JP5504771B2 - 車両搭載用のターボ過給機付エンジン - Google Patents

車両搭載用のターボ過給機付エンジン Download PDF

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Description

本発明は、過給容量が相対的に大きい大型ターボ過給機と、過給容量が相対的に小さい小型ターボ過給機とを備え、上記大型ターボ過給機のコンプレッサが上記小型ターボ過給機のコンプレッサに対し吸気通路の上流側に配置されるとともに、上記大型ターボ過給機のタービンが上記小型ターボ過給機のタービンに対し排気通路の下流側に配置された車両搭載用のターボ過給機付エンジンに関する。
従来から、排気エネルギーを利用したエンジンの高出力化をより効率よく達成するために、2機のターボ過給機を用いて過給を行ういわゆるツインターボ式の過給構造を採用することが行われている(例えば下記特許文献1参照)。
具体的に、下記特許文献1では、吸気通路に配置された第1コンプレッサと、排気通路に配置された第1タービンとを連結して第1ターボ過給機を構成するとともに、上記第1コンプレッサよりも吸気通路の上流側に配置された第2コンプレッサと、上記第1タービンよりも排気通路の下流側に配置された第2タービンとを連結して第2ターボ過給機を構成し、各ターボ過給機のコンプレッサおよびタービンの間に、両者と一体に回転する回転電機を設けるようにしている。
上記回転電機としては、上記第1コンプレッサおよび第1タービンと一体に回転する第1回転電機と、上記第2コンプレッサおよび第2タービンと一体に回転する第2回転電機とが設けられ、これら各回転電機が、エンジンの運転状態に応じて電動機または発電機として作動するようになっている。
例えば、エンジンの減速運転時には、第1および第2回転電機の両方が発電機として作動して発電が行われる一方、エンジンの低速域からの加速運転時には、第1回転電機が電動機として作動して第1ターボ過給機の駆動がアシストされるようになっている。
特開2005−9315号公報
ところで、上記のように第1および第2ターボ過給機の少なくとも一方を回転電機によりアシスト駆動するようにした場合には、回転電機の容量を大きくしてそのアシスト力を増大させることで、より高い過給圧を得ることができるものの、回転電機の容量を大きくし過ぎると、回転電機で消費される電力が増大して燃費性能の悪化を招くという問題がある。これを回避するには、回転電機の消費電力をできるだけ低く抑えながら、より高い過給圧が得られるようにするための改善が必要である。しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、第1および第2ターボ過給機に備わる2つの回転電機を用いて発電することによる排気エネルギーの回収に主眼が置かれており、上記回転電機を用いてターボ過給機の駆動をアシストする際に、そのアシスト力を低減しつつ過給圧を高めるという上記のような点に着目した提案がなされているわけではなかった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、2機のターボ過給機を用いて過給を行う際に、付与されるアシスト力をできるだけ低く抑えながら十分な過給圧を得ることが可能なターボ過給機付エンジンを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、過給容量が相対的に大きい大型ターボ過給機と、過給容量が相対的に小さい小型ターボ過給機とを備え、上記小型ターボ過給機のタービンが上記大型ターボ過給機のタービンに対し排気通路の上流側に配置されるとともに、上記小型ターボ過給機のコンプレッサが上記大型ターボ過給機のコンプレッサに対し吸気通路の下流側に配置された車両搭載用のターボ過給機付エンジンであって、上記大型ターボ過給機のコンプレッサの回転をアシストするアシスト駆動手段と、上記大型ターボ過給機のタービンをバイパスするための開閉可能なタービンバイパス通路と、上記アシスト駆動手段の駆動および上記タービンバイパス通路の開閉を含む各種制御を行う制御手段とを備え、上記制御手段は、エンジンの低回転・高負荷寄りに設定された2段ターボ領域で、上記タービンバイパス通路を開放しつつ上記アシスト駆動手段を作動させて上記大型ターボ過給機のコンプレッサを回転駆動するとともに、ここで加圧された吸気を上記小型ターボ過給機のコンプレッサに導入することにより、上記大型および小型ターボ過給機の両方に過給を行わせることを特徴とするものである(請求項1)。
本発明によれば、回転速度が低いにもかかわらず比較的多量の過給が必要な低回転・高負荷寄りの運転領域(2段ターボ領域)で、大型ターボ過給機のコンプレッサをアシスト駆動手段により回転駆動して吸気を加圧し、加圧された吸気をさらに小型ターボ過給機のコンプレッサに導入してさらに加圧するようにしたため、例えば小型ターボ過給機にアシスト駆動手段を設けた場合と比較して、上記大型・小型ターボ過給機の両方で分担しながら効率的に過給を行うことができ、上記アシスト駆動手段によるアシスト力をそれほど大きく設定しなくても、トータルとして高い過給圧を得ることができる。このため、上記アシスト駆動手段による消費エネルギーを少なくし、燃費の悪化を最小限に抑えながらも、高い過給圧により十分なエンジン出力を確保できるという利点がある。
また、上記アシスト駆動手段の作動中、上記大型ターボ過給機のタービンをバイパスするためのタービンバイパス通路が開放されるので、排気ガスの流通が上記大型ターボ過給機のタービンにより阻害されず、エンジンの排圧(タービン前の一次排圧)の上昇が抑制され、小型ターボ過給機のタービンによるタービン効率が向上する。これにより、小型ターボ過給機のタービンを介して排気ガスのエネルギーをより効率よく回収でき、上記2段ターボ領域での過給圧をさらに高めることができる。
上記構成において、より好ましくは、上記大型ターボ過給機のタービンとコンプレッサとの間に、両者の連結を断続するためのクラッチが設けられるとともに、当該クラッチよりもコンプレッサ側に上記アシスト駆動手段が設けられ、上記制御手段は、上記2段ターボ領域で上記アシスト駆動手段を作動させる間、上記クラッチを解放して上記大型ターボ過給機のタービンとコンプレッサとの連結を分離する(請求項2)。
この構成によれば、上記2段ターボ領域でアシスト駆動手段が作動した際に、大型ターボ過給機のコンプレッサのみが上記アシスト駆動手段により駆動され、比較的重量の大きいタービンは駆動されないため、上記アシスト駆動手段による消費エネルギーをより効果的に削減できるという利点がある。
上記構成において、より好ましくは、上記制御手段は、上記2段ターボ領域よりも低負荷側に設定された小型ターボ領域で、上記大型ターボ過給機のアシスト駆動手段を停止させることにより、小型ターボ過給機のみに過給を行わせる(請求項3)。
この構成によれば、回転速度および負荷が比較的小さく、それほど大きい過給圧が必要でない状況で、大型ターボ過給機の駆動を停止させ、小型ターボ過給機のみによって過給を行うことにより、運転状態に応じた適正な過給圧を無駄なく得ることができるという利点がある。
本発明において、好ましくは、上記制御手段は、上記2段ターボ領域および小型ターボ領域を少なくとも含む所定の運転領域で、理論空燃比に対する空気過剰率λをλ=2以上の所定値に設定する(請求項4)。
この構成によれば、空気過剰率λ=2以上という大幅にリーンな燃焼条件で運転することにより、燃焼温度を低く抑えて熱効率を高め、燃費性能を大幅に向上させることができる。しかも、大型ターボ過給機と小型ターボ過給機という2機の過給機を備えた本発明のエンジンでは、必要に応じて多量の空気を過給できるため、λ=2以上の熱効率の高い運転領域をより高回転・高負荷側まで拡大しながらも、多量の過給により十分なエンジン出力を確保できるという利点がある。
上記構成において、より好ましくは、上記制御手段は、上記2段ターボ領域および小型ターボ領域よりも高回転側に設定された運転領域で、上記大型ターボ過給機のみに過給を行わせるとともに、この大型ターボ過給機のみを用いる運転領域のうち少なくとも高負荷側の一部に設定されたリッチ領域では、空気過剰率λを上記所定値よりも小さい値に設定する(請求項5)。
