JP5508729B2 - 電力増幅器 - Google Patents

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Description

本発明は、高周波(RF)パルス信号を増幅する電力増幅器に関する。
高周波信号を増幅する電力増幅器を用いるシステムとしてレーダシステムがある。近年、LバンドからXバンドの周波数帯を用いるパルスレーダの分野においては、マグネトロン、クライストロン等の電子管を使用した送信機から、増幅デバイスにトランジスタを使用した固体化送信機への移行が進んでいる。
また、無線通信システムの分野では、携帯電話基地局、ワイヤレスLANなどの通信インフラの整備にともない、LバンドからXバンドの周波数帯において、LD MOS FET(Lateral Doped Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)、GaAs FET、GaAs HEMT(High Electron Mobility Transistor)、GaN HEMTなどの化合物半導体デバイスが開発され、B級又はAB級で動作する線形電力増幅器が普及してきた。
特開平10−322144号公報 特開2000−031753号公報 特開2008−085605号公報
ところで、パルスレーダ用途における電力増幅回路のB級又はAB級による動作では、RFパルス信号が出力されていない間もドレイン電流が流れ続けるため、電力効率の低下や無駄な発熱の要因となる。この要因を取り除くために、RFパルス信号の出力時に限ってドレイン電流を流して増幅動作を行い、それ以外の時間はドレイン電流を停止する制御が行われている。その制御方法には一般的には二通りの方法がある。
第一の方法が図8に示されるブロック図による電力増幅回路200を用いたゲート制御方式による方法である。RFパルス信号の入力に先立ち、高周波増幅素子11(化合物半導体デバイス)に最適なゲート・ソース間電圧を印加することにより増幅動作を行う。RFパルス信号の入力が終了すると、高周波増幅素子11のゲート・ソース間電圧をピンチオフ電圧とし増幅動作を停止させる。この時、高周波増幅素子11にはドレイン電流は流れておらず電力効率を改善できる。このゲート制御方式は、ドレイン電源を高周波増幅素子11のドレインに直接供給しているため、電源供給線路における熱損失がほとんどなく、C級動作に近い電力効率を得ることができる。
しかしながら、高周波増幅素子11のゲート・ソース間には寄生容量や発振防止用のコンデンサ(「ゲートチャージ」という。)が内包されている。そのため、高速に動作状態を切り換える場合には、このゲートチャージを高速に充放電するために大きなゲート電流を流す必要がある。この充放電を行う高周波増幅素子11では、ゲート電流が制限されている場合がある。また、高周波増幅素子11のワイヤーやパッケージにおける寄生インダクタンスによって急激に変化するゲート電流が制限されることになる。これにより、急峻な電流の変化に対応して高周波増幅素子11の動作状態を切り換えることが困難となり、切り換えの応答速度が低下することになる。
パルスレーダ用途においては、高周波増幅素子11をRFパルス信号が入力される時点に対して、ゲートチャージが充電するのに必要な時間だけ先行して活性化させることができる。この活性化処理として高周波増幅素子11のゲート・ソース間電圧をピンチオフ電圧からバイアス電圧に移行することにより、増幅動作に移行する時の問題を解決できる。問題となるのは、RFパルス信号の入力を終了して増幅動作を終了させる時、すなわち高周波増幅素子11のゲート・ソース間電圧をバイアス電圧からピンチオフ電圧に移行する時である。RFパルス信号の送出が終了した直後より反射波の受信を開始するパルスレーダにおいては、目標物からの反射波を受信する際に送信部から出力されるノイズによる影響を回避しなければならない。そのため、可能な限り早くゲートチャージの電荷の残留を放電し、増幅動作を停止することが必要になる。しかし高速化を阻む要因が高周波増幅素子11の内部構造に依存するため、高速に放電する手段は確立されていない。
第二の方法が図9に示されるブロック図による電力増幅回路210を用いたドレイン制御方式による方法である。RFパルス信号の入力に先立ち、高周波増幅素子11のドレイン電源を供給し増幅動作を行う。RFパルス信号が終了するとそのドレイン電源の供給を停止する。高周波増幅素子11のゲートには常に所望のバイアス電圧が印加されるが、ドレイン電源が供給されない間はドレイン電流(Id)が流れないため、電力効率を改善できる。このドレイン電源の制御を実現するために電源供給線路に挿入される電源制御トランジスタ21は、電力消費を抑圧するため、「ON(オン)」抵抗の低いものが選定される。
またドレイン制御方式は、ゲート制御方式に比べ、この電源制御トランジスタ21を挿入することで、ゲート・ソース間電圧や制御の異常などに対してドレイン電源供給を停止し、高価な高周波増幅素子11を保護できる利点がある。
ドレイン制御方式においても高速にスイッチングする場合には、高周波増幅素子11のドレイン・ソース間静電容量(アウトプットキャパシタ)と、回路に接続されたコンデンサ17の充放電をする必要がある。パルスレーダ用途においては、ドレイン電源をRFパルス信号が入力される時点からアウトプットキャパシタや接続されたコンデンサ17を充電するのに必要な時間先行して供給することで、増幅動作に移行する時の問題を立ち上がりについては解決できる。問題はRFパルス信号の入力が終了して高周波増幅素子11へのドレイン電源の供給を停止し、アウトプットキャパシタと接続されたコンデンサ17に残留する電荷を放電する時である。すでにRFパルス信号の入力は終了しており、高周波増幅素子11の出力インピーダンスはRFパルス信号入力時より高い状態となっている。そのため、立ち上がり時の充電にかかる時間に比べて、立ち下がりの放電にかかる時間には長い時間が必要となる。
