JP5510711B2 - 樹脂成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、
フック支持壁にフックが一体に形成され、
前記フックに対向する型抜き孔が前記フック支持壁に形成され、
前記型抜き孔の周部に薄肉ヒンジを介して連なり、前記薄肉ヒンジ周りに折曲揺動して前記型抜き孔を塞ぐカバー片が前記フック支持壁に一体に形成されている樹脂成形品に関する。
フック支持壁にフックを備えた樹脂成形品を成形する場合、例えば、フックの裏面とフック支持壁の壁面(表側の面)との間の空間を成形するための型部分を上型と下型の一方に形成しておき、上型と下型の間のキャビティに樹脂材料を注入した後、上型と下型の一方を樹脂成形品の表側に型抜き(型開き)し、他方を樹脂成形品の裏側に型抜きする一般的な成形手段では、型抜きの際にフックが邪魔になって前記一方の型を型抜きすることができない。
この問題を解消するために、フックの裏面とフック支持壁の壁面との間の空間を成形するスライド型を用いて成形する手段があるが、この手段では成形型の構造が複雑化して成形コストが高くなる。
そこで、冒頭に記載したように、フックに対向する型抜き孔がフック支持壁に形成されるように成形する手段が提案されている。この手段によれば、上型と下型をフックに邪魔されることなく円滑に型抜きすることができる。
しかしながら、型抜き孔が開放されたままでは見栄えが悪くなる等の新たな問題が生じることから、前記カバー片をフック支持壁に薄肉ヒンジを介して一体に成形しておき、成形後にカバー片を薄肉ヒンジ周りに折曲揺動させて型抜き孔を塞いでいる。
従来、上記の樹脂成形品では、特許文献1に開示されているように、前記カバー片は型抜き孔の周部からフック支持壁の表側の面の外方側(フック側)に向かって延びる状態に成形されていた。
特開平4−133885号公報
上記従来の構造によれば、前記カバー片は型抜き孔の周部からフック支持壁の表側の面の外方側(フック側)に向かって延びる状態に成形されていたために、カバー片をフック支持壁の表側の面からフックの先端までの距離の範囲内に収めなければならず、フックの長さやフックの深さ(フック支持壁の壁面からフックまでの長さ)に制約が生じてフックの設計の自由度が低下していた。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、フックの設計の自由度を上げることができる樹脂成形品を提供する点にある。
本発明の特徴は、
フック支持壁にフックが一体に形成され、
前記フックに対向する型抜き孔が前記フック支持壁に形成され、
前記型抜き孔の周部に薄肉ヒンジを介して連なり、前記薄肉ヒンジ周りに折曲揺動して前記型抜き孔を塞ぐカバー片が前記フック支持壁に一体に形成されている樹脂成形品であって、
前記カバー片は前記型抜き孔の周部から前記フック支持壁の裏側に向かって延びる状態に成形され、
前記型抜き孔の幅が前記フックの幅よりも幅広に設定され、
前記フックの長手方向で前記フックの頂部側に位置する前記型抜き孔の周部に前記薄肉ヒンジが設けられ、
前記フックの長手方向で前記フックの付け根側に位置する前記型抜き孔の周部のうち、前記フックの幅方向外方側の周部部分から前記フック支持壁の裏側に向かって棚部が突出し、
前記カバー片の折曲揺動に伴って前記カバー片の揺動端部が乗り越えるストッパ部が前記棚部に突設され、
前記ストッパ部は前記フック側ほど前記棚部からの突出量が大きくなるように形成されている点にある。(請求項1)
上記構成によれば、前記カバー片は前記型抜き孔の周部からフックとは反対側のフック支持壁の裏側に向かって延びる状態に成形されているから、下記のようにフックの意匠・大小に関係なくカバー片を形成することができてフックの設計の自由度が向上する。
すなわち、樹脂成形型の構造上の制約により、フックの幅、高さ(フック支持壁の壁面からフックまでの長さ)から型抜き孔の幅が決まり、フックの長さ、高さから型抜き孔の長さが決まる。
