JP6394264B2 - 水平室式コークス炉におけるコークス隆起量の推算方法及びそれにより得られた隆起量に基づくコークスケーキ押出方法 - Google Patents

水平室式コークス炉におけるコークス隆起量の推算方法及びそれにより得られた隆起量に基づくコークスケーキ押出方法 Download PDF

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Description

本発明は、水平室式コークス炉において、乾留終了後にコークスケーキを押し出す際に、コークスケーキが隆起して炭化室の天井部に接触するか否かを、押出し前にコークスケーキの隆起量を推算し、予測して、コークスケーキを押出す方法に関するものである。
近年のコークス炉操業では、生産性や品質の向上を狙って炭化室内へ装入する石炭の水分を低減させる方法が多く取り入れられており、石炭の装入(充填)密度が上昇する傾向にある。その結果、コークスケーキを押出す際に炭化室の側壁(炉壁)にかかる荷重が上昇し、これにともないコークス押出負荷も増加する傾向にある。
また、長期間稼動のコークス炉も増えており、そのようなコークス炉の炭化室では、炉壁にカーボンが付着して突起部(凸部)が形成されている場合も多くなっている。炭化室の炉壁に突起部が存在すると、その分だけ炉幅(炉壁間距離)が狭くなる。炉幅が狭くなった狭窄部をコークスケーキが通過する際、炉壁面とコークスケーキ表面との間の相互作用が大きくなり、押出しに必要な力や炉壁に作用する荷重がさらに増加する。
そのため、炭化室からコークスケーキを押出すのに必要な力や炉壁に作用する荷重(炉壁押し圧)を事前に評価し、押出し機や炭化室の炉壁に過度の荷重が付加されないようにすることがより重要になっている。
本発明者らも、特許文献1及び2に開示される、炉壁に形成された凹凸が、コークスケーキ押出し力や炉壁荷重に与える大きさを測定する押出し試験装置を開発し、その装置を用いたコークス押出し試験によって、炉壁に存在する凹凸が押出負荷に与える影響を評価する技術を提案している。
一方、押出し開始時に、押出しラム近傍で、コークスケーキ上面が隆起することが知られている。押出力が増大すると、隆起量も炉壁に形成された凹凸の影響で増大し、コークスケーキ上面が天井面と接触することが予想される。
このようなコークスケーキの隆起量(突き上がり量)を測定する方法として、特許文献3には、乾留終了後、炭化室の装入口に耐熱型マイクロ波距離計を設置し、押出し開始前と押出し中のコークスケーキの高さを測定して、その差から隆起量を計算で求める方法が開示されている。
特開2008−208337号公報 特開2009−209290号公報 特開2014−019706号公報
特許文献1及び2には、炉壁に存在する凹凸が押出負荷に与える影響についての技術が開示されているが、コークスケーキの隆起や、コークスケーキの表層と炭化室の天井面との接触及び摩擦について、特に開示されていない。また、特許文献3には、コークスケーキの隆起量を測定する技術が開示されているが、この技術はコークスケーキの隆起量を押出し前に評価するものではない。そして、コークスケーキの隆起量の測定には、高温環境に測定装置を設置する労力や耐熱型マイクロ波距離計が必要であり、コストが増加する。
そこで、本発明では、このような実情に鑑み、コークスケーキの高さを実測することなく、コークスケーキの押出しを実施する前に、コークスケーキが隆起するか否かを予測して、押出しの可否を判断する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、コークスケーキを炭化室から押出す際の押圧が、コークスケーキの突上げ圧に影響を与えると考え、押圧と突上げ圧との関係について検討した。その結果、コークスケーキの押圧と突上げ圧の間には、一定の関係があるとの知見を得た。そして、コークスケーキの突上げ圧から隆起量を推算する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)水平室式コークス炉のコークスケーキの隆起量を推算する方法であって、