RFパルス信号の出力が終了した直後より反射波の受信を開始するパルスレーダにおいては、放電時間が延びることで残留電荷により電源が供給されている状態となり、高周波増幅素子11は増幅動作の状態が続き、送信部から出力されるノイズが増幅され、反射波に影響を与えることになる。
第一の方法(ゲート制御方式)及び第二の方法(ドレイン制御方式)のいずれの方法においても、寄生容量及び周辺回路接続のコンデンサに帯電した状態の場合では、高周波増幅素子11は増幅動作の状態が継続することになるという問題がある。
次に、高周波増幅素子11の寄生容量及びコンデンサに残留する電荷を十分に放電できず、RFパルス信号の出力終了後も増幅動作状態にある場合について説明する。
一般的なパルスレーダの系統では、励振信号となるRFパルス信号は受信部から送信部へ供給される。送信部は電力増幅機能を有し、RFパルス信号を増幅し、大電力の送信波として同軸ケーブルや導波管の伝送路を経て、サーキュレータに供給する。サーキュレータにおいて送信波は空中線へ誘導され、空中線から空間へ放射される。放射された送信波は目標物に到達し、送信波の一部が反射され、微弱な反射波となって空中線に到達し受信される。空中線で捕捉された微弱な反射波はサーキュレータに達し、受信部へ誘導される。サーキュレータと受信部の間には、受信部の保護を目的としたリミッターが挿入されている。
通常、送信部と受信部の間にあるサーキュレータのアイソレーションは20dB程度である。送信部から出力された大電力の送信波が低損失で空中線に伝送される一方、送信波の一部が約20dB減衰された送信漏信号として受信部に流れ込むことになる。通常、送信漏信号は比較的大電力であるため、リミッターにて全反射されサーキュレータに接続された擬似負荷に吸収される。この動作で受信部に内蔵されたLNAを保護している。
図10に示すように、リミッターでは送信漏信号が途絶えると微弱な反射波が通過できるよう通過損失が徐々に減少してくる。リミッターが通過状態の時の減衰量より3dB減衰量が大きい状態に至るまでの時間をリカバリータイムと呼んでいる。リカバリータイムは使用されるリミッターの特性により異なるが、概ねこの時間は数マイクロ秒になる。このリカバリータイムが経過すると、目標物からの反射波を受信し、受信した信号を受信部にて増幅し、信号処理を行うことになる。
図11に示すような励振信号が受信部から送信部に供給される。励振信号はRFパルス信号であり、入力される連続波を通過と遮断を切り換える制御によってパルス変調されたものである。この切り替えはPINダイオードやRFスイッチなどのスイッチングデバイスにより行われる。
スイッチングデバイスによって遮断した時の入出力間アイソレーションは50dB程度である。すなわち入力されたRF信号の電力に対して、パルス信号部以外に約50dB減衰したRF信号が連続的に供給されることになる。この信号は本来であれば完全に除去したい信号であり、送信波と同一周波数のノイズとして扱うことができる。
図12はゲート制御方式による動作を示す。図に示されるタイミングチャートにおいて、送信部に組み込まれる高周波増幅素子11を使用した線形増幅特性を有する電力増幅器のRFパルス信号が入力される時刻の前後に注目すると、以下に示すような動作となる。
時刻t0において、ゲート制御信号にはRFパルス信号の入力に先立ち、高周波増幅素子11の増幅動作を指示する信号(増幅オン)が入力される。それにともない高周波増幅素子11のゲート・ソース間電圧はピンチオフ電圧からバイアス電圧に移行される。但しゲートには寄生容量等の静電容量やワイヤーによるインダクター成分が存在し、瞬時にゲート・ソース間電圧が移行されるわけではなく、RFパルス信号の立ち上がり直前にはゲート・ソース間電圧移行期間が発生する。この期間では高周波増幅素子11の動作状態が、ピンチオフの高減衰状態から定格利得増幅の状態まで変化する。
同様に時刻t2において、ゲート制御信号にはRFパルス信号の入力が終了した後、高周波増幅素子11の増幅動作の終了を指示する信号(増幅オフ)が入力される。高周波増幅素子11のゲート・ソース間電圧はRFパルス信号の立ち上がり時と逆に、バイアス電圧からピンチオフ電圧に移行する。RFパルス信号の立ち上がり時と同様の理由により、RFパルス信号の立ち下がり直後にはゲート・ソース間電圧移行期間が発生する。高周波増幅素子11の動作状態は、定格利得増幅の状態からピンチオフ電圧で制御される高減衰状態まで変化する。
上記のような状態にあるとき、RFパルス信号及び先に記した同一周波数を有するノイズからなる励振信号が入力されると、RFパルス信号の極近傍にあるノイズは増幅され、RFパルス信号の前後に付加され出力される。それ以外の期間において、高周波増幅素子11は、ピンチオフ電圧で制御される高減衰状態における動作となり、ノイズは著しく減衰することになる。
RFパルス信号の前後の付加されるノイズの長さは、静電容量が増加することにより充放電に時間を要するようになり長くなる、という問題がある。
図13に、ドレイン制御方式の場合について示す。
時刻t0において、ドレイン電源制御信号にはRFパルス信号の入力に先立ち、高周波増幅素子11へのドレイン電源を供給し高周波増幅素子11の増幅動作の指示をする信号が入力される。それにともない電源供給線路に接続されたコンデンサ及び高周波増幅素子のドレイン・ソース間静電容量(アウトプットキャパシタ)の充電が開始され、ドレイン・ソース間電圧が上昇する。この期間に高周波増幅素子11は、ドレイン・ソース間電圧が上昇するのに連動し、高減衰状態から定格利得増幅状態まで変化する。
逆に時刻t2において、ドレイン電源制御信号にはRFパルス信号の入力が終了した後、ドレイン電源の供給停止及び増幅動作の終了を指示する信号(増幅オフ)が入力される。ドレイン電源供給の停止にともない、アウトプットキャパシタ及びコンデンサに残留している電荷が放電される。この場合高周波増幅素子11のドレイン・ソース間を通して放電が行われるが、高周波増幅素子11には微弱なノイズ成分が入力されているだけであり、またドレイン・ソース間のインピーダンスが高いので、立ち上がり時の充電時間より長い時間を要して放電される。
