JP6260254B2 - コークス炉におけるコークス押出負荷の推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば水平室式コークス炉のコークス押出し時において、炭化室の炉壁に突起部がある場合に、乾留後のコークスケーキを炭化室から押出す際、押出しに必要な力(押出負荷)を推定する方法に関するものである。
近年のコークス炉操業では、生産性や品質の向上を狙って炭化室内へ装入する石炭の水分を低減させる方法が多く取り入れられており、石炭の装入(充填)密度が上昇する傾向にある。その結果、コークスケーキを押出す際に炭化室の側壁(炉壁)にかかる荷重が上昇し、これにともないコークス押出負荷も増加する傾向にある。
また、長期間稼動のコークス炉も増えており、そのようなコークス炉の炭化室では、炉壁にカーボンが付着して突起部(凸部)が形成されている場合も多くなっている。
炭化室の炉壁に突起部が存在するとその分だけ炉幅(炉壁間距離)が狭くなる。炉幅が狭くなった狭窄部をコークスケーキが通過する際、炉壁面とコークスケーキ表面との間の相互作用が大きくなり、押出しに必要な力や炉壁に作用する荷重がさらに増加することになる。
このため、炭化室からコークスケーキを押出すのに必要な力や炉壁に作用する荷重(炉壁押し圧)を事前に評価し、押出し機や炭化室の炉壁に過度の荷重が付加されないようにすることがより重要になっている。
本発明者らも、特許文献1、2のように、炉壁に形成された凹凸が、コークスケーキ押出し力や炉壁荷重に与える大きさを測定する押出負荷測定装置を開発し、その装置を用いたコークス押出し試験によって、炉壁に存在する凹凸が押出負荷に与える影響を評価する技術を提案している。
一方、近年では、長期間稼動しているコークス炉では、使用年数の増加につれて、燃焼室内に燃料ガスを吹き込むガスポートが、炭化室から侵入した石炭粉の蓄積などの様々な理由により閉塞し、燃焼不良箇所が発生する頻度が増加している。
炭化室内の石炭は、炭化室両側の炉壁を介して隣接する燃焼室からの燃焼熱の伝熱により、炉壁側から炉幅方向中央に向かって加熱される。燃焼室は、炭化室の炉長方向に沿って30室前後の燃焼小室(フリュー)に細分されており、特定のフリューで燃焼不良が発生すると、その箇所で、炭化室内の炉幅方向への伝熱量が低下し、石炭の昇温が遅れるため、コークス押出し時にコークスケーキ中心部の温度が十分に昇温していない領域が発生する。
石炭は加熱されて温度が上昇するにつれて、順次、石炭層、軟化・溶融層、コークス層と変化するが、炭化室に装入された石炭の炉幅方向中心部の到達温度(炭中温度)が十分に昇温しない場合には、中心部に、石炭層や軟化・溶融層(乾留不良域)を含むコークスケーキを押出すことになる。
この乾留不良域は、正常に乾留されたコークス層に比べて押出し時の圧縮挙動が異なり、乾留不良域を含むコークスケーキを押出す場合は、正常に乾留されたコークスケーキに比べて押出し力が高くなるという課題がある。
そこで、本発明者らは、乾留不良領域を含むコークスケーキが、炉壁に存在する突起部を通過する際に必要な押出し力を求める技術も特許文献3で提案している。
特許文献3では、乾留後のコークスケーキを見掛の弾性体ととらえて、種々の炭中温度Tで乾留されたコークスケーキを用いた押出負荷測定試験を実施し、内部に乾留不良域を含むコークスケーキが突起部を通過する際に必要な押出し力Fを求めるとともに、この試験前後のコークスケーキの体積変化からコークスケーキの見掛体積弾性率Kを炭中温度Tとの関係を実験で求め、正常な炭中温度で乾留された試験用コークスケーキが突起による狭窄部を通過するのに必要な押出し力Fを基準値とし、押出し力Fに対する前記押出し力Fの乖離度Wと見掛体積弾性率Kとの関係を求め、室式コークス炉の燃焼室炉長方向の実測温度から推定された炭中温度Tと見掛体積弾性率Kと乖離度Wのそれぞれの関係から、実コークス炉での炭化室炉壁の炉長方向及び炉高方向の各位置存在する突起による狭窄部をコークスケーキが通過する際に必要な押出し力を求めるようにしている。
特開2008−208337号公報 特開2009−209290号公報 特開2010−100725号公報
