図1を参照して、この発明の一実施例である給水システム10は、貯水手段としての貯水槽12を備えており、住宅100内の給水系管路に適用される。
給水系管路は、水道管14から住宅100内へ延びる給水管16を含み、給水システム10は、給水管16から供給された水道水を住宅100内の各給水栓18a、18b、18c、18dに供給する。なお、この実施例では、給水管16には、水道水が逆流しないようにするための逆止弁20が設けられており、逆止弁20の下流側の水道水が住宅100内の各給水栓18a、18b、18c、18dに供給されることとなる。
ただし、この実施例における「上流側」とは、水道水の流路における水道管14側を意味し、「下流側」とは、水道水の流路における給水栓18側を意味する。
図1に示すように、貯水槽12は、たとえば住宅100の床下に設置されて、その場所で給水系管路に接続される。図2に示すように、貯水槽12は、たとえば硬質塩化ビニルやポリエチレンなど合成樹脂製パイプであり、その両開口がそれぞれ端面22で塞がれる。貯水槽12の内容量はたとえば、36リットルであり、その大きさはφ200のパイプで長さ1.2mである。36リットルは4人家族の3日間の飲料用水使用量に相当する。
端面20には、導入口24が設けられ、導入口24に給水管16が接続される。また、端面20には、複数、この実施例では4つの給水口26a、26b、26c、26dが設けられ、各給水口26にそれぞれ配水管28a、28b、28c、28dが接続される。配水管28は、たとえば可撓性のある合成樹脂管などであり、この配水管28に住宅100内の各給水栓18a、18b、18c、18dが接続される。つまり、この実施例では、貯水槽12は、各配水管28a、28b、28c、28dの最上流側に設けられ、これらの配水管28a、28b、28c、28dを1つにまとめる給水ヘッダとして機能している。
図1に示すように、配水管28aは、浴室の給水栓18aに連結される。また、配水管28bは、端面20の最下部、すなわち貯水槽12の最下部に位置する給水口26bに接続されて、キッチンの給水栓18bに連結される。さらに、配水管28cはトイレの給水栓18cに、ならびに配水管28dは洗面所の給水栓18dに連結される。
給水口26bから水道水を供給される給水栓18bは、通常時には通常の給水栓として使用されるが、地震が発生して断水したときのように、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時には、非常取水栓30として兼用される。
なお、この実施例では、貯水槽12内に貯留されている水道水を無駄無く取り出すことができるように、給水口26a、26b、26c、26dのうち、最下部に位置する給水口26bが第1給水口として利用され、この第1給水口に接続される配水管が第1配水管となり、この第1配水管が連結される給水栓が第1給水栓(非常取水栓)となった。また、第1給水口を除く給水口26a、26c、26dが第2給水口として利用され、この第2給水口に接続される配水管が第2配水管となり、この第2配水管が連結される給水栓が第2給水栓となったが、これに限定される必要はなく、給水口26a、26b、26c、26dのうちの任意の給水口を第1給水口として利用し、その第1給水口となったものを除く給水口を第2給水口として利用することができる。
また、給水口26b(非常取水栓30)を除く給水口26a、26c、26dから水道水を供給される給水栓18a、18c、18dの少なくとも1つには、加圧装置34を接続するための接続口32が形成される。
図3に示すように、この実施例では、洗面所の給水栓18dに接続口32が形成される。たとえば、給水栓18dは、汎用の上水道用蛇口であり、ハウジング36とバルブ38と吐水口40とを含み、配水管28dからハウジング36に流れ込んだ水道水が、バルブ38を開くことによって吐水口40から供給される。この実施例では、吐水口40が接続口32として兼用され、この吐水口40に加圧装置34が取り付けられることとなる。
加圧装置34は、ポンプ42と当該ポンプ42から延びるホース44とを含む。ポンプ42には、汎用の自転車用フロアポンプなどの手動ポンプが用いられる。ホース44は、たとえば汎用のビニールホースからなるホース本体46と、当該ホース本体46の先端に設けられた固定具48とを含み、この固定具48が給水栓18dの吐水口40(接続口32)に気密的に接続される。固定具48の接続方式には、図示は省略するが、ホースバンド締め式、ナット締込み式およびワンタッチ式など適宜な接続方式を用いるとよい。
図4―図5を参照して、このような給水システム10において、地震が発生して断水したときのように、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時に、貯水槽12内に貯留された水道水を非常取水栓30から取り出す方法を以下に示す。
先ず、浴室の給水栓18b(非常取水栓30)と洗面所の給水栓18dとを開放するとともに、それ以外の給水栓18a,18cを閉鎖する。
次に、洗面所の給水栓18dの吐水口40に加圧装置34のホース44を接続し、そのまま加圧装置34のポンプ42を作動させて、給水栓18dから配水管28d内に空気を圧入する。すると、図4における破線矢印に示すように、配水管28d内に圧入された空気が、貯水槽12へと導入され、貯水槽12内が加圧される。
これにより、図5における破線矢印に示すように、貯水槽12内に貯留されている水道水が配水管28aに送り出され、この水道水が給水栓18b(非常取水栓30)に供給される。