図14は、ドレイン制御方式における高周波増幅素子11のドレイン・ソース間電圧を示す。前述のような状態にあるとき、RFパルス信号及び先に記した同一周波数を有するノイズからなる励振信号が入力されると、RFパルス信号の極近傍にあるノイズが増幅されRFパルス信号の前後に付加され出力される。特に、RFパルス信号の後半に付加されるノイズは長時間となるという問題がある。
図15に示されるドレイン制御方式においては、RFパルス信号の後半近傍に付加されるノイズを無くす方法がある。RFパルス信号が入力されている間にドレインへの電源供給を遮断すると、ドレイン・ソース間インピーダンスが低い状態となり、アウトプットキャパシタ及び接続されているコンデンサに残留している電荷を、ドレイン・ソース間を経て急速放電することができる。
しかしながら、この方法は入力信号と出力信号で、波形、パルス幅が異なるものとなる。
また、立ち下がりを急峻に変化させるので、基準周波数を示すキャリア周波数近傍のスペクトラム強度が上昇する。RFパルス信号が入力されている途中でドレインへの電源供給を遮断する方法においては、RFパルス信号の立ち下がり部分で、線形電力増幅器として機能しておらず、不要な電波がふく射される問題がある。
図16に示すようにゲート制御方式及びドレイン制御方式のいずれの方法においても、RFパルス信号の前後にノイズ成分を含んだ信号が付加されている。受信部に漏れ込む信号は、レンジゼロ以降であるRFパルス信号後半の極近傍にノイズが常に存在することになり、目標物から反射してきた微弱な反射波に影響を与えるものとなる。
送信部より出力された大電力の送信波は、サーキュレータを介して空中線に導かれ空間に放射される。サーキュレータの送信ポートから受信ポートへのアイソレーションは20dB程度であり、大電力送信波の一部が送信漏信号として受信ポートに漏れ込む。
受信部の前には、送信漏信号及び反射波(不整合にともなう反射)から受信部に備えるLNAなどを保護するためのリミッターが挿入されている。リミッターにはダイオードリミッターやTRリミッターのような、ある一定以上の電力が入力されると入力電力を反射し前段のサーキュレータに接続された擬似負荷に消費させるものと、固体化リミッターと呼ばれる、リミッター内部で受信ポートとダミーポートを切り換えて送信時のみダミーポートで入力電力を消費するものがある。
受信ポートに流れ込んだ送信漏信号はリミッターに入力される。RFパルス信号の前半近傍に付加されたノイズはリミッターが遮断動作しない電力レベルであり、そのまま受信部へと通過する。次にRFパルス信号が入力されると同時に大電力入力となり、遮断動作が開始される。RFパルス信号が終了すると同時に、急速に減衰量が減少し低減衰状態に復帰する。この復帰に要する時間をリカバリータイムと呼ぶ。リカバリータイムが長時間に及ぶほど、レーダの最短探知距離が長くなる。RFパルス信号の後半近傍に付加されたノイズは、リカバリータイム期間中及び復帰後にリミッターに到達することになる。RFパルス信号の後半直近のノイズは殆どが反射されるが、その後のノイズ部分ではリミッターの減衰量が徐々に低減され、リカバリータイムを超えた部分のノイズはほとんど無損失で受信部へ通過する。受信部に到達したノイズは、近傍の目標物からの微弱反射波と重畳されエコーとして処理される。
また、図17に示すように固体化リミッターを使用した場合では、内部でダミーポートへの接続時間を広げ送信漏信号に付加されたノイズを減衰することは可能であるが、ダミーポートの接続時間の拡大にともない送信漏信号の通過を遮断するだけではなく、目標物からの微弱な反射波までも遮断することになり最短探知距離を長くしてしまう。これは近距離の目標物を探知する必要があるシステムにおいては実現することができない。また固体化リミッターが実現できていない周波数帯もあり、解決には至っていない。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、その目的はパルス電力増幅動作時間の近傍において不要な信号の送出を制限できる化合物半導体デバイスを使用した電力増幅器を提供することにある。
上記問題を解決するために、本発明は、半導体素子によって構成され電力増幅する電力増幅回路と、前記電力増幅回路に供給される電源を遮断する電源遮断回路と、前記電源遮断回路による電源遮断に同期して前記電源遮断回路及び前記電力増幅回路に残留する電荷を放電する放電回路と、を備え、入力信号を増幅する増幅時以外の電源供給が第1のドレイン電源制御信号によって遮断される電力増幅器であって、前記電源遮断回路は、ソースが電源に接続され、ゲートに前記第1のドレイン電源制御信号が入力される第1導電型の第1のトランジスタを備え、前記放電回路は、ソースが基準電位に接続され、ドレインが第1のトランジスタのドレインに接続され、ゲートに前記第1のドレイン電源制御信号に同期した第2のドレイン電源制御信号が入力され、ドレインとソース間の通電動作をする前記第1導電型と異なる第2導電型の第2のトランジスタを備え、前記電力増幅回路は、ソースが基準電位に接続され、ドレインが前記第1のトランジスタのドレインに接続され、ゲートに前記入力信号が入力される高周波増幅素子を備えることとする。
また、上記問題を解決するために、本発明は、半導体素子によって構成され電力増幅する電力増幅回路と、前記電力増幅回路に供給される電源を遮断する電源遮断回路と、前記電源遮断回路による電源遮断に同期して前記電源遮断回路及び前記電力増幅回路に残留する電荷を放電する放電回路と、を備え、入力信号を増幅する増幅時以外の電源供給が第1のドレイン電源制御信号によって遮断される電力増幅器であって、前記電源遮断回路は、ソースが電源に接続され、ゲートに前記第1のドレイン電源制御信号が入力される第1導電型の第1のトランジスタを備え、前記放電回路は、ソースが基準電位に接続され、ドレインがインピーダンス素子を介して第1のトランジスタのドレインに接続され、ゲートに前記第1のドレイン電源制御信号に同期した第2のドレイン電源制御信号が入力される前記第1導電型と異なる第2導電型の第2のトランジスタを備え、前記電力増幅回路は、ソースが基準電位に接続され、ドレインが前記第1のトランジスタのドレインに接続され、ゲートに前記入力信号が入力される高周波増幅素子を備えることとする。