そして、フックの意匠によりフックの幅、長さ、高さが変化すると、それに対応して型抜き孔の幅、長さが変化する。従来ではフックの高さにカバー片の高さを一致させなければならないためにフックの形状に制約が生じていたが、本発明の上記構成では、カバー片は型抜き孔の周部からフックとは反対側のフック支持壁の裏側に向かって延びる状態に成形されているから、従来のような制約が生じることが無く、変化した型抜き孔の幅、長さに対応してカバー片の幅、長さを調整することで、様々な意匠のフックに設定することができる。従って、フックの設計の自由度を上げることができる。
また、カバー片の折曲揺動に伴ってカバー片の揺動端部が乗り越えるストッパ部が棚部に突設されているから、型抜き孔を塞いだカバー片がカバー片の外側(樹脂成形品の表側)から押された時に、カバー片の揺動端部をストッパ部で受け止めて、カバー片が元の位置に揺動することを防止することができ、型抜き孔が開放することを防止することができる。
ストッパ部はフック側ほど棚部からの突出量が大きくなるように形成されているから、カバー片の揺動端部がストッパ部を乗り越えやすくすることができる。
また、ストッパ部が突設される棚部は、フックの長手方向でフックの付け根側に位置する型抜き孔の周部のうち、フックの幅方向外方側の周部部分からフック支持壁の裏側に向かって突出しているから、フック支持壁の内外方向(表裏方向)でストッパ部がフックと重なることがない。従って、スライド型を使うことなくストッパ部を成形することができる。(請求項1)
本発明において、
前記ストッパ部を乗り越えた前記カバー片の揺動端部を前記ストッパ部との協働で挟持する挟持部が前記フックの裏側に成形されていると、カバー片がフック支持壁の内外方向(表裏方向)から押された時に、カバー片の揺動端部をストッパ部や挟持部で受け止めて、カバー片が揺動することを防止することができ、型抜き孔が開放することを防止することができる。(請求項
本発明において、
前記挟持部は前記フックの全幅にわたるリブ状に前記フックに一体に成形されていると、フックの強度を向上させることができる。また、例えば上型と下型の簡易な型構造で挟持部を形成することができて成形型の構造を簡素化することができる。(請求項
本発明において、
前記カバー片の折曲揺動に伴って前記カバー片の両側部を各別にガイドする一対のガイド部が前記フック支持壁の裏側に成形されていると、カバー片の折曲作業を簡単化することができて作業性を向上させることができる。(請求項
本発明において、
前記ガイド部は、前記型抜き孔を塞いだ閉じ状態のカバー片の側部に沿うリブ状に形成されて、前記閉じ状態のカバー片の側部を前記側部の側方から覆うと、カバー片が折曲した後はカバー片の両側部を一対のガイド部でしっかりと支えることができる。
さらに、樹脂成形品が撓んだり、物品(荷物)の掛け外し時の入力でフック支持壁に捩れや変形が生じたりして、カバー片と型抜き孔との間に隙間が生じても、一対のガイド部で前記隙間を覆い隠して内部が見えてしまう不具合を防ぐことができる。(請求項
本発明において、
前記薄肉ヒンジは、前記カバー片の基端部と前記型抜き孔の周部との間に薄肉部を介在させて構成され、
前記薄肉部の前記カバー片側の端部は、前記カバー片の裏面と前記カバー片の基端部の端面とで形成される第1コーナー部に接続していると、次の作用を奏することができる。(請求項
例えば、前記薄肉ヒンジがカバー片の表側の面とフック支持壁の意匠面(表側の面)との間に形成されていると、意匠面に薄肉ヒンジが露出し、物品をフックに繰返し引っ掛けているうちに、薄肉ヒンジに対する物品の繰り返しの当接によりカバー片が薄肉ヒンジからちぎれる虞がある。これを防ぐ為には一段下がった段部に隠れる位置に薄肉ヒンジを形成しなければならず、成形型の構造が複雑になる上に外観を損なう虞がある。
これに対して、本発明の上記の構成によれば、前記薄肉部の前記カバー片側の端部は、前記カバー片の裏面と前記カバー片の基端部の端面とで形成される第1コーナー部に接続しているから、カバー片で型抜き孔を塞いだ時に薄肉ヒンジを意匠面の裏側に配置することができる。
