JP5504644B2 - 造粒焼結原料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、焼結機に供給するための造粒焼結原料の製造方法に関し、とくにDL焼結機のパレット上に装入する造粒焼結原料を造粒するに際して添加する適正水分量の調整方法に特徴を有する造粒焼結原料の製造方法に関するものである。
焼結鉱は、通常、複数銘柄の粉状の鉄鉱石(以下、単に「鉱石」とも言う)に、石灰石、珪石、蛇紋岩等の副原料粉と、ダスト、スケール、返鉱等の雑原料と、粉コークス等の固体燃料とを適量づつ配合した焼結原料に、水分を添加してドラムミキサーやディスクペレタイザー等で混合造粒して擬似粒子化した造粒焼結原料を製造し、その造粒焼結原料を焼結機のパレット上に装入し、装入層表層部の固体燃料に着火し、下向き吸引下で焼成することによって得られる。
一般に、DL焼結機を用いて焼結鉱を製造する場合、前記造粒焼結原料の性状が、前記装入層の通気性に影響し、ひいては焼結鉱の品質や生産性あるいは歩留まで大きく左右することが知られている。一方、造粒焼結原料の製造に際しては、水分が焼結原料中の微粉を粗粒(核粒子)の表面に付着させるバインダーとして主要な役割を担うことから、造粒を適正に行うためには、この水分量を適正に調整することが重要になる。
そこで、従来、微粉と核粒子とに付着力を付与することにより、擬似粒子化の作用を促進させることを目的として、造粒時における焼結原料の水分濃度を制御する試みが種々なされている。
例えば、特許文献1、2には、焼結原料を構成する各粉状物質の飽和水分値を予め求めておき、この各飽和水分値と各粉状物質の配合割合とから加重平均によって焼結原料の飽和水分値を算出し、この加重平均飽和水分値の一定割合の水分を焼結原料に添加して造粒する方法が開示されている。
また、特許文献3、4には、焼結原料の吸水率および造粒前粒度分布から水分添加後の焼結原料が付着力を有する水分濃度の下限値である臨界水分濃度を算出し、焼結原料の水分濃度がその臨界水分濃度以上となるように、水分添加量を制御する造粒方法が開示されている。
ところで、近年は、焼結原料として、ピソライト鉱石やマラマンバ鉱石など吸水性の高い鉱石の配合率を増加させる傾向にある。これら吸水性の高い鉱石を多量配合した焼結原料の場合は、従来技術のように、単に、飽和水分値や吸水率といった指標のみに基づく制御では、適正な造粒水分濃度を精度良く予測することは困難であり、造粒時における水分添加量の適正範囲を、精度良く決定することができないという状況にある。
さらに、マラマンバ鉱石は微粉が多いのに対し、ピソライト鉱石の中には粗粒の多いものが存在するため、鉱石銘柄や原料配合の変更により焼結原料の粒度構成が大幅に変動し、これに伴い適正な造粒水分濃度も大きく変動するおそれがある。したがって、造粒水分濃度の管理は、従来に比べて格段に重要性を増しており、適正造粒水分濃度をより高精度に予想しうる技術の開発が急務となっている。
このような課題を解決するために、特許文献5では、焼結原料の保水率の他に、その3〜5mmの粒径範囲における開気孔体積をも考慮し、さらに実際の粒度分布と標準粒度分布との差異より生じるずれの量を加味することにより、焼結原料の最適造粒水分濃度の算出方法を開示している。そして、この方法により、焼結原料として、吸収性が高くかつ粒度構成が大幅に異なる劣質鉱石を多量に配合した場合でも、最適造粒水分濃度を精度良く予測することが可能であるとしている。
特公平3−80849号公報 特開平5−51654号公報 特開平11−61281号公報 特開2000−1725号公報 特開2008−1960号公報
ところで近年、焼結原料としては、鉄鉱石の価格の上昇に伴なって、安価な劣質鉱石を使用せざるを得ない状況下にあり、より安価な原料を入手するため、山元において予めブレンディングされた粉鉱石を購入する動きがある。山元においては、採掘した粉鉱石の鉄品位、Si02、Al203等の成分を選鉱により調整して出荷するが、購入側が選鉱基準を緩和すれば、品位は低下するものの購入価格を低く抑えることができる。このような背景から今後、原料価格の高騰に従い、ブレンディング鉱石使用の可能性が高まるものと予想される。
