「第1実施形態」
本発明に係る第1実施形態の硬貨振分装置を図1〜図5を参照して以下に説明する。
図1に示す第1実施形態の硬貨振分装置11は、入金された硬貨を計数して金種別に出金可能に収納する硬貨入出金機等の硬貨処理機に用いられるもので、例えば、入金された硬貨を分類収納する際に、上流側からベルトコンベア(投入手段)12で搬送されて投入される硬貨Cを受け取って、次の搬送先である収納箱14の三カ所以上具体的には四カ所の収納部(受入手段)13A,13B,13C,13Dに選択的に振り分けるものである。
第1実施形態の硬貨振分装置11は、図2にも示すように、円筒部16と、円筒部16の軸線方向の一端部から円筒部16と連続し且つ同軸をなして先細状に突出する円錐状の円錐部17とからなるシュート部材(振分手段)18を有している。このシュート部材18には、円錐部17の円筒部16とは反対側の頂点近傍に、硬貨の通過が可能な大きさの放出穴19が一カ所のみ形成されている。
このシュート部材18は、図1に示すように、ベルトコンベア12の端末位置の下方に、ベルトコンベア12の端末位置から落下する硬貨を受け入れ可能となるように、円筒部16を上側に円錐部17を下側にした状態でこれらの中心線が鉛直に沿うようにして硬貨処理機の図示略の機体側に支持されている。ここで、シュート部材18は、その中心線を中心として回転可能となるように機体側に支持されている。また、シュート部材18は、図2に示すように、円筒部16の内面が、中心線が鉛直に沿う円筒状の硬貨ガイド面16aとなり、円錐部17の内面が、中心線が鉛直に沿う円錐状の硬貨ガイド面17aとなっていて、これらの硬貨ガイド面16a,17aが連続している。
放出穴19は、円錐部17の先端部(下端部)の近傍に設けられており、ベルトコンベア12からシュート部材18に受け入れ円錐部17の硬貨ガイド面17aによって中心側に案内されるすべての硬貨を放出するようになっている。
以上のような形状のシュート部材18は、下向きに頂点を有する円錐部17によって下側に窄まるロート形状をなすことになり、硬貨を放出可能に開口する放出穴19が下部に一カ所のみ形成されている。また、シュート部材18は、中心線が鉛直に沿う円錐状の硬貨ガイド面17aを有し、この硬貨ガイド面17aに斜め下方に向けて放出穴19が形成されている。
図1に示すように、シュート部材18の円筒部16の外周面には、機体側に回転可能に支持された回転ローラ22が当接している。この回転ローラ22は、軸方向の両端部が大径であり、軸方向の中間部が小径であって、大径部分でシュート部材18に当接する。そして、回転ローラ22は小径部分に無端ベルト25が掛けられており、この無端ベルト25は、機体側に支持された回動モータ26に設けられた回転ローラ27にも掛けられている。
よって、回動モータ26で回転ローラ27が駆動されると、無端ベルト25を介して回転ローラ22が駆動され、当接するシュート部材18をその中心軸を中心に回転させることになり、その結果、シュート部材18の放出穴19の位置を鉛直方向を軸として水平方向に円弧状の軌跡で変位させる。シュート部材18には、その回転位置を検出する図示略の回転位置センサが設けられている。これら回動モータ26、回転ローラ27、無端ベルト25、回転ローラ22および図示略の回転位置センサが、シュート部材18を回転させることで放出穴19の位置を水平方向に変位させて、振り分け先と同数の四カ所の停止位置に停止させるシュート部材駆動機構(放出穴変位手段)30を構成している。このシュート部材駆動機構30は、その回動モータ26が図示略の制御部によって制御される。なお、回動モータ26は正逆回転可能となっており、シュート部材駆動機構30は、シュート部材18を基本的に一定速度で時計回りおよび反時計回りに回転させる。
ここで、シュート部材18の鉛直下方には、シュート部材18の中心線を中心として中心線から等距離の位置に、上部が開口する有底角筒状の上記した収納部13A〜13Dの四つが受口を上側にして配置されている。
これにより、制御部が回動モータ26を適宜制御することで、シュート部材18を回動させることになり、放出穴19を、図1に示すように収納部13Aの上方に配置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Aのみに向け放出させる第1放出位置と、図3に示すように収納部13Bの上方に配置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Bのみに向け放出させる第2放出位置と、収納部13Cの上方に配置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Cのみに向け放出させる第3放出位置と、収納部13Dの上方に配置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Dのみに向け放出させる第4放出位置の、水平方向に異なる四カ所の放出位置に変位させることになる。
なお、ベルトコンベア12の端末位置には、硬貨の通過を検出する図示略の投入センサが設けられており、投入センサがONからOFFとなり再びON(ONは該当するセンサが通光状態を、またOFFは該当するセンサが硬貨によって遮光される状態を示す。以下も同様)になると一枚の硬貨がベルトコンベア12の端末位置に位置したことを検出する。また、シュート部材18の放出穴19の位置にも、硬貨の通過を検出する図示略の放出センサが設けられており、この放出センサがONからOFFとなり再びONになると一枚の硬貨がシュート部材18から放出されたことを検出する。さらに、収納部13A〜13Dのそれぞれの受口にも硬貨の通過を検出する図示略の受取センサが設けられており、受取センサがONからOFFとなり再びONになると一枚の硬貨をシュート部材18から収納部13A〜13Dの対応するものに受け取ったことを検出する。
ここで、制御部は、図1に示すように放出穴19を第1放出位置(所定の一の放出位置,ニュートラル位置)に位置させる状態をシュート部材駆動機構30の待機状態としている。そして、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を収納部13Aに収納する際には、放出穴19を第1放出位置のままとすることになる。すると、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、円錐部17の硬貨ガイド面17aで下部中央に案内され、下部中央近傍に形成された放出穴19から放出されて、収納部13Aに収納される。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を収納部13Bに収納する際には、図3に示すように回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第1放出位置にあった放出穴19を第2放出位置に変位させることになる。すると、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、円錐部17の硬貨ガイド面17aで下部中央に案内され放出穴19から放出されて、収納部13Bに収納される。収納部13Bに収納すべき硬貨がすべて収納部13Bに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第2放出位置にあった放出穴19を第1放出位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を収納部13Cに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第1放出位置にあった放出穴19を第3放出位置に変位させることになる。すると、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、円錐部17の硬貨ガイド面17aで下部中央に案内され放出穴19から放出されて、収納部13Cに収納される。収納部13Cに収納すべき硬貨がすべて収納部13Cに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第3放出位置にあった放出穴19を第1放出位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を収納部13Dに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第1放出位置にあった放出穴19を第4放出位置に変位させることになる。すると、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、円錐部17の硬貨ガイド面17aで下部中央に案内され放出穴19から放出されて、収納部13Dに収納される。収納部13Dに収納すべき硬貨がすべて収納部13Dに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第4放出位置にあった放出穴19を第1放出位置に戻すことになる。なお、制御部は、シュート部材18の回転量が最小になるように、回動モータ26の回転方向を制御する。
例えば、硬貨処理機に入金された硬貨は、ベルトコンベア12よりも上流側で識別計数され、正常と識別されなかった硬貨は、図示せぬリジェクト部から機外に取り出し可能に排除され、正常と識別された硬貨のみが所定の間隔をあけて一列状に並べられてベルトコンベア12で搬送されてくる。その際に、制御部は、正常と識別された硬貨のそれぞれに対して識別結果である金種・正損等の情報を関連付けして図示せぬ記憶部に記憶する。
