検出結果表示部21と設定表示部22とを備えている。
結果表示部21は、横軸にX信号、縦軸にY信号をプロットしたグラフ(リサージュ図)であり、検出信号の振幅21b(|V|)と位相21c(θ)を表現している。X信号、Y信号、振幅21b及び位相21cの関係は、下記の(式4)及び(式5)で表される。
θ=tan−1(Y/X) ・・・・(式5)
信号パターン21aは、被検査体100における検査部分の傷などの有無でX信号及びY信号が連続的に変化することで形成される。
設定表示部22は、周波数設定部22a、演算方法設定部22b、圧縮手法設定部22c、及び圧縮率設定部22dを備えている。これらの設定は、キーボード(図示せず)やポインタデバイス23等による指定により決定する。
周波数設定部22aは、励磁電源6から渦電流プローブ1に供給する励磁電流(正弦波電流)の周波数(測定周波数)を設定するものである。また、参照信号記憶部142,152から読み出される参照信号の周波数も同時に設定される。
演算方法設定部22bは、X信号及びY信号の導出に用いる演算方法を設定するものであり、図1では入力部16の機能に対応する。設定としては、図12に示したデータ圧縮の他、従来式の演算方法などが設定可能である。演算方法設定部22bにおいて、データ圧縮を選択した場合に、圧縮手法設定部22c及び圧縮率設定部22dが有効(設定可能)となる。
圧縮手法設定部22cは、データ圧縮時のデータパターンを指定する入力部であり、図1では入力部12に対応する。データパターンとしては、データ圧縮を可能とする信号処理手法がリストされ、フーリエ変換、Wavelet(ウェーブレット変換)、カーブレット変換、などが用いられる。また、フーリエ変換、Wavelet(ウェーブレット変換)、カーブレット変換のアルゴリズムや、基底関数の指定が可能である。なお、本実施の形態では、アルゴリズムとしてウェーブレット変換を選択し、基底関数としてドビュッシーの2次を選択した場合を示している。
圧縮率設定部22dは、データ圧縮率を設定するものであり、図1では入力部13に対応する。設定が100%のときは、全てのデータ情報を用いることになり、25%の場合は、全てのデータ情報の4分の1に対応するデータ量で信号を導出することになる。100%の場合は、従来法による演算結果と等しくなる。一方データ量がすくないほど、従来法の結果と離れる。しかしながら、健全部の信号と、欠陥部の信号というように、信号差の関係性は変わらない。この圧縮率を変えることにより、例えば、図8〜図10に点線で示した範囲20の幅、すなわち、後段の演算に用いるデータ量を変えることができる。
以上のように構成した本実施の形態の渦電流探傷装置における探傷検査手順について説明する。
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
本発明の第2の実施を図17を参照しつつ説明する。
2 A/Dコンバータ
3 データ変換部
4 振幅・位相情報抽出部
5 表示部
6 励磁電源
7 励磁コイル
8 磁場検出素子
9 データパターン生成部
10 メモリ
11 圧縮データ生成部
12,13,16 入力部
14 X信号抽出部
15 Y信号抽出部
90 メモリ
141,151 演算部
142,152 参照波形記憶部
143,153 信号抽出部
Claims (8)
- 交流磁場を被検査体に作用させて該被検査体に発生させた渦電流により生じる磁場を検出する磁場検出手段と、
前記磁場検出手段からの検出信号を予め定めた間隔毎にディジタル値として取り出すサンプリング手段と、
前記サンプリング手段によりサンプリングされたディジタルデータを圧縮し、圧縮データを生成するデータ変換手段と、
前記データ変換手段からの圧縮データのうち、オペレータにより予め定められたデータ圧縮率情報により範囲設定されるデータ先頭部のみに基づいて、前記磁場検出手段における検出信号の振幅位相平面でのX座標成分およびY座標成分を算出する振幅・位相情報抽出手段と
を備えたことを特徴とする渦電流探傷装置。 - 請求項1記載の渦電流探傷装置において、
前記データ変換手段は、
オペレータにより予め入力された前記圧縮データのデータパターンに関する情報に基づいてデータパターンを生成するデータパターン生成手段と、
前記データパターン生成手段で生成したデータパターンと前記サンプリング手段からのディジタルデータとを乗算した結果得られる乗算結果データと、前記データ圧縮率情報とに基づき圧縮データを生成する圧縮データ生成手段と
を備えたことを特徴とする渦電流探傷装置。 - 請求項1記載の渦電流探傷装置において、
前記データ変換手段は、
予め定めた基底関数に基づいて、データパターンを生成するデータパターン生成手段と、
前記データパターン生成手段で生成したデータパターンに基づいて、前記サンプリング手段からのディジタルデータを変換して変換データを作成し、この変換データに基づいて圧縮データを生成する圧縮データ生成手段と
を備えたことを特徴とする渦電流探傷装置。 - 請求項2又は3記載の渦電流探傷装置において、
前記データパターン生成手段は、離散ウェーブレット変換に基づいてデータパターンを生成することを特徴とする渦電流探傷装置。 - 請求項2記載の渦電流検査装置において、
前記振幅・位相情報抽出手段は、
前記データパターン生成手段で得られる圧縮データのうち少なくとも一つのデータと、前記被検査体に作用させる交流磁場の試験周波数と同一の正弦波或いは余弦波の参照波形とを演算する演算手段と、
前記演算手段の結果より、渦電流探傷信号のX信号或いはY信号を決定する信号抽出手段と
を備えたことを特徴とする渦電流探傷装置。 - 請求項4記載の渦電流探傷装置において、
前記振幅・位相情報抽出手段は、
前記データパターン生成手段で得られる圧縮データのうち少なくとも一つのデータと、前記被検査体に作用させる交流磁場の試験周波数と同一の正弦波或いは余弦波の参照波形とを演算する演算手段と、
前記演算手段の結果より、渦電流探傷信号Xの信号或いはY信号を決定する信号抽出手段とを備え、
前記離散ウェーブレット変換には、ドビュッシー二次の基底関数を用い、前記振幅・位相情報抽出手段における前記信号抽出手段では、少なくとも前記演算手段の演算結果の第一データ要素を用いることを特徴とする渦電流探傷装置。 - 請求項5記載の渦電流探傷装置において、
前記演算手段にノイズ成分を設定する入力手段を備え、
前記入力手段の情報に基づき圧縮データ要素を演算することを特徴とする渦電流探傷装置。 - 交流磁場を被検査体に作用させて該被検査体に発生させた渦電流により生じる磁場を信号として検出する手順と、
前記信号を予め定めた間隔毎にディジタル値として取り出す手順と、
前記ディジタルデータを圧縮し、圧縮データを生成する手順と、
前記圧縮データのうち、オペレータにより予め定められたデータ圧縮率情報により範囲設定されるデータ列先頭部のみに基づいて、前記信号の振幅位相平面でのX座標成分およびY座標成分を算出する手順とを設けたことを特徴とする渦電流探傷方法。
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