JP5511445B2 - モータ及びモータの駆動制御方法 - Google Patents
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Description
しかしモータへの負荷が多いときや高速回転を行おうとしたときに、モータが脱調してしまうという問題があった。
(モータ構造について)
図1は、本発明におけるステッピングモータの外観斜視図である。
尚、説明のため、一部の部品を破断して示している。
図1において、ステッピングモータ1はマグネット2を有するロータ3、第1のコイル4a、第2のコイル4b、第1のヨーク5a、第2のヨーク5b、磁気センサ(磁気検出手段)6を備える。
このうち第1のコイル4a、第2のコイル4b、第1のヨーク5a、第2のヨーク5b、磁気センサ(磁気検出手段)6でステータを構成している。ロータ3は、ステータに対して回転可能に支持され、マグネット2と一体に固定されている。マグネット2は、外周が周方向に多極(n極)に磁化された円筒状の永久磁石である。マグネット2は、ロータ3の回転軸を中心とする回転方向に対し、磁力の強さが正弦波状に変化する磁束パターンを形成する。なお、本実施例の形態ではn=8極に着磁されている。
図3は本実施例におけるステッピングモータ1内における磁気センサ6とその2つの感磁極(第1の検出手段、第2の検出手段)6a、6b、ヨーク(第1のヨーク、第2のヨーク)5a、5b(の磁極歯)の配置を示す図である。磁気センサ6の感磁極6a、6b及びヨーク5a,5bのステータ上での位置は、それぞれのステータ周方向の中心の位置を基準にして記載すると以下のようになる。感磁極6a、6bは、ロータ3の回転方向θに22.5°離れた位置に配置される。感磁極6aから感磁極6bとは反対の方向(図3中のθ方向)に67.5°離れた位置にヨーク5bの磁極歯が存在し、ヨーク5bからさらに同じ方向(θ方向)に22.5°離れた位置にヨーク5aの磁極歯が存在する。物理的なロータ回転方向の角度22.5°はセンサ出力の1波長を360°とした電気角に直すと90°に相当する。図3には、一組のヨーク5a、5bの磁極歯のみを例として図示したが、ヨーク5a、5bの磁極歯は物理角で90°毎(電気角で360°毎)にロータ3の回転軸に対して回転対称な位置に配置され、ヨーク5a、5bの磁極歯はそれぞれ4つずつ存在する。
図4はブラシレス制御の全体構成を示すブロック図である。ステッピングモータ1の磁気センサ6の出力をホール素子信号検出回路7で2値化し、2値化したホール素子信号出力を演算装置11の信号計測処理部8へ送る。ここでは、ホール素子信号の極性変化毎にタイマカウント値を取得、更新していく。
図1のステッピングモータ1は、パルスモードで駆動を行うことができる。パルスモードでの駆動とは、通常のステッピングモータの開ループ制御と同じものであり、所定の時間間隔に従って、前記ステッピングモータ1のコイル4aとコイル4bに通電する極性を切り替える駆動方法である。すなわち、入力された駆動パルス間隔(駆動周波数)と回転方向に従って、コイル4aとコイル4bの通電を順次切り替えることで、ロータ3を所定の速度で回転させることが可能である。また、入力された駆動パルス数に従って、ロータ3を所望の角度だけ回転させることが可能である。この駆動方式が本実施例で行うパルスモードである。
また、図1のステッピングモータ1は、ブラシレスモードで駆動を行うことができる。すなわち、入力された駆動パルス数と回転方向と、ホール素子信号と駆動パルス信号のタイマカウント値から遅延角操作部9で決定する遅延角とに従って、コイル4aとコイル4bに通電する極性を順次切り替えることで、ロータ3を所望の角度だけ回転させることが可能である。つまり、所定の基準周波数のパルス信号を基準として駆動させるパルスモードに対し、ステータに固定して設置されたホール素子が出力する信号の極性変化を基準として駆動パルス信号を生成して駆動させるモードであり、生成する駆動パルス信号はセンサ信号に対して遅れ信号となる。本実施例ではひとつのホール素子信号に対し、ひとつの駆動パルス信号を生成しているが、この形態に限られるものではない。また、遅延角操作部9で遅延角を制御することで、トルク−回転数特性を変化させることが可能である。この駆動方式が本実施例で行うブラシレスモードである。
