JP5505221B2 - コークス炉におけるコークス押出負荷の推定方法 - Google Patents

コークス炉におけるコークス押出負荷の推定方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば水平室式コークス炉のコークス押出し時において、特に、炭化室の炉壁に損傷がある場合に、乾留後のコークスケーキを炭化室から押出す際、押出し機および炉壁がそれぞれ受ける負荷を推定する方法に関するものである。
近年のコークス炉操業では、コークス品質及び生産性の向上を狙って炭化室内へ装入する石炭の水分を低減させる方法が多く取り入れられている。その結果、石炭の装入(充填)密度が上昇する傾向にあり、コークスケーキを押し出す際に、炭化室の側壁(炉壁)にかかる荷重が上昇し、これにともないコークス押出し負荷も増加する傾向にある。
また、建設されて30年以上が経過して炉体の老朽化が進展しているコークス炉も増えており、そのような長期間稼動しているコークス炉の炭化室では、炉壁や炉底で損傷(突起や窪みによる凹凸、煉瓦角欠け、表面肌荒れ、等)が進展している。
その結果、炭化室からコークスケーキを押出す際に、炉壁面とコークスケーキ表面との間の相互作用が大きくなり、押出しに必要な力や炉壁に作用する荷重がさらに増加している。
操業条件の変化によってコークスケーキと炉壁面との隙間が小さくなったり、炉壁の損傷などにより局所的に炉壁の強度が低下していると、押出しに必要な力が押出し機の能力を上回ったり、押出し中に炉壁煉瓦が破孔するなど、大きなトラブルにつながる可能性が著しく増大する。
このため、炭化室からコークスケーキを押出すのに必要な力や炉壁に作用する荷重(炉壁押し圧)を事前に評価し、押出し機や炭化室の炉壁に過度の荷重が負荷されないようにすることがより重要になっている。
コークス炉の炭化室からコークスケーキを押出す際に必要となる力は、非特許文献1に示されているように、コークスケーキを移動させるときに、炉壁や炉底から受ける抵抗で決まるものであり、その抵抗を決める具体的な要因として、炭化室の炉壁面や炉底面の凹凸、炉壁煉瓦表面や炉底煉瓦表面の粗度(摩擦係数)、炉壁の強度(押出し時の炉壁の変位)などがあるが、このうち、炉壁表面に形成された凹凸の影響が最も大きいと考えられる。
このような状況の中で、特許文献1などに示されるように、炭化室炉壁の形状を炉壁面の炉長方向及び炉高方向、炉壁面の厚み方向を3次元的に測定し、炉壁面のプロファイルを定量的に把握する技術が開発された。この技術を用いることにより、炉壁面の形状について具体的なプロファイルデータを得ることが可能になり、炭化室炉壁の補修やコークスケーキ押出し力の推定に、そのような炉壁のプロファイル情報を用いることができるようになってきた。
本発明者らも、特許文献2、3のように、炉壁に形成された凹凸が、コークスケーキ押出し力や炉壁荷重に与える大きさを測定する押出負荷測定装置を開発し、その装置を用いたコークスケーキ押出し試験によって、炉壁に存在する凹凸が押出負荷に与える影響を評価し、さらに、炉壁プロファイル情報から得られた炉壁凹凸の形状や位置のデータから、炉壁に局所的に存在する個々の凹凸が押出し力や炉壁荷重に与える影響を評価する技術や、特許文献4のように、個々の凹凸の影響を炉壁全体に広げて、コークスケーキ全体の押出負荷を推定する技術を開発してきた。
さらに、本発明者らは、このような凹凸の影響について、個々の凹凸の形状や凹凸の存在位置を数値化した「抵抗指数」が押出し力と良好に対応していることを見出し、特許文献5に示される技術を開発している。
この技術では、炭化室の炉壁面を複数の領域に区分けし、炭化室の炉壁面のプロファイルから、区分けした領域に凹凸がある場合に、コークスの押出し時に、その凹凸によってコークスが受ける局所的な抵抗を、局所抵抗指数として指標化し、導出した局所抵抗指数を集計して炭化室の炉壁面全体における抵抗指数を導出し、予め求められた抵抗指数と押出負荷との関係からコークスケーキの押出負荷を求めるようにしている。