このように、この実施例では、たとえば地震が発生して断水したときのように、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時であっても、通常時には通常の給水栓として使用される給水栓18dの接続口32に加圧装置34を接続して、貯水槽12内を加圧するだけで、貯水槽12内に貯留されている水道水を給水栓18b(非常取水栓30)に供給することができる。すなわち、この実施例によれば、住宅100の居住空間内に配置された接続口32に加圧装置34を接続することによって、貯水槽12内に貯留された水道水を取り出すことができるため、貯水槽12の設置場所に関わらず、さらにどのような天候および時間帯であっても、簡単に水道水を取り出すことができる。
さらに、この実施例では、通常時には通常の給水栓として使用される給水栓18aが非常取水栓30として兼用されるとともに、給水栓18dに接続口32が形成される。このため、非常取水栓30へと繋がる配水管28b内の水道水、ならびに接続口32へと繋がる配水管28d内の水道水が生活用水として普段使用され、ほぼ滞留することなく清潔に保たれる。したがって、非常時にも、清潔な水道水を取り出すことができる。
また、たとえ軒下や床下などの重力取り出しできない場所に貯水槽12が設置されていても、貯水槽12内の水道水を取り出すことができるため、新築住宅のみならず、リフォームの際にも、住宅100内の任意の空きスペースに貯水槽12を設置することができる。
さらにまた、この実施例では、加圧装置34のポンプ42に手動ポンプが用いられる。このため、ポンプ42を作動させるための電源が不要となり、節電されると共に、非常時に停電しても、貯水槽12内を加圧することができる。すなわち、非常時に停電しても、この給水システム10が利用可能となる。
さらに、この実施例では、貯水槽12の最下部に設けられた給水口26bに接続された配水管28bが非常取水栓30に連結される。このため、非常時にも、貯水槽12に貯留されている水道水を無駄無く取り出すことができる。また、断水により、万が一貯水槽12内に砂などの異物が入った場合にも、非常取水栓30を利用すれば貯水槽12内の異物を取り出すことができる。
なお、この実施例では、住宅100内の各配水管28a,28b,28c,28dが貯水槽12によって1つにまとめられたが、これに限定される必要はない。図6および図7に示すこの発明の他の一実施例である給水システム10では、住宅100内の各配水管28a,28b,28c,28dがヘッダ50によって1つにまとめられる。以下、図1の実施例における給水システム10と共通する部分については同じ番号を付し、重複する説明は省略する。
図6および図7に示すように、給水管16は、ヘッダ50の導入口52に接続される。また、ヘッダ50には、複数、この実施例では4つの分岐口54a,54b,54c,54dが設けられており、分岐口54bには、配水管28bが接続される。また、分岐口54bを除く分岐口54a,54c,54dには、それぞれ配水管28a、28c、28dが接続される。
配水管28bには、貯水手段としての貯水槽12が設けられる。貯水槽12は、1つの導入口24と1つの給水口26とを有しており、この導入口24と給水口26とに、それぞれ配水管28bが接続される。配水管28bは、キッチンの給水栓18bに連結される。給水栓18bは、通常時には通常の給水栓として使用されるが、地震が発生して断水したときのように、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時には、非常取水栓30として兼用される。
また、配水管28aは浴室の給水栓18aに連結される。また、配水管28cはトイレの給水栓18cに連結される。さらにまた、配水管28dは洗面所の給水栓18dに連結され、図示は省略するが、この給水栓18dの吐水口40が接続口32として兼用される。
このような給水システム10において、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時に、貯水槽12内に貯留された水道水を非常取水栓30から取り出す方法を以下に示す。
先ず、キッチンの給水栓18b(非常取水栓30)と洗面所の給水栓18dとを開放するとともに、それ以外の給水栓18a,18cを閉鎖する。
次に、図示は省略するが、洗面所の給水栓18dの吐水口40(接続口32)に加圧装置34を接続し、給水栓18dから配水管28d内に空気を圧入する。すると、配水管28d内に圧入された空気が、ヘッダ50ならびに配水管28bを介して貯水槽12へと導入され、貯水槽12内が加圧される。これにより、貯水槽12内に貯留されている水道水が給水栓18b(非常取水栓30)に供給される。
このように、この実施例においても、貯水槽12の設置場所に関わらず、さらにどのような天候および時間帯であっても、簡単に水道水を取り出すことができる。
なお、この実施例では、ヘッダ50の分岐口54a,54b,54c,54dのうち、分岐口54bが第1分岐口として利用され、この第1分岐口から水道水が供給される配水管28bが第1配水管となり、第1配水管には、貯水槽12が設けられ、その第1配水管が連結される給水栓18bが第1給水栓(非常取水栓30)となった。また、分岐口54bを除く分岐口54a,54c,54dが第2分岐口として利用され、これらの第2分岐口から水道水が供給される配水管28a、28c、28dが第2配水管となり、第2配水管が連結される給水栓18a、18c、18dが第2給水栓となったが、これに限定される必要はなく、分岐口54a,54b,54c,54dのうちの任意の分岐口を第1分岐口として利用し、その第1分岐口を除く分岐口を第2分岐口として利用してもよく、さらに、配水管28a、28c、28dのうちのどの配水管に貯水槽12が設けられていてもよい。要は、貯水槽12が設けられる配水管から水道水を供給される給水栓を第1給水栓(非常取水栓30)として使用する、または貯水槽12が設けられる配水管から水道水を供給される給水栓の吐水口40(接続口32)から貯水槽12内を加圧するのであれば、貯水槽12内に貯留された水道水を非常取水栓30から取り出すことができる。
