以下、図面を用いて実施形態を説明する。
図1は、一実施形態におけるデータ判定回路DDCの例を示している。データ判定回路DDCは、閾値判定部1、孤立パルス判定部2、バイナリ判定部3およびデータ選択部4を有している。閾値判定部1、孤立パルス判定部2およびバイナリ判定部3に供給されるmビット(例えば、5ビット)のデジタルコードDiは、2値データのデータ列を表すアナログデータ信号をオーバーサンプルすることにより生成され、離散的なデジタル値を示す。データ列は、送信器からNRZ(Non-Return to Zero)符号を用いて送信される。例えば、データ信号Diのサンプリングレートは、2値のデータ列のデータレートの2倍である。データ判定回路DDCは、ブラインドCDR(Clock and Data Recovery)の手法を用いてデータ列の論理を判定する。例えば、デジタルコードDiは、最上位ビットが”0”のとき負の値として扱われ、最上位ビットが”1”のとき正の値として扱われる。負のデジタルコードDiは、2値データの論理0に対応し、正のデジタルコードDiは、2値データの論理1に対応する。
閾値判定部1は、デジタルコードDiを順に受け、負のデジタルコードDiが連続するときに増加値を示す閾値信号VTHを出力する。閾値判定部1は、正のデジタルコードが連続するときに減少値を示す閾値信号VTHを出力する。閾値判定部1は、負のデジタルコードと正のデジタルコードがランダムに現れるときにゼロを示す閾値信号VTHを出力する。
孤立パルス判定部2は、加算器2aおよびパルス検出器2bを有している。加算器2aは、デジタルコードDiに閾値信号VTHが示す値を加えて補正デジタルコードCDiを生成する。閾値信号VTHが増加値を示すとき、補正デジタルコードCDiの値は、デジタルコードDiの値より大きくなる。閾値信号VTHが減少値を示すとき、補正デジタルコードCDiの値は、デジタルコードDiの値より小さくなる。閾値信号VTHがゼロを示すとき、補正デジタルコードCDiの値は、デジタルコードDiの値に等しい。
パルス検出器2bは、例えば、連続する3つの補正デジタルコードCDi1、CDi2、CDi3のうち、中央の補正デジタルコードCDi2の符号が他の補正デジタルコードCDi1、CDi3の符号と異なるときに、中央の補正デジタルコードCDi2を孤立パルスとして検出し、孤立パルス検出信号PLSを出力する。孤立パルスは、補正デジタルコードCDi1、CDi2、CDi3の最上位ビットを比較することで、容易に検出できる。
バイナリ判定部3は、例えば、連続する3つのデジタルコードDiの符号の遷移に基づいて、アナログデータ信号が示す2値データの論理を求め、選択データSELDとして出力する。データ選択部4は、孤立パルス判定部2から孤立パルス検出信号PLSが出力されるとき、検出された孤立パルスの論理を2値データの論理と判定し、出力データDOUTして出力する。データ選択部4は、孤立パルス判定部2から孤立パルス検出信号PLSが出力されないとき、すなわち、孤立パルスが検出されないとき、バイナリ判定部3により求められた選択データSELDの論理を2値データの論理と判定し、出力データDOUTして出力する。
例えば、論理0のデータが続くデータ列中に論理1のデータが現れるとき(論理1の孤立パルス)、論理1のデータを示すデジタルコードDiの値は、論理1が連続するデータ列を示すデジタルコードDiの値より小さくなりやすい。同様に、論理1のデータが続くデータ列中に論理0のデータが現れるとき(論理0の孤立パルス)、論理0のデータを示すデジタルコードDiの値は、論理0が連続するデータ列を示すデジタルコードDiの値より大きくなりやすい。このとき、アイパターンの開口度は小さくなり、データ列の論理を誤って検出しやすい。
この実施形態では、デジタルコードDiの値に増加値または減少値を加えて、補正デジタルコードCDiを生成することで、アイパターンの見かけの開口度を大きくでき、補正デジタルコードCDiにより孤立パルスを確実に検出できる。例えば、デジタルコードDiが5ビット(32通り)で表されるとき、増加値は”+3”であり、減少値は”−3”である。
このように、デジタルコードDiの符号が連続することによりアイパターンの開口度が小さくなるときにも、デジタルコードDiの値を増加または減少することで、簡易な回路で孤立パルスを確実に検出でき、データの論理の判定ミスを削減できる。このため、アナログデータ信号やデジタルコードDiの符号間干渉を低減するための等価回路等が不要になり、あるいは、複雑な等価回路が不要になる。この結果、データ判定回路DDCの回路規模およびデータ判定回路DDCが搭載される受信器等の回路規模を小さくでき、消費電力を削減できる。
図2は、別の実施形態におけるデータ判定回路DDCの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
この実施形態のデータ判定回路DDCは、閾値判定部10、孤立パルス判定部20、位相検出部30、バイナリ判定部40、判定タイミング生成部50およびデータ選択部60を有している。閾値判定部10、孤立パルス判定部20、位相検出部30およびバイナリ判定部40に供給されるmビット(例えば、5ビット)のデジタルコードDiは、2値データのデータ列を表すアナログデータ信号をオーバーサンプルすることにより生成され、離散的なデジタル値を示す。例えば、デジタルコードDiは、アナログデータ信号をAD変換器によりデジタル値に変換することで生成される。
例えば、デジタルコードDiのサンプリングレートは、2値データのデータ列のデータレートの2倍である。換言すれば、アナログデータ信号により表される2値データの間隔が1UI(ユニットインターバル)のとき、デジタルコードDiの間隔は、0.5UIである。アナログデータ信号により表される2値データとデジタルコードDiとの関係は、図3に示す。デジタルコードDiは、最上位ビットが”0”のとき負の値として扱われ、最上位ビットが”1”のとき正の値として扱われる。
閾値判定部10は、所定数の負のデジタルコードDiを連続して受けるときに、デジタルコードDiを増加するための閾値信号VTHを出力し、所定数の正のデジタルコードDiを連続して受けるときに、デジタルコードDiを減少するための閾値信号VTHを出力する。閾値判定部10の例は、図4に示す。以下の説明では、閾値信号VTHの値を閾値VTHとも称する。デジタルコードDiにおいて、同じ符号が連続するときに、デジタルコードDiの値を増加または減少することで、孤立パルスを判定し易くできる。
ここで、孤立パルスは、連続する負のデジタルコードDi中に現れる1つの正のデジタルコードDi、または連続する正のデジタルコードDi中に現れる1つの負のデジタルコードDiを示す。負の値を”0”で表し、正の値を”1”で表すとき、例えば、デジタルコードDiの列”01000”、”00100”、”00010”に含まれる”1”およびデジタルコードDiの列”10111”、”11011”、”11101”に含まれる”0”は、孤立パルスである。
孤立パルス判定部20は、閾値VTHに応じてデジタルコードDiを増加または減少し、順に供給される複数のデジタルコードDiの正負を判定する。孤立パルス判定部20は、正負を判定した複数のデジタルコードDi中に孤立パルスが含まれるとき、孤立パルスの位置に応じて孤立パルス検出信号FPLS、MPLS、BPLSのいずれかを出力し、孤立パルスの符号を示すパルス中央値FPCV、MPCV、BPCVを出力する。パルス中央値FPCV、MPCV、BPCVは、孤立パルス検出信号FPLS、MPLS、BPLSにそれぞれ対応して出力される。孤立パルス判定部20の例は、図5および図6に示す。
位相検出部30は、デジタルコードDiを受け、隣接する2つのデジタルコードDiの符号が正から負、または負から正に変わるとき、2つのデジタルコードDiを結ぶ線分の符号が変わる位置(位相)を求め、クロス位置信号PINSTとして出力する。以下の説明では、クロス位置信号PINSTが示す位置(位相)は、クロス位置PINSTとも称する。クロス位置PINSTの例は、図3に示す。位相検出器30の例は、図9および図10に示す。
判定タイミング生成部50は、位相フィルタ510および加算器520を有している。位相フィルタ510は、位相検出部30から順に出力されるクロス位置PINSTの平均を求め、平均クロス位置信号PAVとして出力する。以下の説明では、平均クロス位置信号PAVが示す平均値は、平均クロス位置PAVとも称する。平均クロス位置PAVは、連続する2つの2値データ(”0”、”1”または”1”、”0”)を示す位置のほぼ真ん中(境界)を示す。位相フィルタ510の例は、図11に示す。