炉壁に凹凸が存在する炭化室を想定した試験用コークスケーキの押出し試験を行い、コークスケーキ押圧とコークスケーキ突上げ圧との関係及びコークスケーキ突上げ圧とコークスケーキ表層の隆起率との関係を予め求めておき、
コークス炉の炭化室の炉壁面を炉長方向及び炉高方向に複数の領域に分割して、各領域の凹凸情報を求めるとともに、各領域におけるコークスケーキ押圧を推算し、
推算された押圧から、前記コークスケーキ押圧とコークスケーキ突上げ圧との関係に基づき、各領域における突上げ力を求めるとともに、各領域の上層のコークスケーキによる荷重を求め、
同一領域における突上げ力が荷重より大きい場合に、コークスケーキが隆起すると判断して、前記コークスケーキ突上げ圧とコークスケーキ表層の隆起率の関係から各領域での隆起量を求め、
前記隆起量を炉長方向の各分割位置で炉高方向に加算して、コークスケーキ表層の隆起量を炉長方向に推定することを特徴とするコークスケーキ隆起量の推算方法。
(2)コークスケーキの押出方法であって、(1)に記載の推算方法により得られたコークケーキ隆起量が管理値を超える場合、コークスケーキの乾留時間を長くして押出負荷を低減させてから、コークスケーキの押出しを行うことを特徴とするコークスケーキの押出方法。
本発明では、コークスケーキの押出しを実施する前に、炭化室の炉壁に凹凸を有する実コークス炉におけるコークスケーキの押出しの際の隆起量を予測し、押出しの可否を判断して、コークスケーキの表層と炭化室の天井面との接触及び摩擦を防ぐことができる。
炭化室内における単位コークスケーキに作用する力を示す図である。 押出し試験装置の水平断面図を示す図である。 押出し試験装置の押出し方向の垂直断面図を示す図である。 試験用コークスケーキの移動距離に対する押出し力と突き上げ力の関係を示す図である。 試験用コークスケーキの押圧と突上げ圧との関係を示す図である。 試験用コークスケーキの移動距離に対する押出し力と隆起量の関係を示す図である。 試験用コークスケーキの押圧と隆起率との関係を示す図である。 突上げ圧と隆起率の関係を示す図である。 コークスケーキ全体の押出し力を求めるためにコークスケーキを複数の領域に分割した状態を示す図である。 コークスケーキの押圧の推算値から隆起量を推算した例を示す図である。(a)は各領域の押圧、(b)は各領域の突上げ圧、(c)は各領域の上層のコークスケーキの荷重、(d)は各領域の隆起量、(e)はコークスケーキ表層の隆起量を示す。 押出し機側からの距離に対するコークスケーキ表層の隆起量の推算値を示す図である。 突起の炉高方向の位置の違いにおけるコークスケーキ表層の隆起量の推算値を示す図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、コークスケーキの押圧の推算値から、コークスの突上げ圧を推算し、次に、突上げ圧からコークスケーキの隆起量を推算する方法である。以下に、コークスケーキを炭化室から押出す際の押圧、コークスケーキの突上げ圧、及び、コークスケーキの隆起量の関係を説明するが、まず、単位コークスケーキに作用する力について説明する。
図1は、乾留後のコークスケーキを炭化室から押出す際に、単位コークスケーキに作用する力を示す図である。図1の上方の図は、押出機に設けられた当て板(ラム)により、コークスケーキ1を押し出す際の概略図を示す。図1の下方の図は、コークスケーキ1を炉長方向及び炉高方向の複数の領域に区分けし、一つの区分を単位コークスケーキ2とし、これに作用する力を示す。