また、この実施例では、貯水手段として、1つの給水口26を有する貯水槽12が配水管26bに設けられたが、これに限定される必要はない。たとえば、図8に示すように、貯水手段として、複数の給水口26a、26b、26cを有する貯水槽12を使用することもできる。この場合には、貯水槽12の給水口26a、26b、26cのうち最下部に位置する給水口26bを第1給水口として利用し、この第1給水口に接続される配水管28bを第1配水管とし、この第1配水管が連結される給水栓18bを第1給水栓(非常取水栓30)とすると好適である。そして、ヘッダ50の第2分岐口から水道水が供給される配水管28dに加えて、第1給水口を除く給水口26a、26cに接続される配水管28a,28cも第2配水管となり、それらの第2配水管が連結される給水栓18a,18c,18dも第2給水栓となる。
図9に示すこの発明のさらに他の一実施例では、給水システム10が複数の貯水槽12a,12bを備えている。以下、図6の実施例における給水システム10と共通する部分については同じ番号を付し、重複する説明は省略する。
図9に示すように、ヘッダ50の分岐口54b,54dには、それぞれ配水管28b,28dが接続され、これらの配水管28b,28dには、それぞれ貯水手段としての貯水槽12a,12bが設けられる。具体的には、配水管28bには、貯水槽12aが設けられる。配水管28bは、キッチンの給水栓18bに連結される。また、配水管28dには、貯水槽12bが設けられる。配水管28dは、洗面所の給水栓18dに連結される。給水栓18b,18dは、通常時には通常の給水栓として使用されるが、地震が発生して断水したときのように、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時には、非常取水栓30として使用される。
また、分岐口54bを除く分岐口54a,54cには、それぞれ配水管28a、28cが接続される。配水管28aは、浴室の給水栓18aに連結され、図示は省略するが、この給水栓18aの吐水口40が接続口32として兼用される。さらに、配水管28cは、トイレの給水栓18cに連結される。
このような給水システム10において、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時に、貯水槽12a,12b内に貯留された水道水を非常取水栓30から取り出す方法を以下に示す。
先ず、浴室の給水栓18aとキッチンの給水栓18b(非常取水栓30)と洗面所の給水栓18d(非常取水栓30)とを開放するとともに、給水栓18cを閉鎖する。
次に、図示は省略するが、浴室の給水栓18aの吐水口40(接続口32)に加圧装置34を接続し、給水栓18aから配水管28a内に空気を圧入する。すると、配水管28a内に圧入された空気が、ヘッダ50ならびに配水管28bを介して貯水槽12aへと導入され、貯水槽12a内が加圧される。また、配水管28a内に圧入された空気が、ヘッダ50ならびに配水管28dを介して貯水槽12bへと導入され、貯水槽12b内が加圧される。これにより、貯水槽12a,12b内に貯留されている水道水が給水栓18b,18d(非常取水栓30)に供給される。
このように、この実施例においても、貯水槽12の設置場所に関わらず、さらにどのような天候および時間帯であっても、簡単に水道水を取り出すことができる。
なお、この実施例では、貯水槽12内に貯留された水道水を取り出すときに、キッチンの給水栓18bならびに洗面所の給水栓18dを非常取水栓30として使用したが、これに限定される必要はない。
たとえば、浴室の給水栓18aとキッチンの給水栓18bとを開放するとともに、それ以外の給水栓18c,18dを閉鎖する場合には、浴室の給水栓18aの吐水口40(接続口32)に加圧装置34を接続し、給水栓18aから配水管28a内に空気を圧入すると、配水管28a内に圧入された空気が、ヘッダ50ならびに配水管28bを介して貯水槽12aへと導入され、貯水槽12a内が加圧される。つまり、この場合には、貯水槽12a内に貯留されている水道水のみを給水栓18b(非常取水栓30)に供給することができる。
また、浴室の給水栓18aと洗面所の給水栓18dとを開放するとともに、それ以外の給水栓18b,18cを閉鎖する場合には、浴室の給水栓18aの吐水口40(接続口32)に加圧装置34のホース44を接続し、給水栓18aから配水管28a内に空気を圧入すると、配水管28a内に圧入された空気が、ヘッダ50ならびに配水管28dを介して貯水槽12bへと導入され、貯水槽12b内が加圧される。つまり、この場合には、貯水槽12b内に貯留されている水道水のみを給水栓18d(非常取水栓30)に供給することができる。
さらにまた、キッチンの給水栓18bを非常取水栓30として使用し、洗面所の給水栓18dの他方に接続口32を形成する場合には、キッチンの給水栓18bと洗面所の給水栓18dとを開放するとともに、それ以外の給水栓18a,18cを閉鎖する。そして、給水栓18dの吐水口40(接続口32)に加圧装置34を接続し、給水栓18dから配水管28d内に空気を圧入すると、配水管28d内に圧入された空気が貯水槽12bへと導入され、貯水槽12b内が加圧される。そして、そのまま配水管28d内に圧入された空気が、ヘッダ50ならびに配水管28bを介して貯水槽12aへと導入され、貯水槽12a内も加圧される。このように、給水栓18bおよび給水栓18dのいずれか一方を非常取水栓30として使用し、給水栓18bおよび給水栓18dの他方に接続口32を形成することで、貯水槽12a,12b内に貯留されている水道水をまとめて給水栓18b(非常取水栓30)に供給することができる。
