JP5510711B2 - 樹脂成形品 - Google Patents
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Description
フック支持壁にフックが一体に形成され、
前記フックに対向する型抜き孔が前記フック支持壁に形成され、
前記型抜き孔の周部に薄肉ヒンジを介して連なり、前記薄肉ヒンジ周りに折曲揺動して前記型抜き孔を塞ぐカバー片が前記フック支持壁に一体に形成されている樹脂成形品に関する。
この問題を解消するために、フックの裏面とフック支持壁の壁面との間の空間を成形するスライド型を用いて成形する手段があるが、この手段では成形型の構造が複雑化して成形コストが高くなる。
そこで、冒頭に記載したように、フックに対向する型抜き孔がフック支持壁に形成されるように成形する手段が提案されている。この手段によれば、上型と下型をフックに邪魔されることなく円滑に型抜きすることができる。
しかしながら、型抜き孔が開放されたままでは見栄えが悪くなる等の新たな問題が生じることから、前記カバー片をフック支持壁に薄肉ヒンジを介して一体に成形しておき、成形後にカバー片を薄肉ヒンジ周りに折曲揺動させて型抜き孔を塞いでいる。
従来、上記の樹脂成形品では、特許文献1に開示されているように、前記カバー片は型抜き孔の周部からフック支持壁の表側の面の外方側(フック側)に向かって延びる状態に成形されていた。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、フックの設計の自由度を上げることができる樹脂成形品を提供する点にある。
フック支持壁にフックが一体に形成され、
前記フックに対向する型抜き孔が前記フック支持壁に形成され、
前記型抜き孔の周部に薄肉ヒンジを介して連なり、前記薄肉ヒンジ周りに折曲揺動して前記型抜き孔を塞ぐカバー片が前記フック支持壁に一体に形成されている樹脂成形品であって、
前記カバー片は前記型抜き孔の周部から前記フック支持壁の裏側に向かって延びる状態に成形され、
前記型抜き孔の幅が前記フックの幅よりも幅広に設定され、
前記フックの長手方向で前記フックの頂部側に位置する前記型抜き孔の周部に前記薄肉ヒンジが設けられ、
前記フックの長手方向で前記フックの付け根側に位置する前記型抜き孔の周部のうち、前記フックの幅方向外方側の周部部分から前記フック支持壁の裏側に向かって棚部が突出し、
前記カバー片の折曲揺動に伴って前記カバー片の揺動端部が乗り越えるストッパ部が前記棚部に突設され、
前記ストッパ部は前記フック側ほど前記棚部からの突出量が大きくなるように形成されている点にある。(請求項1)
すなわち、樹脂成形型の構造上の制約により、フックの幅、高さ(フック支持壁の壁面からフックまでの長さ)から型抜き孔の幅が決まり、フックの長さ、高さから型抜き孔の長さが決まる。
そして、フックの意匠によりフックの幅、長さ、高さが変化すると、それに対応して型抜き孔の幅、長さが変化する。従来ではフックの高さにカバー片の高さを一致させなければならないためにフックの形状に制約が生じていたが、本発明の上記構成では、カバー片は型抜き孔の周部からフックとは反対側のフック支持壁の裏側に向かって延びる状態に成形されているから、従来のような制約が生じることが無く、変化した型抜き孔の幅、長さに対応してカバー片の幅、長さを調整することで、様々な意匠のフックに設定することができる。従って、フックの設計の自由度を上げることができる。
また、カバー片の折曲揺動に伴ってカバー片の揺動端部が乗り越えるストッパ部が棚部に突設されているから、型抜き孔を塞いだカバー片がカバー片の外側(樹脂成形品の表側)から押された時に、カバー片の揺動端部をストッパ部で受け止めて、カバー片が元の位置に揺動することを防止することができ、型抜き孔が開放することを防止することができる。
ストッパ部はフック側ほど棚部からの突出量が大きくなるように形成されているから、カバー片の揺動端部がストッパ部を乗り越えやすくすることができる。
また、ストッパ部が突設される棚部は、フックの長手方向でフックの付け根側に位置する型抜き孔の周部のうち、フックの幅方向外方側の周部部分からフック支持壁の裏側に向かって突出しているから、フック支持壁の内外方向(表裏方向)でストッパ部がフックと重なることがない。従って、スライド型を使うことなくストッパ部を成形することができる。(請求項1)
前記ストッパ部を乗り越えた前記カバー片の揺動端部を前記ストッパ部との協働で挟持する挟持部が前記フックの裏側に成形されていると、カバー片がフック支持壁の内外方向(表裏方向)から押された時に、カバー片の揺動端部をストッパ部や挟持部で受け止めて、カバー片が揺動することを防止することができ、型抜き孔が開放することを防止することができる。(請求項2)
前記挟持部は前記フックの全幅にわたるリブ状に前記フックに一体に成形されていると、フックの強度を向上させることができる。また、例えば上型と下型の簡易な型構造で挟持部を形成することができて成形型の構造を簡素化することができる。(請求項3)