図5は本実施例における、駆動開始から加速駆動、一定速での駆動、減速駆動、そして、駆動停止までの全体の駆動速度、駆動モードの推移、及び、ホール素子信号の切り替えを示す概略図である。パルスモードで加速駆動を開始し、所定の回転速度になったらブラシレスモードに移行する。ブラシレスモード中は、必要に応じて駆動パルス信号を生成する基準とするホール素子信号を切り替えながら、目標最高速度まで到達させる。その後、減速駆動に移行し、加速駆動と同様、必要に応じてホール素子信号を切り替えながらパルスモード切り替え点まで減速駆動を行う。そして、再びブラシレスモードからパルスモードへと変更し、入力された駆動パルス数に達したら停止させる。以上が駆動開始から停止まで全体の概略の制御フローである。
以上を踏まえて、コイル励磁の影響によるホール素子が出力する信号の誤差について説明する。図6に、コイル励磁が及ぼすホール素子の出力信号への影響を示す。図6の波形(a)は無励磁状態でのホール素子の出力信号であり、波形(b)内に細線で示すのはコイル励磁された後のホール素子の出力信号である。コイル励磁の影響を受けるとホール素子信号のアナログ出力がオフセットされる。その結果、本来の極性切り替え点(t0)が前後(t1〜t2)にずれてしまうため、実際の出力(ホール素子信号検出回路7で2値化されたデータ)は時間軸方向に誤差をもって出力されてしまう。
波形H1、H2は、それぞれ、ホール素子6a,6bの信号出力(第1の検出信号、第2の検出信号)であり、波形A、Bは、モータのコイル4a,4bを励磁するために駆動パルス信号処理部10からの駆動パルス信号に基づいてモータドライバ(励磁部)12から出力される駆動信号出力である。また、波形H1、H2は、ホール素子からの出力信号を元にホール素子信号検出回路7で2値化した波形であり、破線で表したものが無励磁状態における波形を表し、実線で表したものが励磁状態、すなわち、実際に検出される波形を表している。
(A−B+)→(A−B−)→(A+B−)→(A+B+)→(A−B+)
と順次切り替えていくが、通電する各励磁相において、無励磁状態におけるホール素子信号に対する実測されるホール素子信号の誤差は異なっている。これを表したのが図8である。コイル励磁が及ぼすホール素子信号への影響は、モータの駆動ごと、個体ごとによりばらつきがあるため、図8はモータ駆動ごとの誤差を平均化したものを示している。図7に戻ってホール素子信号H1に着目すると、立ち下がり変化であるA−B+相に励磁されているときのホール素子信号H1の極性変化の誤差量aと、立ち上がり変化であるA+B−相に励磁されているときのホール素子信号H1の極性変化の誤差量cの差異分が駆動パルス信号の生成に影響を及ぼしており、駆動パルス信号の位相ズレの原因となっている。これはホール素子信号H2の誤差量b、dでも同様である。
最初に、駆動開始後の加速時におけるパルスモードからブラシレスモードへの移行について、図9を参照しながら説明する。図9に、パルスモードからブラシレスモードへの移行時の、コイル4aの励磁切り替えに使用される駆動パルス信号A、コイル4bの励磁切り替えに使用される駆動パルス信号B、ホール素子信号H1, H2の波形を示す。
次に、モータ駆動開始後、パルスモードで駆動開始して、ブラシレスモードに移行した後の加減速について説明する。
(ブラシレスモードでの減速制御(所定値でホール素子切り替え)について)
次に、減速制御について説明する。