そして、制御部は、図示略の投入センサでベルトコンベア12の端末位置に位置した対象硬貨を検出すると、記憶部からこの対象硬貨の金種・正損等の情報を読み出すとともに、その結果に応じてベルトコンベア12を必要により停止させて、その結果に応じた適宜の位置にシュート部材18を回転させた後、ベルトコンベア12を、端末位置からのこの対象硬貨のみの放出が可能な量だけ駆動して、この対象硬貨をベルトコンベア12から落下させる。そして、この対象硬貨の放出穴19の通過を放出センサで検出し、この対象硬貨の収納部13A〜13Dの振分先のものの受口の通過を受取センサで検出すると、制御部は、この対象硬貨の振り分け終了を判断して、次の硬貨の振り分けを行う。
より具体的に、例えば、収納部13Aが500円硬貨専用、収納部13Bが100円硬貨専用、収納部13Cが50円硬貨専用、収納部13Dがその他の硬貨混合用とする振り分けモードが予め記憶部に記憶されている場合、制御部は、図示略の投入センサでベルトコンベア12の端末位置に位置した対象硬貨を検出すると、記憶部からこの対象硬貨の金種・正損等の情報を読み出し、その結果が500円硬貨であると、シュート部材18を回転させず、放出穴19を第1放出位置に位置させた状態のまま、ベルトコンベア12を、端末位置からのこの対象硬貨のみの放出が可能な量だけ駆動して、この対象硬貨をベルトコンベア12から落下させる。すると、この対象硬貨がシュート部材18内を通って第1放出位置にある放出穴19から放出される。この対象硬貨を、放出センサで検出し、収納部13Aの受取センサで検出すると、制御部は、この対象硬貨の振り分け終了を判断する。
また、制御部は、図示略の投入センサでベルトコンベア12の端末位置に位置した次の対象硬貨を検出すると、記憶部からこの対象硬貨の金種・正損等の情報を読み出し、その結果が100円硬貨であると、シュート部材18を回転させて、放出穴19を第2放出位置に位置させて、ベルトコンベア12を、端末位置からのこの対象硬貨のみの放出が可能な量だけ駆動して、この対象硬貨をベルトコンベア12から落下させる。すると、この対象硬貨がシュート部材18内を通って第2放出位置にある放出穴19から放出される。この対象硬貨を、放出センサで検出し、収納部13Bの受取センサで検出すると、制御部は、シュート部材18を待機位置に戻し、この対象硬貨の振り分け終了を判断して、次の硬貨の振り分けを行う。
また、制御部は、図示略の投入センサで検出した硬貨が50円硬貨であると、シュート部材18を回転させて、放出穴19を第3放出位置に位置させて、この対象硬貨をベルトコンベア12から落下させ、この対象硬貨を、放出センサで検出し、収納部13Cの受取センサで検出すると、制御部は、シュート部材18を待機位置に戻し、この対象硬貨の振り分け終了を判断して、次の硬貨の振り分けを行う。
また、制御部は、図示略の投入センサで検出した硬貨が上記以外の硬貨であると、シュート部材18を回転させて、放出穴19を第4放出位置に位置させて、この対象硬貨をベルトコンベア12から落下させ、この対象硬貨を、放出センサで検出し、収納部13Dの受取センサで検出すると、制御部は、シュート部材18を待機位置に戻し、この対象硬貨の振り分け終了を判断して、次の硬貨の振り分けを行う。
なお、図示略の投入センサでベルトコンベア12の端末位置に位置した対象硬貨を検出し、その金種を判断してから、シュート部材18を回転させることになるため、ベルトコンベア12からの硬貨の放出までに、シュート部材18の回転終了が間に合わなければ、ベルトコンベア12をシュート部材18の回転終了まで一旦停止させて放出を待機することになる。また、前の硬貨の振り分け終了よりも次の硬貨の投入センサでの検出が早い場合も、前の硬貨の振り分けが終了するまでベルトコンベア12を一旦停止させることになる。
以上に述べた第1実施形態の硬貨振分装置11によれば、下側に窄まる形状をなすシュート部材18の下部にあって硬貨を放出可能に開口する放出穴19を、シュート部材駆動機構30が、水平方向に異なる四カ所の第1〜第4放出位置に変位させることで、四カ所の収納部13A〜13Dに硬貨を選択的に振り分けるため、上下に複数段の振り分けが不要となり、振り分けのための駆動源も一つで済む。したがって、上下方向の大型化およびコスト増を抑制することができる。
また、ベルトコンベア12、シュート部材18およびシュート部材駆動機構30が鉛直方向や水平方向に移動する仕組みではなく、放出穴19を含むシュート部材18が回動するだけの仕組みであるため、停止時および動作時でスペース的に変化がなく、スペース効率を向上できる。
また、シュート部材18が、鉛直に沿う円錐状の硬貨ガイド面17aを有し、硬貨ガイド面17aに斜め下方に向けて放出穴19が形成されているため、シュート部材18自体をコンパクトにできる。
また、シュート部材駆動機構30が、シュート部材18を回転させることで一カ所のみ形成された放出穴19を四カ所の放出位置に変位させるため、簡素な構成で放出穴19を変位させることができる。
また、制御部がシュート部材駆動機構30を制御するため、目的に応じて硬貨の振り分けが制御可能となる。例えば、収納部13Aが満杯になった場合に、収納部13Bに硬貨を収納し、収納部13Bが満杯になった場合に、収納部13Cに硬貨を収納し、収納部13Cが満杯になった場合に、収納部13Dに硬貨を収納する等の制御が可能となる。
また、制御部が、放出穴19を所定の第1放出位置に位置させる状態をシュート部材駆動機構30の待機状態とするため、待機状態のまま何らかの理由で想定外にシュート部材18で硬貨を案内する状態が生じても、硬貨の行き先が一定することになり、後処理が容易となる。つまり、待機位置にあるシュート部材18の放出穴19から硬貨を受け入れる収納部13Aを正常処理できていない未確定の硬貨用の収納部とし、他の収納部13B〜13Dを正常処理できた硬貨の収納部とすれば、電源ONイニシャル終了時や取引終了時には、必ず待機状態となる制御を行うことによって、例えば、駆動電源がONしていない状態や硬貨ジャムの異常復旧処理状態等において、手回しノブでベルトコンベア12が手動操作されることで、ベルトコンベア12から硬貨が落下することがあっても、硬貨の行き先が未確定硬貨用の収納部13Aで一定することになり、後処理が容易となる。
なお、シュート部材駆動機構30は、振分先の数に応じてこの数と同じ数の放出位置に、シュート部材18の放出穴19を位置させれば良く、振分先が三カ所以上であれば、上下方向の大型化およびコスト増を抑制することができる。
例えば、図4に示すように、六カ所の収納部13A〜13Fに硬貨を選択的に振り分ける際には、放出穴19を水平方向に異なる六カ所の第1〜第6放出位置に変位させることになる。この場合、例えば、第1放出位置での振り分け先である収納部13Aを500円硬貨専用、第2放出位置での振り分け先である収納部13Bを100円硬貨専用、第3放出位置での振り分け先である収納部13Cを50円硬貨専用、第4放出位置での振り分け先である収納部13Dを10円硬貨専用、第5放出位置での振り分け先である収納部13Eを5円硬貨専用、第6放出位置での振り分け先である収納部13Fを1円硬貨専用として、全金種を金種別に収納することができる。また、収納部13Aを500円硬貨専用、収納部13Bを100円硬貨専用、収納部13Cを50円硬貨専用、収納部13Dを10円硬貨専用、収納部13Eを5円硬貨および1円硬貨兼用、収納部13Fをオーバーフローのすべての金種の硬貨混合用としても良い。
また、図5に示すように、シュート部材18の下側に、第1〜第4放出位置のうちの一カ所に位置する放出穴19から放出された硬貨を収納部13A〜13Dの対応する一つに案内する案内部材(案内手段)33A〜33Dを、機体に対し固定で、第1〜第4放出位置それぞれに設けても良い。このような構造とすれば、振り分けの自由度が増す。つまり、例えば、収納部13A〜13Dを任意の位置に配置したり、後で変更したりしても、合わせて案内部材33A〜33Dを変更すれば、硬貨を四カ所の収納部13A〜13Dに確実に振り分けることができる。さらに、振り分け数を拡大することで、確実な振り分けが困難な状況となる場合でも、合わせて案内部材を増設すれば、確実に振り分けることができる。なお、案内部材33A〜33Dは、機体に対し固定で回動することがないため、硬貨の案内をより確実にするためにそれぞれの下端部を収納部13A〜13D内の対応するものの中に入り込ませることができる。
加えて、シュート部材18を放出穴19を含まない上部材と、放出穴19を含む下部材とに分割し、下部材のみをシュート部材駆動機構30で回転させるようにしても良い。この場合、シュート部材駆動機構30による駆動の負荷を小さくすることができる。
また、回転ローラ22の大径部分にギヤ部を形成し、シュート部材18にこれに噛み合うギヤ部を形成して、これらの間で滑りなく駆動力を伝達するようにしても良い。加えて、回転ローラ22の小径部分にギヤ部を形成し、回転ローラ27にもギヤ部を形成して、無端ベルト25をタイミングベルトとして、これらの間で滑りなく駆動力を伝達するようにしても良い。
「第2実施形態」