このように、相対的に空燃比をリッチ化して大型ターボ過給機のみで過給する運転領域を高回転側に設けた場合には、空燃比のリッチ化と大型ターボ過給機による高圧過給とにより、高回転域でのトルクを十分に確保できるという利点がある。
上記構成において、より好ましくは、上記制御手段は、上記リッチ領域を除く運転領域における空気過剰率λを、λ=2を超える所定値に設定するとともに、上記リッチ領域での空気過剰率λを、1以下か、または2以上かつ上記所定値未満に設定する(請求項6)。
この構成によれば、空気過剰率λが1超2未満の範囲に設定されないため、通常のエンジンに用いられる三元触媒以外に、NOx浄化用の特別な装置(例えばNOx触媒)を排気通路に設けなくても、NOxの排出量を十分小さいレベルに抑えられるという利点がある。
以上説明したように、本発明の車両搭載用のターボ過給機付エンジンによれば、2機のターボ過給機を用いて過給を行う際に、付与されるアシスト力をできるだけ低く抑えながら十分な過給圧を得ることができるという利点がある。
本発明の一実施例にかかるターボ過給機付エンジンの全体構成を示す図である。 エンジン本体の構成を示す断面図である。 エンジンの制御系を示すブロック図である。 エンジンを制御するために参照される制御マップの一例を示す図である。 上記制御マップ上の第1運転領域において行われるエンジン制御の内容を説明するための図である。 上記制御マップ上の第2運転領域において行われるエンジン制御の内容を説明するための図である。 上記制御マップ上の第3運転領域において行われるエンジン制御の内容を説明するための図である。 上記制御マップ上の第4運転領域において行われるエンジン制御の内容を説明するための図である。 上記制御マップ上の第5運転領域において行われるエンジン制御の内容を説明するための図である。 上記制御マップ上の第6運転領域において行われるエンジン制御の内容を説明するための図である。 上記制御マップ上の第7運転領域において行われるエンジン制御の内容を説明するための図である。 複数の異なる過給条件下でエンジンを運転した場合に、エンジン回転速度に応じて図示平均有効圧力がどのように変化するかを説明するためのグラフである。 上記第2運領域から第3運転領域への移行時に行われる制御の内容を示す図である。 上記第3運領域から第4運転領域への移行時に行われる制御の内容を示す図である。 小型ターボ過給機におけるコンプレッサの体積流量、圧力比、およびコンプレッサ効率を、2種類の過給条件について解析したグラフである。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の一実施例にかかるターボ過給機付エンジンの全体構成を示す図であり、図2は、そのエンジン本体1の構成を示す断面図である。これらの図に示されるエンジンは直列多気筒エンジンであり、そのエンジン本体1には複数の気筒(図示の例では4つの気筒1A〜1D)が設けられ、各気筒1A〜1Dにはそれぞれピストン2(図2)が嵌挿されている。ピストン2はコネクティングロッド4を介してクランク軸3と連結されており、上記ピストン2の往復運動に応じて上記クランク軸3が軸回りに回転するようになっている。
上記ピストン2の上方には燃焼室5が形成され、燃焼室5に吸気ポート6および排気ポート7が開口し、各ポート6,7を開閉する吸気弁8および排気弁9がエンジン本体1の上部に設けられている。なお、図例のエンジンはいわゆるダブルオーバーヘッドカムシャフト式(DOHC)エンジンであり、各気筒につき上記吸気弁8および排気弁9がそれぞれ2つずつ設けられている。そして、吸気弁8および排気弁9の上方に、クランク軸3と連動して回転する一対のカムシャフト52,53(図2)等を含む動弁機構50,51が設けられ、各動弁機構50,51により上記吸排気弁8,9が個別に開閉駆動されるようになっている。
上記吸気弁8用の動弁機構50には、可変バルブリフト機構(Variable Valve Lift Mechanism)としてのVVL54(図2)が組み込まれている。VVL54は、上記吸気弁8のリフト量(開弁量)をエンジンの運転状態に応じて変更するものである。なお、VVL54は、既に様々な形式のものが実用化されて公知であるため、その詳細な構造についての説明は省略する。
図1および図2に示すように、上記エンジン本体1には、燃焼室5に直接燃料を噴射するインジェクタ10と、燃焼室5に点火用の火花を放電する点火プラグ11とが、各気筒につきそれぞれ1つずつ設けられている。なお、図示の例では、燃焼室5を吸気側の側方から臨むようにインジェクタ10が設けられるとともに、燃焼室5を上方から臨むように点火プラグ11が設けられている。
上記点火プラグ11は、火花放電用の電力を生成する点火回路装置12と電気的に接続されており、この点火回路装置12からの給電に応じて、上記点火プラグ11から所定のタイミングで火花が放電されるようになっている。
また、図2に示すように、上記エンジン本体1には、そのクランク軸3の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ71と、エンジンの冷却水の温度を検出する水温センサ72とが設けられている。
上記エンジン本体1の吸気ポート6および排気ポート7には、吸気通路13および排気通路19がそれぞれ接続されている。
上記吸気通路13は、燃焼用の空気を燃焼室5に供給するための通路であり、図1に示すように、気筒別に分岐した複数の分岐通路部14と、その上流側に共通に設けられた共通通路部15とを有している。
上記排気通路19は、上記燃焼室5で生成された既燃ガス(排気ガス)を排出するための通路であり、上記吸気通路13と同様、気筒別に分岐した複数の分岐通路部20と、その下流側に共通に設けられた共通通路部21とを備えている。
上記吸気通路13の共通通路部15のうち、後述するコンプレッサ27よりも上流側には、上記共通通路部15を通過する吸入空気の流量を検出するエアフローセンサ70が設けられている。
また、上記共通通路部15には、吸入空気量を調節するスロットル弁16が設けられている。なお、上述したように、当実施形態のエンジンでは、VVL54の制御により吸気弁8のリフト量が可変的に設定されるため、上記スロットル弁16を開閉させなくても、燃焼室5への吸気充填量を調整してエンジン出力を制御することが可能である。このことから、上記スロットル弁16の開度は、エンジンの緊急停止時等を除いて、常に全開もしくは全開から少し絞った値に設定される。このように、スロットル弁22の開度を常に全開付近とすることで、ポンピングロスの低減を図ることができる。
図1に示すように、当実施形態のエンジンには、相対的に過給容量の大きい大型ターボ過給機25と、相対的に過給容量の小さい小型ターボ過給機35とからなる2つの過給機が設けられている。
上記大型ターボ過給機25は、排気通路19の共通通路部21に設けられたタービン26と、吸気通路13の共通通路部15に設けられたコンプレッサ27と、これらタービン26およびコンプレッサ27どうしを連結する連結軸28とを有している。
上記連結軸28にはクラッチ29が介設されており、このクラッチ29の締結・解放に応じて上記タービン26とコンプレッサ27との連結が断続されるようになっている。そして、上記クラッチ29が締結されている状態で、上記タービン26が排気ガスのエネルギーを受けて回転すると、これと連動してコンプレッサ27が高速回転することにより、上記吸気通路13を通過する空気(吸入空気)が加圧されて燃焼室5へと圧送されるようになっている。
なお、上記大型ターボ過給機25のタービン26およびコンプレッサ27としては、後述する小型ターボ過給機35のタービン36およびコンプレッサ37よりも大型のものが使用されている。このため、上記大型ターボ過給機25は、小型ターボ過給機35と比較して、より高い多量の空気を圧送することが可能である一方、相対的に大きな駆動エネルギーを必要とする。