加算器520は、2値データの境界を示す平均クロス位置PAVに0.5UIを加え、アナログデータ信号により表される2値データの中心位置(推定値)を示す推定位置信号PPICKを出力する。推定位置信号PPICKは、アナログデータ信号により表される2値データの中心位置を示し、2値データの論理を判定するためのタイミングを示す。以下の説明では、推定位置信号PPICKが示すデータの中心位置は、推定位置PPICKとも称する。推定位置PPICKの例は、図3に示す。
バイナリ判定部40は、1UIの範囲に含まれる3つのデジタルコードDiを受け、位相検出部30からのクロス位置信号PINSTと判定タイミング生成部50からの推定位置信号PPICKとに基づいて、1UI毎にアナログデータ信号により表される2値データの論理を判定する。バイナリ判定部40は、判定した2値データの論理を選択データSELDとして出力する。バイナリ判定部40の例は、図14に示す。
データ選択部60は、孤立パルス検出信号FPLS、MPLS、BPLSが出力されないとき、バイナリ判定部40からの選択データSELDを選択し、出力データDOUTとして出力する。データ選択部60は、孤立パルス検出信号FPLS、MPLS、BPLSのいずれかが出力されるときに、対応するパルス中央値(FPCV、MPCV、BPCVのいずれか)を選択し、出力データDOUTとして出力する。データ選択部60の例は、図16に示す。
図3は、アナログデータ信号により表される2値データとデジタルコードDiとの関係を示している。アナログデータ信号は太い曲線で示し、デジタルコードDiは白丸で示している。上述したように、データ信号Diのサンプリングレートは、2値のデータ列のデータレートの2倍である。このため、アナログデータ信号により表される2値データの間隔が1UIのとき、デジタルコードDiの間隔は0.5UIである。そして、1UIの範囲に3つのデジタルコードDiが含まれる。換言すれば、1UIの境界のデジタルコードDiは、隣接する2つのUIにより共有される。
特に限定されないが、データ信号Diは、アナログデータ信号の電圧レベルを32通りで示すために5ビットを有する。図3の縦軸の2進数は、32値のうち偶数のみを示している。デジタルコードDiは、最上位ビットが論理0の16通りの正の値と、最上位ビットが論理1の16通りの負の値とで表される。なお、以下の説明では、正のデジタルコードDiを”0”で表し、負のデジタルコードDiを”1”と表すときがある。
図2に示した位相検出部30により生成されるクロス位置信号PINSTは、例えば3ビットであり、クロス位置PINSTは、1UIを8等分した位相領域のいずれかを示す。クロス位置PINSTの平均を示す平均クロス位置信号PAVは、クロス位置PINSTと同様に3ビットである。推定位置PPICKは、クロス位置PINSTに0.5UI(2進数で”100”)を加えて求められる。推定位置信号PPICKは、例えば3ビットであり、各1UIの開始点からの位置を、1/8UI単位で表す。
データ判定回路DDCは、各1UIに含まれる3つのデジタルコードDiからアナログデータ信号が示す2値データの論理を示すデジタルコードDiを求める(図3(A))。そして、データ判定回路DDCは、求めたデジタルコードDiの最上位ビットをアナログデータ信号が示す2値データの論理と判定し、出力データDOUTとして出力する(図3(B))。なお、図3は、閾値VTHが”0”に設定されている例を示しており、デジタルコードDiの最上位ビットの値が、そのまま論理の判定に使用される。
図4は、図2に示した閾値判定部10の例を示している。閾値判定部10は、符号判定部SIGN、n個の保持部FFおよび閾値制御部110を有している。”n”は2以上の整数である。閾値制御部110は、NOR回路、AND回路およびセレクタ120を有している。符号判定部SIGNは、デジタルコードDiの符号を求め、最上位ビットMSBとして出力する。最上位ビットMSBは、デジタルコードDiの符号を示し、”0”のとき負であり、”1”のとき正である。このため、符号判定部SIGNは、デジタルコードDiの最上位ビットMSBを保持部FFに出力すればよい。符号判定部SIGNから出力される最上位ビットMSBは、直列に接続された保持部FFに順に保持される。例えば、保持部FFは、フリップフロップ回路により形成される。なお、符号判定部SIGNおよび保持部FFは、閾値判定部10の外部に形成されてもよい。
NOR回路は、n個の保持部FFの出力が全て”0”のとき、選択信号SEL0を論理1に活性化する。選択信号SEL0の活性化は、n個の連続するデジタルコードDiの符号が全て負であることを示す。AND回路は、n個の保持部FFの出力が全て”1”のとき、選択信号SEL1を論理1に活性化する。選択信号SEL1の活性化は、n個の連続するデジタルコードDiの符号が全て正であることを示す。n個の保持部FFの出力が”1”および”0”を両方含むとき、選択信号SEL0、SEL1はともに論理0に非活性化される。
セレクタ120は、選択信号SEL1の論理値を上位ビットとして受け、選択信号SEL0の論理値を下位ビットとして受け、受けた2ビットの値に対応する入力端子で受ける値を閾値VTHとして出力する。なお、選択信号SEL0、SEL1がともに活性化されることはないため、入力端子11は選択されない。
例えば、選択信号SEL0が活性化されているときに、入力端子01が選択され、値”+VTH”が閾値VTHとして出力される。選択信号SEL1が活性化されているときに、入力端子10が選択され、値”−VTH”が閾値VTHとして出力される。選択信号SEL0、SEL1はともに非活性化されているときに、入力端子00が選択され、”0”の閾値VTHが出力される。この例では、閾値信号VTHは3ビットである。値”+VTH”は、後述するように、デジタルコードDiを増加させて補正デジタルコードCDiを生成するための増加値であり、例えば”+3”である。値”−VTH”は、後述するように、デジタルコードDiを減少させて補正デジタルコードCDiを生成するための減少値であり、例えば”−3”である。
図5は、図2に示した孤立パルス判定部20の例を示している。孤立パルス判定部20は、加算器210、符号判定部SIGN、5つの保持部FFおよび3つのパルス検出器220、230、240を有している。例えば、保持部FFはフリップフロップ回路により形成される。
加算器210は、デジタルコードDiに閾値VTHを加えて補正デジタルコードCDiを生成し、生成した補正デジタルコードCDiを符号判定部SIGNに出力する。ここで、デジタルコードDiに加算される閾値VTHは、加算器210で受けるデジタルコードDiより前に生成される複数のデジタルコードDiを用いて生成される。
符号判定部SIGNは、補正デジタルコードCDiの符号を出力する。符号判定部SIGNから出力される符号は、直列に接続された保持部FFに順に保持され、補正デジタルコードCDiの符号ビット値SB1、SB2、SB3、SB4、SB5として順に出力される。
パルス検出器220は、符号ビット値SB1−SB3を受け、符号ビット値SB1−SB3が孤立パルスを含むとき(”010”または”101”)、孤立パルス検出信号FPLSを論理1に活性化する。符号ビット値SB1−SB3が孤立パルスでないとき、孤立パルス検出信号FPLSは、論理0に保持される。パルス検出器230は、符号ビット値SB2−SB4を受け、符号ビット値SB2−SB4が孤立パルスのとき、孤立パルス検出信号MPLSを論理1に活性化する。符号ビット値SB2−SB4が孤立パルスでないとき、孤立パルス検出信号MPLSは、論理0に保持される。パルス検出器240は、符号ビット値SB3−SB5を受け、符号ビット値SB3−SB5が孤立パルスのとき、孤立パルス検出信号BPLSを論理1に活性化する。符号ビット値SB3−SB5が孤立パルスでないとき、孤立パルス検出信号BPLSは、論理0に保持される。
なお、符号ビット値SB2、SB3、SB4は、孤立パルスの中央値を示すパルス中央値FPCV、MPCV、BPCVとして出力される。パルス検出器220、230、240の例は、図6に示す。孤立パルス判定部20の動作は、図7および図8に示す。