従来、造粒焼結原料である擬似粒子を製造する時、その擬似粒子化のための水分値としては、焼結原料を構成する単味原料(単一銘柄からなる原料)の開気孔率や保水率といった基礎物性値と、配合比率とに基づいて算出している。しかし、この場合において、山元のブレンディング鉱石を使用しようとするとき、配合鉱石の種類、配合割合が不明なため、従来の適正水分予測方法が適用できないという問題があった。
そこで、本発明は、配合鉱石種や各鉱石種の配合割合が不明な、複数銘柄の鉱石が混合されたブレンディング鉱石等の焼結原料を用いる場合でさえ、適正な造粒水分濃度を副原料、雑原料、固体燃料の影響をも考慮した上で、精度よく予測できて、造粒時における水分添加量をより高精度に決定しうる造粒焼結原料の製造方法を提供することを目的とする。
このような課題を解決するために本発明では、鉄鉱石、副原料、雑原料および固体燃料の核粒子および微粉を含む焼結原料に、水分を添加して混合造粒することにより、疑似粒子である造粒焼結原料を製造する方法において、焼結原料への水分添加の前に、該焼結原料中の鉄鉱石の吸収指数、粒度分布、化学組成、水との濡れ性を測定し、測定した鉄鉱石の物性値に基づき適正造粒水分濃度の予測モデルを求め、さらに、求めた適正造粒水分濃度の予測モデルに基づき、実機操業時における副原料、雑原料、固体燃料の配合率から前記疑似粒子にするために必要な適正造粒水分濃度を推定し、その推定適正造粒水分濃度となるように前記水分の添加量を決定することを特徴とする造粒焼結原料の製造方法用いる。
本発明において、
(1)前記適正造粒水分濃度[Wopt]は、鉄鉱石、副原料、雑原料、固体燃料に関する下記式により算出することを特徴とするものであり、
[Wopt]=
k1・Wv(a・Wabs+b・Pf+c・Aff−d・Pr+e・[Al]−f・[SiO]−g)+k2・LS+k3・Co+k4・BL−k5・RT+k6
但し、
Wv:主原料の配合重量比率、
Wabs:主原料の吸収指数、
Pf:微粉の質量比率、
Pr:核粒子の質量比率、
[Al]:主原料中のAl比率、
[SiO]:主原料中のSiO比率、
Aff:水との濡れ性、
LS:石灰石の配合重量比率
Co:粉コークスの配合重量比率
BL:生石灰の配合重量比率
RT:辺鉱の配合重量比率
a〜g、k1〜k6は定数である。
(2)前記焼結原料のうちの鉄鉱石としては、配合鉱石種や配合比率が不明なブレンディング鉱石を少なくとも一部に含有するものであること、
が好ましい解決手段である。
(1)本発明によれば、焼結原料を容易にかつ確実に擬似粒子化させることができると共に高強度の造粒焼結原料(擬似粒子)を製造することができ、ひいては焼結機での焼成時における装入層の通気性を確保するのに役立つ造粒焼結原料を得ることができる。
(2)本発明は、配合された鉄鉱石の種類や配合比率の不明なブレンディング鉱石を焼結原料とするような場合においても、造粒の際しての適正な造粒水分濃度を、とくに副原料配合条件をも考慮して決定することができるので、より精確な水分濃度の予測が可能である。
(3)従って、本発明によれば、焼結鉱の品質や生産性、歩留をより一層向上させることができる。
本発明の作用を確認するために使用した試験用焼結鍋装置の概要図である。 焼結装入層の通気性、擬似粒子径に及ぼす造粒水分の影響を示すグラフである。 適正造粒水分のメカニズムを説明する図である。 含水率に及ぼす粒子径の影響を示すグラフである。 (4)式に基づく適正造粒水分濃度の予測値と実測値との関係を示すグラフである。 (5)式に基づく適正造粒水分濃度の予測値と実測値との関係を示すグラフである。 焼結鉱製造工程全体の概略を示すフロー図である。 従来方法による適正造粒水分値の推定値と実測値との関係を示すグラフである。 本発明方法を用いた場合の適正造粒水分値の推定値と実測値との関係を示すグラフである。 操業中における通気変動の、従来方法と本発明方法の比較結果を示すグラフである。