特許文献3の方法では、炭中中心部の最終到達温度を種々に変化させて石炭を乾留し、乾留不良域の大きさを種々変化させた試験用コークスケーキを作成して、押出負荷測定試験前後の試験用コークスケーキの体積変化を測定しており、試験用コークスケーキの作成や体積変化の測定に、多くの労力を必要とする問題がある。また、乾留不良域を有するコークスケーキが突起による炉幅狭窄部を通過する際に必要な押出し力を、正常に乾留されたコークスケーキの押出し力からの乖離度として間接的に得ており、炭化室の燃焼室の温度から押出し力を直接得られないという問題もある。
そこで、本発明では、コークスケーキ中に燃焼室の燃焼不良による乾留不良域が存在する場合の押出負荷を推定する際、より簡便な手法で押出負荷測定試験を実施でき、かつ、乾留不良域の大きさと押出負荷との関係を直接評価できるようにして、内部に乾留不良域を有するコークスケーキが炉幅狭窄部を通過するのに必要な力を推定することができる方法を提供することを課題とする。
本発明者は、乾留不良域を含むコークスケーキを炭化室から押出す際の押出し力に、特に石炭層(未乾留域)の大きさが影響しているものと考え、疑似的に未乾留域の炉長方向や炉幅方向の大きさの異なるコークスケーキを作成し、未乾留域の大きさと突起乗り越え力との間の関係について検討した。
その結果、未乾留域を含むコークスケーキが炉幅狭窄部を通過するのに必要な力(突起乗り越え力とも記す)は、未乾留域の幅と一定の関係があることを見出した。
そして、実コークス炉の燃焼室の温度から炭化室におけるコークスケーキの未乾留域の幅を推算しておくことにより、その幅から未乾留域を含むコークスケーキが炉幅狭窄部を通過するのに必要な力を精度良く推算できることを見出した。
そのようになされた本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) 炭化室の炉壁に相当する側壁に突起部を形成した押出負荷測定装置を用いた試験用コークスケーキの押出し試験によって、試験用コークスケーキが前記突起による炉幅狭窄部を通過するのに必要な突起乗り越え力を測定し、測定された該乗り越え力に基づいて、炭化室の炉壁に突起部を有する実コークス炉のコークス押出負荷を推定する方法であって、
内部に未乾留域を含み、該未乾留域の幅の異なる試験用コークスケーキを作成し、該試験用コークスケーキを用いて前記突起部の突起高さを変化させて押出し試験を実施し、突起高さとコークスケーキの未乾留域の幅と前記突起乗り越え力との関係を予め求めておき、
実コークス炉の燃焼室の温度から炭化室におけるコークスケーキの未乾留域の幅を求めるとともに、実コークス炉の炭化室の炉壁面の突起部の突起高さを求め、前記予め求めておいた突起高さと未乾留域の幅と突起乗り越え力との関係から、前記求められた未乾留域の幅と突起高さに応じた突起乗り越え力を求め、求められた突起乗り越え力を用いて前記突起部を有する実コークス炉の炭化室からコークスケーキを押出す際のコークス押出負荷を推定することを特徴とするコークス押出負荷の推定方法。
本発明では、実コークス炉で比較的測定が容易なフリュー温度を用いて、未乾留域を含むコークスケーキが炭化室の炉壁に存在する突起による炉幅狭窄部を通過するために必要な力を、簡便にかつ精度良く推定することができ、これにより、炉壁に突起部を有する実コークス炉のコークス押出負荷を簡便な方法で推定することができる。
このため、コークス押出負荷を軽減するようにコークス炉の操業条件や装入石炭の性状を管理することで、コークス押し詰まり等のトラブルの発生を防止できる。その結果、コークスの生産性が向上する。また、炉壁に対する負荷が低減するため、コークス炉寿命の延長にもつながる。
炉壁に突起部が存在する場合を想定したコークス押出負荷測定試験の概略を説明するための図である。 コークス押出負荷測定試験に用いる試験用コークスケーキの形状を示す図である。 コークス押出負荷測定試験によって得られた突起乗り越え力と、コークスケーキ中に存在する未乾留域の幅との関係を示す図である。 コークス炉の幅方向の断面であって、温度分布とコークス層、軟化・溶融層、未乾留域の関係を示す図であり、(a)は、燃焼室で燃焼不良がなく、正常な乾留がなされた場合を示し、(b)は、燃焼室で燃焼不良がある場合を示す。 突起乗越え力について推定値と実績値の関係を示す図である。 コークスケーキ全体の押出し力を求めるためにコークスケーキを複数の領域に分割した図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