本発明に係る第2実施形態の硬貨振分装置を主に図6を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第2実施形態の硬貨振分装置11は、第1実施形態と同様、上流からベルトコンベア12で搬送されてきた硬貨を受け取って四カ所の収納部13A〜13Dに選択的に振り分けるものである。
第2実施形態の硬貨振分装置11は、シュート部材18の円錐部17に、振分先の数と同じ四カ所(三カ所以上)、硬貨の通過が可能な大きさのベース穴40A,40B,40C,40Dが形成されている。これらベース穴40A〜40Dは、円錐部17の先端部(下端部)の近傍に設けられており、シュート部材18の中心線方向の一定位置であって、円周方向の均等分割位置に形成されている。
第2実施形態のシュート部材18は、ベルトコンベア12の端末位置の下方に、円筒部16を上側に円錐部17を下側にした状態でこれらの中心線が鉛直に沿うようにして硬貨処理機の図示略の機体側に回転不可に固定されている。
ここで、第2実施形態のシュート部材18のベース穴40A〜40Dは、上記した収納部13A〜13Dに一対一で対応配置されている。つまり、ベース穴40Aは、収納部13Aの上方に位置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Aのみに向け放出させる第1放出位置に設けられており、ベース穴40Bは、収納部13Bの上方に位置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Bのみに向け放出させる第2放出位置に設けられており、ベース穴40Cは、収納部13Cの上方に位置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Cのみに向け放出させる第3放出位置に設けられており、ベース穴40Dは、収納部13Dの上方に位置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Dのみに向け放出させる第4放出位置に設けられている。
また、第2実施形態の硬貨振分装置11は、シュート部材18の円錐部17と同形状をなすことで円錐部17を上側から覆う円錐状の開閉部材(放出穴変位手段)41がシュート部材18の内側に設けられている。この開閉部材41には、硬貨の通過が可能な大きさでありベース穴40A〜40Dに対して選択的に合致可能な選択穴42が一カ所のみ形成されている。シュート部材18の円錐部17の下端には選択モータ46が取り付けられており、この選択モータ46の回転軸47が、シュート部材18の下端部を貫通して開閉部材41の下端部に連結されている。これにより、開閉部材41は、その中心線を回転中心として回転可能となるようにシュート部材18に支持されている。ここでは、開閉部材41の内面が、中心線が鉛直に沿う円錐状の硬貨ガイド面41aとなり、この硬貨ガイド面41aが円筒部16の硬貨ガイド面16aと略連続している。
ここで、図6に示すようにベース穴40Aと選択穴42とが合致した状態で、残りのすべてのベース穴40B〜40Dは開閉部材41で閉塞されることになり、ベース穴40Aと選択穴42とが、硬貨を放出可能に開口する放出穴45を構成する。また、ベース穴40Bと選択穴42とが合致した状態で、残りのすべてのベース穴40A,40C,40Dは開閉部材41で閉塞されることになり、ベース穴40Bと選択穴42とが、硬貨を放出可能に開口する放出穴45を構成する。また、ベース穴40Cと選択穴42とが合致した状態で、残りのすべてのベース穴40A,40B,40Dは開閉部材41で閉塞されることになり、ベース穴40Cと選択穴42とが、硬貨を放出可能に開口する放出穴45を構成する。また、ベース穴40Dと選択穴42とが合致した状態で、残りのすべてのベース穴40A〜40Cは開閉部材41で閉塞されることになり、ベース穴40Dと選択穴42とが、硬貨を放出可能に開口する放出穴45を構成する。放出穴45は、ベース穴40A〜40Dのいずれで形成されても、ベルトコンベア12からシュート部材18に受け入れ開閉部材41の硬貨ガイド面41aによって中心側に案内されるすべての硬貨を放出するようになっている。
以上のような二重構造をなすシュート部材18および開閉部材41は、円錐部17および開閉部材41によって下側に窄まる形状をなすことになり、シュート部材18には、放出穴45を構成可能なベース穴40A〜40Dが三カ所以上の第1放出位置〜第4放出位置それぞれに形成されている。また、開閉部材41は、回動することにより選択的に三カ所以上のベース穴40A〜40Dのうち一つのベース穴を放出穴45として開口させ、残り全部のベース穴を閉塞する。
よって、選択モータ46が駆動されると、開閉部材41が回転して選択穴42の位置を水平方向に変位させる。その結果、ベース穴40A〜40Dのいずれか一つと選択穴42とが合致することで形成される放出穴45が水平方向に変位する。開閉部材41には、選択穴42の回転位置を検出する図示略の回転位置センサが設けられている。よって、選択モータ46および図示略の回転位置センサが、開閉部材41を回動させることで、放出穴45を三カ所以上の第1〜第4放出位置に変位させる開閉部材回動機構(開閉部材回動手段,放出穴変位手段)48を構成している。開閉部材回動機構48は、その選択モータ46が制御部によって制御される。なお、選択モータ46は正逆回転可能となっており、開閉部材回動機構48は、開閉部材41を一定速度で時計回りおよび反時計回りに回転させる。
制御部が選択モータ46を適宜制御することで、開閉部材41を回転させることになり、放出穴45を、収納部13Aの鉛直上方に配置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Aのみに向け放出させる第1放出位置と、収納部13Bの鉛直上方に配置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Bのみに向け放出させる第2放出位置と、収納部13Cの鉛直上方に配置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Cのみに向け放出させる第3放出位置と、収納部13Dの鉛直上方に配置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Dのみに向け放出させる第4放出位置の、水平方向に異なる四カ所の放出位置に変位させることになる。
第2実施形態でも、制御部は、ベース穴40Aと選択穴42とを合致させて放出穴45を第1放出位置(所定の一の放出位置)に位置させる状態を開閉部材回動機構48の待機状態としている。そして、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を収納部13Aに収納する際には、放出穴45を第1放出位置のままとすることになる。すると、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、開閉部材41の硬貨ガイド面41aで下部中央に案内され、下部中央近傍に形成された放出穴45から放出されて、収納部13Aに収納される。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を収納部13Bに収納する際には、選択モータ46によって開閉部材41を所定角度回転させることになり、ベース穴40Bと選択穴42とを合致させて放出穴45を第2放出位置に変位させることになる。すると、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、開閉部材41の硬貨ガイド面41aで下部中央に案内され放出穴45から放出されて、収納部13Bに収納される。収納部13Bに収納すべき硬貨がすべて収納部13Bに収納されると、制御部は、選択モータ46によって開閉部材42を所定角度回転させて第2放出位置にあった放出穴45を第1放出位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を収納部13Cに収納する際には、選択モータ46によって開閉部材41を所定角度回転させることになり、ベース穴40Cと選択穴42とを合致させて放出穴45を第3放出位置に変位させることになる。すると、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、開閉部材41の硬貨ガイド面41aで下部中央に案内され放出穴45から放出されて、収納部13Cに収納される。収納部13Cに収納すべき硬貨がすべて収納部13Cに収納されると、制御部は、選択モータ46によって開閉部材41を所定角度回転させて第3放出位置にあった放出穴45を第1放出位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を収納部13Dに収納する際には、選択モータ46によって開閉部材41を所定角度回転させることになり、ベース穴40Dと選択穴42とを合致させて放出穴45を第4放出位置に変位させることになる。すると、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、開閉部材41の硬貨ガイド面41aで下部中央に案内され放出穴45から放出されて、収納部13Dに収納される。収納部13Dに収納すべき硬貨がすべて収納部13Dに収納されると、制御部は、選択モータ46によって開閉部材41を所定角度回転させて第4放出位置にあった放出穴45を第1放出位置に戻すことになる。なお、制御部は、開閉部材41の回転量が最小になるように、選択モータ46の回転方向を制御する。