発明者らは、配合された鉱石種が不明なブレンディング鉱石が含まれるような焼結原料を用いて造粒焼結原料を製造する際に、その製造に先だって、該焼結原料中の鉄鉱石や副原料の「吸収指数(吸収水分指数)」、「粒度分布」、「化学組成」、「水との濡れ性」を測定し、これらの数値と、それぞれの原料の配合率に基づいて算出された適正水分予測値を用いたところ、造粒(擬似粒子化)が安定的にかつ適正に行われることを見出し、本発明を完成した。
以下、焼結原料の造粒時に要求される適正造粒水分の量についての、本発明の考え方について説明する。
図1は、擬似粒子径と通気性に及ぼす造粒水分の影響を調査するために使用した、実験鍋設備の模式図を示す。使用した粉状鉱石については、鉱石単味銘柄毎に、水分の添加量を順次に変更しながら水分濃度を種々変化させてドラムミキサーにて混合造粒し、得られた造粒物である擬似粒子を上記試験焼結鍋内に充填し、冷間で大気を下向き吸引して冷間通気性指数JPU(Japan Permeability Unit)を下記(1)式から算出した。なお、JPUは大きいほど通気性が良好であることを示す値である。
JPU=V/S(h/ΔP)0・6 …(1)
ここで、各係数は
V:風量[Nm/min]、
S:充填層断面積[m]、
h:充填層高さ[mm]、
△P:圧力損失[mmHO]
である。
なお、図示の1はオリフイス、2は風箱、3は試験焼結鍋(φ150mm)、4はグレート、5はピトー管、6は差圧計、7は吸引ブロアである。また、図3において、8は微粉、9は核粒子、10は気孔、11は鉱石粒子、12は水分、13は擬似粒子、14は架橋水、15は付着水、16は添加水分、17は原料ホッパ、18はコンベア、19はドラムミキサー、20はコンベア、21は給鉱ホッパ、22は焼結パレット、27は焼結鉱を示す。
図2は、2種の鉱石(A鉱石、B鉱石)について、造粒物の水分濃度を変化させた時の擬似粒子径(調和平均径)、通気度(JPU)の測定結果を示す。この図から明らかなように、水分の添加に伴い、擬似粒子の粒径は増加するものの、通気度(JPU)が最大となる造粒水分(適正造粒水分)は原料によって異なることがわかる。
図3は、造粒水分の考え方を示す。即ち、焼結原料を造粒して擬似粒子を造るときの造粒水分というのは、図2に示した通気度(JPU)および擬似粒子径と擬似粒子水分(造粒水分)との関係から、造粒水分の鉱石粒子へのかかわり方には、吸収(A)、付着(B)、架橋(C)の3つの段階があると考えられる。以下、それぞれの段階の考え方と、造粒時の水分に影響する因子について説明する。
(1)鉄鉱石粒子への造粒水分の吸収のされ方は、「吸収指数」として表される。この吸収指数に関しては、以下のように考えられる。
図3のグラフにおいて、鉱石が個々に分散した状態にある(A)の領域においては、水分添加の効果が、擬似粒子径や通気度にはともにあまり影響していないことがわかる。それは、図中の右側に、(A)領域として示すように、鉱石粒子11表面には、微細な開気孔10が存在し、添加された水分12は最初にこの空隙内に浸透するのに使われるからと予想される。このことから、造粒に必要な水分は、気孔量、空隙量が多いほど、内包水分に費やされるため多くなると考えられる。
(2)次に、核粒子への微粉の付着作用に及ぼす水分のかかわり方に影響する「粒度分布」、即ち、微粉および核粒子の質量比率について説明する。
図3(A)の状態からさらに水分を添加すると、図中の(B)の領域となり、この領域では図中の右側に(B)領域として示すように、鉱石粒子11表面を濡らす付着水15となり、隣接する鉱石粒子11と接触すれば、架橋水14として働く。いわゆるペンジュラー(Pendular)域、ファニキュラー(Fanicular)域、キャピラリー(Capillary)域と呼ばれる充填様式となる。この場合、鉱石粒子11同士は接触が進み、微粉8が核粒子9の表面に付着するに到り、擬似粒子13の径が増大して焼結原料中の粉率が低下することにより、通気度も上がる。