図6は、図5に示したパルス検出器220、230、240の例を示している。パルス検出器220は、2つのAND回路221、222とAND回路221、222の出力を受けるOR回路223とを有している。AND回路221は、符号ビット値SB1、SB3の反転論理と、符号ビット値SB2とを受け、孤立パルスパターン”010”を検出する。AND回路222は、符号ビット値SB1、SB3と符号ビット値SB2の反転論理とを受け、孤立パルスパターン”101”を検出する。そして、OR回路224は、符号ビット値MSB2が孤立パルスのとき、孤立パルス検出信号FPLSを論理1に活性化する。
パルス検出器230は、2つのAND回路231、232とAND回路231、232の出力を受けるOR回路233とを有している。パルス検出器240は、2つのAND回路241、242とAND回路241、242の出力を受けるOR回路243とを有している。パルス検出器230、240は、入力される信号および出力される信号が異なることを除き、パルス検出器220と同じ回路である。
図7は、図5に示した孤立パルス判定部20の動作の例を示している。図7は、閾値VTHが”0”のときの動作を示している。太い実線はアナログデータ信号を示し、白丸はデジタルコードDiを示している。実際には、アナログデータ信号の波形は曲線であるが、ここでは、説明を簡潔にするために直線で表している。
閾値VTHが”0”のとき、図5に示した加算器210は、デジタルコードDiを補正デジタルコードCDiとして出力する。このため、符号ビット値SB1−SB5は、デジタルコードDiの最上位ビットの値に等しい。各符号ビット値SB1−SB5は、デジタルコードDiが負(−)のときに”0”を示し、デジタルコードDiが正(+)のときに”1”を示す。データ判定回路DDCが3つのデジタルコードDi2、Di3、Di4に基づいてアナログデータ信号に表される2値データの論理を判定するとき、孤立パルス判定部20は、前後のデジタルコードDi1、Di5を含めたデジタルコードD1−Di5に対応する5つの符号ビット値SB1−SB5を用いて孤立パルスを検出する。
図7(A)、(D)では、孤立パルス判定部20は、符号ビット値SB2に対応するデジタルコードDi2が孤立パルスであることを検出し、孤立パルス検出信号FPLSを論理1に設定する。図7(B)、(E)では、孤立パルス判定部20は、符号ビット値SB3に対応するデジタルコードDi3が孤立パルスであることを検出し、孤立パルス検出信号MPLSを論理1に設定する。図7(C)、(F)では、孤立パルス判定部20は、符号ビット値SB4に対応するデジタルコードDi4が孤立パルスであることを検出し、孤立パルス検出信号BPLSを論理1に設定する。
図7に示した例では、アイパターンの開口度が0.5UI以上であるため、孤立パルスは確実に検出される。例えば、アイパターンの開口度は、アナログデータ信号の符号が正である期間、またはアナログデータ信号の符号が負である期間で表される。図7では、アイパターンの開口度は、負の値と正の値の境界であるゼロ点(0)とアナログデータ信号の波形とで形成される三角形の底辺の長さで表されている。
図8は、図5に示した孤立パルス判定部20の動作の別の例を示している。図7と同じ動作については、詳細な説明は省略する。図8は、閾値VTHが”−3”または”+3”のときの動作を示している。太い実線はアナログデータ信号を示し、白丸はデジタルコードDiを示している。黒丸はデジタルコードCDiに閾値VTHを加えた補正デジタルコードCDiを示し、太い破線は補正デジタルコードCDiに対応する見かけのアナログデータ信号を示している。
例えば、符号間干渉(ISI:Inter-Symbol Interference)によりアイパターンの開口度が0.5UIより小さくなると、孤立パルス判定部20は、孤立パルスを検出できなくなる。これを防止するために、図4に示した閾値判定部10は、同じ符号のデジタルコードDiが所定数連続で発生するときに、アイパターンの開口度を大きくするために、閾値VTHを変更する。
負のデジタルコードDiが連続するときに、閾値VTHは”+3”に設定される。図5に示した加算器210は、デジタルコードDiに”+3”を加えて補正デジタルコードCDiを生成する。これにより、図8(A)、(B)、(C)に示すように、負のデジタルコードDi2(または、Di3、DI4)から正の補正デジタルコードCDi2(または、CDi3、CDi4)が生成され、アイパターンの見かけの開口度は大きくなる。そして、図7(A)、(B)、(C)と同様に孤立パルスが検出可能になる。
一方、正のデジタルコードDiが連続するときに、閾値VTHの値は”−3”に設定される。加算器210は、デジタルコードDiに”−3”を加えて補正デジタルコードCDiを生成する。これにより、図8(D)、(E)、(F)に示すように、正のデジタルコードDi2(または、Di3、DI4)から負の補正デジタルコードCDi2(または、CDi3、CDi4)が生成され、アイパターンの開口度は大きくなる。そして、図7(D)、(E)、(F)と同様に孤立パルスが検出可能になる。
図9は、図2に示した位相検出部30の例を示している。位相検出器30は、3つの保持部FF、2つのサブ位相検出器310、320、加算器330およびセレクタ340を有している。例えば、保持部FFは、フリップフロップ回路により形成されている。保持部FFは、直列に接続されており、5ビットのデジタルコードDiを順に保持し、デジタルコードDiA、DiB、DiCとして出力する。
サブ位相検出器310は、デジタルコードDiA、DiBの符号が異なるとき、遷移信号TRAN1を出力し、デジタルコードDiA、DiBを結ぶ線分とゼロ点が交差するゼロクロス点の位相を求め、求めた位相を位相信号U1として出力する。同様に、サブ位相検出器320は、デジタルコードDiB、DiCの符号が異なるとき、遷移信号TRAN2を出力し、デジタルコードDiB、DiCを結ぶ線分とゼロ点が交差するゼロクロス点の位相を求め、求めた位相を位相信号U2として出力する。
なお、位相信号U1は、1UI内に含まれるデジタルコードDiA、DiB、DiCのうち、最も時刻の早いデジタルコードDiAの位置を基準とする相対位相を示す。位相信号U2は、1UI内の中央に位置するデジタルコードDiBの位置を基準とする相対位相を示す。
例えば、位相信号U1、U2は、3ビットであり、0.5UIを4等分した4つの領域のいずれにゼロクロス点が含まれるかを示す。各位相信号U1、U2が2進数で”000”のとき、ゼロクロス点は0UIから0.125UIの間にある。各位相信号U1、U2が2進数で”001”のとき、ゼロクロス点は0.125UIから0.25UIの間にある。各位相信号U1、U2が2進数で”010”のとき、ゼロクロス点は0.25UIから0.375UIの間にある。各位相信号U1、U2が2進数で”011”のとき、ゼロクロス点は0.375UIから0.5UIの間にある。
加算器330は、位相信号U2に0.5UI(2進数で”100”)を加え、位相信号U20として出力する。具体的には、位相信号U20は、2進数で”100”、”101”、”110”、”111”のいずれかである。位相信号U20は、1UIの開始点であるデジタルコードDiAの位置を基準とするときに、ゼロクロス点が0.5UIから0.625UIの間、0.625UIから0.75UIの間、0.75UIから0.875UIの間、0.875UIから1UIの間のいずれかにあることを示す。すなわち、加算器330から出力される位相信号U20は、デジタルコードDiAの位置を基準とする相対位相を示す。
セレクタSELは、遷移信号TRAN1を受けているときに、位相信号U1をクロス位置信号PINSTとして出力する。セレクタSELは、遷移信号TRAN2を受けているときに、位相信号U2をクロス位置信号PINSTとして出力する。
図10は、図9に示したサブ位相検出器310の例を示している。サブ位相検出器310は、結合器312およびクロス位置検出器314を有している。なお、図9に示したサブ位相検出部320は、デジタルコードDiA、DiBの代わりにデジタルコードDiB、DiCを受け、位相信号U1および遷移信号TRAN1の代わりに位相信号U2および遷移信号TRAN2を出力することを除き、サブ位相検出部310と同じ回路である。
結合器312は、乗算器MUL1、MUL2および加減算器ADD1、ADD2、ADD3、ADD4を有している。図10では、説明を分かりやすくするために、デジタルコードDiA、DiBの値をそれぞれ”A”、”B”としている。乗算器MUL1は、デジタルコードDiAの値を4倍して”4A”を出力する。乗算器MUL2は、デジタルコードDiBの値を4倍して”4B”を出力する。