以上に述べた第2実施形態の硬貨振分装置11によれば、下側に窄まる形状をなすシュート部材18の下部にあって硬貨を放出可能に開口する放出穴45を、開閉部材41および開閉部材回動機構48が、水平方向に異なる四カ所の第1〜第4放出位置に変位させることで、四カ所の収納部13A〜13Dに硬貨を選択的に振り分けるため、上下方向の大型化およびコスト増を抑制することができる。
また、シュート部材18および開閉部材41が、鉛直に沿う円錐状の硬貨ガイド面41aを有し、硬貨ガイド面41aに斜め下方に向けて放出穴45が形成されているため、シュート部材18および開閉部材41自体をコンパクトにできる。
また、開閉部材回動機構48は、開閉部材41を回動させることにより、シュート部材18の四カ所の放出位置それぞれに形成されたベース穴40A〜40Dのうち一つのベース穴を放出穴45として開口させ、残り全部のベース穴を閉塞するため、開閉部材41のみを回動させれば良く、駆動源を小型化および低コスト化することができる。
また、制御部が、放出穴45を所定の第1放出位置に位置させる状態を開閉部材41および開閉部材回動機構48の待機状態とするため、待機状態のまま何らかの理由で想定外にシュート部材18で硬貨を案内する状態が生じても、硬貨の行き先が一定することになり、後処理が容易となる。
なお、第1実施形態と同様に、シュート部材18、開閉部材41および開閉部材回動機構48は、振分先の数に応じてこの数と同じ数の放出位置に、放出穴45を位置させれば良く、振分先が三カ所以上であれば、上下方向の大型化およびコスト増を抑制することができる。例えば、六カ所の収納部に硬貨を選択的に振り分ける際には、六カ所のベース穴を形成するとともにこれらに選択的に合致可能な選択穴を開閉部材に形成することで、水平方向に異なる六カ所の第1〜第6放出位置に放出穴45を変位させることになる。
また、第1実施形態と同様に、シュート部材18の下側に、第1〜第4放出位置のうちの一カ所に位置する放出穴45から放出された硬貨を収納部13A〜13Dの対応する一つに案内する案内部材33A〜33Dを、第1〜第4放出位置それぞれに設けることで、収納部13A〜13Dがシュート部材18から離れていても、硬貨を四カ所の収納部13A〜13Dに確実に振り分けるようにしても良い。この場合、非回転のシュート部材18で案内部材33A〜33Dを支持することができる。
「第3実施形態」
本発明に係る第3実施形態の硬貨振分装置を主に図7〜図11を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
図7に示す第3実施形態の硬貨振分装置11は、第1実施形態と同様、図8に示すように、上流からベルトコンベア12で搬送されてきた硬貨を受け取って四カ所の収納部13A〜13Dに選択的に振り分けるものであり、シュート部材18が第1実施形態と相違している。
つまり、第3実施形態のシュート部材18は、図7に示すように、上部の円筒部16と、円筒部16の軸線方向の一端部から円筒部16と連続して下方に先細状に突出する窄部50とからなっている。窄部50は円筒部16側の端部が円筒部16と同軸の円形状をなしており、円筒部16とは反対側の端部が水平に沿い且つその中心が円筒部16の中心に対して水平方向にオフセットしている。
第3実施形態のシュート部材18は、ベルトコンベア12の端末位置の下方に、円筒部16の中心線が鉛直に沿うようにして硬貨処理機の図示略の機体側に支持されている。ここで、シュート部材18は、円筒部16の中心線を回転中心として回転可能となるように機体側に支持されている。
窄部50の先端部(下端部)に鉛直下方に開口するように放出穴51が設けられており、放出穴51は、ベルトコンベア12からシュート部材18に受け入れ窄部50の硬貨ガイド面50aによって放出穴51側に案内されるすべての硬貨を放出するようになっている。
以上のような形状のシュート部材18は、窄部50によって下側に窄まるロート形状をなすことになり、硬貨を放出可能に開口する放出穴51が下部に一カ所のみ形成されている。また、シュート部材18の窄部50の内側の硬貨ガイド面50aは、最上部の中心に対して最下部の中心が水平方向にオフセットしており、この硬貨ガイド面50aの最下部に鉛直下方に向けて、硬貨の通過が可能な大きさの放出穴51が一カ所のみ形成されている。また、シュート部材18は、放出穴51が形成されたその最下部が最上部の中心延伸上から外側に偏って配設される形状となっている。
ここで、シュート部材18の鉛直下方には、図8に示すように、シュート部材18の円筒部16の中心線を中心として中心線から等距離の位置に、上部が開口する有底角筒状の上記した収納部13A〜13Dの四つが配置されている。
これにより、制御部がシュート部材駆動機構30の回動モータ26を適宜制御することで、シュート部材18を回転させることになり、放出穴51を、収納部13Aの鉛直上方に配置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Aのみに向け放出させる第1放出位置と、収納部13Bの鉛直上方に配置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Bのみに向け放出させる第2放出位置と、収納部13Cの鉛直上方に配置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Cのみに向け放出させる第3放出位置と、収納部13Dの上方に配置してベルトコンベア12からシュート部材18に落下する硬貨を収納部13Dのみに向け放出させる第4放出位置の、水平方向に異なる四カ所の放出位置に変位させることになる。
ここで、制御部は、放出穴51を第1放出位置(所定の一の放出位置)に位置させる状態をシュート部材駆動機構30の待機状態としている。そして、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を収納部13Aに収納する際には、放出穴51を第1放出位置のままとすることになる。すると、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、窄部50の硬貨ガイド面50aで下部に設けられた放出穴51に案内され、放出穴51から放出されて、収納部13Aに収納される。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を収納部13Bに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第1放出位置にあった放出穴51を第2放出位置に変位させることになる。すると、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、窄部50の硬貨ガイド面50aで放出穴51側に案内され放出穴51から放出されて、収納部13Bに収納される。収納部13Bに収納すべき硬貨がすべて収納部13Bに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第2放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を収納部13Cに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第1放出位置にあった放出穴51を第3放出位置に変位させることになる。すると、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、窄部50の硬貨ガイド面50aで放出穴51側に案内され放出穴51から放出されて、収納部13Cに収納される。収納部13Cに収納すべき硬貨がすべて収納部13Cに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第3放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を収納部13Dに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第1放出位置にあった放出穴51を第4放出位置に変位させることになる。すると、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、窄部50の硬貨ガイド面50aで放出穴51側に案内され放出穴51から放出されて、収納部13Dに収納される。収納部13Dに収納すべき硬貨がすべて収納部13Dに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第4放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すことになる。なお、制御部は、シュート部材18の回転量が最小になるように、回動モータ26の回転方向を制御する。
以上に述べた第3実施形態の硬貨振分装置11によれば、下側に窄まる形状をなすシュート部材18の下部にあって硬貨を放出可能に開口する放出穴51を、シュート部材駆動機構30が、水平方向に異なる四カ所の第1〜第4放出位置に変位させることで、四カ所の収納部13A〜13Dに硬貨を選択的に振り分けるため、上下方向の大型化およびコスト増を抑制することができる。
また、シュート部材18が、最上部の中心に対して最下部の中心が水平方向にオフセットした硬貨ガイド面50aを有し、最下部に鉛直下方に向けて放出穴51が形成されているため、硬貨を円滑に放出することができる。