図4は、2種の鉱石(A鉱石、B鉱石)について、浸漬試料の吸引濾過後の含水率に及ぼす粒子径の影響を示す図である。横軸は水没させた試料粒子径の比表面積1/dp[mm−1]を表す。図4から明らかなように、粒径が小さい程、比表面積が大きく、付着水分も増加することがわかる。すなわち、原料中の微粉の質量比率が大きい程、付着水量が多くなり、造粒に必要な水分が多くなることを示している。
つまり、付着水量は、粒子径により異なるものであるといえる。焼結原料中に粒径の大きい粒子が多数存在すると、細粒比率が小さくなるので、造粒に必要な水分は減少する。原料によっては、細粒側(一般に−1mm)と粗粒側(+2mm)の構成が大きく異なるため、粗粒比率も重要な指数となる。
(3)次に、粉体どうしの架橋水、即ち、粉体の「水との濡れ性」について説明する。
一般に、擬似粒子を湿潤凝集粉体とみなした時、擬似粒子強度σの推定式は、下記(2)式、(3)式のように表することができる。
σ=ψ・S・Pc …(2)
Pc=6・(1−ε)/ε・γ/Ds・cosθ …(3)
ここで、各係数は、
σ:造粒物強度[N]、
ψ:液体の充満度[−]、
S:粉体の表面積[m]、
Pc:吸引圧力[Pa]、
ε:造粒物の空隙率[−]、
γ:水の表面張力[N/m]、
Ds:比表面積球相当径[m]、
β:粉体との接触角[°]
である。
上記式から判ることは、濡れ易い(接触角が小さい)粉体で構成された擬似粒子の強度は大きく、濡れ難い(接触角が大きい)粉体で構成された擬似粒子の強度は小さくなる。そして、粉体と水との濡れ性が悪いと、凝集粉中に水(架橋水)が保持されずに、凝集粉の外側に水が染み出しやすく、そのための余剰水分によって擬似粒子間の空隙が埋められ、通気性を阻害する。すなわち、濡れ性の悪い原料ほど、適正水分は少なくなると予想される。なお、粉体の水との濡れやすさである水との濡れ性は、種々の物理手法により測定可能である。
(4)次に、「化学組成」について説明する。
a.ここでは、鉱石中の粘土組織が適正水分に及ぼす影響を説明する。一般に、鉄鉱石中には粘土鉱物であるカオリン鉱物が微量に含まれている。カオリン鉱物はアルミニウムの含水ケイ酸塩鉱物(粘土鉱物の一種)であり、Al質量比率が30〜40%程度である。カオリン鉱物の粒径は数μmと細かく、吸水性に富んでいる。すなわち、原料中のAl質量比率が増加すると、造粒に必要な水分が余分に多くなると考えられる。
b.鉱石中のSiOの存在が適正水分に及ぼす影響を説明する。焼結鉱は高炉において安定した原料して使用されなければならず、SiO、Al、MgO、CaO/SiOといったスラグ成分値は厳しく管理される。とくに、SiOは鉱石によって3〜8mass%と異なるため、珪石等の副原料で配合調整する必要がある。即ち、SiO含有量が少ない鉱石では、珪石を増配し、逆の場合には、珪石を減配する。珪石は吸収水に乏しい原料のため、珪石の増配により装入原料の必要水分量が少なくなると考えられる。
そして、図3(B)の状態からさらに水を添加すると、図3(C)の状態となり、図中の右側に(C)領域として示すように、水分が過剰になるために、添加水分16が連続して存在する、いわゆるスラリー(Slurry)域となる。粒径は増大するものの、この過剰水のために装入層の空隙率が低下し、通気度の低下を招く。
以上のことから、少なくとも鉱石に着目した場合の適正造粒水分濃度(Wopt)とは、鉱石、焼結原料粒子の「吸収指数」、「付着指数」、「濡れ性」、「化学成分」を考慮した場合に高い精度で決定できるようになると考えられる。即ち、焼結原料を混合造粒するときの適正造粒水分濃度(Wopt)は、鉱石の「吸収指数」(Wabs)、付着水指数として微粉の質量比率(Pf)および、微粉への水分付着を阻害する指数としての核粒子の質量比率(Pr)で示される「粒度分布」、微粉中のAl比率([Al])およびSiO比率([SiO])で示される「化学成分」、接触角または接触角変化と相関関係のあるFeO濃度で表される水との濡れ易さである「水との濡れ性」(Aff)を用い、下記(4)式を計算することで算出することができる。
(Wopt)=
a・Wabs+b・Pf+c・Aff−d・Pr+e・[Al]
−f・[SiO]−g …(4)
但し、
Wabs:鉄鉱石の吸収指数、
Pf:微粉の質量比率、
Pr:核粒子の質量比率、