これにより、フックに物品を掛け外しする際に、薄肉ヒンジに物品が当たることを回避することができて、薄肉ヒンジの損傷を回避することができ、薄肉ヒンジの耐久性を向上させることができる。(請求項
本発明において、
前記薄肉部は、前記カバー片の基端部と、前記フック支持壁の裏側に向かって突出するように前記型抜き孔の周部に形成されたフランジとの間に介在し、
前記薄肉部の前記フランジ側の端部は、前記型抜き孔の内周側のフランジ面と、前記フランジの頂面とで形成される第2コーナー部に接続していると、次の作用を奏することができる。(請求項
カバー片で型抜き孔を塞いだ時に薄肉ヒンジを意匠面の裏側に配置することができるとともに、カバー片の基端部の端面を型抜き孔の内周側のフランジ面に対向させることができる。
これにより、フックに物品を掛け外しする際に、薄肉ヒンジに物品が当たることを確実に回避することができて、薄肉ヒンジの損傷を回避することができ、薄肉ヒンジの耐久性をより向上させることができる。(請求項
本発明によれば、
フックの設計の自由度を上げることができ、成形型の構造を簡素化することができ、外観を向上させることができる樹脂成形品を提供することができた。
車体後部の分解斜視図 クォータトリム(樹脂成形品)のフック支持壁及びフックの斜視図 クォータトリム(樹脂成形品)のフック支持壁及びフックを車室内側(車幅方向内側)から見た図 (a) クォータトリム(樹脂成形品)の上型と下型(分離状態)を示す断面図、(b) クォータトリム(樹脂成形品)の上型と下型(成形状態)を示す断面図 図3のA−A断面図 フックの裏側を示す斜視図 図3のB−B断面図
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に自動車の車体後部の分解斜視図を示してある。この図1に示すように、リアドア用の開口6が形成されたインナパネル1の室内側の表面に内装材としての樹脂製のクォータトリム2(樹脂成形品に相当)がクリップ等で取り付けられている。クォータトリム2の後ろ側の上半部には三角形状の開口4が形成され、クォータトリム2の裏側が物品収納部に構成されるとともに、前記開口4を塞ぐ三角形状の樹脂製のリッド3がクォータトリム2に取り外し可能に取付けられている。
図1〜図3,図5に示すように、クォータトリム2の開口4の上側はフック支持壁10に構成されている。そして、ビニール袋などの取っ手を引っ掛けて吊り下げ支持するフック20がフック支持壁10に室内に向かって突出するように一体に形成され、フック20に取っ手を引っ掛けたビニール袋を前記物品収納部に収容可能に構成されている。
フック20は、上側が開放した箱形の基部21と、基部21の背部側から上方に立ち上がる立ち上がり部22とから成る。
基部21は、フック支持壁10の表面の外方側に凸の断面J字状の第1背壁21Hと、第1背壁21Hの幅方向の両端部とフック支持壁10の壁面を連結する一対の第1側壁21Sと、一対の第1側壁21S間に架け渡された補強リブ29(図6参照)とを備えている。補強リブ29は板状に形成されて板面が上下方向を向いている。
立ち上がり部22は、前記第1背壁21Hの上端部から上方に立ち上がる第2背壁22Hと、第2背壁22Hの幅方向両端部と上端部からフック支持壁10側に延びる第1フランジ22Fとを備えている。第1フランジ22Fの頂部とフック支持壁10の表側の壁面との間には、前記ビニール袋の取っ手などの物品の被係止部を上方から通す空間Sが形成されている(図5参照)。物品の被係止部は前記基部21の上端部に係止して下側から受け止め支持される。前記基部21と立ち上がり部22の各コーナー部は円弧状に形成され、フック20の一部分への応力集中を回避可能に構成されている。
また、フック20の立ち上がり部22に対向する長方形状の型抜き孔23(フック20の裏面側を成形するための後述の図4(a),図4(b)における下型61を引き抜くことで形成される開口)が前記フック支持壁10に形成されている。図5,図6に示す符号70は型抜き孔23の下方に位置する前記第1背壁21Hの内側の空間である。