この本発明によれば、電力増幅器は、電源遮断回路が半導体素子によって構成され、電力増幅する電力増幅回路に供給される電源を遮断する。放電回路は、電源遮断回路による電源遮断に同期して電源遮断回路及び電力増幅回路に残留する電荷を放電する。
これにより、電力増幅回路への電源を電源遮断回路が遮断したときに残留する電荷を放電回路によって放電させ、電源遮断後において残留する電荷の影響により生じる不要な利得を低減させることができ、不要な信号の送出を制限することができる。
また、この本発明によれば、電力増幅器は、入力信号を増幅する増幅時以外の電源供給が第1のドレイン電源制御信号によって遮断される電力増幅器である。電源遮断回路における第1導電型の第1のトランジスタは、ソースが電源に接続され、ゲートに前記第1のドレイン電源制御信号が入力される。放電回路における第1導電型と異なる第2導電型の第2のトランジスタは、ソースが基準電位に接続され、ドレインが第1のトランジスタのドレインに接続され、ゲートに第1のドレイン電源制御信号に同期した第2のドレイン電源制御信号が入力される。電力増幅回路における高周波増幅素子は、ソースが基準電位に接続され、ドレインが第1のトランジスタのドレインに接続され、ゲートに入力信号が入力される。
これにより、第1のトランジスタによって電源供給が遮断される高周波増幅素子は、自回路並びに接続される回路に残留する電荷を、第2のトランジスタにおけるドレインとソース間の通電動作よって放電する。そして、電源遮断後において電荷が残存する時に生じる不要な利得を低減させることができ、不要な信号の送出を制限することができる。また、第2のトランジスタに設定される放電電流の設定によって、放電時間を設定することができる。
また、この本発明によれば、電力増幅器は、入力信号を増幅する増幅時以外の電源供給が第1のドレイン電源制御信号によって遮断される電力増幅器である。電源遮断回路における第1導電型の第1のトランジスタは、ソースが電源に接続され、ゲートに前記第1のドレイン電源制御信号が入力される。放電回路における第1導電型と異なる第2導電型の第2のトランジスタは、ソースが基準電位に接続され、ドレインがインピーダンス素子を介して第1のトランジスタのドレインに接続され、ゲートに前記第1のドレイン電源制御信号に同期した第2のドレイン電源制御信号が入力される。電力増幅回路における高周波増幅素子は、ソースが基準電位に接続され、ドレインが第1のトランジスタのドレインに接続され、ゲートに入力信号が入力される。
これにより、第1のトランジスタによって電源供給が遮断される高周波増幅素子は、自回路並びに接続される回路に残留する電荷を、インピーダンス素子を介して接続される第2のトランジスタによって放電する。そして、電源遮断後において電荷が残存する時に生じる不要な利得を低減させることができ不要な信号の送出を制限することができる。また、第2のトランジスタに接続されるインピーダンス素子により設定される放電電流の設定によって、放電時間を設定することができる。
本発明の第1実施形態における電力増幅器を用いたパルスレーダを示す概略ブロック図である。 第1実施形態における電力増幅器を示す概略ブロック図である。 従来の実施形態における電力増幅器におけるパルス出力時のタイミングチャートである。 第1実施形態における電力増幅器におけるパルス出力時のタイミングチャートである。 第1実施形態における電力増幅器の動作を示す図である。 第2実施形態における電力増幅器を示す概略ブロック図である。 第2実施形態における電力増幅器におけるパルス出力時のタイミングチャートである。 従来の実施形態における電力増幅器を示す概略ブロック図(その1)である。 従来の実施形態における電力増幅器を示す概略ブロック図(その2)である。 従来の実施形態における電力増幅器の動作を示す図(その1)である。 従来の実施形態における電力増幅器の動作を示す図(その2)である。 従来の実施形態における電力増幅器におけるパルス出力時のタイミングチャート(その1)である。 従来の実施形態における電力増幅器におけるパルス出力時のタイミングチャート(その2)である。 従来の実施形態における電力増幅器の動作を示す図(その3)である。 従来の実施形態における電力増幅器におけるパルス出力時のタイミングチャート(その3)である。 従来の実施形態における電力増幅器におけるパルス出力時のタイミングチャート(その4)である。 従来の実施形態における電力増幅器におけるパルス出力時のタイミングチャート(その5)である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
船舶用レーダ、気象レーダ、航空管制用レーダなどは、そのレーダの方式から一般にパルスレーダと呼ばれている。パルスレーダは短い時間RFパルス信号を送信し、空間に放射された高周波(RF)パルス信号が目標物に到達する。目標物では、放射されたパルス信号の反射が起こる。パルスレーダは目標物で反射された反射信号を受信して、送信時から受信時までの電波伝搬に要した時間を測定し、目標物までの距離を計測する。
図1は、電力増幅器を用いたパルスレーダ示す概略ブロック図である。
図に示されるパルスレーダ10は、送信部1、サーキュレータ2、空中線3、受信部5、リミッター6及び擬似負荷7を備える。また、この図に示される目標物4はパルスレーダ10が検出する対象物である。
パルスレーダ10における送信部1は、入力されるRFパルス信号を増幅する。増幅されたRFパルス信号は、サーキュレータ2を介して空中線3に送出される。