[Al]:原料中のAl比率、
[SiO]:原料中SiO比率、
Aff:水との濡れ性、
a〜gは定数である。
本発明はとくに、配合鉱石種や配合比率が未知の焼結原料に対しても、水分の添加前に、予めその焼結原料、とりわけ鉄鉱石に着目したときの「吸収指数」、「粒度分布」、「化学組成」、「水との濡れ性(水との接触指数)」が与えられれば、上記(4)式に基づいて、鉱石を主とする焼結原料の適正造粒水分濃度を算出することができるので、造粒時における水分添加量をより高精度に決定することができるようになる。
その結果、たとえば、鉱石の種類や配合比率の不明なブレンディング鉱石の使用にあたっても、適正な造粒(擬似粒子化)が図られるから、常に高強度の擬似粒子(造粒焼結原料)が得られる。ひいては、焼結機による焼成時での装入層の通気性が良好になるので、焼結鉱の品質の向上や生産性、歩留の向上に資するようになる。
ところで、発明者らの研究によると、上記適性造粒水分濃度の予測モデルは、鉱石の物性値に着目したときに明らかになったものであるが、それだけでは十分でないことが明らかになった。図5は、鉱石単味の配合と副原料を含む焼結原料についての(4)式に基づく上記適正造粒水分濃度の予測値と実測適正水分値(mass%)とを対比した図であるが、2つの水分値に大きな乖離が認められた。つまり、このことは、単に鉱石の物性値のみによる予測モデルではなく、副原料の物性をも考慮した予測モデルにすることが必要であることを示しているのである。
そこで、上記(4)式に基づく適正造粒水分濃度(Wopt)の式を再検討した結果、下記(5)式が有効であるとの知見を得た。即ち、
修正適正造粒水分濃度[Wopt]:
・Wv(上記4式の値)+k・LS+k・Co+k・BL−k・RT+k
…(5)
但し、
Wv:主原料の配合重量比率、
LS:石灰石の配合重量比率
Co:粉コークスの配合重量比率
BL:生石灰の配合重量比率
RT:返鉱の配合重量比率
〜kは定数である。
図6は、上記(5)式の修正適正造粒水分濃度[Wopt]に基づく予測値と実測適正水分値との関係を示したものであるが、上述した(4)式に基づくものに比較すると、明らかに両者の水分値の乖離が小さくなっており、副原料、雑原料、固体燃料の配合条件をも考慮した(5)式の採用が有効であることが確かめられた。
以下、本発明方法において行う適正造粒水分濃度の推定方法について説明する。まず、使用予定の原料をサンプリングし、物性値測定及び化学分析を実施する。
(a)「吸収指数(Wabs)」について、
この吸収指数としては、鉄鉱石、副原料とも、LOI(イグニッションロス)やCW(結合水)のような化学分析値を使用することができるが、気孔量を吸収指数として用いてもよい。その気孔量は、乾燥した焼結原料を4〜6.7mm径に整粒した粉状物質について、水銀圧入法により0.003μmから200μmまでの径を有する開気孔の合計体積を求め、これを単位質量あたりに換算した値を用いる。
また、この吸収指数としては、各粒度毎に整粒した焼結原料を水中に長時間浸漬させ、脱水後の含水率を用いてもよい。例えば、鉱石A、Bについて検証した図4に明らかなように、グラフの切片は、粒子径に無関係の定数項であり、鉱石自体の吸収性を表わしていると見ることができる。
上記の化学分析値、気孔量、吸収水分(含水率)は相互に強い相関があり、使用に際してはいずれかの指標で統一して使用し、上記(4)式の係数を重回帰により再試算すればよい。
(b)「粒度分布」について、
粒度分布としては、微粉の質量比率Pf、核粒子の質量比率Prの測定する。
微粉の質量比率Pfは、原料中の1mm〜0.1mm質量比率と、−0.1mm質量比率との合計量、核粒子の質量比率Prは、原料中の+2mm質量比率を指標として用いる。
(c)「化学成分」である、Al比率、SiO比率について、
Al比率は、吸収性の著しいカオリン系鉱物の指標であるので、原料中1mm以下の粒径試料における分析値を使用する。ただし、鉱石中のAl比率は、−1mm試料と+1mm試料で強い相関があるため、鉄鉱石自体の分析値をそのまま用いても構わない。