図3に示すように、フック20の長手方向でフック20の頂部側に位置する型抜き孔23の周部33J、すなわち、フック20の幅方向に沿う型抜き孔23の上下一対の周部33J,33Sのうちの上側の周部33J(以下、「上側周部33J」と称する)はフック20の立ち上がり部22の上端部(頂部)よりも上方に位置する。
また、フック20の長手方向でフック20の付け根20N側に位置する型抜き孔23の周部33S、すなわち、前記上下一対の周部33J,33Sのうちの下側の周部33S(以下、「下側周部33S」と称する)はフック20の立ち上がり部22の下端部付近に位置する。
型抜き孔23の幅はフック20の幅よりも幅広に設定され、フック20の長手方向(上下方向)に沿う型抜き孔23の一対の周部33C,33Dは、フック20の幅方向でフック20の側部の外方側に位置している。
図5〜図7に示すように、型抜き孔23の上側周部33Jに薄肉ヒンジHを介して連なり、薄肉ヒンジH周りに折曲揺動して型抜き孔23を塞ぐ長方形板状のカバー片24がフック支持壁10に一体に成形されている。上記のように薄肉ヒンジHは型抜き孔23の周部33のうちの上側周部33Jに設けられている。
前記カバー片24は型抜き孔23の上側周部33Jからフック20とは反対側のフック支持壁10の裏側に向かって延びる状態に成形されている。さらに、前記下側周部33Sのうち、フック20の幅方向両外方側の周部部分33S1からフック支持壁10の裏側に向かってフランジ状の一対の棚部31が各別に突出している。
そして、カバー片24の折曲揺動に伴ってカバー片24の揺動端部24Bが乗り越えるストッパ部26が一対の棚部31にそれぞれ突設されている。ストッパ部26はフック20側ほど棚部31からの突出量が大きくなるように、フック20の幅方向から見て三角形の爪状に形成されている(図7参照)。
また、ストッパ部26を乗り越えたカバー片24の揺動端部24Bをストッパ部26との協働で挟持する挟持部25がフック20の裏側に成形されている。挟持部25はフック20の全幅にわたる横リブ板状にフック20に一体に成形されている。挟持部25の板面は上下方向を向いている。フック20の幅方向で一対のストッパ部26は挟持部25の外方側(挟持部25の両外方側)に位置している。
前記挟持部25はフック20の全幅にわたるリブ状にフック20に一体に成形されているから、フック20の強度を向上させることができる。また、上型60と下型61の簡易な型構造(図4(a),図4(b)参照)で挟持部25を形成することができて成形型の構造を簡素化することができる。
上記のように、カバー片24の折曲揺動に伴ってカバー片24の揺動端部24Bが乗り越えるストッパ部26が棚部31に突設されているから、型抜き孔23を塞いだカバー片24がカバー片24の外側(クォータトリム2の表側)から押された時に、カバー片24の揺動端部24Bをストッパ部26で受け止めて、カバー片24が元の位置に揺動することを防止することができ、型抜き孔23が開放することを防止することができる。
ストッパ部26はフック20側ほど棚部31からの突出量が大きくなるように形成されているから、カバー片24の揺動端部24Bがストッパ部26を乗り越えやすくすることができる。
また、ストッパ部26が突設される棚部31は、型抜き孔23の下側周部33Sのうち、フック20の幅方向外方側の周部部分33S1からフック支持壁10の裏側に向かって突出しているから、フック支持壁10の内外方向(表裏方向)でストッパ部26がフック20と重なることがない。従って、スライド型を使うことなくストッパ部26を成形することができる。
前記ストッパ部26を乗り越えたカバー片24の揺動端部24Bをストッパ部26との協働で挟持する挟持部25がフック20の裏側に成形されているから、カバー片24がフック支持壁10の内外方向(表裏方向)から押された時に、カバー片24の揺動端部24Bをストッパ部26や挟持部25で受け止めて、カバー片24が揺動することを防止することができ、型抜き孔23が開放することを防止することができる。