加減算器ADD1は、デジタルコードDiAからデジタルコードDiBを減じて”A−B”を出力する。加減算器ADD2は、値”4A”から”A−B”を減じて”3A+B”を出力する。加減算器ADD3は、値”A”に値”B”を加えて”A+B”を出力する。加減算器ADD4は、値”A−B”に値”4B”を加えて”A+3B”を出力する。
クロス位置検出器314は、結合器312から出力される値に基づいて、位相信号U1および遷移信号TRAN1を生成する。クロス位置検出器314の動作は、図11および図12に示す。
図11は、図10に示したサブ位相検出器310により検出される位相の例を示している。図中の丸印を付けた”A”、”B”は、図10に示したデジタルコードDiA、DiBの値である。なお、”A”、”B”を図9に示したサブ位相検出器320に供給されるデジタルコードDiB、DiCの値とすることで、図11は、サブ位相検出器320の動作を示す。
”A”と”B”を結ぶ線分における0.25UIの値は、値”A”と”B”の平均値”(A+B)/2”である。”A”と”B”を結ぶ線分における0.125UIの値は、値”A”と”(A+B)/2”の平均値”(3A+B)/2”である。”A”と”B”を結ぶ線分における0.375UIの値は、値”(A+B)/2”と”B”の平均値”(A+3B)/2”である。値”(A+B)/2”、”(3A+B)/2”、”(A+3B)/2”は、図10に示した結合器312が出力する値”(A+B)”、”3A+B”、”A+3B”をそれぞれ1ビット下位側にシフトすることで求められる。
以上に基づいて、図10に示したクロス位置検出器314は、値”A”が負、値”B”が正で、値”(3A+B)/2”が正のとき、ゼロクロス点が0UIと0.125UIの間にあると判定し、位相信号U1を2進数で”000”に設定する(図11(a))。クロス位置検出器314は、値”A”が負、値”B”が正で、値”(3A+B)/2”が負、かつ値”(A+B)/2”が正のとき、ゼロクロス点は0.125UIと0.25UIの間にあると判定し、位相信号U1を2進数で”001”に設定する(図11(b))。
クロス位置検出器314は、値”A”が負、値”B”が正で、かつ値”(A+B)/2”が負、かつ値”(A+3B)/2”が正のとき、ゼロクロス点は0.25UIと0.375UIの間にあると判定し、位相信号U1を2進数で”010”に設定する(図11(c))。クロス位置検出器314は、値”A”が負、値”B”が正で、値”(A+3B)/2”が負のとき、ゼロクロス点は0.375UIと0.5UIの間にあると判定し、位相信号U1を2進数で”011”に設定する(図11(d))。
クロス位置検出器314は、値”A”が正、値”B”が負で、値”(3A+B)/2”が負のとき、ゼロクロス点は0UIと0.125UIの間にあると判定し、位相信号U1を2進数で”000”に設定する(図11(e))。クロス位置検出器314は、値”A”が正、値”B”が負で、値”(3A+B)/2”が正、かつ値”(A+B)/2”が負のとき、ゼロクロス点は0.125UIと0.25UIの間にあると判定し、位相信号U1を2進数で”001”に設定する(図11(f))。
クロス位置検出器314は、値”A”が正、値”B”が負で、かつ値”(A+B)/2”が正、かつ値”(A+3B)/2”が負のとき、ゼロクロス点は0.25UIと0.375UIの間にあると判定し、位相信号U1を2進数で”010”に設定する(図11(g))。クロス位置検出器314は、値”A”が正、値”B”が負で、値”(A+3B)/2”が正のとき、ゼロクロス点は0.375UIと0.5UIの間にあると判定し、位相信号U1を2進数で”011”に設定する(図11(h))。
図12は、図10に示したサブ位相検出器310の動作の例を示している。ゼロクロス点が存在するときの動作、すなわち、デジタルコードDiA、DiBの符号が異なるときの動作は、図11の説明と同様である。サブ位相検出器310は、ゼロクロス点が存在するとき、位相信号U1の出力とともに遷移信号TRAN1を論理1に活性化する。
デジタルコードDiA、DiBの符号が同じとき、ゼロクロス点は存在しない。このため、サブ位相検出器310は、遷移信号TRAN1を論理0に非活性化する。遷移信号TRAN1が論理0のとき、位相信号U1の値は無効にされる。図12に示す動作は、デジタルコードDiA、DiB、位相信号U1および遷移信号TRAN1をデジタルコードDiB、DiC、位相信号U2および遷移信号TRAN2に置き換えることで、図9に示したサブ位相検出器320の動作を示す。
図13は、図2に示した位相フィルタ510の例を示している。位相フィルタ510は、増幅器511、512および積分器514、516を有している。増幅器511は、クロス位置信号PINSTの値を利得K1で増幅して出力する。増幅器512は、増幅器511の出力を利得K2で増幅して出力する。
積分器514は、増幅器512の出力を積分し、積分結果を積分器516に出力する。積分器516は、増幅器511の出力および積分器516の出力を積分し、積分結果を平均クロス位置信号PAVとして出力する。各積分器514、516の出力は、自身にフィードバックされる。以上より、位相フィルタ510は、クロス位置PINSTの値を平均した平均クロス位置PAVを生成する。
図14は、図2に示したバイナリ判定部40の例を示している。バイナリ判定部40は、符号判定部SIGN、3つの保持部FF、排他的論理和回路410、412、414、比較器420、422、AND回路430、OR回路432およびセレクタ440、442、444を有している。例えば、保持部FFは、フリップフロップ回路により形成されている。
符号判定部SIGNは、デジタルコードDiの符号を判定し、符号ビット値MSBとして出力する。なお、デジタルコードDiの符号は、最上位ビットにより表されるため、例えば、符号判定部SIGNは、デジタルコードDiの最上位ビットMSBを出力すればよい。
保持部FFは、符号判定部SIGNから供給される符号MSBを順に保持し、符号ビット値MSB2、MSB3、MSB4として出力する。なお、符号ビット値MSB2、MSB3、MSB4は、図7および図8に示した3つのデジタルコードDi2、Di3、Di4の符号を示す。そして、バイナリ判定部40は、1UI内のアナログデータ信号が示す2値データの論理を判定する、
排他的論理和回路410は、符号ビット値MSB2、MSB3が同じとき、すなわち、デジタルコードDi2、Di3の符号が同じとき、論理0を出力する。排他的論理和回路410は、符号ビット値MSB2、MSB3が異なるとき、すなわち、デジタルコードDi2、Di3の符号が異なるとき、論理1を出力する。排他的論理和回路412は、符号ビット値MSB3、MSB4が同じとき、すなわち、デジタルコードDi3、Di4の符号が同じとき、論理0を出力する。排他的論理和回路412は、符号ビット値MSB3、MSB4が異なるとき、すなわち、デジタルコードDi3、Di4の符号が異なるとき、論理1を出力する。
排他的論理和回路414は、排他的論理和回路410、412から出力される論理が同じとき論理0を出力する。すなわち、排他的論理和回路414は、デジタルコードDi2、Di3、Di4の符号が同じとき、あるいは、デジタルコードDi3の符号がデジタルコードDi2、Di4の符号と異なるとき、論理0を出力する。また、排他的論理和回路414は、排他的論理和回路410、412から出力される論理が異なるとき論理1を出力する。すなわち、排他的論理和回路414は、デジタルコードDi2の符号がデジタルコードDi3、Di4の符号と異なるとき、あるいは、デジタルコードDi4の符号がデジタルコードDi2、Di4の符号と異なるとき、論理1を出力する。
比較器420は、クロス位置信号PINSTの値が推定位置信号PPICKの値より大きいとき論理1を出力し、クロス位置信号PINSTの値が推定位置信号PPICKの値より小さいとき論理0を出力する。比較器422は、推定位置信号PPICKの値が0.5UI(2進数で”100”)より小さいときに論理1を出力し、推定位置信号PPICKの値が0.5UIより大きいときに論理0を出力する。
AND回路430は、排他的論理和回路414の出力および比較器420の出力がともに論理1のとき、セレクタ440によりビット値MSB1を選択するために論理1を出力する。AND回路430は、排他的論理和回路414の出力または比較器420の出力のいずれかが論理0のとき、セレクタ440によりビット値MSB2を選択するために論理0を出力する。