前記カバー片の折曲揺動に伴って前記カバー片の両側部を各別にガイドする一対のガイド部が前記フック支持壁の裏側に成形されていると、カバー片の折曲作業を簡単化することができて作業性を向上させることができる。(請求項4)
前記ガイド部は、前記型抜き孔を塞いだ閉じ状態のカバー片の側部に沿うリブ状に形成されて、前記閉じ状態のカバー片の側部を前記側部の側方から覆うと、カバー片が折曲した後はカバー片の両側部を一対のガイド部でしっかりと支えることができる。
さらに、樹脂成形品が撓んだり、物品(荷物)の掛け外し時の入力でフック支持壁に捩れや変形が生じたりして、カバー片と型抜き孔との間に隙間が生じても、一対のガイド部で前記隙間を覆い隠して内部が見えてしまう不具合を防ぐことができる。(請求項5)
前記薄肉ヒンジは、前記カバー片の基端部と前記型抜き孔の周部との間に薄肉部を介在させて構成され、
前記薄肉部の前記カバー片側の端部は、前記カバー片の裏面と前記カバー片の基端部の端面とで形成される第1コーナー部に接続していると、次の作用を奏することができる。(請求項6)
これに対して、本発明の上記の構成によれば、前記薄肉部の前記カバー片側の端部は、前記カバー片の裏面と前記カバー片の基端部の端面とで形成される第1コーナー部に接続しているから、カバー片で型抜き孔を塞いだ時に薄肉ヒンジを意匠面の裏側に配置することができる。
これにより、フックに物品を掛け外しする際に、薄肉ヒンジに物品が当たることを回避することができて、薄肉ヒンジの損傷を回避することができ、薄肉ヒンジの耐久性を向上させることができる。(請求項6)
前記薄肉部は、前記カバー片の基端部と、前記フック支持壁の裏側に向かって突出するように前記型抜き孔の周部に形成されたフランジとの間に介在し、
前記薄肉部の前記フランジ側の端部は、前記型抜き孔の内周側のフランジ面と、前記フランジの頂面とで形成される第2コーナー部に接続していると、次の作用を奏することができる。(請求項7)
これにより、フックに物品を掛け外しする際に、薄肉ヒンジに物品が当たることを確実に回避することができて、薄肉ヒンジの損傷を回避することができ、薄肉ヒンジの耐久性をより向上させることができる。(請求項7)
フックの設計の自由度を上げることができ、成形型の構造を簡素化することができ、外観を向上させることができる樹脂成形品を提供することができた。
図1に自動車の車体後部の分解斜視図を示してある。この図1に示すように、リアドア用の開口6が形成されたインナパネル1の室内側の表面に内装材としての樹脂製のクォータトリム2(樹脂成形品に相当)がクリップ等で取り付けられている。クォータトリム2の後ろ側の上半部には三角形状の開口4が形成され、クォータトリム2の裏側が物品収納部に構成されるとともに、前記開口4を塞ぐ三角形状の樹脂製のリッド3がクォータトリム2に取り外し可能に取付けられている。
これに対して、本発明の上記の構成によれば、前記薄肉部50の前記カバー片24側の端部は、カバー片24の裏面24Uとカバー片24の基端部24Kの端面24Tとで形成される第1コーナー部C1に接続しており、薄肉部50の第2フランジ51側の端部は、型抜き孔23の内周側のフランジ面51Nと、第2フランジ51の頂面51Tとで形成される第2コーナー部C2に接続しているから、カバー片24で型抜き孔23を塞いだ時に薄肉ヒンジHを意匠面の裏側に配置することができるとともに、カバー片24の基端部24Kの端面24Tを型抜き孔23の内周側のフランジ面51Nに対向させることができる。
これにより、フック20に物品を掛け外しする際に、薄肉ヒンジHに物品が当たることを回避することができて、薄肉ヒンジHの損傷を回避することができ、薄肉ヒンジHの耐久性を向上させることができる。
これに対して、本発明の上記の構成によれば、フック20に対向する型抜き孔23がフック支持壁10に形成されているから、図4(a),図4(b)に示すように、フック20の内側の空間Sを下型61で形成することができ、フック20の外側を上型60で形成することができる。このように、スライド型を用いることなくクォータトリム2を形成することができて、成形型の構造を簡素化することができる。
すなわち、図3,図5に示すように、樹脂成形型の構造上の制約により、フック20の幅、高さ(フック支持壁10の壁面からフック20までの長さ)から型抜き孔23の幅が決まり、フック20の長さ、高さから型抜き孔23の長さが決まる。
そして、フック20の意匠によりフック20の幅、長さ、高さが変化すると、それに対応して型抜き孔23の幅、長さが変化する。従来(特許文献1参照)ではフック20の高さにカバー片24の高さを一致させなければならないためにフック20の形状に制約が生じていたが、本発明の上記構成では、カバー片24は型抜き孔23の周部33からフック20とは反対側のフック支持壁10の裏側に向かって延びる状態に成形されているから、従来のような制約が生じることが無く、変化した型抜き孔23の幅、長さに対応してカバー片24の幅、長さを調整することで、様々な意匠のフック20に設定することができる。従って、フック20の設計の自由度を上げることができる。