単位コークスケーキ2には、Pd、Pu、Pf及びPrで示される力が作用する。Pdは上層コークスケーキの荷重(自重)、Puは下層コークスケーキからの突上げ力、Pfは押出し力、Prは反力を示す。
ここで、隆起量に影響を与える垂直方向の力である、PdとPuは、次式で求められる。
Pd(kN)=(上層のコークスケーキ厚)×(面CDHGの面積)
×(コークスケーキ嵩密度)×(重力加速度) (1)
Pu(kN)=(面AEFBの面積)×(突上げ圧) (2)
(コークスケーキの押圧と突上げ圧との関係)
単位コークスケーキ2の押圧と、Puを求めるための突上げ圧との関係は、図2及び3に概略を示す押出し試験装置を用いて、種々の反力で、試験用コークスケーキの移動距離に対する押出し力と突上げ力を測定して求めた。図2は、押出し試験装置の水平断面図を示す図である。図3は、押出し試験装置の押出し方向の垂直断面図を示す図である。
まず、試験用コークスケーキ移動中の押出し力と突き上げ力の測定方法について、説明する。試験用コークスケーキ3として、小型電気乾留炉で石炭を乾留し、単位コークスケーキの大きさに相当するコークスケーキを準備し、この試験用コークスケーキ3(長さ620mm×幅40mm×高さ400mm)を用いて押出し試験を実施した。この押出し試験においては、図2に示すように、側面パネル4に楔形の突起6(長さ400mm、水平面の長さ:220mm、突起の厚みh:30mm、斜面の角度9.5°)を取付けた。次に、上記の試験用コークスケーキ3を左右の側面パネル4、5と、押出し側(PS)及び受け側(CS)の当て板7、8で囲まれる空間に配置した。その際に、側面パネル4、5のそれぞれとコークス間に2.5mmの隙間(Xc)を設けた。
押出し試験開始後の試験用コークスケーキ3に作用する押出し力Pf及び反力Prを連続的に測定するために、押出し側(PS)油圧装置9と押出し側(PS)当て板7の間、及び、受け側(CS)油圧装置10と受け側(CS)当て板8の間に、ロードセル11、12を配置した。そして、押出し側(PS)油圧装置9によって、押出し力Pfを付加した。
押出し試験開始後の試験用コークスケーキ3の突上げ力は、図3に示すように、試験用コークスケーキ3の最上層の上に押さえ板13を設け、その上に配置されたロードセル14によって、連続的に測定した。ロードセル14が、押出し方向に対して移動するように、ロードセル14をエアシリンダ15に設けられたピストンロッド16の先端に配置し、当該エアシリンダ15をガイドレール17に移動可能に取り付けた。そして、突上げ力の測定の際、ロードセル14が垂直方向に移動しないように、ピストンロッド16を固定した。
この状態で、押出し側(PS)油圧装置9を作動させ、押出し側(PS)当て板7を介して、試験用のコークスケーキ3に押出し力Pfを付与するとともに、受け側(CS)の油圧装置10によって、受け側(CS)当て板8を介して、試験用コークスケーキ3に、炭化室炉長方向の位置を想定した一定の反力Prを作用させながら、押出し(試験用コークスケーキ3の移動)を開始する。
押出しの開始後、試験用コークスケーキ3は、押出し力Pfによって移動する。その際に、各ロードセル11、12、14により、押出し力Pf、反力Pr、突上げ力Puを連続的に測定した。
図4は、試験用コークスケーキの移動距離に対する押出し力と突き上げ力の関係を示す図である。また、図4に、反力及び壁荷重も併せて示す。試験用コークスケーキ3の側面が突起6の斜面を上り始めると、反力Prは一定の値を維持するように制御されているので、押出し力Pfと反力Prの差が次第に増加して行き、試験用コークスケーキ3が突起6の斜面を乗り超え、突起6の水平面と、それと対向する側面パネル5との間に形成された狭窄部を通過して、移動距離が400mm付近で押出し力Pfの値は最大値を示した。