ステップS304では、ステップS302で取得した現在駆動パルス信号を生成するための基準としている遅延角Aが上限値Tmax以上かどうかを判断する。遅延角が上限値Tmax未満である場合は、ステップS301に戻る。遅延角が上限値Tmax以上である場合は、ステップS305へ進み、駆動パルス信号を生成するための基準とするホール素子信号を切り替え、ステップS301に戻り減速駆動を続ける。
下限値Tmin<TH2<TH1 または 下限値Tmin<TL2<TL1
が満たされる場合には、A相駆動パルス信号生成の基準とするホール素子信号をH1からH2へと切り替える。ホール素子信号の切り替え直前の、切り替え先のホール素子信号H2を基準としたA相駆動パルス信号の遅延角TH2及び遅延角TL2を、切り替え後の初期遅延角とする。
第3の実施例の方法を実施するための装置は、第1の実施例と同様であるので記載を省略する。
切替履歴(2)(TH1)≦TH1、または。切替履歴(2)(TL1)≦TL1
となったとき、A相駆動パルス信号生成の基準とするホール素子信号をH2からH1へと切り替える。
2・・・マグネット
3・・・ロータ
4a・・・第1のコイル
4b・・・第2のコイル
5a・・・第1のヨーク
5b・・・第2のヨーク
6・・・磁気センサ
6a・・・第1の感磁極
6b・・・第2の感磁極
9・・・遅延角操作部
10・・・駆動パルス出力処理部
12・・・モータドライバ
Claims (8)
- 周方向に多極に磁化された永久磁石を有するロータと、2つのコイルを有するステータと、該2つのコイルの励磁を独立して制御する制御手段を有する、モータであって、
該ステータは、該2つのコイルの一方により励磁される第1のヨークと、該2つのコイルの他方により励磁される第2のヨークと、該ロータの回転に伴う該永久磁石による磁束の極性変化を検出する第1及び第2の検出手段と、を有し、
該第1のヨークは、電気角360度ごとにステータ周方向の中心が位置する複数の磁極歯を有し、該第2のヨークは、該第1のヨークの該磁極歯のステータ周方向の中心に対し電気角で同じ方向に90度の位置に周方向の中心が位置する複数の磁極歯を有し、
該第1の検出手段は、該第1のヨークの該磁極歯の一つと周方向の中心が同じ位置になるように配置され、該第2の検出手段は、該第2のヨークの該磁極歯の一つと周方向の中心が同じ位置になるように配置され、
該制御手段は、
各該コイルの励磁を切り替えるために使用する励磁切り替え信号を生成する切り替え信号生成部と、
該励磁切り替え信号に基づいて対応する該コイルを励磁する励磁部と、
各該コイルに対応する該励磁切り替え信号を生成するたびに、
該第1の検出手段が検出した第1の検出信号の直近の極性変化時を基準とする該励磁切り替え信号の遅延量である第1の遅延角、及び、
該第2の検出手段が検出した第2の検出信号の直近の極性変化時を基準とする該励磁切り替え信号の遅延量である第2の遅延角、
を取得する遅延角取得部と、
を有し、
該切り替え信号生成部は、該第1の検出信号に対して該第1の遅延角を用いて、または、該第2の検出信号に対して該第2の遅延角を用いて、該励磁切り替え信号を生成する、
ことを特徴とするモータ。 - 請求項1に記載のモータの駆動制御方法であって、
前記各コイルの励磁切り替え信号を生成するたびに、前記第1の検出手段の検出に基づく第1の検出信号の直近の極性変化時を基準とする該励磁切り替え信号の遅延量である第1の遅延角、及び、前記第2の検出手段の検出に基づく第2の検出信号の直近の極性変化時を基準とする該励磁切り替え信号の遅延量である第2の遅延角、を取得し、該第1の検出信号に対して該第1の遅延角を用いて、または、該第2の検出信号に対して該第2の遅延角を用いて、励磁切り替え信号を生成し、該励磁切り替え信号に基づいて対応するコイルを励磁してモータを駆動する、
ことを特徴とするモータの駆動制御方法。 - 前記第1の遅延角は、前記第1の検出信号の一方の極性変化時を基準とする遅延角である第1の立ち上がり遅延角と他方の極性変化時を基準とする遅延量である第1の立ち下がり遅延角とからなり、