OR回路432は、排他的論理和回路414の出力が論理0または比較器420の出力が論理1のとき、セレクタ442によりビット値MSB2を選択するために論理1を出力する。OR回路432は、排他的論理和回路414の出力が論理1および比較器420の出力が論理0のとき、セレクタ442によりビット値MSB3を選択するために論理0を出力する。
セレクタ440は、AND回路430から出力される論理に応じて、符号ビット値MSB2、MSB3のいずれかを選択し、セレクタ444に出力する。セレクタ442は、OR回路432から出力される論理に応じて、符号ビット値MSB3、MSB4のいずれかを選択し、セレクタ444に出力する。
セレクタ444は、比較器420の出力が論理1のとき、すなわち、推定位置PPICKが0.5UIより小さいときに、セレクタ440を介して供給される符号ビット値MSB2またはMSB3を選択データSELDとして出力する。セレクタ444は、比較器420の出力が論理0のとき、すなわち、推定位置PPICKが0.5UIより大きいときに、セレクタ442を介して供給される符号ビット値MSB3またはMSB4を選択データSELDとして出力する。
図15は、図14に示したバイナリ判定部40の動作の例を示している。図15(A)では、クロス位置PINSTは0.5UIより小さく、符号ビット値MSB2は符号ビット値MSB3、MSB4と異なる。このとき、図14に示した排他的論理和回路414は論理1を出力する。推定位置PPICKがクロス位置PINSTの前にあるとき、符号ビット値MSB2が選択データSELDとして出力される(図15(a))。推定位置PPICKがクロス位置PINSTの後ろにあり、かつ0.5UIより小さいとき、符号ビット値MSB3が選択データSELDとして出力される(図15(b))。推定位置PPICKが0.5UIより大きいとき、符号ビット値MSB4が選択データSELDとして出力される(図15(c))。
図15(B)では、推定位置PPICKは0.5UIより大きく、符号ビット値MSB4は符号ビット値MSB2、MSB3と異なる。このとき、排他的論理和回路414は論理1を出力する。推定位置PPICKが0.5UIより小さいとき、符号ビット値MSB2が選択データSELDとして出力される(図15(d))。推定位置PPICKが0.5UIより大きく、かつクロス位置PINSTの前にあるとき、符号ビット値MSB3が選択データSELDとして出力される(図15(e))。推定位置PPICKがクロス位置PINSTの後ろにあるとき、符号ビット値MSB4が選択データSELDとして出力される(図15(f))。
図15(C)では、符号ビット値MSB2、MSB3、MSB4は互いに同じである。このとき、排他的論理和回路414は論理0を出力し、セレクタ440の0入力とセレクタ442の1入力が常に選択される。そして、推定位置PPICKに拘わらず、符号ビット値MSB3が選択データSELDとして常に出力される(図15(g))。
図15(D)では、符号ビット値MSB3は符号ビット値MSB2、MSB4と異なる。このとき、排他的論理和回路414は、論理0を出力する。このため、図15(C)と同様に、符号ビット値MSB3が選択データSELDとして常に出力される(図15(h))。
図16は、図2に示したデータ選択部60の例を示している。データ選択部60は、OR回路610、NOR回路612、セレクタ620、比較器630およびインバータ640を有している。セレクタ620は、AND回路621、622、623、624およびOR回路625を有している。
OR回路610は、孤立パルス検出信号FPLS、BPLSのいずれかが論理1に活性化されているとき、AND回路621、623に論理1を出力する。NOR回路612は、孤立パルス検出信号FPLS、MPLS、BPLSのいずれかが論理1に活性化されているとき、AND回路624を無効にするために論理0を出力する。比較器630は、推定位置信号PPICKの値が0.5UIより大きいときに論理1を出力し、推定位置信号PPICKの値が0.5UIより小さいときに論理0を出力する。
AND回路621は、OR回路610およびインバータ640が論理1を出力しているときに、パルス中央値FPCVの論理をOR回路625に出力する。すなわち、孤立パルス検出信号FPLS、BPLSのいずれかが活性化され、推定位置信号PPICKの値が0.5UIより小さいときに、パルス中央値FPCVが選択される。AND回路622は、孤立パルス検出信号MPLSが活性化されているときに、パルス中央値MPCVの論理をOR回路625に出力する。
AND回路623は、OR回路610および比較器630が論理1を出力しているときに、パルス中央値BPCVの論理をOR回路625に出力する。すなわち、孤立パルス検出信号FPLS、BPLSのいずれかが活性化され、推定位置信号PPICKの値が0.5UIより大きいときに、パルス中央値BPCVが選択される。
AND回路624は、孤立パルス検出信号FPLS、MPLS、BPLSのいずれかが活性化されているとき、すなわち、孤立パルスが検出されるとき、選択データSELDのOR回路625への供給を禁止する。AND回路624は、全ての孤立パルス検出信号FPLS、MPLS、BPLSが非活性化されているとき、すなわち、孤立パルスが検出されないとき、選択データSELDをOR回路625に供給する。なお、図15(D)に示したデータパターンは、孤立パルス判定部20により孤立パルスとしても検出される。このため、AND回路624は、選択データSELDのOR回路625への供給を禁止する。OR回路625は、AND回路621、622、623、624から受けるパルス中央値FPCV、MPCV、BPCVまたは選択データSELDのいずれかを出力データDOUTとして出力する。
図17は、デジタルコードDiがサンプルされる前のアナログデータ信号のアイパターンのシミュレーション波形の例を示している。例えば、アナログデータ信号は、周波数が5GHzであり、振幅が1.6Vであり、12dBのチャネルロスがあるとする。太い実線で示した波形は、孤立パルスパターン(”010”)の例である。
閾値判定部10を用いずに孤立パルスを判定するとき、すなわち、図5に示した孤立パルス判定部20において、デジタルコードDiに閾値信号VTHを加えないとき、太い実線で示した波形のアイパターンの開口度は0.4UIである。このとき、孤立パルスは検出できない。これに対して、閾値判定部10を用いて、閾値信号VTHが、例えば”+2”(0.1V)に設定されるとき、アイパターンの開口度を等価的に0.8UIと見なすことができる。これにより、孤立パルス判定部20により、孤立パルスを確実に検出できる。
図18は、図2に示したデータ判定回路DDCのジッタ耐性のシミュレーション波形の例を示している。閾値判定部10を有するデータ判定回路DDCは、図17に示したように、孤立パルスを確実に検出できるため、データの判定ミスを減少できる。この結果、ジッタ量(実線)を制限値MASK(一点鎖線)より大きくでき、閾値判定部10を持たない従来のデータ判定回路(破線)に比べてジッタ耐性を向上できる。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、閾値信号VTHを用いて補正デジタルコードCDiを生成することにより、図8に示したように、デジタルコードDi1−Di5が全て負または全て正のときにも、孤立パルスを検出できる。換言すれば、図17に示したように、アイパターンの開口度が0.5UIより小さいときにも、孤立パルスを確実に検出できる。
図19は、別の実施形態における閾値判定部10Aの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明は省略する。閾値判定部10Aを搭載するデータ判定回路DDCは、図4に示した閾値判定部10の代わりに閾値判定部10Aを有していることを除き、図2に示したデータ判定回路DDCと同様である。
閾値判定部10Aは、n個の保持部FFおよび平均化部110Aを有している。”n”は2以上の整数である。平均化部110Aは、加算器120Aおよび乗算器130Aを有している。例えば、保持部FFは、フリップフロップ回路により形成されている。保持部FFは、直列に接続されており、mビットのデジタルコードDi(例えば、5ビット)を順に保持する。加算器120Aは、保持部FFから出力されるデジタルコードDiを加算し、加算結果を乗算器130Aに出力する。例えば、加算結果のビット数は、”m+(n−1)”である。