上記クラッチ29とコンプレッサ27との間には、上記大型ターボ過給機25のコンプレッサ27を補助的に駆動するための電動モータ30(本発明にかかるアシスト駆動手段に相当)が設けられている。この電動モータ30は、上記連結軸28と一体に回転するロータと、電磁コイルを含むステータとを有しており、図外のバッテリから上記コイルに交流電流が印加されることにより、上記ロータおよび連結軸28に所定の回転力が付与され、連結軸28の回転がアシストされるようになっている。そして、このような電動モータ30による連結軸28の回転アシストにより、上記コンプレッサ27の回転速度が、上記タービン26の受ける排気エネルギーに相当する速度以上に増速されるようになっている。
また、上記大型ターボ過給機25の連結軸28(電動モータ30とコンプレッサ27との間の部位)には、コンプレッサ27の回転速度を検出するためのコンプレッサ回転速度センサ74が設けられている。
上記小型ターボ過給機35は、排気通路19の共通通路部21に設けられたタービン36と、吸気通路13の共通通路部15に設けられたコンプレッサ37と、これらタービン36およびコンプレッサ37どうしを連結する連結軸38とを有している。なお、上記小型ターボ過給機35のタービン36およびコンプレッサ37としては、上記大型ターボ過給機25のタービン26およびコンプレッサ27よりも小型のものが使用されている。また、上記小型ターボ過給機35では、大型ターボ過給機25と異なり、回転アシスト用の電動モータや、連結軸38を断続するクラッチは設けられていない。
また、上記小型ターボ過給機35と上記大型ターボ過給機25との位置関係としては、小型ターボ過給機35の方が大型ターボ過給機25よりもエンジン本体1に近い側に配設されている。すなわち、上記小型ターボ過給機35のタービン36が上記大型ターボ過給機25のタービン26に対し排気通路19の上流側に配置されるとともに、上記小型ターボ過給機35のコンプレッサ37が上記大型ターボ過給機25のコンプレッサ27に対し吸気通路13の下流側に配置されている。
上記排気通路19の共通通路部21には、上記大型ターボ過給機25のタービン26をバイパスするためのタービンバイパス通路40が設けられている。このタービンバイパス通路40にはバイパス弁44が設けられており、当該弁44の開閉に応じて上記タービン26前後の排気ガスの流れが切り替わるようになっている。すなわち、上記バイパス弁44が閉弁されると、排気ガスがタービン26に流入してタービン26が回転駆動される一方、上記バイパス弁44が開弁されると、排気ガスが主にタービンバイパス通路40を通過する(つまりタービン26をバイパスする)ことにより、上記タービン26の回転が停止されるようになっている。
また、上記タービンバイパス通路40よりも排気通路19の上流側には、上記小型ターボ過給機35のタービン36をバイパスするためのタービンバイパス通路42が設けられている。このタービンバイパス通路42にはバイパス弁46が設けられており、当該弁46の開閉に応じて上記タービン36の駆動・停止が切り替わるようになっている。
一方、上記吸気通路13の共通通路部15には、上記大型ターボ過給機25のコンプレッサ27をバイパスするためのコンプレッサバイパス通路41が設けられている。このコンプレッサバイパス通路41にはバイパス弁45が設けられており、当該弁45の開閉に応じて上記コンプレッサ27前後の吸入空気の流れが切り替わるようになっている。すなわち、上記バイパス弁45が閉弁されると、吸入空気が上記コンプレッサ27に流入して圧縮される一方、上記バイパス弁45が開弁されると、吸入空気が主にコンプレッサバイパス通路41を通過する(つまりコンプレッサ27をバイパスする)ことにより、上記コンプレッサ27による吸気の圧縮が停止されるようになっている。
また、上記コンプレッサバイパス通路41よりも吸気通路13の下流側には、上記小型ターボ過給機35のコンプレッサ37をバイパスするためのコンプレッサバイパス通路43が設けられている。このコンプレッサバイパス通路43にはバイパス弁47が設けられており、当該弁47の開閉に応じて上記コンプレッサ37による圧縮動作の有無が切り替わるようになっている。
上記吸気通路13の共通通路部15のうち、上記小型ターボ過給機35のコンプレッサ37よりも下流側に位置する部位には、過給により温度上昇した空気を冷却するためのインタークーラ18が設けられている。
以上のように構成されたエンジンは、車両を駆動するための動力源として用いられる車両搭載用のエンジンである。このため、当該車両の車室内には図1に示されるアクセルペダル23が設けられ、このアクセルペダル23が運転者により踏み込み操作されるのに応じて、エンジン出力が制御されるようになっている。すなわち、運転者がアクセルペダル23を踏み込み操作すると、その開度がアクセル開度センサ73(図3)により検出され、その検出開度に応じた出力が得られるように、上記インジェクタ10からの燃料の噴射量、上記VVL54による吸気弁8のリフト量、および上記大型・小型ターボ過給機25,35による過給量等がそれぞれ制御されるようになっている。
図3は、エンジンの制御系を示すブロック図である。本図に示されるECU60は、エンジンの各部を統括的に制御するための制御装置であり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。
上記ECU60には、各種センサ類からの検出信号が入力される。すなわち、ECU60は、上述したエアフローセンサ70、エンジン回転速度センサ71、水温センサ72、アクセル開度センサ73、およびコンプレッサ回転速度センサ74と電気的に接続されており、これら各種センサ類からの検出信号が上記ECU60に逐次入力されるようになっている。
また、上記ECU60は、上記インジェクタ10、点火回路装置12、スロットル弁16、クラッチ29、電動モータ30、バイパス弁44〜47、およびVVL54とも電気的に接続されており、これらの装置にそれぞれ制御用の電気信号を出力するように構成されている。
上記ECU60が有するより具体的な機能について説明すると、上記ECU60は、その主な機能要素として、記憶手段61、運転状態判定手段62、過給制御手段63、インジェクタ制御手段64、およびVVL制御手段65を有している。
上記記憶手段61は、エンジンの制御に必要な各種データを記憶するものであり、そのデータの1つとして、上記記憶手段61には、図4に示される制御マップが記憶されている。図4の制御マップは、横軸をエンジン回転速度、縦軸をエンジン負荷(アクセル開度に基づく要求トルク)としたときの2次元領域を、特に大型・小型ターボ過給機25,35の過給動作に関する制御態様に応じて複数の領域A1〜A7に設定し分けたものである。なお、図4では、縦軸のエンジン負荷を、筒内の図示平均有効圧力;BMEP[bar]で示している。
上記運転状態判定手段62は、上記エンジン回転速度センサ71の検出値に基づくエンジンの回転速度、および上記アクセル開度センサ73の検出値に基づくエンジン負荷(要求トルク)から、各時点でのエンジンの運転状態を特定し、その特定された運転状態が図4の制御マップにおけるどの領域に対応するのかを判定するものである。
上記過給制御手段63は、上記大型・小型ターボ過給機25,35の過給動作に関する制御として、上記バイパス弁44〜47の駆動に基づくバイパス通路40〜43の開閉や、上記大型ターボ過給機25用の電動モータ30およびクラッチ29の駆動を制御するものである。より具体的に、上記過給制御手段63は、上記運転状態判定手段62による判定結果、つまり、エンジンの運転状態が図4に示した制御マップにおける領域A1〜A7のいずれにあるかに応じて、上記各バイパス通路40〜43の開閉、上記電動モータ30のON/OFF、および上記クラッチ29の締結・解放を適宜切り替えるように構成されている(図5〜図11等参照;詳細は後述する)。
上記インジェクタ制御手段64は、上記インジェクタ10から燃焼室5に噴射される燃料の噴射時期や噴射量(噴射時間)を制御するものである。より具体的に、上記インジェクタ制御手段64は、上記エアフローセンサ70から得られる吸気流量等の情報に基づいて、所定の空燃比を得るための燃料の目標噴射量を演算し、その目標噴射量に応じた時間だけ上記インジェクタ10を開弁させることにより、筒内の空燃比を制御する機能を有している。
上記VVL制御手段65は、上記VVL54の動作を制御することにより、上記吸気弁8のリフト量をエンジンの運転状態に応じて調節するものである。
(2)エンジン制御の具体例