この抵抗指数は、押出負荷とよい相関を示すが、本発明者らのさらなる調査の結果、炭化室によっては、抵抗指数から推定される押出負荷と実際の押出負荷との間に乖離が生じる場合が生じてきた。
本発明者らは、その原因を明らかにするために、予測値との乖離が生じている炭化室の炉壁プロファイルデータを詳細に解析した。
その結果、長期稼働のコークス炉炭化室の炉壁では、炉壁煉瓦表面の肌荒れも顕著になっており、特に、炉壁に形成された突起部表面にも肌荒れ(微小凹凸)が認められた。
炉壁表面に肌荒れが存在すると、コークスケーキが移動する際に、コークス塊表面と炉壁面の間の摩擦力が増大し、それがコークスケーキの押出し力をさらに増加させる原因になっており、それによって予測値と乖離が生じることが予想された。
従来、炉壁表面の肌荒れがコークスケーキの押出し力に与える影響を定量的に評価する手法は開示されていない。
WO00−55575号公報 特開2008−208337号公報 特開平2009−209290号公報 特開平2008−303239号公報 特開2008−201993号公報
「Ironmaking Conference Proceedings」 AIME、1998年、1155−1159頁
そこで、本発明では、コークス炉の炭化室炉壁面の肌荒れの状態が、コークスケーキの押出し力や炉壁押し圧にどのような影響を与えるかを評価して、実コークス炉炭化室の炉壁形状を測定して得られた炉壁プロファイル情報から、コークスケーキ押出し時の押出負荷を精度よく推定することができるようにすることを課題とする。
長期間稼動したコークス炉の炭化室において確認されている炉壁面の耐火煉瓦の肌荒れ(微小凹凸)がコークス押出負荷に与える影響について検討した。
耐火煉瓦の肌荒れによる摩擦力の増大が、押出負荷に与える影響が最も大きいのは、炉壁面に存在する突起部によって形成された炉幅方向狭小部をコークス塊が通過するときと考えられる。
そこで、種々の肌荒れ状態を模擬的に再現した突起を作成し、これを前述の押出負荷測定装置の側壁に取り付けて、突起の表面粗さの程度がコークス押出負荷に与える影響について調べた。
その結果、炉壁面に形成される突起部の表面粗さの程度を、表面粗さパラメータの一つである最大高さ粗さRzで表した場合、コークス押出負荷は、突起部の表面における最大高さ粗さRzの値と良好な対応関係にあるという知見を得た。
そして、前述の炉壁面診断補修装置で得られた炉壁面の表面プロファイルより、炉壁面に存在する突起部表面の最大高さ粗さRzを求め、予め求めておいた最大高さ粗さRzとコークス押出負荷との関係を用いて、炉壁面に存在する突起部に由来するコークス押出負荷を推定するようにして上記課題を解決した。
そのような本発明の要旨は、次のとおりである。
(1) 炭化室の炉壁に相当する側壁に突起部を形成した押出負荷測定装置を用いた試験用コークスケーキの押出し試験によって、前記突起部に起因するコークス押出負荷を測定し、測定されたコークス押出負荷に基づいて、実コークス炉炭化室の炉壁に存在する突起部に起因するコークス押出負荷を推定する方法であって、
異なる表面粗さを有する突起部を形成した側壁を用いて前記押出し試験を実施して、突起部の表面粗さを表す最大高さ粗さRzとコークス押出負荷との関係を予め求めておき、
実コークス炉炭化室における炉壁のプロファイル情報から、該炉壁に存在する突起部の最大高さ粗さRzを求め、
得られた実コークス炉の突起部の最大高さ粗さRzから、前記予め求めておいた最大高さ粗さRzとコークス押出負荷との関係に基づいて、実コークス炉炭化室における前記突起部の表面粗さに起因するコークス押出負荷を求めることを特徴とするコークス押出負荷の推定方法。