炉壁に突起部があるような炭化室から乾留後のコークスケーキを押出す際、押出しに必要な力(押出負荷)は、突起部のある位置の炉壁に接するフリューに燃焼不良がない場合は、前記特許文献1、2に記載された、全体が正常に乾留されたコークスケーキを用いたコークス押出負荷測定試験によって求められた、突起を乗り越えるのに必要な力(突起乗り越え力)を用いて、全体のコークスケーキの押出し力を求めることができる。
一方、突起のある位置の炉壁に接するフリューに燃焼不良がある場合は、乾留不良域を含むコークスケーキが突起を乗り越えることになるが、特許文献3では、炭中中心部の最終到達温度を種々に変化させて石炭を乾留することにより、乾留不良域の大きさを種々変化させた試験用コークスケーキを作成して、押出負荷測定試験前後の試験用コークスケーキの体積変化の測定値を利用するものであり、未乾留域石炭層の幅(押出し方向と直行する方向の長さ)との関係では検討されていなかった。
これに対し、本発明者らは、乾留不良域を含むコークスケーキが突起を乗り越える際に、必要な押出し力が増加する原因は、乾留不良域の中で、特に石炭層(未乾留域)の存在が強く関与するものと考え、コークスケーキに含まれる未乾留域の幅(炉幅方向の長さ)と炉長方向の長さを種々に変化させて、突起乗り越え力との間の関係について検討した。その結果、突起乗り越え力には、炉幅方向の長さ(幅)のみが影響することを見出した。
そこで、詳細な検討に当たっては、模擬的に未乾留域の幅を変化させた試験用コークスケーキを作成し、特許文献1〜3で開示された押出負荷測定装置を用いて、試験用コークスケーキの押出負荷測定試験を実施し、試験用コークスケーキに存在する未乾留域の幅とコークス押出負荷との関係を調べた。
試験用コークスケーキとして、小型電気乾留炉で正常に乾留したコークスケーキ1の中央部をくり抜いて、その間に炭化室に装入するのと同程度の粒度の石炭を充填して、図1、2に示す、コークス層10の内部に模擬的に未乾留域(石炭層11)を含む未乾留コークス(全体のサイズ:長620mm×幅420mm×高400mm)を作成した。また、比較のために、基準となる正常に乾留した通常コークスも準備した。
未乾留域の押出し方向(側壁に平行な方向)に直行する方向の幅Wは、50〜230mmの範囲で変更し、未乾留域の押出し方向の長さは、フリューの炉長方向の幅(450mm)を考慮して、420〜430mmとした。
なお、未乾留域を含むコークスケーキは、コークスケーキの押出し方向と直交する方向の未乾留域の中心線が、コークスケーキ圧縮方向の両側壁間の中心線と一致するように作成した。
このように作成された試験用コークスケーキを用いて、図1に概略を示す押出負荷測定装置により押出し試験を実施した。
この押出し試験においては、まず、側面パネル2に楔形の突起6(長さ400mm、水平面13の長さ:220mm、突起の厚みh:20mmと30mm、斜面12の角度9.5°)を取付ける。次に、上記の試験用コークスケーキ1を左右の側面パネル2、3及び押し側および受け側の当て板4、5で囲まれる空間に配置する。さらに、想定する炭化室内のコークスケーキの高さ方向の位置に応じて、コークスケーキの上部に所定の質量を有する錘を積載する。
未乾留域を含むコークスケーキ1では、乾留が正常に行われた場合に生じるコークスケーキの炉幅方向中央の間隙や、炉壁(側壁)とコークスケーキ間に生じる間隙14が形成されない。
この状態で、押出し側(PS)の油圧装置7を作動させ、当て板4を介して試験用のコークスケーキ1に押出し力Fpを付与するとともに、受け側(CS)の油圧装置8によって当て板5を介して一定の反力Frを作用させながら押出し(コークスケーキの移動)を開始する。
押出しの開始後、コークスケーキ1は、押出し力Fpによって移動する。その際に、各ロードセルにより、押出し力Fp及び反力Frを連続的に測定する。