(2−1)各運転領域での制御の内容
次に、図4に示した制御マップの領域A1〜A7においてそれぞれ実行される制御の具体的な内容について、図5〜図11の模式図を用いて説明する。なお、以下では、上記各領域A1〜A7のことを、順に、第1運転領域A1、第2運転領域A2、……第7運転領域A7と称する。
(i)第1運転領域A1
第1運転領域A1は、エンジン回転速度の全域において負荷の比較的低い領域(BMEP≦約3barの領域)に設定される。この第1運転領域A1では、上記大型ターボ過給機25および小型ターボ過給機35がいずれも使用されない、自然吸気(ノンターボ)による運転が行われる。すなわち、上記第1運転領域A1では、全てのバイパス弁44〜46が開弁されることにより、大型・小型ターボ過給機25,35の各タービンバイパス通路40,42、および各コンプレッサバイパス通路41,43が全て開放される。これにより、図5に示すように、大型・小型ターボ過給機25,35の各コンプレッサ27,37をともにバイパスした経路を通って空気が吸入されるとともに、大型・小型ターボ過給機25,35の各タービン26,36をともにバイパスした経路を通って排気ガスが排出されることになる。
また、上記第1運転領域A1では、筒内に形成される混合気の空燃比に関し、理論空燃比(A/F=14.7)に対する空気過剰率λが、λ≒2.4(A/F=35)という大幅にリーンな値となるように、上記インジェクタ10からの燃料噴射量が制御される。このことは、後述する第7運転領域A7を除く他の領域でも同じことである。すなわち、第7運転領域A7を除いて、他の全ての運転領域(第1運転領域A1〜第6運転領域A6)では、空気過剰率λが一律にλ≒2.4に設定され、大幅にリーンな空燃比下での燃焼が行われる。
(ii)第2運転領域A2
第2運転領域A2は、上記第1運転領域A1よりも高負荷側で、かつ低速〜中速回転にわたる範囲に設定される。この第2運転領域A2では、図6に示すように、バイパス弁46,47が閉弁されて、小型ターボ過給機35のタービンバイパス通路42およびコンプレッサバイパス通路43がともに遮断されることにより、小型ターボ過給機35のみによって過給が行われる。すなわち、上記両バイパス通路42,43が遮断されることにより、小型ターボ過給機35のタービン36に排気ガスが導入されてタービン36が回転駆動され、これに連動してコンプレッサ37が回転することにより、吸入空気が加圧される。
一方、大型ターボ過給機25のタービンバイパス通路40およびコンプレッサバイパス通路41は開放状態に維持されるため、大型ターボ過給機25による過給は行われない。このとき、大型ターボ過給機25の電動モータ30はOFFとされ、かつクラッチ29は解放されてコンプレッサ27とタービン26との連結が分離される。
なお、上記(i)でも述べた通り、上記第2運転領域A2での空気過剰率λは、λ≒2.4に設定される。
(iii)第3運転領域A3
第3運転領域A3は、上記第2運転領域A2よりも高負荷側で、かつ回転速度が比較的低い領域に設定される。この第3運転領域A3では、図7に示すように、大型ターボ過給機25および小型ターボ過給機35の両方により過給が行われる。すなわち、上記小型ターボ過給機35のタービンバイパス通路42およびコンプレッサバイパス通路43が遮断されるとともに、上記大型ターボ過給機25のコンプレッサバイパス通路41が遮断され、かつ大型ターボ過給機25のコンプレッサ27が電動モータ30により回転駆動されることにより、上記小型ターボ過給機35に加えて、大型ターボ過給機25によっても過給が行われる。このとき、大型ターボ過給機25のタービンバイパス通路40は開かれており、また、コンプレッサ27とタービン26との間のクラッチ29は解放される。このため、上記大型ターボ過給機25のコンプレッサ27は、タービン26から駆動力を得ることなく、電動モータ30の駆動力のみによって回転する。
なお、上記第3運転領域A3での空気過剰率λは、λ≒2.4である。
(iv)第4運転領域A4
第4運転領域A4は、上記第2・第3運転領域A2,A3よりも高回転側の比較的狭い範囲に設定される。この第4運転領域A4でも、上記大型ターボ過給機25および小型ターボ過給機35を用いた2段過給が行われるが、上記第3運転領域A3の場合(図7)と異なる点として、図8に示すように、大型ターボ過給機25のタービンバイパス通路40が遮断されるとともに、大型ターボ過給機25のクラッチ29が締結される。これにより、大型ターボ過給機25のタービン26に排気ガスが導入されてタービン26が回転駆動し、その駆動力がクラッチ29を介してコンプレッサ27に伝達される。
さらに、上記第4運転領域A4では、小型ターボ過給機35のタービンバイパス通路42が、エンジン回転速度に応じて徐々に開放される。すなわち、上記第4運転領域A4における最も低回転側の部分(第3運転領域A3との隣接部)では、上記タービンバイパス通路42を開閉するバイパス弁46が全閉とされるが、そこからエンジン回転速度が上昇した場合には、回転速度の上昇に応じて上記バイパス弁46が徐々に開弁され、その結果、上記タービンバイパス通路42を通過する排気ガスの量(つまりタービン36をバイパスする排気ガスの量)が徐々に増やされるようになっている。
また、上記第4運転領域A4において、大型ターボ過給機25の電動モータ30については、負荷に応じてON/OFFが使い分けられる。すなわち、上記第4運転領域A4のうち、より多量の過給が必要な高負荷側では、タービン26を介した排気ガスのエネルギーだけでは十分な過給が行えないため、電動モータ30でコンプレッサ27の回転をアシストすべく電動モータ30がONされる一方、それほど多くの過給量が必要ない低負荷側では、電動モータ30によるアシストは必要ないため、電動モータ30はOFFされる。
なお、上記第4運転領域A4での空気過剰率λは、λ≒2.4である。
(v)第5運転領域A5
第5運転領域A5は、上記第4運転領域A4よりも高回転側の比較的広い領域に設定される。この第5運転領域A5では、図9に示すように、大型ターボ過給機25のみによって過給が行われる。すなわち、上記大型ターボ過給機25のタービンバイパス通路40およびコンプレッサバイパス通路41が遮断される一方、上記小型ターボ過給機35のタービンバイパス通路42およびコンプレッサバイパス通路43が開放されることにより、上記小型ターボ過給機35による過給が停止され、大型ターボ過給機25のみによって過給が行われる。このとき、大型ターボ過給機25の電動モータ30はOFFとされ、大型ターボ過給機25は、タービン26に流入する排気ガスのエネルギーによってのみ駆動される。
なお、上記第5運転領域A5での空気過剰率λは、λ≒2.4である。
(vi)第6運転領域A6
第6運転領域A6は、上記第4運転領域A4よりも高回転側で、かつ上記第5運転領域A5よりも高負荷側の領域に設定される。この第6運転領域A6でも、大型ターボ過給機25のみによって過給が行われるが、上記第5運転領域A5の場合(図9)と異なる点として、図10に示すように、大型ターボ過給機25の電動モータ30がONされる。すなわち、電動モータ30がONされることにより、大型ターボ過給機25は、タービン26に流入する排気ガスのエネルギーと、電動モータ30の駆動力との両方によって駆動されることになる。
なお、上記第6運転領域A6での空気過剰率λは、λ≒2.4である。
(vii)第7運転領域A7
第7運転領域A7は、上記第4運転領域A4および第6運転領域A6よりも高負荷側に設定される。この第7運転領域A7では、上述の第1運転領域A1〜第6運転領域A6と異なり、図11に示すように、混合気の空気過剰率λが、λ=2.0か、またはλ=1.0に設定される。すなわち、第1運転領域A1〜第6運転領域A6での空気過剰率λが一律にλ≒2.4に設定されるのに対し、上記第7運転領域A7では、これよりもリッチな値として、λ≒2.0または1.0に設定される。
なお、上記第7運転領域A7での2種類の空気過剰率λの値(2.0または1.0)は、エンジンの負荷に応じて使い分けられる。すなわち、第7運転領域A7のうち、負荷が比較的低い範囲では、空気過剰率λがλ≒2.0に設定され、これよりも高負荷側になると、より大きなトルクを得るために、空気過剰率λがλ≒1.0にまで低減される。