また、シュート部材18が、最上部の中心に対して最下部の中心が水平方向にオフセットした硬貨ガイド面50aを有し、最下部に鉛直下方に向けて放出穴51が形成されているため、放出穴51の変位の円弧軌跡を広げることができ、振り分けの自由度が増す。
なお、第1実施形態と同様、シュート部材駆動機構30は、振分先の数に応じてこの数と同じ数の放出位置に、シュート部材18の放出穴51を位置させれば良く、振分先が三カ所以上であれば、上下方向の大型化およびコスト増を抑制することができる。
また、シュート部材18の窄部50の全体形状を、図9に示すように、その内側の硬貨ガイド面50aの最下部が最上部よりも水平方向外側までオフセットする形状としても良い。あるいは、図10に示すように、上記した窄部50にその突出方向に延長して円筒状の案内部56を設け、この案内部56の下端部に放出穴51を形成することによって、硬貨ガイド面50aの最下部を最上部よりも水平方向外側までオフセットさせても良い。これらのように、硬貨ガイド面50aの最下部を最上部よりも水平方向外側までオフセットさせる構造とすれば、放出穴51をシュート部材18の最上部の外径を超える円弧軌跡で移動させることができ、より外側にある収納部13A〜13Dに対しても硬貨を振り分けることができる。
また、図11に示すように、シュート部材18の下側に、第1〜第4放出位置のうちの一カ所に位置する放出穴51から放出された硬貨を収納部13A〜13Dの対応する一つに案内する円筒状の案内部材(案内手段)33A〜33Dを、第1〜第4放出位置それぞれに設けて、硬貨を四カ所の収納部13A〜13Dに確実に振り分けるようにしても良い。この場合、シュート部材18の下端に下方に向けて放出穴51が形成されているため、案内部材33A〜33Dとシュート部材18との干渉を考慮する必要がなく、案内部材33A〜33Dの配置の自由度が高くなり、その結果、収納部13A〜13Dの配置の自由度も高くなる。
「第4実施形態」
本発明に係る第4実施形態の硬貨振分装置を主に図12を参照して第3実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第3実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第4実施形態の硬貨振分装置11は、シュート部材18が第3実施形態と相違している。
つまり、第4実施形態のシュート部材18は、上部に第3実施形態と同様の硬貨ガイド面16aが形成された円筒状部材53と、円筒状部材53の下部の内側に第3実施形態と同様の硬貨ガイド面50aを形成する別体の窄部材54とで形成されている。
このように、シュート部材18が、硬貨ガイド面16aを形成する円筒状部材53と、その下部内側に設けられて硬貨ガイド面50aを形成する窄部材54とを有する構造とすることで、製造が容易となる。
また、窄部材54は、シュート部材18の外部の形状を規定する円筒状部材53とは無関係に、硬貨ガイド面50aの形状を補正する補正部材としての役割を果たすことになり、シュート部材18の外形形状を特定の形状に限定しなくても良くなり、自由度が増すことになる。
なお、第3実施形態のシュート部材18に対して円筒部16と連続するように窄部50のみを覆う円筒状部材を設けて、全体の外形を円筒状としても良い。
「第5実施形態」
本発明に係る第5実施形態の硬貨振分装置を主に図13〜図16を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
図13および図14に示す第5実施形態の硬貨振分装置11は、第1実施形態と同様、図15および図16に示すように上流からベルトコンベア12で搬送されてきた硬貨を受け取って四カ所の収納部13A〜13Dに選択的に振り分けるもので、図13に示すように、円筒部16と円錐部17とからなるシュート部材18を有している。
第5実施形態の硬貨振分装置11は、シュート部材18の円錐部17と同形状をなすことで円錐部17を上側から覆う円錐状の規制部材(規制手段)61をシュート部材18の内側に有している。この規制部材61には、硬貨の通過が可能な大きさであり放出穴19に対して合致可能な開放穴62が一カ所のみ形成されている。シュート部材18の下側には開閉モータ63が取り付けられており、開閉モータ63の回転軸64はシュート部材18の下端部を貫通して規制部材61の下端部に固定されている。これにより、規制部材61は、その中心線を回転中心として回転可能となるようにシュート部材18に支持されており、開閉モータ63で駆動されてシュート部材18に対して回動する。ここで、規制部材61の内面が、中心線が鉛直に沿う円錐状の硬貨ガイド面61aとなり、この硬貨ガイド面61aが円筒部16の硬貨ガイド面16aと略連続している。
放出穴19および開放穴62は、互いに合致した状態で、斜め下方に開口することになり、ベルトコンベア12からシュート部材18に受け入れ規制部材61の硬貨ガイド面61aによって中心側に案内されるすべての硬貨を放出するようになっている。他方、放出穴19と開放穴62とがずれた状態では、放出穴19が規制部材61で閉塞され硬貨の放出が規制される。
以上のような形状のシュート部材18および規制部材61は、円錐部17および規制部材61によって下側に窄まる形状をなすことになる。
第5実施形態において、制御部は、図15に示すように放出穴19を第1放出位置(所定の一の放出位置)に位置させる状態を図13に示すシュート部材駆動機構30の待機状態としており、放出穴19を閉塞する位置を開閉モータ63および規制部材61の待機状態としている。そして、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨をシュート部材18内に一時貯留させる場合は、シュート部材駆動機構30および規制部材61を待機状態とする。すると、放出穴19が規制部材61で閉塞されていることから、硬貨をシュート部材18内に一時貯留させることができる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を、シュート部材18内に一時貯留させることなく収納部13Aに収納する際には、図15に示すように、放出穴19を第1放出位置のままとして、開閉モータ63により規制部材61を所定角度回転させて放出穴19と開放穴62とを合致させて放出穴19を開口させることになる。この状態では、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、規制部材61の硬貨ガイド面61aで下部中央に案内され、下部中央近傍に形成された放出穴19および開放穴62から放出されて、収納部13Aに収納される。収納部13Aに収納すべき硬貨がすべて収納部13Aに収納されると、制御部は、開閉モータ63によって規制部材61を所定角度回転させて放出穴19から開放穴62をずらして放出穴19を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、シュート部材18内に一時貯留させている硬貨を収納部13Aに収納する際には、放出穴19を第1放出位置のままとして、開閉モータ63により規制部材61を所定角度回転させて放出穴19と開放穴62とを合致させて放出穴19を開口させることになる。すると、シュート部材18内に一時貯留されていた硬貨が、放出穴19および開放穴62から放出されて、収納部13Aに収納される。収納部13Aに収納すべき硬貨がすべて収納部13Aに収納されると、制御部は、開閉モータ63によって規制部材61を所定角度回転させて放出穴19から開放穴62をずらして放出穴19を閉塞する待機位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を、シュート部材18内に一時貯留させることなく収納部13Bに収納する際には、シュート部材駆動機構30の回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴19を第2放出位置に位置させるとともに、これと並行して開閉モータ63により規制部材61を回転させて放出穴19と開放穴62とを合致させて放出穴19を開口させることになる。この状態では、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下する硬貨が、規制部材61の硬貨ガイド面61aで下部中央に案内され、放出穴19および開放穴62から放出されて、収納部13Bに収納される。収納部13Bに収納すべき硬貨がすべて収納部13Bに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第2放出位置にあった放出穴19を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ63によって規制部材61を所定角度回転させて放出穴19から開放穴62をずらして放出穴19を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、シュート部材18内に一時貯留させている硬貨を収納部13Bに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴19を第2放出位置に位置させた後、開閉モータ63により規制部材61を回転させて放出穴19と開放穴62とを合致させて放出穴19を開口させることになる。