サーキュレータ2は、備える4つのポートに入力された信号を所定のポートに出力する。サーキュレータ2が備えるポートは、送信部1が接続される送信ポート2a、空中線3が接続される空中線ポート2b、受信部5が接続される受信ポート2c、擬似負荷7が接続される終端ポート2dである。
空中線3は、送信部1から入力されるRFパルス信号を送信波として放出する。また、空中線3は、目標物4からの反射波を捕捉し、受信信号として受信部5に入力する。
受信部5は、空中線3から入力された受信信号の信号処理を行い、目標物4を検出する。
リミッター6は、受信部5に過大な電力の信号が入力されることを防ぐ保護回路であり、通過特性と遮断特性を切り換えることができる。通過特性を示す場合は、サーキュレータ2から入力された信号を受信部5に入力する。遮断特性を示す場合は、サーキュレータ2から入力された信号を反射させて、受信部5に入力せずにサーキュレータ2に戻す。
擬似負荷7は、リミッター6で反射されサーキュレータ2に戻る信号が入力され、入力された信号の電力を消費させる。
この図に示されるパルスレーダ10は、一般的なパルスレーダの構成を示すものである。その構成によって示される信号系統を整理すると、受信部5から励振信号となるRFパルス信号が送信部1へ供給される。送信部1は、入力されたRFパルス信号を増幅し、大電力の送信波を出力する。出力された送信波は、同軸ケーブルや導波管の伝送路を経て、サーキュレータ2に入力される。サーキュレータ2において、入力された送信波は空中線3へ誘導され空中線3から空間へ放射される。放射された送信波は目標物4に到達し、その送信波の一部が反射される。微弱な反射波となって空中線3に到達した反射波が、空中線3によって受信される。空中線3で受信された微弱な反射波は、サーキュレータ2に達し受信部5へ誘導される。サーキュレータ2と受信部5の間には、受信部5の保護を目的としたリミッター6が挿入されている。
サーキュレータ2において、送信部1と受信部5が接続されるポート間のアイソレーションは、20dB(デシベル)程度である。送信部1から出力された大電力の送信波は、低損失で空中線3に伝送されるのに対して、受信部5に対しても約20dB(デシベル)減衰された送信波の一部が送信漏信号として流れ込む。この送信漏信号は、受信部5の入力レベルに対して大電力である。そのため送信漏信号を受信部5に入力せずに、リミッター6が全反射してサーキュレータ2に接続された擬似負荷7に吸収される。この動作で、受信部5に内蔵されたLNA(Low Noise Amplifier)を保護している。
図2は、電力増幅器を示す概略ブロック図である。
この図に示される電力増幅器100は、高周波増幅素子11、コンデンサ12、13、17、抵抗15、24、32、33、電源供給線路16、電源制御トランジスタ21及び放電用トランジスタ31を備える。
高周波増幅素子11は、GaAs FETやGaN HEMT等の化合物半導体デバイスである。ここでは、nチャネル型を示す。コンデンサ12、13は、直流成分を遮断するカプリングコンデンサである。電源供給線路16は、高周波増幅素子11に電力を供給するドレイン電源供給線路である。コンデンサ17は、RF線路から増幅されたRF信号の1/4波長の位置を高周波的に接地する。
電源制御トランジスタ21は、ソースが電源Vddに接続され、ドレインが電源供給線路16に接続され、抵抗24(R1)を介してゲートにドレイン電流制御信号が入力される。電源制御トランジスタ21は、電源Vddの供給において「ON(オン)」状態/「OFF(オフ)」状態を切り換えるスイッチである。電源制御トランジスタ21は、例えばpチャネル型MOS FETを適応することができ、スイッチング動作を行わせる。
放電用トランジスタ31は、ソースが基準電位に接続され、ドレインが抵抗33(R3)を介して電源供給線路16に接続され、抵抗32(R2)を介してゲートにドレイン電源制御信号が入力される。放電用トランジスタ31は、電源供給線路16、すなわち高周波増幅素子11に電力を供給するドレイン電源供給線路を基準電位に接続する状態を「ON(オン)」/「OFF(オフ)」に切り換えるスイッチである。電源供給線路16は、すなわち高周波増幅素子11に電力を供給するドレイン電源供給線路である。電源供給線路16に接続されている静電容量に残留した電荷が、電流制限抵抗として機能する抵抗33を介して放電される。この放電用トランジスタ31は、例えばnチャネル型MOS FETを適応することができる。
以上に示した構成とその接続において、ドレイン電源供給線路に放電電流制限抵抗32を介して接続される放電用トランジスタ31を備えていることに、従来と明らかな差異がある。
放電用トランジスタ31のソースは基準電位に接続されており、ドレイン電源の供給が停止された後に、高周波増幅素子11、電源制御トランジスタ21のアウトプットキャパシタ及び電源供給線路に接続されたコンデンサ17などに残留した電荷を、強制的に放電するものである。
放電用トランジスタ31と電源制御トランジスタ21とが異なる導電型の組合せとすることにより、ドレイン電源制御信号を共通の制御信号として用いることができる。ドレイン電源制御信号により、電源制御トランジスタ21が電源供給時には放電用トランジスタ31を遮断させることができ、電源制御トランジスタ21が電源の供給を遮断しているときには放電用トランジスタ31は放電処理を行うことができる。すなわち、他の制御信号を新たに用意することなくこれらの動作を実現可能である。
本実施形態を示すのに先立ち、従来用いられていたドレイン制御方式について説明する。
図3は、電力増幅器におけるドレイン制御方式によるパルス出力時のタイミングチャートである。
この図に示される図3(a)は、ドレイン電源制御信号の状態遷移を示す。
示される波形において、低位と高位の2つの状態で示され、前者の状態がドレイン電源を供給し増幅動作を行う状態とし、後者の状態がドレイン電源を停止させて増幅動作を行わない状態とする。
図3(b)は、受信部から入力される励振信号の状態遷移を示す。示される波形の振幅が、入力される信号の電力を示す。