コークスケーキ1の側面が突起6の斜面12を上り始めると、反力Frは一定を維持するように制御されているので、押出し力と反力の差が次第に増加して行き、コークスケーキ1が突起6の斜面を乗り超え、突起6の水平面13と、それと対向する側面パネル3との間に形成された狭窄部を通過する。その際に、押出し力Fpの値は最大値を示す。この最大値が、コークスケーキが炉幅狭窄部を通過するために必要な力(突起乗り越え力)に相当する。
上記のように突起を側面パネルに取付けて、未乾留域の幅Wの異なるコークスケーキの押出し試験を実施して得られたコークス押出し力(=押力Fp−反力Fr)の最大値(突起乗り越え力)と、コークスケーキに存在する未乾留域の幅Wとの関係を図3に示す。
図3から、コークスケーキに存在する未乾留域の幅と突起乗り越え力の間には、図3中に記載した2次関数で表記される良好な関係があることを見出した。
ちなみに、正常に乾留したコークスについても同じ押出し負荷測定試験を実施し、その結果を図3に併記した。図3において未乾留域の幅Wが150mm付近よりも減少するに従って突起乗り越え力が増加するのは、未乾留域を含むコークスケーキが狭窄部を通過する際に、コークスケーキに作用する圧縮力を、未乾留域を構成する石炭層が吸収(緩和)する効果が減少するためである。また、未乾留域の幅Wが150mm付近よりも増加するに従って突起乗り越え力が増加するのは、未乾留域を構成する石炭層によって押出し方向に加えた力が、押出し方向と直交する方向に散逸する割合(ランキン係数)が増大するためである。
したがって、種々の配合炭ごとに、突起部の高さを種々に変化させて同様の押出し試験を行うことにより、種々の突起高さに対する未乾留域の幅と突起乗り越え力の間の関係を得ることができる。
なお、図3を求めたコークス押出負荷測定試験では、試験用コークスケーキに作用させる反力は、ラムヘッド面からガイド車方向に2mの位置を、また、コークスケーキ上部に積載する錘の質量(荷重)は、炭化室炉底面からの炉高方向に4.6mの位置を想定したが、実コークス炉の炉壁に存在する突起部は、突起部の高さ(押出し方向と直交する方向の厚さ)に加え、コークス炉炭化室の炉壁の炉長方向および炉高方向の存在位置によっても押出負荷に与える影響が変化する。
上記押出負荷測定試験では、コークスケーキに作用させる反力の設定値を変更(この反力の設定値により押出し力も変化する)することにより、実コークス炉における炉長方向の突起の想定位置を変えることができ、また、コークスケーキの上部に積載する錘の質量を変えることにより、実コークス炉における炉高方向の突起の想定位置を変えることができる。
そこで、反力と荷重を想定位置に応じた大きさに変えて同様の測定試験を実施しておけば、突起部の炉壁面内の存在位置(炉壁の炉長方向および炉高方向の位置)と関連させて押出負荷との関係を求めることができ、側壁に存在する個々の突起の押出負荷への影響を、その大きさや存在位置を考慮して、より正確に推定することができる。
以上のように、コークスケーキに存在する未乾留域の幅と突起乗り越え力の間に関数関係があることが見いだされたので、次に、未乾留領の幅の求め方について検討した。
ここで、未乾留域とは、軟化溶融温度未満の石炭層の領域と定義するが、操業中の実コークス炉において、未乾留域の幅Wを直接測定することは困難であるため、燃焼室フリューの温度から炭中温度分布を推定して、未乾留域の幅を求める。
室式コークス炉の燃焼室は、炭化室の炉長方向に沿って細分された多数の燃焼小室(以下、フリューと記載する)からなっており、各フリューで燃料ガスを燃焼させ、珪石煉瓦から成る炉壁を介して炭化室の石炭を加熱している。各フリューでは、放射温度計などを用いて定期的に温度を実測して、炉長方向の温度分布が最適になるように、必要に応じて燃料ガス量や空気量を調整して燃焼状態を管理している。
そのような実コークス炉燃焼室の各フリューの実測温度(炉長方向温度分布)から、各フリュー(炉長方向各位置)と炉壁を介して接する炭化室での炉幅方向の炭中温度分布をそれぞれ推定する。