SiO比率は、装入原料全体のスラグ成分調整に影響する指標であるので、粉鉱石原料の粒径試料における分析値をそのまま使用すればよい。
(d)「水との濡れ性(Aff)」について、
濡れ易さの指標として、接触角Hを使用する。粉体と水との接触角の測定は、鉱石の切り出し研磨面に微小水滴を滴下した時の接触角度を実測する方法、下記のHagen−Poiseuilleの式を活用した浸透法がある。浸透法による測定では、試料として粒径−1mmに整粒した鉱石を供し、鉱石充填層を上昇する水面の上昇速度から接触角θを算出する。
H=(φRγcosθ/2η)0.5・t0.5 …(6)
ここで、各係数は、
H:水の上昇高さ[m]、
R:粒径[m]、
t:時間[sec]、
γ:水の表面張力[N/m]、
η:水の粘度[N/s・m]、
θ:水と粉体の接触角[°]である。
φ:ラビリンスファクター
なお、水の濡れ性は、原料のFeO濃度と接触角には強い相関があり、FeO濃度が増加すると接触角が増加することから、このFeO濃度を測定して、指標として用いてもよい。
これらの指数を用い、上述した適正造粒水分濃度[Wopt]の推定式(5')の係数ならびに定数(a〜i)を決定する。
[Wopt]=
・Wv(a・Wabs+b・Pf+c・Aff−d・Pr+e・[Al]
−f・[SiO]−g)+k・LS+k・Co+k・BL−k・RT+k
…(5')
なお、副原料、雑原料、固体燃料を考慮して修正した前記適正造粒水分濃度の(5')式において、前記主原料の配合重量比率(Wv)、石灰石(LS)、粉コークス(Co)、生石灰(BL)、返鉱(RT)の配合重量比率は、装入原料中のそれぞれの重量割合(mass%)である。
次に、上記実施形態において推定した水分についての添加は、造粒機、造粒機より上流側、例えばヤード、ヤードから原料層へ搬送するコンベア上、原料層内、および原料層から造粒機へ搬送するコンベア上のいずれか1箇所または複数箇所で、予め水分を添加しておいてもよく、あるいは、この事前の添加と造粒機での添加との併用でもよい。
このようにして、(5')式に基づいて適正造粒水分濃度[Wopt]に調整された焼結原料を造粒機にて造粒することにより、高強度の擬似粒子(造粒焼結原料)を製造することができる。
次に、本発明における適正造粒水分濃度の推定式と、従来方法の推定式を用いた場合の造粒焼結鉱原料の製造例を比較して説明する。
図7に、焼結プロセスフローを示す。図7において、17は原料を備蓄・切り出しする原料配合槽、18は原料を運搬するベルトコンベア、19は焼結原料を造粒するドラムミキサーである。焼結原料は、所定の配合割合で配合槽17からベルトコンベア18上に切り出され、ドラムミキサー19へ運搬される。ドラムミキサー19に装入された原料は、ドラム上流側にて水分が添加され、転動造粒されて擬似粒子となり、給鉱ホッパ21を経て焼結機の焼結パレット22上に装入されて焼結され、破砕機で破砕されて焼結鉱となる。
造粒作業に先んじ、適正造粒水分を実験において与えられた単味鉱石における化学組成、吸収指数、粒度分布、濡れ性から、上記(4)式の係数を重回帰分析により見積もった。吸収指数としてはCWを用いた。操業に使用した各鉱石銘柄の化学組成(SiO、Al、CW)、粒度分布(微粉−0.1mm、核粒子+2mm)、濡れ性(cosθ)、適性造粒水分(Wopt)の測定結果を表1に示す。
Figure 0005504644
表1の測定結果から、上記(4)式の係数ならびに定数を下記(7)式のように見積もった。
Wopt=0.482・CW[mass%]+0.057・[−0.1mm mass%]+0.912・cosθ−0.136・[+2mm mass%]+0.268・
[Almass%]−0.023・[SiOmass%]+9.714…(7)
造粒の操業を行う際には、適用する焼結機において(5'式)の係数をチューニングしてk〜kの重回帰係数を算出した。
[Wopt]=0.002×[主原料重量比率]×[(7)式]
+0.015×[石灰石配合比率]
+0.18×[粉coke配合比率]
+0.129×[生石灰配合比率]
−0.041×[返鉱]
+6.3