図10に示すこの発明のさらに他の一実施例である給水システム10では、給水栓18a,18b,18c,18d毎に分岐継手56,60,64を用いて配水管28a,28b,28c,28dを順次分岐する先分岐配管が適用される。以下、図1の実施例における給水システム10と共通する部分については同じ番号を付し、重複する説明は省略する。
図10に示すように、給水管16は、分岐継手56に接続される。分岐継手56は、たとえば汎用のチーズ継手であり、その受口56aには、配水管28aが接続される。配水管28aは、浴室の給水栓18aに連結され、図示は省略するが、この給水栓18aの吐水口40が接続口32として兼用される。また、分岐継手56の受口56bには、導水管58が接続され、この導水管58によって、分岐継手56と分岐継手60とが接続される。
分岐継手60の受口60aには、配水管28bが接続される。配水管28bは、キッチンの給水栓18bに連結される。さらに、分岐継手60の受口60bには、導水管62が接続され、この導水管62によって、分岐継手60と分岐継手64とが接続される。分岐継手64の受口64aには、配水管28cが接続される。配水管28cは、トイレの給水栓18cに連結される。また、分岐継手64の受口64bには、配水管28dが接続される。配水管28dには、貯水手段としての貯水槽12が設けられる。配水管28dは、洗面所の給水栓18dに連結され、通常時には通常の給水栓として使用されるが、地震が発生して断水したときのように、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時には、非常取水栓30として兼用される。
このような給水システム10において、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時に、貯水槽12内に貯留された水道水を非常取水栓30から取り出す方法を以下に示す。
先ず、浴室の給水栓18aと洗面所の給水栓18d(非常取水栓30)とを開放するとともに、それ以外の給水栓18b,18cを閉鎖する。そして、図示は省略するが、洗面所の給水栓18aの吐水口40(接続口32)に加圧装置34を接続し、加圧装置34のポンプ42を作動させて、給水栓18aから配水管28a内に空気を圧入する。すると、配水管28a内に圧入された空気が、分岐継手56,60,64や導水管58,62を介して貯水槽12へと導入され、貯水槽12内が加圧される。これにより、貯水槽12内に貯留されている水道水が配水管28dに送り出され、この水道水が給水栓18d(非常取水栓30)に供給される。
このように、この実施例においても、貯水槽12の設置場所に関わらず、さらにどのような天候および時間帯であっても、簡単に水道水を取り出すことができる。
ところで、上述の各実施例ではいずれも、水道水の逆流を防止する逆止弁20が給水管16に設けられ、給水システム10は、給水管16から供給された水道水を住宅100内の各給水栓18a,18b,18c,18dに供給したが、これに限定される必要はなく、給水システム10は、住宅100内の給水系管路の少なくとも一部に適用されていればよい。
たとえば、図1に示す実施例のように、住宅100内の各配水管28a,28b,28c,28dが貯水槽12によって1つにまとめている場合には、貯水槽12の導入口24よりも上流側に逆止弁20が設けられていればよい。また、図6、図8、図9に示す実施例のように、住宅100内の各配水管28a,28b,28c,28dを給水ヘッダ50によって1つにまとめている場合には、ヘッダ50の導入口52よりも上流側に逆止弁20が設けられていればよい。さらに、図10に示す実施例のように、分岐継手56,60,64を用いて各配水管28a,28b,28c,28dを順次分岐する場合には、最も上流側に配置される分岐継手56よりも上流側に逆止弁20が設けられていればよい。
また、図11に示すこの発明のさらに他の一実施例では、水道水の逆流を防止する逆止弁20が導水管58に設けられ、給水システム10は、導水管58から供給された水道水を住宅100内の給水栓18b、18c、18dに供給する。
具体的には、図11に示すように、給水管16は、分岐継手56に接続される。分岐継手56の受口56aには、配水管28aが接続され、この配水管28aは、浴室の給水栓18aに連結される。
分岐継手56の受口56bには、導水管58の一方端が接続され、この導水管58の他方端は、貯水槽12の導入口24に接続される。導水管58には、水道水の逆流を防止する逆止弁20が設けられる。
貯水槽12の給水口26には、それぞれ配水管28b,28c,28dが接続される。配水管28bは、キッチンの給水栓18bに連結され、この給水栓18bは、通常時には通常の給水栓として使用されるが、地震が発生して断水したときのように、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時には、非常取水栓30として使用される。また、配水管28cはトイレの給水栓18cに連結される。さらにまた、配水管28dは、洗面所の給水栓18dに連結され、図示は省略するが、この給水栓18dの吐水口40が接続口32として兼用される。