炉長方向各位置における炭化室の炭中温度分布は、当該フリューの温度実測値から、コークス炉の炉体条件(炉壁煉瓦の厚み、熱伝導率、等)及び石炭装入条件(装入密度、水分、等)等を用いて伝熱計算を行って算出することができる(例えば、富士製鐵技報、17,353頁,1968年発行、参照)。
図4に、乾留終了後(火落ちしてから所定の置き時間が経過した後)の炭化室の炉壁から炭化室幅方向中心までの炉内温度分布の一例を示す。
図4(a)の曲線は、燃焼室に燃焼不良がなく、正常な乾留がなされた場合の温度分布を示し、(b)の曲線は、燃焼室で燃焼不良がある場合の温度分布を示す。(a)の曲線では、炭化室の幅方向中心部まで乾留されてすべてコークス層になっているが、(b)の曲線では、炭化室の幅方向中心部近傍では、乾留されずに石炭のままの層が
存在しており、次いで、軟化溶融層を挟んで炉壁側にコークス層がある。なお、図4では、450〜550℃の温度範囲で軟化溶融層が形成される例を示している。
配合炭ごとの軟化溶融温度は、JIS M 8801に記載されている方法に従って、ギーセラープラストメータを用いて以下の手順で測定する。まず、撹拌棒をセットしたレトルト中に石炭試料を装填し、その後、金属浴中で規定の昇温速度で加熱する。この際、撹拌棒に一定のトルクを与えておくと、石炭の軟化溶融にとともに撹拌棒が回転するようになる。この回転し始めた時の温度を軟化溶融開始温度とする。
以上のようにして、配合炭の軟化溶融温度を求め、燃焼室の各フリューの実測温度(炉長方向温度分布)から、各フリューに対応する炭化室での炉幅方向の炭中温度分布をそれぞれ推定し、炭中温度が軟化溶融開始温度未満となる領域(燃焼不良部)があれば、その燃焼不良部の炉内の位置と、燃焼不良部の幅、すなわち未乾留域の幅を求めることができる。
これにより、実コークス炉炭化室における炉壁プロファイルの測定データから突起部の位置が求められ、さらに、燃焼室の各フリューの実測温度(炉長方向温度分布)から、コークスケーキに含まれる未乾留域の位置と幅が求められた場合、突起部の位置が未乾留域の位置と一致している場合は、前記図3に示した関係を用いて未乾留域を含むコークスケーキが突起を乗り越えるのに必要な力を推定することができる。
次に、上記で推定した突起乗り越え力に基づいて、コークスケーキ全体の押出負荷を推定する方法について述べる。
コークスケーキ全体の押出負荷は、実炉の炉壁に突起が形成されている箇所の突起乗り越え力と、突起が形成されていない健全で平滑な箇所の側圧転化により生じる最大押出し力との合計により求めることができる。
具体的には、次の(i)〜(iv)の手順によって求める。
(i)コークスケーキを炉長方向および炉高方向の複数の領域(p、q)に区分けし、炭化室の炉壁面のプロファイル測定結果から区分けした領域ごとの突起部の情報を求めるとともに、フリュー温度から推算された炭中温度分布から未乾留域の情報を求める。
図6に示すように、複数の領域(p、q)としては、炉長方向にp個、炉高方向にq個に区分するが、炉長方向はフリュー単位で分割することが好ましく、通常は、pは燃焼室のフリューの数とするのが好適である。また、炉高方向のqは、特に限定されないが、推定精度をより良好とするためには、10個以上とすることが好ましい。
コークス炉炭化室の炉壁面の突起の位置やそのサイズについては、例えば、特許第3590509号に記載されているような内壁観察装置で撮像し、撮像された画像中に示されたレーザースポットのプロファイルから、例えば、特許文献(特許第4262281号)に記載された方法に従い、炉壁表面のコンタマップ(等高線表示)を作成することにより、求めることができる。
また、フリュー温度から燃焼不良のあるフリューと炉壁を介して接する炭化室の炭中温度分布を推定して、未乾留域の発生の有無を判断する。
(ii)区分けした領域において、炉壁に突起がある場合には、コークスケーキの押出し時に、その突起による狭窄部をコークスケーキが通過するのに必要な力(突起乗り越え力)を推定する。
領域Z(p、q)のうち突起がある領域については、その領域が、燃焼不良のあるフリューと炉壁を介して接する領域であるかどうか判定する。
燃焼不良のないフリュー(すなわち健全なフリュー)と炉壁を介して接する炭化室内の領域では、予め求めておいた突起高さ(押出し方向と直角な方向の厚み)と突起乗り越え力との関係から、突起の高さに応じた突起乗り越え力を求める。