また、上記第7運転領域A7での過給制御としては、上記第5・第6運転領域A5,A6のときと同じく、大型ターボ過給機25のみを用いて過給が行われる。このとき、電動モータ30については、空気過剰率λの値によってON/OFFが使い分けられる。すなわち、空気過剰率λ≒2.0のときには、電動モータ30がONされて大型ターボ過給機25の駆動がアシストされ、空気過剰率λ≒1.0のときには、電動モータ30によるアシストがなくても十分に高いトルクが得られるため、電動モータ30はOFFされる。
なお、以上のような各運転領域A1〜A7(図4)と、本願の請求項に記載の発明との対応関係としては、第2運転領域A2が、本発明にかかる小型ターボ領域に相当し、第3運転領域A3が、本発明にかかる2段ターボ領域に相当し、第7運転領域A7が、本発明にかかるリッチ領域に相当する。
(2−2)領域設定の根拠
次に、図4に示したような領域設定を行う根拠となった本願発明者による解析の結果について説明する。図12は、複数の異なる過給条件下でエンジンを運転した場合に、エンジン回転速度[rpm]に応じて図示平均有効圧力BMEP[bar]がどのように変化するかを演算し、その結果をグラフにまとめたものである。具体的に、図12では、ラインL1〜L5で示す5種類の過給条件を設定し、各条件での図示平均有効圧力(トルク)の変化を演算した。なお、全ての条件において、空気過剰率λはλ≒2.4(A/F=35)、スロットル開度は全開(100%)とした。
上記5種類のラインL1〜L5は、それぞれ以下のような過給条件下でのトルクの変化を示している。
・ラインL1(小型ターボ):小型ターボ過給機35のみを用いて過給を行った場合
・ラインL2(大型ターボ):大型ターボ過給機25のみを用いて過給を行った場合
・ラインL3(電動アシスト小型ターボ):小型ターボ過給機35に、大型ターボ過給機25用の電動モータ30と同様の電動モータを設け、この電動モータにより駆動力がアシストされた小型ターボ過給機35のみを用いて過給を行った場合
・ラインL4(電動アシスト大型ターボ):電動モータ30により駆動力がアシストされた大型ターボ過給機25のみを用いて過給を行った場合
・ラインL5(電動アシスト大型ターボ+小型ターボ):電動モータ30により駆動力がアシストされた大型ターボ過給機25と、アシスト無しの小型ターボ過給機35とを用いて過給を行った場合
なお、以下では、「電動モータにより駆動力がアシストされた大型ターボ過給機(または小型ターボ過給機)」のことを、単に「電動アシストされた大型ターボ過給機(または小型ターボ過給機)」と言うことがある。
図12のグラフによれば、例えばエンジン回転速度が1000〜2000rpmの回転域において最も高いトルクが出るのは、電動アシストされた大型ターボ過給機25と、アシスト無しの小型ターボ過給機35とによる2段過給を行った場合である(ラインL5参照)。このことを受けて、図4の制御マップでは、上記のような低速寄りの回転域における最も高負荷側の領域に、過給条件が上記ラインL5と同じである第3運転領域A3を設定している。したがって、上記第3運転領域A3の上限ライン(太線の部分)は、図12におけるラインL5(より具体的には1000〜2000rpmの範囲のラインL5)と一致する。
上記第3運転領域A3よりも低負荷側には、図4に示したように、小型ターボ過給機35のみを用いて過給を行う第2運転領域A2が設定されているが、この第2運転領域A2での過給条件には、図12中のラインL1が対応する。したがって、上記第2運転領域A2の上限ライン(第2運転領域A2と第3運転領域A3との境界線)は、上記ラインL1と一致する。
また、図12によると、エンジン回転速度が3000rpm以上の回転域において最もトルクが出るのは、電動アシストされた大型ターボ過給機25のみを用いて過給した場合である(ラインL4参照)。このことを受けて、図4の制御マップにおける高速寄りの回転域では、第7運転領域A7(リッチ領域)を除く最も高負荷側の領域に、過給条件が上記ラインL4と同じである第6運転領域A6を設定している。したがって、上記第6運転領域A6の上限ライン(太線の部分)は、図12におけるラインL4と一致する。
上記第6運転領域A6よりも低負荷側には、図4に示したように、アシスト無しの大型ターボ過給機25のみで過給を行う第5運転領域A5が設定されているが、この第5運転領域A5での過給条件には、図12中のラインL2が対応する。したがって、上記第5運転領域A5の上限ライン(第5運転領域A5と第6運転領域A6との境界線)は、上記ラインL2と一致する。
ここで、図12の結果だけに基づいて、エンジンの回転域ごとに最も高いトルクが得られる過給条件を選択しようとすれば、エンジン回転速度が1000〜3000rpmの回転域では、電動アシストされた大型ターボ過給機25と小型ターボ過給機35とによる2段過給(ラインL5)を選択すればよく、エンジン回転速度が3000rpm以上の回転域では、電動アシストされた大型ターボ過給機25のみによる過給(ラインL4)を選択すればよい。しかしながら、図12のグラフから理解できるように、3000rpmの前後で過給条件をラインL5の条件からラインL4の条件へと切り替えたとしても、その切り替えの前後で、図中のS部に示すようなトルクの落ち込みが生じてしまう。
そこで、本願発明者は、上記のような3000rpm前後でのトルクの落ち込み(S部)を低減するには、どのような過給制御を行えばよいかを検討すべく、図12のラインL1〜L5以外の過給条件についても解析を行った。その結果、電動アシストされた大型ターボ過給機25と小型ターボ過給機35とによる2段過給を行いつつ、小型ターボ過給機35のタービンバイパス通路42をエンジン回転速度に応じて徐々に開放すれば、上記のようなトルクの落ち込みを低減でき、比較的安定したトルクが得られることを発見した(そのしくみについては後で説明する)。図4の制御マップにおいて、第2・第3運転領域A2,A3と第5・第6運転領域A5,A6との間の中間速度域に、上記のような条件で過給を行う第4運転領域A4が設定されているのはこのためである。
(2−3)領域移行時の制御
次に、図4の制御マップに示した各運転領域A1〜A7の間での領域移行時の制御について説明する。特にここでは、エンジンの運転状態が、図4の矢印Qに示すように、領域A1→A2→A3→A4→A6へと変化した場合を想定し、このうち、領域A2からA3への移行時(点P1)と、領域A3からA4への移行時(点P2)とを取り上げ、各時点で実行される制御の手順についてそれぞれ説明する。なお、上記矢印Qのようにエンジンの運転状態が変化するような状況としては、例えば、車両が低速かつ定常走行している状態で、運転者によりアクセルペダル23(図1)が深く踏み込まれ、これによって車両が急加速するような状況が挙げられる。
(i)運転領域A2→A3への移行時
まず、エンジンの運転状態が、第2運転領域A2から、これよりも高負荷側の第3運転領域A3に移行するとき(図4の点P1の時点)に行われる制御の内容を、図13(a)〜(c)を用いて説明する。第2運転領域A2では、図13(a)に示すように、小型ターボ過給機35のみによって過給が行われている。そして、この状態から第3運転領域A3への移行が始まると、図13(b)に示すように、まず大型ターボ過給機25の電動モータ30がONされる。すると、この電動モータ30の駆動力を受けて、上記大型ターボ過給機25のコンプレッサ27が回転を始める。このとき、大型ターボ過給機25のクラッチ29は解放されているため、上記コンプレッサ27のみが回転し、タービン26が回転することはない。
上記電動モータ30の駆動によりコンプレッサ27の回転速度が上昇し、上記コンプレッサ回転速度センサ74による検出回転速度が所定値以上に達すると、図13(c)に示すように、上記大型ターボ過給機25のコンプレッサバイパス通路41が遮断され、吸入空気がコンプレッサ27に導入されるようになる。すなわち、上記大型ターボ過給機25のコンプレッサ27に導入されて加圧された空気が、上記小型ターボ過給機35のコンプレッサ37に導入されてさらに加圧されることにより、上記大型ターボ過給機25と小型ターボ過給機35とによる2段過給が開始される。
(ii)運転領域A3→A4への移行時