突上げ力Puは、試験用コークスケーキ3の移動とともに増加し、試験用コークスケーキ3が突起6の斜面を乗り超える際の移動距離が300mm付近で最大値を示した。その後、突上げ力は、若干減少し、ほぼ一定値で推移した。
上記押出し試験では、試験用コークスケーキ3に作用させる反力の設定値を変更(反力Prの設定値により押出し力Pfも変化する)することにより、実コークス炉における炉長方向の突起の想定位置を変えることができる。
そこで、反力Prを想定位置に応じた大きさに変えて同様の押出し試験を実施しておけば、突起6の炉壁面内の存在位置と関連させて、押出し力Pfに対する突き上げ力Puの関係を求めることができるため、上記押出し試験を試験用コークスケーキ3に作用させる反力Prの設定値を変更させて実施した。
これら試験結果において、突上げ力Puが最大値を示した移動距離の位置における押出し力Pfの値の1点のみを用いても良いが、測定値にはばらつきがあることから、ここでは、突上げ力Puが最大値を示した移動距離の位置の前後25mmの範囲の押出し力Pfの算術平均値と、同範囲の突上げ力Puの算術平均値を求めた。そして、単位コークスケーキ2の押圧に対する突上げ圧の関係とするために、押出し力Pfの平均値と押出し側(PS)当て板7の面積、及び、突上げ力Puの平均値と押さえ板13の面積から、それぞれ、押圧及び突上げ圧を計算した。図5は、このようにして求めた試験用コークスケーキの押圧に対する突上げ圧の関係を示す図である。
図5から、突上げ圧は、以下の(3)式に示すように、例えば、押圧の3次関数で近似することができる。
突上げ圧(kPa)=4.345×10−7(押圧)−3.799×10−4(押圧)+1.276×10−1(押圧) (3)
一方、単位コークスケーキの突上げ力Puは、(2)式に、(3)式より求められた突上げ圧を代入することで、以下の(4)式に示すように、求めることができる。
Pu(kN)=(面AEFBの面積)×{4.345×10−7(押圧)
−3.799×10−4(押圧)+1.276×10−1(押圧)}
(4)
(コークスケーキの押圧と隆起率との関係)
単位コークスケーキ2の押圧と隆起率との関係は、上述の単位コークスケーキ2の押圧と突上げ圧との関係を求めた装置を用いた。但し、押さえ板13が、垂直方向に対して移動するように、ピストンロッド16を固定せずに、押さえ板13にかかる荷重を解放した。その上で、図2及び3に概略を示す押出し試験装置を用いて、種々の反力Prで、試験用コークスケーキ3の移動距離に対する押出し力と隆起量を測定して求めた。
以下、試験用コークスケーキ3の移動中の押出し力Pfと隆起量の測定方法について、詳細に説明する。まず、上述のコークスケーキの押圧と突上げ圧との関係の求めた方法と同様の手段については、簡略に述べる。押出し試験は、図2に示すように、側面パネル4に楔形の突起6を取付け、試験用コークスケーキ3を左右の側面パネル4、5及び押し側及び受け側の当て板7、8で囲まれる空間に配置して実施した。
押出し試験開始後の試験用コークスケーキ3の隆起量は、図3に示すように、試験用コークスケーキ3の最上層の上に押さえ板13の移動距離を距離計18によって連続的に測定した。この際に、上述の通り、押さえ板13が、垂直方向に対して移動するように、ピストンロッド16を固定せずに、押さえ板13にかかる荷重を解放した。
この状態で、押出しの開始後、試験用コークスケーキ3は、押出し力Pfによって移動する。その際に、各ロードセル11、12、及び、距離計18により、押出し力Pf、反力Pr、隆起量を連続的に測定した。
図6は、試験用コークスケーキの移動距離に対する押出し力と隆起量の関係を示す図である。また、図6に、反力及び壁荷重も併せて示す。このように、隆起量は、試験用コークスケーキ3の移動とともに増加し、試験用コークスケーキ3が狭窄部を通過する際の移動距離が350mmを超えた付近で最大値を示した。その後、隆起量は、ほぼ一定値で推移した。