燃焼不良のあるフリューと炉壁を介して接する領域では、図3から明らかな様に、突起がある場合は、その高さ(幅方向の厚み)に依らず、平滑面の場合よりも押出しに必要な力が大きくなるケースが極めて多いので、予め求めておいた、突起高さと未乾留域の炉幅方向の幅と突起乗り越え力との関係から、突起の高さと未乾留域の炉幅方向の幅とに応じた突起乗り越え力を求める。
(iii)区分けした領域において、炉壁に突起がない場合には、側圧転化により生じる最大押出し力を算出する。
突起のない領域において、側圧転化による最大押し圧力に基づくコークスケーキの押出しに必要な力は、例えば、特許文献(特開2008−266440号公報)や学術文献(Year-Book of the coke oven manager’s association、1979年、213頁)に開示されているような、微小区間における圧力のバランスを計算し、コークスケーキ全体が動き出す直前の押出し圧力分布と炉壁にかかる圧力分布を求める方法によって算出することができる。
炉壁を複数の領域Z(p、q)に区分けした場合、最もCS(コークスガイド車側)寄りの領域の反力Frは0であるため、当該領域の力のバランスは、当該領域のコークスケーキをPS(押出し機側)からCSへ押出す力Fp1と、当該領域の側圧転化により生じる最大押出し力Pw1が釣り合っていることになる。また、最もCS寄りの領域をPSからCSへ押出す力Fp1は、PS寄りの隣の領域の反力と釣り合っているため、このFp1を当該領域の反力として求めることができる。
次に、上記のPS寄りの隣の領域の力のバランスとしては、当該領域のコークスケーキをPSからCSへ押出す力Fp2は、当該領域の側圧転化により生じる最大押出し力Pw2と反力であるFp1との合計と釣り合っているため、Pw2を求めることにより、当該領域のコークスケーキをPSからCSへ押出す力Fp2を、Fp2=Pw2−Fp1から求めることができる。このFp2が、さらにPS寄りの隣の領域のコークスケーキを押出す力Fp3を求める際の反力となる。
以降、同様の計算を繰り返すことにより、炉長方向の所望の位置の領域において、コークスケーキに作用する反力を求めることができる。
以上のような計算を、炉高方向の位置qが同じ高さの領域において、最もCS寄りの領域の力バランスを計算し、順次、PS寄りの隣の領域の力バランスを求めることで、各領域の最大押出し力Fpおよび反力Frが求まり、従って、各領域のコークス押出し力(=Fp−Fr)が求まる。
なお、側圧転化により生じる最大押出し力の算出は、以下のように行う。すなわち、図1に示した押出負荷測定試験装置を用い、実際に使用する配合炭を用いて内部まで乾留している試験用コークスケーキを作成し、側壁2、3とコークスケーキの間のそれぞれの隙間量Xcを変えて、受け側の当て板5を固定した状態でコークスケーキの圧縮試験を実施して、配合炭ごとにコークスケーキ圧縮時の側圧転化率を求め、この側圧転化率から最大押出し圧力を算出(例えば、特開平8−283730号公報を参照)し、この最大押出し圧力に対して、当該領域の側壁面積を乗じた値に摩擦係数を乗じることにより、当該領域の最大押出し力を求めることができる。
また、上記の乾留後のコークスケーキと炉壁との間の間隙については、燃焼不良のないフリュー(すなわち健全なフリュー)と炉壁を介して接する炭化室内の領域では、その配合炭について伝熱計算(例えば、「鉄と鋼」vol.90(2004),No.9, P.728-733を参照)により求める。
また、燃焼不良のあるフリューと炉壁を介して接する炭化室内の領域では、コークスケーキと炉壁との間の間隙がないもの(隙間量0)として計算する。
(iv)区分けしたすべての領域(p、q)について突起乗り越え力あるいは最大押出し力を求め、すべての領域の力を合計することで、コークスケーキ全体の押出負荷を推定する。
まず、全ての領域に突起がないものとして、(iii)のような計算を、同じ炉高さの領域において、上記のように、最もCS寄りの領域の力バランスを計算し、順次、PS寄りの隣の領域の力バランスを求めることで、各領域の最大押出し力Fpおよび反力Frが求まり、従って、各領域のコークス押出し力を求める。また、同様の計算を、炉高方向についても行い、すべての領域z(p,q)におけるコークス押出し力を求める。