(2) 前記押出し試験において、試験用コークスケーキに作用する押出し力に対抗する反力の値および試験用のコークスケーキに載置する錘の質量を変化させることにより、実コークス炉炭化室の炉壁面内における前記突起部の炉長方向および炉高方向の存在位置と関連して最大高さ粗さRzとコークス押出負荷との関係を予め求めておき、
前記炉壁のプロファイル情報から、さらに前記突起部の炉長方向および炉高方向の存在位置を求め、
前記予め求めておいた突起部の炉長方向および炉高方向の存在位置に関連した最大高さ粗さRzとコークス押出負荷との関係に基づいて、実コークス炉炭化室の炉壁に存在する突起部の表面粗さに起因するコークス押出負荷を推定することを特徴とする上記(1)に記載のコークス押出負荷の推定方法。
(3) 前記炉壁のプロファイル情報から、実コークス炉炭化室におけるコークス押出負荷を求めるにあたり、上記(2)に記載の方法により推定された炉長方向および炉高方向における突起部の表面粗さに起因するコークス押出負荷を、炉壁の凹凸情報に基づいて推定された押出負荷に加算することを特徴とするコークス押出負荷の推定方法。
本発明によれば、炉壁のプロファイル情報から得られた炉壁の突起部の表面状態を考慮して、コークスケーキ押出し時におけるコークス押出負荷を精度よく推定することができるようになる。
コークス押出負荷測定試験によって得られた、突起部表面の表面粗さ指数とコークス押出負荷との関係を示す図であり、(押出し力−反力)と最大高さ粗さRzとの関係を示す。 コークス押出負荷測定試験によって得られた、炉壁表面の摩擦係数とコークス押出負荷との関係を示す図であり、(押出し力−反力)と摩擦係数との関係を示す。 コークス押出負荷測定試験によって得られた、突起部表面の表面粗さ指数とコークス押出負荷との関係を示す図であり、(a)は(押出し力−反力)と算術平均粗さRaとの関係を、(b)は(押出し力−反力)と粗さ曲線の最大山高さRpとの関係を示す。 炉壁に突起部が存在する場合を想定したコークス押出し負荷測定試験の概略を説明するための図である。 コークス押出し負荷測定試験に用いる突起の形状を示す図である。 炉壁の抵抗指数を求める方法を説明するための図である。 抵抗指数と押出負荷の関係を示す図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
コークス炉の炭化室からコークスケーキを押出す際には、押出し機ラムによってコークスケーキに負荷された押出方向の力の一部が側圧として炉壁面に作用する(例えば、非特許文献1参照)。炉壁に突起部が存在すると、その分だけ炉幅(炉壁間距離)が狭くなるため、コークスケーキを押出す際の抵抗が増大するが、突起の表面に肌荒れがあると、コークス塊表面との間の摩擦力が増大し、それにともなってコークスケーキの押出し力と炉壁押し圧もさらに増大する。そのため、特許文献3に示されるような突起部の大きさの評価に加え、さらに突起表面の表面粗さの影響を評価することが必要である。
そこで、本発明者らは、小型電気乾留炉を用いて石炭を乾留して試験用コークスケーキを製造し、特許文献2、3に示されるような押出負荷測定装置を用いて、試験用コークスケーキの押出負荷測定試験を実施した。図4に、測定装置および試験の概略を示す。
この装置では、試験用コークスケーキ1の前後に押出し側と受け側の当て板4、5を配置し、それぞれの当て板を油圧シリンダ(図示せず)に接続して、試験用コークスケーキ1に対し押出し力Fpと、コークス炉炭化室の炉長方向の想定位置に応じた一定の反力Frを加えながら、試験用コークスケーキ1を押出すようになっており、また、コークスケーキ1の両側面には、コークス炉の炭化室炉壁に相当する側壁となる左右の側面パネル2、3を、油圧シリンダ(図示せず)を介して保持するようになっている。