そして、カバー片24の折曲揺動に伴ってカバー片24の両側部24Sを各別にガイドする一対のガイド部27がフック支持壁10の裏側に成形されている。前記ガイド部27は、型抜き孔23を塞いだ閉じ状態のカバー片24の側部24Sに沿う縦板リブ状に形成されて、前記閉じ状態のカバー片24の側部24Sを前記側部24Sの側方(カバー片24の幅方向外方側)から側部24Sの全長にわたって覆うよう構成されている。ガイド部27の板面はフック20の幅方向を向いている。また、ガイド部27は、フック20の立ち上がり部22の上下方向の長さとほぼ同一長さに設定されてフック支持壁10に一体に成形されている。
フック支持壁10の裏面からのガイド部27の突出量と、フック支持壁10の裏面からの棚部31の突出量とは同一であり、一方のガイド部27の下端部と一方の棚部31の長手方向の端部(フック20の幅方向外方側の端部)とが円弧状に滑らかに連なり、他方のガイド部27の下端部と他方の棚部31の長手方向の端部(フック20の幅方向外方側の端部)とが円弧状に滑らかに連なっている。
前記カバー片24の折曲揺動に伴ってカバー片24の両側部24Sを各別にガイドする一対のガイド部27がフック支持壁10の裏側に成形されているから、カバー片24の折曲作業を簡単化することができて作業性を向上させることができる。
また、前記ガイド部27は、型抜き孔23を塞いだ閉じ状態のカバー片24の側部24Sに沿う縦板リブ状に形成されて、閉じ状態のカバー片24の側部24Sを側部24Sの側方から覆うから、カバー片24が折曲した後はカバー片24の両側部24Sを一対のガイド部27でしっかりと支えることができる。
さらに、クォータトリム2が撓んだり、物品(荷物)の掛け外し時の入力でフック支持壁10に捩れや変形が生じたりして、カバー片24と型抜き孔23との間に隙間が生じても、一対のガイド部27で前記隙間を覆い隠して内部が見えてしまう不具合を防ぐことができる。
前記フックの基部21に形成された一対の第1側壁21Sのフック支持壁10側の端部と、第1背壁21Hの下端部のフック支持壁10側の端部とからフック支持壁10の裏側に上側開放のコの字状の補強リブ28が突出している。補強リブ28の一対の側壁部28Aの上端部は前記一対の棚部31の内側の端部(フック20の幅方向内方側の端部)に各別に連なっている。また、フック支持壁10の裏面からの補強リブ28の突出量は、フック支持壁10の裏面からの棚部31の突出量と同一に設定されている。
ガイド部27の上端部には段差部を介して板状の上側補強リブ30が連なっている。この上側補強リブ30はカバー片24の幅方向の両側に位置し、カバー片24の幅方向でガイド部27よりも幅方向外方側に位置している。
図5に示すように、前記薄肉ヒンジHは、カバー片24の基端部24Kと型抜き孔23の上側周部33Jとの間に薄肉部50を介在させて構成されている。詳しくは、薄肉部50は、カバー片24の基端部24Kと、フック支持壁10の裏側に向かって突出するように型抜き孔23の上側周部33Jに形成された第2フランジ51との間に介在している。
そして、薄肉部50のカバー片24側の端部が、カバー片24の裏面24U(型抜き孔23を塞いだカバー片24の閉じ状態でフック支持壁10の裏側を向く面)とカバー片24の基端部24Kの端面24Tとで形成される第1コーナー部C1に接続し、薄肉部50の第2フランジ51側の端部が、型抜き孔23の内周側のフランジ面51Nと、第2フランジ51の頂面51Tとで形成される第2コーナー部C2に接続している。
例えば、前記薄肉ヒンジがカバー片の表側の面とフック支持壁の意匠面(表側の面)との間に形成されていると、意匠面に薄肉ヒンジが露出し、物品をフックに繰返し引っ掛けているうちに、薄肉ヒンジに対する物品の繰り返しの当接によりカバー片が薄肉ヒンジからちぎれる虞がある。これを防ぐ為には一段下がった段部に隠れる位置に薄肉ヒンジを形成しなければならず、成形型の構造が複雑になる上に外観を損なう虞がある。