このような給水システム10において、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時に、貯水槽12内に貯留された水道水を非常取水栓30から取り出す場合には、先ず、キッチンの給水栓18b(非常取水栓30)と洗面所の給水栓18dとを開放するとともに、給水栓18cを閉鎖する。そして、洗面所の給水栓18dの吐水口40(接続口32)に加圧装置34を接続し、そのまま加圧装置34のポンプ42を作動させて、給水栓18dから配水管28d内に空気を圧入する。すると、配水管28d内に圧入された空気が貯水槽12へと導入され、貯水槽12内に貯留されている水道水が配水管28bに送り出されて、この水道水が給水栓18b(非常取水栓30)に供給される。
さらに、図12に示すこの発明のさらに他の一実施例では、図11の実施例と同様に、水道水の逆流を防止する逆止弁20が導水管58に設けられ、給水システム10は、導水管58から供給された水道水を住宅100内の給水栓18b、18c、18dに供給する。
具体的には、図12に示すように、給水管16は、分岐継手56に接続される。分岐継手56の受口56aには、配水管28aが接続され、この配水管28aは、浴室の給水栓18aに連結される。
分岐継手56の受口56bには、導水管58の一方端が接続され、この導水管58の他方端は、分岐継手60に接続される。導水管58には、水道水の逆流を防止する逆止弁20が設けられる。
分岐継手60の受口60aには、配水管28bが接続される。配水管28bは、キッチンの給水栓18bに連結され、この給水栓18dは、通常時には通常の給水栓として使用されるが、地震が発生して断水したときのように、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時には、非常取水栓30として使用される。
分岐継手60の受口60bには、導水管62の一方端が接続され、この導水管62の他方端は、貯水槽12の導入口24に接続される。貯水槽12の給水口26には、それぞれ配水管28c、28dが接続される。配水管28cはトイレの給水栓18cに連結される。また、配水管28dは、洗面所の給水栓18dに連結され、図示は省略するが、この給水栓18dの吐水口40が接続口32として兼用される。
このような給水システム10において、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時に、貯水槽12内に貯留された水道水を非常取水栓30から取り出す場合には、先ず、キッチンの給水栓18b(非常取水栓30)と洗面所の給水栓18dとを開放するとともに、給水栓18cを閉鎖する。そして、洗面所の給水栓18dの吐水口40(接続口32)に加圧装置34を接続し、そのまま加圧装置34のポンプ42を作動させて、給水栓18dから配水管28d内に空気を圧入する。すると、配水管28d内に圧入された空気が貯水槽12へと導入され、貯水槽12内に貯留されている水道水が配水管28bに送り出されて、この水道水が給水栓18b(非常取水栓30)に供給される。
このように、図11および図12に示す実施例では、給水システム10が、住宅100内の給水系管路の一部、具体的には、住宅100内の給水系管路における逆止弁20よりも下流側に適用される。これらの実施例においても、貯水槽12の設置場所に関わらず、さらにどのような天候および時間帯であっても、簡単に水道水を取り出すことができる。
なお、図11および図12に示す実施例では、水道水の逆流を防止する逆止弁20が導水管60に設けられ、この逆止弁20よりも下流側に配置される配水管28b,28c,28dのうち配水管28bが第1配水管となり、第1配水管が連結される給水栓18bが第1給水栓(非常取水栓30)となる。そして、第1配水管を除く配水管28c,28dが第2配水管となり、この第2配水管が連結される給水栓が第2給水栓となった。ただし、これに限定される必要はなく、逆止弁20よりも下流側に配置される配水管28b,28c,28dのうち貯水槽12の給水口26に接続される配水管から水道水を供給される給水栓を第1給水栓(非常取水栓30)として使用する、または貯水槽12の給水口26に接続される配水管から水道水を供給される給水栓の吐水口40(接続口32)から貯水槽12内を加圧するのであれば、貯水槽12内に貯留された水道水を非常取水栓30から取り出すことが可能である。
さらにまた、上述の各実施例ではいずれも、給水栓18の吐水口40が接続口32として兼用されたが、これに限定される必要はない。
図13および図14に示すこの発明のさらに他の一実施例である給水システム10では、給水栓18に分岐部66が形成されて、この分岐部66に接続口32が形成される。
図13および図14に示すように、給水栓18dのハウジング36には、バルブ38よりも上流側に分岐部66が形成される。分岐部66は、第1ジョイント部68を含み、この第1ジョイント部68には、詳細は後に説明するように、加圧装置34の第2ジョイント部78が接続される。つまり、この実施例では、分岐部66の第1ジョイント部68が接続口32として機能する。
なお、第1ジョイント部68と第2ジョイント部78とには、逆止弁を有するワンタッチ式の接続構造であれば、任意の接続構造を採用することができる。このため、図13では、第1ジョイント部68と第2ジョイント部78との接続構造について正確には図解していないことに留意されたい。
一例を挙げると、第1ジョイント部68は、ハウジング36から側方に突出するジョイント本体70を含む。ジョイント本体70の外周には、O(オー)リング状のストッパ72が設けられる。また、ジョイント本体66の内部には、弁棒76を有する逆止弁74が設けられる。逆止弁74の弁棒76は、切欠棒体で構成されており、その外周に戻しバネ(図示せず)が外嵌されおり、詳細は後述するが、第2ジョイント部78の押込棒(図示せず)に押し込まれることによって、逆止弁74が開く。