図3(c)は、ドレイン・ソース間電圧の状態遷移を示す。示される低位と高位の状態を遷移する波形において、前者はドレイン・ソース間電圧を印加しない状態(電圧0V(ボルト))の波形を示し、後者はドレイン・ソース間電圧に定格ドレイン電圧が印加された状態の波形を示す。
図3(d)は、線形増幅器利得の状態遷移を示す。示される波形の振幅が利得の大きさとして表され、減衰させる状態から等倍の利得を経て定格利得で増幅を行う状態への遷移を示す。
図3(e)は、線形増幅器出力の状態遷移を示す。示される波形の振幅が、入力された励振信号((b)参照)が線形増幅器利得((d)参照)によって線形増幅された信号の電力を示す。
図3(f)は、リミッター減衰量の状態遷移を示す。示される波形の振幅が、リミッターを通過する際の減衰量を示す。
図3(g)は、受信部入力電力の状態遷移を示す。示される波形の振幅が、受信部に入力される信号の電圧を示す。
時刻t0において、ドレイン電源制御信号によってドレイン電源の供給開始が指示される(a)。ドレイン電源の供給開始によって充電され、ドレイン・ソース間電圧が上昇する(c)。それにともなって、線形増幅器利得も上昇する(d)。入力された励振信号(b)が線形増幅器利得(d)により増幅され、線形増幅器出力(e)として出力される。サーキュレータ2のアイソレーション不足により、線形増幅器出力(e)の漏れ電力がリミッター6に入力され、ほとんど減衰することなく受信部5に入力される。
時刻t1において、受信部5から入力されたRFパルス信号(b)を送信部1で増幅し、空中線3から放射する。その際、サーキュレータ2のアイソレーション不足により、送信部1から出力する大電力の送信波の送信漏電力がリミッター6に入力されるが、リミッター6による遮断特性により、ほとんどの電力は反射され、擬似負荷7で消費される。リミッター6を通過し、大きく減衰したわずかな送信漏電力が受信部5に入力される。
時刻t2において、受信部5が出力するRFパルス信号の出力は停止され、送信部1が出力する大電力の送信波は停止する。送信部1はドレイン電源が供給されている状態であり、受信部5から入力されるノイズを継続して増幅し出力する(e)。RFパルス信号の停止にともない、リミッター6の減衰量が徐々に低下するが、送信波停止後しばらくの間は、送信部1でのノイズ増幅が継続されても、リミッター6の減衰が大きいため受信部5への影響はない。この時間はリミッター6の減衰特性、受信部6の感度等によって左右される。
時刻t3において、ドレイン電源制御信号によってドレイン電源の供給停止が指示される(a)。それにともない、ドレイン・ソース間電圧(c)並びに線形増幅器利得(d)が徐々に低下する。送信機1においては利得が低減しながらも増幅動作が継続するので、送信部1は徐々に電力を低下させながらも、必要十分な減衰量を得るまでノイズ出力を継続することになる。同様にサーキュレータ2のアイソレーション不足によりリミッター6に信号が入力され続けることになる。リミッター6の減衰量は、送信波停止後リカバリータイム(τ)を経過し3dB(デシベル)減衰となり、その後殆ど減衰のない状態に移行する。リカバリータイム前後のリミッター6の遮断動作時に比べて減衰量が十分に小さくなった時間、および、遮断動作から通過動作に完全に移行しほとんど減衰のない状態になった時間に、送信部1から出力されたノイズ出力が受信部5に入力されると、目標物4からの反射波を空中線3で補足した受信信号に影響を与えることになる。
以上に示したドレイン制御方式では、励振信号のRFパルス信号にあわせてドレイン電力の供給・停止を制御する。このドレイン制御方式は、同一周波数のノイズの成分を含む励振信号(b)が入力された場合、線形電力増幅する送信部1ではノイズ成分も含めて増幅する。送信部1の出力では、送信波の前後近傍に増幅されたノイズが付加されることになる。
この送信部1から出力された大電力の送信波(e)が、サーキュレータ2の受信ポート(2c)に漏れ込み、空中線3で受信した反射波に重畳されることになる。
図4は、電力増幅器におけるドレイン制御強制放電方式によるパルス出力時のタイミングチャートを示す。
この図に示される(a)〜(g)に示される波形の意味は、図3と同じである。また、先に示した図3に示したドレイン制御方式による動作の説明と時刻t3までは同じであり、時刻t3以降の差異を中心にタイミングチャートにしたがって説明する。
時刻t0から時刻t3に至るまで、ドレイン電源が供給されており、放電用トランジスタ31は、「OFF(オフ)」状態である。
時刻t3において、ドレイン電源制御信号によってドレイン電源の供給停止が指示される(a)。それにともない、放電用トランジスタ31によって、電源供給線路に接続される静電容量に残留している電荷が放電されるため、ドレイン・ソース間電圧(c)が予め定められる所定の時間が経過するまでに低下する。また線形増幅器利得(d)も、ドレイン・ソース間電圧(c)の低下にともない低下する。その結果、送信部1における利得が低下し減衰動作状態に移行することから、線形増幅器出力に示すようにノイズの出力が遮断される(e)。このように、リミッター6の減衰量が十分に大きく、リカバリータイム(τ)より早い時間に送信部1からのノイズを含む漏信号を停止することで、受信部5に対する送信漏信号に起因するノイズの入力を除去することが可能となる。
上記のドレイン・ソース間電圧が低下するまでの所定の時間は、放電対象が有する静電容量と放電電流制限抵抗の値によって予め定めることができ、強制放電に要する時間に応じて決定する。また、この時間に設定される値によっては、最短探知距離に影響を与えることになる。それぞれのレーダシステムにおいて必要とされる最短探知距離は異なるものであり、レーダシステムの目的に応じて適した時間を選定する必要がある。一般的に受信波を遮断するリミッターのリカバリータイムは数マイクロ秒であり、これに対して十分短い時間であれば、最短探知距離に与える影響はほとんどない。
また、短時間で放電を行う場合には、放電電流の電流値が大きくなる。それにより、放電用トランジスタ21のドレイン電流許容量の拡大や、抵抗33(R3)の耐パルス性の向上をはかる必要があるため、放電時間の設定はレーダシステムにあわせて便宜選択するものになる。