これに対して、本発明の上記の構成によれば、前記薄肉部50の前記カバー片24側の端部は、カバー片24の裏面24Uとカバー片24の基端部24Kの端面24Tとで形成される第1コーナー部C1に接続しており、薄肉部50の第2フランジ51側の端部は、型抜き孔23の内周側のフランジ面51Nと、第2フランジ51の頂面51Tとで形成される第2コーナー部C2に接続しているから、カバー片24で型抜き孔23を塞いだ時に薄肉ヒンジHを意匠面の裏側に配置することができるとともに、カバー片24の基端部24Kの端面24Tを型抜き孔23の内周側のフランジ面51Nに対向させることができる。
これにより、フック20に物品を掛け外しする際に、薄肉ヒンジHに物品が当たることを回避することができて、薄肉ヒンジHの損傷を回避することができ、薄肉ヒンジHの耐久性を向上させることができる。
図4(a),図4(b)に示すように、クォータトリム2は、スライド型を用いることなく上型60と下型61の二つの金型で成形される。図4(a),図4(b)における符号62はフック20を形成するためのキャビティ、63はカバー片24を形成するためのキャビティである。これらのキャビティ62,63等に樹脂材料を注入し、その後に上型60と下型61を図4(b)の白抜き矢印方向に引き抜いてクォータトリム2を成形する。
そして、図5に示すように、成形後にカバー片24を薄肉ヒンジH周りに折曲揺動して型抜き孔23を塞ぐ。カバー片24の折曲揺動の際に一対のガイド部27でカバー片24の両側部24Sを各別にガイドする。カバー片24を薄肉ヒンジH周りに折曲揺動させると、カバー片24の揺動端部24Bがストッパ部26を乗り越えて、このストッパ部26と挟持部25に揺動端部24Bが挟持される。
例えば、フック20に対向するフック支持壁10に型抜き孔23を設けない構造では、フック20の内側の空間Sを前記下型61(図4(a),図4(b)参照)で形成できない。また、前記上型60(図4(a),図4(b)参照)で形成しようとしても、型抜きの際にフック20が邪魔になり、成形後に上型60を開く(抜く)ことができない。そのために、フック20の内側の空間Sをスライド型などの別の型で構成しなければならなくなって成形型の構造が複雑化する。
これに対して、本発明の上記の構成によれば、フック20に対向する型抜き孔23がフック支持壁10に形成されているから、図4(a),図4(b)に示すように、フック20の内側の空間Sを下型61で形成することができ、フック20の外側を上型60で形成することができる。このように、スライド型を用いることなくクォータトリム2を形成することができて、成形型の構造を簡素化することができる。
カバー片24は型抜き孔23の周部33からフック20とは反対側のフック支持壁10の裏側に向かって延びる状態に成形されているから、下記のようにフック20の意匠・大小に関係なくカバー片24を形成することができて、フック20の設計の自由度が向上する。
すなわち、図3,図5に示すように、樹脂成形型の構造上の制約により、フック20の幅、高さ(フック支持壁10の壁面からフック20までの長さ)から型抜き孔23の幅が決まり、フック20の長さ、高さから型抜き孔23の長さが決まる。
そして、フック20の意匠によりフック20の幅、長さ、高さが変化すると、それに対応して型抜き孔23の幅、長さが変化する。従来(特許文献1参照)ではフック20の高さにカバー片24の高さを一致させなければならないためにフック20の形状に制約が生じていたが、本発明の上記構成では、カバー片24は型抜き孔23の周部33からフック20とは反対側のフック支持壁10の裏側に向かって延びる状態に成形されているから、従来のような制約が生じることが無く、変化した型抜き孔23の幅、長さに対応してカバー片24の幅、長さを調整することで、様々な意匠のフック20に設定することができる。従って、フック20の設計の自由度を上げることができる。
図6に示すように、前記補強リブ28と棚部31とガイド部27と上側補強リブ30とは連続した上側開放の段付きのコの字状のリブ体を形成しており、このリブ体が前記型抜き孔23と第1背壁21Hの内側の空間70とを取り囲む状態にフック支持壁10の裏面から突出している。