次に、エンジンの運転状態が、第3運転領域A3から、これよりも高負荷側の第4運転領域A4に移行するとき(図4の点P2の時点)に行われる制御の内容を、図14(a)〜(c)を用いて説明する。第3運転領域A2では、図14(a)に示すように、大型ターボ過給機25と小型ターボ過給機35とによる2段過給が行われている。そして、この状態から第4運転領域A4への移行が始まると、図14(b)に示すように、まず大型ターボ過給機25のコンプレッサバイパス通路41が開放される。
次いで、図14(c)に示すように、大型ターボ過給機25のクラッチ29が締結されることにより、大型ターボ過給機25のタービン26とコンプレッサ27とが連結され、両者の回転が同期される。そして、上記コンプレッサ回転速度センサ74の検出値に基づくタービン26およびコンプレッサ27の回転速度が所定値以上に達した時点で、図14(d)に示すように、大型ターボ過給機25のコンプレッサバイパス通路41が遮断され、吸入空気がコンプレッサ27に導入される。さらにその後、図14(e)に示すように、大型ターボ過給機25のタービンバイパス通路40が遮断されることにより、タービン26に排気ガスが導入される。これにより、排気ガスのエネルギーを受けてタービン26およびコンプレッサ27が回転駆動され、上記大型ターボ過給機25と小型ターボ過給機35とによる2段過給が開始される。
このとき、上記大型ターボ過給機25の電動モータ30については、エンジン負荷の大きさに応じてONまたはOFFされるが、図4の矢印Qに示すように、エンジンの運転状態が上記第4運転領域A4における比較的負荷の高い部分に移行したような場合には、図14(e)に示すように、電動モータ30はONされ、この電動モータ30の駆動力と、上記タービン26に流入する排気ガスのエネルギーとの両方により、大型ターボ過給機25が駆動される。
(3)まとめ
次に、以上説明した本発明の実施形態における特徴的構成およびその効果についてまとめて説明する。
上記実施形態のターボ過給機付エンジンには、過給容量が相対的に大きい大型ターボ過給機25と、過給容量が相対的に小さい小型ターボ過給機35とが設けられており、上記小型ターボ過給機35のタービン36が上記大型ターボ過給機25のタービン26に対し排気通路19の上流側に配置されるとともに、上記小型ターボ過給機35のコンプレッサ37が上記大型ターボ過給機25のコンプレッサ27に対し吸気通路13の下流側に配置されている。また、上記大型ターボ過給機25には、そのコンプレッサ27の回転をアシストする電動モータ30(アシスト駆動手段)が設けられ、この電動モータ30を含むエンジンの各部がECU60(制御手段)によって制御される。上記ECU60には、過給条件の異なる複数の運転領域A1〜A7が設定された制御マップ(図4)が記憶されており、この制御マップのうち、エンジンの低回転・高負荷寄りに設定された第3運転領域A3では、図7に示したように、上記電動モータ30の作動により上記大型ターボ過給機25のコンプレッサ27が回転駆動されるとともに、ここで加圧された吸気が上記小型ターボ過給機35のコンプレッサ37に導入されることにより、上記大型・小型ターボ過給機25,35の両方によって過給が行われる。このような構成によれば、回転速度が低いにもかかわらず比較的多量の過給が必要な上記第3運転領域A3において、電動モータ30によるアシスト力をそれほど大きく設定しなくても、十分に高い過給圧が得られるという利点がある。
すなわち、上記実施形態では、大型ターボ過給機25のコンプレッサ27を電動モータ30により回転駆動して吸気を加圧し、加圧された吸気をさらに小型ターボ過給機35のコンプレッサ37に導入してさらに加圧するようにしたため、これら大型・小型ターボ過給機25,35の両方で分担しながら効率的に過給を行うことができ、上記電動モータ30によるアシスト力をそれほど大きく設定しなくても、トータルとして高い過給圧を得ることができる。このため、上記電動モータ30による消費エネルギーを少なくし、燃費の悪化を最小限に抑えながらも、高い過給圧により十分なエンジン出力を確保できるという利点がある。
例えば、上記実施形態とは異なる態様として、小型ターボ過給機35を電動モータでアシスト駆動することも考えられるが、このようにすると、上記小型ターボ過給機35のコンプレッサ37前後の圧力比が高くなり過ぎて、コンプレッサ効率が低下するため、電動モータによるアシスト駆動力が同じであれば、トータルとして得られる過給圧は低下してしまう。すなわち、大型ターボ過給機25ではなく小型ターボ過給機35に電動モータを設けた場合、上記第3運転領域A3のような低回転域では、上記大型ターボ過給機25の過給能力はほとんど発揮されず、専ら小型ターボ過給機35により過給が行われることになる。このことは、アシスト無しの大型ターボ過給機25の過給特性を示す図12のラインL2が、低回転域(特に1000〜2000rpm)でほとんど立ち上がっていないことからも理解できる。したがって、上記第3運転領域A3での過給は、実質的に小型ターボ過給機35のみが担うことになり、その結果、小型ターボ過給機35のコンプレッサ37前後の圧力比が高くなり過ぎて、コンプレッサ効率が低下してしまう。
図15は、上記実施形態の電動モータ30と同じ容量の電動モータを小型ターボ過給機35に設け、このモータでアシスト駆動した小型ターボ過給機35により過給を行った場合(ラインY)と、上記実施形態のように、電動モータ30でアシスト駆動された大型ターボ過給機25と小型ターボ過給機35とにより2段過給を行った場合(ラインX)とについて、小型ターボ過給機35の過給性能を比較したグラフである。なお、同グラフにおいて、縦軸はコンプレッサ前後の圧力比(=コンプレッサ下流圧/コンプレッサ上流圧)、横軸はコンプレッサから吐出される体積流量であり、グラフ内の線群の数値(%値)はコンプレッサ効率(=コンプレッサの圧縮仕事量/タービンの仕事量)を表わしている。
図15において、例えばラインXの最も低回転側(エンジン回転速度=1000rpm)の点X1と、ラインYの同回転速度での点Y1とを比較すると、点X1の方がY1に比べてコンプレッサ前後の圧力比が小さく、コンプレッサ効率が高いことが分かる。これは、点X1の場合、大型ターボ過給機25のコンプレッサ27がまず吸気を加圧し、その加圧空気が小型ターボ過給機35のコンプレッサ37でさらに加圧されるため、点Y1のときと比較して、小型ターボ過給機35のコンプレッサ37の負担が軽減され(つまり圧力比が低下して)、そのコンプレッサ効率が向上したものと考えられる。この結果、上記小型ターボ過給機35のコンプレッサ37と、その上流側に位置する上記大型ターボ過給機25のコンプレッサ27とにより、トータルとして十分な過給能力が発揮され、電動モータによるアシスト力が同じでも、より高い過給圧が得られるようになる。以上のことからも、大型ターボ過給機25に電動モータ30を設けた方が、小型ターボ過給機35に同様の電動モータを設けるよりも、効率よく過給を行うことができ、少ない消費エネルギーで高い過給圧が得られることが分かる。
また、上記実施形態では、大型ターボ過給機25のタービン26をバイパスするための開閉可能なタービンバイパス通路40が排気通路19に設けられ、上記第3運転領域A3で電動モータ30が作動している間、上記タービンバイパス通路40が開放されるようになっている(図7参照)。このような構成によれば、排気ガスの流通が上記大型ターボ過給機25のタービン26により阻害されないため、エンジンの排圧(タービン前の一次排圧)の上昇が抑制され、小型ターボ過給機35のタービン36によるタービン効率(=タービンの仕事量/タービンで使われた排気エネルギー)が向上する。これにより、小型ターボ過給機35のタービン36を介して排気ガスのエネルギーをより効率よく回収でき、上記第3運転領域A3での過給圧をさらに高めることができる。
さらに、上記実施形態では、大型ターボ過給機25のタービン26とコンプレッサ27との間に、両者の連結を断続するためのクラッチ29が設けられるとともに、当該クラッチ29よりもコンプレッサ27側に上記電動モータ30が設けられ、かつ、上記第3運転領域A3で電動モータ30が作動している間、上記クラッチ29が解放されて上記大型ターボ過給機25のタービンとの連結が分離されるようになっている。このような構成によれば、上記第3運転領域A3で電動モータ30が作動した際に、大型ターボ過給機25のコンプレッサ27のみが上記電動モータ30により駆動され、比較的重量の大きいタービン26は駆動されないため、電動モータ30による消費エネルギーをより効果的に削減できるという利点がある。