ここで、押出し力Fpに対して反力Frを付加するのは次の理由による。
実コークス炉では炭化室のPS(押出し機側)からCS(コークガイド車側)に行くにしたがって、炉幅が徐々に広がるテーパー構造となっている場合があり、PSからCSにかけて炉長方向にコークスケーキ内を伝達する力(または、圧力)が減少する。あるいは、炉幅がテーパー構造となっていない場合でも、押出し力の一部は炉壁方向に分散することにより、コークスケーキ内を伝達する力が同様に減少する。この炉長方向の位置の違いによるコークスケーキに作用する力(または、圧力)の違いを擬似的に再現するために、炉長方向の位置を想定した反力を付加するようにしている。
試験用コークスケーキ1の押出し時の押出し力Fpと反力Frの測定は、当て板4、5の外側にロードセル(図示せず)を複数個設置して行う。また、側面パネル2、3の外側にも同様にロードセルを設置し、押出し時にコークスケーキにより側面パネル2、3が受ける壁押し力Fwを測定する。
炭化室の炉壁表面に存在する突起の肌荒れを想定したコークス押出負荷測定試験を実施するには、肌荒れを想定した表面粗さを有する突起6を作製し、それを、図4に示すように、試験装置の側面パネル2のコークスケーキと対向する面に、例えば、ボルトや溶接などを用いて取付ける。
突起6は、種々の炭化室の調査に基づき、図4に示されるような、側面パネル2上面と連続する斜面7及び該パネル上面と平行な水平面8を有する楔形とする。また、斜面7及び水平面8が種々の肌荒れ状態となるように、突起を種々の材質で形成する。
ここでは、多孔質カーボン、珪石煉瓦、表面をサンドブラスト処理した珪石煉瓦、錆御影敷石、およびビシャン加工した御影石の5種類を用いて突起6としたが、突起表面の肌荒れ状態を再現できるなら、どのような材料でも良いことはいうまでもない。
突起6に用いた材料の表面状態を評価するため、表面粗さと静止摩擦係数を測定した。表面粗さを評価するための指数としては、算術平均粗さRa,粗さ曲線の最大山高さRpなどもあるが、本発明者らは、鋭意検討した検討、表面粗さ曲線の山高さの最大値と谷深さの最大値の和で定義される最大高さ粗さRzが、コークス押出し力との間に良い相関を示すことを見出した。
そこで、表面粗さ指数として、粗さ曲線の最大高さ粗さRzを選択し、JIS法の定義(JIS B0601:2001)に準拠する方法で測定した。すなわち、多孔質カーボンと珪石煉瓦は触針式の測定法を用い、残りは、レーザ距離計を用いた非接触式の測定法を用いて測定した。
また、静止摩擦係数は、各材料の表面に一個のコークス塊を乗せて徐々に傾斜させていき、コークス塊が動き始めた瞬間の傾斜角度を読み取る傾斜法によって算出した。
突起に用いた上記材料の最大高さ粗さRzと静止摩擦係数の値の例を表1に示す。
Figure 0005505221
上記のコークスケーキの押出負荷測定装置を用いた押出し試験においては、まず、側面パネル2、3に、図4に示す形状とサイズ(長さ400mm、水平面の長さ220mm、突起の厚み30mm、斜面の角度9.5°)の突起を取付ける。次に、石炭を小型電気乾留炉で乾留して得られた所定サイズ(例えば、長さ600×高さ370×幅430mm)の試験用コークスケーキ1を、図4(a)に示すように、装置の左右の側面パネル2、3及び押し側および受け側の当て板4、5で囲まれる空間に配置する。
その際、コークスケーキ1を構成するコークス塊と側面パネル2、3の間の空隙量は、実コークス炉の実態に合わせて所定の値(例えば、片側で2.5mm程度)に調整しておく。また、試験用コークスケーキの側面は、突起の形状に合わせた形状としておく。さらに、必要に応じてコークスケーキの上部に所定の重さの錘を積載する。
なお、空隙を設けるのは、実コークス炉では、乾留中に、コークスが炉幅方向に収縮することにより、炉壁面とコークスとの間に隙間が形成されるためである。