次に、上記押出し試験を試験用コークスケーキ3に作用させる反力Prの設定値を変更させて実施した。これら試験の結果において、押出し力Pfと隆起量の値は、隆起量が収束した点の値を用いてもよいが、測定値のばらつきを考慮して、収束したと思われる点から所定距離だけ移動した点の距離までのそれぞれの平均値を用いても良い。本例では、収束したと思われる移動距離から100mmの間の範囲の押出し力Pfの算術平均値と、同範囲の隆起量の算術平均値を求めた。そして、単位コークスケーキ2の押圧と隆起率の関係とするために、押出し力Pfの平均値と押出し側(PS)当て板7の面積、及び、押出し試験前の試験用コークス3の高さに対する隆起量の割合から、それぞれ、押圧及び隆起率を計算した。図7は、このようにして求めた試験用コークスケーキの押圧と隆起率との関係を示す図である。
図7から、隆起率は、以下の(5)式に示すように、例えば、押圧の3次関数で近似することができる。
隆起率(%)=7.731×10−8(押圧)−7.113×10−5(押圧)
+2.761×10−2(押圧) (5)
(突上げ圧と隆起率の関係)
上述の押圧と突上げ圧の関係、及び、押圧と隆起率の関係は、両者とも押圧に対する関係であるため、これらの結果を、突上げ圧と隆起率の関係に整理した。図8は、突上げ圧と隆起率の関係を示す図である。
図8から、突上げ圧に対する隆起率は、以下の(6)式に示すように、例えば、1次式で近似することができる。
隆起率=0.2386×(突上げ圧) (6)
(コークスケーキの隆起量)
隆起量は、隆起率と単位コークスケーキの高さの積から求めることができ、隆起率を(6)式に置き換えると、隆起量は、以下の(7)式に示すように、求めることができる。
隆起量(m)={0.2386×(突上げ圧)}×単位コークスケーキの高さ (7)
一方、単位コークスケーキ2の隆起は、下層コークスケーキからの突上げ力Pdが、上層コークスケーキの荷重Puより大きい時に起こる。そのため、(1)式より求めた単位コークスケーキ2に作用する、上層のコークスケーキの荷重Pdと、(4)式により求めた突上げ力Puが、Pu>Pdとなる場合、その単位コークスケーキ2に関して、隆起量を求めればよい。
そして、単位コークスケーキ2に作用する実質的な突上げ力は、下層コークスケーキからの突上げ力Puと上層とコークスケーキの荷重Pdの差分(Pu−Pd)である。したがって、この差分の実質的な突上げ力に対する隆起量を求める必要がある。
この場合、下層コークスケーキからの突上げ力Puから生じる隆起量を求め、コークスケーキの隆起量とすることができる。そして、(7)式から求められる隆起量は、上層のコークスケーキの荷重Pdを考慮していないものであるから、(7)式を用いることで、コークスケーキの隆起量を求めることができる。
なお、(3)〜(7)式の係数は、一例であり、必要に応じて、原料石炭、突起の厚みhを種々に変化させて同様の押出し試験を行い、突上げ圧と隆起率の関係を求める。
次に、コークスケーキの隆起量を具体的に推算する方法について述べる。まず、(i)〜(iv)の手順によって押出し力を推算する方法について説明する。
(i)コークスケーキを炉長方向及び炉高方向の複数の領域z(p,q)に区分けし、炭化室の炉壁面のプロファイル測定結果から、区分けした領域ごとの突起の情報を求める。図9は、コークスケーキ全体の押出し力を求めるために、コークスケーキを複数の領域に分割した状態を示す図である。このように、複数の領域z(p,q)を、炉長方向にp個、炉高方向にq個に区分する。炉長方向の区分数pは、燃焼室の個数(通常は、30前後)とするのが好ましい。また、炉高方向の区分数qは、特に限定されないが、推算精度をより良好とするためには、10以上とすることが好ましい。