また、放電が進むにしたがって、高周波増幅素子11の動作は定格増幅状態から減衰動作状態へ移行していく。高速に放電し減衰動作状態に移行できれば、RFパルス信号の後半のノイズは極短時間のものとなり、さらにリミッター6による減衰によって影響を与えることがなくなる。
図5は、ドレイン制御強制放電方式を用いた電力増幅器の動作を示す図である。
図5(a)に示されるグラフは、ドレイン制御強制放電方式を用いた電力増幅器の高周波増幅素子11のドレイン・ソース間電圧の変化を示す波形である。図5(b)に示されるグラフは、ドレイン制御方式を用いた電力増幅器の高周波増幅素子11のドレイン・ソース間電圧の変化を示す波形である。このグラフの横軸は時間(10マイクロ秒/div)を示し、縦軸はドレイン・ソース間電圧を示す。
図5(a)に示されるドレイン制御強制放電方式においては、時刻t3において電源制御トランジスタ21からのドレイン電源供給を停止すると同時に、放電用トランジスタ31は電源供給線路に接続される静電容量に残留している電荷を放電する。
これにともない、高周波増幅素子11のドレイン・ソース間電圧は低下する。高周波増幅素子11のドレイン・ソース間電圧が定格より著しく低圧になるか放電が完了すると、高周波増幅素子11は増幅動作状態から減衰動作状態に移行し、線形増幅特性を有する電力増幅器におけるノイズ出力を抑圧できる。高周波増幅素子11のドレイン・ソース間電圧が瞬間的に放電を完了しており、以降高周波増幅素子11は減衰動作状態となる。また放電に要する時間はリミッター6のリカバリータイム(τ)より極めて短いため、リミッター6における減衰も加味され、受信部5への漏れ込みは殆ど皆無となる。
図5(a)と比較するために示した図5(b)のドレイン制御方式では、波形の立ち下がりが緩やかである。
ドレイン制御方式を単独で用いて自然放電をおこなった場合、約10マイクロ秒の放電時間を要している。この間、高周波増幅素子11は利得を有した増幅動作状態にある。励振信号に含まれるノイズが高周波増幅素子11によって増幅され、受信部5への漏れ込みが最低受信感度電力を超えた場合、目標物4からの反射波に重畳され、エコーとして処理される。
ドレイン制御強制放電方式ではその特性が改善され、急峻に変化していることが明確に示された。これにより、送信部1が不要な信号成分を増幅することがなくなるばかりではなく、早期に減衰させることが可能となり、受信部5に対して出力される送信波発射直後のノイズ成分を含む不要信号を抑圧することが可能となった。
(第2の実施形態)
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
この第2の実施形態においては、ドレイン制御強制放電方式における放電電流を制御して放電時間を設定する他の方法について説明する。
図6は、電力増幅器110を示す概略ブロック図である。
この図に示される電力増幅器110は、高周波増幅素子11、コンデンサ12、13、17、抵抗15、24、32、34、電源供給線路16、電源制御トランジスタ21及び放電用トランジスタ31を備える。
ここで、図6において、図2と同じ構成には同じ符号を付し、異なる構成について説明を行う。
電力増幅器110における放電用トランジスタ31は、ソースが基準電位に接続され、ドレインが電源供給線路16に接続され、ゲートが抵抗32(R2)と抵抗34(R3)の接続点に接続される。放電用トランジスタ31のゲートには、入力されたドレイン電源制御信号の電圧が抵抗32と抵抗34によって分圧されて入力される。
放電用トランジスタ31は、高周波増幅素子11に電力を供給する電源供給線路16が基準電位に接続する状態を「ON(オン)状態/OFF(オフ)状態」に切り換えるスイッチである。電源供給線路16に接続されている静電容量に残留した電荷が放電用トランジスタ31を介して放電される。
ドレイン電源制御信号は、電源制御トランジスタ21のゲート・ソース間に印加された際、電源制御トランジスタ21がドレイン・ソース間に十分な電流を流すことができるような電圧となっている。このドレイン電源制御信号を分圧又は電圧降下させ放電用トランジスタ31のゲート・ソース間電圧として印加することで、放電用トランジスタ31がドレイン・ソース間に流す電流値を制御することが可能である。すなわち、図示されたブロック図に示された構成によって、放電用トランジスタ31のゲート・ソース間電圧を調整する機能をもたせることで、放電用トランジスタ31による放電電流を制限し、放電時間を変更することが可能となる。
電力増幅器110では、残留している電荷を急速に放電することでノイズを抑圧するまでの時間を短縮することが可能となり、送信波の後半近傍のノイズはリミッター6でさらに減衰されることになる。高周波増幅素子11における減衰とリミッター6のリカバリータイム時間内における減衰により、ノイズ電力が受信部5の受信感度より低い電力まで減衰させることが可能となる。これにより、ノイズエコーの発生が抑えられ、目標物4からの反射波に影響を与えなくすことができる。
なお、ゲート制御方式においては、電流制限抵抗として機能する抵抗15(Rg)によって、高周波増幅素子11のゲート電流が制限される。高周波増幅素子11のゲート・ソース間の静電容量に蓄積される電荷(ゲートチャージ)を高速に充放電する手段が確立されていない。しかしゲート制御方式では、ゲート・ソース間電圧を変化させることで高周波増幅素子11の利得変化を容易に実現することが可能である。高周波増幅素子11のゲート・ソース間電圧をピンチオフ電圧にすることで、高周波増幅素子11における減衰量をドレイン制御方式以上に増加させることが可能であり、高いアイソレーションを確保できるなどのメリットがある。
送信波の電力を柔軟に変化させる必要がある場合や、高周波増幅素子11の増幅段数が少ないことによりドレイン制御方式のアイソレーションだけではノイズ抑圧に十分な減衰量を得ることが出来ない場合は、ゲート制御方式とドレイン制御強制放電方式の両方を組み合わせた方式が有効となる場合がある。