乗算器130Aは、加算結果をG倍(−k/n倍)し、閾値信号VTHとして出力する。加算結果を1/n倍することで、デジタルコードDiの平均値が求められる。閾値信号VTHは、平均値に係数kを乗じることで生成される。例えば、係数kが1/8のとき、乗算器130Aは、デジタルコードDiの平均値を−1/8倍し、閾値VTHとして出力する。閾値VTHをデジタルコードDiの平均値をG倍することにより生成することで、デジタルコードDiの推移に合わせて、連続的に変化する閾値VTHを生成できる。これにより、孤立パルスをより確実に検出でき、データの判定ミスを減少できる。以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図20は、別の実施形態における閾値判定部10Bの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明は省略する。閾値判定部10Bを搭載するデータ判定回路DDCは、図4に示した閾値判定部10の代わりに閾値判定部10Bを有していることを除き、図2に示したデータ判定回路DDCと同様である。
閾値判定部10Bは、n個の保持部FF、各保持部FFの出力に接続されたn個の乗算器131B、132B、133B、134Bおよび加算器120Bを有している。”n”は2以上の整数である。例えば、保持部FFは、フリップフロップ回路により形成されている。保持部FFは、直列に接続されており、mビットのデジタルコードDi(例えば、5ビット)を順に保持する。
乗算器131Bは、対応する保持部FFから出力される値をG1倍(−k1/n倍)し、乗算結果を加算器120Bに出力する。乗算器132Bは、対応する保持部FFから出力される値をG2倍(−k2/n倍)し、乗算結果を加算器120Bに出力する。乗算器133Bは、対応する保持部FFから出力される値をG3倍(−k3/n倍)し、乗算結果を加算器120Bに出力する。乗算器134Bは、対応する保持部FFから出力される値をG4倍(−k4/n倍)し、乗算結果を加算器120Bに出力する。例えば、係数k1、k2、k3、k4の大きさは、k1>k2>k3>k4である。これにより、相対的に新しいデジタルコードDiの重み付けを大きくでき、相対的に古いデジタルコードDiの重み付けを小さくできる。
加算器120Bは、乗算器131B、132B、133B、134Bからの出力値を加算し、加算結果を閾値VTHとして出力する。この実施形態では、新しいデジタルコードDiほど、閾値VTHの値を求めるときの影響を大きくできる。この結果、孤立パルスをより確実に検出でき、データの判定ミスを減少できる。以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図21は、別の実施形態における閾値判定部10Cの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明は省略する。閾値判定部10Cを搭載するデータ判定回路DDCは、図4に示した閾値判定部10の代わりに閾値判定部10Cを有していることを除き、図2に示したデータ判定回路DDCと同様である。
閾値判定部10Cは、積分器110Cおよび乗算器130Cを有している。積分器110Cは、加算器120Cおよび保持部FFを有している。例えば、保持部FFは、フリップフロップ回路により形成されている。加算器120Cは、mビットのデジタルコードDiと、保持部FFに保持された前回のデジタルコードDiとを加算し、加算結果を保持部FFに出力する。乗算器130Cは、保持部FFから出力されるデジタルコードDiの積算値をGa倍(例えば、−1/8倍)し、閾値VTHとして出力する。図21に示した閾値判定部10Cは、古いデジタルコードDiの影響が閾値VTHの値に含まれることを除き、図19に示した閾値判定部10Aと同様に動作する。以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図22は、別の実施形態におけるデータ判定回路DDCの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明は省略する。この実施形態のデータ判定回路DDCは、図2に示した孤立パルス判定部20の代わりに、孤立パルス判定部20Dおよびデコーダ70Dを有している。孤立パルス判定部20Dは、3つの孤立パルス生成部201D、202D、203Dおよびパルス選択部80Dを有している。データ判定回路DDCのその他の構成は、図2と同様である。なお、データ判定回路DDCは、図4に示した閾値判定部10の代わりに、図19、図20、図21に示した閾値判定部10A、10B、10Cのいずれかを有していてもよい。
孤立パルス生成部201Dは、図5に示した孤立パルス判定部20の加算器210に閾値VTHではなく、固定値”+VTH”を供給することを除き、孤立パルス判定部20と同様の回路である。すなわち、孤立パルス生成部201Dは、デジタルコードCDiに固定値”+VTH”を加えて補正デジタルコードCDiを生成する。固定値”+VTH”は、図4の”+VTH”と同じ値である。孤立パルス検出信号FPLS1、MPLS1、BPLS1およびパルス中央値FPCV1、MPCV1、BPCV1は、孤立パルス判定部20が出力する孤立パルス検出信号FPLS、MPLS、BPLSおよびパルス中央値FPCV、MPCV、BPCVにそれぞれ対応する信号である。
孤立パルス生成部202Dは、図5に示した孤立パルス判定部20の加算器210に閾値VTHではなく、固定値”0”を供給することを除き、孤立パルス判定部20と同様の回路である。すなわち、孤立パルス生成部202Dは、デジタルコードCDiに固定値”0”を加えて補正デジタルコードCDiを生成する。孤立パルス検出信号FPLS2、MPLS2、BPLS2およびパルス中央値FPCV2、MPCV2、BPCV2は、孤立パルス判定部20が出力する孤立パルス検出信号FPLS、MPLS、BPLSおよびパルス中央値FPCV、MPCV、BPCVにそれぞれ対応する信号である。
孤立パルス生成部203Dは、図5に示した孤立パルス判定部20の加算器210に閾値VTHではなく、固定値”−VTH”を供給することを除き、孤立パルス判定部20と同様の回路である。すなわち、孤立パルス生成部203Dは、デジタルコードCDiに固定値”−VTH”を加えて補正デジタルコードCDiを生成する。固定値” −VTH”は、図4の” −VTH”と同じ値である。孤立パルス検出信号FPLS3、MPLS3、BPLS3およびパルス中央値FPCV3、MPCV3、BPCV3は、孤立パルス判定部20が出力する孤立パルス検出信号FPLS、MPLS、BPLSおよびパルス中央値FPCV、MPCV、BPCVにそれぞれ対応する信号である。孤立パルス生成部201D、202D、203Dは、閾値判定部10により閾値信号VTHが生成される前に動作を開始できる。
各孤立パルス生成部201D、202D、203Dは、孤立パルス判定部20と同様に、図5に示したパルス検出器220、230、240を有している。そして、各パルス検出器220、230、240は、3つの補正デジタルコードCDiのうち、中央の補正デジタルコードCDiの符号が他の2つの補正デジタルコードCDiの符号と異なるときに、中央の補正デジタルコードCDiを孤立パルスとして検出する。
デコーダ70Dは、閾値VTHに応じて、パルス選択信号PSELを出力する。具体的には、閾値VTHが図4に示した”+VTH”のとき、孤立パルス生成部201Dの出力を選択するための”増加値”を示すパルス選択信号PSELが出力される。閾値VTHが図4に示した”0”のとき、孤立パルス生成部202Dの出力を選択するための”ゼロ”を示すパルス選択信号PSELが出力される。閾値VTHが図4に示した”−VTH”のとき、孤立パルス生成部203Dの出力を選択するための”減少値”を示すパルス選択信号PSELが出力される。
パルス選択部80Dは、パルス選択信号PSELに応じて、孤立パルス生成部201D、202D、203Dの出力のいずれかを選択し、孤立パルス検出信号FPLS、MPLS、BPLSおよびパルス中央値FPCV、MPCV、BPCVとして出力する。