コークス炉炭化室の炉壁面の突起の位置やそのサイズについては、例えば、特許第3590509号に記載されているような内壁観察装置で撮像し、撮像された画像中に示されたレーザースポットのプロファイルから、例えば、特許第4262281号に記載された方法に従い、炉壁表面のコンタマップ(等高線表示)を作成することにより、求めることができる。
(ii)区分けした領域において、炉壁に突起がある場合には、コークスケーキの押出し時に、その突起による狭窄部をコークスケーキが通過するのに必要な押出し力を推算する。押出し力の推算は、図2及び3に概略を示す押出し試験装置を用いて、試験用コークスケーキに作用させる反力の設定値を変更し、押出し力と、突起部の炉壁面内の存在位置とを関連させて求めておき、それに基づき、区分けした領域における押出し力を求めることで行われる(特許文献1、2など、参照)。
(iii)区分けした領域において、炉壁に突起がない場合には、側圧転化により生じる最大押出し力を算出する。突起のない領域において、側圧転化による最大押し圧力に基づくコークスケーキの押出しに必要な力は、例えば、特開2008−266440号公報やYear-Book of the coke oven manager’s association、1979年、213頁に開示されているような、微小区間における圧力のバランスを計算し、コークスケーキ全体が動き出す直前の押出し圧力分布と炉壁にかかる圧力分布を求める方法によって算出することができる。
炉壁を複数の領域z(p,q)に区分けした場合、最もCS(コークスガイド車側)寄りの領域の反力Prは0であるため、当該領域の力のバランスは、当該領域のコークスケーキをPS(押出し機側)からCSへ押出す力Pf1と、当該領域の側圧転化により生じる最大押出し力Pw1が釣り合っていることになる。また、最もCS寄りの領域をPSからCSへ押出す力Pf1は、PS寄りの隣の領域の反力と釣り合っているため、このPf1を当該領域の反力として求めることができる。
次に、上記のPS寄りの隣の領域の力のバランスとしては、当該領域のコークスケーキをPSからCSへ押出す力Pf2は、当該領域の側圧転化により生じる最大押出し力Pw2と反力であるPf1との合計と釣り合っているため、Pw2を求めることにより、当該領域のコークスケーキをPSからCSへ押出す力Pf2を、Pf2=Pw2+Pf1から求めることができる。このPf2が、さらにPS寄りの隣の領域のコークスケーキを押出す力Pf3を求める際の反力となる。
以降、同様の計算を繰り返すことにより、炉長方向の所望の位置の領域において、コークスケーキに作用する反力を求めることができる。
以上のような計算を、炉高方向の位置qが同じ高さの領域において、最もCS寄りの領域の力バランスを計算し、順次、PS寄りの隣の領域の力バランスを求めることで、各領域の最大押出し力Pf及び反力Prが求まり、従って、各領域のコークス押出し力(=Pf−Pr)が求まる。
なお、側圧転化により生じる最大押出し力の算出は、以下のように行う。すなわち、図2及び3に示した押出し試験装置を用い、側面パネル4、5と試験用コークスケーキ3の間のそれぞれの隙間量Xcを設け、受け側(CS)当て板8の圧縮方向の位置を固定した状態で試験用コークスケーキの圧縮試験を実施して、試験用コークスケーキ3の圧縮時の側圧転化率(=側圧/押圧)を求め、この側圧転化率から最大押出し圧力を算出(例えば、特開平8−283730号公報、参照)し、この最大押出し圧力に対して、当該領域の側面パネルとコークスケーキとの接触面積を乗じた値に摩擦係数を乗じることにより、当該領域の最大押出し力を求めることができる。なお、このような試験は、側面パネル4に取り付けた突起6は取り外して実施する。また、乾留条件が変わる場合は、乾留条件に応じた隙間量Xcに変化させて、同様の実験を実施する必要がある。