また、第2ジョイント部78は、ジョイント本体70を収容するアダプタ80を含み、加圧装置34のホース44の先端部に設けられる。アダプタ80の内部には、逆止弁74の弁棒76を押し込むための押込棒(図示せず)が設けられている。また、アダプタ80の外周には、第1ジョイント部68のストッパ72を係止する略L字状のロックレバー82が設けられている。
したがって、ホース44側の第2ジョイント部78のアダプタ80を第1ジョイント部68のジョイント本体70に外嵌させて、当該第2ジョイント部78のロックレバー82をストッパ72に係止させることによって、加圧装置34のホース44と給水栓18dの分岐口50とをワンタッチで接続できるとともに、逆止弁74が開き、加圧装置34から給水栓18dに空気を圧入することができる。
また、ロックレバー82をストッパ72から取り外し、アダプタ80を第1ジョイント部68のジョイント本体70から引き抜くだけで、逆止弁74は閉じ、ハウジング36内に供給された水道水が外部に漏れ出すことが防止される。
このような給水システム10において、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時に、貯水槽12内に貯留された水道水を非常取水栓30から取り出す場合には、先ず、キッチンの給水栓18b(非常取水栓30)を開放するとともに、それ以外の給水栓18a,18c,18dを閉鎖する。そして、給水栓18dの第1ジョイント部68(接続口32)に加圧装置34の第2ジョイント部78を接続して、そのまま加圧装置34のポンプ42を作動させる。これにより、貯水槽12内に貯留されている水道水を給水栓18b(非常取水栓30)から取り出すことができる。
なお、この実施例では、給水栓18dに分岐部66が形成されたが、これに限定される必要はない。
たとえば、図15に示すように、配水管28dに分岐部66を形成することもできる。この場合には、分岐部66を、たとえば加圧装置34を簡単に接続することができるように、配水管28dにおけるシンク下の収納スペースに相当する位置などに分岐部66を形成すると好適である。
ただし、加圧装置34を簡単に接続することができる位置に分岐部66を形成するのであれば、配水管28dにおけるシンク下の収納スペースでなくてもよい。要は、逆止弁20よりも下流側の水道水を給水栓に供給する配水管、つまり逆止弁20よりも下流側に配置される配水管に分岐部66を形成するのであれば、分岐部66の第1ジョイント部68(接続口32)から貯水槽12内を加圧することで、貯水槽12内に貯留された水道水を非常取水栓30から取り出すことが可能である。
具体的には、図示は省略するが、貯水槽12が設けられている配水管であって、かつ貯水槽12よりも上流側に分岐部66を形成する場合には、その分岐部66が形成されている配水管から水道水を供給される給水栓を非常取水栓30として開放するとともに、それ以外の給水栓を閉鎖し、分岐部66の第1ジョイント部68(接続口32)から貯水槽12内を加圧することで、貯水槽12内に貯留されている水道水を給水栓(非常取水栓30)から取り出すことが可能である。
また、図示は省略するが、貯水槽12が設けられている配水管であって、かつ貯水槽12よりも下流側に分岐部66が形成される場合には、その分岐部66が形成されている配水管を除く他の配水管から水道水を供給される給水栓を非常取水栓30として開放するとともに、それ以外の給水栓を閉鎖し、分岐部66の第1ジョイント部68(接続口32)から貯水槽12内を加圧することで、貯水槽12内に貯留されている水道水を給水栓(非常取水栓30)から取り出すことが可能である。
さらにまた、図示は省略するが、貯水槽12が設けられている配水管とは異なる配水管に分岐部66が形成される場合には、貯水槽12が設けられている配水管から水道水を供給される給水栓を非常取水栓30として開放するとともに、それ以外の給水栓を閉鎖し、分岐部66の第1ジョイント部68(接続口32)から貯水槽12内を加圧することで、貯水槽12内に貯留されている水道水を給水栓(非常取水栓30)から取り出すことが可能である。
図16―図18に示すこの発明のさらに他の一実施例である給水システム10では、住宅100の居住空間に面するパネル体102にコンセント部88が設置され、このコンセント部88に加圧装置34が取り付けられる。
図16に示すように、貯水槽12には、配水管28a、28b、28c、28dが接続される。配水管28aは、浴室の給水栓18aに連結される。また、配水管28bは、貯水槽12の最下部に位置する給水口に接続されて、キッチンの給水栓18bに連結される。さらに、配水管28cはトイレの給水栓18cに、ならびに配水管28dは洗面所の給水栓18dに連結される。給水口26bから水道水を供給される給水栓18bは、通常時には通常の給水栓として使用されるが、地震が発生して断水したときのように、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時には、非常取水栓30として兼用される。
また、配水管28dには、分岐部84が形成される。分岐部84は、たとえば、汎用のチーズ継手であり、3つの受口84a,84b,84cを有しており、その1つの受口84aに分岐管86の一方端が接続され、それと90度の位置にある2つの受口84b,84cにそれぞれ配水管28dが接続される。なお、受口84aには、分岐部84内の水道水が分岐管86内へ流入しないようにするための逆止弁(図示せず)が設けられている。