この状態で、図示しない押出し用油圧シリンダ装置を作動させ、当て板4を介してコークスケーキ1に押出し力Fpを付与するとともに、反力付加用油圧シリンダによって当て板5を介して一定の反力Frを作用させながら押出しを開始する。
押出しの開始後、コークスケーキ1は、押出し力Fpによって移動する。その際に、各ロードセルにより、押出し力Fp及び反力Frと、側面パネル2、3にかかる壁押し力Fw1.Fw2を連続的に測定する。
コークスケーキ1の側面が突起の斜面7を上り始めると、反力Frは一定を維持するように制御されているので、押出し力と反力の差が次第に増加して行き、コークスケーキ1が突起6の斜面7を乗り超え、図4(b)に示すように、突起6の水平面8と、それと対向する側面パネル3との間に形成された狭小部を通過する。その際に、押出し力Fpの値は最大値を示す。
ここで、炉長方向の位置の違いによる反力Frの値は、コークス炉における押出し力FpsとPS端からの距離xに基き設定することができる。すなわち、コークスケーキのPS端で発生した押出し力FpsはCS端に向かって直線的に減衰し、CS端でゼロになると考えられるため、PS端から任意の距離xにおける反力Fr(x)は、Fr(x)=Fp(1−x/L)で求められる。ただし、Lは炉長方向のコークスケーキ長さである。
なお、押出し用油圧シリンダにより試験用のコークスケーキ1に押出し力を作用する際には、コークスケーキ1に作用する反力Frが一定になるように、反力付加用油圧シリンダを制御する。上述したように、この一定とする反力の設定値を変更(この反力の設定値により押出し力も変化する)することにより、実コークス炉におけるコークスケーキ1の炉長方向の想定位置を変えることができ、突起部が炉長方向の任意の位置にある場合での、コークス押出負荷を評価することができる。
また、コークスケーキ1の上部に積載する錘の質量を変えることにより、実コークス炉におけるコークスケーキ1の炉高方向の想定位置を変えることができ、炉高方向の任意の位置でのコークス押出負荷を評価することができる。ここで、錘の質量は、コークスケーキの嵩密度と実コークス炉で想定しているコークスケーキの高さにより設定することができる。
上記の突起をそれぞれ側面パネルに取付けて、コークス押出し試験を実施して得られたコークス押出し力(=押力Fp−反力Fr)の最大値と、側面パネルに取付けられたそれぞれの突起表面の最大高さ粗さRzとの関係を図1に示す。
なお、図1において、横軸の最大高さ粗さRzは、その値が大きいほど、表面が粗いことを意味する。また、図中の符号は、1:多孔質カーボン、2:珪石煉瓦、3:サンドブラスト処理した珪石煉瓦、4:錆御影敷石 、5:ビシャン加工した御影石をそれぞれ示している。
図1より、コークス押出し力は、表面が粗くなるとともに押出し力が大きく増加し、コークス押出し力の最大値と突起表面の最大高さ粗さRzの間には、図1中に実線で示すように強い相関が得られた。図1には、得られた決定係数Rの値を付記した。
なお、図2に、静止摩擦係数とコークス押出負荷との関係を示すが、最大高さ粗さRzの場合と同様に表面が粗くなると押出負荷が上昇する傾向を示すが、最大高さ粗さRzの方が摩擦係数よりも明瞭な相関が認められる。すなわち、摩擦係数よりも最大高さ粗さRzの方が、押出し抵抗をより的確に標記できる指数であることがわかる。
また、図3(a)、(b)に、表面粗さを評価するための他の指数である、算術平均粗さRa及び粗さ曲線の最大山高さRpとコークス押出負荷との関係を示すが、これらの指標では最大高さ粗さRzのような良い対応関係を示していない。
これにより、実コークス炉炭化室における炉壁プロファイルの測定データから突起部の存在が認められた場合、その突起部の表面粗さを最大高さ粗さRzとして求めておけば、図1に示す関係から、その突起部の押出負荷への影響を推定することができる。