例えば、排気通路19に設けられるタービン26は、かなりの高温に晒されるため、耐熱鋼等の材質から構成されるが、高温に晒されないコンプレッサ27は、アルミや樹脂等から構成される。このことから、タービン26は、一般に、コンプレッサ27よりも大幅に重量が大きい。しかも、上記第3運転領域A3では、排気ガスがタービン26をバイパスするため、排気ガスのエネルギーがタービン26に付与されることはない。したがって、上記第3運転領域A3で、タービン26とコンプレッサ27とを分離することなく、両者を一体に電動モータ30で回転駆動してしまうと、慣性の大きいタービン26を強制回転させるために比較的大きなエネルギーが消費され、電動モータ30による消費エネルギーが無駄に増大するおそれがある。これに対し、上記実施形態では、第3運転領域A3での電動モータ30の作動を、タービン26とコンプレッサ27とを分離した状態で行うようにしたため、上記のような事態を回避して電動モータ30による消費エネルギーを効果的に削減できるという利点がある。
また、上記実施形態では、大型ターボ過給機25のコンプレッサ27をバイパスするための開閉可能なコンプレッサバイパス通路41が吸気通路13に設けられ、上記第3運転領域A3よりも低負荷側に設定された第2運転領域A2では、上記大型ターボ過給機25のコンプレッサバイパス通路41が開放されかつ上記電動モータ30の作動が停止されることにより、小型ターボ過給機35のみよる過給が行われるようになっている(図6参照)。このような構成によれば、回転速度および負荷が比較的小さく、それほど大きい過給圧が必要でない状況で、大型ターボ過給機25の駆動を停止させ、小型ターボ過給機35のみによって過給を行うことにより、運転状態に応じた適正な過給圧を無駄なく得ることができるという利点がある。
また、上記実施形態では、図13(a)〜(c)に示したように、上記第2運転領域A2から第3運転領域A3への移行時に、まず、大型ターボ過給機25のタービンバイパス通路40およびコンプレッサバイパス通路41を開放した状態で、電動モータ30をONし、この電動モータ30により大型ターボ過給機25のコンプレッサ27を回転駆動させ(同図(b))、その後、コンプレッサ27の回転速度が所定値以上に上昇した時点で、上記大型ターボ過給機25のコンプレッサバイパス通路41を遮断するようにした(同図(c))。このような構成によれば、上記第2運転領域A2から第3運転領域A3への移行時に、優れた応答性で過給圧を高めることができるとともに、エンジントルクの低下を効果的に防止できるという利点がある。
例えば、上記実施形態とは異なる態様として、電動モータ30を作動させるのと同時またはそれよりも以前に大型ターボ過給機25のコンプレッサバイパス通路41を遮断することも可能であるが、このようにすると、未だ回転上昇していない大型ターボ過給機25のコンプレッサ27によって吸気の流入が阻害されることにより、一時的に過給圧が下がってエンジントルクの低下(トルクダウン)を招くとともに、コンプレッサ27が十分に回転上昇するのに要する時間(ターボラグ)が増大するおそれがある。これに対し、上記実施形態では、電動モータ30により大型ターボ過給機25のコンプレッサ27の回転速度を十分に上昇させてからコンプレッサバイパス通路41を遮断する(つまりコンプレッサ27に吸気を導入する)ようにしたため、上記第2運転領域A2から第3運転領域A3への移行時に、ターボラグの少ない優れた応答性で過給圧を高めることができ、上記のようなトルクダウンの発生を効果的に防止することができる。
しかも、上記第3運転領域A3への移行時に行われる上記手順の制御(図13(a)→(b)→(c)の制御)を、大型ターボ過給機25のクラッチを解放した状態(つまり重量の重いタービン26をコンプレッサ27から切り離した状態)で行うようにしたため、上記電動モータ30によりコンプレッサ27の回転速度を素早く上昇させることができ、上記第3運転領域A3への移行を迅速に完了させることが可能である。
一方、上記実施形態において、上記第3運転領域A3よりも高回転側には、大型ターボ過給機25のみで過給を行う第6運転領域A6が設定されており、さらに、この第6運転領域A6と上記第3運転領域A3との間には、大型ターボ過給機25のクラッチ29を締結した状態で2段過給を行う第4運転領域A4が設定されている。より具体的に、この第4運転領域A4では、図8に示したように、上記クラッチ29が締結されて大型ターボ過給機25のタービン26とコンプレッサ27とが連結され、かつ上記大型ターボ過給機25のタービンバイパス通路40およびコンプレッサバイパス通路41が閉じられた状態で、上記小型ターボ過給機35のタービンバイパス通路42がエンジン回転速度の上昇に応じて徐々に開放される。このような構成によれば、例えば第3運転領域A3よりも高回転側でいきなり大型ターボ過給機25のみによる過給に切り替えた場合(第3運転領域A3と第6運転領域A6との間に第4運転領域A4が存在しない場合)と比べて、切替前後のエンジントルクの低下を効果的に防止できるという利点がある。
すなわち、図12のグラフでも説明したように、電動モータ30によりアシスト駆動された大型ターボ過給機25と小型ターボ過給機35とによる2段過給(ラインL5)から、大型ターボ過給機25のみによる過給(ラインL4)にいきなり切り替えた場合には、その切替の前後でエンジントルクが一時的に落ち込み(図12のS部参照)、途切れのないスムーズな加速感が得られなくおそれがある。これに対し、上記実施形態のように、上記ラインL5の過給条件に相当する第3運転領域A3と、上記ラインL4の過給条件に相当する第6運転領域A6との間に、第4運転領域A4を設定し、この第4運転領域A4で、大型ターボ過給機25と小型ターボ過給機35とによる2段過給を行いつつ、上記小型ターボ過給機35のタービンバイパス通路42をエンジン回転速度に応じて徐々に開放するようにした場合には、小型ターボ過給機35のコンプレッサ効率が改善され、小型ターボ過給機35による過給圧が高まるため、上記のようなトルクの低下を効果的に低減できるという利点がある。なお、このような効果は、より詳しくは、以下のようなしくみによるものと考えられる。
上記第4運転領域A4で、小型ターボ過給機35のタービンバイパス通路42を半開状態にすると、小型ターボ過給機35のタービン36が受ける排気エネルギーは減少するものの、大型ターボ過給機25のタービン26が受ける排気エネルギーが増大する。すると、上記クラッチ29を介して大型ターボ過給機25のタービン26と連結されたコンプレッサ27の圧縮力が高まり、その下流側の小型ターボ過給機35のコンプレッサ37に導入される吸気圧力が上昇する結果、小型ターボ過給機35のコンプレッサ効率が高まる。以上により、上記大型ターボ過給機25および小型ターボ過給機35によるトータルの過給圧が高まって、エンジントルクが上昇すると考えられる。さらに、上記小型ターボ過給機35のタービンバイパス通路42の開度(バイパス弁46の開度)が、エンジン回転速度の上昇に応じて大きく設定されるため、エンジン回転速度が上昇して排気流量が増大するほど、高流量下で高い過給能力を発揮する大型ターボ過給機25で主に過給が行われるようになり、エンジン回転速度が変化しても高い過給圧を維持できるという利点がある。
さらに、上記実施形態では、図14(a)〜(e)に示したように、上記第3運転領域A3から第4運転領域A4への移行時に、大型ターボ過給機25に関する制御として、コンプレッサバイパス通路41の開放(同図(b))→クラッチ29の締結(同図(c))→コンプレッサバイパス通路41の遮断(同図(d))→タービンバイパス通路40の遮断(同図(e))という手順の制御を行うようにした。このような構成によれば、第3運転領域A3から第4運転領域A4への移行時に、大型ターボ過給機25の回転落ちによるトルクダウンを防止でき、より円滑な領域移行を図ることができる。