これにより、フック支持壁10の型抜き孔23と前記空間70の周りを補強することができて、フック支持壁10の剛性・強度を向上させることができる。
つまり、棚部31にはストッパ部26を支持する機能とフック支持壁10の剛性・強度を向上させる機能とを備えさせ、ガイド部27にはカバー片24に対するガイド機能とフック支持壁10の剛性・強度を向上させる機能とを備えさせてある。
本発明は、
(1) 前記クォータトリム2以外の内装材(樹脂成形品)にも適用することができる。
(2) 自車用以外の内装材や内装材以外の樹脂成形品にも適用することができる。
20 フック
23 型抜き孔
24 カバー片
24B 揺動端部
24K 基端部(カバー片の基端部)
24S カバー片の側部
24T カバー片の基端部の端面
24U カバー片の裏面
25 挟持部
26 ストッパ部
27 ガイド部
31 棚部
33 型抜き孔の周部
33J フックの頂部側に位置する型抜き孔の周部(型抜き孔の上側周部)
33S フックの付け根側に位置する型抜き孔の周部(型抜き孔の下側周部)
33S1 周部部分(フックの付け根側に位置する型抜き孔の周部のうち、フックの幅方向外方側の周部部分)
50 薄肉部
51 フランジ(第2フランジ)
51N フランジ面
51T フランジの頂面
C1 第1コーナー部
C2 第2コーナー部
H 薄肉ヒンジ
Claims (7)
- フック支持壁にフックが一体に形成され、
前記フックに対向する型抜き孔が前記フック支持壁に形成され、
前記型抜き孔の周部に薄肉ヒンジを介して連なり、前記薄肉ヒンジ周りに折曲揺動して前記型抜き孔を塞ぐカバー片が前記フック支持壁に一体に形成されている樹脂成形品であって、
前記カバー片は前記型抜き孔の周部から前記フック支持壁の裏側に向かって延びる状態に成形され、
前記型抜き孔の幅が前記フックの幅よりも幅広に設定され、
前記フックの長手方向で前記フックの頂部側に位置する前記型抜き孔の周部に前記薄肉ヒンジが設けられ、
前記フックの長手方向で前記フックの付け根側に位置する前記型抜き孔の周部のうち、前記フックの幅方向外方側の周部部分から前記フック支持壁の裏側に向かって棚部が突出し、
前記カバー片の折曲揺動に伴って前記カバー片の揺動端部が乗り越えるストッパ部が前記棚部に突設され、
前記ストッパ部は前記フック側ほど前記棚部からの突出量が大きくなるように形成されている樹脂成形品。 - 前記ストッパ部を乗り越えた前記カバー片の揺動端部を前記ストッパ部との協働で挟持する挟持部が前記フックの裏側に成形されている請求項1記載の樹脂成形品。
- 前記挟持部は前記フックの全幅にわたるリブ状に前記フックに一体に成形されている請求項2記載の樹脂成形品。
- 前記カバー片の折曲揺動に伴って前記カバー片の両側部を各別にガイドする一対のガイド部が前記フック支持壁の裏側に成形されている請求項1〜3のいずれか一つに記載の樹脂成形品。
- 前記ガイド部は、前記型抜き孔を塞いだ閉じ状態のカバー片の側部に沿うリブ状に形成されて、前記閉じ状態のカバー片の側部を前記側部の側方から覆う請求項4記載の樹脂成形品。
- 前記薄肉ヒンジは、前記カバー片の基端部と前記型抜き孔の周部との間に薄肉部を介在させて構成され、
前記薄肉部の前記カバー片側の端部は、前記カバー片の裏面と前記カバー片の基端部の端面とで形成される第1コーナー部に接続している請求項1〜5のいずれか一つに記載の樹脂成形品。 - 前記薄肉部は、前記カバー片の基端部と、前記フック支持壁の裏側に向かって突出するように前記型抜き孔の周部に形成されたフランジとの間に介在し、
前記薄肉部の前記フランジ側の端部は、前記型抜き孔の内周側のフランジ面と、前記フランジの頂面とで形成される第2コーナー部に接続している請求項6記載の樹脂成形品。
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JP3001245B2 (ja) * | 1990-09-25 | 2000-01-24 | ヤマハ発動機株式会社 | 自動二輪車のリヤフェンダ装置 |
JP2002067812A (ja) * | 2000-08-31 | 2002-03-08 | Toyoda Gosei Co Ltd | 開口部をもつ樹脂製車両内装品 |
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2010
- 2010-02-13 JP JP2010029578A patent/JP5510711B2/ja active Active
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