図1を求めたコークス押出負荷測定試験では、突起の大きさ、試験用コークスケーキに作用させる反力とコークスケーキ上部に積載する錘の質量(荷重)を一定の条件としたが、さらに、突起の厚みhを種々変えた突起を作成し、同様の測定試験を行うことにより、突起の大きさと関連させて、突起の表面粗さと押出負荷との関係を求めることができる。
また、炉壁に存在する突起部は、コークス炉炭化室の炉壁の炉長方向および炉高方向の存在位置によって、押出負荷に与える影響が変化するため、反力と荷重を想定位置に応じたものに変えて同様の測定試験を実施しておけば、突起部の炉壁面内の存在位置(炉壁の炉長方向および炉高方向の位置)と関連させて、突起部の表面粗さと押出負荷との関係を求めることができる。
このようにすれば、側壁に存在する個々の突起の押出負荷への影響を、その大きさや存在位置を考慮して、より正確に推定することができる。また、突起が2箇所以上の場合、それぞれの突起の押出負荷への影響を、その大きさや存在位置を考慮して推定することができる。
以上のようにして求めた、炉壁に存在する突起に起因する押出負荷を、実コークス炉の炭化室からコークスケーキ全体を押出す際の押出負荷の推定に利用するには、例えば、炭化室の炉壁に突起部がなく、炉壁が健全で燃焼室の温度のばらつきも少ない状態にあった時期の操業において、押出機ラムのトルクから得られた押出負荷のデータがある場合には、その押出負荷のデータに上記のように求めた突起部をコークスケーキが通過するときに必要となる押出し力を加算して求めることができる。
さらに、突起部の肌荒れに起因する押出負荷の増加分だけを、基準の表面状態で得られた押出負荷から取り出しておけば、炉壁の凹凸情報を用いて公知の方法で推定されたコークス押出負荷に、突起部の肌荒れに起因する押出負荷の増加分を加算することにより、現在の操業状態に応じた押出負荷を推定することができる。なお、基準の表面状態は、図1では、符号2の珪石煉瓦とすることができる。
例えば、特許文献5に記載の押出負荷の推定方法に適用するには、次のようにする。
すなわち、特許文献5では、図6に示すように、炭化室の炉壁面を炉長さ方向および炉高さ方向の複数の領域Z(p,q)に区分けし、炭化室の炉壁面のプロファイルから区分けした領域ごとの凹凸情報を求め、区分けした領域に凹凸がある場合に、コークスケーキの押出時に、その凹凸によってコークスケーキが受ける局所的な抵抗を、下記の(式1)で表される局所抵抗指数Ki,jとして指標化し、導出した局所抵抗指数を集計して炭化室の炉壁面全体における抵抗指数を導出し、予め求めておいた抵抗指数と押出負荷との関係からコークス押出負荷を求めるようにしている。
Figure 0005505221
ここで、Doは、炭化室の奥行方向(PSからCSまで)の長さであり、Hoは、炭化室の高さである。dは、炭化室の奥行方向の位置であり、hは、炭化室の高さ方向の位置である。αは、段差ΔZに与える定数、βは、局所抵抗指数Ki−1,jに与える定数である。εは、炭化室の奥行方向(PSからCSに向かう方向)の位置に値が依存する重み係数であり、γは、炭化室の炉壁の高さ方向の位置に値が依存する重み係数である。
その際に、さらに、以上のようにして求めた炉長さ方向および炉高さ方向の複数の領域における突起部の表面粗さに起因する押出負荷の増加分を、炉壁凹凸と同様に指数化し、下記(式2)に示されるように、突起部がある領域の局所抵抗指数に加算すればよい。
K’i,j= Ki,j+c1×Rz ・・・(2)
ここで、c1は、図1の近似線の傾きで決まる係数であり、
Rzは、図1の横軸に示す表面粗さを表す最大高さ粗さである。
図7は、複数の炭化室において、炉壁のプロファイルデータから、突起部の表面粗さに基づく押出負荷の増加分を評価しない場合と、上記のように評価した場合のそれぞれについて抵抗指数を求め、得られたそれぞれの抵抗指数に対し、押出機ラムのトルクから得られた押出負荷の実測値をプロットしたものである。