すると、シュート部材18内に一時貯留されていた硬貨が、放出穴19および開放穴62から放出されて、収納部13Bに収納される。収納部13Bに収納すべき硬貨がすべて収納部13Bに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第2放出位置にあった放出穴19を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ63によって規制部材61を所定角度回転させて放出穴19から開放穴62をずらして放出穴19を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を、シュート部材18内に一時貯留させることなく収納部13Cに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴19を第3放出位置に位置させるとともに、これと並行して開閉モータ63により規制部材61を回転させて放出穴19と開放穴62とを合致させて放出穴19を開口させることになる。この状態では、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下する硬貨が、規制部材61の硬貨ガイド面61aで下部中央に案内され、放出穴19および開放穴62から放出されて、収納部13Cに収納される。収納部13Cに収納すべき硬貨がすべて収納部13Cに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第3放出位置にあった放出穴19を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ63によって規制部材61を所定角度回転させて放出穴19から開放穴62をずらして放出穴19を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、シュート部材18内に一時貯留させている硬貨を収納部13Cに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴19を第3放出位置に位置させた後、開閉モータ63により規制部材61を回転させて放出穴19と開放穴62とを合致させて放出穴19を開口させることになる。すると、シュート部材18内に一時貯留されていた硬貨が、放出穴19および開放穴62から放出されて、収納部13Cに収納される。収納部13Cに収納すべき硬貨がすべて収納部13Cに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第3放出位置にあった放出穴19を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ63によって規制部材61を所定角度回転させて放出穴19から開放穴62をずらして放出穴19を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を、シュート部材18内に一時貯留させることなく収納部13Dに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴19を第4放出位置に位置させるとともに、これと並行して開閉モータ63により規制部材61を回転させて放出穴19と開放穴62とを合致させて放出穴19を開口させることになる。この状態では、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下する硬貨が、規制部材61の硬貨ガイド面61aで下部中央に案内され、放出穴19および開放穴62から放出されて、収納部13Dに収納される。収納部13Dに収納すべき硬貨がすべて収納部13Dに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第4放出位置にあった放出穴19を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ63によって規制部材61を所定角度回転させて放出穴19から開放穴62をずらして放出穴19を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、シュート部材18内に一時貯留させている硬貨を収納部13Dに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴19を第4放出位置に位置させた後、開閉モータ63により規制部材61を回転させて放出穴19と開放穴62とを合致させて放出穴19を開口させることになる。すると、シュート部材18内に一時貯留されていた硬貨が、放出穴19および開放穴62から放出されて、収納部13Dに収納される。収納部13Dに収納すべき硬貨がすべて収納部13Dに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第4放出位置にあった放出穴19を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ63によって規制部材61を所定角度回転させて放出穴19から開放穴62をずらして放出穴19を閉塞する位置に戻すことになる。なお、制御部は、シュート部材18および規制部材61の回転量が最小になるように、回動モータ26および開閉モータ63の回転方向を制御する。
以上に述べた第5実施形態の硬貨振分装置11によれば、規制部材61で放出口19からの硬貨の放出を規制することができ、シュート部材18を硬貨の一時貯留部として使用することができる。
具体的には、待機位置にあるシュート部材18の第1放出位置にある放出口19から硬貨を受け入れ可能な収納部13Aをキャンセル用として、シュート部材18で一時貯留した硬貨をキャンセル時には収納部13Aに収納し、キャンセル時以外には他の収納部13B〜13Dに収納する。例えば、所定の一金種の硬貨がベルトコンベア12で搬送されてきた場合に、50枚バッチでシュート部材18に一時貯留させることができる。つまり、一金種の50枚の硬貨をシュート部材18に一時貯留させ、収納部13Bを介して図示略の包装機構に受け渡し、その間に、次の50枚の硬貨をシュート部材18に一時貯留させ、収納部13Cを介して包装機構に受け渡し、その間に、次の50枚の硬貨をシュート部材18で一時貯留させ、収納部13Dを介して包装機構に受け渡し、その間に、次の50枚の硬貨をシュート部材18で一時貯留させ、収納部13Bを介して包装機構に受け渡す、というように順次50枚単位で硬貨を纏め、包装機構に受け渡して棒金とする。この場合、シュート部材18で一時貯留した硬貨が50枚を超えてしまった場合等には、収納部13Aに収納して回収することになる。
「第6実施形態」
本発明に係る第6実施形態の硬貨振分装置を主に図17および図18を参照して第4実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第4実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
図17に示すように、第6実施形態の硬貨振分装置11は、第4実施形態と同様、上流からベルトコンベア12で搬送されてきた硬貨を受け取って四カ所の収納部13A〜13Dに選択的に振り分けるもので、シュート部材18が円筒状部材53と窄部材54とからなっている。
第6実施形態の硬貨振分装置11は、円筒状部材53の下端部に、窄部材54の放出穴51を下側から覆う円板状の規制部材(規制手段)71を有している。この規制部材71には、硬貨の通過が可能な大きさであり放出穴51に対して合致可能な開放穴72が一カ所のみ形成されている。窄部材54の下部には開閉モータ73が取り付けられており、開閉モータ73の回転軸74は規制部材71の中心に固定されている。これにより、規制部材71は、その中心線を回転中心として回転可能となるように窄部材54に支持されており、開閉モータ73で駆動されて窄部材54に対して回動する。
放出穴51および開放穴72は、図17に示すように互いに合致した状態で、鉛直下方に開口することになり、ベルトコンベア12からシュート部材18に受け入れ窄部材54の硬貨ガイド面50aによって放出穴51側に案内されるすべての硬貨を放出するようになっている。他方、図18に示すように放出穴51と開放穴72とがずれた状態では、放出穴51が規制部材71で閉塞され硬貨の放出が規制される。規制部材71は、外側で放出穴51を開閉する。