分岐管86は、分岐部84から壁102裏側を延び、その他方端がコンセント部88に接続される。すなわち、分岐部84とコンセント部88とは、分岐管86を介して連通されている。
図17および図18に示すように、コンセント部88は、住宅100の居住空間に面するパネル体102に設置され、この実施例では、キッチンの壁の下部に設置される。
ここで、住宅100の居住空間に面するパネル体102とは、壁のみならず、床や天井などを含む概念であり、住宅100内において日常生活を送る上での生活圏内にある平滑な板体を意味する。したがって、たとえば、床下収納庫の内部にコンセント部88を設けてもよい。また、たとえば、玄関の下駄箱やクローゼットの内部にコンセント部88を設けてもよい。さらに、たとえば、ユニットバス、洗面化粧台、システムキッチンなどの水周り設備に予めコンセント部88を設けてもよい。
コンセント部88の壁102裏側には、分岐管接続部90が形成されており、この分岐管接続部90に分岐管86が接続される。また、壁102表側には加圧装置34のホース44が接続されるホース接続部92が形成されている。そして、分岐管接続部90とホース接続部92とが、コンセント部88の内部に形成された連通部94によって連通されている。
コンセント部88のホース接続部92は、第1ジョイント部68を含み、上述したように、この第1ジョイント部68に加圧装置34の第2ジョイント部78が接続される。すなわち、この実施例では、ホース接続部92の第1ジョイント部68が接続口32として機能する。
このような給水システム10において、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時に、貯水槽12内に貯留された水道水を非常取水栓30から取り出す場合には、先ず、キッチンの給水栓18b(非常取水栓30)を開放するとともに、それ以外の給水栓18a,18c,18dを閉鎖する。そして、コンセント部88のホース接続部92の第1ジョイント部68(接続口32)に加圧装置34の第2ジョイント部78を接続して、そのまま加圧装置34のポンプ42を作動させる。これにより、貯水槽12内に貯留されている水道水を給水栓18b(非常取水栓30)から取り出すことができる。
このように、この実施例においても、貯水槽12の設置場所に関わらず、さらにどのような天候および時間帯であっても、簡単に水道水を取り出すことができる。
さらに、この実施例では、分岐管86内に水道水が流入することがなく、さらに分岐部80や当該分岐部80が設けられる配水管28d内の水道水が生活用水として普段使用されるため、非常時にも、清潔な水道水を取り出すことができる。
また、たとえば非常取水栓30を視覚できる範囲内にコンセント部88を設置することによって、非常取水栓30から取り出される水道水の流出状態を確認しながら貯水槽12内を加圧することができる。
なお、この実施例では、コンセント部88は、キッチンの壁の下部に設置されたが、これに限定される必要はなく、住宅100の居住空間に面しているパネル体102に設置されていればよい。
また、この実施例では、住宅100内の各給水栓18a,18b,18c,18dに連結される配水管28a,28b,28c,28dが貯水槽12によって1つにまとめられたが、たとえば、図6、図8、図9に示す実施例のように、住宅100内の各配水管28a,28b,28c,28dを給水ヘッダ50によって1つにまとめるようにしてもよく、さらに、図10に示す実施例のように、住宅100内の各配水管28a,28b,28c,28dを分岐継手56,60,64を用いて順次分岐するようにしてもよいことは言うまでもない。
さらに、この実施例では、水道水の逆流を防止する逆止弁20が給水管16に設けられ、給水システム10は、給水管16から供給された水道水を住宅100内の各給水栓18a,18b,18c,18dに供給したが、これに限定される必要はなく、給水システム10は、上述したように、住宅100内の給水系管路の少なくとも一部に適用されていればよい。
たとえば、図19に示すように、給水栓18a,18b,18c,18d毎に分岐継手56,60,64を用いて配水管28a,28b,28c,28dが順次分岐される場合に、配水管28dに逆止弁20を設け、配水管28dにおける逆止弁20よりも下流側に分岐部84を形成し、さらに配水管28dにおける分岐部84よりも下流側に貯水槽12を設けると、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時にも、コンセント部88の第1ジョイント部68(接続口32)から貯水槽12内を加圧することで、貯水槽12内に貯留された水道水を給水栓18d(非常取水栓30)から取り出すことができる。
また、たとえば、図20に示すように、住宅100内の各給水栓18a,18b,18c,18dに連結される配水管28a,28b,28c,28dが貯水槽12によって1つにまとめられる場合に、給水管16の逆止弁20の下流側の位置に分岐部84を形成すると、水道水に給水圧が作用しなくなる非常時にも、コンセント部88の第1ジョイント部68(接続口32)から貯水槽12内を加圧することで、貯水槽12内に貯留された水道水を給水栓18d(非常取水栓30)から取り出すことができる。
要は、逆止弁20よりも下流側の水道水を給水栓に供給する配水管、つまり逆止弁20よりも下流側に配置される配水管に分岐部84を形成するのであれば、コンセント部88の第1ジョイント部68(接続口32)から貯水槽12内を加圧することで、貯水槽12内に貯留された水道水を非常取水栓30から取り出すことが可能である。