そして、突起のある領域については、突起のない領域として求めた押出し力を上記(ii)で求めた押出し力に置き換え、全ての領域(p×q個)の押出し力を合計することで、コークスケーキ全体の押出負荷を推定することができる。
以上のような本発明の有効性を確認するために、燃焼不良のフリューがある複数の実コークス炉の操業において、コークス押出し力の実測値と推定値との比較を行った。
コークス押出し力の実測値は、押出し機モーターに取り付けられたトルクメーターの指示値から算出した。
また、コークス押出し力の推定値は、従来法として、特許4528364号に記載されている方法により、未乾留域の存在を考慮しないで、突起部の存在を考慮して推算したのに対し、本発明法では、本発明に基づき未乾留域の存在と突起部の存在の両方を考慮して推算した。
また、側圧転化率の推定値の算出に当たっては、コークスケーキと炉壁との隙間量は、操業時の炉温と配合炭のコークス収縮率の関係から、特許文献2に記載された方法により計算で求めた。
本発明法及び上記の従来法によりそれぞれ推定した押出し力を、実コークス炉の押出し力の実測値と比較した結果を図5に示す。
同図に〇印で示すように、本発明法により推定した押出し力と実コークス炉で実測した押出し力の間には良好な対応関係があることが確認できた。一方、従来法(◆)では、未乾留域の発生による押出し力の増大を予測することができなかった。
このことから、未乾留域の発生による押出し力の増大を未乾留域の幅から推算する本発明の有効性が確認された。
したがって、特許文献1、2のような完全に乾留した試験用コークスケーキを作成し、該試験用コークスケーキの押出し試験を行って突起部の高さと炉壁内の位置に応じた突起乗り越え力の関係を予め求めておくと同時に、未乾留域の幅の異なる試験用コークスケーキを作成し、同様の押出し試験を行って突起部の高さと炉壁内の位置に応じた突起乗り越え力の間の関数関係を予め求めておくことにより、室式コークス炉の操業で未乾留域が発生した場合でも、炭化室からコークスケーキを押出すのに必要な力の推算精度が向上し、コークスケーキ全体を低負荷(押し詰めが発生しない条件)で押出すのに最適な乾留時間を簡便な手法で決定することができる。
1 試験用のコークスケーキ
2、3 側面パネル
4 押出し側(PS)当て板
5 受け側(CS)当て板
6 突起
7 押出し側(PS)油圧装置
8 受け側(CS)油圧装置
9 ロードセル
10 コークス層
11 未乾留域
12 突起の斜面
13 突起の水平面
14 側壁とコークスケーキ間の間隙
h 突起の高さ
Fp 押出し力
Fr 反力(受け力)
W 未乾留域の幅

Claims (1)

  1. 炭化室の炉壁に相当する側壁に突起部を形成した押出負荷測定装置を用いた試験用コークスケーキの押出し試験によって、試験用コークスケーキが前記突起による炉幅狭窄部を通過するのに必要な突起乗り越え力を測定し、測定された該乗り越え力に基づいて、炭化室の炉壁に突起部を有する実コークス炉のコークス押出負荷を推定する方法であって、
    内部に未乾留域を含み、該未乾留域の幅の異なる試験用コークスケーキを作成し、該試験用コークスケーキを用いて前記突起部の突起高さを変化させて押出し試験を実施し、突起高さとコークスケーキの未乾留域の幅と前記突起乗り越え力との関係を予め求めておき、
    実コークス炉の燃焼室の温度から炭化室におけるコークスケーキの未乾留域の幅を求めるとともに、実コークス炉の炭化室の炉壁面の突起部の突起高さを求め、前記予め求めておいた突起高さと未乾留域の幅と突起乗り越え力との関係から、前記求められた未乾留域の幅と突起高さに応じた突起乗り越え力を求め、求められた突起乗り越え力を用いて前記突起部を有する実コークス炉の炭化室からコークスケーキを押出す際のコークス押出負荷を推定することを特徴とするコークス押出負荷の推定方法。
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