すなわち、上記実施形態では、大型ターボ過給機25のコンプレッサバイパス通路41を開放した状態でクラッチ29を締結することにより、クラッチ29の締結後、タービン26の慣性の影響でコンプレッサ27の回転が急低下しても、その影響で吸気量が急減することがない。そして、電動モータ30の駆動力によりタービン26およびコンプレッサ27の回転速度が十分に上昇した時点で、大型ターボ過給機25のコンプレッサバイパス通路41を遮断することにより、高速回転するコンプレッサ27に吸気を導入して十分に圧縮することができる。しかも、上記大型ターボ過給機25のコンプレッサバイパス通路41を遮断してから、その後でタービンバイパス通路40を遮断するため、上記コンプレッサ27の圧縮作用が実質的に始まる前に排圧が上昇するということがなく、排気ガスの滞留によるタービン効率の低下を防止することができる。以上により、第3運転領域A3から第4運転領域A4への移行時に、大型ターボ過給機25の回転落ちによるトルクダウンを効果的に防止でき、より円滑な領域移行を図ることができる。
また、上記実施形態では、高回転・高負荷側の一部に設定された第7運転領域A7を除く運転領域A1〜A6で、理論空燃比に対する空気過剰率λを一律にλ≒2.4に設定した。このような構成によれば、空気過剰率λ≒2.4という大幅にリーンな燃焼条件で運転することにより、燃焼温度を低く抑えて熱効率を高め、燃費性能を大幅に向上させることができる。しかも、大型ターボ過給機25と小型ターボ過給機35という2機の過給機を備えた上記実施形態のエンジンでは、必要に応じて多量の空気を過給できるため、λ≒2.4の熱効率に優れた運転領域をより高回転・高負荷側まで拡大しながらも、多量の過給により十分なエンジン出力を確保できるという利点がある。
一方、高回転・高負荷側の上記第7運転領域A7では、大型ターボ過給機25のみによって過給が行われるとともに、空気過剰率λがλ≒2.4よりも小さい値(2.0または1.0)に設定される。このように、空気過剰率λ≒2.4で運転する領域A1〜A6以外に、相対的に空燃比をリッチ化して大型ターボ過給機25のみで過給する運転領域A7を設けた場合には、空燃比のリッチ化と大型ターボ過給機25による高圧過給とにより、高回転域でのトルクを十分に確保できるという利点がある。
しかも、上記第7運転領域A7では、空気過剰率λがλ≒2.0または1.0に設定されるため、通常のエンジンに用いられる三元触媒以外に、NOx浄化用の特別な装置(例えばNOx触媒)を排気通路19に設けなくても、NOxの排出量を十分小さいレベルに抑えることが可能である。
すなわち、上記実施形態では、第1運転領域A1〜第6運転領域A6で空気過剰率λがλ≒2.4に設定されるとともに、これ以外の第7運転領域A7で空気過剰率λ≒2.0または1.0に設定されるため、空気過剰率λがλ=1〜2(1超2未満)の範囲に設定されることがない。空気過剰率λ=1とした場合(理論空燃比で燃焼させた場合)には、三元触媒によりNOxが高い浄化率で浄化されるため、排気通路19を通じて外部に排出されるNOx濃度は十分に小さい値に抑えられる。一方、空気過剰率λ=2以上の大幅にリーンな領域では、混合気の燃焼温度がかなりの低温になることから、燃焼により生じる生のNOxの量が大幅に減少し、その結果、三元触媒の浄化能力がほとんど発揮されなくても、外部に排出されるNOx濃度を十分に低減することができる。このように、空気過剰率λを1超2未満の範囲を除いた値に設定することにより、貴金属を多く含んだ高価なNOx触媒を用いなくても、NOx濃度を十分に低減することが可能である。
なお、上記実施形態では、第7運転領域A7(リッチ領域)を除く領域A1〜A6で、空気過剰率λをλ≒2.4に設定する一方、上記第7運転領域A7では、空気過剰率λをλ≒2.0または1.0に設定するようにしたが、空気過剰率λの設定例はこのような値に限られない。例えば、第7運転領域A7を除く領域A1〜A6での空気過剰率λは、λ=2を超えていればよく、また、λ=2を超える範囲で変動する値であってもよい。また、第7運転領域A7での空気過剰率λは、他の領域A1〜A6での空気過剰率よりも小さい値で、かつ、λ=1超2未満の範囲を除外した値であればよい。すなわち、上記領域A1〜A6での空気過剰率λ(>2)をλ1とすると、第7運転領域A7での空気過剰率λは、上記λ1未満かつ2以上か、1以下であればよい。
25 大型ターボ過給機
26 (大型ターボ過給機の)タービン
27 (大型ターボ過給機の)コンプレッサ
29 クラッチ
30 電動モータ(アシスト駆動手段)
35 小型ターボ過給機
36 (小型ターボ過給機の)タービン
37 (小型ターボ過給機の)コンプレッサ
40 (大型ターボ過給機の)タービンバイパス通路
60 ECU(制御手段)
A2 第2運転領域(小型ターボ領域)
A3 第3運転領域(2段ターボ領域)
A7 第7運転領域(リッチ領域)

Claims (6)

  1. 過給容量が相対的に大きい大型ターボ過給機と、過給容量が相対的に小さい小型ターボ過給機とを備え、上記小型ターボ過給機のタービンが上記大型ターボ過給機のタービンに対し排気通路の上流側に配置されるとともに、上記小型ターボ過給機のコンプレッサが上記大型ターボ過給機のコンプレッサに対し吸気通路の下流側に配置された車両搭載用のターボ過給機付エンジンであって、
    上記大型ターボ過給機のコンプレッサの回転をアシストするアシスト駆動手段と、
    上記大型ターボ過給機のタービンをバイパスするための開閉可能なタービンバイパス通路と、
    上記アシスト駆動手段の駆動および上記タービンバイパス通路の開閉を含む各種制御を行う制御手段とを備え、
    上記制御手段は、エンジンの低回転・高負荷寄りに設定された2段ターボ領域で、上記タービンバイパス通路を開放しつつ上記アシスト駆動手段を作動させて上記大型ターボ過給機のコンプレッサを回転駆動するとともに、ここで加圧された吸気を上記小型ターボ過給機のコンプレッサに導入することにより、上記大型および小型ターボ過給機の両方に過給を行わせることを特徴とする車両搭載用のターボ過給機付エンジン。
  2. 請求項1記載の車両搭載用のターボ過給機付エンジンにおいて、
    上記大型ターボ過給機のタービンとコンプレッサとの間に、両者の連結を断続するためのクラッチが設けられるとともに、当該クラッチよりもコンプレッサ側に上記アシスト駆動手段が設けられ、
    上記制御手段は、上記2段ターボ領域で上記アシスト駆動手段を作動させる間、上記クラッチを解放して上記大型ターボ過給機のタービンとコンプレッサとの連結を分離することを特徴とする車両搭載用のターボ過給機付エンジン。
  3. 請求項1または2記載の車両搭載用のターボ過給機付エンジンにおいて、
    上記制御手段は、上記2段ターボ領域よりも低負荷側に設定された小型ターボ領域で、上記大型ターボ過給機のアシスト駆動手段を停止させることにより、小型ターボ過給機のみに過給を行わせることを特徴とする車両搭載用のターボ過給機付エンジン。
  4. 請求項3記載の車両搭載用のターボ過給機付エンジンにおいて、
    上記制御手段は、上記2段ターボ領域および小型ターボ領域を少なくとも含む所定の運転領域で、理論空燃比に対する空気過剰率λをλ=2以上の所定値に設定することを特徴とする車両搭載用のターボ過給機付エンジン。
  5. 請求項4記載の車両搭載用のターボ過給機付エンジンにおいて、
    上記制御手段は、上記2段ターボ領域および小型ターボ領域よりも高回転側に設定された運転領域で、上記大型ターボ過給機のみに過給を行わせるとともに、この大型ターボ過給機のみを用いる運転領域のうち少なくとも高負荷側の一部に設定されたリッチ領域では、空気過剰率λを上記所定値よりも小さい値に設定することを特徴とする車両搭載用のターボ過給機付エンジン。
  6. 請求項5記載の車両搭載用のターボ過給機付エンジンにおいて、
    上記制御手段は、上記リッチ領域を除く運転領域における空気過剰率λを、λ=2を超える所定値に設定するとともに、上記リッチ領域での空気過剰率λを、1以下か、または2以上かつ上記所定値未満に設定することを特徴とする車両搭載用のターボ過給機付エン
    ジン。
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