前記第2の遅延角は、前記第2の検出信号の一方の極性変化時を基準とする遅延量である第2の立ち上がり遅延角と他方の極性変化時を基準とする遅延量である第2の立ち下がり遅延角とからなり、
前記第1の検出信号を基準として前記励磁切り替え信号を生成する場合は、該第1の立ち上がり遅延角と該第1の立ち下がり遅延角を交互に用いて該励磁切り替え信号を生成し、また、前記第2の検出信号を基準として該励磁切り替え信号を生成する場合は、該第2の立ち上がり遅延角と該第2の立ち下がり遅延角を交互に用いて該励磁切り替え信号を生成する、
ことを特徴とする請求項2に記載のモータの駆動制御方法。 - モータを加速する場合は、前記第1又は第2の遅延角から所定値ΔT1を減算した値を該第1又は第2の遅延角として励磁切り替え信号を生成させ、
モータを減速する場合は、取得した該第1又は第2の遅延角に所定値ΔT2を加算した値を該第1又は第2の遅延角として励磁切り替え信号を生成させる、
ことを特徴とする請求項2または3に記載のモータの駆動制御方法。 - モータの加速駆動中、前記励磁切り替え信号を生成するために使用している前記第1または第2の遅延角が所定の下限値Tmin以下である場合は、励磁切り替え信号を生成するために基準とする検出信号を、前記第1の検出信号と前記第2の検出信号との間で切り替え、
モータの減速駆動中、前記励磁切り替え信号を生成するために使用している前記第1または第2の遅延角が所定の上限値Tmax以上である場合は、励磁切り替え信号を生成するために基準とする検出信号を、前記第1の検出信号と前記第2の検出信号との間で切り替える、
ことを特徴とする請求項4に記載のモータの駆動制御方法。 - モータの加速駆動中、前記励磁切り替え信号を生成するために使用している前記第1又は第2の遅延角が所定の下限値Tmin以下である場合、前記励磁切り替え信号を生成するために基準とする検出信号を、前記第1の検出信号と前記第2の検出信号との間で切り替え、
モータの減速駆動中、励磁切り替え信号を生成するために使用している検出信号に対する該励磁切り替え信号の遅延量である遅延角B、及び、該励磁切り替え信号を生成するための基準としていない検出信号に対する該励磁切り替え信号の遅延量である遅延角Aが、所定の下限値Tminに対して、
下限値Tmin<遅延角A<遅延角B
である場合は、励磁切り替え信号を生成するために基準とする検出信号を、該第1の検出信号と該第2の検出信号との間で切り替える、
ことを特徴とする請求項4に記載のモータの駆動制御方法。 - モータの加速駆動中、前記励磁切り替え信号を生成するために使用している前記第1又は第2の遅延角が所定の下限値Tmin以下である場合、励磁切り替え信号を生成するために基準とする検出信号を前記第1の検出信号と前記第2の検出信号との間で切り替え、該切り替え前の、励磁切り替え信号を生成するために基準としていた検出信号の立ち上がり遅延角と立ち下がり遅延角を、加速駆動中のn回目の切り替えの履歴(切替履歴(n))として保存し、
モータの減速駆動中、励磁切り替え信号を生成するための基準としていない検出信号に対する励磁切り替え信号の遅延量である立ち上がり遅延角または立ち下がり遅延角が、
立ち上がり遅延角>切替履歴(n)の立ち上がり遅延角
または、
立ち下がり遅延角>切替履歴(n)の立ち下がり遅延角
のいずれかを満たす場合には、励磁切り替え信号を生成するために基準とする検出信号を、該第1の検出信号と該第2の検出信号との間で切り替えるとともに、減速駆動中に検出信号を切り替えるごとにnにn−1を代入し、n=0となるかまたは所定の速度まで減速されるまで同様の検出信号の切り替えを行う、
ことを特徴とする請求項4に記載のモータの駆動制御方法。 - 可動であるレンズ、該レンズを駆動する請求項1に記載のモータ、該モータの駆動を制御するCPUを有する、レンズ装置。
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