第6実施形態において、制御部は、放出穴51を第1放出位置(所定の一の放出位置)に位置させる状態をシュート部材駆動機構30の待機状態としており、放出穴51を閉塞する位置を開閉モータ73および規制部材71の待機状態としている。そして、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨をシュート部材18内に一時貯留させる場合は、シュート部材駆動機構30および規制部材71を待機状態とする。すると、放出穴51が規制部材71で閉塞されていることから、硬貨をシュート部材18内に一時貯留させることができる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を、シュート部材18内に一時貯留させることなく収納部13Aに収納する際には、放出穴51を第1放出位置のままとして、開閉モータ73により規制部材71を所定角度回転させて放出穴51と開放穴72とを合致させて放出穴51を開口させることになる。この状態では、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、窄部材54の硬貨ガイド面50aで放出穴51に案内され、放出穴51および開放穴72から放出されて、収納部13Aに収納される。収納部13Aに収納すべき硬貨がすべて収納部13Aに収納されると、制御部は、開閉モータ73によって規制部材71を所定角度回転させて放出穴51から開放穴72をずらして放出穴19を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、シュート部材18内に一時貯留させている硬貨を収納部13Aに収納する際には、放出穴51を第1放出位置のままとして、開閉モータ73により規制部材71を所定角度回転させて放出穴51と開放穴72とを合致させて放出穴51を開口させることになる。すると、シュート部材18内に一時貯留されていた硬貨が、放出穴51および開放穴72から放出されて、収納部13Aに収納される。その後、制御部は、開閉モータ73によって規制部材71を所定角度回転させて放出穴51から開放穴72をずらして放出穴51を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を、シュート部材18内に一時貯留させることなく収納部13Bに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴51を第2放出位置に位置させるとともに、これと並行して開閉モータ73により規制部材71を回転させて放出穴51と開放穴72とを合致させて放出穴51を開口させることになる。この状態では、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下する硬貨が、窄部材54の硬貨ガイド面50aで案内され、放出穴51および開放穴72から放出されて、収納部13Bに収納される。収納部13Bに収納すべき硬貨がすべて収納部13Bに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第2放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ73によって規制部材71を所定角度回転させて放出穴51から開放穴72をずらして放出穴51を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、シュート部材18内に一時貯留させている硬貨を収納部13Bに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴51を第2放出位置に位置させた後、開閉モータ73により規制部材71を回転させて放出穴51と開放穴72とを合致させて放出穴51を開口させることになる。すると、シュート部材18内に一時貯留されていた硬貨が、放出穴51および開放穴72から放出されて、収納部13Bに収納される。その後、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第2放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ73によって規制部材71を所定角度回転させて放出穴51から開放穴72をずらして放出穴51を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を、シュート部材18内に一時貯留させることなく収納部13Cに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴51を第3放出位置に位置させるとともに、これと並行して開閉モータ73により規制部材71を回転させて放出穴51と開放穴72とを合致させて放出穴51を開口させることになる。この状態では、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下する硬貨が、窄部材54の硬貨ガイド面50aで案内され、放出穴51および開放穴72から放出されて、収納部13Cに収納される。収納部13Cに収納すべき硬貨がすべて収納部13Cに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第3放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ73によって規制部材71を所定角度回転させて放出穴51から開放穴72をずらして放出穴51を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、シュート部材18内に一時貯留させている硬貨を収納部13Cに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴51を第3放出位置に位置させた後、開閉モータ73により規制部材71を回転させて放出穴51と開放穴72とを合致させて放出穴51を開口させることになる。すると、シュート部材18内に一時貯留されていた硬貨が、放出穴51および開放穴72から放出されて、収納部13Cに収納される。その後、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第3放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ73によって規制部材71を所定角度回転させて放出穴51から開放穴72をずらして放出穴51を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を、シュート部材18内に一時貯留させることなく収納部13Dに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴51を第4放出位置に位置させるとともに、これと並行して開閉モータ73により規制部材71を回転させて放出穴51と開放穴72とを合致させて放出穴51を開口させることになる。この状態では、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下する硬貨が、窄部材54の硬貨ガイド面50aで案内され、放出穴51および開放穴72から放出されて、収納部13Dに収納される。収納部13Dに収納すべき硬貨がすべて収納部13Dに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第4放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ73によって規制部材71を所定角度回転させて放出穴51から開放穴72をずらして放出穴51を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、シュート部材18内に一時貯留させている硬貨を収納部13Dに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴51を第4放出位置に位置させた後、開閉モータ73により規制部材71を回転させて放出穴51と開放穴72とを合致させて放出穴51を開口させることになる。すると、シュート部材18内に一時貯留されていた硬貨が、放出穴51および開放穴72から放出されて、収納部13Dに収納される。その後、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第4放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ73によって規制部材71を所定角度回転させて放出穴51から開放穴72をずらして放出穴51を閉塞する位置に戻すことになる。なお、制御部は、シュート部材18および規制部材71の回転量が最小になるように、回動モータ26および開閉モータ73の回転方向を制御する。
以上に述べた第6実施形態の硬貨振分装置11によれば、規制部材71で放出口51からの硬貨の放出を規制することができ、シュート部材18を硬貨の一時貯留部として使用することができる。
また、規制部材71が、外側で放出穴51を開閉するため、放出穴51から円滑に硬貨を放出させることができる。
「第7実施形態」
本発明に係る第7実施形態の硬貨振分装置を主に図19および図20を参照して第3実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第3実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
図19に示すように、第7実施形態の硬貨振分装置11は、第3実施形態と同様、上流からベルトコンベア12で搬送されてきた硬貨を受け取って四カ所の収納部13A〜13Dに選択的に振り分けるもので、シュート部材18が円筒部16と窄部50とからなっている。
第7実施形態の硬貨振分装置11は、窄部50の下端部に、窄部50の内側のガイド通路80を開閉する円板状の規制部材(規制手段)81を有している。窄部50の側部には開閉モータ83が取り付けられており、開閉モータ83の回転軸84に規制部材81が固定されている。規制部材81は、その直径部分を回転中心として回転可能となるようにシュート部材18に支持されており、開閉モータ83で駆動されてシュート部材18に対して回動する。