また、上記の乾留後の試験用コークスケーキと炉壁との間の間隙Xcは、コークスの水平焼き減りによって生じるものであり、フリューと炉壁を介して接する炭化室内の領域では、その配合炭について伝熱計算(例えば、「鉄と鋼」vol.90(2004),No.9, P.728-733、参照)により求めることができる。
(iv)区分けしたすべての領域z(p,q)について突起乗り越え力あるいは最大押出し力を求める。
まず、全ての領域に突起がないものとして、(iii)のような計算を、同じ炉高さの領域において、上記のように、最もCS寄りの領域の力バランスを計算し、順次、PS寄りの隣の領域の力バランスを求めることで、各領域の最大押出し力Pf及び反力Prが求まり、従って、各領域のコークス押出し力を求める。また、同様の計算を、炉高方向についても行い、すべての領域z(p,q)におけるコークス押出し力を求める。そして、突起のある領域については、突起のない領域として求めた押出し力を上記(ii)で求めた押出し力に置き換えることで、各領域のコークス押出し力を求める。
次に、以上のようにして求められた押出し力を用いて、隆起量を求める方法について説明する。図10は、コークスケーキの各領域の押圧の推算値から各領域の隆起量を推算した例を示す図である。これは、コークスケーキを炉長方向及び炉高方向に区分けし、その一部の領域(炉長方向に10個、炉高方向に10個)を示すものである。
図10(a)に、上記(i)〜(iv)の手順によって求めた各領域の押出し力を押圧にしたものの一例を示す。次に、図10(b)に、(3)式を用いて、押圧から求めた、各領域の突上げ圧を示す。そして、図10(c)に、(1)式を用いて求めた、各領域の上層コークスケーキの荷重Pdを示す。
次に、図10(b)に示す突上げ圧と(2)式を用いて、各領域の突上げ力Puを求めた。そして、当該各領域の突上げ力Puと、図10(c)に示す、各領域の上層のコークスケーキの荷重Pdとから、Pu>Pdの領域を求めた。そして、図10(d)に、Pu>Pdを満足する領域に関して、図10(b)に示す突上げ圧と(7)式とを用いて、求めた各領域の隆起量を示す。最後に、隆起量を炉長方向の各分割位置で炉高方向に加算して求めた、コークスケーキ表層の隆起量を図10(e)に示す。
このように、コークスケーキ表層の隆起量を推算することができる。また、z(4,3)より押出し側とコークスケーキの表層側を囲む領域(四角い破線で囲った領域)で各領域の隆起量が、他の領域より高くなっている。これは、z(5,3)付近の炉壁に突起が存在し、この部分の押圧が高くなっているためである。
次に、コークスケーキの押出方法について説明する。
本発明のコークスケーキの押出方法は、上述の推算されたコークケーキ隆起量を用いる以外は、従来の押出方法を採用することができる。そして、推算されたコークケーキ隆起量が、炭化室の天井との関係から規定される管理値を超えると予想される場合は、押出しを行わず、乾留時間を長くして、押出負荷を低減させ、その後、押出しを行うが、管理値及び乾留時間については、次のようにすることが例示できる。
(管理値)
管理値としては、操業実績から設定される所定数値の隆起量、押出し前のコークスの高さに対する隆起量の割合、又は、押出し前のコークスケーキ表層と炭化室の天井の距離に対する隆起量の割合、等を採用することができる。
(乾留時間)
乾留時間を延長して、炉壁とコークスケーキ間の隙間量Xcを増加せしめ、押圧を低下することで、コークスケーキ表層の隆起量を低減させ、結果として、押出負荷を低減させることができる。乾留の延長時間は、予め乾留時間と隆起量との関係を求めておき、それに基づいて、決めることができる。典型的な乾留の延長時間としては、1時間以上、好ましくは、5時間以上である。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