図7の実線は、多数の炭化室における抵抗指数と押出負荷の実測値から得られた押出負荷の予測式を示すが、表面粗さに基づく押出負荷の増加分を上記のように評価することにより、抵抗指数と実コークス炉におけるコークスの押出負荷(押し出し機モーターに取り付けられたトルクメーターの指示値から算出した押出し力)の対応関係がより良好になることが示されている。
以上のように、本発明はコークス押出負荷を突起部の表面粗さを考慮して推定するものであるが、突起部の表面粗さを考慮しない場合には、押出負荷の予測値が、実際の押出負荷よりも小さく評価される可能性がある。そのような評価に基づいて、コークス押出条件(炭化室からコークスケーキを押し出すタイミング)を設定した場合、過大なコークス押出負荷が発生し、押し詰まりや炉壁損傷が発生する危険性が生じる。
これに対して、上述したように、本発明法で求められる炉壁の突起部突起部の表面粗さを考慮して押出負荷を推定することにより、コークス押出負荷の予測精度をより一層向上させることができ、前記のような操業上のトラブルが発生する可能性を低下させることができる。また、コークス押出負荷を低減できるので、炉壁に作用する力(圧力)も低減でき、コークス炉の寿命を延長する効果も期待できる。
1 試験用のコークスケーキ
2、3 側面パネル
4 押出し側当て板
5 受け側当て板
6 突起
7 突起の斜面
8 突起の水平面
Fp 押出し力
Fr 反力(受け力)
Fw1、Fw2 壁押し力

Claims (3)

  1. 炭化室の炉壁に相当する側壁に突起部を形成した押出負荷測定装置を用いた試験用コークスケーキの押出し試験によって、前記突起部に起因するコークス押出負荷を測定し、測定されたコークス押出負荷に基づいて、実コークス炉炭化室の炉壁に存在する突起部に起因するコークス押出負荷を推定する方法であって、
    異なる表面粗さを有する突起部を形成した側壁を用いて前記押出し試験を実施して、突起部の表面粗さを表す最大高さ粗さRzとコークス押出負荷との関係を予め求めておき、
    実コークス炉炭化室における炉壁のプロファイル情報から、該炉壁に存在する突起部の最大高さ粗さRzを求め、
    得られた実コークス炉の突起部の最大高さ粗さRzから、前記予め求めておいた最大高さ粗さRzとコークス押出負荷との関係に基づいて、実コークス炉炭化室における前記突起部の表面粗さに起因するコークス押出負荷を求めることを特徴とするコークス押出負荷の推定方法。
  2. 前記押出し試験において、試験用コークスケーキに作用する押出し力に対抗する反力の値および試験用のコークスケーキに載置する錘の質量を変化させることにより、実コークス炉炭化室の炉壁面内における前記突起部の炉長方向および炉高方向の存在位置と関連して最大高さ粗さRzとコークス押出負荷との関係を予め求めておき、
    前記炉壁のプロファイル情報から、さらに前記突起部の炉長方向および炉高方向の存在位置を求め、
    前記予め求めておいた突起部の炉長方向および炉高方向の存在位置に関連した最大高さ粗さRzとコークス押出負荷との関係に基づいて、実コークス炉炭化室の炉壁に存在する突起部の表面粗さに起因するコークス押出負荷を推定することを特徴とする請求項1に記載のコークス押出負荷の推定方法。
  3. 前記炉壁のプロファイル情報から、実コークス炉炭化室におけるコークス押出負荷を求めるにあたり、請求項2に記載の方法により推定された炉長方向および炉高方向における突起部の表面粗さに起因するコークス押出負荷を、炉壁の凹凸情報に基づいて推定された押出負荷に加算することを特徴とするコークス押出負荷の推定方法。
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