図20に示すように、規制部材81が中心軸を水平方向に沿わせた状態で、放出穴51は、鉛直下方に開口することになり、ベルトコンベア12からシュート部材18に受け入れ窄部50の硬貨ガイド面50aによって放出穴51側に案内されるすべての硬貨を放出するようになっている。他方、図19に示すように、規制部材81が中心軸を鉛直方向に沿わせた状態では、放出穴51が規制部材81で閉塞され硬貨の放出が規制される。つまり、規制部材81は、シュート部材18内のガイド通路80の放出穴51側を開閉する。
第7実施形態において、制御部は、放出穴51を第1放出位置(所定の一の放出位置)に位置させる状態をシュート部材駆動機構30の待機状態としており、ガイド通路80を閉塞する位置を規制部材81の待機状態としている。そして、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨をシュート部材18内に一時貯留させる場合は、シュート部材駆動機構30および規制部材71を待機状態とする。すると、ガイド通路80の放出穴51側が規制部材81で閉塞されていることから、硬貨をシュート部材18内に一時貯留させることができる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を、シュート部材18内に一時貯留させることなく収納部13Aに収納する際には、放出穴51を第1放出位置のままとして、開閉モータ83により規制部材81を90度回転させてガイド通路80の放出穴51側を開口させることになる。この状態では、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下した硬貨が、窄部50の硬貨ガイド面50aで放出穴51に案内され、放出穴51から放出されて、収納部13Aに収納される。収納部13Aに収納すべき硬貨がすべて収納部13Aに収納されると、制御部は、開閉モータ83によって規制部材81を90度回転させてガイド通路80を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、シュート部材18内に一時貯留させている硬貨を収納部13Aに収納する際には、放出穴51を第1放出位置のままとして、開閉モータ83により規制部材81を90度回転させてガイド通路80の放出穴51側を開口させることになる。すると、シュート部材18内に一時貯留されていた硬貨が、放出穴51から放出されて、収納部13Aに収納される。その後、制御部は、開閉モータ83によって規制部材81を90度回転させてガイド通路80を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を、シュート部材18内に一時貯留させることなく収納部13Bに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴51を第2放出位置に位置させるとともに、これと並行して開閉モータ83により規制部材81を回転させてガイド通路80の放出穴51側を開口させることになる。この状態では、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下する硬貨が、窄部50の硬貨ガイド面50aで放出穴51に案内され、放出穴51から放出されて、収納部13Bに収納される。収納部13Bに収納すべき硬貨がすべて収納部13Bに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第2放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ83によって規制部材81を所定角度回転させてガイド通路80を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、シュート部材18内に一時貯留させている硬貨を収納部13Bに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴51を第2放出位置に位置させた後、開閉モータ83により規制部材81を90度回転させてガイド通路80の放出穴51側を開口させることになる。すると、シュート部材18内に一時貯留されていた硬貨が、放出穴51から放出されて、収納部13Bに収納される。その後、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第2放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ83によって規制部材81を90度回転させてガイド通路80を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を、シュート部材18内に一時貯留させることなく収納部13Cに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴51を第3放出位置に位置させるとともに、これと並行して開閉モータ83により規制部材81を90度回転させてガイド通路80の放出穴51側を開口させることになる。この状態では、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下する硬貨が、窄部50の硬貨ガイド面50aで放出穴51に案内され、放出穴51から放出されて、収納部13Cに収納される。収納部13Cに収納すべき硬貨がすべて収納部13Cに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第3放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ83によって規制部材81を90度回転させてガイド通路80を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、シュート部材18内に一時貯留させている硬貨を収納部13Cに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴51を第3放出位置に位置させた後、開閉モータ83により規制部材81を90度回転させてガイド通路80の放出穴51側を開口させることになる。すると、シュート部材18内に一時貯留されていた硬貨が、放出穴51から放出されて、収納部13Cに収納される。その後、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第3放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ83によって規制部材81を90度回転させてガイド通路80を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、ベルトコンベア12で搬送される硬貨を、シュート部材18内に一時貯留させることなく収納部13Dに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴51を第4放出位置に位置させるとともに、これと並行して開閉モータ83により規制部材81を90度回転させてガイド通路80の放出穴51側を開口させることになる。この状態では、ベルトコンベア12の端末位置からシュート部材18内に落下する硬貨が、窄部50の硬貨ガイド面50aで放出穴51に案内され、放出穴51から放出されて、収納部13Dに収納される。収納部13Dに収納すべき硬貨がすべて収納部13Dに収納されると、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第4放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ83によって規制部材81を90度回転させてガイド通路80を閉塞する位置に戻すことになる。
また、制御部は、シュート部材18内に一時貯留させている硬貨を収納部13Dに収納する際には、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて放出穴51を第4放出位置に位置させた後、開閉モータ83により規制部材81を回転させてガイド通路80の放出穴51側を開口させることになる。すると、シュート部材18内に一時貯留されていた硬貨が、放出穴51から放出されて、収納部13Dに収納される。その後、制御部は、回動モータ26によってシュート部材18を所定角度回転させて第4放出位置にあった放出穴51を第1放出位置に戻すとともに、これと並行して開閉モータ83によって規制部材81を90度回転させてガイド通路80を閉塞する位置に戻すことになる。なお、制御部は、シュート部材18の回転量が最小になるように、回動モータ26の回転方向を制御する。
以上に述べた第7実施形態の硬貨振分装置11によれば、規制部材81でシュート部材18からの硬貨の放出を規制することができ、シュート部材18を硬貨の一時貯留部として使用することができる。
また、規制部材81が、シュート部材18内のガイド通路80を開閉するため、規制部材81をコンパクトにできる。
なお、規制部材81を回転させるのではなく、傘状に開閉させて放出穴51を開閉するようにしても良い。
以上の各実施形態においては、シュート部材で硬貨を三カ所以上の収納部に振り分ける場合を例にとり説明したが、下流側は、シュート部材によって振り分けられた硬貨を受け入れる手段であれば良く、例えば、三カ所以上の搬送部(受入手段)に硬貨を振り分けるようにしても良く、さらには、振り分け後の硬貨を環流させる環流部に硬貨を振り分けるようにしても良い。