具体的には、図示は省略するが、貯水槽12が設けられている配水管であって、かつ貯水槽12よりも上流側に分岐部84を形成する場合には、その分岐部84が形成されている配水管から水道水を供給される給水栓を非常取水栓30として開放するとともに、それ以外の給水栓を閉鎖し、コンセント部88の第1ジョイント部68(接続口32)から貯水槽12内を加圧することで、貯水槽12内に貯留されている水道水を給水栓(非常取水栓30)から取り出すことが可能である。
また、図示は省略するが、貯水槽12が設けられている配水管であって、かつ貯水槽12よりも下流側に分岐部84が形成される場合には、その分岐部84が形成されている配水管を除く他の配水管から水道水を供給される給水栓を非常取水栓30として開放するとともに、それ以外の給水栓を閉鎖し、コンセント部88の第1ジョイント部68(接続口32)から貯水槽12内を加圧することで、貯水槽12内に貯留されている水道水を給水栓(非常取水栓30)から取り出すことが可能である。
さらにまた、図示は省略するが、貯水槽12が設けられている配水管とは異なる配水管に分岐部84が形成される場合には、貯水槽12が設けられている配水管から水道水を供給される給水栓を非常取水栓30として開放するとともに、それ以外の給水栓を閉鎖し、コンセント部88の第1ジョイント部68(接続口32)から貯水槽12内を加圧することで、貯水槽12内に貯留されている水道水を給水栓(非常取水栓30)から取り出すことが可能である。
さらにまた、逆止弁20よりも下流側に配置される配水管に分岐部84を形成する必要もない。たとえば、図21に示すように、貯水槽12のたとえば端面20に分岐部84を形成して、その分岐部84に分岐管86の一方端を接続してもよい。なお、分岐部84には、貯水槽12内の水道水が分岐管86へ流入しないようにするための逆止弁(図示せず)が設けられている。そして、分岐管86の他方端は、たとえばキッチンの壁に設置されたコンセント部88に接続される。
さらに、たとえば、図示は省略するが、貯水槽12をコンセント部88が設けられたパネル体102のすぐ裏側に設置して、そのコンセント部88の分岐管接続部90を直接貯水槽12に接続することもできる。
さらにまた、たとえば、図示は省略するが、分岐管86の他方端を接続口32としてそのままキッチンのシンク下の収納スペースなどに配置してもよい。この場合には、パネル体102にコンセント部88を設置する必要がない。
また、幼児などによる誤使用を防止するために、コンセント部88のホース接続部92を開閉自在に覆うコンセントカバーを設けてもよい。
さらに、上述の各実施例ではいずれも、自転車用のフロアポンプをポンプ42に用いたが、これに限定される必要はなく、貯水槽12内を加圧して非常給水栓30から水道水を取り出すことができるのであれば、フットポンプや自転車の携帯用空気入れ(インフレーター)をポンプ42に用いることもできる。
さらにまた、図示は省略するが、比較的小型の自転車の携帯用空気入れ(インフレーター)を用いる場合には、たとえばコンセント部88の近傍の壁102に加圧装置34を収容するためのケーシングを設け、このケーシングに加圧装置34を収容しておいてもよい。
さらに、図示は省略するが、手動ポンプに限定される必要もなく、ポンプ42に電動ポンプを用いることもできる。この場合には、たとえば、ポンプ42は、蓄電池に接続され、蓄電池が家庭用電源などに接続される。蓄電池は、通常時家庭用電源などから充電される。そして、非常時に蓄電池によってポンプ42を作動させると、ポンプ42の圧力により貯水槽12内が加圧されて、貯水槽12内の水道水が給水栓18dに供給される。
さらにまた、上述の各実施例ではいずれも、第1給水栓とされる給水栓18bと、第2給水栓とされる給水栓18a,18c,18dとが明確に区別されたが、これに限定される必要はなく、給水栓に第1給水栓と第2給水栓とを兼用させることもできる。たとえば、複数の給水栓を非常取水栓30として利用する場合には、非常取水栓30に加圧装置34を接続するための接続口32を形成することもできる。同様に、接続口32が形成された給水栓から貯水槽12内に貯留された水道水を取り出すこともできる。たとえば、貯水槽12の中央部に位置する給水口26と当該貯水槽12の最下部に位置する給水口26とを第1給水口として利用すれば、その残量を確認しながら貯留水を取り出すことができるため、好適である。
なお、上述の実施例における「住宅」とは、一戸建ての住宅のみならず、マンションなどの集合住宅を構成する各住戸を含む概念である。
ここで、たとえば、集合住宅に設置される1つの共用タンクから、当該集合住宅を構成する各住戸に水道水を供給する場合には、非常時にいずれかの1戸が大量に水を使用すると、共用タンク内の貯留水がなくなってしまう。しかしながら、集合住宅を構成する各住戸の給水系管路に給水システムを適用することによって、各住戸、すなわち各家庭ごとに独立して貯留水を使用することができる。
また、給水システム10は、住宅100内の給水系管路ないしその給水系管路の一部に適用されたが、これに限定される必要はなく、たとえばこの給水システム10を学校や商業施設などの建物の給水管路系に適用してもよい。
さらにまた、上述の各実施例ではいずれも、貯水手段として貯水槽12が用いられたが、これに限定される必要はない。たとえば、貯水手段として、ガス給湯システムやヒートポンプ式エコ給湯システム等の給湯タンクを利用することもできる。また、貯水手段は、タンク状に形成される必要もなく、長尺の配水管を巻回したものを貯水手段として利用することもできる。要は、水道水を一定量以上貯めることができる機構があれば、それを貯水手段として利用することができる。
なお、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。