この実施形態では、孤立パルス生成部201D、202D、203Dの動作を、閾値信号VTHが生成される前に開始できる。このため、孤立パルスを図2に示したデータ判定回路DDCに比べて早く検出できる。以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図23は、別の実施形態におけるデータ判定回路DDCの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明は省略する。この実施形態のデータ判定回路DDCは、図2に示した孤立パルス判定部20の代わりに、有効判定部90Eおよび孤立パルス判定部20Eを有している。データ判定回路DDCのその他の構成は、図2と同様である。なお、データ判定回路DDCは、図4に示した閾値判定部10の代わりに、図19、図20、図21に示した閾値判定部10A、10B、10Cのいずれかを有していてもよい。
有効判定部90Eは、符号判定部SIGN、保持部FF、排他的論理和回路910およびインバータ920を有している。例えば、保持部FFは、フリップフロップ回路により形成されている。符号判定部SIGNは、符号判定部SIGNは、デジタルコードDiの符号を判定し、符号ビット値MSBとして出力する。なお、デジタルコードDiの符号は、最上位ビットにより表されるため、例えば、符号判定部SIGNは、デジタルコードDiの最上位ビットMSBを出力すればよい。保持部FFは、1つ前のデジタルコードDiの符号ビット値MSB0を出力する。排他的論理和回路910は、符号ビット値MSB、MSB0が同じとき、すなわち、連続する2つのデジタルコードDiの符号が同じときに論理0を出力する。排他的論理和回路910は、符号ビット値MSB、MSB0が異なるとき、すなわち、連続する2つのデジタルコードDiの符号が異なるときに論理1を出力する。
インバータ920は、排他的論理和回路910の出力を反転してイネーブル信号ENとして出力する。したがって、有効判定部90Eは、連続する2つのデジタルコードDiの符号が同じときに、イネーブル信号ENを論理1に活性化し、連続する2つのデジタルコードDiの符号が異なるときに、イネーブル信号ENを論理0に活性化する。
孤立パルス判定部20Eは、イネーブル信号ENが活性化されているときで、連続する3つのデジタルコードDiの符号ビット値が”110”、”001”のときに、孤立パルスを検出する機能を有している。連続する3つのデジタルコードDiの最上位ビットMSBが”010”、”101”のときに、孤立パルスを検出する機能は、図2に示した孤立パルス判定部20と同じである。孤立パルス判定部20Eの例は、図24および図25に示す。
図24は、図23に示した孤立パルス判定部20Eの例を示している。孤立パルス判定部20Eは、図5に示した孤立パルス判定部20のパルス検出器220、230、240の代わりに、パルス検出器220E、230E、240Eを有している。孤立パルス判定部20Eのその他の構成は、図5に示した孤立パルス判定部20と同じである。パルス検出器220E、230E、240Eは、イネーブル信号ENを受けて動作する。
図25は、図24に示したパルス検出器220Eの例を示している。図6と同じ要素については、詳細な説明は省略する。パルス検出器220Eは、AND回路221、222、224、225およびOR回路226を有している。なお、図24に示したパルス検出器230Eは、パルス検出器220Eと同じ回路であり、符号ビット値SB1、SB2、SB3の代わりに符号ビット値SB2、SB3、SB4を受け、孤立パルス検出信号FPLSの代わりに孤立パルス検出信号MPLSを出力する。図24に示したパルス検出器240Eは、パルス検出器220Eと同じ回路であり、符号ビット値SB1、SB2、SB3の代わりに符号ビット値SB3、SB4、SB5を受け、孤立パルス検出信号FPLSの代わりに孤立パルス検出信号BPLSを出力する。
AND回路221、222は、図6と同じである。AND回路224は、イネーブル信号ENが論理1に活性化されているときに、符号ビット値SB1、SB2と、符号ビット値SB3の反転論理とを受け、論理”110”を検出する。AND回路225は、イネーブル信号ENが論理1に活性化されているときに、符号ビット値SB1、SB2の反転論理と、符号ビット値SB3とを受け、論理”001”を検出する。OR回路224は、AND回路221、222、224、225のいずれかが論理1を出力するとき、孤立パルス検出信号FPLSを論理1に活性化する。
図26は、図23に示したデータ判定回路DDCの動作の例を示している。図7および図8と同じ動作については、詳細な説明は省略する。図26は、閾値VTHが”−3”または”+3”のときの動作を示している。図8と同様に、太い実線はアナログデータ信号を示し、白丸はデジタルコードDiを示している。黒丸はデジタルコードDiに閾値VTHを加えた補正デジタルコードCDiを示し、太い破線は補正デジタルコードCDiに対応する見かけのアナログデータ信号を示している。
図26(A)では、デジタルコードDi1−Di5が連続して負を示す。このため、図23に示した有効判定部90Eは、デジタルコードDi1−Di5を受けている間、イネーブル信号ENを論理1に活性化する。補正デジタルコードCDi2、CDi3、CDi4の符号ビット値SB2、SB3、SB4が”110”であるため、図24に示したパルス検出器230Eは、図25のAND回路224に対応するAND回路から論理1を出力する。これにより、孤立パルス検出信号MPLSは論理1に活性化される。すなわち、中央側の2つの補正デジタルコードCDi2、CDi3の符号が、他の補正デジタルコードCDi1、CDi4、CDi5の符号と異なるときに孤立パルスが検出される。
図26(B)、(D)、(E)においても、デジタルコードDi1−Di5の符号が同じため、イネーブル信号ENは論理1に活性化される。図26(D)では、補正デジタルコードCDi2、CDi3、CDi4の符号ビット値SB2、SB3、SB4が”001”であるため、パルス検出器230Eは、孤立パルス検出信号MPLSを論理1に活性化する。図26(B)では、補正デジタルコードCDi3、CDi4、CDi5の符号ビット値SB3、SB4、SB5が”110”であるため、図24に示したパルス検出器240Eは、孤立パルス検出信号BPLSを論理1に活性化する。すなわち、中央側の2つの補正デジタルコードCDi3、CDi4の符号が、他の補正デジタルコードCDi1、CDi2、CDi5の符号と異なるときに孤立パルスが検出される。図26(E)では、補正デジタルコードCDi3、CDi4、CDi5の符号ビット値SB3、SB4、SB5が”001”であるため、図24に示したパルス検出器240Eは、孤立パルス検出信号BPLSを論理1に活性化する。
このように、有効判定部90Eを設けることにより、隣接する2つの補正デジタルコードCDiの符号が、他の補正デジタルコードCDiの符号と異なるときにも、孤立パルスを検出できる。なお、孤立パルスを有する図26(B)において、補正デジタルコードCDi2、CDi3、CDi4の符号は”011”である。同様に、孤立パルスを有する図26(E)において、補正デジタルコードCDi2、CDi3、CDi4の符号は”100”である。したがって、図24に示したパルス検出器220E、230E、240Eは、”011”、”100”の符号を有する孤立パルスを検出可能である。換言すれば、パルス検出器220E、230E、240Eは、”011”、”100”の孤立パルスを検出するためのAND回路を持たなくてもよい。
一方、図26(C)、(D)は、波形から明らかなように、孤立パルスを含まない。このときにも、補正デジタルコードCDi2、CDi3、CDi4の符号ビット値SB2、SB3、SB4は”110”または”001”になる。しかし、元のデジタルコードDi2、Di3の符号が異なるため、有効判定部90Eは、イネーブル信号ENを論理0に非活性化する。これにより、図24に示したパルス検出回路230EのAND回路(図25のAND回路224に対応)は、デジタルコードDi2、Di3、Di4の符号に拘わりなく、孤立パルス検出信号FPLSを論理0に非活性化する。したがって、孤立パルスは検出されない。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、”010”、”101”のパターンだけでなく、”110”、”001”や”100”、”011”のパターンによっても孤立パルスを検出できる。この際、隣接する2つのデジタルコードDiの符号が同じときのみ孤立パルスを検出する。符号の比較は、簡易な回路で実施できる。この結果、さらに確実に孤立パルスを検出できる。