また、ゲート制御信号とドレイン電源制御信号は、同じタイミングの信号を使用することが可能である。RFパルス信号の立ち上がりのタイミングにおいて、ゲート制御信号によって高周波増幅素子11の増幅動作を指示する信号が入力されると、ゲート・ソース間電圧は、ゲートチャージを充電しながらゲート制御信号が示すバイアス電圧まで移行していく。それにともない、高周波増幅素子11のドレイン・ソース間のインピーダンスが低下する。同時に、ドレイン電源制御信号により、電源制御トランジスタ21が「ON(オン)」状態となり、高周波増幅素子11のへのドレイン電源の供給が開始される。高周波増幅素子11のゲート・ソース間電圧がバイアス電圧に移行し、ドレイン電源の供給が開始されることで、高周波増幅素子11のドレイン電流が徐々に増加し、規定の値に到達すると高周波増幅素子11の増幅準備が整う。
次に立ち下がりのタイミングにおいて、ゲート制御信号による増幅終了指示が入力され、高周波増幅素子11のゲート・ソース間電圧がバイアス電圧からピンチオフ電圧への移行が開始される。それにより、高周波増幅素子11のゲート・ソース間電圧はゲートチャージを放電しながらピンチオフ電圧まで移行していく。それにともない、高周波増幅素子11のドレイン・ソース間のインピーダンスが上昇していく。
さらに、本実施形態では、ゲート制御方式とドレイン制御強制放電方式を組み合わせて動作させる。そのため、ドレイン電源制御信号により電源制御トランジスタ21が高周波増幅素子11へのドレイン電源の供給を停止するのと同時に、放電用トランジスタ31によって強制放電を開始する。そして、ゲート制御方式による高周波増幅素子11のドレイン・ソース間のインピーダンス変化に殆ど影響を受けず、急速の放電することが可能となる。そして、高周波増幅素子11は、増幅動作状態から減衰動作状態へ移行する。高周波増幅素子11におけるゲート制御によるピンチオフ電圧への移行と、ドレイン制御によるドレイン電源の供給停止により、高周波増幅素子11は大きな減衰量を持ち、高いアイソレーションを持つことが可能となる。
これまでのゲート制御方式とドレイン制御方式を合わせた方式は、ゲート・ソース間電圧がピンチオフ電圧に近づくことで、電源供給線路に接続されている静電容量に残留した電荷を放電するのにより長い時間を要することになっていた。ゲート制御方式とドレイン制御強制放電方式を組み合わせて動作させることにより、電源供給線路に接続されている静電容量に残留した電荷を急速に放電することができ、受信部のS/N特性を改善することが可能となる。これにより、短距離に存在する目標物の検出に適応可能なパルスレーダへの応用が可能となる。
なお、本発明の電力増幅器は、電力増幅器100、110に相当する。また、本発明の電力増幅回路は、高周波増幅素子11に相当する。本発明の電源遮断回路は、電源制御トランジスタ21に相当する。本発明の放電回路は、放電用トランジスタ31に相当する。本発明の第1のトランジスタは、電源制御トランジスタ21に相当する。本発明の第2のトランジスタは、放電用トランジスタ31に相当する。本発明の高周波増幅素子は、高周波増幅素子11に相当する。
なお、第1導電型と第2導電型は、pチャネル型とnチャネル型を示す。
100 電力増幅器
11 高周波増幅素子
12、13、17 コンデンサ
15、24、32、33 抵抗
16 電源供給線路
21 電源制御トランジスタ
31 放電用トランジスタ

Claims (2)

  1. 半導体素子によって構成され電力増幅する電力増幅回路と、
    前記電力増幅回路に供給される電源を遮断する電源遮断回路と、
    前記電源遮断回路による電源遮断に同期して前記電源遮断回路及び前記電力増幅回路に残留する電荷を放電する放電回路と、
    を備え、
    入力信号を増幅する増幅時以外の電源供給が第1のドレイン電源制御信号によって遮断される電力増幅器であって、
    前記電源遮断回路は、
    ソースが電源に接続され、ゲートに前記第1のドレイン電源制御信号が入力される第1導電型の第1のトランジスタを備え、
    前記放電回路は、
    ソースが基準電位に接続され、ドレインが第1のトランジスタのドレインに接続され、ゲートに前記第1のドレイン電源制御信号に同期した第2のドレイン電源制御信号が入力され、前記第1導電型と異なる第2導電型の第2のトランジスタを備え、
    前記電力増幅回路は、
    ソースが基準電位に接続され、ドレインが前記第1のトランジスタのドレインに接続され、ゲートに前記入力信号が入力される高周波増幅素子を備える
    ことを特徴とする電力増幅器。
  2. 半導体素子によって構成され電力増幅する電力増幅回路と、
    前記電力増幅回路に供給される電源を遮断する電源遮断回路と、
    前記電源遮断回路による電源遮断に同期して前記電源遮断回路及び前記電力増幅回路に残留する電荷を放電する放電回路と、
    を備え、
    入力信号を増幅する増幅時以外の電源供給が第1のドレイン電源制御信号によって遮断される電力増幅器であって、
    前記電源遮断回路は、
    ソースが電源に接続され、ゲートに前記第1のドレイン電源制御信号が入力される第1導電型の第1のトランジスタを備え、
    前記放電回路は、
    ソースが基準電位に接続され、ドレインがインピーダンス素子を介して第1のトランジスタのドレインに接続され、ゲートに前記第1のドレイン電源制御信号に同期した第2のドレイン電源制御信号が入力される前記第1導電型と異なる第2導電型の第2のトランジスタを備え、
    前記電力増幅回路は、
    ソースが基準電位に接続され、ドレインが前記第1のトランジスタのドレインに接続され、ゲートに前記入力信号が入力される高周波増幅素子を備える
    ことを特徴とする電力増幅器。
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