図8に従来方法、図9に本発明方法を用いて推定した場合における適正造粒水分濃度の推定値と、適正造粒水分実測値との相関を示す。なお、適正造粒水分の実測値とは、水分量を変えて造粒した際に、通気度が最高となった場合の水分量である
また、図8、9において、単味とは原料が単一銘柄からなる場合、ブレンドとは、原料がブレンディング鉱石の場合である。図8と図9とを比較すると、従来方法で推定した適正造粒水分量は、実測値との相関が94%程度であるのに対し、本発明方法で推定した場合は相関が98%と高かった。
また、銘柄が不明なブレンディング鉱石の使用時は、従来方法においては推定値と実測値の乖離が大きく、相関係数88%であるのに対し、本発明方法においては評価指標を選択する事により、相関係数96%となった。
図10に、操業期間の原料通気性推移を示す。従来方法を用いて適性造粒水分量を推定し、原料の配合を途中で変更して(配合1→配合2)操業を継続した。その後、同じ原料配合のまま(配合2)、本発明方法で適性造粒水分量を推定して操業を継続し、さらに原料配合を変更して(配合2→配合3)本発明方法で適性造粒水分量を推定する操業を行った。
その結果、従来方法では、同一原料における通気性の変動幅は15%程度あったのに対し、本発明方法における変動幅は9%程度に抑えられた。
また、配合変更(銘柄変更)時における通気性変動の安定期間に関して、従来方法では銘柄変更後、安定に要する期間を2日程度要したのに対し、本発明方法では1日程度に短縮された。
本発明の造粒焼結原料の製造技術は、焼結原料以外の他の造粒物の適正造粒水分を推定するような場合においても、有効に用いられる。
1 オリフイス
2 風箱
3 試験焼結鍋(φ150mm)
4 グレート
5 ピトー管
6 差圧計
7 吸引ブロア
8 微粉
9 核粒子
10 気孔
11 鉱石粒子
12 水分
13 擬似粒子
14 架橋水
15 付着水
16 添加水分
17 原料ホッパ
18 コンベア
19 ドラムミキサー
20 コンベア
21 給鉱ホッパ
22 焼結パレット
27 焼結鉱

Claims (3)

  1. 鉄鉱石、副原料、雑原料および固体燃料の核粒子および微粉を含む焼結原料に、水分を添加して混合造粒することにより、疑似粒子である造粒焼結原料を製造する方法において、
    焼結原料への水分添加の前に、該焼結原料中の鉄鉱石の吸収指数、粒度分布、化学組成、水との濡れ性を測定し、測定した鉄鉱石の物性値に基づき適正造粒水分濃度の予測モデルを求め、さらに、求めた適正造粒水分濃度の予測モデルに基づき、実機操業時における副原料、雑原料、固体燃料の配合率から前記疑似粒子にするために必要な適正造粒水分濃度を推定し、その推定適正造粒水分濃度となるように前記水分の添加量を決定することを特徴とする造粒焼結原料の製造方法。
  2. 前記適正造粒水分濃度[Wopt]は、鉄鉱石、副原料、雑原料、固体燃料に関する下記式により算出することを特徴とする請求項1に記載の造粒焼結原料の製造方法。
    [Wopt]=
    k1・Wv(a・Wabs+b・Pf+c・Aff−d・Pr+e・[Al]−f・[SiO]−g)+k2・LS+k3・Co+k4・BL−k5・RT+k6
    但し、
    Wv:主原料の配合重量比率、
    Wabs:主原料の吸収指数、
    Pf:微粉の質量比率、
    Pr:核粒子の質量比率、
    [Al]:主原料中のAl比率、
    [SiO]:主原料中のSiO比率、
    Aff:水との濡れ性、
    LS:石灰石の配合重量比率
    Co:粉コークスの配合重量比率
    BL:生石灰の配合重量比率
    RT:辺鉱の配合重量比率
    a〜g、k1〜k6は定数である。
  3. 前記焼結原料のうちの鉄鉱石が、配合鉱石種や配合比率が不明なブレンディング鉱石を少なくとも一部に含有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の造粒焼結原料の製造方法。
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