なお、上述した実施形態では、デジタルコードDiに閾値VTHを加えて補正デジタルコードCDiを生成し、補正デジタルコードCDiの符号パターンに応じて、孤立パルスを検出する例について述べた。しかしながら、図27に示すように、閾値信号VTHに応じて、デジタルコードDiの符号の判定基準値(太い破線)をゼロ点(0)からプラス側またはマイナス側にシフトしてもよい。但し、このとき、負のデジタルコードDiが連続するとき、閾値VTHは負の値(例えば、−3)に設定され、正のデジタルコードDiが連続するとき、閾値VTHは正の値(例えば、+3)に設定される。このために、図4に示したNOR回路から選択信号SEL1を出力し、図4に示したAND回路から選択信号SEL0を出力する必要がある。
また、アナログデジタル変換器ADCから出力される直列のデジタルコードDiを並列に変換し、複数のデータ判定回路DDCを用いて、複数のUI(ユニットインターバル)のアナログデータ信号の論理を同時に判定してもよい。このとき、データ判定回路DDCの動作周波数を低くできる。また、データ判定回路DDCに並列のデジタルコードDiが供給されるため、例えば、図4、図9、図14等の保持部FFを省略できる。
図28は、上述したデータ判定回路DDCが搭載される受信器RCVの例を示している。特に限定されないが、受信器RCVは、半導体集積回路として形成されている。また、送信器TRSと受信器RCVによりシステムSYSが形成されている。送信器TRSと受信器RCVは、非同期で動作し、データ判定回路DDCは、ブラインドCDRの手法を用いてデータ列の論理を判定する。
受信器RCVは、送信器TRSから出力される2値のデータ信号DTを信号ケーブルやプリント基板に形成される配線等の伝送路TPを介してアナログデータ信号として受ける。受信機RCVは、アナログデジタル変換器ADCと、上述したデータ判定回路DDCと、データ処理回路DPCとを有している。
アナログデジタル変換器ADCは、伝送路TPを伝送されるNRZ(Non-Return to Zero)のアナログデータ信号の電圧レベルを所定のサンプリングレートでサンプルし、mビット(例えば、5ビット)のデジタルコードDiを生成する。データ処理回路DPCは、データ判定回路DDCから出力される出力データDOUTを受けて動作し、送信器TRSから出力される2値のデータ信号DTの信号処理等を実施する。
以上の実施形態において説明した発明を整理して、付記として開示する。
(付記1)
2値データのデータ列を表すアナログデータ信号をオーバーサンプルすることにより生成されるデジタルコードを順に受け、前記2値データの論理0に対応する負のデジタルコードが連続するときに増加値を示す閾値信号を出力し、前記2値データの論理1に対応する正のデジタルコードが連続するときに減少値を示す閾値信号を出力し、負のデジタルコードと正のデジタルコードがランダムに現れるときにゼロを示す閾値信号を出力する閾値判定部と、
前記デジタルコードに前記閾値信号が示す値を加えて補正デジタルコードを生成し、連続する複数の補正デジタルコードのうち、中央の補正デジタルコードの符号が他の補正デジタルコードの符号と異なるときに、中央の補正デジタルコードを孤立パルスとして検出する孤立パルス判定部と、
連続する前記デジタルコードの符号の遷移に基づいて、前記2値データの論理を求めるバイナリ判定部と、
前記孤立パルスが検出されるときに、前記孤立パルス判定部から供給される前記孤立パルスの論理を前記2値データの論理として出力し、前記孤立パルスが検出されないときに、前記バイナリ判定部により求められた前記2値データの論理を出力するデータ選択部と
を備えていることを特徴とするデータ判定回路。
(付記2)
隣接する2つの前記デジタルコードの符号が同じときにイネーブル信号を出力する有効判定部を備え、
前記孤立パルス判定部は、前記イネーブル信号を受けているときに、連続する複数の補正デジタルコードのうち、中央側の2つの補正デジタルコードの符号が他の補正デジタルコードの符号と異なるときに、中央側の2つの補正デジタルコードを孤立パルスとして検出すること
を特徴とする付記1記載のデータ判定回路。
(付記3)
前記孤立パルス判定部は、
前記デジタルコードに前記増加値を加えて第1補正デジタルコードを生成し、連続する複数の第1補正デジタルコードのうち、中央の第1補正デジタルコードの符号が他の第1補正デジタルコードの符号と異なるときに、中央の第1補正デジタルコードを第1孤立パルスとして検出する第1孤立パルス生成部と、
前記デジタルコードに前記減少値を加えて第2補正デジタルコードを生成し、連続する複数の第2補正デジタルコードのうち、中央の第2補正デジタルコードの符号が他の第2補正デジタルコードの符号と異なるときに、中央の第2補正デジタルコードを第2孤立パルスとして検出する第2孤立パルス生成部と、
複数の前記デジタルコードのうち、中央のデジタルコードの符号が他のデジタルコードの符号と異なるときに、中央のデジタルコードを第3孤立パルスとして検出する第3孤立パルス生成部と、
前記閾値信号が前記増加値を示すときに前記第1孤立パルスを選択し、前記閾値信号が前記減少値を示すときに前記第2孤立パルスを選択し、前記閾値信号がゼロを示すときに前記第3孤立パルスを選択し、選択した孤立パルスを前記データ選択部に供給するパルス選択部と
を備えていることを特徴とする付記1記載のデータ判定回路。
(付記4)
前記閾値判定部は、
前記デジタルコードの符号を順に保持する直列に接続された複数の保持部と、
前記保持部から出力される符号が全て負のときに前記増加値を示す閾値信号を出力し、前記保持部から出力される符号が全て正のときに前記減少値を示す閾値信号を出力し、前記保持部から出力される符号が負と正の両方を含むときに前記ゼロを示す閾値信号を出力する閾値制御部と
を備えていることを特徴とする付記1ないし付記3のいずれか1項記載のデータ判定回路。
(付記5)
前記閾値判定部は、
前記デジタルコードを順に保持する直列に接続された複数の保持部と、
前記保持部から出力されるデジタルコードの平均値を求め、平均値に係数を乗じて前記閾値信号を生成する平均化部と
を備えていることを特徴とする付記1ないし付記3のいずれか1項記載のデータ判定回路。
(付記6)
前記閾値判定部は、
前記デジタルコードを順に保持する直列に接続された複数の保持部と、
前記保持部から出力されるデジタルコードに係数をそれぞれ乗じる複数の乗算器と、
前記乗算器の出力を加算して前記閾値信号を生成する加算器と
を備え、
相対的に新しいデジタルコードの重み付けを相対的に古いデジタルコードの重み付けより大きくするために、新しいデジタルコードに対応する前記乗算器に乗じられる係数の値ほど大きいこと
を特徴とする付記1ないし付記3のいずれか1項記載のデータ判定回路。
(付記7)
前記閾値判定部は、
前記デジタルコードを順に積分する積分器と、
前記積分器の出力に係数を乗じて前記閾値信号を生成する乗算器と
を備えていることを特徴とする付記1ないし付記3のいずれか1項記載のデータ判定回路。
(付記8)
付記1ないし付記7のいずれか1項記載のデータ判定回路と、
前記アナログデータ信号をオーバーサンプルすることにより前記デジタルコードを順に生成するアナログデジタル変換器と、
前記データ判定回路により判定された前記2値データの論理を受けて動作するデータ処理回路と
を備えていることを特徴とする受信器。
(付記9)
2値データのデータ列を表すアナログデータ信号をオーバーサンプルすることにより生成されるデジタルコードを順に受け、
前記2値データの論理0に対応する負のデジタルコードが連続するときに、前記デジタルコードに増加値を加えて補正デジタルコードを生成し、
前記2値データの論理1に対応する正のデジタルコードが連続するときに、前記デジタルコードに減少値を加えて補正デジタルコードを生成し、
負のデジタルコードと正のデジタルコードがランダムに現れるときに、前記デジタルコードを補正デジタルコードとし、
連続する複数の補正デジタルコードのうち、中央の補正デジタルコードの符号が他の補正デジタルコードの符号と異なるときに、中央の補正デジタルコードを孤立パルスとして検出し、
前記孤立パルスが検出されるときに、検出した前記孤立パルスの論理を前記2値データの論理として判定し、
前記孤立パルスが検出されないときに、連続する前記デジタルコードの符号の遷移に基づいて前記2値データの論理を判定すること
を特徴とするデータ判定方法。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。