炉壁の突起の有無によるコークスケーキ表層の隆起量の違いを示すために、炉壁に突起を有する実コークス炉でのコークスケーキの押出しと、炉壁に突起を有さないコークス炉でのコークスケーキの押出しにおいて、本発明の隆起量の推算方法に従い、各領域に作用する押圧、突上げ圧、隆起量の推算値を求め、コークスケーキ表層の隆起量を求めた。図11は、押出し機側からの距離に対するコークスケーキ表層の隆起量の推算値を示す図である。これより、炉壁に突起を有する場合は、押出し側のコークスケーキ表層が隆起することがわかる。
次に、炉高方向の上部、すなわち、図9におけるz(p,q)において、q=1〜5の炉壁位置に突起を有する実コークス炉でのコークスケーキの押出しと、炉高方向の下部、すなわち、図9におけるz(p,q)において、q=8〜12の炉壁位置に突起を有する実コークス炉でのコークスケーキの押出しにおいて、本発明の隆起量の推算方法に従い、各領域に作用する押圧、突上げ圧、隆起量の推算値を求め、コークスケーキ表層の隆起量を求めたものである。なお、いずれの場合も、炉長方向では突起の位置がほぼ同じ位置であった。図12は、突起の炉高方向の位置の違いにおけるコークスケーキ表層の隆起量の推算値を示す図である。このように、炉高方向上部の炉壁に突起が存在する場合、コークスケーキ表層の隆起量が大きくなることがわかる。
本発明によれば、コークスケーキの押出しを実施する前に、炭化室の炉壁に凹凸を有する実コークス炉におけるコークスケーキの押出しの際の隆起量を予測し、押出しの可否を判断して、コークスケーキの表層と炭化室の天井面との接触による押出し力の増加を防ぐことができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が大きいものである。
1 コークスケーキ
2 単位コークスケーキ
3 試験用コークスケーキ
4 側面パネル
5 側面パネル
6 突起
7 押出し側(PS)当て板
8 受け側(CS)当て板
9 押出し側(PS)油圧装置
10 受け側(CS)油圧装置
11 ロードセル
12 ロードセル
13 押さえ板
14 ロードセル
15 エアシリンダ
16 ピストンロッド
17 ガイドレール
18 距離計
19 ロードセル(側面荷重測定用)
20 ロードセル(側面荷重測定用)
Pd 上層コークスケーキの荷重
Pu 下層コークスケーキからの突上げ力
Pf 押出し力
Pr 反力(受け力)
h 突起の厚み

Claims (2)

  1. 水平室式コークス炉のコークスケーキの隆起量を推算する方法であって、
    炉壁に凹凸が存在する炭化室を想定した試験用コークスケーキの押出し試験を行い、コークスケーキ押圧とコークスケーキ突上げ圧との関係及びコークスケーキ突上げ圧とコークスケーキ表層の隆起率との関係を予め求めておき、
    コークス炉の炭化室の炉壁面を炉長方向及び炉高方向に複数の領域に分割して、各領域の凹凸情報を求めるとともに、各領域におけるコークスケーキ押圧を推算し、
    推算された押圧から、前記コークスケーキ押圧とコークスケーキ突上げ圧との関係に基づき、各領域における突上げ力を求めるとともに、各領域の上層のコークスケーキによる荷重を求め、
    同一領域における突上げ力が荷重より大きい場合に、コークスケーキが隆起すると判断して、前記コークスケーキ突上げ圧とコークスケーキ表層の隆起率の関係から各領域での隆起量を求め、
    前記隆起量を炉長方向の各分割位置で炉高方向に加算して、コークスケーキ表層の隆起量を炉長方向に推定することを特徴とするコークスケーキ隆起量の推算方法。
  2. コークスケーキの押出方法であって、請求項1に記載の推算方法により得られたコークケーキ隆起量が管理値を超える場合、コークスケーキの乾留時間を長くして押出負荷を低減させてから、コークスケーキの押出しを行うことを特徴とするコークスケーキの押出方法。
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