これにより、フック支持壁10の型抜き孔23と前記空間70の周りを補強することができて、フック支持壁10の剛性・強度を向上させることができる。
つまり、棚部31にはストッパ部26を支持する機能とフック支持壁10の剛性・強度を向上させる機能とを備えさせ、ガイド部27にはカバー片24に対するガイド機能とフック支持壁10の剛性・強度を向上させる機能とを備えさせてある。
[別実施形態]
本発明は、
(1) 前記クォータトリム2以外の内装材(樹脂成形品)にも適用することができる。
(2) 自車用以外の内装材や内装材以外の樹脂成形品にも適用することができる。
10 フック支持壁
20 フック
23 型抜き孔
24 カバー片
24B 揺動端部
24K 基端部(カバー片の基端部)
24S カバー片の側部
24T カバー片の基端部の端面
24U カバー片の裏面
25 挟持部
26 ストッパ部
27 ガイド部
31 棚部
33 型抜き孔の周部
33J フックの頂部側に位置する型抜き孔の周部(型抜き孔の上側周部)
33S フックの付け根側に位置する型抜き孔の周部(型抜き孔の下側周部)
33S1 周部部分(フックの付け根側に位置する型抜き孔の周部のうち、フックの幅方向外方側の周部部分)
50 薄肉部
51 フランジ(第2フランジ)
51N フランジ面
51T フランジの頂面
C1 第1コーナー部
C2 第2コーナー部
H 薄肉ヒンジ

Claims (7)

  1. フック支持壁にフックが一体に形成され、
    前記フックに対向する型抜き孔が前記フック支持壁に形成され、
    前記型抜き孔の周部に薄肉ヒンジを介して連なり、前記薄肉ヒンジ周りに折曲揺動して前記型抜き孔を塞ぐカバー片が前記フック支持壁に一体に形成されている樹脂成形品であって、
    前記カバー片は前記型抜き孔の周部から前記フック支持壁の裏側に向かって延びる状態に成形され、
    前記型抜き孔の幅が前記フックの幅よりも幅広に設定され、
    前記フックの長手方向で前記フックの頂部側に位置する前記型抜き孔の周部に前記薄肉ヒンジが設けられ、
    前記フックの長手方向で前記フックの付け根側に位置する前記型抜き孔の周部のうち、前記フックの幅方向外方側の周部部分から前記フック支持壁の裏側に向かって棚部が突出し、
    前記カバー片の折曲揺動に伴って前記カバー片の揺動端部が乗り越えるストッパ部が前記棚部に突設され、
    前記ストッパ部は前記フック側ほど前記棚部からの突出量が大きくなるように形成されている樹脂成形品。
  2. 前記ストッパ部を乗り越えた前記カバー片の揺動端部を前記ストッパ部との協働で挟持する挟持部が前記フックの裏側に成形されている請求項記載の樹脂成形品。
  3. 前記挟持部は前記フックの全幅にわたるリブ状に前記フックに一体に成形されている請求項記載の樹脂成形品。
  4. 前記カバー片の折曲揺動に伴って前記カバー片の両側部を各別にガイドする一対のガイド部が前記フック支持壁の裏側に成形されている請求項1〜のいずれか一つに記載の樹脂成形品。
  5. 前記ガイド部は、前記型抜き孔を塞いだ閉じ状態のカバー片の側部に沿うリブ状に形成されて、前記閉じ状態のカバー片の側部を前記側部の側方から覆う請求項記載の樹脂成形品。
  6. 前記薄肉ヒンジは、前記カバー片の基端部と前記型抜き孔の周部との間に薄肉部を介在させて構成され、
    前記薄肉部の前記カバー片側の端部は、前記カバー片の裏面と前記カバー片の基端部の端面とで形成される第1コーナー部に接続している請求項1〜のいずれか一つに記載の樹脂成形品。
  7. 前記薄肉部は、前記カバー片の基端部と、前記フック支持壁の裏側に向かって突出するように前記型抜き孔の周部に形成されたフランジとの間に介在し、
    前記薄肉部の前記フランジ側の端部は、前記型抜き孔の内周側のフランジ面と、前記フランジの頂面とで形成される第2コーナー部に接続している請求項記載の樹脂成形品。
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